経済産業省
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新流通産業研究会(個別企業プレゼンテーション)(第2回)-議事要旨

日時:平成18年12月14日(木)14:00~16:00
場所:経済産業省本館2階東3共用会議室

議題

個別企業プレゼンテーション

  • 株式会社高島屋
  • 株式会社三越

議事概要

株式会社高島屋からのプレゼンテーションに対して、メンバーより以下の質問・意見があった。

  • 欧米の百貨店に比べ、韓国、台湾、日本の百貨店はずいぶん頑張っているという側面がある。アジアは人口密度が高い、立地変動が少ない、大量交通機関が発達している、量販店の発達度合いが欧米と違うなどの、比較優位を保っていると思うが、今後5年から10年を展望する上で、百貨店の業界の位置づけをどう見ていくかについてのヒントはあるか。

    →今後も、百貨店という業態は、なくならないと思うが、大幅な成長発展も考えにくい。但し、店舗や企業の淘汰、あるいは救済型の再編は十分考えられる。やり方さえ間違えなければ、一定のポジションはキープしていけると考える。

  • ショッピングセンターでの百貨店とGMSとのコラボレーションは今後進むのか?

    →ショッピングセンターに百貨店が入店するケースは出てきているが、こうした事例が数多く成功していくかは慎重に見定める必要がある。

  • 関東と関西で顧客の比較をされるが、客単価の違いはあるか?

    →店舗によって客単価の違いはあるが、きれいに割り切れるものではない。顧客の感性、感覚すなわち「好み」が関東と関西で微妙に違う。

  • ポイントはいろいろ形態があり、収益を非常に左右していくのではないかと思うが、今後どのように考えているか?

    →ポイントはサービス競争であり、顧客の反応はシビア。但し、ポイントを増やすとコストに跳ね返るので、一定の限界はあり、費用対効果でみていかないといけない。ポイントの内容に変化があっても良いと思うが、現状のレベルは相当高いレベルまできたと思う。

  • 店舗面積は米国では平均3万m2。顧客の滞留時間は一人2時間位で、その間に回れる店舗で効率的な品揃えを考えると、5万m2という日本の店舗は大きすぎないか。

    →経営者で考え方は違うと思うが、立地によると思う。大都市の中心部にあり来客数も多いところであれば、大きすぎるほどではない。ただ、どんなに来店客数が多い良い立地でも、7万m2が一つの限界ではないだろうか。百貨店が中心にあり、百貨店にない専門店、レストラン、映画館といった他の業態と融合して楽しい街ができているかが非常に重要。百貨店だけ大きくても支持は取り付けられないが、一方で3万m2位では足りないと思う。

  • 百貨店は、大規模増床やリニューアル等、投資型のビジネスモデルだが、少子高齢化でどのくらいサスティナブルなものか?

    →百貨店が大幅に成長を続けるのは難しい。しかし、百貨店にも一定の役割があり、一つの建物の中でone stop shoppingができるし、一流のレストランも誘致しているので、百貨店に食事に来る顧客もいる。消費者が求めるニーズを掴んでいけば、一定のポジションをキープできる。

  • 提携しているカード会社とはブランド力は違うように思うが、カード機能を重視してのことか?

    →カード会社には専門のノウハウ等があり、当社が内部でシステムを完結するよりもコストが安く、良いモノとなる。

  • 百貨店の納入業者と量販店での納入業者は分かれていると聞いたことがあるが、「見積もり合わせ」のやり方は、納入業者の業界にインパクトを与えることになるのではないか。こうした入札形態は、リスクを取るやり方と思うが、社内でこうしたタイプと従来の事業者と緊密な関係の中でリスクを分担するタイプの取引形態が併存するのをどのように調整しているのか。どういう方向に今後向かうのか。

    →取引先の選定は、必要な商品を合理的なコストで提供してもらえるのか、という点で決めている。百貨店業界と取引がなかった方にも入ってきて欲しいし、取引先も変わっていくと見ている。百貨店と量販店の棲み分けがなくなるわけではないが、そのことを意識しない。現在、売上仕入のウエイトは高く、売上仕入を否定はしない。これは百貨店と卸の流通機構の中で長く育ててきたもの。百貨店は多品種小ロットで品揃えをしなければならない。これを全部買取仕入とか、米国型のメーカー直取引をしていくことは経済的に成り立たない。基本的な商品での売上仕入、専門能力のある販売員の仕入先からの派遣、返品は、商慣行の中で長い間培われた一つの合理的な考え方だと確信しているし、なくならないと思う。米国の百貨店業界でも日本の優れた問屋機構みたいなものがあれば、同じことを絶対やっている。それがないからできないだけ。ただ、メーカーや問屋に任せきりでいいことではない。売場管理の中でマーケティング活動ができる体制はとらなければいけない。この点が極めて重要な問題であることを、百貨店業界としても十分認識しなければならないが、だからと言って売上仕入が百貨店を悪くしているということではない。

  • 消費者に利益の按分を戻すということがあってもいいのではないか。

    →前述のポイント等も消費者への還元の一つと言えるが、大切なことは買い物だけでない楽しみをどう演出できるかという点であり、これがきちんとできることが、消費者に支持されていくことだと思う。常に新しいサービスの形を考えていかないと飽きられる。

  • 日本の商業は全般的に女性をターゲットにしすぎではないか。来年、団塊の世代で定年を迎える人は男性のほうが多いはずであり、男性の市場に振っていった方がいいのではないかと思うが、何か考えはおありか。

    →男性の市場は百貨店業界にとって益々大切なものとなっていく。男性にとって楽しい百貨店という意味では、伊勢丹本店メンズ館が成功例。今後、男性顧客を惹き付ける魅力ある売場作りは極めて重要な課題。

  • 百貨店は他業態に比べ、中心地に人が戻ってきて、環境的には安泰に思える。同じ百貨店業態で合併によるスケールメリットはどのくらい効果があるのか。

    →百貨店で合併が積極的に進むとは考えにくい。あるとしたら、救済型のグループ化がありえるが、将来のことだからわからない。「大きいことはよいことだ」という形のスケールメリット追求型の合併は起こりにくいのではないか。

  • 百貨店の場合、品揃え、サービスなどの面に強いタイプの経営能力を持っていると思う。ショッピングセンターは、百貨店に比べて、経営面での伸縮能力がさらに高い。5割以上がサービスであり、「コト」への対応がテナントの入れ替えでできる。物販も同様で、契約によりテナントの業績評価を年数回行い、リプレイスができるので、競争や市場の動向に合わせた最適の経営資源を導入できる。また、増築をした方が持続的効果も高く、駅前の大型店舗よりもモールの方が増築しやすい。デベロッパー機能も持てば、3割を超える収益が得られ、収益モデルも高い。なぜ、百貨店は、デベロッパーでもいいが、ショッピングセンターをやらないのか。商圏の大きさ、購買頻度、客層、店舗運営の違いから、テナントとしてのビジネスモデルのノウハウがないのではないか。国際的にもダウンタウンのデパートより郊外型のショッピングセンターのテナントとしてのデパートの方が成長率が高いのは自明。なぜ、日本では郊外へのショッピングセンターの成長力がないと考えるのか。

    →郊外に一定のニーズはあるが、そういうニーズが高まり、ショッピングセンターが誘致されて間違いなく発展するとは言い切れない。試行錯誤を行いながら、ビジネスになりうるのかを今後検証して行きたい。また、都心型の百貨店がショッピングセンター化してくる可能性も十分考える必要があると思う。


株式会社三越からのプレゼンテーションに対して、メンバーから以下の質問・意見があった。

  • 百貨店は他業態に比べ、中心地に人が戻ってきて、環境的には安泰に思える。同じ百貨店業態で合併によるスケールメリットはどのくらい効果があるのか。

    →百貨店は店舗毎の地域商売であり、日本全国で合併しても規模の利益は難しい。経営効率面で本社と本部が一つになるとか、財務などでの弱い部分を補強する合併はあると思う。

  • 三越がイメージする富裕層のイメージが掴みにくい。ヒルズ族などをターゲットとするときは違う接点の作り方があるのではないかと思うが、従来のお帳場客を重視して富裕層と言っているのか。

    →帳場客は高齢化で今後減るが、そういう人を増やしていきたい中で、今の現実的な富裕層又は新富裕層という人だけを相手にする、ということではないが、富裕層や新富裕層がどういうものを求めていて、どういう行動パターンをするのかを想定した上で、店づくりや商品、商売の提供をやっていく。

  • 地方都市で、ターミナル機能や行政の公共施設と一緒にコラボレーションして百貨店が出店する可能性についてどう考えるか?

    →百貨店を何もないところでやるには、土地、建物、人の雇用が必要。大型投資、高コストで労働集約型の産業であり、投資しても回収しにくい業態。そのような問題がなく、比較的小さな投資でコストも比較的低く抑えられるのであれば、一つのインフラとして、様々なコンテンツを提供できる百貨店が地域の役に立てるようなことができると思う。ケースバイケースで考えていくべき。

  • 高松のような再開発を今後も積極的に展開していこうとしているのか。

    →高松・丸亀町の例が他の地域でもできないか考えている。地域、企業、行政が一体となって開発し、既存店にも立ち退いてもらっている。地方店を多く抱える百貨店は、地域と一体となった再開発に、今後も参画したいと考えている。

  • 百貨店の場合、品揃え、サービスなどの面に強いタイプの経営能力を持っていると思う。ショッピングセンターは、百貨店に比べて、経営面での伸縮能力がさらに高い。5割以上がサービスであり、「コト」への対応がテナントの入れ替えでできる。物販も同様で、契約によりテナントの業績評価を年数回行い、リプレイスができるので、競争や市場の動向に合わせた最適の経営資源を導入できる。また、増築をした方が持続的効果も高く、駅前の大型店舗よりもモールの方が増築しやすい。デベロッパー機能も持てば、3割を超える収益が得られ、収益モデルも高い。なぜ、百貨店はデベロッパーでもいいが、ショッピングセンターをやらないのか。ビジネスの可能性如何?

    →顧客に対するプレゼンスと強めるための試みで、中心市街地の店舗と一緒にやるのが前提。ショッピングセンターへの入店客に対して訴求力を強めれば、ある程度のビジネスとして確立できるのではないか。

  • 銀行代理店の規制は緩和されているが、金融・保険業の垣根とは、どんなイメージをしているのか。

    →金融の垣根は徐々に取り払われていると思うが、例えば、病院や弁護士を紹介してほしいと言われるが、まだ問題がある。

  • Future executiveをターゲットとしていることはどこの百貨店もやっていると思うが、本当に百貨店をスイッチするのか?知らない百貨店に行くと疲れる、という人も多いと思う。どういう形でウォレットシェアを取り込んでいくのか。

    →百貨店業態として、スイッチできるのかというと難しい。逆にスイッチさせないようにしている。コンテンツは他社にないものを広げて、スイッチの機会を広げていく。そうしたことで差別化していく。

以上

 
 

最終更新日:2008年8月15日
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