経済産業省
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地域における体験重視型の環境教育検討会-「まちエコキッズ」プロジェクト-(第3回)-議事要旨

日時:平成20年10月15日18:00~20:10
場所:東京グリーンパレス「ばら」

出席者

永里座長、飯島委員、川嶋委員、木俣委員、小林委員、田中委員、谷口委員、宮沢委員、吉沼委員、渡辺委員

議事概要

事例発表

谷口委員より、「シャープが目指す環境教育」について、資料1-1に基づきご発表。

発言要旨

  • シャープでは、NPO法人気象キャスターネットワークと連携して、年間500校以上の小学校で地球温暖化の環境教育を実施している。
  • リサイクルをテーマにした環境教育では実験道具を用い、体験的に教えている。
  • 学校ごとにIDを設け、授業後のQAをデータベース化したり、授業コンテンツのバージョン管理を徹底することで、授業の質を高めている。
  • アサザ基金様とは、生態系保護をテーマとして三鷹市にて協働で環境教育を実施した。
  • 今後も、気象ネットワークやアサザ基金、シャープとのスリートップの連携を強化したい。産・官・学が連携して、環境教育を進化させる仕組みを構築する。


田中委員より、「東京電力の環境・エネルギー教育支援活動」について、資料1-2に基づきご発表。

発言要旨

  • 東京電力では、地球温暖化やエネルギーをテーマとした環境・エネルギー講座を東京電力の社員が講師となり小・中学校を中心に年間2000回以上実施している。
  • また、小・中学校の教職員を対象とした研修会を開催し、地球温暖化の最新の知見を提供したり、先生方が授業ですぐに使える教材を提供している。
  • 自然教育としては、発電所の豊かな緑地を活用した自然観察会を開催するほか、教職員を対象として、身近な生き物の自然観察手法を学校教育の現場で活用いただくための研修を行っている。
  • さらに、「東京電力自然学校」を開校したり、自社OBや大学教育学部と連携した教育支援のボランティア組織を立ち上げたり、エネルギー事業者間で連携した共通・集約化のプログラムを検討するなど、新たなスキームによる取り組みを展開している。
  • 今後も教育の主体である先生方への支援を積極的に行い、次世代層の科学的な思考力や探求力の育成に貢献していきたい。

質疑応答

  • 谷口委員に質問させていただきたい。ものづくりの教育について依頼があったとのことだが、具体的にはどのような内容か。
  • 今年の10月から3月まで、パイロット的に10校程度実施しようと思っている。携帯電話を1コース30台程度用意し、それを子ども達に解体してもらう。何かを分解したいという思いはもともとあるが、分解した各部品がどのような役割を果たしているのかを考え、その役割をもたせるために、技術者がどれだけの苦労をしたかを考えさせる。また、できあがった携帯電話を技術のメンバーが新幹線に持ち込んで最終検査をする、というように、一つのものを作るのに非常に多くのメンバーが知恵と汗を出していることが分かる。そういった努力を積み重ねて、ものが作られていることを子ども達に話し、何かを感じてもらいたいと思っている。

今後の検討会の進め方について

経済産業省から、本検討会の今後の方向性・モデルプロジェクトの設置について説明。

  • 地球温暖化問題を国民的課題としていくためには、初等教育段階から、身近な地域における問題として、子ども達に気付かせていく必要がある。
  • こうした中、いくつかの地域では既にNPOや学校等がその地域固有の資源を活用した自然体験が行われている。
  • これらの地域における取組について、これを産業界とより強く結び付けることにより、全国各地域への横展開を図るとともに、産業界を巻き込んだ大きな環境教育のうねり、国民運動を興し、これを推進していくことが必要である。
  • 政府(経済産業省等)としても、本検討会の委員同士他の参加の下、必要な支援策を講じつつ、象徴的・具体的プロジェクトを立案・実施していきたい。

意見交換

  • 経済産業省の提案に対して、ご意見をお願いしたい。
  • 文部科学省の助成金の現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)で実施しているシンポジウム「We love Tamagawa」では、多摩川流域を繋ぐエコミュージアムの開催と、食育の実施を予定している。また、小金井市の近隣8人の市長によるサミットが学芸大学で開催されることになった。いわば環境サミットである。さらに、小金井市の環境基本条例に基づき設置された環境市民会議が中心となり、環境博覧会の開催を予定している。実は、この3つのイベントは意図的に時期を合わせ、合同で実施するという戦略をとった。芸術関係の建物を共同で使用し、地域に営業所を持つ企業にも展示してもらっている。また、大学のシンポジウムでも、地域のレストランや八百屋、弁当屋を使い、料理を出している。農工大、法政大学、東京経済大学といった近隣の大学が協力し合い、各々が地域の地場産業を興そうという方向に動いている。
     企業による寄付講義も始められた。今年の後期、また、来年度からも三年計画で寄付講義が行われる。学生が受講するだけではなく、市民の方たちも無料で参加できる形態になっており、非常に大きな動きになってきたと感じている。団塊世代が退職し、有力な人達が地域に戻り始めたので、これから変わってくるのではないかと大変楽しみにしている事例である。
     最後に、私は小金井市でこうした取組を行っているが、本検討会で何かチームができるのであればご一緒させていただきたい。
  • 私も産業界、あるいは大学に在籍する中で、参事官からご説明いただいたようなコラボレーションが欲しいと思いながら、そのような仕組みがないため、地域で色々と考案していた活動が、芽は出すけれども継続していかなかった。産業界から資金さえ得ればよいのではなく、人材も合わせた企業と地域のコラボレーションが重要だと思う。ご説明いただいた図では、経済産業省が横に書かれているが、本当は上から企業と地域の両方を見るという構図になるだろう。この仕組みには賛成である。是非前向きに具体的なプロジェクトをかかげて、事例を作っていただきたい。
  • 参事官にご説明いただいた図の一番左側に学校があり、まさに環境教育の中で学校の果たす役割は大きいと感じている。私どもの学校でも、地域の中で、地域に働きかけることによってやりたいことが現実にある。そのためには、地方自治体とどう繋がっていくのかということが非常に大きな、一つの視点になると思う。ご説明にあった企業、学校に加えて行政の在り方という中で、自分ができることを今後検討していきたい。
  • 参事官からご説明いただいた図は、いくつかの活動形態があると思う。地域ネットワークのようなコーディネーションの中で解決策を提案するという形態があり、それに賛同する企業も出るだろう。私の立場からは別の形態で、環境教育の事業を体系立てて展開していく層を目指したい。そういった層がこの上に被ってくる。
     また、先程の発表で、気象キャスターネットワーク、アサザ基金、シャープのスリートップと申し上げた。アサザ基金は、三鷹の小学校に行ってハグロトンボの死骸を見つけ、それをもとに話をした。要は地域の自然に対する知見があってはじめて、その事業の質が高くなる。そういった事業を求める層というものを、ベストプラクティスの切り口にする。また別の層もあるだろう。いくつかの層を設ければ、二層目には興味があって参加するなど、活動形態が拡がるだろう。多層的な仕組みにして頂きたいと思っている。
  • 私達自身、環境側の立場からものづくりの側に踏み込んでいく必要がある。企業が新しい価値を生み出していく、そういった取組そのものに直接踏み込んでいかなければならない。そういった見方や感性を持った子ども達を育てていかなければ、環境は環境、ものづくりはものづくり、という二項対立的な見方は乗り越えられないと思う。単純に乗り越えられるものではなく、一緒に価値を創造することが大事である。環境を学ぶ、あるいは地域の環境を学ぶことを通じて、地域で共有できる価値を見つけ出していく。地域にある資源、あるいは企業が持つ資源に対して、付加価値の連鎖を生み、展開していく。例えば、地域ブランドというものに対して、新しい価値を生み出し、新しい展開を生み出すということだ。
     先日、松井委員と個人的にお会いして色々と話をしたが、原宿の表参道、欅通りという一つの大きなブランドがある。ブランド力を持ったその地域に、環境という価値のブランドを付加価値として展開し、浸透させていく。それを通じてさらに明治神宮の緑地、その周辺の環境との繋がりが持てる。一つの環境の拡がりそのものをブランド化し、付加価値の連鎖を作っていくような戦略が必要だ。周辺小学校のネットワークを活かしながら展開していくような学習ができればと思う。生物多様性の非常に貧弱化した都心地域に、神宮をはじめとした主要な緑地からどうやって生物が拡がっていくか、その文脈づくりが必要だ。その文脈にその地域の資源を上手く重ね合わせていく、社会的な文脈づくりである。その上で、ブランドといった新しい層に対応していく。そういった学習プログラムが展開可能であれば、松井委員とプロジェクトを実施したい。
  • ご説明いただいた図は、多くの要素を横に並べている感じがする。先進事例をご発表いただいたが、頑張って実施している人がやめたらどうするのか。個人でも、企業でも、持続性という意味では日本の足元はかなり弱い。しかし、教育というのは永遠である。そういう意味では、持続可能なシステムを、例えば環境教育のシステムを、国としてどう作るのかということをお尋ねしたい。
     日本の行政は、思いつきで3~5年間補助金を配り、以降、少し変えて色々な事業を行う。そのような積み重ねで、結局何が残っているのか。確かに多くの子どもは自然体験することで感性を磨いていると思うが、大学で学生の話を聞くと、体験はした覚えがある程度で、輝いて飛んで歩いている大学生をあまり見かけない。少しばかりの知識・知恵・経験にしかなっていないのではないか。保育園から始めて大人まで、死ぬまで一気通貫での環境教育というものが必要なのではないかと思う。教育とはそういうものである。子どもは学校、大人になれば会社、高齢者まで含めて一気通貫で環境教育してもいいだろう。
     そういう意味では、例えば産業界と地域の間に、調整仲介役として、持続性を担保する機能を持った中間支援的な組織があるべきだろう。産業界からの人材、あるいは学校、そしてNPO等、行政側の人達が入り、この中間支援組織を運営していく。そこで情報を収集し、人材を育成し、多様なネットワークを作っていく。それぞれ利害があるため、利害を超えたパートナーシップ、意識をつくる。あるいは大学と連携させる。例えば、富士山の流域圏には川の問題や湖の問題があり、流域圏構想というものが重要である。例えば、富士山の周辺で多くの企業が地下水を汲み上げている。地下水1トン当たり1円とすれば、年間20億円以上のお金が入るだろう。しかし、誰もそういう意味での環境税、環境教育税のようなものを支払っている企業はない。富士山の森づくりにこれだけのお金をかければ、20年で約15,000ヘクタールの国有林がよみがえる。50年先には素晴らしい富士ができるだろう。こういった流域圏の中で、横断的、重層的に調整仲介役として、中間支援的な組織ができれば、一つのモデルケースにしながら全国各地域の特性に合わせて動くことによって、産業界を環境教育の世界に引き出し、その得意分野を発揮して学校と結び、さらに地域と結んでいく。そういうシステムができるのではないか。一つの仕組みづくりという点でのリーディングプロジェクトを、いくつかご支援で作って頂きたい。その代わりに一種のパートナーシップ契約、協定を作り、産業界なり、地域なり、行政なり、お互いがその中で何をしようとするかを決める。初期の活動費は国から支援をしていただきながら、実証実験的に進めることはできないか。イギリスでは、サッチャー首相とブレア首相の25年間で、ボランタリーセクターが50万団体に増えた。国がボランタリーセクターを支援することでNPOが根付いた。ある意味で中間支援組織が国を支え、草の根の力が充実することで、体験重視型という点の基本的な形ができあがっていると評価している。
     今回ぜひ、調整役となる中間支援的な組織を作っていただきたい。現に今もあると思うが、企業が中心だと思うし、多様な人材として学生を呼び込んだり、あるいは地域のNPOが元気の良いお年寄りや市民を呼び込む、といった形で厚みをつけていく仕組みが新たに生まれることを期待している。NPOから企業へのアプローチは、ネットワーク等が無ければ難しいとよく聞く。NPOから見れば企業は恐ろしく、現場が開かれているとは思えない。しかし、組織は小さくても頑張っているNPOは多い。そういう方々を上手にマッチングさせる意味も含め、中間支援的な組織を作っていただきたい。ご説明いただいた図は、この基本形をベースとした応用形で、10程度の形態があると思う。
  • 富士では環境税のようなものはとられていないが、高知県など、地方行政によっては、水源の環境整備という目的で森林環境税という名称等で一種の環境税を導入している自治体がある。従って、環境税も全く不可能ではないはずだ。また、NPOから見ると企業は恐ろしいというご意見があったが、そのような印象をもたれている可能性はある。企業の立場から申し上げるが、これは企業の方から歩み寄る必要があるだろう。
  • 本事業は、何年間で実施するのかを懸念している。地域を作るということは簡単な話ではない。何世代という年月を要することもある。さらに、この事例をいくつか積み上げた後、その先をどう進めるのかという全体像がこの図では描けていない。10~20年先の政策に繋げるためのステップとして、事例を作り上げていくべき。
     多層であったり、色々な例があるのは当然だと思う。地域、産業界、学校、NPOと全部が揃って行う事例が全てではない。ある地域では、一部だけが組んで始めようという話にもなり得る。そうすると、何を支援するかの基準がなくなるのではないか。連携的というのがキーワードとなるのか、多層になるのか、そのあたりの基準を検討しなければいけないと思う。
  • 今のお話に関連して、今度のシンポジウムでは、多摩川流域の全市町村、農林水産省、国土交通省等の後援をとっているが、名義だけでお金は出ていない。要するに名前だけの後援をとるということが、一つの戦略である。
     さて、環境教育推進法の来年度改正に向けて勉強会を始めたが、文部科学省は、環境教育は水準が低くカリキュラムを作ることができないため、環境科は創設できないと反対した。先程、多層的な構造と言われたが、私ども大学教員は、環境教育学という学問の体系を作る努力が必要である。また、本日の議論のように、企業や中央官庁からの予算、助成金等の支援をいただくのはありがたいが、いくつか問題がある。私はNPO活動もしているが、環境教育の側で売れる価値を持たないと、企業は買ってくれない。市民もお金を支払ってくださらない。助成ばかりを求めるのではなく、自分達の能力や内容を高めなければならない。一方、税金控除が受けられないという税制の問題は、本格的に変えなければならない。また、学校は企業を受け入れるが、NPOは受け入れにくい。市民自体も市民活動を恐れているところがある。そういった点は変えていかなければならない。
  • NPOと学校の関係ということで、私どもの学校の実情からお話ししたい。環境教育のスタートは、私どもの学校ではNPOの方々に手伝っていただいて始めたが、そこで分かったのは、NPOの方々は、資金的な困難を抱えていらっしゃるということだった。本日のお話をお聞きしながら、実感としてもそう思う。
  • 本日も多くのご意見をいただき、ありがとうございました。概ね、前向きなご意見が多かったと思う。本日ご説明した図の中で、経済産業省の位置、重層的な仕組み、中間的な支援組織、プラットフォームの問題も含めて、この仕組み自体を進化させていきたい。本日のご意見は全て重要なご意見であるため、事務局の方で精緻に分析し、次回以降の論点整理に繋げたい。
     具体的なプロジェクトの話は、既に何名かの委員の中で意見交換をしていただき、具体的な話にもなっているとお聞きしている。次回以降は、これをどういった形で進めるのか、先程の飯島委員、渡辺委員のお話にもあったように、協定を結んで一種の社会的コミットメントのような形で実証実験的にやっていくのか、いろいろなやり方があると思う。いくつかのプロジェクトを先行的に進めていただき、この検討会で発表していただくという機会も近々持ちたいと思うので、よろしくお願いします。
  • 時間のため本日の議事を終了する。尚、本日の議事録については、後日委員の皆様に案を送付し、修正を反映した最終版をその後配布させていただく。次回は、11月5日に開催を予定している。場所等詳細については、事務局より別途ご連絡申し上げる。本日はありがとうございました。

以上
文責:事務局

 
 
最終更新日:2008年11月4日
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