経済産業省
文字サイズ変更

低炭素電力供給システムに関する研究会新エネルギー大量導入に伴う系統安定化対策・コスト負担検討小委員会(第3回)-議事要旨

日時:平成20年11月28日(金)13:00~15:00
場所:経済産業省本館17階西2国際会議室

出席者

横山委員長、伊藤委員、小笠原委員、戒能委員、佐賀委員、辰巳委員、中村委員、廣江委員、藤井委員、松村委員、西山資エ庁電力・ガス事業部長、渡邊新エネ対策課長、川原RPS室長、後藤電ガ部政策課長、増田電力市場整備課長、吉野電力基盤整備課長、山口電力市場整備課課長補佐、江澤電力基盤整備課課長補佐

議題

新エネルギーの大量導入に伴って必要となるコスト負担の在り方について

議事概要

(1)資料3を戒能委員より説明

(2)資料4を佐賀委員より説明

(3)資料5を増田電力市場整備課長より説明

(4)自由討議(委員からの主な意見及びやりとりについては、以下のとおり。)

  • 資料5のPart3の部分(p20)に関して、対策コストと買取に関わる費用を合算するというのは、経済学的には意味の違う数値を合算しているのでその結果に違和感がある。買取コストは、余剰電力購入価格を変えてみれば判りやすいが、所得の移転でしかなく、対策コストと全く意味合いが違う。それぞれのシナリオの試算結果とその解釈に関しては、結果としては納得のいくものとなっているが、それだけをもってシナリオを評価してはいけないものである。
  • 資料5のP25の資料では、シナリオ1からシナリオ3となるにしたがって、電気事業者の負担が大きくなると読めるが、実際には何らかの形で需要家への転嫁が起きるはずであるので、負担の多寡に関わる解釈には留意してほしい。
  • 今回示された負担すべきコストの大きさは、あくまで現時点での対策に関わるアイディアに基づくものであり、このコストの大きさがより少ないコストで済むための新たなアイディアを引き起こす契機となっていくことが望ましい。例えば、技術的に家庭用のコジェネを蓄電池の代わりに使うことによりコスト低減できるのであれば、そのための料金を考える。いずれにしても、電気事業者サイドで今回示された施策以外のアイディアがもしあるのであれば開示していただきたいし、今後そのようなアイディアを喚起することもお願いしたい。
  • 1点目のご指摘に関して、今回対策コストと買取コストを合算したのは、料金に転嫁した場合の負担感を評価することを目的にしたもので、取りまとめの段階では委員指摘のように結果の解釈の時点で十分に留意したい。
  • 新しいアイディアに関しては、技術者としても関心のあるところなので継続的に検討していきたいと考えている。
  • 委員のご指摘に関して、電気事業者としては、現段階のアイディアに関しては、出し惜しみしているようなことはない。「所得のトランスファー」に関してだが、この場合、PVメーカの利益の部分は所得のトランスファーには該当しないのか。
  • PVメーカで、不当に高い利益率を設定し超過利潤がある場合には、所得のトランスファーに該当するケースも出てくるが、一般的にPVシステムの売買は自由競争市場であるので、コストに加えて高い利益率を設定しがたいことから、ほぼコストベースで価格設定をしているはずであるため、そのような場合には該当しないことになる。
  • 資料4の試算結果で、出力抑制機能追加のための費用に、機会損失費用が含まれるとされているが、この機会損失費用は追加費用のどのくらいの比率に該当するか。
  • 資料5で、資料4の試算結果を現在価値換算した費用として示している。出力抑制機能の追加費用全体(1,200~2,300億円)をP9に示し、機会損失費用(842億円)をP13の表の注記に示している。
  • 概算の試算であるが、カレンダ機能の追加費用が600億円、通信手段による機能の追加費用が2,400億円と試算している。
  • 機会損失費用の大きさのレベルと比較して、蓄電池の価格低減が十分に進めば、どこかの段階で出力抑制を行わなくとも済むポイントがあるはず。この種の検討では、一般的にPVシステム+蓄電池の方が、系統電力よりも高いという前提で考えがちであるが、蓄電池の価格低減が図られれば、両者の関係が逆転するケースも出てくるので、その辺りの検討も行っておく必要があるかも知れない。
  • 出力抑制に関しては、特異日を設定する場合と、通信手段による場合では機会損失の度合いが違うということはないか。一般的に考えれば、天候の状況に応じて出力抑制を行うかどうかを決められる通信手段による方法の方が、天候に関わらず出力抑制が行われる場合に比べて機会損失が少ないと考えられる可能性がある。両方式で機会損失費用の多寡と対策のために必要なコストとの比較ができるとよいのではないか。
  • 系統安定化策のいくつかのシナリオの中で、系統側に蓄電池を設置する方がコストが低く、運用上の制約も小さいという結果になっているが、実際にPVを設置するサイド、例えばハウスメーカなどでは、PV設置の付加価値を最大化することを目的にPV+蓄電池のシステムを需要家サイドに導入するケースもでてくるはずである。このような選択肢を取る需要家が出てきたときに、蓄電池の機能を低炭素化に資する方法とは全く異なる方法、例えば夜間に充電して昼間に放電するような方法、を取らないとは限らない。したがって、このような行動を取ることに対して、しっかりとしたガイドラインを作っておく必要性がある。
  • 夜間蓄電・昼間放電は、電気の転売になるので今の制度上も許されていないと思う。
  • 制度上許されていなくても技術的にはできてしまうことになる。一般消費者のような不特定多数の導入が見込まれる今回の蓄電池のようなケースではやはり対応が必要と考えられる。
  • PV出力抑制を行うための通信手段を用いる方法に関しては、個々の需要家レベルでその対策が施される度合いが異なると不公平感が生まれることとなるため、ある程度の信頼度が必要となる。現段階の技術で、信頼度を上げるとそのままコスト増に結びつくことになる。今後の技術のブレークスルーにより、高信頼度低コストの方策を見出すことが必要になる。
  • このように蓄電池が増加すると、当然のことながら負荷カーブや需要構造の変化が顕在化することになるので、そのために系統側で工夫しなければならないことが出てくることも想定される。
  • 出力抑制を行うための方策の中で、資料4のP2の表に示されているように「設定の改ざん」の可能性が指摘されている。このように事前にわかっていることに関しては、防止策を講じておくことが必要である。また、通信手段による出力抑制を行う場合には、電力会社サイドで保有している顧客管理システムの改修を行う必要性が生じる場合がでてくるので、追加費用にはこのような点も考慮しておく必要があるかも知れない。
  • 蓄電池が今後重要になってくることの中で、資料3の試算で原材料価格の高騰に関わるダミー変数が定義されているが、このダミー変数の影響が将来の原材料資源に関わる見通しの中で、蓄電池やPVの価格低減に大きなブレーキ効果を果たす可能性は考えられないか。そのような場合には、今回の試算結果にもある程度の幅をもって数値を見ておく必要がある。
  • 資料3のコスト低減の数値の変動幅は、概ね±10%程度(時間軸では±5年程度)見ておく必要がある。それに比較して、技術開発の進展による価格低減の変動は±30%程度となる。
  • ニッケル水素電池の価格が、2005年前後で資材価格の高騰に伴う影響を受け、価格低減が十分に図られない結果となっている。生産拠点の移動など量産効果以外にも価格低減を抑える要因はあり、また推計の出発点の価格水準が高いことも考えられるので、このあたりを改善すると他の電池と比較して高い水準である点は改善される可能性があるのではないか。また他の委員からの指摘にもあるが、蓄電池を需要家サイドに設置した場合に、いつ蓄電し、いつ放電するかは、買い取り制度の問題であって、技術的な問題として、蓄電池を需要家サイドに設置することが排除されるものではないと考える。
  • 蓄電池の大量導入という状況は、これまでの系統システムと全く異なる姿である。今回は需給バランスに注目した資料だが、委員の皆さんが指摘していることに加え、系統運用などにも影響を与えることも考慮しておく必要がある。
  • 出力抑制に関わる対策技術に関しては、資料4に示しているように、今後検討を継続していかなければならない点がいくつかある。また、今回の対策費用試算の前提条件の変更により、需要家サイドに蓄電池を設置するケースも、(第2回小委員会の試算と比較すると)ある程度メリットが出そうな結果となっている。また、停電時の電力供給、家庭内での直流電力供給などの将来的な付加価値も考えられる。このような状況で、シナリオ1、2、3は必ずしも明確に分かれるものではなく、実際はある程度混在した形での運用もあり、需要家側設置のメリットをもう少し考えシナリオに反映しておく必要があるかもしれない。
  • 今回の試算ではPVもしくは蓄電池のメンテナンスに関わる費用はどのように考慮されているのか。
  • 資料3及び5で示した蓄電池のメンテナンスコストに関しては、メンテナンスコストの多寡は需要家の使い方に大きく依存することになるため不確実な点が多く考慮に入れていない。文献資料などでは設備費用の5~10%程度という数字は見たことがある。
  • PVシステムの場合には、PVパネルは耐用年数(20年)の期間には、メンテナンスフリーと考えて良いが、周辺機器の中でもパワーコンディショナーが10年程度で交換必要になる。
  • 蓄電池も現状のシール型のものは基本的にメンテナンスフリーであり、風力発電所で使用されるようなケースに比較すると使用条件も厳しくないので、徐々に交換していくのであればメンテナンスのコストはそれほどかからないのではないか。
  • 各委員が指摘する、蓄電池の誤った利用形態に関わる対策に有効なものとして「スマートメータ」の普及があるのではないか。スマートメータにより、電気の利用状況がリアルタイムで把握できることになれば、柔軟な料金体系になり、多くの懸念事項が解決すると考えて良い。
  • 事業的に行う転売にはスマートメータは有効ではないのではないか。蓄電池の夜間充電、昼間放電の方法論に関しては、低炭素化につながらない方法として排除する仕組みを設ける必要がある。
  • スマートメータは、確かにいくつかの懸念事項を解決する手段として有効であるが、現時点ではまだコストが高いので、普及までには時間がかかる。また、再三指摘のある夜間電力が低料金であるのは、直接的には低炭素の件とは関係なく、供給設備の利用の観点から設定されているものである。また、PVの余剰電力買取も、現状では電気事業者の自主的な取組みであることをまず認識していいただきたい。
  • 資料5のP25で示されているように整理1に比較して整理2が、いずれのシナリオでもPPS負担増という結果になっているが、これは現状の制度の枠組みの中での試算であるので、実際には一般電気事業者も同じ水準のコストを負担しているし、最終的には需要家に負担していただくことになる点を確認していただきたい。ただし、電気以外のエネルギーをお使いの方がいるので、託送料金をすべて回収すれば問題が解決するとは限らない。また、本来は設置する方が電気料金を負担されるというのが基本的な考え方であり、エネルギー間の競争上も一番公平だと思う。それを特定することが難しいなら、グループとして考える方法もあるし、国の費用を投ずることで国民が等しく分担するということもあるべき。したがって、公的支援の要否ではなく、多寡が基本的なものの考え方ではないかと思う。
  • 託送料金の負担増は、最終的には需要家の負担増につながる。自由化対象需要家を相手にして、託送料金の負担増を需要家に納得性、透明性のある形で説明するのはなかなか難しい。したがって、公的負担や全需要家への負担の方法論なども検討していただきたい。
  • 資料5のP24の数値はあくまで、2030年の断面でのコスト負担増であるが、事業者としてはそこに至るプロセスのどの時点で、具体的に追加的な対策が施され、負担が増加するかを明らかにしていただければありがたい。
  • いかに安く社会的費用を抑えるかが重要である。委員が指摘されたように、系統対策に関わるアイディアの中では、自家発電設備などの分散電源を活用するアイディアなども、この場でなくても結構なので是非取り込んでいいただきたい。
  • 資料5のP24のコスト負担に関しては、やはり料金ベースではなく、負担の総額で論ずるべきではないか。欧州のように電力供給のほとんどを系統電力に依存する場合には、FITやRPSのような方法論に基づき、最終的に電力料金に上乗せする方法論が機能する。しかし、日本の場合には自家発自家消費の比率がそれなりに高いため、欧州の方法論がそのまま適用できない側面があると考えられる。

(5)閉会

  • 増田電力市場整備課長から、(資料6)に基づいて、第4回小委員会の日時説明(1月9日(金)10:00~)。
  • 以上をもって閉会。

以上
文責:事務局

 
 
最終更新日:2008年12月10日
経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511
Copyright Ministry of Economy, Trade and Industry. All Rights Reserved.