経済産業省
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ロボット産業政策研究会(第2回)-議事要旨

日時:平成20年11月13日(木)10:00~11:50
場所:経済産業省本館2階2西8共用会議室

出席者

委員長:
三浦 宏文(工学院大学学長)

委員:
新井 民夫(東京大学教授)
石黒 周(株式会社MOTソリューション代表取締役)
伊藤 健三(株式会社ニチイ学館執行役員)
榊原 伸介(ファナック株式会社常務役員)
(稲葉 善治委員代理ファナック株式会社代表取締役社長)
井上 剛伸(国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所福祉機器開発部長)
井上 弘毅(住友商事株式会社ビル事業部長)
佐藤 知正(東京大学大学院情報理工学系研究科知能機械情報学専攻教授)
杉井 清昌(セコム株式会社執行役員)
高木 宗谷(トヨタ自動車株式会社パートナーロボット開発部理事)
竹中 恭二(富士重工業株式会社相談役)
田中 理(横浜市総合リハビリテーションセンターセンター長)
利島 康司(株式会社安川電機取締役社長)
萩田 紀博(ATR知能ロボティクス研究所所長)
濱 隆(大和ハウス工業株式会社取締役常務執行役員)
大場 光太郎(独立行政法人産業技術総合研究所知能システム研究部門空間機能研究グループ長)
(平井 成興委員代理独立行政法人産業技術総合研究所知能システム研究部門部門長)
牧野 正志(パナソニック株式会社生産革新本部長)

(50音順、敬称略)

議事概要

  • 事務局より資料について説明
  • 資料3~5について自由討議

委員の主な発言のポイントは、以下のとおり。

現状認識

  • 産業用ロボットも、デジタル家電も研究開発から産業になるまで30年くらいかかっている。サービスロボットは、このままじっとしていては、実用化まで、さらにもう30年くらいかかるのではないか。海外との競争も激化が予想され、15年くらいで産業にするスケジュールを決めるべきではないか。その方法をしっかり考えないといけない。
  • サービスロボットについては、研究開発の現場で真のユーザーに受け入れられて実質的な議論がされつつあること、環境構造化の重要性が認識されてきたこと、安全についての実質的な議論が始まったこと、人間と協調するロボットの開発が進んでいることなど、少しずつ進展している。
  • 技術的に本当に使えるレベルのものがどれくらいあるのか、正確に分析すべきではないか。

産業用ロボットの経験、蓄積の活用

  • ロボットという商品は、裾野の広い技術が必要。普通の規模の企業には、ロボットの開発は困難。
  • 産業用ロボットとサービスロボットはマーケットが大きく違うが、単に物を運ぶものや器用に物を組み上げるような産業用ロボットの応用型を、サービス分野で使ってみる方法論はある。また、病院等だけでなく、製造業の中でも、サービスロボットを使っていくという考え方が重要ではないか。
  • 産業用ロボットメーカーには技術もあるし責任もあるので、サービスロボットの開発に一緒に取り組むことが重要。
  • 産業用ロボットとサービスロボットの垣根が低くなってきている。
  • WGでも、産業用ロボットの技術はサービスロボットへ利用できるという議論をしている。工場には、既に人と協調するロボットが導入されている。さらにこれらの技術を介護、福祉に使えないか取り組んでいる。

実用化に向けた取組方針

ビジネスモデル、ロボットの使い方について

  • ロボットの市場としては、自動車や住宅のRT(ロボットテクノロジー)化が、近い将来の市場として挙げられる。
  • ロボットはインフラと併せて検討することが重要。環境やインフラと移動体を組み合わせるという視点がある。
  • サービスロボットは多様であり、普及にあたっては、この多様性を考慮し、工夫する必要がある。
  • ロボットだけに全ての機能を持たせるのではなく、空間にも機能を分担させることが重要。
  • サービスの効率化と製造物の高度化が重要。サービス用のロボットの開発には、要素技術開発と併せて、サービスの高品質化、高効率化に必要な、情報支援、物理的支援、サービスのシステム全体をうまく回すという3つの対応が重要。この中で、ロボットの役割は何かを考えることが重要。加えて、サービスの提供の仕方を考える必要があり、サービスする人とサービスされる人のセグメンテーションを明確にして取り組まなければ技術開発は進まない。
  • ロボットの使い方を考えるときに、人しかできないこと、人の替わりにできること、人を圧倒するものの3つに分けて考えることが重要。例えば警備では、基本はロボットだが、いざというときは人が警備するという組み合わせで取り組んでいる。冬の寒いときの巡回は人には苦痛だが、ロボットは対応できる。また、大きな建物では、画像認識技術が必須だが、ログがとれ、検索できるなど、人の能力を凌駕する。一方で、大事なときは人がいけば良い。
  • 普及にはコスト低減が重要であるので、大手企業が量産できるかどうかにかかってくる。ベンチャー企業と大手企業が一体なって取り組むことが重要なのではないか。
  • 日本では難しいかもしれないが、新しいタイプのベンチャー企業の活躍は重要。
  • ロボットのビジネスにおいては、開発のときのリスク、うまく売れるかどうかのリスク、PLの問題、使用者の運用のリスクがある。これらに対して制度的支援や保険支援があるが、具体的な支援がはっきりせず、現状では、保険商品が具体化しないという状況。
  • ビジネスとしていくには、モジュール化を意識しないと難しい。

実証の場、関係者のネットワークについて

  • ユーザーが価値をどう評価するかはメーカーとして一番知りたいこと。例えば住宅展示場のように、実際に住宅を見てもらってユーザーの評価を得、改良、向上していく場が重要。民間企業だけでこういった場を提供するのは難しく、国としてテストベッドが必要。
  • 開発段階での評価試験においては、実証実験のごく一部しかできないのが現実である。したがって、実用化後も、そこに行けばどういうものが見られるとか、カスタマイズできるとか、フォローしてくれるような場所が必要。メーカーやユーザー等の関係者のネットワークの構築と併せて、こういう拠点が必要。
  • 標準的な実証環境が準備され10年間程度競争的に開発をすれば、成果が出るのではないか。
  • メーカーとユーザーのリスクコミュニケーションが大事。研究開発段階では高い技術を作らざるを得ないところがあるが、ユーザーに使い方を変革させていくようなコミュニケーションが大事。プロジェクトにおいては、はじめからユーザーを巻き込んで、お互いのベネフィットを考え、コミュニケーションしつつ導入していく体制が必要。
  • 例えば、自動車関連産業は、ユーザー側の厳しい要求に応えてきた結果、強くなった。ロボットにおいても、ユーザー側が必要なスペックを出していくことが必要。
  • 清掃ロボットの例では、メーカー側もコスト削減の努力をするとともに、ロボットを使用するビル側も、事業化を決断し、ロボットを受け入れるための取組を進め、お互いにせめぎ合ってよいものを作ったという点が重要。
  • 試験をしながら技術を高めていくような支援が必要。

開発の方向性について

  • 研究開発プロジェクトの立ち上げ方に工夫が必要。技術ではなく、ビジネスシステムを成果としないと、実用的な成果は期待できない。
  • 実用化の近いもの、使えるものにターゲットをしぼって支援するべき。
  • 例えば、先にテーマを設定し、メーカーやユーザーなどを一緒にしたチームを作って競争的に取り組むくらいでないと、サービスロボットの実用化は15年ではできない。

安全性確保の取組等について

  • ロボットのジャンルや使用シーンをきちんと分け、その中でリスク等の検証をやる必要がある。どういう危険が考えられて、どういう安全設計、どういう運用をするかを、長期にわたって蓄積し取り組むためにも、第3者機関が必要。5年という長さでなくもっと長期に必要となる。これまでのNEDOなどの開発プロジェクトでの実証データはばらばらになっており、この第3者機関でこれらデータをまとめ、蓄積すべき。
  • ロボットは、サービスを受ける人が指示するアプリケーションも多く、人の介入は不可欠。この点から、自律と操縦を明確に分けない方がよいという考え方もある。
  • がんじがらめの規格を作っていくということではなく、模範設計や目安を付けるために、どれくらいできているのか把握することが重要。
  • 家庭に入るロボットを考えると、コストと価値もそうだが、安全性について非常に厳しく問われる。30年など長期に使うと信頼性の問題が出てくる。例えば法制化や保険で対応するなど、全体での方向だししていかないと普及しない。
  • 安全認証については、欧州が積極的。ロボットのような新規分野も、どんどん認証したいと考えている様子。日本はそういった機関がないのが現状。また、欧州では、数式や部品がひとつひとつ正確に定義されており、その点も日本は対応できていない。
  • サービスロボットというカテゴリーだけで考えない方がよいのではないか。類似分野では、自動車もISO26262(自動車の機能安全個別規格)が2年後に定まり、また、速度についての業界自主規格を撤廃した後のAGVの安全確保の検討も必要となっており、これらも考慮する必要があるのではないか。また、ディペンダブル(信頼性)をどう規定していくかが重要で、欧州では既に議論が相当進んでいる。工学的にどう安全を保証するのか、これからキャッチアップしなければならない。
  • 欧州では福祉機器の実証試験において、倫理審査が一般的に実施されている。実験の手順として、倫理審査委員会(IRB:Institutional Review Board)が開催されている。日本においても、工学とは分野間の隔たりが大きいが、基準やルールの前に倫理についても検討が必要。
  • 個人情報の保護については、どのような情報から、個人のどこまでの情報がわかるようになるのかすらわかっていないため(情報処理の能力が将来的に増せば、抽出される情報量が増える)、情報提供者の完全な同意をとることすら非常に難しい。研究を推進するにあたっては、社会に受け入れられるような透明性が求められる。

介護・福祉

  • 介護者のケアが重要。肉体的にきつい作業はロボット技術で支援するべき。
  • 介護・福祉の現場では、サービスシステムとモノとが一緒になって議論される必要がある。新しい技術の導入によって、介護・福祉の現場がどうかわるかということを、現場にも見せる必要がある。
  • 安全については、例えば商品化されている介護用のリフトであっても、現場としては使うのが怖いという意識もある。これを克服できる安全技術や人の介在するシステムとすることが必要となる。
  • 障害には程度が軽いものから重いものまで様々あり、一緒にしては検討できない。
  • 介護・福祉ロボットではなく、自立支援ロボットとしてはどうか。障害者自立支援法の中では福祉機器とは呼ばず、支援機器と呼んでいる。自立を支援するものは、介護・福祉の分野だけでなく、一般の人も使えるロボットで支援できることが必要となる。一般の人も使えるものであれば、コストも下がってくる。福祉機器から自立支援までを柔軟に考えることが重要。
  • 方向性しては、重度から軽度へ、そして、一般向けへと展開していく。
  • 一般向けへの展開を考えれば、市場が限られているわけではないという点は重要。
  • 重度、軽度への対応だけでなく、ひきこもりの減少、すなわち厚生労働省のいう予防介護のようなものへの対応も重要で、ロボットがかなり使えるのではないか。

その他

  • 政府全体のロボットの議論を見ていると、ボトムアップの議論が多い。少子高齢化への対応等を考えれば、もう少しトップダウンに大きな議論をして、その中でサービスロボットを位置づけることが重要ではないか。
  • 自動車が社会を変えたように、ロボットも社会を変えていくものと考える。
  • 海外には、技術は他人からもらい、それを応用して日本をすぐに追い抜こうと言っている人がいっぱいいる。

以上

 
 
最終更新日:2008年12月3日
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