経済産業省
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金融市場における「環境力」評価手法研究会(第4回)-議事要旨

日時:平成20年12月24日(水)15:00~17:00
場所:経済産業省別館5階526共用会議室

出席者

石谷座長、長瀬代理(阿部委員代理)、稲永委員、稲葉委員、浦西委員、江間委員、蔵元委員、末吉委員、菅野委員、竹ヶ原委員、水口委員

議題

  1. 「環境力」評価フレーム案について
  2. 評価指標に対応する情報開示動向について
  3. 「環境力」評価のためのデータの利用に関する留意点について
  4. 今後の検討スケジュールについて

議事概要

委員からの意見

(資料2)「環境力」評価フレーム(検討試案)について

  • 利用方法の原則で、国、地域による環境規範の違いへの配慮を記載すべき。
  • 評価項目IIについて、通常の商品の環境負荷を低減することによって市場での競争力を高めることがあると思うので(燃費のよい商品等)、そういう視点で幅広く記載すべき。
  • 環境力の定義は、(1)自分の企業がどれだけ環境負荷低減するか、(2)自分の取引先、サプライチェーンをどう巻き込むか、(3)それが社会にどうインパクトを与えるか、の3つが明記された方が望ましい。
  • フレームを個別にピックアップする際に、いいとこどりにならないように工夫すべき。例えば、温暖化防止、省エネ、公害防止等の基本事項は必ず評価の中に入るべき。
  • 評価手法を直接ユーザーが使って指数を作るのは難しいので、ワンクッションおいて、ベンチマークやレーティングを作る会社があるべき。→(事務局)国では、評価フレームを精査し、できる限り具体化することとし、重み付けについては、評価フレームを活用しつつ、それぞれの評価会社が取り組む。
  • 総量よりも製品単位の効率に着目した方がよい。企業活動を行うときに全体の売り上げを減らさないと排出量が減らないということだと営業活動と環境活動が両立しない。
  • 中小企業法上の中小企業と大企業との間では乖離があり、中堅企業も下の方になると中小企業に近いものもあるので、できれば中堅・中小企業という形で広げるべき。
  • BtoBの企業にとってエコプロダクツとは何かが環境格付では常に議論になる。BtoCであれば製品がエコプロダクツになるが、部材・部品等のBtoBのエコプロダクツの定義も明確にすべき。
  • 評価項目I、II、IIIというフレーム自身の説明を資料2のどこかに書くべき。
  • 評価項目IIの「商品・サービス」は、環境によい製品を作るということと思うが、企業が製品アセスメントや製品設計を行っていることの評価が明確に分かるようにすべき。
  • 環境配慮促進法で現在進められている改正作業では、環境報告書の義務化の範囲、有価証券の非財務情報の開示等はどのような取扱いになっているか。→(事務局)後日、環境省に確認する。
  • 環境報告書ガイドラインは必ずしも遵守されている訳でもなく、また最近はCSR報告書になっていて、環境の部分が減ってきている。環境関連のデータは多岐に亘っておりホームページなどで公開されているが、このようなデータを集めると網羅性や比較が大変であるので、ある程度担保する必要がある。→(事務局)ガイドラインそのものを変える、あるいは有価証券報告書に記載すること等について、環境省、金融庁との連携を行いながら検討して参りたい。
  • 評価フレームが全体として動くにはサブシステムが重要。評価フレーム自体とともに、これをどうやって活かしていくのか、ユーザーに何を求めるか、例えば公的年金が株式投資をする時にはこれを使うように促す等を検討すべき。
  • 評価会社はインタビューしながら数字には表れない企業の悩みや姿勢を引き出しており、その能力が格付け、評価の源泉になっているので、そのようなソフトをどのように作り上げるかが重要。
  • 初期の段階ではある程度は使用を促すような制度やインセンティブが必要。最終的には黙っていても使われるものにしたい。
  • インタビューはノウハウそのものであり、なかなか客観性が担保できないと思うが、客観性のある情報を得る手順があるのかどうか、またそれをどのようにまとめるかは要検討。
  • 企業のトップマネジメントのメッセージが業績と株価に連動しているという研究がある。環境報告書や有価証券報告書に本音ベースで書いて頂き、それをトップが重視するような仕組みを作ることによって、インタビューしなくてもソフトはある程度代替できるのではないか。
  • 環境テーマについて、「自然保護」より「生物多様性」という用語の方がよい。企業は生物多様性にどのように取り組むかを一生懸命考えており、取組の差が激しく、企業のコンセプトが明確に出る。
  • 理屈でいうとエンドポイントは生物多様性と人間の健康影響ということであり、その手前にいろいろあるので、他との整合性がとれないが、企業が生物多様性という言葉で活動しているのであれば、その用語でも構わないので、現状分析をよく行って頂きたい。
  • 「生物多様性」というと、日本人にはエンドポイントよりもアクションが頭に浮かぶし、一方で「自然保護」というのは茫漠としているので、言葉の使い方とともに何を指すかを具体的に説明して趣旨がはっきりと分かるようにすべき。
  • 外国の投資家も活用するとすれば、使う言葉は世界共通の方がよい。その意味では、「生物多様性」ではっきり分かる。
  • 「水資源確保」という表現になっているが、世界では安全な水をどう確保するかということであり、日本独自の水問題で評価していることにもなりかねない。
  • 大企業と中小企業はジャンル、業種が違うので、それを前提にすると、大企業と中小企業は評価が違って当然であり、それを統一的に議論すること自身に違和感がある。
  • ただ、まさにその違いが念頭にあるから一緒ではならないということだと思う。たしかに大企業の作り方と中小企業が労働集約で作る場合と違うので、同じ形ではできない。
  • 壊れていくものを壊れないようにするという発想なのか、壊しているのはそもそもビジネスなのだから、そのビジネスをやめろというメッセージなのかでは違う。そういうことを考えてのメッセージの柱を工夫する必要がある。
  • 今の感覚では壊しているものを防ぐということが強いであろう。
  • 将来株価に連動することを考えると最終的には技術開発力と思うが、技術開発力をいかに評価するかという部分で一番近いのは将来生み出すもの、製品の設計をいかに考えているかということなので、インベストメントを将来のどこにかけるのかが見えるように糸口だけでもキーワードを入れておきたい。
  • R&Dは企業が情報開示しないので、例えばどのぐらいシェアを占めてきて、どれぐらい他の競争会社の技術を追い越してきたか等の客観的に分かる数字で示せないかということだが、LCA的に材料を節約している等のデータであれば客観的指標として取れるかもしれない。
  • 株価は将来を反映して価格形成されるので、日本でもキャップアンドトレードが将来導入されるのであれば、それに向けて努力している企業の株価も上がるだろう。例えば製鉄業であれば高温の高炉があれば普通では分解できない地球温暖化に悪影響を与えるガスを分解できるので、こういうものを評価すると製鉄業の収益力も変わるだろう。
  • 株価を形成しているのは、80年代、90年代を境に、タンジブルアセットでなくインタンジブルアセットが主流になっている。重要なのは、技術力を開発する企業の経営姿勢がインタンジブルに評価されることであり、そうだとすると、目に見えるものだけでは実際の株価全体を表現できないので、それがワークするようにサブシステムを構築しなければならない。数字でとれることだけでは全体を評価できない。
  • 一方で、できるだけ目に見える形にしたい所であり、その1つの手段としては過去の時系列や現在の技術の力関係等もある。

(資料3)評価指標に対応する情報開示動向、(資料4)「環境力」評価のためのデータの利用に関する留意点について

  • 資料3について、情報開示動向の調査における◎(二重丸)の評価は難しく、例えば環境報告書で公表されている情報が◎(二重丸)となっているが、すべての企業が環境報告書を作っている訳ではないので、情報の取得が容易といっていいのかはやや疑問。
  • 気候リスクや温暖化情報に関しては、Climate Disclosure Standard Board(CDSB)という組織で、アニュアルレポートの中で開示を義務付けようというフレームワークを作ろうという議論が進んでいる。1月19日~3月30日までの間、Exposure Draftを作るための非公式な相談を行うので、日本企業からもいくつか応募頂いた方がよいと思うし、またCDSBでの議論と環境力評価フレームで情報開示を行うという議論が関わるので注目頂きたい。経産省、環境省とも連携して対応したい。
  • 資料4について、バウンダリーの問題は、単純に連結ベースというだけでなく、環境影響で切るべきと思うが、これによって大企業、中小企業の評価も変わってくる。
  • 例えば不法投棄に伴う環境リスクのように将来のキャッシュフローが下振れを起こすリスクファクターを視点に入れるべき。
  • 最近、化学物質を100%把握する、各サプライチェーンで正しく伝達する、懸念物質を代替化していく事が注目されているが、そのような視点が欠けている。
  • 3Rの所でも、中長期に評価しようとすると、法規制にまだないマテリアルフローをどれだけ把握し、どれだけ公表しているかが環境に配慮している企業として評価できる。
  • マテリアルフローは全製品となると難しいと思うが、そういうデータベースがあれば是非事務局に提供頂きたい。
  • 特定の企業では概略的なマテリアルフローは環境報告書に載っているが、詳細にはほとんど把握されていないのが実態。
  • 資料4の「異なる企業規模間での比較」は、次の「セクター間比較」に包含されている。現在の日本では大企業になればなるほどセクターをまたがって仕事をしているので、セクターごとに企業を評価することは難しい。この研究会で企業の株価がどう連動するかという検討をするときにセクター間比較は難しく、それをやろうとすると大企業の内部のデータを使い、部門別に活動を分けなければならなくなる。
  • 資料3で開示情報のデータの信頼性、正確性は重要なので、資料3の評価軸の1つに、第三者認証が入っている等、信頼性を評価したものを入れるべき。
  • 技術開発の評価は難しいが、1つの指標として、省エネ、新エネ、環境等の国家プロジェクトに参加しているということは考えられないか。参加することによって事後評価もできるし、大企業と中小企業で別の枠組みがあるので有用ではないか。

以上

 
 
最終更新日:2009年2月20日
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