経済産業省
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地域における体験重視型の環境教育検討会-「まちエコキッズ」プロジェクト-(第1回)-議事要旨

日時:平成20年8月1日17:30~20:30
場所:東京グリーンパレス「ばら」

出席者

永里座長、飯島委員、稲葉委員、宇郷委員、川嶋委員、木俣委員、小林委員、下田委員、谷口委員、松井委員、宮沢委員、安威委員、吉沼委員

議事概要

  • 永里座長から挨拶。
  • 出席委員から一言ずつ自己紹介。

事務局からの資料説明

  • 経済産業省から、本研究会の趣旨、今後の進め方等について、資料に沿って説明。
  • 事務局から、環境教育に関する行政の取り組みについて、資料に沿って説明。

事例発表

  • 財団法人キープ協会常務理事川嶋委員より、環境NPOと企業との環境教育事例紹介と環境教育の考え方の整理についてご発表。
  • NPO法人アサザ基金代表理事飯島委員より、霞ヶ浦アサザプロジェクトの事例についてご発表。

意見交換

  • 感想だが、先程の川嶋様委員、飯島委員のお話には非常に驚いた。松戸には駅から700m程のところに江戸川があり、その流域には川の保全活動を行っている方々が多くいる。汚れた江戸川の水を東京都葛飾区の住民が飲んでいるということで、葛飾区から苦情が出たことがきっかけで、「坂川」という江戸川上流の水を浄化する施設が作られた。最初はその綺麗にした水を暗渠に流していたが、田中さんという方が、川の水というのは一度太陽に当てなければ駄目だということで、暗渠に流さず、「ふれあい松戸川」という人口の川が作られ、綺麗に整備された。上流では、NPOの方がコスモス畑を作ろうとしている。
     私も、「ふれあい松戸川」のような保全活動を知ったのは、数年程前である。飯島委員のお話にあったが、一生懸命やってくださっている皆様の活動のベクトルを結集するということ、また、それと同時に自己完結しない、という言葉が非常に記憶に残った。一旦何かを作ればそれでおしまい、色々なイベントをやればおしまいでは、一時の成果で終わってしまう。先程、川嶋委員がおっしゃった、聞く、見る、体験する、発見するという中で、見る、という点に関して、町会ではホームページを作っており、その中で江戸川のことを載せている。聞くだけではなくて、見れば少しは頭の中の片隅に覚えておいてくれるのではないかということで、これも自己完結しないように、毎月、新しいものを継続しながらやっていこうと思っている。
     今後、松戸も是非皆様のお力をお借りしたい。本日のお話には非常に驚いた。どうもありがとうございました。

  • 私は株式会社リーテムという、リサイクルの会社を経営している。東京と水戸に工場があり、実は今週の月曜日に天皇陛下が弊社の工場に視察にいらっしゃった。日本で一番のリサイクル工場をやっている、という自負はある。修学旅行生も毎年見学に来る。今年も山形の中学生が70名来て、35名ずつ2回に分けて1時間半くらい環境教育とリサイクルの話をした。また、早稲田大学の環境総合研究センターの客員研究員をやっているが、大学で環境人材の育成をするため、今年9月からプロジェクトを立ち上げている。約5年間で400名弱程の環境人材を育てるということで、大学で教育を施し、企業側として弊社で研修をするという計画を立てている。
     なぜ大学でやるのかというと、私どもは理工系なので、科学的、技術的な見地を持った人間を育てたいという思いがあるからである。環境エコロジストに負けてしまうのでは、世の中は変えられないということで、もう少し科学的な見地のある技術者を育てていきたい。そういうことを考えながら行っている。
     今日のお話を聞いている中で感じたことは、やはり環境問題は人間の問題であり、我々が環境負荷を起こして、色々な問題が起きてきている。その中で子どもたちは育っているが、その子どもたちの目の前にあるものを改善していく、自然を育てて維持していくという面での環境教育が非常に大事だろうと実感した。もうひとつ大事なことは、今後、環境負荷や、資源の枯渇という問題がさらに大きくなるとき、今の社会システムでは行き詰るだろうと思っている。その社会システムをどう変えていくかということが大事で、子どもたちに対しては、将来こういう国、世界にならなければいけないのだというビジョンを作り、理解をしてもらいながら、教育をしていくという見地も必要ではないかと思う。

  • 発表いただいたお二方にご質問させていただきたい。私どもが日頃から子どもたちと接していて、課題と感じていることは、例えば、私どもの塾でも田舎のほうに行って自然体験をさせたり、あるいは子どもたちが小学校でビオトープを作っているという話も聞いている。そういった自然の中での体験や、ビオトープの中での体験といったことが、冒頭に座長からお話があったように、例えば民生部門での温室効果ガス排出抑制、日常の行動にどのように結びついていくのか、あるいはどのように結びつけていこうとしていらっしゃるのか。私どもの塾でも自然体験の企画をやるが、その場で終わってしまうことが多い。それを日常の生活にどう組み込み、仕組み化させていくのかという課題を非常に感じている。この点について、ご意見をお聞かせいただきたいと思う。

     
  • 学校教育の一環としてお預かりしているので、こちらで一から十まで全てをやるわけではない。森の中で自然体験をしたから、家に帰ってやるべきことはスィッチをマメに消すことだとか、そのような復習をさせたりはしない。それは僕らではないところでも十分にやっていることだと思うし、僕らには別の役割があると思っている。既にお感じになっていらっしゃると思うが、森の中で良い自然体験をすれば、家に帰って環境配慮行動がすぐにできるようになる、という魔法のようなことはない。僕らはその素地を作っているというか、その大事な部分を担っているとは思っている。今言われている環境配慮行動というものが、例えばマイ箸を持つとか、マイバッグを持つとか、マメに電気を消すとか、それだけで解決できるレベルの問題ではないと思っているので、すぐに効果につながらないと言われればそうである。

  • 環境に関して学び、体験したことが、自分の生活文脈の中で位置づけられるか、それが勝負である。私たちの場合は色々な人々を霞ヶ浦に呼んで何かやるというのではない。視察はあるが、むしろ私たちの場合は、北九州にしろ、秋田しろ、自分たちで相手のフィールドに入り、一緒にその空間の読み直しをしていく。そして文脈を見つけ出していき、個々がバラバラにやられていたものを、その中に生きている人間が、生活文脈として読み直していく。そういう動機付けをするような学習をしている。

  • 今のお話を伺って、また、吉沼委員の小学生のお話を聞きながら、私どものところは中・高校生のため、少し違う形で出ていると感じた。環境学習、環境教育というのは、非常に幅が広いということがひとつ言えると思う。吉沼委員の最後の報告では、環境と直接関係のないような生徒の生き生きとした学習意欲に繋がるようなお話が出ており、まさにこれだということを感じた。中・高校生くらいになると、そこで意識化されたものは必ず発信力に繋がると考えており、表現するということを非常に重視している。体験したことで感じ取ったことを自分なりに考えて、考察して分析していくうちに、発表することになって文章化したり、あるいはそれなりの発表会等を通して出していくと、整理されたものが出てくる。今の発表の中にもあったように、体験をさせていくということが大事で、そこで何をしなさいと直接言わなくても、むしろそう言わないほうがいいと思う。私どもの学校でも、NPOの方、その他大学関係、専門家の方に入っていただき、色々と活動を展開している。そこで得たものは、蓄積された中で出ていく発進力である。これはすぐに役に立つというよりも、家庭も地域もそうだが、その子どもたちの将来の社会貢献に繋がると考えている。そう考えると、体験する場があるということは大変良いことだと思う。これは息の長い勝負だと思っている。

  • 今の意見と類似しているが、飯島委員や川嶋委員のお話を聞いて感じることは、教育というのは相当な時間がかかるということ。その場合に、両委員にお伺いしたいのは、皆様方が中心になって引っ張って来られて、今までの成功体験というのは大変偉大なものだと思うが、その次の世代をどのようにしてお育てになっているのか、それぞれの後継者に対する考え方、後継者の育成についてのお考えについてお聞かせいただけると、長期にわたる教育の展開に役立つと思う。

  • 私どもの環境学習は、人づくり、人材育成と言ってもいいが、具体的には、例えば、国土交通省の公共事業や、あるいは色々な企業と一緒に実施する事業と一体化している。その学習での成果は、事業にもそのまま反映されている。実際に学習している理念や目標としているもの、湖の中で事業として動いている様子も、子どもたちに感じ取ってもらう。スーパーに行ったら飯島さんが言っていたカッパのマークの野菜を売っているとか、日常生活に浸透させておいて、自分が学んでいることが本当に社会の中で動いていると実感させる場をつくっていく。場が人を育てるわけで、何も私の人格を通して人は育つわけではない。人格のシンボル化。これは20世紀の一番の誤りで、僕の上の世代のリーダーたちの誤りだと思う。そうではなくて、場を残していく。場をつくり上げていく。そこから色々なものが生まれてくる。そういう学習の展開をしていく。

  • 1985年から、キープ協会がこの事業を始めたときから、いわゆる指導者、大人相手の事業が一番最初だった。子どもたち向けのプログラムは、日本中で色々な団体がやっているため、僕らは指導者を養成するほうに集中してきた。環境省、文部科学省、農林水産省と一緒にやっている部分もあれば、独自でやっているものもあり、企業と一緒にやっているものもある。後継者の育成については深刻に考える必要はなく、若い人に新しいことをやってもらえればいい。キープ協会にも若いスタッフがいるが、優秀な人たちが多いため、全く心配していない。僕がこうして外に出ることが多く、年間200日以上キープ協会を空けられるのは、そういうスタッフがいるからだ。一年間実習生といって、無休でやっている人が毎年4~5人いる。今の一年間実習生のうち3人くらいが30代前半で、それまで働いていた職場を辞めてきた人たちだ。僕よりもはるかに強い意志を持って始めているのではないかと思う。後継者については悲観していない。

  • 先程の発表でつけ加えていだだくと、子どもたちが調査や体験をした後に、「どっちの霞ヶ浦ショー」という発表会をやる。これは、霞ヶ浦はこれから綺麗になるのか、ならないのかということを子どもたちが話し合うものだ。ディベートとは違って、自分の意見を言う場である。自分の体験したことや、調べたことによって霞ヶ浦が綺麗になるか、ならないかということを、4年生なりの意見で考える。1週間時間を与えて色々と調査をし、相手を負かすようにするということでやらせている。すると子どもたちは必死になる。綺麗にならないと思った生徒は、なぜ綺麗にならないのかを一生懸命調べる。綺麗になると言った子は、どうしてか、今までの体験を全部ひっくり返して、もう一度洗い直しして、聞き取り調査もする。そういった中で子どもたちが、結局最後は皆がどうしたいのかと聞くと、綺麗になると言った子も、ならないと言った子も、本当は綺麗にしたいと言うようになる。ではどうしたらいいのか、と教師側から振ると、子どもたちは、自分たちのできるところからやる、ということに気がつく。
     全然話は変わるが、子どもたちは1年生のときにアサガオを育てる。アサガオを一生懸命観察するのだが、6年生くらいになってアサガオの花を描かせてみると、実際にはきちんと描けない。つまりそのときは一生懸命やったつもりでも、あとから見るとできない。だからこれは同じだと。今できると思っても、後でできなくなっては困る。必ずそれは、ずっと続けていくものだということを、やはり最終的に教師側から子どもたちに伝えていく。これで終わっては駄目だと、大人も巻き込んでいくということである。それが生きた学びになっていくと思う。

  • とても素晴らしい発表だったと思うが、このような成功事例というのは、聞いていてとても心地よく、大変な努力をされて、やられていることもよく分かる。私がこういう場で成功事例を語れと言われれば、同じように話すだろう。しかし現実はなかなか厳しい。例えば川嶋委員がおっしゃった最後のことば尻をあえて捉えるとしたら、私どもは学部から大学院、博士課程まで大勢の環境教育専攻の学生たちを見ている。では、彼らの就職先はどうするのか。どこかのいい会社を辞めて来ても職業にならない。実際の社会の中で、環境教育の専門家が職業を得てまともな給料をもらうということは、まだとてもできない状況にある。そういう立場にいると、美しい話をするだけでは済ませられない。
     行政や私たちも一旦を担っているが、やはり職業として成り立つというところまで本気でやらなければならない。社会は悪い方向にはいくらでも変わる。結局は欲望をどうコントロールするかという問題なので、それは今後の議論になると思うが、もし私が話をする機会があれば、成功事例ではなく、あえて失敗事例を話したい。
     ただ一言だけ最後に付け加えたいのは、川嶋委員も他の方も同じことをおっしゃっていたが、人を脅かすようなことをやってはいけない。いつまでも危機感をあおるような環境教育はいけない。子どもたちが絶望してしまう。事実は事実として伝えなければいけないが、私が心がけているのは大人の自分はきちんと努力をしているということ。そういう事実に対して、それを解決するために努力する姿勢は見せなければいけない。ただ単に美しいことばかりを言っていても駄目なので、両面がいる。機会を与えていただけたら、続きの話をゆっくりさせていただきたい。

以上

文責:事務局

 
 
最終更新日:2008年8月29日
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