経済産業省
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企業統治研究会(第3回)-議事要旨

日時:平成21年2月13日(金)13時00分~15時00分
場所:経済産業省本館17階第一特別会議室

出席者

神田座長、阿部委員、池尾委員、岩間委員、大崎委員、大杉委員、小口委員、小佐野委員、神作委員、木村委員、静委員、島崎委員、武井委員、谷家委員、築舘委員、萩尾委員、藤田委員、柳川委員、他

議題

今回は、海外投資家の意見を聴取した。日本のコーポレート・ガバナンスについて、昨年5月に発表されたエイシアン・コーポレート・ガバナンス・アソシエーション(ACGA)の報告書が影響を与えているが、これをとりまとめた事務局長のジェミー・アレン氏を香港からお招きした。加えて、在日米国商工会議所(ACCJ)のトーマス・ウィッソン会頭からもご意見をいただいた。その上で、我が国企業のコーポレート・ガバナンスの向上に向けたルールの在り方について討議を行った。

議事概要

エイシアン・コーポレート・ガバナンス・アソシエーション(ACGA)ジェミー・アレン事務局長、在日米国商工会議所(ACCJ)トーマス・ウィッソン会頭より、ヒアリングを行った後、討議を行った。主な討議内容は以下のとおり。

コーポレート・ガバナンスの在り方を検討する際の基本的視点と前提

  • 非常に巨額の資金が日本の株式市場から引き揚げられ、その多くがまだ戻ってきていないと感じている。将来的にもこの資金は戻ってこないかもしれない。日本において、コーポレート・ガバナンスの改革がみられなければ、市場に対する信頼感が戻ってこないからである。
  • 各々の国のガバナンスのモデルには長所と短所があり、他のシステムを除外して一つのシステムを丸ごと借用することは賢明ではない。どのシステムが有効な基準やルールを提供するのか検討すべき。
  • 世界各国、例えば、米国、英国、ドイツ、香港、中国、そしてアジアの大部分の国において、取締役会の独立性と経営の監督というコーポレート・ガバナンスの原則が採用されていると言ってよい。
  • コーポレート・ガバナンスの原則について、具体的に何をどの程度導入するのかは、日本のカルチャー、風土に則って、日本にとってベストと思われるものを日本が自ら選んで決めることだと思う。

社外取締役、社外監査役の意義・役割について

  • 米国の会社では様々な国籍・人種・性別の人たちがコミュニケーションを図ることで創造性に満ちた環境を作りだしている。日本の会社でも、内部出身の取締役とは違うタイプをいれると色々な意見が出て会社の経営が改善されると考える。

社外取締役の導入について

  • 取締役の善管注意義務違反の有無の判断を下すに当たって、監査役は、必要な妥当性の評価を当然している。ただ、結論として適法ではあるが妥当ではないというものは表に出ないだけである。
  • 独立取締役のシステムを導入する場合のリスクは限定的だが、導入しない場合のリスクは高い。
  • 「現在の社外監査役では不十分だから、社外取締役が必要」という議論には企業経営をしている立場から、反論がある。しかし、社外取締役の導入によってリスクが増大するのか(リスクは限定的ではないか)という問いかけは傾聴に値すると思う。社外監査役と社外取締役がうまく連携する仕組みができないものかと考える。
  • 独立監査役の強化は歓迎する。しかし監査役には取締役会での議決権がないので、独立取締役の代替とはならない。
  • 外部にいる株主は、独立社外取締役がいないと、取締役会が公平かつ客観的に行われていることを類推するのは難しいのではないか。
  • もしも取締役会に独立取締役がたった1人しかいないということになれば、それは正に孤立した行為となってしまうのではないか。
  • 独立社外取締役は、1名の選任を義務付けるだけでも十分ではないか。現行制度からの乖離が大きいと、経営効率が損なわれるリスクもある。あくまでも、少数株主の利益の代弁者なので、少数でもいいと考える。

「社外性」の要件の「独立性」への改訂について

  • 社外役員の役割が、少数株主の代表であるという意見に疑問がある。幅広い公益やステークホルダーの意見を会社に伝える人、あるいは、経営陣の暴走を止める力のある人との位置付けが大事と思う。
  • グループ内の会社同士の相互監視機能が、日本では非常に大切となっている。親会社やグループ他社からの役員を社外とすることは重要かと思う。
  • 親会社やグループ会社から社外役員が入ることは否定しないが、「独立」とは言い難い。少数株主の権利を代表する「独立」取締役を入れることが重要。
  • 親族について、取締役の配偶者、子といった、非常に近い人は、独立とは言えないと思うが、例えば会社の一般事務の方の父親が当該会社とはなんら関係のない要職についていた場合などは、独立として問題ないのではないか。
  • 取引先について。例えば下請け子会社の人を親会社に連れてきても独立というのは難しいと思うが、メインバンクのような金融機関や、相互に取引としては重要だがそれぞれの中でのシェアが小さい取引関係の会社出身者は独立だと十分言い切れると思う。
  • メガバンクのトップOBが社外役員に就任した場合、メガバンクのトップという社会的影響力の大きさがその言葉の重さを増すので、就任に意味がある。
  • 取引関係のないようなビジネス界の方はその会社のビジネス環境に関する知見も薄く、かえって的確なチェックは難しいと思う。
  • 独立性が歪められる類型として、そこで働いているとかで経済的利益に影響があること、直接的には経済的利益は受けていないが利益相反がある可能性があること、その他に近親者や長期在任者が考えられる。
  • 第一に、経営者がコントロールできる人は、客観的に経営者を評価するには好ましくない。第二に、経営者自身が支配されているときも、中立性・客観性に欠ける。第三に、会社の外から経営者をアドバイスしたり評価する役割を担っている人が、同時に会社の中に入って評価をするというのは、地位として必ずしも両立しえない。
  • 銀行や支配会社、取引先などから派遣される社外取締役については、企業経営サイドに一定の導入のインセンティブがあり、制度化の必要はないと考える。

ルールを定める際の手段の選択について

  • 独立取締役を定量的規定で定義すると、形式が実質を凌駕する。より健全な定義とは、主要原則や原理を包含するもの。
  • 独立性については、会社の取締役会や経営陣との利益相反関係がないことが重要で、そのことを取締役会としてきちんと説明できることが重要。
  • 上場企業に対し、独立社外取締役又はその候補者が独立社外取締役の定義に適っているかを特定し、独立性に影響を及ぼす又は利益相反を引き起こす可能性のある全ての事実を開示する旨義務付けることが必要。
  • どのような手段であれ、一律に義務付けることは反対である。
  • 一部においては規則を強制するが、別の部分においては推奨するという、ミックス型のアプローチによりバランスもとれ、柔軟性が会社に認められる。

コーポレート・ガバナンスを巡るその他のご指摘

  • 世界各国を見ると、自分の経験、知識等を生かして企業を助けたいと思う人が独立取締役に就任するが、合理的な報酬は必要。
  • 独立取締役が企業に十分貢献するためには、幅広いビジネス経験が必要。定期の教育セミナー・プログラムは極めて有益な役割を果たし得る。

以上

 
 
最終更新日:2009年3月25日
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