経済産業省
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省エネ化と「省エネ産業」の展開に関する研究会(第7回)-議事要旨

日時:平成21年3月4日(水)16:00~18:00
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

中上委員長、片倉委員、久世委員、斉藤委員、柴山委員、杉村委員、高村委員、筒見委員、中村委員、南部委員、西村委員、村木委員、村越委員、山下委員、吉高委員

議題

報告書(案)について

議事概要

報告書(案)について、事務局より資料3に基づき説明。その後、自由討議。

  • 省エネとカーボンマネージメントとの関係をどのように捉えていくべきかについて、今後とも検討していく必要があると思う。
  • 省エネ産業に多様な事業者が参入する場合、良い事業者と悪い事業者が混在し、市場が混乱することも起こりうる。このような事態に対応し、健全な市場を創出していくためには公的な監視機能(ソーシャル・オーディット)などの存在が重要になってくる。
  • 地球温暖化対策が急務の中、長期的には新エネ導入が重要である一方、短中期的には省エネ推進が極めて重要。省エネの推進に当たり、報告書案でも触れられているように、人材育成、IT活用、そして「見える化」が非常に重要な要素である。
  • 省エネの推進には民間活力の活用が有効であり、それに当たって、公的部門が率先して取り組むことが大変重要。その際、ベストプラクティスの活用よりも、霞ヶ関をはじめとして国が、エネルギーの面的利用など先進的な省エネモデルを構築し、それを海外に展開していくという取組みを期待する。
  • 報告書案では、広範なテーマについて突っ込んで書いていただいた。ここで掲げられた政策提言の実現に向けて、官民協力して進めていくことが大事。報告書案にある「省エネの基本は見える化」との指摘は、まさにそのとおり。ただし、実際には簡易省エネ診断をする以前に「見える化」されてないため、月次データのような限られたデータだけでの診断となり、正確な提案ができないことが多い。したがって、「エネルギーの見える化を推進するとともに、簡易省エネ診断を推進する」といった表現にすると良いのではないか。診断は、正しいデータがあってはじめて正しく処方できる。
  • 国際展開について、日系企業の海外事業所も省エネを率先垂範で取り組むことが重要。これらは、日本の省エネ技術のショールームとしても活用できる。海外事業所については、国内事業所と比較すると、まだ相当劣ったレベルにあるのが現状。
  • 「省エネとカーボンマネージメントは同義」と言う意見があったが、カーボンマネージメントの概念は、省エネを包含するのではないか。カーボンマネージメントの最大の手段が省エネではないかと思う。
  • ITの活用・標準化については、報告書案にも言及されているとおり、差別化すべき領域と標準化すべき領域を分けて検討することが重要。省エネビジネスはまさに競争の中にあるので、「標準化ありき」では進まない。現在はまだ、各社が競争の中で技術を高めあっている段階であるため、どの技術で標準化すべきかが見えるまでは自由競争であるべき。
  • 省エネを実施する上で「見える化」は非常に重要。計測するためには、計測機器の設置施工などにコストがかかるが、この部分は直接的には省エネにならないため、サービス料金として徴収しにくい。したがって、計測段階で事業者の採算が合わないケースに対する補助について是非検討いただきたい。
  • 公共ESCOについて、民間がESCOを行う際には事前調査に2~3日かけるが、公共ESCOでは事前調査に十分な時間と機会が与えられず、図面等での検討が主となる。このため、限られた情報をもとにESCO提案することになるため、採算が合わない。入札制度や事前調査のあり方については、ESCO事業者も交えてしっかりと検討してほしい。
  • 「省エネ」についてはどうしても「節約」という後ろ向きなイメージが払拭しきれない。しかし、多くの委員が指摘したとおり、省エネは技術革新の一つであって全要素生産性の向上に寄与するものである。したがって、技術革新という視点から捉えれば、省エネに対する社会の意識ももっと変わるのではないか。
  • 日本は将来的に排出権を海外から購入することは避けられない。そのような観点から、カーボンマネージメントをしっかりやれば、日本全体のCO2排出を下げられ、排出権の購入費用も減るので、経済効果をより大きく見積もれるのではないか。
  • 紹介されたオムロンの事例の場合、成功要因として小中学校に対して省エネの成果として図書購入費というインセンティブが与えられていることが挙げられる。公共施設のESCO事業についても、事業者に対して成功報酬型等のインセンティブ付与の手法を検討していくことが重要。
  • 標準化の進め方については、技術の進歩を見極めつつ行う必要がある。そのように認識した上で、機器、インターフェース、これらをつなげて使うアプリケーションやミドルウェアなどの標準化を検討していく必要がある。インターネット普及における標準化の意義を想起すると、省エネについても基盤となるストラクチャーが必要になるのではないか。
  • 中小企業において省エネを進めるためには、中小企業経営者に対して「省エネはCO2削減だけでなく経営改善やコストダウンにもつながる」という説明が必要。また、報告書案でも指摘されているように、人的支援・育成が不可欠。例えば「省エネ伝承塾」では、同業者を集めると互いに参考にできることが多数あり、中小企業に対して啓発効果が高い。
  • 公共ESCOについては、実際には儲からず、ESCO事業者側もあまりやりたがらない。そもそも、公共施設の方は、類似施設と比べて自分の施設の省エネがどのレベルにあるのかを把握していないことが多い。まずは省エネ診断を通じて自身の施設の相対的な順位を理解することが必要。
  • 海外への省エネ技術移転について、報告書案で大変うまくまとめていただいている。海外ではエネルギー管理士の重要性については、なかなか理解が得られない。やはり、経営層による省エネに対する理解を深めていくことが重要。
  • 産業部門における省エネの出発は化石燃料の利用削減だったが、現在はカーボンマネージメントが焦点になりつつある。今後は、再生可能エネルギーと同様に省エネをビジネス展開の文脈でPRしていくことが重要。
  • 海外ではESCOは、「ESCO Industry」と呼ばれ、産業として意識されている。他方、日本では、産業としての概念が薄かったが、今回の研究会を通じて、実際に産業化に向けた課題を再認識することができた。金融危機で省エネ投資へのモチベーションは下がっているかもしれないが、不景気のため省エネに投資ができないではなく、資材費や人件費が下がっている中で、収益改善のための絶好のチャンスと捉えるべきではないか。
  • 省エネ産業はエンジニアリングを売るというのが実態であり、設計からエンジニアリング、設置、メンテナンスに至る包括的に整備していくことが「省エネ産業化」ではないか。そのためには、サービスのためのメンテナンスネットワーク等を作る必要がある。また、東南アジアは、日本におけるファイナンスの仕組みに強い関心がある。省エネビジネスのエンジニアリングの方向性の検討と、ファイナンススキームの確立が今後の課題となるのではないか。
  • 金融機関の役割について、金融機関自身に省エネ技術の蓄積があるわけではないが、地域企業との強い接点を持っている点が強み。このため、省エネに関する情報の媒介となるような機能を持たせるポテンシャルは十分にある。
  • 激しい競争にさらされている中小企業にとって、省エネはコストダウンの一方策であり、推進のインセンティブになる。ただし、規模の観点で投資制約も存在することから、政策的支援による解決が有効。よって、計測機器の低価格化、外部人材の活用などが進めば、さらなるインセンティブが働くだろう。また、鉄からアルミニウムへ鋼板素材の変更が自動車の燃費向上に寄与したように、中小企業は省エネ技術革新の担い手という側面もある点も認識しておくことが重要。
  • エネルギー管理士は一人一人熱心であり、問題意識は非常に高い人が多いが、社会的地位や認識が低いという実態を改善していくことが重要。
  • 中小企業については、単にパンフレット等を作って配布するだけでは理解してもらえない。個別に指導や説明を施していくことが必要であり、そのような体制を整備していくことが重要。中小企業における省エネは、費用対効果だけで考えるべきではなく、省エネを通じて企業組織の見直しにもつながりうるものであり、中小企業の省エネについては費用対効果とは別の考え方も必要なのではないか。
  • 「公的部門を梃子にした省エネ」について、「ESCO」と「省エネ改修」の違いは(1)機器改修と運用改善を複合して提供すること、(2)長期にわたるPDCAを行うこと、(3)省エネの成果を見える化すること、の3点。この点を捉えてESCOの特徴にもう少し言及してもらえれば、省エネサービス産業の定義がわかりやすくなるのではないか。

以上

 
 
最終更新日:2009年4月8日
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