経済産業省
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地域における体験重視型の環境教育検討会-「まちエコキッズ」プロジェクト-(第4回)-議事要旨

日時:平成20年11月5日17:30~20:20
場所:JJK会館7階会議室

出席者

永里座長、稲葉委員、宇郷委員、川嶋委員、木俣委員、小林委員、下田委員、田中委員、谷口委員、松井委員、宮沢委員、安威委員、吉沼委員、渡辺委員

議事概要

1.事例発表

下田委員より、「具体的実践につながる環境教育を目指して」について、資料1-1に基づきご発表。

発言要旨
  • 栄光ゼミナールでは、環境教育への取組として、小学校低学年を対象とした無料エコ理科実験や常設の理科実験専門教室を実施している。
  • 最近の入試問題の傾向として、特に中学受験での環境関連の出題頻度は、理科・社会科の30%程度を占めることから、小学校での理論的な環境学習が求められている。
  • 入試問題でも、日常的に環境配慮行動をしていなければ解けない問題がある。栄光では、エコ日記や環境家計簿などを奨励し、日常の環境配慮行動に結びつけている。
  • 今後は、身近な自然体験から、経済・資源・環境問題を含む総合的な視野で、発達段階に応じ体系化された、継続性・一貫性を持ったカリキュラムの開発が課題と考える。
  • これらの課題を解決する内容を持つ、小中高一貫のカリキュラムの開発を提案したい。

宇郷委員より、「NEC田んぼ作りPjの紹介」について、資料1-2に基づきご発表。

発言要旨
  • NECでは従業員の環境教育を行うため、アサザ基金と協業して、田んぼ作りプロジェクトを実施している。
  • 自然との関わりの中で、人本来の感性を復活させ、環境への意識昂揚を促進することが、プロジェクトの狙いである。
  • 収穫したお米で日本酒を作り、販売している。日本酒を作ることで、一年間の流れ(物語り)のある企画となり、人が関わる「モノ作り」の原点、本質を実感できる。また、地場産業(酒造)と連携することで地域活性化を期待している。
  • 2004年度から、約5年間で約4950名が本プロジェクトに参加。
  • 参加者は、実際に自分達の活動が自然再生に結びつく体験をしたことで、環境への意識が変わり、身近な環境問題に興味を持つようになった。
  • 周辺の小学校や企業にも活動の輪が広がっている。

安威委員より、資料1-3に基づきご発表。

発言要旨
  • 学習研究社では、民間活力導入による地域自立型の実体験学習学校を提案し、都内の小学校で「科学実験教室」「環境自然教室」などの体系的なカリキュラムを企画・実施している。
  • 平成18年度には、実体験学習学校の実践に向けた検証を行うための基礎調査として、全国の教育委員会、保護者、企業を対象にアンケート調査を行い、実体験学習学校へのニーズや実施する上での課題を調べた。
  • 平成19年度は、実際に都内の小学校で教室を開催し、生徒からは、参加したことで科学実験や環境問題に関心を持つようになったという意見があった。
  • 今後の課題として、このような取組を実行するコーディネータ役の人材発掘・養成や、学校の授業と関連させたカリキュラムの作成、それらを持続的に運営するための財源の確保などが挙げられる。

2.今後の検討会の進め方とモデルプロジェクトの紹介

経済産業省から、本検討会の今後の方向性・モデルプロジェクトの設置について説明した後、表参道と松戸において検討されているプロジェクト案について発表があった。

  • 地域においては既に、NPOや学校等により、固有の資源を活用した環境教育の「先進的取組」が行われている。これを、「産業」(=資金・人材面等における「規模の経済」)とより強く結び付けることにより、全国各地域への横展開を図るとともに、産業界を巻き込んだ大きな環境教育のうねり(=国民運動)を興し、推進していくことが必要である。
  • 表参道は都心にありながら、明治神宮の緑豊かな自然に恵まれている。神宮周辺半径2km内の小中学校を対象に、地球環境と地域環境のつながりを理解する環境教育プログラムを提案したい。都市に暮らす人々が神宮の森の恩恵に気付き、森の恵みを活かした暮らし方やまちづくりを考えたい。
  • 松戸では、人口50万人近い松戸市駅前に、歴史的文化遺産や坂川、ふれあい松戸川があり、街にいながら環境学習や自然体験が可能。保育園廃校予定地を環境教育拠点として、河川道の景観改善事業等と組み合わせ、地元商店街、地域の専門家等と連携しながら、環境教育プログラムを検討したい。

3.意見交換

  • これまでのご発表に対して、ご意見をお願いしたい。その前に、本日ご欠席の吉沼委員よりコメントが届いているのでご紹介する。
    • 委員の皆様方はそれぞれ素晴らしい環境の取組を行っている。その力を結集して、環境教育のプログラムを考えていければと思う。
    • 私自身も、表参道プロジェクトと協働していきたい。表参道という都会の商店街と、茨城県の石岡地域、表参道から少し離れた田舎の町との対比で、良いコラボレーションが築けると思う。関係者の皆様方と話しながら、プログラム案を検討していきたい。
  • 表参道プロジェクトでは、「涼風の通り道」、「涼風をどう広げていくか」というキーワードがあり、「点が線に、面になっていく」という考え方もこの中に含まれるだろう。例えば、河川やビオトープネットワークを涼風の通り道に意図的に広げていくことで、さらに広がりが出る。今回は表参道エリアでのご提案だが、他の地域にも広げていく必要がある。先程のご提案に「全国各地域への横展開」とあったが、具体的な広報戦略や、体験重視型の環境教育のブランド形成などについて、何か戦略はあるのか。
     提案になるか分からないが、2010年に名古屋でCOP10が開催されるのはご存じのとおり。COP10との連携を図り、今回の取り組みを国内外に広く訴求したらどうか。
  • 下田委員のご発表で、「環境教育での学びのバランス」というお話しがあった。環境という切り口では、自然体験的な話に流れがちだが、もう少し幅広く考えた方がよい。大館のように、街をあげてリサイクルに取組んでいるところもある。自然体験をする街もあってよいが、技術的な切り口や社会科学的な切り口など、いくつか街のモデルを考えていくべきではないか。前回、多層的と申し上げたのはそういう意味もある。自然体験に限らず、総合的な視点を失わないでいただきたい。また、こちらからもご提案をする必要があると考えている。
  • 元禄時代に江戸川の人口が100万人を超えた時があり、漁場を銚子沖まで延ばしたことがある。銚子沖で獲れた魚を江戸まで持ってくるのに、利根川を遡り布佐へ、布佐から松戸まで陸路を馬車で行き、赤圦水門という江戸川に流れ着くところがあった。そこまで来る道が下総鮮魚(なま)街道という街道で、代々その船問屋をやっていた青木源内家という家があり、現在は13代目のご当主がいる。母屋は無いが、昔の塀が復元されて残っていたり、当時の幕府のもの、船につけた旗、鑑札などがあるので、いつかそこに鮮魚街道博物館のようなものを置き、そこから江戸川を下って新川を通って日本橋まで持っていったルートの紹介なども、環境学習の一環にしたい。
  • 先日、松戸の現場を見に行ったが、このような素晴らしい事例は各地域に数多くある。企業で組織的に実施されている環境教育もあるが、本当の意味での地域との連携や、持続可能な組織作りなど非常に地味な部分は表に出てこない。素晴らしい事例はあるが、体系化できていない。
     そういう意味で、経済産業省から提案があったようなプラットフォームを作りながら、色々な情報、具体的な問題意識、あるいは子ども達が自然に親しめる場作りに努力されている方々など、環境に関るものを全て集めて一つの運動にしていけたらよい。そこに専門家も入れて、学術的にも明確にする。行政は、資金的な援助により持続性を支援し、品質を上げていく。そして企業も…、といったように、自然再生、環境教育の再生が地域振興・経済振興につながる仕組みを、この検討会で議論していきたい。
     松戸プロジェクトについては、これから我々もノウハウを提供し、お互いに情報交換しながら高め合っていければと思う。どこかのモデル地区でリーディングプロジェクトを作り、この検討会の参加企業の方も含め、蓄積された専門性や経験値をぶつけて、それを支援することで、リーディングプロジェクトを練り上げていく。企業型、現場、学校型、行政関わり型、あるいはNPO主導型、商店振興型など、10パターン程度あると思うが、より多様な体験型の環境教育プログラムを作り、各々のパターンで分析・評価できれば、他の地区の参考事例にもなるだろう。
     松戸では、稲葉委員が自筆で松戸の歴史を書いた素晴らしい看板がある。非常にこの場所の雰囲気に合って、歴史や文化、全部が醸し出されている。一方で、国の事業は、形式的なことをやっているだけである。人材もうまく使われていない。人材が使われていないということは、情報が集まっていないということだ。素晴らしい事例は数多くあるから、それらの情報を全て収集し、課題を見つけ、より効率的な環境になるよう整備する。安全で効率的な実践型・体験型の環境教育の場の整備につながる。大人がそういう場を作り、あとはカリキュラム、教育の教材として充実を図っていく。検討会の参加企業の方などが参加されるとよい。栄光ゼミナールは松戸にあるのでしょうか。
  • 松戸にもある。こんなに素晴らしい環境がある事を知らなかったので、ぜひ前向きに検討したい。
  • 松戸のような形で、学校と現場がうまくつながればと思う。私は富士山をフィールドとしているが、富士山の湧水地は、300箇所以上あるにもかかわらず、ほとんど表に出ていない。子ども達に見せると非常に感動する。100箇所以上の水を子どもに飲ませているが、同じ富士山の水にもかかわらず、温度も味も違う。これも良い学習教材になる。
     そういう意味で、現場と教育システム、場所がうまく連携すれば、面白いネットワークができる。うまく役割分担を考えれば、生きた教材、現場が生まれてくると思うので、今後、皆様と議論していきたい。
  • 先程、「体系化」というご意見があったが、その中で評価手法も考えておいた方がよい。最終的には、国民の環境意識をどう変えるか、であり、環境教育による効果をどう「見える化」させるかについても検討した方がよい。
  • 表参道のプロジェクトでも、松戸のプロジェクトでも、環境教育の場を提供し、そのために地域や企業を含めた参加者がアイデアやリソースを出しながら協力し合って活動を組み立てていくというのは、まさに体系化である。また、この活動をすること自体が、地元の経済発展や、地域振興にどうつながるのかを考えることも必要だろう。商店街やその地域がその活動をすることで、どのような姿になりたいのか。長い目で見たときの目標やビジョンがあってこその活動になるだろう。松戸プロジェクトは、このような学習の場を地域で整備することが目的なのか、それとも、整備することで松戸ブランドのようなものを確立し、地域活性化に結びつけたいのか。長期的なビジョンがあれば教えて頂きたい。
  • 商店街の活性化といっても、自己完結して終わってしまう例がよくある。例えば、河川をきれいにして灯籠を流すイベントも年に数回行っているが、小イベントとして完結してしまう。我々も、それが結果的には商店街の活性化に結びつくことを期待している。イベントの時だけ来るのではなく、良い環境だからそこに住むということになれば、懐から活性化できる。
     長期的なビジョンという意味ではないが、環境を整備することでビジョンも作られていく。川から対岸の水本公園に吊り橋でもかければ、最寄り駅は松戸になり、経済効果もあるし、住民も楽しめる。
  • 本検討会の一つの大きな目標は、環境教育だと思う。これまでの委員の方々のお話から、体験学習を通じて何かを得る場は、色々な所で、素晴らしいものが用意されていると分かった。そのうえで、現場である学校との関わり方が一番大事と考え、本検討会に参加している。目的やきっかけがどうであれ、これ程数多くの教材があるのであれば、それを活用できるような考え方を、検討会で議論していければよいと思う。
     本日、栄光ゼミナール様や学研様のご発表から、まさに学校現場と直結するようなソフト面での課題を色々と伺った。私どもの学校でも環境教育をやっているため、受験で国語の問題を出す際に、環境という視点が入るように工夫しているが、多くの小中高で活用できるようなシステム作りが必要である。文部科学省のカリキュラムなのか、環境科なのか分からないが、多くの学校では、総合学習の中で環境教育をやっているが、総合学習も大きく変化しているため、どこに取り入れるかをシラバスの中で位置づけなければならない。既に検討が進められているという話も聞いているが、現場の意見や、このような会合で用意されているものを取り入れながら早く手を打つべきだと思っている。
  • 街はそれぞれ、異なる環境や条件、歴史をたどったうえで現状がある。その中から問題点や目指す点があるため、一般論では論じきれないが、教育という面では、学校側にどう働きかけるのか、という問題がある。表参道のプロジェクトでも、学校との関係は良好だが、こういったお話はどう持ちかければよいか頭を悩ましている。教育委員会にはどう説明するか、区長にはどう理解してもらうか、学校の現場にどう協力してもらうか検討しなければならない。
     街のビジョンというお話があったが、表参道は、商業と生活、住民が混在する街を目指している。住民の邪魔にならず、住民の方達も、何らかの形で地元の商業と関わりが持てるような街を作りたい。両方が混在した中で成立するような環境ができたらいいと思う。産業革命以降、経済効率を優先した都市づくりが中心だったが、これを変えることが、環境問題や環境教育の考え方に影響を与えると考えている。
  • 本日も大変積極的なご意見ありがとうございました。宇郷委員からの地域の目標を持つべきだという話、田中委員からの評価手法という話、また、小林委員からご指摘頂いたように、文部科学省とも連携を深めていきたいと思っているが、現場の教育機関との連携も非常に重要である。
     他方、本事業はまだ始まったばかりでもある。地域で素晴らしい環境教育プロジェクトが数多くあるにもかかわらず、まだ世の中には知られていない。一つの運動にはなっていない。従って、地球温暖化問題に対する国民の意識は低い。そういった発想から始まっているため、とにかく、モデルプロジェクト、リーディングプロジェクトを、あまり肩肘を張らずに、今あるリソースを使って、皆様のノウハウの中で作って頂きたい。渡辺委員が仰ったように、10事例程度の多様な形態があると思う。田中委員からご指摘頂いた広報戦略についても、産業界全般、経団連ベースで議論させて頂きながら、そういった運動にうねりを持たせていくことを目的としたい。
     また、次回以降は、地域の具体的なプロジェクトを中心にご議論頂ければと思う。
  • 時間のため本日の議事を終了する。尚、本日の議事録については、後日委員の皆様に案を送付し、修正を反映した最終版をその後配布させていただく。次回は、11月中に開催を予定しており、一度現場を見た上で議論を行いたいと考えている。場所等詳細については、事務局より別途ご連絡申し上げる。本日はありがとうございました。

文責:事務局

 
 
最終更新日:2008年11月20日
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