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企業統治研究会(第6回)-議事要旨

日時:平成22年8月19日(木)15時30分~17時30分
場所:経済産業省本館17階第一特別会議室

出席者

神田座長、阿部委員、池尾委員、岩間委員、大崎委員、大杉委員、小口委員、小佐野委員、木村委員、佐久間委員、静委員、島崎委員、武井委員、田中委員、谷家委員、築舘委員、藤田委員、柳川委員 他

議題

独立役員制度等についてフォローアップを行うとともに、今後の企業法制の在り方等について、意見交換を行った。

議事概要

冒頭、事務局より、委員の交代(着任:佐久間委員、退任:関澤委員、萩尾委員)について紹介。静委員より、東京証券取引所における独立役員制度の届出状況についてヒアリングを行い、事務局から、大阪・名古屋・福岡・札幌の各証券取引所における独立役員届出状況及びコーポレート・ガバナンス報告書における開示の状況等について紹介した後、これらにつき討議を行った。その後、事務局から、経済産業省「今後の企業法制の在り方について」を紹介し、討議を行った。主な討議内容は以下のとおり。

1.独立役員制度等のフォローアップ

  • 独立役員は、会社法上の地位はあくまで社外取締役や社外監査役であり、特別な権限を持つわけではない。とりわけ、独立役員の多くは適法性監査の権能のみを持つ社外監査役であり、どのような権限に基づき株主のために発言していけるのかという懸念もある。独立役員が有効に機能するためには、法律上しっかりと位置づけることが今後の課題ではないか。
  • 社外取締役の一定数又は一定割合の義務づけは、昨年の議論で決着済みと考えていたところであるが、改めて議論するとすれば相変わらず反対するしかない。
  • 現在の独立役員は社外取締役又は社外監査役の中から選ばれているが、独立性の定義と、社外性の定義を切り離して位置づけるということは、あり得る考えではないか。
  • 証券取引所が、各企業が独立役員の確保をどのように行ってきたか、あるいはそのような人材を紹介するサービスでも存在するかどうかを調べて発表すれば、独立役員を確保したいが、どうやって確保したらよいかわからないという企業の参考になるのではないか。
  • 開示要件について、一定の基準等を定めてしまうと、それに抵触するか否かのぎりぎりの方を選任される可能性もある。理想としては開示加重要件に該当するかまったく問題とならない方が選任されることであり、あえて要件を詳細まで定めないというのも一つの考えではないか。
  • 独立性の判断基準が企業と投資家とで乖離しており、その差が会社側の選任議案に対する反対票としてあらわれることもある。このような制度がせっかくできたのだから、機関投資家と企業との間で、独立性の考え方について共通の基盤を整備していくべきではないか。
  • 開示加重要件について、どのような基準で企業が記載の要否を判断したのかわからない。まず、その点を明確にすることで、企業側の考えがよくわかり、相互理解が進むのではないかと思う。
  • 社外役員選任議案に対する投資家の投票行動は、独立役員の届出をしているかどうかでは、賛否に大きな影響はないという。せっかく制度を作ったのだから、もう少し開示加重要件の在り方について、検討していくべきではないか。
  • 本制度の導入にあたっては、大きな混乱が生じない基準とするため、「主要な取引先」等の解釈については会社法施行規則と同等に判断するよう取引所としては求めている。曖昧なところもあると承知しているが、いきなり具体的な基準を作ることは難しかったという背景もある。
  • 今年は制度導入の初年度ということで、定義等について判断に迷うこともあったが、証券取引所が丁寧に相談に応じてくれたことから、企業側の理解は進んでいる。来年度以降はそれほど問題にならないのではないか。
  • 今回の独立役員制度の導入は、海外目線からどう評価されるか。欧米等の機関投資家との対話において、どの程度まで日本の現状が理解されるのか、その確認をすることにより次の議論に発展するのではないか。
  • 投資家団体のACGAは今回の取り組みに関し、独立役員の対象が取締役又は監査役の選択の余地があることや、独立役員の確保が1名にとどまっている点について、未だ十分でないと評価している。国際的な要請を満たしているかという点については、道半ばであると考える。
  • 形式的基準をどのように改善していくかは重要なことではあるが、形式的基準に議論が終始すると、制度を生かしていくことにつながらない。今回の制度で実質的に何が変わったか、実質的に機能するかどうかということを検証していくことも重要だろう。
  • 海外からどのように評価されているかという点は非常に大事。日本の取り組みをいかに海外にわかってもらうかが重要。この点、海外投資家から見てルールそのものの安心感が十分でないということも影響しているのではないか。
  • コーポレート・ガバナンスに関するOECDレポートの結論は、制度的、法的な万能薬はなく、どの国にも適用される特効薬はないということであり、問題はインプリメンテーションであるとしている。その中では、日本の制度について特に問題が指摘されているわけではない。
  • 開示加重要件の中身については改善が必要なところがある。「主要な取引先」については、同じ企業グループに属している、取引額や株式の保有額に照らして要件に該当しない企業などは、独立性があるかどうかは疑問である。
  • 制度を精緻化しようと議論すればきりがない。むしろ、次は、機関投資家が企業の取り組み、開示の状況をどのように評価するかという段階ではないか。企業が独立役員として届け出ていることが、投資家の投票行動に影響を及ぼしていないという指摘があったが、それが機関投資家の考える独立性の条件に合致していないからということであればよいが、機関投資家が、議決権行使の助言会社の推奨判断をそのまま採用し、あまりよく考えずに投票したということであれば問題である。次の課題は、機関投資家が企業側の取組みをしっかりと判断し、企業と対話をした上で議決権行使をしていくということではないか。
  • 社外役員は会社が危機的な状況に陥ったときに意味があり、いわば保険の役割を果たす。その際に、経営陣を解任できるという人事権が発動できないと意味がない。その観点から、人事権を有しない独立監査役の確保で足りるとする今回の独立役員制度では、まだ制度整備として足りないという海外の投資家の厳しい意見もある。

2.今後の企業法制の在り方について

経済産業省「今後の企業法制の在り方について」につき、下記のような意見交換がなされた。

  • 成長戦略としての企業法制の見直しとしているが、これは現在の日本にとって大切な視点であるので、この軸がぶれない企業法制の見直しをぜひともお願いしたい。
  • 合同監査委員会設置会社の創設は、監査役制度が抱える様々な課題を包括的に解消できる問題提起と考える。今後、産業界から提案への共感をどの程度得られるか瀬踏みをしながら検討していく必要があるだろう。

3.その他

企業統治研究会の今後の検討課題等について、下記のような発言がなされた。

  • 株主総会の分散化について、昔から投資家の要望は強い。制度的に又は実務的にそれを妨げるものがあるのであれば、その妨げを取り除くべきではないか。
  • 監査役の任期は4年であり、その間、株主総会に監査役選任議案が付議されないというのはいかにも長い。任期が長いことによるメリットもあろうが、一方で、監査役が株主の評価を受けないことのデメリットも大きいと考える。
  • 監査役の任期4年が長いとする問題提起に関しては、監査役の任期はこれまでの改正で、1年・2年と順に延長されてきている経緯を踏まえて検討する必要がある。
  • 企業統治研究会報告書提出当時は、金融危機もあり、欧米型のガバナンスに対して懐疑的な背景の中での議論となった。しかし、この一年、欧米においても、ガバナンスに関する議論が進んでいる。グローバルな動向を踏まえて、国際的納得可能性を得られる成果を国内外に発信していくべきである。
  • 今後、会計処理や持合解消の流れなどで事業株主の株式保有が減少し、純投資型の機関投資家の株式保有が増えていくことが予想される中、株主と会社との間の対話環境の整備に向けた論点整理が今後重要である。
  • 法制度を変えなくても、現状の運用をしっかりと説明し、何がよくて何が悪いという基準で運用されているのか、ということを、海外にしっかり発信し、マーケットの納得感を得ることも重要である。日本の実態を海外に理解してもらうということが十分になされていない。

以上

問い合わせ先

経済産業政策局産業組織課
電話:03-3501-6521
FAX:03-3501-6046

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最終更新日:2010年8月23日
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