経済産業省
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二酸化炭素回収・貯留研究会CCS実施に係る安全基準検討ワーキンググループ(第3回)-議事録

日時:平成20年12月24日(水)10時00分~12時00分
場所:経済産業省別館5階509共用会議室

議事概要

  • 三橋地球環境技術室長
    おはようございます。それでは、第3回二酸化炭素回収・貯留(CCS)研究会CCS実施に係る安全基準検討ワーキンググループを開催したいと思います。
    年末のお忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございました。それでは、座長に進行をお願いしたいと思います。
  • 松橋座長
    皆様本当にお忙しいときにありがとうございます。
    二酸化炭素回収・貯留研究会CCS実施に係る安全基準検討ワーキンググループ第3回会合でございますが、本日の議題としましては、恒例によりましてお二方の委員からのプレゼンテーションをいただきまして、そのほかにWell Barrierについての簡単なご説明と、先ごろ開催されましたCOP14におきまして「CCSのCDM化」ということについて討議が行われておりますので、その状況についてのご報告という議題でございます。
    それでは、議事に入ります前に配付資料の確認を事務局からお願いしたいと思います。
  • 三橋地球環境技術室長
    それでは、まず資料1が、澤田委員からご説明いただく資料のスライド「CCS実験における断層、地震」でございます。資料2が、松岡委員からご説明いただく「CCS事業における地下情報の収集・利用と今後の課題」という資料をご用意いただいております。資料3が、前回長谷川委員からのご説明の中の、Well Barrierというものが具体的に何を指してどういうものなのかということが、会議の中で議論がございましたので、その内容が非常にわかりやすい資料を長谷川委員からご用意いただいておりますので、その資料をつけてございます。そして資料4が、事務局から用意いたしました先般ポズナニで開催されましたCOP14/CMP4の会合の中でのCCSのCDM化に関する議論を簡単にまとめたものでございます。一番最後に今後の会合の開催予定について書いてあるメモがついてございます。
    資料にもし不備がございましたらご連絡いただければと思います。
    それでは、議事を座長にお戻しいたします。
  • 松橋座長
    それでは早速議事に入ってまいりたいと思います。

CCS実験における断層、地震

まず最初でございますが、澤田委員から「CCS実験における断層、地震」ということでパワーポイントを用意していただいておりますので、よろしくお願いいたします。
  • 澤田委員
    澤田でございます。時間は何分ぐらいでしょうか。
  • 松橋座長
    時間は20分程度でお願いできますでしょうか。
  • 澤田委員
    私の資料は簡単なので、十分20分以内でご説明できると思います。

CCS実験における断層、地震

課長からお題をいただきまして、CCS実験における断層とか地震の関連について説明してくれというお話でした。内容的には2つあると思います。「サイト選定に際しての留意点」と、「サイト選定後のモニタリング」の2つに分けて資料をつくっております。

サイト選定に際しての留意点

まず「サイト選定に際しての留意点」でございますけれども、断層と地震ということで分けますと、断層につきましては、私専門家ではありませんけれども、何といっても活断層の分布がどうなっているかというのがサイト選定では一番留意しなければいけないことだろうと思います。
もう一つは、沿岸域となりますと、特に原子力発電所関連などでは沿岸域の活構造分布みたいなものが非常に詳しく調べられております。ですから、そういったデータも必要だろうと思います。
もう一つは、活断層あるいは断層と圧入地点の離隔距離を考えなければいけないだろうと思います。RITEの岩野原のときには、前にちょっとご説明いただきましたけれども、逆断層みたいなことを考えて、それが60度で切り込んでくるとすれば、それから圧入地点を離すということから考えて、ある程度の圧入点までの離隔面積を考えておるわけです。そういう考え方もあるだろうと思います。
それから地震活動の方は、これは我が国の場合にはいろいろなデータがございますが、過去の被害地震の分布だとか地震地帯構造という考え方、最近では国の地震調査研究推進本部が出しております「地震動予測地図」がありますので、そういったものも参考になります。
それから何といっても微小地震活動がどうなっているかといったことを背景として理解しておく必要はあると思います。

活断層分布

「活断層分布」ですけれども、これは皆さんご存じのように陸上には大体2,000ぐらいあるといわれていますね。しかも海の方になると、全部活断層かどうかはわかりませんけれども、面積から考えても陸上の2倍、3倍あるわけですから、合わせると何千本というものになります。ここで見つかっていないものも陸上にはかなりあるといわれています。
ですから、こういったものをサイト選定において無視しないで綿密に調べる必要があると思います。地質調査を綿密に行うわけですから、そういったものも、ある程度隠れている活断層もわかるかもしれません。
最近では、活断層の認定に関して変動地形学的な考え方が流行といってはナニですけれども、学問的な進展をみせているということで、変動地形的な観点から活断層というものの存在を調べる必要があるのではないかと思っております。

沿岸域の活構造分布

「沿岸域の活構造分布」、活断層だけではなくて褶曲だとか背斜・向斜さまざまなものがございますけれども、そういったものの調査の一例でございます。特に原子力発電所における調査の一環として行われたものでございますけれども、これは海上保安庁のデータに基づいておりますが、例えば沿岸域、こういったエリアについては構造線密度といった概念を考えて、海底の調査をたくさんやりますといろいろな構造線がございます。その構造線の密度、これは一本一本やるのは大変ですので、あるエリアでは密度がどのように違うかといったようなことを調べておりますので、こういったデータも参考になる。それから堆積盆、第四紀盆あるいはそれ以前の堆積盆の分布がどうなっているか、やろうとする地点が、実験しようとする地点がどういった堆積過程にあるのかといったことも重要かと思います。

貯留層、キャップロックと断層について

それから、何といっても問題なのは貯留層とキャップロックと断層の関係だろうと思います。私の理解では、貯留層のシミュレーションというのは非常に厳密に行うのだろうと思います。いろいろな調査に基づいて、できるだけ正確な貯留層のシミュレーションを行うのだろうと思います。実験時のCO 2の広がり、それからそれが何十年、何百年たったときの広がりというのが当然シミュレーションされるのだろうと思います。
それと断層との関係をどのように考えたらいいかということを簡単に3つぐらいの項目にしておきましたけれども、何といってもそういう貯留層の広がりのところに活断層があるのは好ましくないだろうと思います。ですから、調べられた活断層からは少し離れていた方がよろしい。その離隔距離につきましては、ここでは一応2kmと考えております。これは、活断層が動いたときの、例えば地盤の変形あるいは副断層的なものの動きあたりがどうなっているのか、いろいろなデータがございますが、これは、光明断層というぐらい立派な断層がございますけれども、そういった主断層がある場合に、その断層の両側に広がった破砕域、つまり副断層かどうかわかりませんけれども、いろいろな亀裂だとか破砕された領域が大体2km離れればそれ以上はないというような常石先生の研究がございますので、これを採用するとすれば、貯留層の広がりが2kmの範囲内に、あるいはそのエリアを活断層から外すといったことが考えられるのではないかということです。
これは、高レベルの地中処分の考え方にも採用されているようでして、それを準用した格好です。
それから活断層ではないですけれども、通常の断層、いろいろな断層がございますけれども、キャップロックを切ったり貯留層に達する可能性がある断層については、それはないことを確認するべきだろうと思います。それは否定できない場合があると思います。調査精度の問題がございますので、そういう場合には、やはりリークしないということを何らかの形で確認する必要はあるだろうと思います。
こういう三段階ぐらいの確認を提案してあります。

地震活動

「地震活動」ですけれども、地震地体構造区分というのはもともと提案されておりまして、これはいわゆる垣見マップというものに代表されるようなものでございますが、日本列島の周辺を幾つかの構造区に分ける。これは、背景はテクトニクス的な考え方ですが、例えばあるエリアは活断層の分布だとか地震の発震機構だとか過去に起こった地震その他、あるいは微小地震活動とか共通点があるという場合に、そこで起こり得る地震の災害規模はどの程度かといったものをエリア分けしたものでございます。そういったものも背景としては必要であろうと思います。
過去の被害地震は、当然のことながら入手すべきであろうと思います。

地震活動

左の方は、地震調査研究推進本部が2007年(2008年改定)に地震動予測地図を出しております。赤いところの方は、いわゆる大きな地震動に見舞われる確率が高いところでございまして、そういう図を出しております。
気をつけなければいけないのは、実は最近2000年以降に起こった主な被害地震は、赤い丸で書いてありますけれども、2000年の鳥取県西部地震から始まりましてことしの岩手宮城内陸地震までみますと、赤いところよりはむしろ黄色いところ、確率の低いところに起こっています。これは何を意味するかということですけれども、これは現在から向こう30年間の確率で予測図をあらわしているのですが、地震の方がそれを待ってくれない。つまり内陸に起こる地震は再来周期が1,000年とか数千年というのが多いんですよね。ですからデータがない。海の方は100年とか200年とかということで割とデータがあるんですけれども、内陸の方は過去の地震に関するデータがない。歴史でみるとありますけれども、わずかなデータしかないということですね。
ですから、日本の場合にはこういったことが起こりますので、活断層がなくても、微小地震も明確な活断層があるところで起こったものではございません。よく調べれば活断層と認定できるかもしれないという地震は幾つかございますが、そういう意味では日本の場合は、過去に地震がなかったからといって安心してはいけない。6.8~7.2ぐらい、7前後についてはいろいろなところで起こり得るという認識をもつべきだろうと思います。
右の方は微小地震活動でございまして、ここ10年間ぐらいの微小地震活動です。限られたエリアでみてみましても、微小地震が活動していないということはほとんどないんですよね。例えば日本海側から太平洋側に断面を切って、断面図が載ってございますが、これはいわゆる太平洋プレートの上面と下面の潜り込みの面です。このエリアが陸域ですね。陸域では非常に浅いところに地震が起こる。起こる範囲を「地震発生層」と呼んでいますけれども、これが海の方に行きますと深くなるようにみえますけれども、実は海の方の観測点がないために震源が深くなっている可能性が高い。実際にきちんと調べると浅いところまで地震は上がってくるということが考えられます。

留意点のまとめ

「留意点のまとめ」としては、繰り返しませんけれども、こういったことをしておくべきだろうと思います。

サイト選定後のモニタリング

「サイト選定後のモニタリング」につきましては、目的は地震活動状況の監視ということです。モニタリングの範囲を考えて、その場合の観測点の配置はどのようなものがあるか、簡単に観測・解析システムについても触れております。

地震活動状況の監視(発生個数の比較)

これは、岩野原の実験における実験開始前後の地震活動を調べた一例でございますが、この絵の範囲内で、実験が2003年7月に始まりましたので3年前、2年前、1年前、それから開始後1年を比べますと、例えば単純に個数を比較しても微小地震の数は変わっていないので影響はなかった、ほとんど影響は与えていないということが端的にいえるわけです。これは調べてみないとわからないことですね。

地震活動状況の監視(集中発生域の活動)

それから、微小地震活動というのは、クラスターといいますけれども実際にいろいろなエリアで固まって起こります。この活動がどうなっているかということも調べなければいけない。
調べた例がこれでございまして、このエリアにおける地震の震源の深さの分布がこうなっている。それから、これは横軸に時間をとりまして縦軸はマグニチュードですが、こういう地震が時間的にどのように分布しているか。これは時空分布と申しまして、この範囲内での時間的な空間分布がどのように変化していくか。
これは実験開始ですけれども、実験開始前後で大きな変化があったかどうかも調べていかなければいけないということです。この場合にはほとんど変化はないということで影響はないと考えられます。

圧入による影響範囲 シミュレーションデータ

2番目に圧入による影響範囲を考えなければいけない。このシミュレーションデータは産総研からいただきまして、今までのシミュレーションデータがあるものが4つほどございます。圧入量と貯留半径、貯留層厚、圧力上昇の量、圧力上昇の半径といったデータがございます。これを用いまして、これは貯留層厚によって随分違うので、貯留層厚は12m~250mぐらいありますので、真ん中をとって60mあたりを考えて、圧力上昇は、後でご説明しますけれども、0.1MPaというやつを今考えております。そうしますと、こういう分布になりまして、非常に大ざっぱな話でございますけれども、これですと例えば1Mt入れますと3km、要するに多く見積もっても10km以内というのが一つの見方ではないかと思います。データがたくさんあればいいのですが、残念ながら今のところこれしか見つかっていません。

圧入による影響範囲

「圧入による影響範囲」を考えるとき、過去の誘発地震の範囲みたいなものを考えなければいけないでしょう。デンバーの例だとかParadoxの例、松代の注入実験その他、それからダムの誘発地震についていろいろな検討がされていますけれども、その検討範囲というのは大体30km以内ですね。しかもダム高は100m以上といわれていますので、100mですと大体10バール、ですから1MPa、その一桁下をとって、先ほどの0.1MPaの範囲という程度を考えたわけです。
これは岩野原の例ですけれども、関係を疑われた事例というのがございまして、両方から20kmぐらいの範囲があるということを考えますと、大体半径20km程度をモニタリングするということが考えられます。今はそういう提案をさせていただいております。

高感度地震観測網(Hi-net)

日本には、世界に冠たる高感度地震観測網(Hi-net)というのがございます。これは防災科学研究所が、兵庫県南部地震以来全国に八百数十点展開しているものです。これのおかげで日本の微小地震の高精度震源分布が決まってきているわけですね。
Hi-netの特徴は、残念ながらほとんど海ではございません。全部陸上です。観測点間隔は場所によって違いますが、大体20~30kmぐらい。それから概ねM>1、場合によっては0.1以上の地震の位置を、震源を決めることができる。海は震源の深さの精度が落ちるということは、先ほどの断面図で申し上げたのはそういった意味でございます。

観測点配置(模式図)

観測点配置を考える場合、モニタリング範囲が半径20km程度を考える。Hi-net観測点があればそれを有効活用するというのは基本だろうと思います。それで、能力としては陸上のHi-netを下回らない検知能力が必要だろうと思います。つまり震源精度を確保しなければいけないということです。通常、地震の震源を決定するときには、位置がXYZ、それから発震時刻というのがありますから4つ未知数があります。ですからやはり4点が必要です。
陸域では、約10km間隔ぐらいで考えたらどうかというのは、やはり人がたくさん住んでいる、非常に敏感であるということ、そういう実験をやっているから、非常に敏感であるということを考えても、もうちょっと短い範囲で精度を決めた方がいいだろうと。
沿岸域、海域は20km程度だということを考えますと、モデルとして模式的に示しましたが、陸域ですと何点か、青のHi-netが利用できると思います。ですけれども、これを埋めるように10km間隔ぐらいで、こういった観測点を置いてはどうか。沿岸域ですと、例えばこういったところは観測点がないんですね。なぜかというと、海の方は、波の影響があるのでS/N比が非常に悪いので嫌がるんですね。余り期待できない可能性がある。ですから、1点ぐらいは利用できるかもしれない。陸域に置いて、海にも置くという形になると思います。海域で数キロ離れますと、これは完全に海の中だけで展開しなければいけないということになります。

観測・解析システム

「観測・解析システム」については、後でみていただければよろしいと思いますが、圧入地点では、AE発生を把握しなければいけないのでしょうからそれも把握するとして、それ以外は数ヘルツ~数十ヘルツぐらいの範囲での地震をとることになると思います。
それから陸上ではボーリングを掘って、海上の方はケーブルをはわすという格好になるのだろうと思いますが、これは状況によっていろいろなケースが考えられますので、実際はいろいろ違う、端的にいえば、費用が違ってくるということでございます。
こういったものは、日本では既に完成された技術ですので、技術的な問題は余りないだろうと思います。

まとめ

「まとめ」はこのような感じでございます。断層と地震ということについては、簡単ですけれども、そういうことでご紹介させていただきました。
これで終わります。
  • 松橋座長
    ありがとうございました。
    それでは、ただいまの澤田委員のご発表に関しまして、ご質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。いかがでございましょうか。鹿園委員お願いいたします。
  • 鹿園委員
    貯留層、キャップロックと断層の関係についてですけれども、こういう活断層が確認された場合、そういうものが否定できない場合、リークしないことを確認ということだと思いますけれども、そういうものが確認された場合、活断層があるとか、それから貯留層に達する可能性がある断層が確認された場合、どうするのかということが問題になると思いますので、そういうのをサイトから外すかどうかということに関しては、今後いろいろと議論をした方がいいのではないか。それを外すということになると、結構厳し目の安全基準ということになると思いますので、もしそういうものがあったとしてもどの程度リークがあるのか、そのリークがもしあった場合、どのぐらいの危険性というか、よくないかというようなことを調べるのがいいのではないか。
    それから2km以内ということですけれども、CO 2の場合、放射性廃棄物とは危険性といったことがかなり違いますので、そういうものをそのまま当てはめていいかどうか、その辺がちょっと気になった点です。
    以上です。
  • 松橋座長
    ありがとうございます。
  • 澤田委員
    おっしゃるとおりだと思います。私、頭出しとしてそういうことを議論していただきたいというつもりで出しました。例えば2kmなどというのは、これは50km以上の断層の場合にいえることらしくて、小さい断層については必ずしもそうでもないということですので、その辺は、例えば土木学会の基準ですと1kmぐらいということで基準を出していますし、いろいろ議論をしていただきたいということだと思っております。
    それから危険性についても、これもちょっとレベルが違うといえば当然でございますので、全くおっしゃるとおりだと思います。
  • 松橋座長
    ありがとうございます。
    今の鹿園委員のご発言の中で「リーク」というお話をされたかと思いますが、リークというのは、要するに活断層があるところにCO 2を入れた場合に、そこで地震等が起こって、閉じ込めたCO 2がリークしてくるという意味でよろしいでしょうか。
  • 鹿園委員
    そこから、帯水層からリークするのか、それとも地表までリークするのかとか、そういう問題があると思いますけれども。
  • 松橋座長
    わかりました。要は地表までリークするようなリスクを抑えなければいけないという趣旨でございますね。
  • 鹿園委員
    はい。
  • 松橋座長
    ありがとうございます。
    ほかにいかがでございますが。佐藤委員お願いいたします。
  • 佐藤委員
    今の鹿園先生の話に関連してですけれども、私どものもっているといいますか、国内の油ガス田、まず間違いなく断層があります。でも実際、ガスも油もリークしないで油ガス層になっているわけですね。多分キャップロック、ほとんど泥岩ですけれども、その厚さでしょうかね。例えば数百メートル泥岩があれば、その中で多少ずれていても、そのずれた面が柔らかいというか、またふさがるというか、基本的にはCO 2の場合、ガスの流動が止まればいいわけですが、例えば毛管圧で移動が不可能になるとかですね。ですから、その毛管圧による流動の抵抗と、それからどのぐらいの厚さのキャップロックがあればいいかというのが、これから議論の対象になろうかと思います。
    油ガス田の経験とか、幾つかの実例もありますので、ただ、私どものもっているところは、多分活断層ではないのかもしれません。ですから、活断層かそうでない断層かの判定といいますか、その辺が議論の対象になるのではないかという気がいたします。
    確かに薄いキャップロックというか薄い泥岩層と砂層が交互に薄くずれて、隣でまた接触するという状態ですと、その辺一体はやはりスライプナーもそうかもしれませんが、互い違いに移動はしていくと思います。ですから、どこかで一番上に、その全体をカバーするような厚い泥岩層さえあれば、かなりシールがきくのではないかとは考えております。
  • 松橋座長
    わかりました。ありがとうございます。今のお話は、よろしいですか。
  • 澤田委員
    活断層かそうでない断層かというのは、きちんと調べる必要はあるだろうと思いますね。
    それから、キャップロックを切っているのは、どうせ入れる地点はガスなり何か、過去何百万年とあって、それがリークしていなくて、そういうのをとった後に入れるということであれば保障されているようなものだという考え方もできるわけですね。しかし、一説によると、どうも日本海側では、そういうガスがどんどん出ているところもあるというふうに聞いておりますので、実際に出ているところもあるのだろうと思います。ですから。全部が出ていない、あるいは量の問題かもしれませんけれども、その辺も議論の対象になるんでしょうかね。その辺をどのように考えたらいいか、きちんと議論した方がいいのではないかと思います。
  • 松橋座長
    わかりました。ありがとうございます。
    ほかにいかがでございましょうか。
    私から一点よろしいでしょうか。今のお二方の委員のご発言は、主に活断層があるところにCO 2を閉じ込めた場合に、何か、地震等の影響によってリークがどの程度起こるか、そのリスクに関するお話であったかと思いますが、13ページの図は、むしろこれはCO 2を圧入することによって地震を誘発してしまうリスクはどうかと、こういう趣旨であると考えてよろしいですよね。
    それで、私知識がないものですから申しわけないのですが、この野島断層の注入実験とか松代の注入実験というのは、そういったところに何かを入れた、それがきっかけで地震が起こってしまったと、こういうことでしょうか。
  • 澤田委員
    水を圧入しています。それで2km~4km離れたところにボコボコと地震が起こった。小さな地震ですけれどもね。それを一応影響範囲というふうにここでは取り上げていますが。
  • 松橋座長
    そうすると、これはむしろ人工的に、ある意味地震を起こしているということですか。
  • 澤田委員
    そういうことですね。
  • 松橋座長
    そうですか。影響ない程度の地震を起こして。
  • 澤田委員
    影響ないか、あるいはあるかはよくわからないのですが、そこの場合には小さな地震、微小地震しか起こっていないですね。ですけれども、そこまで圧入したら、とにかくそこに地震が起こったという現象です。
  • 松橋座長
    わかりました。
  • 澤田委員
    ですから、それは一応誘発地震だろうと、そういう範囲としてとらえたということでございます。
  • 松橋座長
    わかりました。
    それと、一旦そういうふうに断層のずれのところに水等を注入して起こすと、その次には起こりにくくなるということはあるのでしょうか。
  • 澤田委員
    そういうレベルの、要するに地震コントロールのようなレベルの話ではございません。現象的に、あるところで圧入したときに、その圧入による影響範囲、圧力か浸透かですけれども、その範囲がそこまで行っているというふうに理解すべきだろうと思います。
  • 松橋座長
    わかりました。では、これはあくまでそういったところに直接注入したときに地震が引き起こされるリスクを実験しているものであるということですね。
  • 澤田委員
    そうですね。
  • 松橋座長
    わかりました。ありがとうございます。
    そのほかにいかがでございましょうか。
    お話を総合いたしますと、断層とか地震の問題とCCSに関する論点は2つあって、断層とか地震が起こりやすいところにCO 2を注入していった場合に、それによって誘発地震が起こるというリスクと、地震等が起こった場合に閉じ込めていたCO 2が漏れて出てくるというリスク、この2つのリスクを検討しなければいけない。
    ただ、そこのところでどの程度断層から離れていればいいのか、あるいは近くにあると危ないのか、あるいはキャップロックがどのぐらいの条件であればいいのか、その辺の断層とキャップロックとの関係とか安全基準ということに関しての具体的な基準というのは、これから専門家の間でもう少し議論を行ってつくっていく必要があるということでよろしいでしょうか。
  • 澤田委員
    そのとおりだと思います。断層と貯留層との関係とか、そういう問題と、地震のモニタリングというのは、実は関係がないといってもいいぐらいの問題でございまして、別々の問題だと私は理解していますけれどもね。最初の方の問題は、やはり安全性に関しては非常に重要だと思います。2番目の問題は、誘発地震というのはよくわかりません。発生機構もよくわからないし、起こったり起こらなかったりですが、影響がないとは言い切れない面がございまして、そういうことに関してモニタリングという手法で、どういう状況になっているのかといったことを把握しておくべきであろうという趣旨から提案しているものでございます。
  • 松橋座長
    わかりました。ありがとうございます。
    それではよろしいでしょうか。
    澤田委員どうもありがとうございました。

CCS事業における地下情報の収集・利用と今後の課題

  • 松橋座長
    それでは、次のプレゼンテーションの方に移らせていただきます。
    次のプレゼンテーションでございますが、松岡委員から、「CCS事業における地下情報の収集・利用と今後の課題」という題目でご発表をいただきます。それでは松岡委員よろしくお願いいたします。
  • 松岡委員
    お手元に資料がありますけれども、実は、今回話題提供ということでお話を受けまして、ちょっと考えたのですが、前回のときに佐藤委員からかなり詳しいお話があったと聞いていますので、きょうの私の話は、そういう具体的な個々のお話を突っ込んでやるというよりも、ここに書いてありますけれども、CCS事業として我々は地下情報を一体どういうふうに利用して、それでどういう課題があるかということをお話しさせていただいて、その中で安全性に関しても議論していこうという趣旨でございます。
    私のタイトルに「CCS事業」という言葉をつかっていますけれども、今回、きょうお話しするのは、事業としてCCSというのを考えたときにどうすればいいかというお話しでして、こういう視点は、温暖化問題について「事業」という言葉をつかっているのは問題ではないかというご意見等もろもろあるのは承知しているつもりですけれども、私としての立場といいますか、個人的な考えに立ってのお話ということでご理解いただければと思います。

目次

それで、1ページ目に目次を一応書きましたけれども、全体的には「事業シナリオ」というコンセプトをもってすべての情報をみていく必要があるだろうということを最初にお話ししまして、それからCO 2を圧入するということはどういうことか、あるいは貯留しているということはどういうことかということを、もう一度おさらいさせていただいて、それから今まで世界でやっているSleipnerとIn Salahの知見といいますか、そこで我々は一体何を学んだかということ。最後に具体的にCCS事業の作業全体の中で地下情報がどのように使われて、安全評価はどうやっていけばいいかというストーリーでお話しさせていただきたいと思っているところです。

CO2の地中圧入場所の候補

この図は、ご承知のように非常に有名なIPCCから引っ張ってきた絵ですけれども、CO 2の地中注入場所は一体どういうところかということで、深部帯水層・EOR・枯渇油田・石炭層と考えられているわけです。当然のことながら、どこの場所を選ぶかによって事業としてのシナリオは当然変わって来ます。

CCS事業シナリオとCO2の地中注入場所

それで、先ほどもいいましたけれども、CCS事業は、温暖化問題解決の重要な手段でありますが、事業として経済的に成立することが必要であろうというのが、きょうの私の話の基本的なベースです。ですから、そうではないというご意見があるのも重々承知していまして、そういう意味では、その範囲内で考えたときのジオロジカルな情報をどのように確保していけばいいかという視点に立ってのお話です。
シナリオは、当然のことながらサイトによって異なってきまして、深部帯水層、2番目がEOR、3番目が炭層です。枯渇油田は基本的には一番上(スライドの)と同様に考えられるわけです。EORに関しては、既にやられていまして事業としても成立している。しかしながら、石油生産が終了するとCCSという観点ではその事業は終わってしまう。一般的にフィールドへの圧入量は決して多くはないということがいわれていると思います。
きょうのお話は、深部帯水層に対してどのように考えていけばいいかということです。一番下(スライドの)に書いてありますけれども、CCS事業に必要な地下情報は、事業シナリオに依存するわけです。どういうシナリオを書くかによってどういうデータをとらなければいけないか。同時に、実現可能な事業シナリオは技術に依存しているわけですから、技術の進展に伴って事業シナリオも変わってくるだろうと考えられるわけです。

石油開発とCCS事業は逆の発想が必要

油田の開発というコンセプトとCCS事業というのは、あるところ非常に似ていますのでよく比較されると思いますけれども、私は、これは逆の発想が必要だろうと考えています。石油開発は地下に対して非常に受動的な事業なわけです。すなわち石油が存在する場所を特定するというところがすべての出発点で、その後は収支を検討して事業シナリオを書くという発想です。
重要な点は、事業収支の評価には変動要素があるということです。これは、特に埋蔵量の評価に関しては石油会社の方、皆さん当然だと思っておられると思いますけれども、埋蔵量は、生産を開始する前の段階と開始された後の段階でどうしても変わってくるということです。

CCS事業でのソース(地上)とシンク(地下)

ところが、一方CCS事業というのは、ソースとシンクというコンセプトを考えると、そういう意味ではソースがあってシンクを探すというふうに考えるべきではないかと思います。

石油開発とCCS事業は逆の発想が必要

すなわちCCS事業では、シンクから発想すると地質学的に最適な場所を特定して、そこにソースからCO 2をもっていくという発想になりますけれども、逆にソースからの発想を行うことによって最適ではない、つまりベストではないが十分安全性が確保できて収支が合うサイトであれば事業として成立するというコンセプトだと思います。
そういう意味では、CCS事業というのは、地下に対して能動的にやっていく工学的な分野の技術体系であろうと私は考えています。それは、CCS事業者の要求を満足する圧入のサイトをいかにみつけるか、安全性が十分確保されたところをいかにみつけるかということです。そういう方向で全体を考える必要があると思います。
そのとき考えなければいけないのは、圧入が可能であるかということと、事業者が考えている総圧入量がきちんと入るか、この2点はきちんと押さえる必要があります。
もう一つは、地下情報を使うということで不確実性の問題をきっちりとらえる必要があるだろうということです。
そういう意味では、最終的にCCS事業は地質工学的な課題を設定して課題解決型の事業といいますか、そういう技術体系であると考えられます。

CO2を圧入するということ CO2が貯留しているということ

具体的にCO 2を圧入するということと、CO 2が地下に貯留しているということは一体どういうことでしょうか。圧入と貯留というのは、当然のことながら岩石中のすき間に何らかのものを入れるということです。そうなると、入れるものの体積の大きさというのは非常に重要なファクターでして、これは横軸が密度で縦軸が深度になっていますけれども、大体1km以下になりますと体積が100分の1とはいいませんが、それに近くなるということで、1km以下をターゲットとして考えましょうというのが世界の大きな流れだと思います。

CO2を岩石のすき間(孔隙)に圧入するとどうなるか

CO 2を岩石の隙間に圧入すると一体どうなるかということですけれども、それは当然のことながら、圧入によって貯留層内の水理学的変化が生じるということです。ここで「数百日」と書いてありますけれども、これは、誤解があるとまずいのですが、つまり圧入した、そういう事象が起きてから貯留層における水理学的な変化が起きる時定数みたいなものとして、非常に荒っぽい数字ですけれども数百日程度ではないかと考えられるのではないかと思います。
この図は、ご承知のように長岡の圧入、これは圧入井と観測井の圧力変化の図になっています。横軸が時間軸で、2,000tでしたか。
  • 村井委員
    20t/day~40t/dayです。
  • 松岡委員
    20t/day~40t/dayで圧入した。そのときの、当然のことながら地下に物を入れているわけですから、地下の水の圧力は増加します。その増加分がここで増加しているようになっているわけです。それで日がたってくると、その圧入をやめると当然のことながらその圧力は減衰して定常状態に戻る。そういうヒストリーを書くわけです。
    すなわち圧入場所に高圧のCO 2を押し込むとCO 2が移動するわけですけれども、同時に周りの間隙の圧力が上昇して、もっと周りの地層水が押し出されて一定時間後に圧力は平常に戻るというわけですから、考えている帯水層の性質というものが、この圧力変化を基本的に規定しているわけです。直感的にいうと、25mのプールにバケツ1杯の水を入れる圧入と、お風呂の風呂桶にバケツ1杯の水を入れるという圧入では、このカーブが変わってくることは十分考えられるわけです。地下の圧力が上がるということは、キャップロックを破壊したりいろいろ問題があるわけで、基本的にはこういうことを十分コントロールしながら長岡でもやられましたし、いろいろなところでやらなければいけないと思います。
    というわけで、当然のことながら無理やり押し込むと貯留層が破壊されてCO 2が漏洩する。すなわち計画的な圧入が必要で、圧入シナリオをきちんと書いておかないとまずいですよということです。
    後ほどご紹介しますけれども、Sleipnerが1本の井戸で年間100万tを入れたというのは、恐らく特例だと私は思っています。そういう意味で、事業として成立するには、年間何トン入れたいという希望があるわけですから、それのシナリオに見合う場所を探す必要があるだろうと思います。

CO2が貯留しているということ3つの基本CO2貯留メカニズム(数十年以上)

次に、貯留しているということはどういうことかというと、基本的に3つのメカニズムがあるといわれていますけれども、1つは構造性トラップ、あるいは残留ガスになってとどまっている。それから化学的な貯留として、溶解して鉱物化が起こったり吸着が起こったりする。3番目として「動的貯留」と書いてありますけれども、これはCO 2が極めて低速度で数百万年かけて地層中を浮力によって移動しながら、これは移動するのですが地表までは出てこないだろうと言うことで、数百万年という数字のオーダーで安全性は保たれているというコンセプトなわけです。

事業シナリオを左右する鍵は圧入シナリオと貯留メカニズム

そういうふうに考えると、実は事業シナリオを左右する鍵は圧入シナリオと貯留メカニズムであるというわけです。すなわち入れるという行為で入るかということと、入れた後CO 2は安全にそこにとどまっているか。とどまっているかどうかのシナリオを書くのは貯留メカニズムです。
これもIPCC Reportから引っ張ってきた有名な絵ですけれども、横軸が時間で縦軸が貯留の割合ということで、圧入直後は構造性トラップが非常に多いのですが、時間がたつに従って貯留メカニズムが変わって残留ガスあるいは溶解トラップ、あるいは鉱物化が起きるといわれているわけです。
油の生産のシナリオを石油会社はいつも書くわけですけれども、それは基本的には生産メカニズムで決まっていまして、石油会社は、それで最大の利益を得るような貯留層を維持管理(生産量を調整)するわけです。
ですから、CO 2の長期操業(貯留)シナリオは貯留メカニズムで決まり、事業者は深部帯水層を管理し、最適なシナリオで操業する必要があるだろうと考えられるわけです。
近年、油価が高いのでEORというコンセプトが出てきたわけですが、前からありますけれども、さらに注目されています。これは、基本的には生産メカニズムを人工的に変えるということです。つまり油のぬれ性みたいな条件を人工的に変化させることによって生産量をコントロールしている。
ということは、我々が考えているCCSにおいても、恐らく同様なコンセプトが成立するであろうと個人的には考えていまして、これは研究者としての興味で「ECS」という名前をつけましたけれども、Enhanced CO 2 Storage、すなわちCO 2は地下において非常に流動性が高いのですが、流動性をとめてやればいいわけです。直感的には界面活性剤と別の、全く逆の働きをする化学物質を同時に、あるいはどこか別の場所から入れてやれば、恐らくCO 2の移動はかなり減速されるだろう。そういうコンセプトが恐らく成立するし、安全等を考えるのであれば、そういうことも研究としては興味深いのではないかなと思ったりします。

事業として行うCCSで考慮すべき事項

そういうわけで、事業としてCCSを行うときの考慮すべき事項として、まず希望する量のCO 2を圧入することができるか、すなわち年間10万t入れたいか100万t入れたいか、年間の希望圧入量が圧入可能な圧入シナリオになっているかどうかということを、実は地下情報から事前に把握しておく必要があります。すなわちキャップロックを破壊しないとか、そういうシナリオを書いておく必要があるわけです。それは、浸透率等で決まる地下の貯留層岩石の特性によってシナリオは決まってくるわけです。
一方、事業全体として30年操業するについて総圧入量は一体どのように考えればいいかというと、それは恐らく貯留メカニズムの検討であろうと思っています。帯水層の特性(体積・孔隙率・置換率など)、あるいは浮力によって移動するということも考えなければいけないだろうと思います。
それから、当然のことながら安全に実行が可能であるかということも、最も重要な点です。
今まで世界でやられてきた大きな2つのプロジェクトがあります。まだ途中ですけれども、1つはSleipnerで、もう1つはIn Salahです。ワイバーンについては、基本的にEORというコンセプトなので、ここでは省かせていただこうと思います。

深部帯水層でのCO2圧入

これが有名なSleipnerですけれども、ご承知のようにSleipnerの特殊性というのは、ターゲットとしている深部帯水層の大きさがものすごく大きいということが第1点、2点目は浸透率が1~3ダルシーということで、通常の油田などの100倍程度で、浸透率が高いということです。それで年間100万tを入れているという状況です。

Sleipner油田の地震探査例 圧入量100万t/年

これは、モニタリングとして三次元の地震探査を適用した例ですけれども、これは、二次元の断面でして横軸が距離で縦軸が深度方向、深度軸です。
CO 2を圧入した後は、CO 2が確かに帯水層の中に入っている。この断面からもわかりますように、帯水層の厚さが非常に厚いということがここのもう一つの大きな特徴なわけです。

CO2圧入例:Sleipnerの教訓

Sleipnerの教訓として、Sleipnerのフィールドの地質学的な特性をまとめてみたのがこれですけれども、帯水層の規模が南北400km、東西で50km~100km程度ありまして、面積としては2万6,000平方kmということで、ものすごく巨大な砂の層があるということです。しかも層厚が200~300mと非常に厚く、CCS事業にとっては理想的な場所であったわけです。しかも、帯水層の岩層はほぼクリーンな未固結砂岩層で、孔隙率が30%前後あって、特に浸透率が1~3ダルシーというような非常に大きな浸透率をもっている地層だということです。
一方、長岡の岩野原の例ですけれども、これは、あくまで小規模テストで日本の代表例ではないというふうにお断りしておきますけれども、例えばここでやったときにはどうであったかというと、実は帯水層の規模について具体的データはもっていないので、ここは?マークにしていますけれども、決してそれほど多くはないと思われます。それからターゲットの層厚は60m程度で、砂岩ですけれども、泥のものも少し含まれていると聞いています。孔隙率は23%で、浸透率は最大で10ミリダルシー程度ということで、これについてはSleipnerに比べると100分の1ぐらいの、そういうところだったということです。
それで、ここで一つの結論として、恐らくSleipnerでは年間100万t規模を圧入したのですが、圧入の困難性はなかったというふうに私は感じています。すなわち圧入によってキャップロックが破壊されるかどうかというような議論については、このフィールドでは余りする必要がなかったのではないかなと思います。要するに入れるだけ入ってくれた、つまり25mプールに100万tといってもバケツ1杯ぐらいしかなくて、入れた途端に全体として受け入れてくれたというようなフィールドではなかったかなというふうに思われます。

アルジェリアIn SalahでのCO2圧入実験

もう一つの例です。これはIn SalahでBPが行っている圧入ですけれども、生産井を4本掘って、圧入井3本掘っています。圧入量はSleipnerと同じ100万tですけれども、圧入井を3本掘っているわけです。つまりSleipnerは100万tを入れて1本で済んだのですが、ここは恐らくBPの技術屋が考えて圧入井として3本必要ではなかろうかと思ったのではないかと思います。
場所はアルジェリアの砂漠の真ん中でして、4本の井戸から出てきたガスを、CO 2を分離して3本の圧入井で入れている。

アミン法でのCO2回収

全体はこういうふうになっていまして、地質構造は基本的には二層構造で900m、それから下の泥岩が950mあって、その下の約20mのガスが含まれている地層、そこからガスを取り出して、そしてCO 2を分離して同じ地層に圧入しています。そういう意味で、圧入しているところの地層は20mぐらいの地層である。深度が大体1,900mぐらいでかなり深い。実は浸透率もよくわかりませんけれども、恐らく数十ミリダルシーではないかと考えられます。

干渉SAR(Synthetic Aperture Radar)解析

話がちょっと飛びますけれども、実はこのフィールドで最近非常におもしろいモニタリングの結果が出ました。それを簡単にご紹介したいと思います。その手法は「干渉SAR」という手法ですけれども、これは衛星に搭載されている能動型のマイクロ波レーダを使って、開口合成レーダですけれども、それを用いることによって地表面の変動をミリ単位で計測できるシステムです。
具体的には、2回衛星が飛んできたときのターゲットからの距離を決めることができて、その2回、つまり圧入する前と圧入した後で衛星が飛んできて、その距離をはかることによって、その距離の違いから地表がどれだけ変形したのかを推定しようという手法です。
これは、実は私の仕事ではなくて他の方がやられた非常に興味深い結果です。

アルジェリアIn SalahでのCO2圧入解析

これが上から撮った写真でして、つまり砂漠ですから、全く植生がないということです。この手法がどこでも適用できるかどうかについてはかなりクエッションマークで、ここのBPがやっているIn Salahではかなり成功したと考えられる手法です。

解析結果

まず解析結果ですけれども、右の絵は、三次元地震探査を行って、ガス層のリザーバーのトップの深度コンタになっています。左は、実は解析結果ですけれども、その前に、ここに赤い4つ棒が引いてありますけれども、これが生産井です。すなわち構造の一番高いところに井戸を掘ってガスを生産して、圧入はその脇に3ヵ所、ここと、北東部と、北西部で圧入しているという状況になっています。
それで、これはすべて傾斜掘りされていまして、水平坑井で、四角のところから、棒が引っ張ってありますけれども、その区間で多分均一に圧入しているのではないかと考えています。
地表変形の観測結果ですけれども、ここに書いてありますけれども、赤のところが最大で年間7mm隆起したエリアです。すなわちCO 2を地下に圧入することによって地表が隆起して、ここは水色っぽくなっていますけれども、生産することによって地表が年間1mm~2mm程度沈降しているという結果の絵になっています。

In Salah 地表変形の時間的変化

興味深いのは、時間的な変化を追ったのがこれです。まずここに日付が書いてありますけれども、この日付は、実は衛星が飛んできて衛星観測された日付です。すなわち観測データがあるときです。個々の観測データをもとに地表の変形が時系列的にどのように変化したかというのをあらわすのがこれですけれども、まず圧入を始めてから時間がたつに従って、最初にこういう1と3の場所で地表が盛り上がっていくのですが、最後のここの段階、2008年5月31日直前の段階で3番目の井戸の地表が急激に変化しているといいますか、盛り上がりが急激であった。生産井は生産に伴って地表が沈んで、圧入に伴って地表が盛り上がっているという結果になっています。

変形の履歴

これをもう少し詳しく、4つの点を選んで時系列にどのように変化しているかというのを書いたのがこれですけれども、圧入を開始することによって、まず○(丸)の生産に近い点は明らかに地面が5mm、最大で7mm程度沈降して、そして圧入に伴って一番高いところは1cm程度地面が盛り上がった。その盛り上がり方は、3つの圧入井によって△の黄色がこの場所です。それから□のピンクが一番下のここです。初めは全然変動がないのですが、最後に急激に変化している。それから水色は平均的に変化してくる。これは、この3本の井戸で均一に圧入しているかどうか、これも情報が明確でないのでわからないのですが、圧入量とその場所の地質的な影響によってこういう結果になっているのではないかと思います。

KB-502での変形

それからさらにみてみますと、これは、一番北東にある圧入井、KB-502という井戸の近傍における地表変形をみてみると、2つのグルーピングができて、1つは圧入を開始して地面が盛り上がってくるのに対して、こちらの黄色でハッチングされているのは圧入から時間リレーがあって盛り上がっている。ということは、恐らく圧入した流体は均一に流れるのではなくて、地下で何らかのことが起きて初めにこういうところに流れて、次にこういうふうに流れ込んでいったということが予測できます。
これは、中でフラクチャーが生じていたという話があります。このフィールドでフラクチャーの方向が、実は北西から南東方向にフラクチャーの構造があるんだということが指摘されていまして、ある意味では圧入したCO 2によって貯留層が多少影響を受けて、そういうふうな流れができたのではないかなと考えられるわけです。

CO2圧入例:In Salahの教訓

これの教訓ですけれども、圧入初期に貯留内の間隙圧力が上昇して地表が隆起、地表が隆起というと、一般的に聞くと安全なのかどうかという話になるのですが、環境問題になるのではないかと思いますけれども、直感的には、全体的に1cm程度盛り上がるというレベルの話です。ほかの原因によって地表というのはものすごく変動していますから、それに比べると、石油業界にかかわる我々にとっては環境問題を起こすほどの強い変形ではないと思っています。
そういうことがIn Salahのデータを使って解析できて、これをもっと解析すればCO 2貯留層内部の構造、あるいはCO 2の流れについても何か知見を得ることができるのではないかなと思われます。
ここに3つほど書きましたけれども、まず層圧が20mだということ、Sleipnerは200m~300mあった。浸透率は恐らく10ミリダルシー以下であろう。圧入井は3本であろうということです。それで、先ほどの隆起は、もしも圧入した後、帯水層がものすごく広くて、それを完全に受け入れてくれれば、いずれ圧力は下がりますから、あの隆起はなくなるわけですね。そういう意味ではもとの状態に戻る。ここは20mという比較的薄いところに、しかも10ミリダルシーというなかなか流れづらいところに入れたために、局所的にトータルとして1cm程度隆起してしまったんだろうということです。そういう意味で3本の圧入井を掘った理由も十分も考慮できるわけです。
これは、ここのフィールドの推移というのは、もしかしたら将来日本のフィールドを考えるときに、圧入ができるかどうか、あるいは圧入によってどういうことが起きるかということ、比較的薄いところにどれだけの量を入れたらどういう影響が出てくるのだろうかという情報をもたらしてくれるのではないかと思われます。

課題解決型CCS事業の作業フロー

そういうわけで、CO 2の事業、作業がずっと続くわけですけれども、その中で地質情報は基本的にどのように利用されてどういう課題があるかということですが、全体の事業としては恐らく3の段階に分かれるだろうと思います。1つ目が調査・計画段階で、次が実際の圧入作業、最後が圧入終了後の話であろうと思います。第1段階と第2段階を分けるところに、経済性の評価が入ってくるわけですけれども、私のきょうの話のストーリーとしては、ソースから発想して排出源を特定して圧入量を決定して、それにふさわしい場所を探そうということです。そのために当然各種の調査を行う必要があるわけです。それをもとに貯留量の推定を行った事業計画を作成する。それに必要な情報が必要になってくる。基本的には、恐らく地震探査であったり、あるいは試掘井を掘るということだと思います。
それから、その情報をもとに帯水層を調査するわけです。それで、帯水層の調査ということで、一ついっておきたいのは、今まで石油会社は帯水層というコンセプトはありますけれども、帯水層はターゲットではないわけです。要するに石油があるところがわかればいいわけです。石油があるところがわかれば、あとは帯水層の広がりを考慮してどういうシナリオを書くかですかけれども、今までのお話でご理解いただいたと思いますけれども、今回のCCSは帯水層の広がりが一番重要な情報になります。帯水層が狭い、つまり帯水層が小さいということは、どれだけ入れられるか、その量が必然的に決まってくるわけです。地下を探査する技術屋として、地下1,000m以下のところで具体的に帯水層の広がりはこれだけですということをやった例は余りないのではないかと思います。そういう意味では、そこをきっちり押さえて帯水層の広がり、つまりここの情報が圧入に関してどういう時定数をもって、そして圧入直後に急激に圧力が下がってくれる帯水層なのか、それとも長時間なかなか下がらないのか、そういう議論をする必要があるだろうということです。
次に具体的に事業が始まったときには、当然のことながらモニタリングをやる必要があるわけです。それは、先ほどからいっているように操業管理、運営になるわけです。つまり計画どおりに圧入が進行しているかどうかということのための情報収集が必要である。もちろんここの段階での漏洩監視というのは重要なファクターです。事業として収支を考えると、つまり圧入している井戸の圧入量がだんだん増えてきて、圧入できなくなってくるということは当然考えられるわけで、そのときに、仮に次の井戸はどこに掘ればいいか、そういうフィードバックを含めて事業全体の管理をするために十分な情報をとる必要がある。すなわち漏洩の監視以外にそういう方も恐らく、ある意味では重要なファクターになるのではないかと思われます。

CCS事業における地下情報の利用方法と課題

最後は、当然のことながらモニタリングをして、最終的には安全宣言をするという長期的な監視が必要だろうと思います。
各ステージにおいて、どういうような情報をとればいいか。一番初めの調査計画段階では数年、これは油田の開発と同じように数年間時間をかけて事業計画と経済性評価ができるだけの十分な情報をとる必要があるだろうと思います。基本的には帯水層の構造とジオケミに関するいろいろな情報を取得する必要があるだろうと思います。
2番目は、操業が行われている間、20年~40年にかけて、つまりシナリオは常に修正されるものですから、そういう意味ではシナリオを修正するために必要となる情報を取ると同時に、安全性評価の情報をとらなければいけない。
最後ですが、終わった後は、最終的には安全宣言をだれがどの時点でやるかはわかりませんけれども、そういうことをやるために一体どうしたらいいか。そういうためにどういう情報をとればいいかということを考えなければいけないと思われます。
実は、地下情報というのは不確実性がほかの分野に比べると非常に大きい。特にいつもいわれるのは宇宙開発などに比べると非常に大きいと、いつもお叱りを受けますが、こればかりはどうしようもないところがあって、そういうことを考慮して評価していくことが必要であろうということです。

ステージ1調査目的:CO2圧入可能な帯水層の同定

これは、同じようなことを書いていますけれども、ステージ1では、手法としては二次元あるいは三次元の反射法が行われて、それで試掘をして、ある程度調査井を掘って、それが圧入井になっても全然問題ないのですが、コアをとっていろいろな作業を行って、貯留層のシミュレーションを行って、操業ができるか圧入ができるかということで、情報が不足すればこういうループもあるだろうと言うことです。取得すべき情報は、こちらに書いてあるようなものだと思われます。そして経済性を評価してGoになる。

ステージ2目的:最適操業と漏洩監視 観測データは時系列的に変化する

ステージ2は、今度は最適操業と漏洩監視というのが基本的な目的です。この目的に合ったデータを我々は時系列的に日々とっていく必要があるということです。それは、恐らく圧入したCO 2の分布の把握、これは圧入というコンセプトと貯留というコンセプトにかかわってくるだろうと思います。それから、地下での間隙圧の変化、あるいは圧入量の変化とか、同時に地層水の化学的な変化というものも観測できればやった方がいいのではないか。
それでシナリオを修正しながら、最終的に操業を行うと同時に漏洩アラームというものを常に出せるようにしておく必要が当然これはあるわけです。
情報収集の手法としては、いろいろな手法が考えられると思いますけれども、恐らく常設型の三次元反射法というのが一つの大きなツールになると、私は個人的に考えています。

ステージ2:モニタリング手法

実は、これはBPがつくった絵ですけれども、横軸がコストです。縦軸が、そのコストに伴って効果がどれだけあるかという絵をつくっています。
これはBPの物、そのままのものをもってきたのですが、要するにコストが安くて効果が大きいものはすぐにやろうと。コストは高いけれども効果は非常に大きい、「四次元の反射法地震探査」がここにありますけれども、これは現在のコスト評価としてここに来ていますけれども、個人的には、これはもう少しこちら側に動くのではないかと考えています。ここに「埋設地震探査」と書いてありますけれども、常設型の海面に設置するようなシステムを考えれば、恐らくコストはずっとこちら側によってくると考えられます。
それからもう一つ、先ほど紹介したIn Salahというのは、コストは非常に低コストで効果もあると思いますが、いかんせんこの手法が適用できるのは陸上の、しかもある限られた場所というふうな注意書きが必要だと思います。

ステージ3目的:安全宣言への情報提供

最後のステージで、安全宣言への情報提供になりますけれども、これは実施したCCS事業におけるリスクプロファイルを各事業でどのように書くかということになってくるのではないかと思います。
これは横軸が時間で縦軸がリスクの値ですけれども、圧入を開始したときにリスクが高まって、ある程度リスクが高まったまま圧入を続けていけるだろうと。ここで圧入期間が終わった後、直感的にいうと漏洩のリスクだと考えていいと思いますけれども、それは急激にダンピングしていきますけれども、実はどこまで、このカーブをどのように評価するかということが最終的には重要になってくるだろうと思います。
このプロファイルをどのように書くかというのは、今のところ私も全然アイデアがないわけですけれども、地質学的な条件、地域性などを加味して圧入した帯水層の変化の時定数の推定、すなわち圧入ということは貯留層に対して何らかの変化を起こしているわけですので、入れた瞬間には最低限圧力は上がっているわけですから、それがどのようにもとに戻っていくかというコンセプトでこのグラフを個々に評価することによって安全性の宣言をどの時点でやればいいかということもわかってくるのではないかと思います。

ステージ3目的:安全宣言への情報提供

安全宣言への情報提供としては、やはり固有サイトでの貯留メカニズムの理解が必要だと思います。それでこの絵は、ある意味で非常にコンセプチュアルな絵になっているわけで、縦軸に数値が全然入っていません。すなわち圧入直後に構造性トラッピングが80%なのか60%なのか、あるいは何パーセント溶解したかというのが全然入っていないわけですね。モニタリングの役目というのは、この絵を完成させること、もしこの絵をきちんと描くことができれば、将来予測はシミュレーションによってできるわけですね。この絵をきっちり描き上げるには、恐らく圧入という事業が、つまり操業が終わるぐらいの時間が必要で、いろいろな情報をとりながら、なるべく正確な絵を描く、それが1,000年とか1万年の、つまり横軸のスケール、ここが100年、1,000年、1万年ですから、そういうスケールでの議論が初めてできるというふうに考えられるわけです。ですから、固有サイトでの右の絵の完成、これによって将来予測ができるだろうと思います。
最後に必要があれば、人工的にこの貯留メカニズムの絵を我々が能動的に変えるという努力も、もしかしたら可能なのかもしれません。

CCS事業における地下情報利用の課題

課題ということですけれども、今までお話ししたことのまとめになると思いますが、CCS事業のシナリオ全体をコントロールしているのは帯水層の地質学的な特性です。そして事業としてCCSの地中貯留は、以下の2つの要素でコントロールされて、事業シナリオとリスクプロファイルは、CCS事業のサイトごとに変わる可能性が大きいわけです。一般的なシナリオ、あるいは一般的なリスクプロファイルというのは、コンセプトとしてはありますけれども、恐らく具体的なサイトで考えていかなければいけないと思います。
一つは圧入という概念と、もう一つは貯留という概念を分けて考える必要があるのではないかというのを主張したいと思います。圧入と貯留というのは、それに伴って引き起こされる現象みたいなものが違ってきて、圧入というのは基本的に物理学的あるいは水理学的な問題で、貯留というのはケミカルな話が入り込んだもっと複雑な話になってくるというふうに思われるということです。
最後に、個々のCCS事業を行う帯水層に対して、ミクロ・マクロスケールでの超臨界CO 2と岩石鉱物・地層水との物理化学的な相互作用の検討をもとに、各プロセスに対する理解を深めることが重要ではないかと考えています。
以上です。済みません、時間をかなりオーバーしてしまいました。
  • 松橋座長
    ありがとうございます。大変ダイナミックなお話をわかりやすくしていただきまして、理解が深まったと思います。
    それでは、早速今の話に関しましてご質問等伺いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
    それでは、皮切りに私から簡単な質問をさせていただきたいと思います。
    In SalahでCO 2を圧入して徐々に地表が盛り上がってくる絵は大変おもしろい絵ですが、最大で2cm弱程度の隆起が起こっているということですが、これは、地表の隆起のガイドラインというものはないのかもしれませんが、どの程度までだったら、あるいは年間どの程度までだったら許されるといいますか、そういう安全の観点から。
  • 松岡委員
    東京都などで地下水をくみ上げた途端に1年で数センチは簡単に沈みますよね。私は専門外ですけれども、そういう意味で、基本的にはどの場所か、つまり都会、人間が住んでいる場所か、今回は海底の話をされているわけですから、1cm海底が盛り上がったことに関してどうこうするという議論をする必要があるかどうか、よくわからないといいますか。
  • 松橋座長
    ご趣旨としては、それほど影響ないと。
  • 松岡委員
    基本的にはないと思います。
  • 松橋座長
    海底か地中貯留であればということですね。
  • 松岡委員
    はい。アメリカなどでは油田で地表沈下が起きていますし、特に一番激しい地下水くみ上げによる地表の変形に比べると、これはほとんどミリ単位だと私は理解しています。
  • 松橋座長
    わかりました。ありがとうございます。
    ほかにいかがでございましょうか。それでは鹿園委員お願いいたします。
  • 鹿園委員
    Sleipnerでは孔隙率が大きくて砂岩層が厚いのでCO 2は圧入できるので非常にいいということだと思いますけれども、それに比べると、孔隙率が小さい場合は、CO 2をかなり圧入すると圧力が高くなって地表が盛り上がってきたりとか、そういう危険性があるということですけれども、ただ、孔隙率が小さくて、CO 2を入れてもそれほど、かえって移動しにくいという、そういう点もあると思いますので、いい面もあるかなと。
    そうすると、一本の井戸で入れるのか、それとも幾つも分散して入れるのかとか、その辺をうまく考えて検討していけばいいと、日本ではそのようなことが考えられるのかなとちょっと思ったのですが、そういうようなことでよろしいのでしょうか。
  • 松岡委員
    基本的にはそういうコンセプトをもって計画を始めないと、Sleipnerのようなことだけで計画を始めると、恐らく専門家がやると思いますので、年間の圧入量がどうなるかというのは、予想シミュレーションをやっている人は日々考えておられることだと思いますので、どこに井戸を配置したら一番いいかというような議論も中では必要になるのではないかなと思います。
  • 松橋座長
    よろしいでしょうか。
  • 鹿園委員
    はい。
  • 松橋座長
    ありがとうございます。
    ほかに委員の皆様からご質問等ございますでしょうか。澤田委員どうぞ。
  • 澤田委員
    ご存じでしたら教えていただきたいのですが、陸上はいいのですが、海、沿岸地域とか海底ですと、数センチオーダーの地殻変動を精度よく検出する手法というのはありますかね。
  • 松岡委員
    知りません。
    一言で済みません。傾斜計というコンセプトもありますけれども。
  • 澤田委員
    置いておいて。
  • 松岡委員
    置いておいて角度をはかるのですが、傾斜計というのは、地面が瞬間的に動くともちろんいいんですけれども、実は地球潮汐を考えると、地球の表面はこれ以上に変形しているんですよね。当たり前ですけれども、地球潮汐の影響が傾斜計は全部のってしまいますので、その中から一年で数ミリをみつけるというのはかなり大変かもしれないです。
  • 澤田委員
    ボーリングを掘って傾斜計を入れればはかれないことはないですね。
  • 松岡委員
    はかれないことはないと思います。
  • 澤田委員
    わかりました。ありがとうございます。
  • 松橋座長
    それでは村井委員お願いいたします。
  • 村井委員
    今の続きで、海底電気探査システムというのが書いてありますけれども、具体的に教えてほしいのですが。
  • 松岡委員
    セッティングは一応海のところにというセッティングで、実は薛先生が次回のときにご説明されるところとちょっとかぶっていますけれども、広がりをみるのには地震探査がいいのですが、中に入っているCO 2の量の評価になってくると、実は電気的な手法の方がいいという見解を我々はもっていまして、そういう情報をとるために電気探査というものも考えた方がいいだろうと言うことです。
    ただ、それが海なのですが、最近この分野はかなり進歩が激しくて、過去10年ぐらい、目的は全然違いますけれども、非常にいろいろな研究を、石油会社がこの技術を開発しているので、可能性はあるのではないかと思います。
  • 松橋座長
    ありがとうございます。
    ほかにはいかがでございましょうか。佐藤委員お願いいたします。
  • 佐藤委員
    先ほどIn Salahで圧力が高過ぎるのではないかというお話、私、前々回簡単にご紹介したのは紙の上の計算ですけれども、100万t入れるにはどのぐらいの大きさの水層が必要かというお話をしました。あれはただスタティックな状態ですから、100年、200年後に落ち着いたとき、実際操業している最中を考えますと、井戸の周りはやはり圧力が高くなります。物が流動するには圧力が高い方から低い方へという圧力勾配が必ず生じますので、その圧入井にかかる負担は、結局浸透性のよしあしですから、Sleipnerの場合ですと数ダルシーということですから、本当に一本でどんどん入っていく。多分In Salahだと少し浸透性が悪い。ですから、坑井をうまく配置しなければいけない。多分日本もそんな感じに近いかなという気はしました。
    ただ、操業上は割れるほどの高圧をかけて入れることは多分ない。それは圧入井でわかっていますので、In Salahでも圧入できないものは大気放散しても別に構わないと思いますので、多分そういう強引なことはしていないのではないかと思います。それは誤解がないようにしていただきたい。多分地下の貯留層の分布はそういうふうになっていたということだと思います。
    それから、先ほど統計学的にというのをどこかで触れられましたか。
  • 松岡委員
    いや。
  • 佐藤委員
    触れていませんか。それでは結構です。
    それから、ちょっと訂正させてください。EORの話ですが、帯水層とは関係ないので、本論と関係ないのですが、炭酸ガスのEORで、そのぬれ性を変えるということは考えていません。申しわけありませんが。
    それとEORと帯水層との大きな違いは、EORは油をとるためにどうしても生産井があります。ですから、プレッシャーシンクがあってガスを引っ張ってしまうわけですね。そうすると、特に、前回ご説明しました掃効率が悪くなる、つまり貯留効率が悪くなっていくことがありますが、帯水層で入れていく場合はかなり違いますので、かなり違った考え方ができるかと思います。
    ちょっとコメントさせてもらいました。
  • 松岡委員
    In Salahについて誤解があってはいけないのですが、もちろんBPはターゲットにむちゃくちゃ入れているわけではなくて、今佐藤委員からご指摘があったように基本的にはキャップロックの破壊圧を必ず考えて、それでコントロールしているということですね。ですから、一つは透水率。パーメリアビリティーついては、圧入に伴って、もしケミカルな反応が起きてくると、その値が変わる可能性が考えられることも指摘されているわけですね。そういう意味で、一番初めに坑井を掘ってコア試験で全部データをとりますけれども、そこら辺は、そういうことももしかしたら少し考えておかないと、初めにもっている井戸の周りの透水性が30年後まで同じかということは、もしかしたらいえないかもしれないということです。
    それから、EORについては、私、完全に人で、コンセプトとしては、能動的に貯留メカニズムというのはいろいろ考えられていますけれども、それに対して、例えばこの事業を40年ぐらいの規模でやるわけですから、その間に貯留メカニズムについて何らかの手を我々が加えられる知見が出てくれば、そうなると、また違った展開が起きるのではないかという、その程度の話です。
  • 松橋座長
    よろしいでしょうか。
  • 佐藤委員
    はい。
  • 松橋座長
    ありがとうございました。松岡委員どうもありがとうございました。

その他

  • 松橋座長
    それでは、時間が参っておりますので、次の議事に入りたいと思います。
    それでは、続きましてWell Barrierについて、資料3でございますが、これは長谷川委員から、前回の補足説明ということで、大変恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
  • 長谷川委員
    お手元の資料3でご説明させていただきます。前回村井委員からご質問をいただいて、ちょっと答えきれなかったものですから、少し調べてまいりました。
    Well Barrierというのは、ここに書いているとおり地下貯留層からの油・ガスの流出を防ぐ仕組みでございまして、これはノルウェーの基準ですけれども、「掘削に係る作業を開始する前に必要なWell Barrierの構成要素を明確にしなければいけない」ことになっていまして、次の下の方の図に描いていますけれども、一次、二次のBarrierを記載します。下の方の例が、一つの例でございますけれども、通常は一次、二次といっていますけれども、採掘するときに、最初大きい管で掘っていって、その後、細い管に切りかえていくという形になりますので、当然大きい管と小さい管の間にすき間ができますので、その間をこういう形でセメントで固めていって、継ぎ目のところにもセメントを入れて、そういう形で最初の管のキャップロックを一次でやって、それで生産管、その後に二次に行くという形にして、そのすき間のところにコンクリートとかキャップを固めていくというような形の構成になっています。
    だから、油・ガスとか圧力が高いですから、すき間があれば当然漏れてきますから、それを防ぐためにこういう二重の形でやっているというのが現状でございます。
    この間、漏れた例は、このすき間から通して漏れたという例だったと思っておりますので、参考までにご説明させていただきました。
  • 松橋座長
    ありがとうございました。
    ただいまのご説明に関しまして何かご質問等ございますでしょうか。よろしいですか。
    それでは、大変ご丁寧にありがとうございました。
    それでは、次の議事でございますが、先ごろ開催されましたCOP14/CMP4におきますCCSのCDM化に関する議論の状況につきまして、事務局からお願いいたします。
  • 三橋地球環境技術室長
    お手元の資料4に基づきまして、関連するということで簡単にご紹介したいと思います。
    先般私、CMP、ポズナニに行ってまいりまして、このアジェンダも全体会合、非公式な会合を含めてずっと追ってきましたので、その経緯を含めて概要をご紹介したいと思います。
    「経緯」ですが、まず、この2年前のCMP、すなわちナイロビの会合でCCSのCDM化に対するガイダンスを今回のCMPで決定するということがあらかじめ決められておりまして、それまでに必要な事務的な検討のレコメンデーションが本来上げられて、それで最終的に閣僚レベルの決定をもってガイダンスとするというのが予想された流れでありましたけれども、今回事務的な検討、すなわちここで書いてありますが、やや技術的になりますけれども、「SBSTA」と呼ばれています科学上及び技術上の助言に関する補助機関会合という場で事務的な検討がずっと2年間、本来行われてくるべきだったのですが、ここの議論が、賛成派と反対派で非常に強く分かれたまま議論は並行線でありまして、最終的にCMP開催期間中に開かれたSBSTAの最終的な会合においては、賛成派あるいは反対派両者の歩み寄りがなくて、結果として「結論なし」という決定であったという経緯がまず第1としてございます。
    その中では、EUがCCSのCDM化をパイロット的に、あるいはテスト的な形で実施するということで、既に名前が挙げられるような8プロジェクト、年間200万t相当ですから、一定程度、8つ合わせますと1,600万tレベルの貯留量について、まずCDM化をテスト的にやってみてはどうかという提案を実際に行っていました。
    結果として、最初にSBSTAの議論の中では大きく3つの決定案というのがございまして、1つは、これは幾つかの条件がありますけれどもCCSのCDM化を指示するということが書かれたもの。もう一つの案の2というのは、CCSのCDM化を指示するというのをパイロットフェーズという形で実施するというもの。3つ目は、CCSのCDM化は反対というか、やってはいけないというエリジビリティーがないという結論。この3つの柱の併記のまま最終的に「結論なし」であったというのが経緯でございます。
    ところが、2週間いますといろいろなことが起きまして、一方でCCSのCDM化を、今回閣僚レベルの会議で唯一無二のアジェンダだと思って担いできた中東諸国、特にサウジアラビアが非常に強硬でありまして、このSBSTAの議論がうまくいかないのとは別に、CDMという別のアジェンダの交渉が行われているグループで、CCSのCDM化に最も強く反対をしていたブラジルが、森林プロジェクトのCDM化というのを提案していたところに、そこに同じようにもう一回CCSのCDM化をぶっつけたような形で併記の提案、つまりこれは両方一緒だというリンケージを張ってきた。こいう経緯が発生しまして、ここでは1ページ目の下に「カタール」と書いていますけれども、このカタールはサウジアラビアにおしりを蹴られて発言しているような状況でありまして、実質的にサウジアラビアの提案であるというふうに会議場全体はみているのですが、この両方がリンケージを張られた形で未調整のテキストとして、閣僚会議最終日の議論の裏でも、非公式の閣僚会議ということで、関連諸国が議長に順次呼ばれてテキストが調整されるというプロセスになりまして、最終的に1ページ目の一番上に書きましたパラグラフ41と42というのがCDMというアジェンダのもとで設定されました。
    ごらんいただきますとわかりますのは、CDM理事会の方で、このCCSのCDM化による影響を評価して報告することになっています。その際の評価に当たっては、技術的あるいは方法論的、法的な検討を行うことになっております。
    危うく閣僚レベルの決定が何もなかったところで、ぎりぎりこういう5行程度のテキストが入ったということを成果とみる向きもありますけれども、もともとを申し上げますと、CDM理事会の方に方法論の提案があって、それをどうすべきか、取り扱いを考えあぐねたCDM理事会が、CMPにガイダンスを求めたというのが2年前の経緯ですので、やや押し戻されたという感じではありますけれども、重要なところは、ブラジルが非常に重要だといっていた森林と抱き合わせになっていて、パラグラフ42をごらんいただくとわかりますけれども、ほとんどテキストの記述が同じ記述になっておりまして、抱き合わせになったということで、ブラジルも非常に強硬な反対がしづらくなっているというようなことも全体としてはありまして、両方があわせてCDM理事会で検討されて、来年のCOPに挙がってくるということに構造的になった点は、推進派のグループからみますと、政治的決定を求めるという意味では少し前に動かす力になっているのではないかなというふうに評価されます。
    資料の後半の方に、政治的な動きは別に、個々の国がどういう背景で賛成あるいは反対といっているかというところがわかるところということで、SBSTAの議論あるいはCMPの議論の中で、特にSBSTAで最初に各国がステートメントを読み上げたところの概要を、私がメモをとってきたものを書いてございますので、ごらんいただくと、幾つか注目すべきは、サウジアラビアはかなり気合いが入っていたというのもおわかりいただけますけれども、アルジェリアは、先ほどIn Salahの説明がございましたが、現在事業に収益性がなくて、このままでは継続できないとはっきりいっていた点が注目されます。
    それ以外にブラジルは、CCSという技術に反対しているわけではなくて、CDMとして採用されることの影響が、CDMという、あるいはカーボンの市場に悪い影響を与えるということをいっているということ。
    それからベネズエラも同じように産油国ですけれども、ベネズエラもどちらかというと反対の国ということで、最後の深夜の閣僚会議の決定の中でも、ベネズエラが自分は非公式の調整をちゃんと受けていなかったということで、ぎりぎりまでごねるということがあったというのが経緯でございます。
    ご参考までということで、お時間があれば各国の発言をごらんいただければと思います。
    以上でございます。
  • 松橋座長
    ありがとうございます。
    CCSのCDM化、これも海外においてプロジェクトとして成立するためには非常に重要な点だと思いますが、これに関しまして非常に具体的で詳細なお話をいただきましてありがとうございます。
    これに関して何か質問等ございますでしょうか。
    期待というか、見通しとしては、次回のCOPまでには何か具体的な動きがありそうでしょうか。
  • 三橋地球環境技術室長
    注目すべきところは、次回のCOPは、一応バリの行動計画では京都議定書の約束期間の次の約束期間のルール設定が合意されることになっておりますので、非常に政治性の高い重要な会議の中の一個のアイテムとして取り上げられる、是非論が最終的に取り上げられるということで、全体の大きな合意のパッケージの中に入り込んでいくという可能性もございます。
    あともう一点は、申し上げています特に事務的な議論で非常に強硬に反対をしていますブラジルとグレナダの2ヵ国は、参加者がCDM理事会の理事のメンバー本人がCMPの事務方の会合に出てきて反対しているという経緯がございますので、この反対の人たちは、同じようにCDM理事会に議論を戻しても、そこではかなり消極的な可能性がありまして、議論の不透明性は非常に高いのですが、半年に1回しか集まらないSBSTAで議論するよりは、年間6回程度の議論の機会がありますし、CDM理事会としても非常に集中した議論を用意して報告をまとめてくると思いますので、来年プログレスがあることが期待できると思います。
  • 松橋座長
    わかりました。ありがとうございます。
    それでは、本件はよろしいでしょうか。
    ありがとうございます。
    それでは最後に、今後の予定等について確認したいと思います。
  • 三橋地球環境技術室長
    年末まで皆様のご協力をいただきましてありがとうございました。
    一番最後に、今後の会合予定が書いてございまして、このワーキンググループは、次回第4回が1月19日に設定されてございます。差し支えなければこの場で2月に開きますその次の会合の日程を調整させてほしいと思いますが、今座長とご相談いたしまして2月16日の週で開催したいと思いますが、委員の皆様でご都合が悪い日にち、あるいは時間帯がある方はおっしゃっていただけますでしょうか。
  • 岩田委員
    17日の午後は全くだめですね。代理も出せない状態です。
  • 三橋地球環境技術室長
    はい。
    いかがでしょうか。大学の先生方は論文審査とかあると思いますので、どんな感じでしょうか。
  • 松岡委員
    済みません、私は16、17は大学院入試で、18、19は修士の公聴会と審査がありまして。
  • 松橋座長
    そうすると、状況としては20日しかないということですね。20日の金曜日はいかがでしょうか。ご都合が悪い委員の皆様いらっしゃいますか。
  • 佐藤委員
    午後は来られないですけれども。
  • 松橋座長
    そうすると、20日の午前中という形はいかがでしょうか。
  • 佐藤委員
    お気にしないでどうぞ。
  • 岩田委員
    午前というと代理になるかもしれません。
  • 松橋座長
    そうですか。今の感じですと20日の午前が唯一のソリューションという形で、大変恐縮ですが、岩田委員、代理の方を立てていただいて何とかお願いしたいと思います。どうもありがとうございます。
  • 三橋地球環境技術室長
    それでは20日の午前10時~12時ということで、後日またご案内をさせていただきます。
    それからもう一点、やや事務的になりますが、きょう24日付以降、このCCS研究会ワーキンググループの検討に、事務局として財団法人日本エネルギー経済研究所の協力を得ることになりました。事務的にやや重複いたしますが、そちらとの委託契約の関係で、委員の皆様に再度委員の委嘱の手続など書類が郵送されることになりますが、ご対応をよろしくお願いしたいと思います。また、今後旅費あるいは謝金などの取り扱いもそちらの方を通じてということになりますので、ご理解のほどをよろしくお願いいたします。
  • 森田事務局補佐
    どうぞよろしくお願いいたします。
  • 松橋座長
    それでは、これをもちましてCCS研究会、CCS実施に係る安全基準検討ワーキンググループ第3回会合を終了させていただきます。
    どうもありがとうございました。

以上

 
 
最終更新日:2009年1月28日
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