経済産業省
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産業構造審議会環境部会地球環境小委員会鉄鋼ワーキンググループ(第2回)‐議事録

日時:平成20年10月27日(月曜日)14時~16時
場所:経済産業省別館10階 1020会議室

出席者

産構審:
佐久間座長、工藤委員、松橋委員、吉岡委員、米本委員

中環審:
小林委員、森口委員

議事概要

近藤環境経済室長
それでは、皆さん、よろしいでしょうか。私、経済産業省の近藤と申します。
只今より2008年度の第2回産業構造審議会環境部会地球環境小委員会鉄鋼ワーキンググループを開催いたします。
本日は、ご多忙のところご参集いただきまして、大変ありがとうございます。
本ワーキンググループの開催に先立ちまして、座長から一言ごあいさつを頂戴したいと思います。
佐久間座長
座長を務めさせていただきます佐久間でございます。座ったままで失礼いたします。
本日は、大変お忙しい中、本委員会にお集まりいただきまして誠にありがとうございます。
この委員会は、2008年度の自主行動計画の評価・検証等についてということで、鉄鋼業の取組を評価するということが目的でございます。ご審議のほど、よろしくお願い申し上げます。
近藤環境経済室長
ありがとうございました。それでは、初めに事務局の紹介をさせていただきます。
まず、経済産業省でございます。私の隣でございますが、有馬大臣官房審議官でございます。1つ飛ばしまして、横山リサイクル推進課長、田中大臣官房参事官補佐、覚道製鉄企画室長、宮本製鉄企画室長補佐でございます。
それから、環境省からもお見えいただいております。徳田地球温暖化対策課長、高橋市場メカニズム室長でございます。
それでは、以降の進行は佐久間座長からお願いいたします。
佐久間座長
本日の会議の議事に入る前に、会議の運営について若干申し上げます。
本年3月に改定された京都議定書の目標達成計画において、自主行動計画については、政府の制度として関係審議会等による評価・検証を行うものと位置づけられており、その中では、個別の業種の排出削減対策を促すとともに、京都議定書6%削減約束達成に向けた排出削減の取組の着実な実施を図ることとなっております。
また、今般、7月に閣議決定された低炭素社会づくり行動計画に基づきまして、排出量取引の国内統合市場の試行的実施が行われることなどとなっております。
こうした背景の中で、今回のワーキンググループは、京都議定書の約束期間の開始後、初めて前年度の実績に基づく評価・検証を行う場であり、委員の皆様方におかれましては、これまでにも増して有益かつ建設的なご意見を頂ければと思います。
このような状況も踏まえまして、審議の透明性をより向上させるために、これまでにもほぼ審議の全体と取りまとめた議事要旨を公開しておりましたが、今後は、議事録自体を公開させていただくこととしたいと存じます。
また、座長代理についても、産業構造審議会運営規程に基づき、別途、私から指名させていただきたいと思っております。よろしいでしょうか。ご承認いただければと思います。
(異議のないことを確認)
それでは、議事に入らせていただきます。まず、事務局より今後のスケジュール等についてご説明いただきます。
近藤環境経済室長
資料1について説明。
田中大臣官房参事官補佐
資料2について説明。
佐久間座長
ありがとうございます。それでは、社団法人日本鉄鋼連盟より2007年度実績を踏まえた業界の自主行動計画についてご説明をお願いいたします。
山田新日本製鐵(株)環境部長(日本鉄鋼連盟)
それでは、資料3-2のカラー刷りの資料に基づきまして、ご説明させていただきたいと思います。お手元にご用意願います。
それでは、まず1ページ目の下でございますが、京都議定書の期間の開始を踏まえまして、鉄鋼業として自主行動計画の強化・充実を図っております。以下、内容をご説明いたします。
鉄鋼業自主行動計画におきましては、粗鋼生産量1億トンを前提として、2010年度の鉄鋼生産工程におけるエネルギー消費量を基準年の1990年度に対して10%削減することを目標としております。
足元の粗鋼生産は、前提とする粗鋼生産量1億トンを大幅に上回る状況にあります。日本の京都議定書目標達成のため、京都メカニズムの活用等も含めまして、目標達成に最大限努力する覚悟でございます。
さらに、生産工程における取組に加え、廃プラスチック等の有効活用、鉄鋼製品・副産物を通じた省エネ、国際技術協力における地球規模での省エネ、民生・業務・運輸における取組など、社会における省エネへの取組を強化するととともに、長期的に大幅な排出削減をする観点から革新的技術開発への取組を推進します。
特にその中で社会における省エネへの取組につきましては、廃プラ等の有効活用の促進や高機能鋼材の使用段階での削減に関する適切な評価など、制度面の見直しにより更なる削減が可能であり、政府に対しましては、早急な見直しを要請いたしたいと思います。具体的な内容については、これからご説明いたしたいと思います。
それでは、ページをめくっていただきまして、3ページ目をお願いいたします。
鉄鋼業の環境保全に関する自主行動計画の全容につきまして、再度説明しております。
まず、第1は鉄鋼生産工程における省エネルギーへの取組であります。先ほどご説明した内容ですが、粗鋼生産量1億トンを前提にして、2010年度の鉄鋼生産工程におけるエネルギー消費量を基準年の1990年度に対し10%の削減をするということ。
ただし、粗鋼生産が1億トンを上回る状況においても、京都メカニズムの活用等も含め、目標達成に最大限努力するということ。上記目標は、2008~2012年度の5年間の平均値として達成するという内容でございます。
なお、エネルギー消費量の10%削減に見合うCO2量は9%削減として設定しております。
この点について若干ご説明いたしますと、鉄鋼業では、CO2排出係数の高い石炭を還元材として使用しております。省エネが進みましても、電力、燃料等の排出係数が低いことからエネルギー10%削減に対し、CO2では9%削減として目標を設定しているところであります。
第2番目は、社会における省エネルギーへの貢献ということでございます。5点ございます。集荷システムの確立を前提に、廃プラスチック等を 100万トン活用する。製品・副産物による社会での省エネルギーへの貢献。国際技術協力による省エネルギー貢献。未利用エネルギーの近隣地域での活用。民生・業務・運輸における取組の強化。
第3番目が、革新的技術開発の取組であります。大きく2点ほどテーマがございまして、高炉ガスからのCO2分離回収技術。第2点目は、コークス炉ガス改質水素による鉄鉱石の還元技術でございます。
以上が鉄鋼業の自主行動の全容でございます。その下をお願いいたします。
自主行動計画の削減目標の進捗につきまして、2007年度の実績についてご説明いたします。
粗鋼生産が拡大する中、生産量につきましては、1990年度比 8.8%増、前提といたしております1億トン比22%増という状況となっております。そういった中で、エネルギー原単位の改善は1990年度比マイナス10.6%になっておりますが、これによりエネルギー消費量は1990年度比マイナス 2.7%、CO2排出量は、1990年度比マイナス 1.8%という状況になっております。
今後、省エネ対策、エネルギー消費量で 3.2%相当のものを考えております。京都メカニズムの活用、これはCO2排出量で5.7%相当の排出権について購入しております。
こういった努力によりまして目標達成を目指すという内容でございます。具体的にはこれからご説明いたします。
5ページをお願いいたします。5ページ、6ページを見ていただきますと、上がエネルギー消費量の推移、下がエネルギー起源CO2排出量の推移であります。左側が総量、右側がそれぞれの原単位という構成になっております。
まず上の棒グラフで見ていただきますと、2007年度の実績は、前年の2006年度が1990年度比でマイナス 5.4%という状況でしたが、生産量が増加したことによりマイナス 2.7%になっております。
一方、エネルギー原単位につきましては、着実に削減してきておりまして、2007年度実績で1990年比マイナス10.6%になっております。
下のCO2につきましては、同じく2007年度はマイナス 1.8%、2006年がマイナス 5.3%でございました。CO2原単位につきましても、着実に下がってきております。2007年度については、エネルギーの削減に比べてCO2の削減が大きく悪化しておりますが、これは電力の排出係数の悪化に伴うものでございます。
次のページをお願いいたします。今、ご説明いたしましたエネルギー消費量の増減の内容について評価したものが7ページになります。
2007年度のエネルギー消費量は、粗鋼生産が90年度比で 8.8%増加したものの、原単位が10.6%と大きく改善したことにより、結果として 2.7%の削減となっております。
次に、8ページをご覧いただきたいと思います。今、説明しました内容を2001年との対比で説明しております。目標達成の前提としました粗鋼生産は1億トンでございます。ちょうど2001年度のときに1億 200万トンということで、概ね同レベルの生産規模になっております。
2001年度のエネルギー消費量は90年比マイナス10.8%ということで、粗鋼生産が前提とする1億トン程度であれば、目標を超過達成しているということでございます。
その後、粗鋼生産が20%増加いたしまして、足元では1億 2,200万トンになっております。その中でエネルギー消費量につきましては、9%増ということで、粗鋼生産の増加率の半分以下にとどまっているということでございます。
よろしければ9ページ、10ページをお願いいたしたいと思います。9ページでは、鉄鋼業のエネルギー効率に関する国際比較について説明いたしております。
まず、そのページの左上に棒グラフがございます。これはRITEが出しているエネルギー効率の国際比較の資料でございます。鉄鋼1トン当たりを製造するときのエネルギー原単位を日本を 100にしたときに、各国はどの程度であるのかということでございます。
その棒グラフで見ていただきますと、一番左が日本で 100ですが、左から3、4、5番目のドイツ、フランス、イギリスは 120程度、右から3、4番目の中国、インドは 130程度ということで、日本のエネルギー効率の方が高いということが分かります。
さらに、その下です。その下は国際エネルギー機関(IEA)が洞爺湖サミットに向けてワークしたアウトプットの1つでございます。ちょっと見にくいですが、折れ線グラフの右側の軸になりますが、1トン当たりの粗鋼をつくるときのCO2の削減ポテンシャルになります。
右から2番目が赤字の四角で囲っております日本でございますが、0.07、これに対しまして、例えば左側から2番目が中国の0.47ということで、削減ポテンシャルとしては7倍も多い。あるいは日本は7分の1しかないということになります。ポテンシャルが一番少ないということは、裏返せば日本の効率が一番いいということを表したものでございます。
以上を踏まえまして、右の上の薄緑で四角になっているところですが、日本が前提とした粗鋼生産1億トンを上回る1億 2,200万トンの生産をしているわけです。しかし、仮に上回った分が日本以外の国でつくられていたら、どの程度のCO2排出になったのか。また、逆に外国でつくらずに日本でつくっていることによって、どの程度のCO2削減になっているのかを表したのがこの四角になります。
日本の粗鋼原単位を単純に割りますと1.67トン、粗鋼トン当たりCO2が1.67トン出ます。 2,200万トンの生産をするのに 3,600万トン相当のCO2が出る。これを仮に中国、インド等でつくると想定しますと、エネルギー原単位が日本の 1.3倍になります。結果、 4,700万トン相当のCO2が出るであろうと推定されます。
したがいまして、日本で生産することにより日本の生産は増えますが、世界全体のCO2の排出というものは 1,000万トン以上減ったと言えると考えます。
10ページ以降は、これまでの我々の取組についてご紹介いたしたいと思います。まず、10ページです。これまでの省エネルギーの取組の推移であります。
下に黄色い四角で主要項目が書いてあります。70年代、80年代は生産工程の連続化、工程省略/工程連続化等をやってまいりました。80年代以降、排熱回収による発電等を充実させてきております。90年代以降につきましては、社会から発生する廃プラ、廃タイヤ等、こういったものを資源としてリサイクルする。そういったことを通じて全体のエネルギー効率を高めてきております。
次のページをお願いいたします。これまでの省エネルギー及び環境に投資した金額について累積を挙げてきております。
70年代から90年までで省エネを約20%達成し、3兆円の設備投資をしてまいりました。90年以降、2010年に向けて省エネ10%目標にしているわけですが、2007年度までの実績で1.6兆円の設備投資をしてきております。
今後の見通しが12ページ以降になります。まず、今後の省エネ対策の見通しであります。2012年に向けまして、鉄鋼各社が現在検討している対策を積み上げますと、1990年のエネルギー消費量の約 3.2%に相当いたします。このうち65%は予算措置済みの内容になっております。
右に主要設備、省エネ設備の普及率を示しております。コークス乾式消火設備(CDQ)ですが、これにつきましては、2006年度末現在で85%、2009年度末までに93%になる予定であります。若干残りがございますが、この分はコークスの委託製造をしている化学メーカーでまだCDQが入っていないという内容でございまして、2009年度末までに実質 100%の設置が見込まれております。
また、高炉炉頂圧発電(TRT)につきましては、既に100%の実施内容になっております。
よろしければ、次の13ページをお願いいたします。先ほど来説明いたしておりますとおり、生産量増加の中でエネルギー消費量の削減、あるいはCO2排出の削減については、必ずしもそれだけで目標達成できる状況にはなっておりません。目標達成の補完的手段として京都メカニズムを活用する予定にしております。
大きく2つありまして、1つは鉄連として、日本温暖化ガス削減基金、あるいはバイオ炭素基金に出資しております。
もう1つは、各企業が鉄鋼省エネ技術等を活用してCDMプロジェクトからの排出権を購入しております。既に購入したCDMの排出からの排出権が 5,900万トン、年当たり1,180万トンで、1990年の排出に比較しますと5.7%に相当いたします。これについては、既に購入済みであります。
ちなみに昨年度は 4,400万トンと申し上げました。このうち国連登録が 4,100万トンになっております。具体的な内容はそこに書かせていただいておりますが、表の一番上にあります中国でのフロンの破壊プロジェクトというもの。2点目がコークス工場における排熱回収システムの導入、CDQです。3点目が焼結の排熱を利用した発電プロジェクトといった内容を行っております。
ここでクレジット調達によるコスト負担の意味合いについて、その黄色いところでご説明いたしたいと思います。
排出権価格につきましては、足元15ユーロぐらいから一時30ユーロまで上がりましたので、価格としては 2,500~ 5,000円程度と想定されます。このように想定いたしますと、 5,900万トンの購入が総額 1,500億~ 3,000億円のコスト負担に相当いたします。
なお、このコストは粗鋼トン当たりで見ますと、先ほど原単位が1.67と申し上げましたので、 4,200~ 8,400円という非常に大きな金額になります。ちなみに1990~2006年までの粗鋼1トン当たりの経常利益が平均で 5,500円ということになりますので、利益がほとんどなくなる。あるいはそれ以上の負担になるということをご理解いただきたいと思います。
同じくその下ですが、京都議定書における日本鉄鋼業への影響について示しております。このグラフは世界の主要鉄鋼メーカーのうち、 2,000万トン以上の生産をしている主要企業について表しております。
左側が2006年度の粗鋼生産実績、右側が2007年度の粗鋼生産実績になります。この表の緑で表している部分がCO2の排出に制約を受けている部分、赤が制約がない部分でございます。
右側でご説明いたしますと、2007年度で粗鋼生産 2,000万トン以上の会社が11社あります。ちなみに2006年では7社しかございませんでしたが、この間の粗鋼生産増等によりまして、対象企業が11社に増えております。
その中で排出に制約のある部分、一番上のアルセロール・ミッタルという世界一大きい鉄鋼会社でございますが、3分の1をヨーロッパで生産しておりますので、そこについては制約があります。その他の地域についてはありません。
2番目、3番目の新日鐵、JFEについては制約があるということになっておりまして、アルセロールが世界全体の中で生産計画を立てられるということを考えますと、世界の鉄鋼業の中で制約があるのは事実上日本のみであります。しかも、制約のない競争相手がどんどん増えているといった中で、我々は不公平な国際的な競争を強いられているということでございます。
よろしければ15ページをお願いいたします。以上を受けまして、実効性のある温暖化対策の取組につきまして1枚にまとめております。
日本鉄鋼業は、世界の省エネトップランナーとして引き続き以下の取組を進めることで、地球温暖化対策への貢献に資する覚悟でございます。
1番目は、世界最高水準のエネルギー効率の維持・追求ということ。2番目は、省エネ環境技術の移転、高機能鋼材の普及、3番目は革新的な技術開発の促進であります。
ただし、現状におきましては、日本鉄鋼業は世界最高のエネルギー効率を達成しているにもかかわらず、目標達成のために膨大なコスト負担を強いられております。グローバルな競争が激化する中で、こうした負担は単に鉄鋼業にととまらず、日本産業の競争力の低下や国民負担の増加、雇用の縮小に直結する問題であります。さらに、日本鉄鋼業の生産が制約されれば、日本よりエネルギー効率の劣る設備での生産増による炭素リーケージを招き、地球規模での温暖化対策に逆行することになります。
ポスト京都におきましては、すべての主要排出国の参加の下、エネルギー効率や削減ポテンシャルを踏まえた公平な国別目標を設定し、既存技術の普及、革新的な技術開発など、セクター別アプローチによる技術を軸とした取組が加速するよう、国際交渉における日本政府の更なるリーダーシップに期待するところであります。よろしくお願いしたいと思います。
16ページ以降につきましては、社会における省エネの貢献についてご説明いたします。
まず、第1は廃プラスチック等の有効活用でございます。廃プラスチックにつきましては、計画的に設備を立ち上げ、廃プラスチックの受入等を増加してまいりましたが、2005年以降急激に減少してきております。
次の17ページをご覧いただきたいと思います。現状は鉄鋼各社の廃プラスチックの処理能力が約40万トンございます。これに対しまして、マテリアルリサイクル優先のために、2008年度の落札実績は23万トンというように大幅な余力を持っております。
廃プラスチック等の有効活用につきましては、政策の見直しにより大幅なCO2排出削減が可能であり、次の観点から制度面の早急な見直しをお願いしたいと思います。
1つは、廃棄物資源の効率的な有効活用の観点。すなわち、CO2削減効果の高い廃棄物リサイクルから、容器包装リサイクル制度につきまして、CO2削減効果の低いマテリアル優先制度を撤廃していただきたいということでございます。
そこにグラフがございます。左側がマテリアルリサイクル、右側がケミカルリサイクルということで、鉄鋼業の高炉、コークスでの活用を示しております。左側の高い棒グラフが処理量、右側の低い棒グラフが製品量になっておりまして、歩留まりを示しております。
マテリアルにつきましては平均で50程度、ケミカルにつきましては平均で90程度ということでございますので、当然、残渣等が出ませんし、CO2の削減効果ということで、明らかに高いということがいえます。これが1点です。
もう1つは、黄色に戻りまして(2)ですが、全国に自治体は 1,800程度あるそうですが、そのうち 1,000程度は容リリサイクルに参加されております。残りの800市町村は参加していないということでございます。これらの容器包装リサイクル制度への参加要請をお願いしたいということでございます。
仮にこれらの自治体が参加することで、今、再利用されていないものが約30万トンあると聞いております。CO2削減で約 100万トンの削減に相当するということで、実質的な削減として極めて意味があると考えています。
次がLCA評価による高機能鋼材の使用段階での削減促進であります。日本鉄鋼業は、自動車、造船等製造業向けの特殊鋼や、厚板、薄板、亜鉛メッキ等の高機能鋼材が大幅に生産としても増えております。
日本鉄鋼業としては、自動車の軽量化をもたらす高張力鋼板など、使用段階における省エネルギーを実現する高機能鋼材を開発し、これらを安定的に供給することで需要に応じてきております。
こういった高機能材の社会での使用段階での省CO2効果につきましては、2001年度に「LCAエネルギー評価調査委員会」を設置し、今日委員として来られております吉岡先生に委員長になっていただき、評価していただき、その後につきましては、日本エネルギー経済研究所にお願いいたしまして、毎年その貢献度をフォローしているところでございます。
この評価・分析によりますと、鋼材の製造段階でのCO2は増加するものの、使用段階でのCO2削減効果は大きいということが明らかになっております。こうした削減はユーザーとの連携、あるいは共同開発により初めて実現されるものであります。産業間連携による日本全体での削減を促進する観点からも、LCA評価により日本鉄鋼業でのCO2排出量を適切に評価するようお願いしたいと思います。
2007年度の実績が次のページにございます。19ページをご覧いただきたいと思います。
ここに掲げております6品種におきまして、2007年度断面における高機能材の使用段階でのCO2削減効果が 812万トンあるというデータになっております。適切な評価方法の確立についてよろしくお願いいたしたいと思います。
第3点目は、セメント用高炉スラグのCO2排出抑制削減でございます。京都議定書の目標達成計画では混合セメント、これは主に高炉セメントになると理解しておりますが、それの生産比率増加、具体的には2010年に24.8%が挙げられております。
ここには書いておりませんが、京都議定書目標達成計画の中では2010年度の混合セメントによる増加、混合セメントのこの目標への引き上げによる削減効果を112万トンと計算されております。
高炉セメントは2001年にグリーン購入法の特定調達品目に指定されているところであります。その削減効果は極めて大きく、国内の出荷による削減が439万トン、輸出による削減が472万トンということでございますので、これらにつきましても、利用拡大を推進していただきたいと考えます。
次に、21ページ以降です。家庭・業務・運輸等の取組についてご紹介いたします。
家庭部門における取組ですが、家庭部門における環境家計簿の取組につきましては、2005年度より進めてきております。
その後、各社におきまして、「グループ企業を含む全社員を対象にした啓発活動」や「イントラネットの活用による環境家計簿のシステム整備」等を行ってきた結果、2007年度は協力世帯数が1万2,000世帯になり、さらに、今年度につきましては、開始したところでございますが、約2万4,000世帯にまで拡大してきております。
今後、こうした家庭での取組についても、協力、推進していきたいと思います。
下がオフィスビルにおける取組でございます。本年度より新たにオフィスの削減対策といたしまして、「2003~2005年度の平均のCO2排出量を基準に、2008~2012年度平均で5%削減する」旨の目標を掲げ、業界全体として取り組んでいるところでございます。
23ページですが、運輸部門における取組でございます。2007年度の鉄鋼業のモーダルシフト化比率ですが、船舶、鉄道比率は1次輸送ベースで77%、輸送距離500km以上の輸送では94%に達しております。全産業トータルのモーダルシフト化率約40%に対しまして、大きく上回っている状況でございます。
さらに、船舶輸送における積載率の向上やトラックへのエコドライブ、エコタイヤ等々を導入いたしまして、運輸部門における排出削減に努めているところです。
24ページ以降につきましては、国際的な連携についてご説明したいと思います。
まず、24ページは、世界の粗鋼生産の状況について示しております。世界の粗鋼生産は、足元で13億トン、下に国別生産の変化を示しております。1997年、京都議定書が採択された時点では、日本も中国もほぼ1億トンということで同じようなレベルでございましたが、その後中国がこの10年間で生産量が約5倍になり、世界の3分の1を占めるに至りました。
世界全体の排出量削減のためには、こうした途上国を取り込んだ取組が不可欠であり、日本鉄鋼業といたしまして、あらゆる角度から国際的なセクトラルアプローチを推進しているところでございます。
次のページをご覧いただきたいと思います。まず、25ページですが、日本と中国の関係につきましては、2005年7月、日中の環境省エネ技術交流会を開催することを決めまして、それ以降、毎年1回専門家による交流会を開催してきております。
26ページですが、APP(クリーン開発と気候に関するアジア太平洋パートナーシップ)の進捗を書かせていただいております。
アジア太平洋パートナーシップの鉄鋼タスクフォースにおきましては、右上にフローが書いておりますが、まず、環境・省エネ技術の特定をいたしまして、それらについての普及状況から削減ポテンシャルを評価しております。左下に「技術ハンドブック SOACT」と書いておりますが、22の環境技術と42の省エネ技術を収録し、そのうち27は日本から出しているところでございます。すべての技術につきましては、Webサイトで一般的に公開されております。
そういった技術の中から主要な省エネ技術の普及率を調べたものが左下の棒グラフになっております。左の軸がCDQ、排熱回収、あるいは副生ガス回収の技術でございます。棒グラフが削減ポテンシャルになっております。
当時、6カ国の削減ポテンシャル合計が1.27億トンでございます。日本全体の排出が13億トンでございますから、6カ国の鉄鋼業だけで既存の技術を普及させることにより、日本の排出の10%削減が可能であるという結果が出てきております。
次のページをお願いいたします。さらに、具体的な途上国の製鉄所に出向きまして、設備診断を実施してきております。昨年の12月に中国の3製鉄所、今年の1月にインドの1製鉄所、さらに、今年の12月にはインドの2製鉄所を調査する予定でございます。
これまでに実施してきた結果、そこの表にありますとおり、各製鉄所にはまだまだ削減ポテンシャルが極めて大きいということが分かっております。
28ページですが、日中交流会やAPPの動きは、さらにworldsteel(国際鉄鋼協会)におきましても、グローバルなセクトラルアプローチということで進められております。昨年の10月に地球温暖化に対する鉄鋼業の世界的な取組につきまして方針決定されて以降、その取組を推進しているところであります。
具体的な内容は緑の一番下ですが、鉄鋼業界にとっての効果的なアプローチは、世界すべての主要鉄鋼生産国の参加と生産量当たりの排出量の改善に焦点を当てることであります。短期的には、ベストな操業及び技術を世界に適用していく。長期的には、革新的な技術開発に研究投資をすることであるということでございます。
以上の方針に基づきまして、まず、今年の3月までに原単位データ収集に関する定義、バウンダリー等で基本合意をいたしました。その合意に基づきまして、この4月よりデータ収集を開始したところであります。年内の目標といたしましては、加盟参加会社の75%までのデータを集めたいということで、今、取り組んでいるところでございます。
さらに、29ページをお願いいたします。同じくworldsteelでのCO2のブレークスループログラムへの取組であります。
2003年から抜本的な技術開発に向けた国際連携を開始いたしております。現在は、第Iフェーズが終わりまして、シーズ技術の調査、基礎研究が終わり、テーマを5つに絞り、これから開発推進していくというフェーズでございます。
具体的には、そこに書いておりますI、IIですが、高炉あるいは溶融還元から出てくる
CO2につきまして分離・回収するということ。化石燃料によらない還元ということで水素還元、バイオマス製鉄、溶融電解精錬、その3つにつきまして、化石燃料に替わる還元材を活用した鉄鋼製造を目指しているところでございます。
このうち日本につきましては、その下にございますが、NEDOのプロジェクトによりこの7月に正式に採択されました「革新的製鉄プロセス開発技術(COURSE50)」の取組を開始したところであります。
内容につきましては、左に書いてありますように、1つは高炉からのCO2排出につきまして、水素などを用いた鉄鉱石による還元をやっております。もう1つは、高炉ガス(BF-G)からのCO2分離回収技術、この2つをやることによりまして、総合的には約30%のCO2削減可能な技術の確立を目指すということを考えております。
左下に工程表がございますが、2030年を目途に基本技術の確立をし、2050年を目途に実用化・普及を検討していきたいと考えております。
よろしければ最後のページになります。以上、日本鉄鋼業の温暖化対策を取りまとめたものがこの表でございます。
日本鉄鋼業は、「生産工程における取組」、「社会における省エネへの貢献」、「革新的技術開発」の3本柱により、自主行動計画を推進してきております。
左上が生産工程における取組であります。2007年度の実績としては、マイナス1.8%、366万トンの減少にとどまっておりますが、1997年の自主行動計画開始以降、この2007年までの平均をとりますと、約マイナス1,200万トンに相当いたします。そういったレベルの取組を今やっているということでございます。
製品・副産物による貢献につきましては、約1,200万トンの削減に貢献しております。左下の国際貢献ということで、CDMあるいはスラグの輸出等によりまして1,652万トン、上の2番目の●ですが、これらを合わせまして、定量化可能な分野に限りましても、3,269万トンの削減に貢献しております。これは日本の総排出量の約3%に相当するものでございます。
最後になりますが、鉄鋼業としては、生産量が増える中で京都メカニズムの活用も含めまして、何とか目標達成をしようということで最大限努力してまいります。
今日申し上げました廃プラ、あるいはセメント、これらの有効活用により日本の削減はかなり進むと考えられますし、CO2削減に大きく貢献する高機能材がつくれる鉄鋼業を正しく評価することによりまして、日本鉄鋼業の生産やCO2排出が増加しても日本全体での削減、あるいは世界全体での削減につながることだと思いますので、この辺をご理解いただきまして、今後国際的な取組、あるいは国内施策等についてもご検討いただければと思います。
説明は以上でございます。
佐久間座長
ありがとうございました。それでは、本日ご説明のありました内容について、ご質問、ご意見等がありましたら、ご発言をお願いいたします。発言される方はお手元のネームプレートを立てていただきたいと思います。
それでは、小林委員、お願いいたします。
小林委員
それでは、私の方から意見というか、質問も含めて少し発言させていただきます。
まず、1点目です。これは鉄鋼業界だけに限らないのですが、いわゆる産業界全体の削減努力に対しては大きく評価をさせていただきたいと思います。特に主体を成しております鉄鋼業界についての努力、また環境に対する姿勢についても、私は評価をさせていただきたいと考えています。
しかし、温室効果ガス排出量の大きな部分を占めますこの産業部門の削減対策というのは重要な関心事であると考えます。そういう意味から、鉄鋼部門における、現在は原単位方式を採っているものの、粗鋼1億トンという目標をベースにして総排出量に近い方式を採っているということについても評価をしたいと考えています。
ただ、超過した部分について、京メカによって対応するということを初めから表明するというのはいかがかと思います。やはり、できる限り京メカに頼らず、更なる削減努力をぜひ期待したいと考えます。
特にこれから始まろうとしております国内排出量取引によって行うことを是非対応していただきたいと思います。この方法によって資金が海外流出することを防げるわけです。
これは私自身、数年前といいますか、2年ほど前から繰り返し申し上げているわけでございますが、いわゆる削減する技術はありながら資金がないということで、削減努力がなされていない中小企業に対して、大企業からその対策のための資金を提供するという、今回の国内排出量取引、国内CDMについて、関心を持って対応していただきたいということを是非お願いしたいと思います。
それから、今回のパワーポイントの説明ではなくて、資料の中に少し入ってきているのですが、いわゆる鉄の還元材としてのコークスの必要性が繰り返し書かれているわけでございます。この「コークス」につきましても、代替品の検討ということを是非やっていただきたいと思います。
昔は木炭を使っておられていたわけですし、最近、外国では木炭使用が増えてきているというか、検討が進められているということがございますので、是非国内においてもこの「木炭使用」をもう一度再検討してはいかがかと考えております。これによりまして、森林吸収源対策も含めた温暖化対策が進むのではないかと思っているわけでございます。
それから、後半の方で「社会における省エネ貢献」ということで、相当資料が作られているわけでございますが、この辺につきましても、今までの対策に対する評価を進めるという調査、研究も必要でございます。また、これを踏まえて、今後社会に対してどういう貢献をしていくのかといった研究にも是非重点を置いて進めていただきたいということをお願いしたいと思います。
もう1点は、オフィスビル部門でございますが、削減されておりません。(資料3-2の)22ページにあるととおり、床面積当たりのCO2排出量は増えております。こういうことから、やはりこういう温室効果ガスの対策について、本社社員の環境意識の改革というのは大変重要ではないかと思われます。そういう意味から、まずは、本社から削減に対する認識の度合いを上げるという努力を是非お願いしたいと思います。
それから、後の問題でございますが、今年の2008~2012年度までが約束期間ということになるわけでございます。これの全体平均で対応するということを考えてもあるわけでございますが、やはり毎年、毎年これについてどうなっていくかということをきちっとチェックしていくことが重要ではないかと思います。
そういう意味から、是非毎年、いわゆる2008~2012年度の年次ごとの目標、それに対してどういう対応をしていくのかについて、もう少しきめの細かい計画並びに施策が必要ではないかと思います。
それも具体的な国内対策、各社ベースとは申し上げませんが、対策。それから、それ以外の京メカについて、具体的にどのような計画を持っているのかについて是非ご検討いただきたいと思います。
そういう意味から考えますと、これは別に鉄鋼だけではございませんが、各ワーキンググループ1回の会合だけではいかがかという感じがいたします。是非今後2回、3回と繰り返しこういうヒアリングをやっていただくことをお願いしたいわけです。これは委員長にお願いしたいと思います。以上でございます。
佐久間座長
本件に対して、後でまとめてやらせていただいた方がいいですか。何かコメントがあれば、出していただけますか。
山田新日本製鐵(株)環境部長(日本鉄鋼連盟)
もし、よろしければ……。全部まとめると、今の質問の量からするととても答え切れないということ。それから、多分、ダブる面もあると思いますので、よろしいですか。
佐久間座長
全員が立てられておりますので、膨大な質問の量になると思います。ポイントだけ整理して答えていただけますか。
山田新日本製鐵(株)環境部長(日本鉄鋼連盟)
まず、最初の総量目標を上回る部分について京メカに頼らないでやってほしいということですが、これは我々としても当然そう思っております。我々として持ち得る技術、あるいは世界で考えられる技術については、極力導入することによって設備投資をしていきたいと考えております。この方がコストはかかるにしても、我々の技術力の向上、あるいは設備の刷新等メリットは当然あります。
排出権を買うというのは、単にお金が外に出ていくだけでありまして、我々としても全く望んでおりません。しかしながら、今日ご説明させていただきました世界での我が国における今の省エネのレベル、あるいは考えられる技術、そういうことを考えたときに、やむなく買わざるを得ないから買っているわけでありまして、この根本はやはり京都議定書の国別目標、あるいはその下での我々業界の目標に問題があると思います。
したがって、我々も好き好んで京メカに頼っているわけではないということについて、ご理解いただきたいと思います。
国内CDM、クレジットの活用につきましては、趣旨からすれば自分たちでできないものを買うという意味では同じだと思いますが、ただ、国内に資金が還流するという意味でいいと思いますし、中小企業等の技術レベルの向上等にもつながると考えますので、我々としても積極的に貢献していきたいと思います。
それから、2番目のコークスの代替の必要性につきましては、我々としてバイオマス等の活用というのは当然あり得ると思います。ただ、現実問題として日本の今の1億トンという生産規模を考えたときに、その一部の代替ということはあり得ますが、全体の代替はやはりあり得ません。それを考えたとき、我々としては、やはり「水素による還元」という大きなプロセス変革について取り組むということで考えております。
それから、社会への貢献につきましては、やはり我々の本来業務は鋼材を提供するということでございますので、高機能な鋼材を提供することによって社会全体でのCO2の削減につながるということについて、これまで以上に努力してまいりたいと思います。
また、床面積の話がございました。今日は詳しい説明はさせていただきませんでしたが、22ページを見ていただきますと、単位面積当たりのCO2は増えておりますけれども、エネルギー消費量では落ちております。
この CO2につきましては、原子力の稼動の問題がありまして、電力のCO2排出係数が増えておりますので、増えております。エネルギー消費量としては我々も努力し、若干ではございますが、減っていると理解しております。
それから、本社の人間、メーカーが中心になってこれから率先してやるという話がございましたが、我々家計部門における取組として、今年から大々的に「環境家計簿」ということで、普通の社員が使いやすい形で整備して取り組んでいるところでございます。
2万4,000世帯という規模は、大手の従業員規模の40%強ぐらいの規模になりますので、非常に大きい取組だと考えております。今後ともこういった貢献については、やっていきたいと考えております。
それから、2008~2012年度、毎年計画を作ってチェックするということでございますが、毎年やることが正しいかどうかということについては、疑問があるといいますか、そういうやり方ができる業界もあると思いますし、我々のように大きなプロセスを中心にしてやっていくような業界、あるいは生産量変動が非常に大きい業界において、やはりある中期的な期間を見定めて、どういった対策を打っていくのかということをきちんと見ていくべきではないかと思っております。
ただし、京都議定書第一約束期間平均で達成しますし、このように毎年のフォローアップにおいて達成の蓋然性についてはきちんと説明し、ご理解を得ていきたいと思います。
それから、最初に鉄の原単位目標と言われましたが、総量で目標を設定しております。ただし、粗鋼生産1億トンということを前提にしておりますので、それを外さないと、前提を崩さないということであれば「原単位」という言い方もできるかもしれません。
ただ、我々としては、日本全体で京都議定書目標を達成するという中で、生産量につきましては、前提の2割強を上回っておりますが、それについては総量で達成したいということで頑張っていきたいと思います。以上です。
佐久間座長
よろしいでしょうか。全委員が立てておられますので、申し訳ありませんが、時計回りで回させていただきます。それでは、森口委員、お願いいたします。
森口委員
4点ばかり質問させていただきたいと思います。その前に1億トンが前提ではあるけれども、総量でも達成したいということの意気込みを示していただきまして、大変結構かと思います。その点を改めて確認いただきましてありがとうございます。
1点目は、エネルギー原単位の国際比較と今日の資料の9ページ、表ですと7~8ページにかけてですが、こうした国際比較を示していただくというのは、我が国の技術の優位性を示す上で非常に結構かと思います。
鉄鋼のエネルギー原単位、あるいはCO2原単位、テクニカルな難しいところがあるかと思います。また、過去においてはいろいろ誤解がありまして、日本の数字が悪く評価されていた時期もあろうかと思いますので、こういう形できっちり示していただくのは大変結構だと思います。
ただ、エネルギー原単位で見ますとこうなりますが、日本の鉄鋼業はやはり石炭の依存度が高いということで、CO2の排出原単位の国際比較をやった場合には、実は、ここまでの差異が残念ながら付いていないのではないか。中国との間では逆転する可能性もあるかと思いますが、欧米諸国等との間では、CO2で見た場合にはこうならないような部分もあるわけです。そういったところを誤解のないように伝えていっていただきたいと思います。
こういう非常にいいデータは是非出していただきたいと思いますが、CO2排出削減ということになりますと、やはりCO2での比較も必要かと思いますので、その辺りは示していっていただきたいと思います。
そのことは、先ほど小林委員からご指摘がありましたコークス代替と言いますか、その石炭依存度をどう下げていくかということとも関わりがあるかと思います。廃プラスチックの利用を挙げておられますが、ここで今回お示しになった数値というのは、全体として低炭素化していくべきということから比べれば、比較的マージナルな数値かと思いますので、プラスチックばかり強調されているような嫌いも若干あるように感じましたので、その辺りはバランスよく取り組んでいただければと思います。
2点目は、ちょっとテクニカルになりますが、副生ガスの問題でございます。これも再三指摘させていただいておりますので、繰り返しになってしまいますが、鉄鋼業のエネルギー原単位、あるいはそのCO2排出原単位を算定するに当たって、副生ガスの扱いというのは非常に難しい問題だと思います。
今回の表の資料でも、変更点だけをお書きいただいているわけでありますが、これは一般の理解を助けるためにも電力との間でどのような形でその副生ガスの調整と言いますか、原単位を適用しておられるのか。例えば、高炉ガス等について発電に用いられた場合に、どのようにカウントされているのかということについては、もう少し分かりやすく示していただけるとありがたいなと思います。
3点目は、社会全体での貢献ということで、パワーポイントで言いますと20ページになります。セメント用高炉スラグのことが出てまいります。あるいは最後のスライドでもスラグの活用、国内分は439万トンで、副産物輸出の分が472万トンあるということですが、副産物輸出の分は、現在の国別排出量の計算方法では日本の手柄にはならないということかと思います。
これはセメントの需要減少ということでやむを得ないかもしれませんが、これで国内需要としてはいっぱいいっぱいなのか。その内需用のセメントに高炉セメントの入る余地がないのかどうか。つまり、かなり市況が良くて、輸出もできるということの中で、CO2削減ポテンシャルのあるスラグがみすみす輸出されているということがないのかどうか。その辺りをお教えいただければと思います。
4点目は、資料の中では特に触られていなかったのですが、先ほどの鉄鋼1トン当たりの原単位を考える上でも、当然転炉、高炉、電炉をミックスされた形でトータルとしては出てくるかと思います。
電炉の部分というのは、資料の中からは見えにくいわけでありますが、先ほどのスラグと同様鉄くずも今かなり輸出されているのではないかと思います。ある意味では、鉄くずもCO2を下げるための資源と見ることもできるのではないかと思います。
これも世界全体で見れば削減に貢献しているかもしれませんが、電力のCO2原単位の高い国でスクラップが使われるよりは、電力原単位の低い日本で使われた方が世界全体で見てもCO2の削減になるのではないかと思いますので、鉄鋼業としてスクラップの国内活用について、これで日本全体のCO2を下げていくことについて何かお考えがないかどうかということです。
4点目は、ちょっと今日のご説明の範囲外かもしれませんが、お教えいただければと思います。以上でございます。
山田新日本製鐵(株)環境部長(日本鉄鋼連盟)
それでは、第1点目ですが、9ページをご覧いただきたいと思います。鉄鋼業のエネルギー効率の国際比較は難しいという話についてはそのとおりだと思います。
まず、上の表でございます。RITEが出している国際比較の表ですが、これについてはエネルギーではございますが、高炉による比較でございます。高炉による比較でございますので、同じ高炉で見れば日本が圧倒的に効率がいいということは分かると思います。
下の表は、IEA、国際エネルギー機関の表ですが、これはCO2による比較の表でございます。この表につきましても、高炉による比較をしております。
したがいまして、今、森口委員が言われました趣旨で一部分からないところがございますが、高炉と電炉の比率の問題だとか、他のプロセスとの比率の問題であれば、最後の4番目の質問にかかると思いますので、ここはあくまでも高炉としての効率を比較したときにエネルギー、あるいはCO2で見て、日本の鉄鋼業が一番効率がいいということを表していると理解しております。
スラグの関係の話を先にお答えしたいと思います。スラグについても、国内での活用ができれば非常にいいと考えております。この点については、今日我々が十分なデータをもって説明できませんが、先ほどの京都議定書の目標達成計画にありましたように、国としてもグリーン購入としての混合スラグの引き上げを考えておられるわけですので、そういった観点でやっていただきたいと考えております。我々としては、そういった形でなかなか上手く受け入れていただけない分について輸出をしているということでございます。
森口委員の最後のご質問ですが、スクラップの利用なり、電炉の利用拡大ということですか。我々の理解では、電炉と高炉というのはあくまでもつくっている製品、あるいはスクラップのリサイクルといったものの中で最適な配分がなされております。もちろんスクラップが大量に出るような地域とそうではない地域とがありますが、何でも電炉でつくれるか、スクラップでつくれるかというと、例えば、必ずしも自動車用の鋼板というものはできないという実態にあるということであります。
高炉の中でも生産を拡大する中で、従来は溶銑を十分使ってやっておりましたが、スクラップを使うことによっても高機能材をつくるような技術開発努力はしておりまして、高炉によるスクラップの比率も増えている実態にございます。
国内の消費と輸出のバランスにつきましては、これは世界的なスクラップの需給バランスがございます。それでは、日本でスクラップを使ってどんどん電炉をつくって高機能材がつくれるかというと、それはできないと思いますので、やはりそういう全体のリサイクルの中で決まっていると考えております。
中野住友金属工業(株)専任部長(環境・エネルギー)(日本鉄鋼連盟)
2点目の副生ガスですが、まず、1点目は電力と鉄鋼業の間でございます。これは監督官庁にも入っていただいて、厳密にそのやりとりを決めておりまして、非常に細かいところまで詰めております。
原則的には、考え方としてはできるだけ実績、実態を反映しようということでございまして、おそらく共同火力のところが一番考えられていると思いますが、我々が共同火力に出しますガスというものは、燃料として使ったときに得られるエネルギーというものを引き取っていただくわけです。
ただ、今度は共同火力等を使って電力をつくるわけですが、そこでできた電力のエネルギー係数と言いますか、そういうものをまた共同火力から我々が買う場合は引き取るという方式になっておりますので、できるだけ実態に合わせた扱いをしているということでございます。よろしいでしょうか。
佐久間座長
よろしいでしょうか。まだコメントがありますか。
森口委員
申しわけございません。それで理解しておりますが、なかなか一言では理解しにくいので、やはり書面の中に簡単に含めていただけないかというお願いでございます。
すみません、1点だけ追加して恐縮です。スクラップのところについては、ちょっと分かりにくいことを申し上げましたが、おっしゃるように、そのスクラップをむしろその電炉以外で高機能のものを活用するという技術を現に持っておられることも存じ上げた上で申し上げたことでございますので、それイコール電炉ではないということで申し上げました。
ただ、電炉にしましても、スクラップそのもの、これは国際的な市況の問題であるということをおっしゃいましたが、おそらくそのキャパシティーから見れば、トータルで見れば、やはり鋼材の用途の問題以外に国際的な市況で流れている部分がかなりあるのではないか。ここについては、だからどうできるという問題ではないかもしれませんが、前半のお答えと後半のお答えのやはり両面があるということかと思います。その点だけ重ねて確認をさせていただければと思います。
佐久間座長
今日は廃プラの話が非常に多かったという話もありましたが、やはり3段階で鉄鋼業はやってこられて、工程連続化と排熱回収のものは以前にご報告があったということで、今日は廃プラを重点的に話をすると理解しております。
それでは、米本委員、お願いいたします。
米本委員
日本の鉄鋼業界の立場が非常に明確に出ている、分かりやすい報告をいただいて非常に評価しております。
ただ、1点だけですが、私は確認の意味で京メカのこの数字の根拠を、私の理解でいいかどうか確認させていただきたいのですが、13ページに書いてあります、上の数字は鉄鋼各社が既にこれまでやって、国連の理事会を通った京メカのCDMであるということ。
下の数字でございますが、想定以上に日本の直近の鉄鋼の需要が多くて、予想外の増産になったので、当初の目標を埋めるためにこれ以上の削減分を排出量取引で賄おうとすれば、しかも、それをEUの現状の価格で換算するとすれば、この程度のお金がかかってしまうという計算の仕方でよろしいのでしょうか。
もし、単純にどこかにある排出量取引を買ってくるのであれば、トン当たりの、もしかしたら、誰も買わないかも分からないようなペーパーだけの排出量取引というのが実はあり得るわけでありまして、そういう意味で私の解釈で正しいのか、正しくないのか。その1点だけお教え願いたいと思います。
山田新日本製鐵(株)環境部長(日本鉄鋼連盟)
排出権の価格については、どういった価格を使うかというのはかなり難しい問題があると思います。ここでは、各社の実績、高炉実績の価格を表しているわけではありません。まず、15ユーロというのは、足元の商社等を通じて買う場合の価格と理解しております。
したがって、EU-ETSの価格は足元が若干下がりましたが、20ユーロをずっと超えておりましたので、その価格ではありません。ですから、足元15ユーロというのは、今の京都クレジットの下限、セカンダリーマーケットの下限に近い価格だと理解すればいいのではないかと思います。
30ユーロですが、これはEU-ETSで実際に30ユーロを超えましたので、そういった幅で動く可能性があります。京都メカニズムの場合で難しいのは、今こうだということで契約したとしても、それが出ない可能性がありますので、一旦マーケットがバッと上がれば30ユーロまでのリスクがあるという意味で、ここでは話していないわけです。
米本委員
それを踏まえた上で、本当にこれでおやりになるというか、約束期間というのは、やはりもう5年で、既に入っていて、はっきり言ってどうやって終わるかというイメージをそろそろ考えなければいけないと思いますが、本当に京都メカニズムで手当てされるのか。
特に鉄鋼業界がどうされるかということは、約束期間の今後の手当ての仕方のモデルになると思いますので、鉄鋼業界としての何らかのポリシーみたいなものが、もし、おありになるのでしたら、ご示唆願いたいと思います。
山田新日本製鐵(株)環境部長(日本鉄鋼連盟)
京都議定書の自主行動計画の目標については、前提を1億トンにしていたわけです。ところが足元で非常に増加してしまったということで、こういった総量目標による問題、矛盾、あるいはその前の京都議定書そのものの国別目標の妥当性といいますか、そういったことについては問題意識を持っております。
ただし、これまでやってきまして、国全体として目標達成しようというときに鉄鋼業が「全体が大きく狂ってしまったので達成できません」というわけにはいかないというか、そうならないように京都メカニズムを含めて達成しようという方針であります。
佐久間座長
よろしいでしょうか。
吉岡委員
経済屋なので、そちらの分野から話したいと思います。言ってみれば、弱肉強食のグローバル経済の中で日本の大鉄鋼業といえどもスーパーマンになり得ないわけですよね。
世界全体に革新的技術が広がればいいということは、これは誰もが分かっていることですが、今の世界経済の状態において自主行動計画で革新的技術を世界に早く進めるということは、難しいような気がします。
その大きながんというのは、14ページ辺りに出てきますが、途上国にキャップがかかっていない問題だと思うわけです。途上国の鉄鋼業と言うけれども、その会社を見ていると、もう先進国を乗っ取るほどの巨大な会社なわけです。そういうところがなおかつ近くに無制限労働供給の安い賃金を控えて、コストで勝っている状況なわけです。しかも、それにはキャップがかかっていないわけです。
だから、自主行動計画というのはやはりそろそろ限界が出てくるのではないか。これはどうしても公共部門の役割というか、ポスト京都に向けて、セクトラル分析と言ってもいいのかもしれませんが、やはり途上国の参加を促す。それから、アメリカの参加を徹底してやらないと焼け石に水だと思います。
そのためには、14ページのところですが、場合によってはこのデータをもう少し詳細化しまして、例えば、1990年後半辺りからデータを追加していただいて、実は、京都議定書では限界があったことを明らかにしてほしい。やはりアメリカや中国が参加しなければいけないということを徹底しないと、結局、理想主義が負けてしまうような気がするわけです。そういう点を強調したいと思います。
佐久間座長
今のご意見に対してよろしいですか。
山田新日本製鐵(株)環境部長(日本鉄鋼連盟)
全く異存はございません。というか、単に鉄鋼業だけではなくて、日本全体として、是非ともそういうことをやっていかないと大変なことが起こりつつあると思います。
佐久間座長
おっしゃるとおりですが、本委員会の自主行動計画評価・検証の枠を非常に超えるようなことなので、親委員会でも是非そういう関連したことを申し上げるようにしたいと思っております。
それでは、松橋委員、お願いいたします。
松橋委員
今のセクター別アプローチについては、私も吉岡委員に誠に同感でありまして、日本政府も協力的セクター別アプローチを提唱している中で、キーセクターの1つが鉄鋼業ということになっておりますし、データの集計度に関しても、やはり鉄鋼業が先頭を走っていると思いますので、是非頑張っていただきたいと思っております。
それはそれとしまして、自主行動計画のこの報告のところで2、3点だけちょっと確認させていただきたいと思います。
まさにこの京メカの利用のところで、先ほど米本委員がおっしゃられた13ページの1トン CO2当たりの排出権の調達価格ですが、これはまさにご説明されたように、セカンダリーCRとか、EU-ETSの価格を持って来られたということで、鉄鋼業界で調達された排出権自身の価格とは必ずしも一致しないわけです。
そこは相対の世界だから、おそらく出せないということなのかもしれません。できれば、全体の平均値ぐらいでも出していただけると大変ありがたいのですが、ちなみにNEDOの昨年度の調達は、確か平均価格が2,400円/t-CO2程度だったかと思います。これもセカンダリーCRが中心でございます。
それはそれとして、粗鋼1トン当たりに直したときの4,200~8,400円といったこの部分ですが、鉄鋼業全体で負担されたこの1,500億~3,000億円を普通に考えますと、粗鋼の生産量1.2億トン程度でしょうか。これで割り算するのだと思うわけです。
そうしますと、大体粗鋼1トン当たり1,250~2,500円程度になるかと思われます。これは粗鋼1トンで出しているCO2原単位に、そのままこのt-CO2の排出権価格を掛けたもので鉄鋼業界全体としてやっておられるのは、自主行動計画をオーバーした分をこの価格で調達されていらっしゃるということですから、費用負担という意味ではかかったコストを粗鋼のトン数で割るというのがより合理的ではないかと私は考えております。
後でまたご反論いただければいいかと思いますが、それで出した1,250~2,500円程度、これは暗算ですので誤差はあるかと思います。それでも経常利益5,500円と比べて相当大きな額でありまして、経常利益を圧迫するようなコスト負担になっているということは十分説得力があるかと思います。
こういうかかったコスト、粗鋼1トンの原単位に1トンCO2当たりの排出権価格を掛けて出す。こういう出し方をしますと、逆にあらぬところから計算の仕方がどうのというような批判を受けるとまずいかという気もいたしますので、生産量で割っても大きな額で経常利益を圧迫するということは十分に説得力があるかと私は思っております。
それから、20ページのところで森口委員もご指摘になりました高炉スラグの利用で、私も需要があるのであれば、是非推進していただきたいと思います。伺ったところでは8割程度が高炉水砕スラグで、残りは徐冷スラグで、路盤材等に利用されているという現状だそうでございます。
そういったものも含めて徐冷スラグも有効利用ですが、CO2削減のためにはやはり水砕スラグで高炉セメントのほうが削減効果はあるかと思いますので、是非官民一体で国内の需要の創出ということをお考えいただければありがたいと思っております。
最後に、革新的技術のところですが、山田さんもお話しになりましたように、足りないものを京都クレジットで賄うというのは非常に不本意であるということで、誠にそのとおりであるかと思います。
その一方で、若干心配になりますのが、日本の場合、その技術でエネルギーを削減し、CO2を削減していくというところの革新技術というものがなくなってきているというか、若干尽きてきているのではないかという印象を持っておりまして、これは大変心配しております。
今般、ご紹介になりましたCOURSE50というものはCCSを利用するもので、大変遠い先の将来を見越したものかと思います。これ以外にもSCOPE21などがあるかと思いますが、それ以外になかなかめぼしい省エネ技術が見当たらないというのが私の素人としての感覚でございます。間違っているかもしれません。
今後のエネルギーCO2を削減していく中で、若干の委員の方からいろいろなお話がありました。例えば、スクラップの問題にしても、原炉のスクラップ比がもう限界なのか、もう少し原炉のスクラップ比を上げることが可能なのかどうか。あるいはブラジル辺りでかなり行われている木炭の還元といったものが、日本の場合には全く可能性がないのかどうか。
そういった必ずしもハイテクでないものもリスクとしてはあり得るかと思うわけです。できれば、そういうハイテク、ローテクを織り交ぜたリストが包括的に出てきて、これは量的にここまでしかできないとか、これはコスト的に非常に高くつくといったような説明をつけていただいて、トータルとしてこれだけと、対策オプションと言いますか、京メカ以外で、クレジット以外で減らせるオプションはこのぐらいなんだということを説明していただくと大変分かりやすいかと思っております。以上です。
山田新日本製鐵(株)環境部長(日本鉄鋼連盟)
まず、13ページの京メカでございますが、ちょっと文字が抜けておりまして、大変申し訳ございません。13ページの下の黄色い表の2番目の●です。
「このコストは、増産粗鋼1トン当たり」ということで、すみません。「増産」という言葉が抜けておりますので、総平均であれば松橋委員が言われたとおりで、我々の思いは目標を超えた部分という意識で増産粗鋼1トン当たりという意識でございますので、訂正させていただきます。
2番目のスラグの話につきましては、我々も国内で活用できることがベストだと思いますが、向こうの産業の事情等もあると思います。国としてご協力いただいておりますので、我々も全面協力してまいりたいと思います。その辺はよろしくご指導のほどお願いしたいと思います。
3番目の話につきましては、我々としてもまだ十分革新的な技術の深掘りと申しますか、そういったものができていない部分があろうかと思います。委員が言われましたどういう対策がどのくらいのコスト、コストまでは分からないかもしれませんが、どういった技術があって、どういう可能性があるのかということについては、すぐにというわけにはいきませんけれども、是非とも工夫して出せるように努力してまいりたいと思います。
佐久間座長
よろしいでしょうか。それでは、工藤委員、お願いいたします。
工藤委員
ありがとうございます。既にかなりの質問がされていますので、私はその残りのところをお尋ねしたいと思います。
先ほど森口委員もおっしゃったCO2原単位の国際比較で、こういうのをしっかりやるのが大事という話です。これまでこういうものがなかったところをようやくここまで到達されつつあるという業界関係者の方々の努力を垣間見ているものですから、是非こういったものを国際的にコンセンサスを持つ形で客観的な評価ができるようになるということは大事だなというのは、全くそのとおりだと思っております。
そういった中でこの委員会の議論の、先ほど座長がちらっとおっしゃったスコープをどこに置くかという話ですが、当面はやはり絶対量的にどこまでできる、その際にどういった不確実性があるのかという辺りを確認するのが必要かなと思いまして、いくつかご確認させていただきたいと思います。
1つは、実際に原単位の表を2つ見ますと、この90年以前の数字と合わせて考えれば相当改善されてきていて、更に90年以降もここまでやっているという絵になっているのだと思うわけです。そして、エネルギー消費量なり、CO2排出量というものに比べて原単位が継続的に低下しているといった部分の背景は、やはり技術的な取組が中心になってくるのだろうと思います。
逆に言いますと、2012年ということをいろいろ見ていったときに、この辺の原単位改善というものがどのくらいまで頑張れそうだとして見込まれているのかというのは、評価するときには結構大事かと思っております。
そういった意味で、例えば、エネルギー原単位は先ほどある程度説明がありましたように、CO2原単位で電力の原単位の変化というのが大きく取り上げられておりますが、それ以外に、高炉関係で考えますと、あまり燃料転換的な要素は入ってこないのではないかという印象があります。そのCO2原単位改善余力みたいなものというのは、その電力原単位の変化以外に何かあるのか。改善、もしくは悪化ですが、そういう可能性があるのかということです。これはあくまでも確認的なことです。
そういった観点で12ページに2012年までの省エネポテンシャルの話が書かれていまして、この 3.2%というのは結構大きいなと思っているのですが、これは生産量の前提みたいなのが見えないわけです。これは1億トンを前提として原単位を改善されると大体3%ぐらいのエネルギー消費が落ちるというようなイメージでなのか、お教えいただければと思います。
2点目が7ページの図でもご説明されているとおり、昨今の増加、減少の大きな要因の半分がやはり生産増だということ。そうすると、その生産増の背景というのは何かと考えると、短期的にみれば、当然、今の金融危機などの要素も今後多少は結果として出てくる可能性があります。
それを予見するということではなく、例えば、外需と内需でどちらの生産増で変化しているのかという辺りの情報を入れておいていただけると、言ってみれば、今後の国内、もしくは国際経済の変化に伴ってどういう影響が想定できるのかを議論するためにも有用な情報になるのではないかと思います。
その意味では、逆に言いますと、先ほど途上国の原単位と日本の原単位を置き換えると、このぐらいの削減ポテンシャルとおっしゃられた部分も、日本からの輸出製品によって大体このぐらい削減されているという推定ができるのであるならば、そういう見せ方をされた方がより日本の間接的な貢献の絵姿が見えるのかなと思いまして、ちょっと手間はかかりますが、そういうものも評価対象に加えられたらどうかという1つのご提案です。以上です。
山田新日本製鐵(株)環境部長(日本鉄鋼連盟)
私から2点、ご説明したいと思います。まず、今後の省エネにつきましては、これは生産前提を変えないというか、同じ前提のときにどの程度の削減、ポテンシャルがあるのかという目で見ておりますので、生産量を特に増やして見ているわけではありません。
それから、内外需等の比率でありますとか、輸出による削減効果といった部分についてはご指摘のとおりだと思いますので、ちょっとどの辺までできるか分かりませんが、工夫してできるだけ対応したいと思います。
中野住友金属工業(株)専任部長(環境・エネルギー)(日本鉄鋼連盟)
エネルギーとCO2ということで、電力の係数が一番効くのですが、それを除いて考えますと燃料構成しかないということになります。
先ほど委員からもご指摘がありましたように、例えばカーボンフリーのバイオですとか、そういうものに対応すれば確かに良くはなります。そういうチョイスがあるということも分かっております。今のところ、非常にしんどいという感じです。
実は、日本ではそれほどやっておりませんが、29ページにあるworldsteelでCO2ブレークスルーをやっておりますが、この中で、特に北米やオーストラリア、カナダなどではいわゆる「木」とか、そういうものを含んだ試験も本気になってやっております。それぞれの国ではやはりそういう資源が豊富でありまして、当然ながらブラジルは木炭を使っております。
正直申しまして、今のところ、経済的にも、物量的にも非常にしんどいのですが、確かに勉強する対象であるとは思っております。そういうことを進めていかなければいけないのですが、現実として、おそらくもうエネルギーをとにかく下げていくということがダイレクトにCO2を下げることに、1対1に結びつくことしか当面のところはないと考えております。以上です。
佐久間座長
よろしいでしょうか。それでは、先ほどから出ておりました質問に関連して、今日は経産省から多くの方が出られておりますので、ちょっとお話をお伺いしたいと思います。
最初は、プラスチックに関して、リサイクル推進課長の横山さんです。
横山リサイクル推進課長
容器包装のリサイクル、特にプラスチックについて担当しておりますリサイクル推進課でございます。
今日は資料の16、17ページで廃プラスチックの有効活用、特にケミカルに回ってこないというご指摘について、ご説明させていただきたいと思います。
その背景と言いますか、最初に、この容器包装リサイクル法を制定した平成11年当時の産構審で議論がございまして、どういったリサイクル手法が適切であるかという中で、そのマテリアルの手法というのは、炭素分を再商品の中に閉じ込める、循環性が高いということで、プラスチックの原材料とするような手法を優先して取り扱うべきだという指摘がなされまして、それに基づいて優先的な取扱いを続けているということでございます。
ただ、ここにもご指摘がありますように、特に黄色の(1)でCO2削減効果がマテリアルだと逆に低いのだということ。これはいろいろなLCA分析などで比較できないのではないかという指摘もございますけれども、先ほど申し上げたような循環利用ということが本当に上手く行われれば、もちろんそのCO2の削減効果というもののあるはずであります。
現状の技術と言いますか、制度を前提とすると、そのLCA分析の前提でも、例えば、マテリアルの製品も1回使ったら、そのオリジナルのシステムと同様に焼却処分にするという前提を置いておりまして、これは先ほど言ったその循環利用ということがまだ上手く盛り込まれていない段階にあったわけです。
ただ、それは将来的には改善されていく、現実的にも改善されていく、あるいはその残渣のところの指摘もございますが、これも分別の技術、あるいはそもそもPPとPEをうまくABSなどと分けてもらうということが進めば、この残渣を減らすということも可能です。
あるいは製造的に、例えばこの残渣の部分をケミカルに回すというようなことができれば、ここの部分もマテリアルの本来持っている性格ではない部分もかなりあるのではないかということで、そのCO2削減効果が本当にマテリアルは低いのかということについては、環境省も今年の8月にレポートを出しておりますが、更に精査をしていく必要があるだろうということでございます。
それが1点目でございまして、2点目は、優先制度というものがあるからケミカルに回ってこないのだというご指摘。確かにそういう一面がかなりございますが、かたや20年度分の落札の際の非優先の方で、約3分の1はマテリアルが非優先の中でもとっているということがございます。
要するに、価格競争、入札の中でケミカルがとる分が競争の中でマテリアルに負けた結果の部分もあるということ。これはちょっと補足的な説明でございますが、あると思います。
3点目ですが、そうとは言え、特に最近言われているのは、マテリアルの手法で、そもそも再商品化義務を果たしていないということ。これは先ほどの品質の問題とも絡むのですが、特にそういった指摘が多くなされておりまして、これについては、容器包装リサイクル法の再商品化の根幹に関わる部分でございますので、再商品化ということがきちっとなされるような方策、これはなかなか一朝一夕には難しいところがございますが、それに取り組んでいきたい、これは環境省と共同して取り組んでいきたいという点がその再商品化義務の3点目でございます。
最後の4点目ですが、特に(2)のところで指摘されているように、自治体の中でまだまだ容器包装を分別していないところが半分、48%ぐらいの自治体がまだ容器包装を分別していません。分別せずに焼却に回しているというところでございます。せっかく制度があるにもかかわらず回していないというところがございますので、これも環境省と共同してやっていかなければいけないと思いますが、こちらの方は是非そういった制度の利用ということの促進をしていきたいと思います。
さらに、その容器包装以外のプラスチック部分も一般廃棄物の中にはかなり含まれておりまして、むしろ量的にはかなりの部分を占めているということがございます。
そういった容器包装のプラスチックとしてリサイクルを利用しているのは、全体のまだ8分の1とか、9分の1ぐらいの程度で、残りの部分でまだかなり焼却に回っているというところがございますので、そこの掘り起こしといいますか、リサイクルルートに乗せるということを、これも自治体としては分別コストがかかるとか、中間処理コストがかかるとかということがございます。
それから、その製品プランについては、容器包装と違ってリサイクル費用を負担するという仕組みができていないという問題もございます。
ただ、名古屋市などは、そういった部分も含めて自治体が負担するというような提案もこの特区構想で出してくるということも聞いておりまして、そういった動きも含めながら、とにかくパイを広げていくということに取り組んでいきたいと思っております。以上です。
佐久間座長
よろしいでしょうか。それから、もう1点、先ほどから随分大きなテーマのご意見が出ましたので、ポスト京都議定書に向けた取組で、本日は有馬大臣官房審議官がご出席でございますので、コメントをお願いしたいと思います。
有馬大臣官房審議官
ありがとうございます。吉岡委員、松橋委員からもお話がありました途上国、アメリカの参加が大前提ではないかということでございますが、これは我々も全く同じ考えでおります。
9月末に次期枠組みに関する日本政府の考え方を条約事務局に提出しておりますが、その中で我々が大原則として言っておりますのは、すべての主要排出国、これは米国も中国のような主要途上国も含めて参加するということをまず大きな原則として目指しております。
それから、鉄のような主要セクターにつきましては、特に途上国である中国、インドといった国に、今の段階で先進国のような総量排出削減目標というものを課するのは非常に難しいだろうけれども、「原単位目標」という形で義務を負ってもらうことはできるはずである。エコノミーワイドの原単位目標と鉄鋼を含む主要セクターにおける原単位目標をバインディングの目標として設定すべきであるという考え方を出しているところであります。
当然、中国のような途上国は、現在の京都議定書の下では何ら義務を負っておりませんので、彼らは京都議定書からちょっとでも動かすような話については激しく反発をしておりますし、アメリカについては、大統領選以降、アメリカの政策がどうなるかということを見極める必要があるわけです。
やはり京都で我々が学んだ一番大きな教訓というのは、非常に限られたプレーヤーで努力するのはいかに意味がないことかということだったと思いますので、これは我々の国際交渉の一番重要な方針として、今後とも追求していきたいと思っております。
その中で、セクター別アプローチというのは、非常に重要なコンポーネントであると考えておりますので、また、是非ご支援のほどお願いしたいと思っております。
佐久間座長
途上国やアメリカを実際に巻き込むのは、政治的に難しい作業だと思いますが、是非よろしくお願いしたいと思います。これをやらないと、一般の人にはグローバルな問題を本当に考えているようには見えないと思います。
有馬大臣官房審議官
そうですね。
佐久間座長
それでは、市川専務理事、お願いいたします。
市川専務理事(日本鉄鋼連盟)
せっかくの機会でございますし、また、先ほど次の枠組みの議論が1つ出ましたので。今月初旬ごろワシントンで世界の鉄鋼業界の集まりでございますWSA、前は「IISI」と言いましたが、その会議がございましたので、どのような議論に分かれているかということを申し上げたいと思います。
当然、金融危機の下での議論でございましたので、マーケットはどうなるかという議論は当然ありましたが、やはり議論の相当部分というのは温暖化問題に対する各国の取組、それから、各国政府の取組などに対する議論が非常に多かったわけでございます。
実は、このIISIでの議論の中でセクトラルアプローチについては、最初のころ、数年前は若干懐疑的な議論もあったわけでございますが、今年になりまして、そのような議論は一切なくて、どのような国、どのような立場の者であっても、セクトラルアプローチについては大変高く評価し、これで行くべきだということについてほぼワンボイスだったと考えております。
その中で日本政府のこれまでの貢献については、ハイランキングの方からも随分高く評価をされておりました。例えば、ゲストスピーカーでありましたIPCCのワーキンググループ3のco-chairmanだった方からも日本の政府が6年か、7年かけてセクトラルアプローチを世界に浸透させていったというような話もありました。
また、WBCSDのプレジデントの方からはセクター別アプローチは、今や温暖化問題において世界の国際会議でのマントラであると。どこへ行ってもこの議論は同じように繰り返されるということです。概念としても完全に定着してきたのではないかと思っております。以上です。
佐久間座長
ありがとうございました。他にご意見等ございますか。よろしいでしょうか。
本当に京都議定書というのは、日本の鉄鋼業にとって非常に厳しい束縛条件だと思いますが、その中で本当によくおやりになっていると思います。ただ、排出量が国内的には非常に大きいものですから、一般の方々からはまだそれなりの責任をということもありますので、また引き続き努力をお願いできればと思います。
それでは、時間にはやや早いですが、議論が尽きたということで、今後の予定についてお話しいたします。
各ワーキンググループを一通り開催いたしました後で、本ワーキンググループの親会議であります産構審地球環境小委員会・中環審自主行動計画フォローアップ専門委員会合同会議で本ワーキンググループの議論の報告を含め、審議を行います。
そして、自主行動計画の評価・検証制度以外を含む経済産業省及び環境省の対策について、産構審・中環審の合同会合で審議を行った上で、政府の地球温暖化対策推進本部、またはその幹事会に報告するという手順になっております。
つきましては、合同会議に報告するため、本日の議論の概要を作成することになりますが、その内容については、私にご一任いただくということでよろしいでしょうか。そのようにお願いできれば大変ありがたいと思います。
(異議のないことを確認)
本日の議事につきましては、事務局で議事録を作成し、委員の皆様にご確認をいただいた後、公表させていただくということにいたします。
なお、委員の皆様におかれましては、本日のご発言に追加すべきご意見・コメントなどがありましたら、11月4日火曜日までに書面にて事務局までお送りくださるようお願いいたします。
それでは、事務局から連絡事項等ございましたら、お願いいたします。
近藤環境経済室長
特にございません。
佐久間座長
それでは、予定時間より若干早いですが、本日の委員会はこれにて終了させていただきます。誠にありがとうございました。
 
 
最終更新日:2009年10月9日
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