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産業構造審議会知的財産政策部会技術情報の保護等の在り方に関する小委員会(第9回)‐議事録
日時:平成21年2月6日(金曜日)
場所:経済産業省本館17F西7第1特別会議室
議事概要
- 土肥委員長
ちょうど定刻でございますので、産業構造審議会 知的財産政策部会 技術情報の保護等の在り方に関する小委員会第9回会合を開催いたします。本日は、お忙しい中をお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。
欠席委員の連絡
- 土肥委員長
まずは、議事に入ります前に、事務局から本日の御欠席等の御連絡をさせていただきます。
- 中原知的財産政策室長
本日は、残念ながら、上野委員、嶋委員、野坂委員、広崎委員から御欠席の御連絡をちょうだいしております。なお、嶋委員の代理として、新日本製鐡株式会社知的財産部知的財産法規グループリーダーの大江様に御出席をいただいております。また、広崎委員の代理として、日本経済団体連合会産業第二本部開発グループ副長・吉村様に御出席をいただいております。
- 土肥委員長
ありがとうございました。
配布資料確認
- 土肥委員長
では、続きまして、事務局から配布資料の確認をさせていただきます。
- 中原知的財産政策室長
本日の配布資料でございますが、資料一覧にございますとおり、資料1から資料5まででございます。不足などがございましたらお申し出をいただければと思いますが、いかがでございましょうか。
- 土肥委員長
ありがとうございました。
議 事
パブリックコメント結果、報告書(案)について
- 土肥委員長
それでは、早速ですけれども議事に入りたいと存じます。本日の議題は、パブリックコメントの結果について及び営業秘密に係る刑事的措置の見直しの方向性についてでございます。事務局から、資料3に基づきましてパブリックコメントの結果、資料4に基づきまして営業秘密に係る刑事的措置の見直しの方向性について説明をいただきたいと存じます。それでは、お願いいたします。
- 中原知的財産政策室長
それでは、資料3、資料4につきまして御説明をさせていただきます。まず、昨年の12月27日の土曜日から、今年に入りまして1月30日の金曜日まで1カ月強、パブリックコメントの期間を設けさせていただきました。お寄せいただいた御意見の件数は22件でございまして、14団体、2企業、6個人というふうになってございます。それでは、次に、主な御意見の内容を御説明させていただきます。まず、全般に関する御意見でございますが、最初に、近年、企業が保有する技術やノウハウなどの営業秘密の確実な保護が従来にも増して重要となっており、企業もセキュリティ技術の導入など懸命な取り組みを進めているが、企業の自助努力だけで営業秘密を保護することは非常に困難である。また、こうした我が国の法制が諸外国と比較して劣後していることが、グローバルな協業・連携を拒む要因となっているので、可能な限り早期に制度改正をされたいという御意見。それから、報告書(案)に示された課題というものを現行の営業秘密侵害罪は含んでおりまして、これを看過することは我が国の企業の停滞を招き、国際競争力の低下につながりかねないということで、可及的速やかに予防効果を含めて早期に実効が上がることを期待するといったような意見等々、こうした全体の方向感についてはおおむね御賛同をいただいたのかなというふうに思っております。私どもの御意見に対する考え方としましても、こうした営業秘密の保護強化を図ることによりまして、いわゆるオープンイノベーションが促進される制度的な基盤を確保するということで、産業界や法曹関係者を中心に多くの方から強い賛成の御意見をいただきましたので、今後とも、さらなるこうしたものの普及・広報に努めると同時に、こうした保護の強化の制度改正に取り組んでまいりたいということでございます。その次に、全般にわたる事項の立法事実の中で、改正法によりこれまでの法体系ではとらえられなかったいかなる行為を処罰することができるのかといった点につきまして、既に存在する現行法の犯罪類型との関係性を整理・明確化してほしいという御意見ですとか、どういう事件が発生して今回の立法に至ったのかという立法事実の検証を行い、改正の必要性を慎重に検討してほしいといったような御意見がございました。こうした御意見に対する考え方でございますけれども、そもそも今般こうした改正を提案させていただきました背景としましては、IT化ですとかグローバル化、あるいはアジア諸国の技術的な台頭などによりまして、営業秘密侵害罪を創設した平成15年以降、現行法の営業秘密侵害罪では捕捉することができないような流出事例が多数発生しているということでございます。報告書(案)に掲げましたのはその中での代表的なものにすぎませんが、現行法の営業秘密侵害罪におきましては、構成要件上、「不正の競争の目的」というものが目的要件と要求されている上に、原則として営業秘密の使用・開示まで行うことが必要とされておりますことから、目的要件が充足できなかったり、あるいは使用・開示の立証が困難であったというような理由によりまして、営業秘密侵害罪では立件することができなかったと考えられる事件が発生しておるところでございます。また、当委員会でもこうした事例を御紹介させていただきましたときに、委員の方々から、他人事ではないという旨の御指摘もいただいたわけでございますけれども、こうした事件も氷山の一角にすぎず、外部では明らかになっていない流出事例が他にも多数発生しているという指摘が各方面からなされておりますことから、今般、このような改正を提案したということでございます。その他、こうした法改正はよろしいのですが、さらにそれを実効的なものとするために、企業において営業秘密の管理をしっかり行うということの重要性を認識し、その指導、普及・啓発に努めてほしいという御意見もございました。本小委員会におきましても、まさに同様の観点から、こうした周知徹底を図ってまいりたいというふうに考えております。次に、目的要件の在り方に関する意見ですけれども、「不正の競争の目的」から図利加害目的というものに差しかえることにつきましては、全体として賛成の御意見を多くいただいたところですが、他方、図利加害目的ということに直すことにつきまして、不正競争防止法目的との整合性について疑問を呈する御意見もいただいたところでございます。ただ、この点につきましては、当審議会でも議論があったことかと存じますけれども、仮に競業目的が存在しないとしましても、図利加害目的を持つ者によって営業秘密が保有者である事業者の管理のコントロールの外に出てしまいました場合には、原状回復を図るということは困難でございまして、営業秘密を取得したその者ですとか、その者から開示を受けた者が営業秘密を公知化したり、あるいは競業企業に開示したりすることが容易になってしまうわけでございまして、このように特定あるいは不特定の競業企業が営業秘密を利用可能な状況が生じてしまいますと、被害に遭いました事業者としましては、競争上の優位性の源泉あるいはその基礎を失うことになりますので、事業活動に深刻な影響というものを及ぼすことになりかねないわけでございます。したがいまして、図利加害目的をもって保有者である事業者の管理下にある営業秘密を侵害する行為は、まさに不正競争防止法の保護法益である公正な競争秩序というものを阻害する行為であるということができるものと考えられますし、現に現行法の民事規定におきましても、といいますか不正競争の定義のところにおきましても、図利加害目的が要件として規定されているところでございます。不正競争防止法の2条1項7号では、図利加害目的と規定されており、営業秘密についてはそこからスタートしているということでございます。その次に、明確性についての議論でございます。このように「不正の競争の目的」から図利加害目的に差しかえることについては、賛成の御意見を多くちょうだいしたところでございますけれども、処罰対象範囲の拡大につながる目的要件の差しかえについては慎重に検討すべきであるという御意見ですとか、どのような場合に図利加害目的が認定されるかが明確ではないのではないかとしまして、従業者などの日常の活動が萎縮してしまう可能性を懸念する御意見もちょうだいしたところでございます。この点につきまして、図利加害目的と申しますのは、公序良俗あるいは信義則に反する形で自己もしくは特定の第三者が営業秘密を使用することによって財産上不正の利益を得る目的、または自己もしくは第三者が不特定の第三者に営業秘密を開示することによって保有者に損害を加えるという、「保有者に損害を加える目的」というものというふうに解されまして、営業秘密を使用または開示することが企業の不正をただすための内部告発ですとか、あるいは労働者の正当な権利保護といいました正当な利益の追求のために行うやむを得ない場合には、これは「不正の利益を得る目的」には当たらず、また、そのような使用または開示によりまして保有者に損失が生じるといたしましても、それは本来保有者が受忍すべきものである以上、「保有者に損害を加える目的」というものにも当たらないものというふうに考えております。また、過失によりまして営業秘密を流出させてしまった場合や、営業秘密の保有者たる企業自身の利益を保護することを目的としていた場合におきましても、当然にその行為自体は違法であるわけですが、図利加害目的には該当しないというふうに考えられます。もっとも、過失による場合は、改めて申し上げるまでもなく営業秘密侵害罪は故意犯ですから、対象にはならないということかと存じます。したがいまして、処罰対象となる行為態様の限定に加えまして、図利加害目的という処罰対象の限定によりまして処罰対象範囲が不当に拡張されるということはなく、従業者などの皆様の日常の活動というものが萎縮するということはないのではないかというふうに考えてございます。次に、その他としまして「外国政府を利する目的」というものにつきまして、これについての加重要件というものを設けるべきではないかという御指摘もいただいたところでございます。確かにこの点につきまして、私どもも、本小委員会におきましてそうした問題提起をさせていただいたことがございます。しかしながら、「外国政府を利する目的」も基本的には図利加害目的の一類型というふうに考えられまして、その法定刑は懲役10年、罰金1,000万以下ということでありますところ、それで抑止力としては十分ではないかという意見も強くございまして、刑事罰の謙抑性などにもかんがみまして、要件を加重することについては慎重な検討が必要であるということで整理をさせていただいた次第でございます。3番目に、不正な取得・領得を刑事罰の対象とすることに関してでございますけれども、この点につきましては、基本的に、こうした保有者による営業秘密の秘密管理体制を侵害して営業秘密を取得する行為の当罰性を従来より高くするということについては、産業界を中心に強い賛成意見が多数寄せられたということだと存じます。その一方で、その処罰対象範囲を明確にすることで、通常の企業活動ですとか、あるいは労働者の転職活動などが萎縮することがないように配慮をしてほしいという御意見もいただいたところでございます。この点につきましては、もちろん、まずもって確認をすべきところでございますけれども、企業内のルールに従って営業秘密を自宅に持ち帰るといったような場合につきまして、例えば、企業によって許可された営業秘密が記載された書類やUSBメモリーを持ち帰ること、あるいはコピーをするということは、そもそも営業秘密の管理に係る任務に背いてということにも当たりませんし、また図利加害目的の要件も満たしませんことから、構成要件上、営業秘密侵害罪の構成要件に該当しないということは明確であるものと考えられます。それから、労働者の転職活動につきましても、構成要件の上におきましては、営業秘密の管理に係る任務に背いた媒体などの横領ですとか、あるいはその記録などの複製の作成といった限定された行為を介さず、技能や知識として労働者に身についたものを使用・開示する行為については、領得罪や使用・開示罪の対象とはしないということが明確でありますことから、同様に労働者の転職活動ですとか企業などにおきまして不当な萎縮効果が生じることはないというふうに考えております。その上で、いただいた御懸念をより一層明確に解消するために、広報活動や営業秘密管理指針等を通じた具体的事例の周知を図ってまいりたいというふうに考えております。次に、「第三者等による不正な取得について」でございますが、これにつきましては、産業界を中心に多くの賛成の御意見をいただき、おおむね御理解をいただいたというふうに考えております。次に、「管理任務を負う者による領得について」でございます。この点につきましては、産業界を中心に強い賛成の意見が寄せられた一方で、単に頭の中に入っているだけの営業秘密を転職先で使用する行為についてまでも抑止することがないよう配慮してほしいという旨の御意見もいただきました。この点につきましては、先ほど少し申し上げましたが、通常の企業活動ですとか、あるいは労働者の転職活動などが萎縮することがないように、媒体を介さずに頭で記憶したような行為については刑事罰の対象とはならないのだということを明確にするため、報告書(案)におきましても、領得の方法を、営業秘密が記録などされた記録媒体等の領得ですとか、あるいは記録媒体等に記録などされた営業秘密の記録などの複製の作成ですとか、あるいは記録媒体等に記録された営業秘密の記録等の消去義務違反といった3類型に限定させていただいたところでありまして、こうした退職者の転職の自由などにも十分に配慮をさせていただいた構成要件だというふうに考えているところでございます。不正使用・不正開示罪について、これまでどおり別個の刑事罰の対象とすることにつきましても、多くの賛成意見をいただき、おおむね御理解をいただいたものというふうに考えております。全般にわたるその他の事項等につきまして、目的要件以外の実体法の構成要件の見直しについては、その他にもさまざまな御意見をいただいたところでございます。有体物についての概念である領得ということを用いることは必ずしも妥当ではないのではないかという意見、あるいは民事においては、営業秘密を保有者から示された者による領得が不正競争であるとはされておらず、領得を刑事罰の対象にするということは、民事責任のないところに刑事責任を問うということになるのではないかという御意見。あるいは図利加害目的をもって営業秘密をインターネットサーバーに送信し、これを公開する行為というものは、刑事罰の対象として挙げられている3つの領得類型に該当しないので、これを適用行為として追加してほしいという御意見、あるいは営業秘密の回復困難性ということにかんがみますと、営業秘密侵害行為の未遂や共謀というものは、それ自体で侵害行為があった場合と同程度の脅威となりますことから、米国と同様に、営業秘密侵害罪の未遂や共謀についても刑事罰の対象とすべきであり、その場合には、営業秘密が共謀者が考えていたとおりの財産的価値を実際に有していたかどうかを問わないものとすべきであるという御意見ですとか、あるいは独立教唆罪を設けるべきであるというような御意見をいただいたところでございます。この点につきまして、まず最初の無体物である情報について領得という概念を用いることについての御指摘につきましては、確かに刑法などにおいて用いられております領得は、基本的に有体物を対象としている概念と考えられますものの、無体物である情報に関して営業秘密の管理に係る任務に背きまして、営業秘密につき権限がないのに、保有者でなければできないような利用・処分というものをする意思を実現する行為について、新たに別個の概念を創出するよりも、刑法等との領得概念との類似性に照らせば、これを領得と表現しても差し支えないものというふうに考えられるところでございます。次に、民事の規定につきまして、領得というのは民事責任がないではないかという御指摘でございますけれども、現在の不正競争防止法は、事業者間の公正な競争の確保のため、不正競争として定義された行為を防止するというものでございまして、最終的にとめたいものが不正競争であります。不正競争に至る前段階の行為も当然に法の射程に入れておりまして、そうした前段階の行為は営業上の利益を侵害されるおそれが認められるとして、差止請求の対象になるというふうに考えられるわけでございます。従業者などによります営業秘密の領得といいますもの、しかも図利加害目的による領得といいますのは、不正な使用・開示の前段階の行為として差止請求の対象というふうになり得ますことから、提案させていただいた改正案というものにつきましては、民事上違法でない行為を別に刑事罰の対象としているということではないというふうに考えております。また、次に、複製の作成等の領得を介さずに不正な使用・開示をする行為も領得の一類型として追加すべきではないかという御意見もちょうだいしたところでございますけれども、媒体を介さない領得といったものまで使用・開示と別個に規定しますことは、領得という概念を不明確なものにしてしまいかねず、構成要件の明確性の観点から望ましくないと考えられること。したがいまして、従業者等がやる場合には、先ほど御説明しましたように、領得という概念のほか、行為類型を縛るというふうにしておるわけでございます。なお、こうした指摘につきまして、多くの場合、先ほどの指摘などインターネットサーバーに直接送信してしまう行為というのは、現職の役員とか従業員によって行われるものというふうに考えられますことから、こうした在職者による行為におきましては、既に現行の不正競争防止法において処罰対象とするということが可能であるというふうにも考えられますことから、今回の改正においては、原案どおりとさせていただいてはどうかというふうに考えてございます。次に、独立教唆罪を設けるべきではないかという点につきましては、刑法の総則の共犯規定に従って、教唆犯が成立する範囲で事態に対処するということで有効な抑止というふうになり得るものではないかというふうに考えてございます。4番に刑事訴訟手続の在り方についてでございますけれども、これにつきましても多くの御意見をいただきました。おおむね手続法の整備の必要性について言及していることを評価するという肯定的なものであり、スピード感について、最大限のスピードで検討を進めてほしいとする御意見も数多くいただきました。他方、被告人等の権利を制約することがないように、刑事訴訟法との関係を整理しながら慎重に検討を行ってほしいという御意見も複数いただいたところでございます。今後、それらの御意見を踏まえまして、法務省と共同しまして可及的速やかに具体的な成案を得るように努力してまいりたいと考えているところでございます。刑事手続についてのその他の御意見につきましては、漸次的にでも改正を進めてほしい旨の御意見や、予測可能性が担保されるものにすべきであるという御意見、あるいはこれを超えて、ADR等の紛争解決処理サービスの充実強化を図るべきといったような御意見もさまざま、ほかにもいただいているところでございますが、こうした御指摘を踏まえつつ、法務省と共同しまして可及的速やかに具体的な成案を得るように努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。パブリックコメントの説明につきましては以上でございます。したがいまして、資料4のパブリックコメントの記載ぶり等々につきましては、パブリックコメントの結果を踏まえた結果といたしましては、もう少しタイポなどがあればまた別ですけれども、特段、12月に皆様に御了承をいただいた限度でよろしいのではないかというふうに考えているところでございます。
- 土肥委員長
どうもありがとうございました。
日本労働組合総連合会からの意見
- 土肥委員長
それでは、続きまして、本委員会の青木委員から、資料5、日本労働組合総連合会提出資料について御発言がございます。それでは、青木委員よろしくお願いします。
- 青木委員
連合本部の青木でございます。これまでも委員としてこの審議会に参加をさせていただきまして、適時、連合としての意見、労働者の立場からの意見を述べさせていただきました。その中でも、営業秘密を守るということは、結果的には自分たち労働者の雇用や労働条件を守っていくこと、向上させていくことにつながるということで、賛成の立場で発言をさせていただきました。今回の取りまとめを受けまして、連合の中でこの取りまとめを踏まえて議論をさせていただきました。その際に、今申し上げたように営業秘密を守っていくこと自体は非常に重要だという意見がある一方で、日ごろ、業務上営業秘密に触れている労働者・組合員からすると、そのコピーとか複製とかというものに対して、もちろん日常的な作業には何も支障がないということはわかりつつも、そこに刑事罰が入ってくるということに対しては非常に不安があるという声がありましたので、改めて資料を提出させていただきまして、本日は御意見を述べさせていただきたいと思います。お手元の資料は、あくまでも私の手元のメモをお配りしたというものですが、読み上げて御提案をさせていただきたいと思います。営業秘密の保護を適切に強化することにつきましては、これまでの当小委員会において意見を述べさせていただきましたとおり、労働組合としても賛成でございます。労働者の長年の努力の蓄積であります営業秘密が、不当な形で領得・開示・使用されて、結果として企業の健全な発展や労働者の雇用、労働条件に影響を及ばすことがないよう、法制度の整備と運用強化が必要であるというふうに考えております。また、今回の見直しが、労使協議におけます労働組合への情報提供や労働組合内での情報共有に影響を及ぼすものではないということにつきましても、本審議会での質疑を通じて明らかになり、この点につきましても労働組合として理解できるところでございます。一方で、昨年、当小委員会が取りまとめ、パブリックコメントに付されておりました報告書(案)につきまして、職場で働く組合員からは、今回の見直しの趣旨は理解できるものの、情報のコピーという職場での日常的な作業・行為が刑事罰の対象となることや、労働者の権利とのかかわりに対して不安や懸念の声が出ているということも事実でございます。今回の法改正を実効あるものとし、日本の企業・産業の競争力を高めていくためには、職場でまじめに働く労働者が、法改正に萎縮することなく、安心して日々の業務に邁進できることが必要不可欠であると考えております。この点につきましては、当小委員会におきましても必ずしも活発な議論がなされたといえないと思っておりますので、以下の論点等につきまして、今後の具体的な条文策定及び法運用を含め、特段の配慮をお願いしたいと考えております。まず1つ目でありますが、「『営業秘密』の範囲」についてでございます。営業秘密に関する現在の3つの要件では、解釈によっては、会社に重大な影響を持つもの以外の情報も含まれてしまう可能性があるのではないかと思っております。本当に重要な営業秘密を確実に保護するためにも、刑事罰の拡大が過剰な制裁とならないよう、営業秘密の範囲について事前に明らかにしておくような措置が必要であり、その範囲を労使で確認すること、あるいは必要に応じて要件をさらに厳格にするなどが必要ではないかと思っております。次に、2つ目でありますが、「目的要件の拡大解釈の可能性」でございます。目的要件を図利加害目的に変更することにより、善意・軽過失な行為まで含めて処罰対象が拡大されてしまう懸念がございます。内部告発等正当な目的に基づく営業秘密の取得には営業秘密侵害罪が適用されないとされておりますけれども、労働者が営業秘密を含めた情報を入手する目的は1つとは限らないと考えております。内部告発や企業の不正の公表に至る背景には、労働者自身の正義感や信念と、企業や上司に対する不信感・個人的な憎悪といった日常の職場運営・人間関係のこじれ等が複合的に存在していることがあります。正当な目的と図利加害目的の中間に位置する、もしくは両者が混在するような場合に対する今回の目的要件の変更の影響等について、明確にしておく必要があるのではないかと考えております。続きまして3番目ですが、「刑事罰の適用範囲拡大による労働者の萎縮効果」についてであります。職場では、みずからの業務の改善に必要な情報などをUSBメモリー等にコピーすることは日常的です。職場では、社外秘や取扱注意等、自社で定めました情報管理指針等に基づきまして情報管理を行っておりますが、不正競争防止法の保護対象である営業秘密と自社の情報管理指針等に基づく職場の機密情報の関係性は、労働者から見ると不明確なケースも多いかと思われます。また、保護対象であります営業秘密につきましても、周辺情報と混在する状態で管理することもあり得るということでありまして、企業の善意悪意を問わず、職場において営業秘密が拡大的に解釈されてしまう可能性は否定できないのではないかと思っております。このような状況の中、刑事罰の適用範囲が拡大されることによって、法的知識に乏しい労働者においては、日常の業務上の作業・行為が刑事罰の対象になるかもしれず、仮に起訴され訴訟となれば、図利加害目的が真意でないということをみずからが証明しなければならないという心理面での作用、萎縮効果は少なからずあるものと考えております。労働者の萎縮効果を可能な限り抑えるため、刑事罰の対象となる具体的行為類型を立法面、もしくは運用面の双方から明確にするとともに、内部告発等に不当な圧力をかけるための歪曲的な法解釈がなされないよう、的確な対応が必要ではないかと考えております。4つ目ですが、「公益通報者保護制度との関係」であります。今回の法改正によって、企業が意図的に営業秘密と不正情報を混在させることにより不正情報の入手が妨げられ、正当な内部告発の支障となる可能性があるのではないかと思っております。また、内部告発のための準備として不正情報の入手を試みたものの、結果として、不正情報ではなく、関連する情報として管理されていた営業秘密のみを取得してしまったような場合には、営業秘密侵害罪の適用対象外とするなど、公益通報制度を妨げることのないようにすべきではないでしょうか。また、労働組合としては、行政などに対する通報に際しての証明書類の提出要件の緩和等、公益通報者保護法はさらに改善すべき点があると考えております。企業の不正な行為を抑止するためにも、公益通報者保護法及びその運用の改善を求めるべきではないでしょうか。また、その際には、同時に不正競争防止法においても必要な見直しを検討いただきたいと思っております。最後、5番目でありますが、「刑事訴訟手続きにおける営業秘密の秘匿と公開裁判の原則」についてです。憲法第82条の趣旨を尊重しつつ、何らかの法的措置が可能かどうかについて検討する必要があると考えております。本件につきましては、憲法解釈や法体系・法理論の一貫性、刑事被告人の人権等、必ずしも営業秘密の保護強化という観点のみで判断できる事項でないことは理解をしております。一方で、営業秘密の保護強化に資する刑事訴訟手続の整備は、被害企業の保護のみならず、日本の産業の健全な発展や国民生活の向上の礎を築くものであると考えております。以上でございます。
- 土肥委員長
ありがとうございました。それでは、今の御発言を受けてお願いいたします。
- 中原知的財産政策室長
それでは、今、青木委員から御指摘をいただきましたことにつきまして、私どもの考え方及び青木委員の御指摘を踏まえましての修正提案などさせていただければというふうに存じます。まず、1の「『営業秘密』の範囲」についての指摘でございます。不正競争防止法におきます営業秘密といいますのは、言うまでもなく秘密として管理されているということが必要となるわけでございまして、その秘密として管理されているというふうに言うためには、情報にアクセスした者に当該情報が営業秘密であるということが認識できるようにしていること、すなわち客観的な認識可能性があること、当該情報にアクセスできる者が制限されているということを要するなど、厳重な管理体制をとっていることが必要とされているわけでございます。このように、営業秘密であるための秘密管理性が認められるためには厳格な管理というものが必要でありますことから、今回の法改正を契機に、仮にでございますけれども、会社が保有する情報を広く、ほとんどすべて営業秘密にしてしまえということで、不正情報を含む一般情報も含めて広範に営業秘密というふうに指定して管理しようというような行為をしたときにおきましては、そのようなことではそもそも会社の業務が回るわけもございませんし、会社における円滑な業務遂行との兼ね合いの中で業務を回らせようというふうに思いますと、秘密管理が結果としておろそかになりまして、要は何が営業秘密であるかというような客観的な認識可能性が存在しないという事態を招来してしまうということは容易に想定し得るところでございまして、この場合には、本来営業秘密として会社が保護すべき有益な情報ですら営業秘密として保護されなくなってしまうということになりかねないわけでございます。したがいまして、今回の法改正を契機にそのような指定が横行するという可能性につきましては、極めて低いというふうに考えている、ないというふうに考えているところでございます。さらに、今回の見直しの方向性におきまして、営業秘密侵害罪の目的要件を図利加害目的というものに変更することを提案させていただいておりますが、この図利加害目的といいますのは、取得・領得の場面では、取得あるいは領得した営業秘密を使用・開示することによって不正な利益を得る目的、または保有者に損害を加える目的を有する場合に該当するというふうに考えております。したがって、取得・領得といいますのは、その後の不正使用、不正開示をある種前提とする行為に限定されているわけでございまして、営業秘密を不正に使用・開示する行為について、その前段階において既に生じてしまう取得・領得行為それ自体の違法性を従来よりも高く評価していこうというのが今回の改正の趣旨であり、その点につきましては、おおむね賛成意見をいただいたというふうに理解をさせていただいております。また、従業者といったような企業から営業秘密の開示を受けた者の任務違反によって行われる領得につきましては、営業秘密が記録された有体物を介する一定の客観的な行為態様というものに限定を加えておりますし、また、その行為態様によって処罰範囲というものを限定することによって、御指摘にあるような刑事罰の一律的な適用を回避するというような配慮をしているというところでございます。ただ、ちょっとまた後ほど御説明をさせていただきますが、御趣旨を踏まえまして、ある種報告書に修文を加えてはどうかというふうにも考えてございます。この点については、また全体についてのお答えを申し上げた後でもう一度戻ってまいりたいというふうに思います。2の「目的要件の拡大解釈の可能性」でございますが、これは先ほどパブリックコメントの回答の中でも少し触れさせていただきましたけれども、内部告発などによって実現される社会的な利益である公益とか、あるいは残業代の不払いといった本来正当に取得すべき利益といった「正当な利益を得る目的」と図利加害目的、あるいは保有者である勤務先企業に損害を加える目的である加害目的との中間、あるいは混在する局面が存在するんだという、御指摘はそういう趣旨であろうというふうに理解をさせていただいておりますが、内部告発などの背景事情におきましては、確かに会社が嫌いであるとか、あるいは上司が嫌いであるというような動機というものがあり得ることは想定されるわけでございます。特に正義感に燃えている従業者であれば、違法なことをしている会社や上司は嫌いであるというのは当然だろうというふうに思います。しかし、これはある種内部告発をするに至る動機というべきものでありまして、それが正当な内部告発として認められるものである限りは、たとえその企業や上司に対する憎悪などがあったとしましても、それが営業秘密の保有者たる企業に対して損害を加える目的というふうに認定されることはないというふうに考えておるところでございます。また、仮に企業の収益を下落させるんだという目的が併有されていたとしましても、そもそも企業は不正なことを行って収益を得るということは許容されないわけでございまして、営業秘密の開示が内部告発というものを企図するものでありますれば、仮にその開示によって企業の収益が下落するということになったといたしましても、それは本来当該企業が受忍すべきものでありますから、加害目的にいう損害には当たらないというふうに解されるのは当然であるというふうに考えております。したがいまして、内部告発の動機におきまして人間関係のこじれなどがあったとしましても、それは動機であって加害目的があるとはいえないというふうに考えられるほか、仮に企業の収益を下落させる目的が併有されたとしても、内部告発として正当なものである限り、やはり正当な目的でありまして、図利加害目的があるとの評価を受けることはないのではないかというふうに考えております。3の「刑事罰の適用範囲拡大による労働者の萎縮効果」ということについての点でございますけれども、不正競争防止法におきます営業秘密といいますのは、先ほども1のところで御説明をさせていただきましたとおり、秘密として管理されているということを要するわけでありまして、この秘密として管理されているということを言うためには、いわゆる客観的な認識可能性、情報にアクセスした者が、当該情報が営業秘密であるということが認識できるようになっていること、それから、当該情報にアクセスできる者が制限されているんだということが必要であるというふうに解されておるわけでございます。したがいまして、そもそも営業秘密というふうに認められるためには、営業秘密であることの客観的な認識可能性が必要とされているわけでありまして、そうした状況にない状況は営業秘密たり得ないわけであります。そしてまた、言うまでもなく営業秘密侵害罪は故意犯なのですから、その情報がいわば営業秘密であること、すなわち秘密管理性があること、有用性があること、非公知であることについての認識・認容というものが必要になるということでありまして、こうした営業秘密がまさしく犯罪の対象であり、また、故意犯なのですから認識を要求するということは大前提であるということは、まずもって確認をさせたいというふうに思っております。そして、今回の対象となる行為につきましても、既に述べましたとおり、管理任務が存在し、その管理任務違反行為が認められるということが必要になるわけであります。そうした管理任務違反行為を前提としまして、横領行為ですとか複製の作成行為といった行為類型の対象を明確に限定するというふうにしておりまして、こうした限定された行為が存在するということがさらに大前提となるわけであります。そして、こうした管理任務に違反して限定された行為によりまして、保有者の営業秘密を自己の欲しいままにしようとするという外部的な行為というものが要求され、それに対する違反であるということの行為、すなわち認識・認容も必要になってくるわけであります。さらにそれに加えて、図利加害目的ということでそれを縛るんだというようにしているわけでございます。ちょっと長くなりましたが、1つ1つ説明をさせていただきましたが、したがいまして、故意に管理任務に違反して営業秘密を自己の欲しいままにするんだというような行為が日常的な業務であるというふうには考えられませんし、さらにそうした行為に加えて図利加害目的で縛るんだという点につきましても、これはもちろん検察官において立証されなければならないものでありまして、こうしたことを踏まえますと、今回の改正によりまして、労働者に対して不当な萎縮効果を及ぼすという効果があるというふうには考えておらないところでございます。ただ、こうした御懸念があるということを踏まえ、あるいは今回の見直しをより実効的なものにするために、青木委員の冒頭のペーパーにもありますように、労働者の保護の強化に資するような法制度の運用でありたいということも願うことは当然でございますので、私どもとしましても、こうした趣旨が適切に運用されるような周知活動ということについては精力的にとり行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。それから、4番の「公益通報者保護制度との関係」でございますけれども、これは内部告発あるいは不正を公表するために労働者が証拠集めを行いました際に、仮に内部告発や公表の対象となる不正事実に直接関係ない営業秘密を入手してしまったというような場合におきましても、そうした行為は図利加害目的を欠くため、営業秘密侵害罪の対象となることはないのだというふうに考えております。公益通報者保護制度自体の充実を図るべきであるということ、それを論ずること自体には固有の意義があると考えられますし、私個人としましても、その重要性には共感するものがあります。もっとも今回の改正案は、公益通報者保護法のさらなる改善を妨げるということでは到底ございません。今後、公益通報者保護法が改正されるという議論が本格的になされた場合におきましては、必要に応じまして不正競争防止法の必要な見直しということを議論の状況に応じまして検討するということを考えなければならないということは、当然だろうというふうに思っております。5番目の「刑事訴訟手続きにおける営業秘密の秘匿と公開裁判の原則」の関係についてでございますけれども、これにつきましては当小委員会における審議、報告書(案)の趣旨を踏まえまして、現在、法務省と協議を重ねて、具体的な成果を得るべく検討を行っているところでございます。そうした中で、一応全体に対する私どもの考え方は御説明をさせていただいたわけでございますけれども、お手元の資料の一番最後に「案」としまして、報告書の修正提案というものを提示させていただいているところでございます。まず、4番目の「公益通報者保護制度との関係」におきまして、今回の法改正によって企業が意図的に営業秘密と不正情報を混在させて、これを不正を暴くために取ったのですけれども、関係しない営業秘密を入手してしまったというような場合について、先ほど私、図利加害目的を欠くため営業秘密侵害罪の対象となることはないというふうにお答え申し上げましたが、その趣旨を9ページの第5パラグラフの中に下線として、「正当な内部告発行為として不正情報とともに管理された営業秘密をも領得してしまうような場合についても目的要件を欠くことになると考えられる。」という記載を追加してはどうかというふうに考えているところでございます。それから、青木委員の指摘の中で、1の「『営業秘密』の範囲」につきまして、「刑事罰の拡大が過剰な制裁とならないよう、『営業秘密』の範囲について事前に明らかにしておくような措置が必要であり、その範囲を労使で確認すること、あるいは、必要に応じて要件をさらに厳格にするなどが必要ではないでしょうか。」という御指摘をいただいたところでございます。この点につきましては、報告書の12ページの最後に第6としまして、以下を追加することとしてはどうかというふうに考えてございます。「第6 その他の配慮事項」と、営業秘密の現在の要件のうち「有用性の要件」については、保有者の主観によるものではなく、客観的に有用である情報以外の法的な保護の対象に値しない重要でない情報にも拡大解釈されることがないように努める。なお、運用に当たっては、従業者が営業秘密の取り扱いに際し不安を感じることのないよう、以下の点に配意することが肝要である。円滑な企業活動の遂行や、現場の従業者が生み出した技術・ノウハウ・アイデア等を適切に保護するためには、事業者における適切な情報管理の推進が不可欠であり、その第一歩は、企業戦略に基づき情報資産の棚卸し・価値づけを行い、「自社の守るべき情報は何か」を明確にすることである。棚卸し・価値づけの結果、営業秘密とされた情報については、事業者が策定する営業秘密の取り扱いに関する規程等に基づき厳格に管理される必要があるが、実効ある保護を実現するためには、規定等の内容につき事業者と従業者とが共通の認識を有することが不可欠である。よって事業者においては、従業者が理解し、納得できる明確な規定等の策定に努めることが必要である。また、政府においても、事業者における営業秘密の管理の在り方が、現場の従業者の成果である技術・ノウハウ・アイデア等の保護を十分に図ることにより企業の国際競争力の維持や雇用の確保につながるよう、事業者に対し適切な秘密指定の在り方等について周知・徹底を図っていくことが必要である。こうした記載をさらに追加をしてはどうかというふうに考えてございます。青木委員の御指摘については、全般的につきましては私が口頭で今お答え申し上げたとおりですが、その中の報告書の幾つかを踏まえまして、報告書にこのような追加をさせていただいてはどうかというふうに考えておりますので、提案をさせていただきました。
- 土肥委員長
ありがとうございました。
自由討議
- 土肥委員長
それでは、ただいまの事務局からの、パブリックコメントについての結果につきまして考え方を取りまとめたところ、これが1つと、もう1点は、本委員会の報告書(案)につきまして、9ページ、12ページにそれぞれ所要の追加を加えてはどうかという提案でございます。この2点等につきまして、御意見ございましたらお出しをいただければと存じます。宝池委員どうぞ。
- 宝池委員
まず、質問させていただきます。青木委員の論点の中、特に3番目の労働者萎縮効果とか、こういうところへの配慮というのが必要だということはよく理解できることでありますが、この報告書案の修正案を拝見いたしましてちょっとよくわからないところがあります、ので2~3教えてください。まず、「その他の配慮事項」の最初のパラグラフで、「拡大解釈されることがないように努める。」と書いてありますが、この「努める」という主体は誰か、主語は何になるのか、これを教えていただきたい。それから、その後に「事業者における適切な情報管理の推進が不可欠であり、その第一歩は、企業戦略に基づき情報資産の棚卸し・価値づけを行い、『自社の守るべき情報は何か』を明確にすることである。」とあります。一般的に申しますと確かにそうだと思いますけれども、これは新たに企業にある種のアクション、対策を義務づけるのでしょうか。「『営業秘密』の範囲」で、「必要に応じて要件をさらに厳格にすることなどが必要」ではないかという青木委員のコメントに対してこういうような修正があるといたしますと、逆に従来よりも営業秘密の定義に縛りをかけて運用されるというおそれがでてくるのではないか、懸念するものです。そこら辺の御説明をいただきたいと思います。
- 土肥委員長
それでは、質問でございますので。
- 中原知的財産政策室長
最初に主語についてでございますけれども、これは現在の有用性の要件ということを前提に、現行法であっても当然胆に銘じなければいけないことだと思いますけれども、ある種こうした法制度といいますのは、立法改正の提案をするということであれば私どもでありますし、あるいはこうした法律を踏まえまして、実際に企業の現場の方々の中で、皆様方が法運用の中で企業実務をとり行っていくわけですが、いわゆる政府、企業関係者等の法制度を担う総体であるというふうにお答えを申し上げるべきではないかと考えております。その後の、企業戦略に基づいて明確にすることであるといいますのは、何か法制度におきまして新たに企業に法制度上の義務づけということを申し述べるということではございませんで、例えば、いろいろないかなる会社におきましても、取締役会におきまして企業の全体戦略、基本方針というのを定めまして、それに基づいて、当該企業においてどのようなビジネスモデルが望ましいかということの考えを構築していくわけでございますけれども、そうした企業戦略に基づく企業がなされたいというビジネスモデルと、それから、それが現場におきまして日々発生している情報というものをどのように守っていくかということがうまくつながるようなことがなされないと、結果として重要なものを守ることにはならないと思いますので、そうした出発点をまず踏まえるべきであるということ。それから、こうした法制度といいますのは、現場の方々と全体戦略を考えられる方がある種一体となって運用されるものですから、そうした基本的な精神というか方向感をまずもってここで確認をさせていただいたということでございます。営業秘密の範囲につきましては、先ほど申し上げましたように、厳格な要件がされておりますところを踏まえつつ、関係者の働き方に配慮しつつ適切な運用がなされていくということを望むというところでございます。
- 土肥委員長
よろしゅうございますか。他に御意見、御質問ございますか。齋藤委員どうぞ。
- 齋藤委員
今の「案」の上の段、「9頁第5段落目」というところの下線の部分について質問します。「正当な内部告発行為として不正情報とともに管理された営業秘密」とありますけれども、この「ともに」というのがどちらにかかるのか、はっきりしておくほうがいいと思います。恐らく不正情報と一緒にごちゃまぜになって管理されているというものではないかと推測されるんですが、先ほどの青木ペーパーによりますと、「企業が意図的に営業秘密と不正情報を混在させる」というような部分がございますので、その辺を意識しているのではないかと思います。そうすると、「不正情報とともに管理された営業秘密」というのは2つ読み方がありまして、無理に読めば、「不正情報、それと一緒に管理された営業秘密」と読むと恐らく趣旨に反するんじゃないかと思いますので、こうしてはどうかという提案ですが、「不正情報の一部として、または混在して管理された営業秘密」、こういう趣旨であれば誤解は全くないと思うのですが、いかがでしょうか。
- 中原知的財産政策室長
趣旨は齋藤委員の御指摘のとおりで、青木委員のペーパーを受けたものですので、その趣旨を踏まえましてちょっと修正をさせていただきたいと思います。
- 土肥委員長
それでは、ほかにいかがでございますか。丸島委員どうぞ。
- 丸島委員
「その他の配慮事項」に関してですが、確認というか質問というか、させていただきたいと思います。下から6行目に「従業者が理解し、納得できる、明確な規定等の策定に努めることが必要である。」これは、納得していただくような何か行為が必要なのでしょうか。それとも、今までずっと通して説明されたようなことを規程の中に盛り込めば、納得していただけたという理解で策定すればいいというのか、この辺を御説明していただきたいと思うのですが。
- 中原知的財産政策室長
基本的には、情報資産も含めて、ある種会社におきましてどういうふうにこうした財産とか資産を管理するかというのは、取締役会の業務執行の意思決定権限に基づくものであるということ自体は否定しがたいところでございますけれども、その中で、ただし実際に企業活動を運営していく場合におきましては、現場で働かれている方々がある種円滑に業務遂行を行えるようなルールの策定に努めませんと、企業にとってもいいことはないだろうということでありまして、事業者の方々におきましても、実際企業活動の収益を最大限にすることができるよう、現場の働き方にも十分な配慮がなされたような規定などの策定にお努めいただきたいという趣旨を記載したものだというふうに御理解いただければというふうに思います。
- 土肥委員長
丸島委員いかがでございますか、今の点は。
- 丸島委員
もちろん従業者に納得していただけるような規定をつくるというのは必要だと思うのですが、納得できるということが、例えば職務発明のときも同じような規定がありまして、従業者に納得していただくという行為がだれに納得していただくのか、現実に職務発明規程を実行するときに悩んでいる企業もいっぱいあるのですね。発明者だけでいいのか、全従業員かというようなこともありますし。もしそういう行為が必要だということになりますと、非常に大変なことになるなと。内容的におかしいと言っているのではないのですが、納得して頂けるような明確な規定を策定するのは当然だと思うんですが、納得していただく行為が伴うのかというところが心配なので。今の御説明は必ずしもそこまでは要らないというふうに理解できれば、私は結構だと思うのですが。
- 土肥委員長
いずれにしても、その点は、納得できる「明確な規定等の策定に努める」ことが必要である、そういう表現になっておりますので、行為そのものについてはここには、表現上はないということだと思います。
- 丸島委員
ありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。どうぞ、宝池委員。
- 宝池委員
今お聞きしておりますと、罰せられる側の行為の類型で限界的なところでいろいろ不安があり、それが連合さんの「萎縮効果」なんていう言葉につながっているようです。それからわれわれ企業等の保護を求める側からしますと、営業秘密性の管理といったところが厳しく運用されてしまうんじゃないかという懸念もございまして、懸念としてその2つがあるんじゃないかなというふうに思っております。「その他の配慮事項」の一番下、あるいはコメントへの御回答の中にもたくさん出てきたんですけれども、秘密指定の在り方で言いますと、「在り方等について周知・徹底を図っていくことが必要である。」とか、適切な広報活動を図ることが必要であるとか、そういったことに今後努めていただきたいと思います。具体的にどのような行為なら違法でなく、どのようなものは罰せられるのであるということと、企業の側としては、どこまで管理をしておけば営業秘密は守られるかといった、いわばガイドラインと申しますか、そういったものの整備等につきましても考えていただいて、具体的に明らかにしていくという御努力をお願いできたらと思います。その際、ぜひ実務側の実情についても耳を傾けていただきたいというふうに思っております。法律が通りますと、企業の中で、こういう法律改正ができたよ、だから、今後こうしなくちゃいけないよ、ということでいろんな疑問がわいてまいりまして、場合によっては、ちょっと過剰なアクションがとられる場合もございます。例えば、個人情報保護法の施行のときなんかでもそういうところが少し見られた経験がございますので、ぜひ素人にも、法律知識が余り詳しくない方々にも具体的にわかるような広報活動とかツール、あるいは手段の整備等お願いしたいというふうに思います。
- 土肥委員長
営業秘密の管理の在り方に関しましては、本委員会においても従前改訂版を出しておりますけれども、そうしたものの改訂もこの中でスケジュールとして入っておると理解しておりますので、委員御心配のような、あるいは委員の御意見のような機会は反映していく場があろうかというふうに存じます。ほかにいかがでございましょうか。苗村委員。
- 苗村委員
今、委員長がおっしゃったことそのものに対するコメントです。全く賛成なんですが、今たまたまこの「案」で追加される第6が「その他の配慮事項」と書いてありますが、今の御趣旨からすると、この「その他の配慮事項」というのは、その他管理指針の改訂に当たって配慮すべき事項という、そういうような意味合いで理解してよろしいでしょうか。つまり、立法に反映させるというよりは、むしろ今後管理指針を改訂する中でという意味でしょうか。
- 中原知的財産政策室長
結構だと思います。
- 土肥委員長
ありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。どうぞ。
- 宮城委員
日本商工会議所でございますけれども、今御議論になっている、従業員と事業者の間のガイドラインについて、いろいろきちんと明確にして普及・啓発をするという点は非常に大事だというふうに思っております。私どもとしても、今回のこの改正について賛成でございまして、これを多分実効あらしめるためには、当然に今回変わることについてかなりの程度まで普及とか啓発ということが大事で、誤解がないようにしないといけないというふうに思っております。したがって、我々としてこの改正というのは大切な改正でございますので、非常に重要視をして、これが成案を得て成立したときには、私どもとしては組織を挙げて末端まで、私どもの組織は全国にございますので、中小企業のところまで、そういうPRと中身についての正確な理解というものができるかなというふうに思っております。そういう点について、私どもは組織の力を使ってやっていきたいというふうに思っております。また、それにつけ加えてでございますけれども、私どもは、今回いろんなところから意見が出されたことについて、この意見の中身自体は今回の報告書に大分即したものかなと。方向性としては、私どもがずっと委員会の中で議論してきたものの積み重ねと同じ方向性だというふうに思っておりますので、今修正の提案がなされてございますけれども、その点も含めて、今回ぜひこの見直しの方向性についてお取りまとめいただければというふうに思っております。ちょっとこれは先取りになってしまってあれかもしれませんけれども、特に刑事訴訟の関係で経済産業省と法務省さんが協力をして成案を得るということ。正直申し上げて、成案を見たいという、今回こういう席でそれが示されてないということは残念ではあるかと思うんですけれども、非常に大きな一歩だというふうに思っております。ぜひ法務省さんと経済産業省の間で、これまでのいろんな議論があったことを踏まえた成案をぜひ早期にお出しいただければというふうに思っておりますので、これは法務省さんに対する感謝の気持ちも込めてでございますけれども、それについてはぜひともお願いをしたいというふうに思っております。以上でございます。
- 土肥委員長
どうもありがとうございました。ほかにいかがでございましょうか。齋藤委員どうぞ。
- 齋藤委員
これは確認ですが、先ほどの追加のペーパーの第6のほうなんですが、下から3分の1ぐらいのところに「営業秘密の取扱いに関する規程等に基づき厳格に」というところ以降、「てい」の字が2種類使い分けてあるのですが、この使い分けた内容、趣旨を御説明いただければと思います。
- 中原知的財産政策室長
ここは、どちらかといいますと「規程」が正確かと思いますので、「規定」は「規程」にすべきことかなというふうに思っております。内部のルールという意味であれば「規程」のほうが正確かなと思いますので、そこは訂正をさせていただければというふうに思います。
- 土肥委員長
齋藤委員、よろしゅうございますか。
- 齋藤委員
そうすると、次に2箇所「定」が出てきますが、全部「程」ですね。
- 中原知的財産政策室長
はい。
- 土肥委員長
では、そのように。もちろんこれは提案でございますし、齋藤委員の御意見を委員会としても御了解いただくということだと思いますが、よろしゅうございますね。それから、先ほど齋藤委員の御意見としてあった、「不正情報とともに」という部分なんですけれども、「混在して管理された」というふうに提案があったわけですけれども、青木委員、よろしゅうございますか。
- 青木委員
はい。
- 土肥委員長
本委員会として、事務局提案を齋藤委員の趣旨の線で修文させていただければというふうに思っておりますが、よろしゅうございますね。ほかに御意見ございますでしょうか。御意見ございませんか。もしなければ、本日の事務局の提案及び意見としてちょうだいした齋藤委員初め他の委員の御意見を踏まえて、確定的な最終的な報告書の修文としては、恐縮ですけれども、私、委員長一任とさせていただけますでしょうか。よろしゅうございますか。(「異議なし」の声あり)
- 土肥委員長
ありがとうございました。それでは、そのように進めさせていただきたいと存じます。
事務連絡
- 土肥委員長
それでは、最後になりますけれども、事務局からの連絡をいただいた上で、また進めたいと思います。どうぞお願いします。
- 中原知的財産政策室長
それでは、報告書につきましては委員長と相談をさせていただきまして、きょういただいた趣旨を踏まえまして修正をさせていただければというふうに存じます。また、今後は、報告書を受けまして法案提出の詰めの作業をさせていただければと存じますので、引き続き御指導いただければ幸いでございます。
- 土肥委員長
ありがとうございました。
松永局長ごあいさつ
- 土肥委員長
本日は、松永局長もお見えになっておりますので、最後になりますけれども、ごあいさついただければと存じます。
- 松永経済産業政策局長
経済産業政策局長の松永でございます。昨年の秋以来、土肥委員長を初め小委員会の委員の各位におかれましては、大変熱心に御議論いただきまして、かつまた極めて適切、有益、非常に示唆に富む御議論をしていただきまして、本当にありがとうございました。深く感謝を申し上げます。こうした形で小委員会の報告書をまとめていただいたわけでございまして、大変意義深いことだと思っております。御承知のとおり、大変厳しい経済環境の中にございまして、なかなか先の見えない状況でございます。私ども経済産業省といたしましても、累次にわたる経済対策、またこの通常国会には、先般閣議決定をいたしましたけれども産業活力再生特別措置法等の改正法案を提出しておりまして、この経済危機を打開する一つの大きなてこといいますのはイノベーション、とりわけオープンイノベーションというような形で産業界全体の技術開発に向けての動きを緩めることなく進めていくこと、そのために必要な枠組みということで法律を改正すべく、今国会の審議を待っているところでございますけれども、そうしたためにも、貴重な事業活動の成果でございます営業秘密がきちんと管理、守られていく、そのための必要な法制的な手当てをまさに御議論いただいたような形で強化をしていくということが、いわば車の両輪として不可欠なことであるというふうに考えております。この場におきまして具体的な実務上の貴重な御意見、御示唆もいただいておりまして、そうしたことも踏まえまして、私ども不正競争防止法の改正案につきまして最後の詰めを行いまして、早急に閣議決定をいたしまして、国会に諮っていきたいというふうに考えております。残された課題でございます刑事訴訟手続の在り方でございますけれども、本日も御指摘いただきましたように、現在も続いておりますけれども、法務省と私どもとの間で精力的な議論を続けて、一刻も早い成案を得たいと考えております。いずれにしましても、本委員会に法務省として毎回御参画をいただいておりまして、この場をかりまして、法務省の皆様方にも深く感謝を申し上げたいと思っております。また、制度ができ、法律改正が行われました後、私どももこれがきちっと運用されていくように必要な政策上の対応ということも必要でございますし、また本日も御披露されましたように、事業者サイドのほうでも、産業界のほうでも、あるいはまた労働組合のほうでも、同じ方向を向いて必要な手当てがされていくということを期待しているところでございます。いずれにしましても、毎回非常に熱心に御議論いただきまして、非常にすばらしい報告書を取りまとめていただきましたことにつきまして、深く感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
- 土肥委員長
松永局長、どうもありがとうございました。局長のお話にもございましたように、各委員の貴重な御意見等々に基づいて今回報告書(案)がまとまったことにつきまして、私も厚くお礼を申し上げたいと存じます。また、杉山局付にも本委員会にオブザーバーとして参加していただいて、貴重な御意見をいただいたということにあわせてお礼を申し上げたいと思います。また、この報告書(案)の最後のほうにありますように、両省の間の協議というものを促進していただいて、成案を得ていただくようにあわせてお願いを申し上げたいと存じます。本日は、このあたりで散会をしたいと存じます。どうもありがとうございました。
以上
最終更新日:2009年3月27日
