経済産業省
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総合資源エネルギー調査会総合部会政策小委員会(第3回)-議事録

日時:平成20年11月6日(木)

議事概要

  • 石谷委員長

    ちょっと時間が早いのですが、委員の皆さんは既にお集まりということなので、ただいまから総合資源エネルギー調査会総合部会第3回政策小委員会を開催させていただきます。

    本日はご多忙のところ、多数の委員の皆様にご出席いただきまして、まことにありがとうございます。

    それでは早速、資料1-1の議事次第に従って進めてまいりたいと思います。本日の議事進行の全体像ですが、まず、委員からのプレゼンと有識者からのヒアリングを合わせて50分程度行った後、約15分程度、ご発表に関する質疑の時間とさせていただきたいと思います。その後、後半の時間で、これまでの議論の中間的整理(案)についての議論を行いたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

    それでは、資料2-1について、財団法人日本エネルギー経済研究所の小山委員からプレゼンをお願いいたします。よろしくお願いします。

  • 小山委員

    エネ研の小山でございます。よろしくお願いいたします。

    早速、資料2-1に沿ってご説明させていただきたいと思います。スライドの2番目に行きたいと思いますけれども、ここにお集まりのご専門の皆さんに改めて申し上げるまでもなく、今年は原油価格、国際エネルギー市場はまさに激変の1年でございまして、7月に150ドル直前まで行ったものが、60ドル台まで急激に下がるという、まさにローラーコースターのような時期を迎えております。この原因を考えていくことが、将来の国際エネルギー情勢やエネルギー安全保障について大事ではないかということで、最初に簡単にお話をしたいと思います。

    やはり、この原油価格の動きは、巷間言われていますとおり、金融問題との関係が非常に大きい。原油価格が上がってくるときは、いわゆる金融不安が価格を上げていくように強く働いたわけですが、夏以降はそれが一気に逆転して、金融危機が実体経済の悪化、その懸念、そしてそのファンダメンタルでの需要の弱さを導いて、原油は一気に下がってくると、こういう局面だったと思います。加えまして、今、世界の金融市場、いわゆるマネーの動きを見ますと、リスクからの回避が一番重要な問題になっておりますので、そこから一気に資金が流出している。原油の先物市場でも同じような状況が起きているということだと思います。

    そのファンダメンタルズで大きな部分は、スライドの3に書きましたとおり、世界の経済の見方が大きく変わってきて、どんどんと弱気の見通しに変わってきているということかと思います。これはIMFの最新の見通しを、前回の見通しと比較したものですけれども、世界全体の経済成長率、今年が3.8%、来年が2.9%ということで、このところ5%台、5%近い成長を遂げていた経済成長が非常に弱くなってきている。しかも、この経済成長見通しは、経済専門家の方たちから言うと、まだまだ下方に修正される可能性があると強く指摘されているところでありまして、これがやはりファンダメンタルズの弱さをもたらしている。

    その結果、スライド4にございますとおり、世界の石油の需要の伸びが急速に縮まっているということであります。このスライド4の折れ線グラフが世界全体の石油需要の対前年比を示しておりますが、2008年で見ますと44万バレルの増加で、過去3年、4年に比べて著しく低くなっております。来年、2009年は70万バレルということですが、この見通しも上のグラフ、IMFの見通しに沿ったものですので、もしこれから先経済が実際にもっと弱くなってくると、さらなる下方修正があると思います。

    このトレンドを、過去何カ月か見てみますと、次の5ページ目でございますが、経済の悪化の状況に合わせて、見通しが明らかに弱気に弱気にと、どんどん転換していることがわかります。このグラフの一番左端の青い線は、2008年1月に発表されたIEAによる2008年の需要増の見通し。このときは200万バレル需要が増えると見ていたのが、先ほど申し上げましたとおり、10カ月たって5分の1に切り下げられてきているということでありまして、赤い線、2009年の見通しが発表されましたのは今年7月からですけれども、これも縮む方向に来ているという状況でございます。

    こうして原油価格がどんどん下がってくる中で、一番注目を浴びておりますのがOPECの対応でございまして、スライド6にここ数年の流れをまとめましたが、今の彼らの一番の関心はいかに価格を防衛するかに転換してきているということで、スライドの一番下にございますとおり、先般の総会では150万バレルの減産を決定いたしております。しかし、ご承知のとおり、いまだに価格は反発しておらず、低迷が続いているということで、これは市場の今の大きな関心は、世界経済金融危機ということ次第で、そちらで動くということであります。

    ただ、実は私、先週まで欧州に出張しておりまして、そのため1、2回目はちょっと欠席となってしまったんですけれども、そのときも随分議論が出たんです。今、市場は減産を全然反映しないわけですが、逆に減産が進み、なおかつ、場合によるとOPECがさらに減産を追加するということになりますと、来年のある時点まで、むしろ在庫が減ったりとか、需給が締まるというようなことも考えられるということであって、OPECの減産は、ファンダメンタルではこれから先注意をしていく必要があるという意見が結構出ております。

    スライド7にありますとおり、下がっているということ自体は、もちろん日本のような消費国、我々国民生活にとってメリットがあるわけですけれども、これが必ずしも手放しで喜ぶだけでなく、いろんな複雑な要因を抱えているということをまとめさせていただきたいと思って書いたものでございます。

    当面は、需要が減っているということに焦点が当てられがちであり、金融問題、同時不況の懸念が残っている間は、どうしても弱いマーケットが続きやすいだろうと私は思っているんですが、この間、価格を支えていくようなファンダメンタルズの場面が幾つかでている。一つは、先ほど申し上げたOPECの減産、それから油価が下がってまいりますと、当然のことながら追加的に需要を刺激する効果も出てくる。また、限界的に非常に高いコストの油田で、価格が下がることによってだんだんと生産がとまるというようなファクターもあります。

    これらはどちらかというと短期的な要因なんですが、中長期的に見て今回の欧州でのいろんな議論の中でも、これだけここまでいろんなエネルギープロジェクトが大型化し、コストが上がってくる中で、かつ金融不安、信用収縮でプロジェクトのための資金調達が結構難しくなってきている。これはメジャーとか大規模なところはともかく、中小、独立系、場合によっては国営石油会社でさえもそういう面があり、これが大規模プロジェクトの遅延や見直しにつながる。あるいは、ボラティリティがあまりにも高いためにプロジェクトの投資決定を難しくするということで、供給制約として将来的に働いていくんではないかと、こういう心配ごとを、欧州、欧米の専門家の方たちがかなり言っているということを実際に耳にしてまいりました。

    その点、スライドの話はごく短期の話なので、ご参考まででございますけれども、今のような状況下で行きますと、当面は弱い市場が続いて、特に年内の間は60ドル、70ドルぐらいのところが中心で、ことし年平均100ドル強といったようなところかと思いますが、中長期的にみると、前述させていただいたような不確実性がむしろ金融不安によって相当出てきたんじゃないか。そして、なおかつ、ボラティリティがこのように異常に高いという市場の前提のもとで考えていく必要があるということを、最初に申し上げたいということでございます。

    以降、中長期の観点でお話をさせていただきたいと思っております。スライド9は、これから20年、30年といったタイムスパンでもって、エネルギー安全保障の問題、あるいは環境の問題に関して、いろいろな不確実な要因が出てきているということをリストアップいたしました。

    一番上は、今説明した価格高騰と乱高下でございますが、一つはそうした価格を動かしていく動因といたしまして、世界のエネルギー重要というのが着実に増えてきているということです。今回の同時不況でその伸びは若干下がるかもしれませんけれども、中国やインド、途上国といったところの所得の増大、モータリゼーション等、エネルギー機器の普及を考えますと、需要はやはり増えていくだろうと思います。そうした中で、過去何年かの間、資源の獲得をめぐる、どちらかというと厳しい競争が展開されてきて、その需要サイドの動きを見ながら、供給面ではさまざまな地政学的リスク、資源ナショナリズムの高まりや、いわゆるプレーヤー間のマーケットパワーの問題が取りざたされるようになっております。

    そして、実際に供給力を増やしていくことについても、投資リスクの問題や輸送の安全の問題が出てきたということで、これから先のエネルギーの安全保障を考える上で、懸念材料がいろいろ浮上しているということであります。最近ですと、下から2番目の金融との連動の問題ですとか、これはまた別箇、非常に重要であります、環境制約の問題が出てきて、エネルギーの課題はより複雑、複合化しているということかと思います。

    これらの点を、以下、石油、ガス、石炭という順番で個別に見ていきたいと思っておりますが、まず、石油につきましてはスライドの10。これは、需要の見通しでございます。これは、最近まで発表されました代表的な予測機関の、いわゆる基準ケース、特段何か政策対応とか強力な対応がなく、ビジネス・アズ・ユージュアルで進んだ場合の見通しでございますが、2006年対比で見て、およそ4割から5割ぐらい石油の需要が伸びる。特に中国その他のアジア、あるいは他の途上国といったところを中心に力強く伸びていくだろうということが、主流派の見方になっているわけでございます。

    もちろん昨今のような経済情勢で見ると、これをもう少し下方修正したほうがいいのではないか、不確実性が高まっているのではないかという見方もあると思いますが、全体としては、石油需要というのは着実に増えていく方向であろうと思います。

    次のスライド11は、国際市場への影響ということで、輸入量を見たものでございますが、これは、弊所エネ研の昨年のアウトルックでございまして、特に中国を中心としてアジアの国々の純輸入量がどんどんと拡大していくと。中国の場合ですと、大体2030年で1,200万バレル/日という輸入量でございますので、この時点になりますと、現在サウジアラビアが計画している原油生産能力に匹敵するような輸入市場が出てくるという状況でございます。

    こうした中、先ほど申し上げたとおり、供給の確保をめぐって、消費国の間もどちらかというと競争的な動きが出てきていると。それを見ながら産油国がむしろ売り手市場というか、売り手の力を強めている状況が出てきているわけであります。

    この間、供給を増やしていくということが順調に進めば問題はないわけでございますが、スライド12に示しましたとおり、供給制約についての懸念がたくさん出てきております。これは、資源の面での、実際の物理的な制約であるピークオイルも、いろいろと議論されていました。

    この問題について今、より現実の問題として出ておりますのが、北海や米国など、成熟した地域では実際に減産をしていることです。これは、アクセス、開発等が楽な「イージーオイル」が減退し始めているということです。そうでない、例えば非在来型、重質油、いろんなものはまだまだ資源的にも十分あるとは思いますけれども、イージーオイルが減退しており、その背景には、既存油田の自然減退ですとか、あるいは開発をしていくための資機材や人材の確保難、そして、資源はたくさんあるにせよアクセスが難しくなってきて、その背景として強まるナショナリズムの問題といったことがあるかと思います。

    加えて、金融危機がまた新たな不確実性を加えているということになっておりまして、最近ですと、これも意見がいろいろ分かれますけれども、主に地下資源というよりは、地上でのリスクの影響で、石油生産が比較的1億バレル/日前後で頭打ちになるんじゃないかと、議論されるようになっているということであります。

    以下、データをそろえたわけですので、簡単にいきたいと思いますが、スライド13には、石油とガスについて、いかに中東と旧ソ連、次いでアフリカに大きな資源があるかということでございまして、可採年数の場合ですと、石油40年、ガスがさらに大きく60年ということですが、これらの地域の資源にやはりこれから依存していくことは必至です。

    石油の場合、14ページのIEAの生産見通しですが、2030年までこのグラフのような形で生産が増えていきますと、需要に見合う形になっているんですが、中東OPEC、その他のOPEC、旧ソ連といったところの生産がこのペースで拡大していかないと、逆に言えば需給のミートは難しいということを示しております。

    スライド15は、それを支えていくためにいかに大きな投資が必要かを示しています。これはIEAの試算でございますが、昨年見通しですと2030年までの累計で22兆ドルです。そのうち半分強は電力部門ですが、2番目が石油。そのうち7割がいわゆる上流開発。次いでガス、ここも上流開発が主流となっているわけです。

    この上流開発をこれから先見ていく上で、やはり資源の問題を見ますと、スライド16にあるとおり、国営石油会社の優位というのは圧倒的でございまして、いわゆるIOC国際石油会社が保有している資源は全体の10%という状況になっているわけです。昨今、IOCは、油価高騰やいろんな状況で数年の間、非常に収益を改善し、膨大な利益を上げてきたわけですけれども、利益の面はともかく、こういう資源のアクセス、長期的な資源開発という面では、非常に厳しい環境にあるといってもよいと思います。そしてまた、国際的な市場には、ここに書いたような強力なNOCや国際石油会社の人たちがせめぎ合う場になってきているということかと思います。

    スライド17は、こうした背景にあるナショナリズムの流れを簡単にポンチ絵でまとめたんですが、やはりこの背景は、原油価格の高騰によって全体として産油国側の交渉力といったものが強まり、その状況下でナショナリズムが高まってきたということかと思います。このナショナリズムの高揚は、いわゆるエネルギー市場そのものが戦略化、政治化していく要素と、直接増産投資への悪影響ということで、懸念材料になってきたと思います。

    ただ、価格高騰がその背景にあったということは、現在の価格低下が、逆にこれを緩和する材料になると思います。実際、これから先、この価格の低下が続くようになれば、この問題についても新しい局面が少しずつ出てくるかなと思いますが、すぐにナショナリズムの高揚が解決するのかというと、タイムラグがあるでしょう。また、簡単にこのナショナリズムに関する問題がすぐに改善するというのは楽観し過ぎではないかという感じを私は持っております。

    続きまして、天然ガスでございますが、ガスもご案内のとおり、石油以上にこれから大幅に需要が伸びていくと期待されているわけでございます。スライド18は2030年までの需要の増加の見通しを示しておりまして、このように非常に大きく期待されております。これは、スライド19に示したとおり、ガスには非常に多くの有力なアドバンテージがあるからで、これは皆さんご承知のとおりであります。化石燃料の中で最もクリーンであり、意味のある有用な多様化供給源であったり、技術進歩も十分に活用できたり、資源面の豊富さ、そして言うまでもなく長期契約に基づいた安定性、信頼性がある。その上に、最近ですと、インフラの発展やLNG市場が発展することで、安定性とともに柔軟性も改善してきているということがございました。

    スライド20は、この間の供給パターン、貿易の変遷で、特にLNGがこの10年間で2倍に増えているということで、パイプラインガスが今でも主体であり、絶対量は伸びているんですけれども、LNGが急激に増えてきている。このあたりが、先ほど申し上げた供給の柔軟性の改善をつけ加えるという意味でも、貢献しているということかと思います。

    そのあたりは、次のスライド21にありますとおり、いわゆる伝統的でないというか、純粋なスポットというにはちょっといろいろな意味がありますけれども、そういう柔軟性のある取引が非常に拡大してきております。この統計ですと昨年は、2割近い取引が従来の長期的、伝統的取引でないカテゴリーに入ってきているという状況かと思います。

    このように市場の発展に伴って非常に広く使われ、期待されているわけですが、やはり天然ガス、LNGの価格も、最近の価格上昇のトレンドの中で上がってきているというのが、スライド22でございます。このLNG価格でございますけれども、原油価格ほどは上がってきてはいない。これは、いわゆる契約条項におけるフォーミュラーの特性としてそうなっているわけですが、むしろ昨今のスポットのLNG価格が非常に高い価格であるということも反映して、売り手と買い手の間では今大変な議論が行われていると思います。日本のバイヤーの皆さんも大変苦労されているんではないかと思っているわけであります。

    スライドの23は、そういった状況の背景の一つとして、プロジェクトコストが上がってきているということでございまして、新規のLNGプロジェクトも、拡張のプロジェクトも、徐々にコストが上がっている。これは鋼材価格、人件費等の上昇を反映した結果だと思います。もちろんこれも、昨今の経済後退、資材価格等の低下を反映して、一本調子に上がっていくことはないと思いますが、これまでのところでは、トレンドでプロジェクトコストの上昇が発生してきたことは事実でございます。

    それに加えて、先ほど申し上げた産ガス国側が、このところ資源ナショナリズム的な動き、供給サイドの連携を強めるような動きも出てきているということでありまして、最近話題になりましたガス版のOPECがどうなるかといったことも、メディアの耳目を集めているわけであります。私どもとしては、こうした動きがすぐに、実際に今のOPECのようなカルテル的なものにつながるとは見ておりません。ガスと石油の市場の構造等は違うということでありますが、やはり、これから先、マーケットパワーの問題を考える上でも要注意する必要があるんじゃないかと思っております。

    ガスの場合も、ほかのエネルギーすべてそうですけれども、これから先はますます国際的な貿易が増えてくるだろうということでございますので、その国際的な貿易を支えていく安全性、パイプラインのインフラにかかわる問題、あるいは船による輸送の問題も含めて、最終的に消費者の手元に届いてくるということの安全まで考えていくことが非常に大事ではないかということであります。この点は、供給中断は、ごく短期間ではありましたけれども、2006年のロシアとウクライナの間の供給中断問題というところから発して、実際に欧州の政策担当者の間ではこれから先の供給安全を考える、一つのきっかけになってしまったことは間違いないんではないかと思っております。

    全体の需給バランスを見てみますと、スライド26、これはアジアのLNGの需給バランスを弊所でまとめたものでございます。グラフ中の赤い線が高需要ケース、青い線が低需要ケース、このいずれも緑の既存のプロジェクトからの供給力、黄色の計画中の供給力、さらには柔軟性をもってアジアのほうに向かってくる可能性のある、大西洋からのプロジェクトからの供給量を合わせますと、十分満たされるという範囲に入っているということであります。ただ、これから先の検討中のプロジェクト(黄色の部分)の立ち上がりの状況や、あるいは柔軟性のある大西洋市場からの供給ポテンシャルが大変重要になってくると思います。

    ガス・LNGの課題としましては、スライド27にまとめましたとおり、一つは、これから先もガスの安定供給をきちっと図っていくことが大事だということだと思います。いろんなメリットがあると申し上げたとおり、その期待感が高いがゆえに、より安定供給に頑張っていただく必要がある。ここは、実際のリスク感の高まりの問題や、石油の場合と同様に「地上のリスク」といったことに対応して、ガスの供給を十分に増やしていただきたいということ、それから、ガスをめぐる最近の地政学やマーケットパワーの問題を見ていく必要があると思います。

    また、長期的な問題としては、言うまでもなく環境対応で、これから先の温暖化ガスの排出抑制策が具体的にどういうふうになっていくのか、どういう目標になっていくのか、いわゆる低炭素社会への長期移行がどういうスピードで、どういうスケジュールで進んでいくのか。それから、これは天然ガスだけでなく、化石燃料全般でございますけれども、いわゆるCCSの開発動向がどうそれに影響していくのかということは、まさにこれから先の絵を描いていく上での大きな不確実性だと思います。

    あと、もう一つは、ガスは、これから先も価格競争力を保ちながら進んでいくということが大事であるということと、この後の説明で出てきますけれども、最近は主要国において、国産エネルギーをできるだけ使おうと、例えば、安全保障との関係もあって、石炭なんかに顕著ですけれども、そういったほうにシフトするような動きもありますので、ここが、これから先もガスの発展という意味では重要ではないかと思います。

    今申し上げましたとおり、この間、原油価格が上がり、安全保障への関心が高まる中で、実は一次エネルギーのなかで一番成長したのが石炭であるというのは、皆さんもご承知のとおりであります。2004年から2007年までの世界全体のエネルギー消費増、BP統計によりますと、大体8億トン(石油換算)ぐらい増えているんですが、その半分強は黒い棒で示した石炭でございまして、なかんずく中国での石炭需要の増加、インド、米国、インドネシア等の増加が非常に堅調ということであります。

    このように増えてきた背景は、スライド29にありますとおり、資源量の豊富さ、価格競争力があるということと、アメリカにせよ中国にせよインドにせよ、自分の国の重要な国産資源であって、特に電力が増えていく中で、基幹の発電燃料として位置づけられているということ等があります。そして、最近ですと、このエネルギー安全保障問題の関心の高まりというのが、ドライバーとしてきいてきたと思われます。

    その結果、こうしたトレンドを踏まえて、先ほど申し上げた、いわゆるBAU的に見ますと、スライド30にありますとおり、世界の石炭消費はアジア、中国、インド等を中心に大幅に増えていってしまう可能性があるというのを見通しで示させていただきました。これは弊所の見通しですが、世界の主要な見通しの基準ケースでほぼ共通のトレンドだと思います。

    ただ、石炭につきましても、スライド31を見ますと、需要や供給をめぐっては、非常に需要が増えていく中で、供給インフラの整備が.ほんとうに大丈夫なのか、中国における鉄道を含めた輸送の問題や、供給国側における港湾設備等のインフラの問題もあります。中国などでもやはり沿海部では石炭の輸入が拡大していく中で、これまで比較的低位安定していた石炭価格にも上昇の圧力がかかってきていることを注視していかねばいけないと思っております。

    そして、やはり石炭の場合は、最大はCO2の排出原単位が一番大きいということと、途上国におきましては身近な問題としての大気汚染の環境負荷が非常に高いということでありまして、これはまさに、これから先の温暖化ガスの排出抑制がどのような厳しさをもって決まってくるのか、それとCCSとの技術開発とのタイミングというか、スピードによって有効活用がどのように図れるのかということが決まってくることかと思います。

    仮に石炭の需要が先ほどのスライドに示したような形で増えていくのであれば、CO2の排出量はスライド32に示したとおり、右肩上がりで増えていってしまうということは、避けられないわけでして、この、いわゆるBAU的な見通しではということでございますけれども1.6倍、60%近く増えてしまうことになるわけでございます。

    こうした観点で見ますと、33にまとめましたとおり、温暖化、とくにポスト京都でどのような目標、枠が決まってくるかということとあわせて、エネルギー安全保障、前半お話ししてきた非常に大きな、新しいリスクや課題を考えていって対応していく必要が出てくるわけでございまして、やはり一番、当然重要なのは、この2つの問題に同時に効果を持つものをやっていくのが非常に大事ではないか。その観点では、このスライドの真ん中の下のほうにありますとおり、やはり省エネルギーと、低炭素型のエネルギーを進めていくということが、この両方にきくという意味で非常に大事だということかと思います。

    スライド34、35は、その両方にまたがって重要だということの整理を簡単にしたものでございます。そのまず1つは原子力ではないかと思います。これは、世界的にもいわゆる原子力ルネッサンスという動きが出てきているのは皆さんもご承知のとおりで、これから先、大きな役割が期待されているわけでございますが、と同時にエネルギーとしての競争力の問題、そして一番はやはり安全性の確保と、それから社会受容性の問題がカギをにぎると思います。加えて、国際的に見ると、核不拡散の問題等に対してどのように対処していくのかというのが、これから長期の原子力を進めていく上での重要な課題だと思います。

    スライド35は省エネルギー、再生可能エネルギーでございますが、この2つも、いずれも非常に大きな期待がかけられています。これは、温暖化、エネルギー安全保障双方にきくというだけでなく、経済の競争力やそれぞれの産業・経済対策上でも非常に大事だということで、すべての国の中心課題になってきているということかと思います。

    昨日決まりましたアメリカの大統領選挙、新政権におきましても、やはりエコノミックリカバリーがこれから先の一番の重要な一つのキーワードになるだろう、ということが確実です。ちょうどブッシュ政権において9.11のあと、セキュリティーがキーワードになってすべての政策がそのプリズムを通して見られたように、エコノミックリカバリーが新政権の政策を映すプリズムとなると思います。そして、その中でエネルギー政策、環境政策が展開されていく、ということが専門家の間で議論されているわけですが、その観点でいきますと、やはり再生可能エネルギーの推進が非常に大きな柱になっていく可能性があるというようなことも言われております。

    ただ、省エネルギーも新エネルギーも、まさに技術の固まりといおうか、技術との関係でどうしても見ていかないといけないということを考えますと、国際的な協力や移転に関しての制度整備の問題、新エネに関しての食の安全保障や環境保全との関連ということで、これらを解決していく仕組みや、ベースとなる技術開発が非常に大事だということかと思います。

    最後、まとめですが、エネルギーが非常に大事なものだという認識が、ここ3、4年の間、国民の皆さんにもすべて伝わったと思うんですが、その中で、安全保障や温暖化に対してのいろんな課題やリスク、将来の問題というのが、むしろどんどんと浮上してきている。それに加えて金融危機というのが、新しい要素として不確実性を高めてきているということでございますので、激変していく情勢に対して、政策サイド、産業サイドも機動的、そして柔軟に対応していくということが、今、非常に大事だと思います。

    ただ、機動的、柔軟にやっていくのと同時に、エネルギー安全保障とか温暖化対策というのは非常に長期的に、20年、30年、場合によっては50年というような課題でございますので、以下のような点を、ぶれることのない方針としてやっていくことが大事かなと思っております。

    すなわち、省エネルギーは当然大事でございますけれども、非化石燃料、低炭素エネルギーの開発・利用を進めていくということと、あわせてこれから先、少なくとも20年~30年程度の間は非常に重要である化石エネルギーの安定調達や有効活用、あるいは市場の安定化ということであり、そのためには対アジアの協力、資源国への外交など、国際エネルギー戦略というのが非常に重要になっていくと思っております。その意味でいきますと、まさにエネルギーのベストミックスというのを、ぶれることなく骨太に進めていかなければいけないと感じている次第です。

    以上で私からのご説明を終わらせていただきます。

  • 石谷委員長

    どうもありがとうございました。最近の情勢を非常にコンパクトに、明示的にまとめていただきまして、ありがとうございました。それと同時に、この小委員で検討すべ最初の部分を最終的に取りまとめていただいたような気がいたします。

    それでは、引き続きまして、資料2-2について、独立行政法人経済産業研究所の戒能研究員から、プレゼンお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

  • 戒能研究員

    恐れ入ります。経済産業研究所と大阪大学を兼務しております戒能と申します。よろしくお願い申し上げます。本日はこのような機会を与えていただきまして、どうもありがとうございます。

    手前がご説明させていただく資料2-2の主眼は、私は、エネルギーに限らず、政策の評価及び分析を行うということを仕事といたしておりまして、エネルギーの政策全体についての整合性の確保や、個々の政策がほんとうに目的を達しているか、あるいは効果が出ているかを証明、分析をする、場合によってはおかしいということを提案することが私の使命であります。

    今回はご依頼によりまして、エネルギー政策基本法の内容と個々の政策について、整合がほんとうにとれているかということを少し簡単に調査してみましたので、ご報告をさせていただきます。

    1枚おめくりいただきまして、エネルギー政策基本法という、2002年に議員主導で制定された法律がございます。内容は、14条という非常に簡潔な法律でありますが、第1条が目的で、経済社会の持続的発展に資することを目標とするということが書かれておりまして、その具体的な理念といたしましては、安定供給や環境への適合性、あるいは市場原理の活用といったことがうたわれております。

    その他は責務、措置、計画、国際協力、普及といったことなんですが、では、この理念と今行われている経済産業省資源エネルギー庁のさまざまな政策が整合しているかというのを、順に見てまいります。

    まず最初に、理念の個々の条文の内容についてご説明をさせていただきます。4ページの基本法第2条が安定供給の確保に関する条文でありまして、エネルギーに関する国際情勢の不安定性にかんがみ、今、小山委員がご説明されたとおりでありますけれども、こういう情勢にかんがみて以下の施策を講じ、供給源の多様化、自給率の向上、安全保障を図れ、ということが書かれております。

    注目すべきは1つ目の項目でありまして、石油などの一次エネルギーの輸入における特定地域への過度の依存を低減せよと書かれています。重要なことは、「石油の」ではなくて、「石油などの一次エネルギーの」と書かれているということと、特定地域への過度の依存を避けよということがはっきりうたわれているということです。その他は、エネルギー資源の開発に寄与せよ、備蓄を進めよ、利用の効率化や危機管理を実施せよということが書かれているわけですが、これが第2条の安定供給の確保についての非常に重要な部分だと認識しております。

    また1枚おめくりいただきまして、第3条には環境への適合ということが書かれてございます。エネルギーの需給について以下の施策を講じ、地球温暖化の防止、地域環境の保全、循環型社会形成の推進を図れと書いてあるわけです。第1にはエネルギー消費の効率化、いわゆる省エネルギーの推進ということが書かれておりまして、2つ目に太陽光・風力などの、おそらく「など」の中に原子力が入っているんだろうと思いますが、化石燃料以外のエネルギー利用への転換、あるいは化石燃料の効率的な利用を進めよということが書かれております。

    よりまして、6ページですが、この作業の視点といたしましては、エネルギー政策基本法の理念は、エネルギー需給において市場原理を活用しつつ安定供給と環境保全、第2条、第3条の法目的を確保し推進せよということが言われている。この法律ができて約6年が経過したわけですけれども、では安定供給、環境保全という課題に対して、今行われているエネルギー庁の施策の個別の施策は正しく対応づけられているかということを見ていきたいと思います。

    1つ目は、具体策が欠けている問題がないかと。基本法からの要求事項に対して適応していないものはないか、あるいは手薄なところはないか。2つ目は、そもそも矛盾するものがまだ残っていたりしないかという2つの視点であります。

    7ページに参りまして、具体策が欠けている政策課題というのは、少し問題がありますが、あえて誤解を恐れずに申し上げますと、安定供給についてはかなりの部分が具体的に措置されているとは言いがたい状況にあると認識しております。

    例えば、基本法第2条の条文の順番に見ていきますと、特定地域への過度の依存を低減せよと。特に石油以外についてもという目で見ますと、これについて何か具体的な政策というのは、現状特段思い当たるものはありません。あるいは、資源の開発や備蓄については、石油や新エネルギーについては若干ありますけれども、それ以外のものについては開発や備蓄について特段の手が講じられているわけではない。

    あるいは利用の効率化というものについては、需要側については、省エネルギー法に基づく極めて精緻な法体系があって措置が進んでおりますけれども、では供給側の効率向上について何かあるか、もちろん供給側の一部の施設は省エネ法の対象施設にはなっていますけれども、供給全体の効率という点では行われているとは考えがたい。あるいは危機管理というのが要請されているわけですが、これに対して具体的に何か措置をとっている形跡というのは、実はいろんな資料を調べましたけれどもあまりありません。

    つまり、この問題は、この委員会でもご議論になったと承知していますが、従来、石油からの代替、石油危機に基づいて石油が危険であるという認識の下で政策を進めてきたために、新しい要請である特定地域への過度の依存をやめよ、あるいは危機管理を行えということに対して、対応ができていない現状にあると考えられます。

    8ページでありますが、では、環境適合について同じような作業を行ってみますと、エネルギー消費効率化につきましては、精粗はありますけれども、基本的には省エネ法という枠組み体制があって、そのもとで日夜政策の見直しが行われているということになりますが、化石燃料以外の転換という意味でいきますと、先日、新エネルギー部会で同じようなお話をさせていただきましたが、供給側の対策として現在措置されているのは、電力に関するRPS法だけでありまして、ガスや熱や石油製品については現在法的な措置はないと。自主的な買い取り施策などといったものは一部、開始をされておりますけれども、枠組みは存在していないという状態であります。

    消費側の対策としては、新エネルギー利用促進法という法律がありまして、これについての助成策がかつてあったんですけれども、省エネルギー法の体系化のさまざまな施策と比べますと、かなり見劣りのする内容になっています。

    化石燃料の効率的な利用推進では、各種の技術開発は進められているという状態にありますが、その技術開発と個々の政策の目標との位置づけやリンクはあまり強固ではありません。

    まとめますと、化石燃料以外の転換について、現状電力でのRPS以外の供給側の対策というのは、残念ながら整備されているとは言いづらい状態にあります。かつ、消費側の対策についても、省エネルギー法の体系に比べるとかなり見劣りがするというのが現状であります。

    さらに耳の痛い話が続きますが、9ページが基本法に整合していない個別施策があるかというのをチェックしてみました。1つ目は、ご議論があったとおり、石油代替エネルギー開発導入促進法は、石油のみ問題視してそれ以外なら全部オーケーという法律なんですけれども、では、日本とエネルギーや貿易上のつながりが非常に強いOECD国であるオーストラリアから出てくる石油やカナダから出てくる石油も危険と考えるかと。逆に、中東や、例えばスーダンのダルフール地域で仮に天然ガスがとれたら、そこからやってくるLNGは安全と考えるかについては、おそらく理念としては考え方が古過ぎるんではないかと考えられます。

    逆に、見方を変えますと、LNGや、場合によってはウランや、いろんな一次エネルギー源について、代替エネルギーとして開発を導入しなければならないものとして値するかというのは、もう一度チェックする意味があると思います。電力RPS法が何で電気だけなのかというのは、よく出る話でもあります。

    あるいは、だんだん細かくなっていきますが、いろんな施策の中で、例えば発電施設周辺地域整備法、いわゆる交付金の根拠法になるわけですが、施策の対象は、通常の電源に比べまして水力と地熱に限定されておりまして、風力や太陽光は除外されています。しかし、私が知る限り、地熱発電所や水力発電所より、風力発電所のほうが面積や開発規模について現状ははるかに大きくなっています。

    それから、石油資源開発法や備蓄については、措置はあるわけですが、では石炭やウランというのは視野には入ってはいるんでしょうけれども、具体的な政策の枠組みというのはありません。

    なぜこういうふうになってしまっているのかについて、反省も含めて考えてみますと、10ページでありますけれども、従来のエネルギー政策というのは、石油や電力といったエネルギー源別、申し上げにくいんですが、場合によっては業界別、あるいは太陽光・燃料電池・原子力といった技術別に、個々別々に施策がつくられてきたので、実はエネルギー源や技術の仕切りを越えて安定供給、特定地域へ依存するなとか、危機管理を行えという概念でそれぞれ見直してみたらどうなるかとか。あるいは、環境適合上、何の予断もなく我がエネルギー源は大丈夫だと言えるものは、おそらく新エネルギー以外はほとんどないはずなんですが、そういうチェックを自問自答するということをやってこなかったので、総合的、横断的に判断するという考え方に、現状移行できていないからではないかと考えられます。

    では、現状の問題を認識した上で、どんな新しい展開、方策があり得るのかということを少し考えてみました。もちろん、これは私見でありますので、こうせよとかこうすべきだということではないわけですけれども、仮に基本法に書いてあることを実現するとして、その方向性から考えられる理念はどうなのかということをもう少し展開してみると、こうなります。

    例えば11ページですと、特定地域への過度の依存対策ということで考えますと、石油に限らず一次エネルギー源別に過度特定依存地域というのはあるかもしれないんです。あった場合、仮にそれが現状では政情的に安定した国であっても、問題を起こし得る可能性がある限りにおいては、調達先の分散を過度に集中している地域からは進めるべきであって、分散を行うような事業者や組織の方は当然政策支援に値するんではないかと考えられます。あるいは、場合によっては、そこでしかとれない、代替物がないというのであれば、逆に調達の交渉力を強化するしかないと。

    小山先生のお話にもありましたとおり、産油国や産ガス国の国営企業というのは、日本やほかのOECD諸国でいう、いわゆる近代経済学の理念では通用しない人たちでありまして、場合によってはOPECのようにストレートにカルテルを結んでいる場合があるわけです。そういうものと対抗しようと思ったら、こちらもそれなりの覚悟が必要なわけですので、当然に調達の交渉力を上げるという視点を持たない限り、言葉は悪いですが足元を見られ続けることがこれからも続いていくことになります。

    危機管理という面で見ますと、現状ではもちろん独占禁止法などいろんな制約はあるわけですけれども、仮に異種のエネルギー事業者間で、民間で一次エネルギーを共同開発すると。場合によっては、例えば、現在では石油備蓄や緊急対策は国が行うとなっているわけですが、民間で緊急融通を相互に協定し合うといった努力の取り組みをされる方というのは、当然これは支援に値するはずであって、こういう措置というのはおそらく欠落している視点の大きな部分ではないかと考えられます。

    12ページの下、供給側の非化石エネルギーの導入対策ということで見ますと、再生可能エネルギーについての一定比率の導入というのは電力以外についても当然、今後進めていくべきで、法的枠組みをもってということになります。そのエネルギー源が、例えば、石油製品やガスで、国内あるいは海外から調達できないということであれば、場合によっては証書で措置することも当然視野に入れて考えるべきです。あるいは、再生可能エネルギーの備蓄、蓄電池から始まってバイオエタノールに至るまで、いろんなものが実は供給安定性に問題を抱えているものは多うございますので、これを貯蔵するということについては、当然視野に入れてものを考えていいんではないかと思われます。

    これまでは、供給側から非化石エネルギーの導入を進めていくということが主でありましたけれども、逆に消費側から非化石エネルギーの導入の対策を進めていくという視野も持ってもいいのではないかと考えられます。

    例えば、一つの考え方として、再生可能エネルギーの計画的導入を、少なくとも計画をつくるぐらいは大口のエネルギー消費者さんに対して義務づけるというのは考えられると思います。どういうことかといいますと、例えば、現在その消費者の方が調達している各種のエネルギー源が、もとをたどってどれぐらい非化石エネルギーから来ているかについてのシェアをそれぞれ高めていくという措置を自主的に講じていただくための計画をつくってくださいというぐらいまでは、少なくともやっていいはずだと考えられます。

    具体的に申し上げますと、その次のページになりますが、制度的措置で仮に焼き直して考えますと、安定供給であるならば、過度依存特定地域あるいは行為というものを、一次エネルギー全部について、もう一回ちゃんと調べてみる。もしかすると、現在は安全と考えられていて問題意識を持っていないんですが、過度に依存し過ぎている地域や組織、行為といったものがほんとうはあるかもしれないというのがサーベイに値します。

    あるいは、そこから調達先を分散させることや、共同開発をしたり、民間で緊急に融通するという契約つきの開発を行う方については当然、支援の対象にしていいはずなので、こういうものについては法律できっちりどういう行為が安定供給に資する行為なのかというのを定義して類型化した上で支援策を設計するべきだと考えられます。

    環境適合につきましては、繰り返しになりますが、石油・熱・ガスといったものはRPSを考えるべきでありますし、新エネルギー特別措置法というのは現在、支援措置ですけれども、省エネルギー法同様の規制的側面も視野に入れた、計画の策定や導入についての量的な意味を持った措置に変えていくということは、将来的には考えられます。

    なぜ、このようなことを提言してきょうお話するかというのをつらつら考えてみますと、2050年に向けて化石燃料を減らし温室効果ガスの排出を削減していくという目標がありまして、政治的に数字の議論が行われているわけですが、各種のエネルギーの統計を扱っている人間として、かなり厳しいことが提言されているなというのを日々感じるわけなので、こういうことを考えたということであります。

    具体的にどういうことかといいますと、そこにグラフが2つありますが、左側が第2次大戦敗戦前後の日本の一次エネルギー供給のグラフでありまして、横軸は時間、世界恐慌から始まって、ポツダム宣言受諾で敗戦するまでの間の日本の一次エネルギー供給で、茶色が石炭、水色が水力発電で、下がまきということになります。見事に半減しておりますけれども、第2次大戦で敗戦したぐらいの強烈な経済的政治的インパクトがあって、ようやく半減という状況です。

    右側は移行経済国、IEAの統計から旧ソ連に該当する国のエネルギー供給を足し合わせてみたわけですが、ベルリンの壁が崩壊して以降、道端に餓死者、凍死者があふれた年代を見てみますと、これでも3割減ぐらいにしかなっていません。もちろん、移行経済国につきましては、EUに向かって天然ガスの輸出がありますので、もう少し実情は厳しかったのかもしれません。それでも半減には行っていません。

    そこから将来展望してみますと、15ページになりますが、このグラフは、横軸が時間、青い線が人口の推移です。色に沿って一次エネルギー供給が歴史上増えてきたと。丸がしてあるのが第2次大戦の敗戦なわけですが、ここまで1人頭のエネルギー供給が伸びてしまったと。仮にこの人口の将来線、青い線の2100年までのコンターの上を一次エネルギー供給がたどるとすると、1人頭の供給が現状でほぼ一定と考えたと、それより増える分は省エネルギーで何とかなっているという状態でも、多分この線ぐらいまでは行くはずであると。

    かつ、今行われている省エネ対策を粗くプロットしてみますと、そこに緑の矢印があって、省エネと書いてありますが、これぐらいの線をたどる状況にしかならないので、実は温室効果ガスの排出半減ということを、CCSなしで、炭素回収・貯留を考えないでやろうとすると、化石燃料というのは2050年にオレンジの点線の矢印ぐらいのところまで減らさなきゃならないということになりますが、この厳しさというのは、移行経済国の経済崩壊の水準とほぼ同じようなことをずっと40年続けるというのに等しい水準になります。

    したがって、最初のほうから演繹的に、基本法に対してどういう理念が合っている、合っていないという話をした理由というのはこれであります。要するに不公平、不合理な制度では、こういう厳しい状態をずっと何十年も続けていくということはおそらく不可能なので、だれが考えても、日本人の常識というものが仮に崩壊して、いろんな考え方を持つ人があらわれてきたとしても、どう考えても合理的であろう、こういう要請上からは整合しているという体系をちゃんとつくっておかなければ、こういう厳しい措置を何十年も続けるというのは絶対無理であると考えるからであります。歴史上もこういうことが長続きしないというのはデータが示しているわけです。

    見落とされている問題として、前半でお話しした安定供給の問題というのは非常に重要でありまして、日本以外の国が需要を伸ばしていけば、仮に日本が化石燃料の消費を半分に減らすからといって、その減った半分の化石燃料が安定して日本にやってくるという保証はどこにもないんです。他の国が使い続けてどこかで一回問題が起きれば、減った分すら日本に手に入らない可能性が残るわけです。

    したがって、半分に減らすんだから我々は安全だと予断をもって考えるべきではなくて、ここで幾つか提言をさせていただきましたけれども、演繹的に考えられるコンセプチュアルな話としてだけではなく、化石燃料について、その残った半分をちゃんと日本に確実に持ってくるという政策体系を、今、ちゃんと設計しておくことは重要ではないかと考えるということでございます。

    以上でございます。

  • 石谷委員長

    どうもありがとうございました。

    それでは、ただ今2つのプレゼンをいただいたわけですが、各委員からご質問、あるいはコメントをいただきたいと思います。また、いつものようにご質問のある方はネームプレートを立てていただくようにお願いいたします。

    それでは、橘川委員、どうぞお願いいたします。

  • 橘川委員

    今の戒能さんのプレゼンテーション、いつも戒能さんの話は鋭くて、非常にわかりやすい話だったんですけれども、非常に大きく賛成できる点と、疑問な点があります。

    賛成できる点は、業界ごと、あるいは技術ごとの壁を超えて総合的にものを考えなければならない、ここは大いに賛成できます。さらに言うと、この会議室の窓側のほうの方に向かって言いにくいと言われましたけれども、私は廊下側のほうにも向かって言ってほしかったわけで、4階と5階で違うことを言っているとか、別館ですが、4階おりて右に曲がるか左に曲がるかによって別のことを言っているだとかいう壁もあると思いますので、それも含めて壁を取り払うというのは、非常に意味があると思います。

    最大の疑問は、どこが政策として抜けているかという発想でチェックしていくことのバックにある考え方は、すべてを政策で行うというような発想を感じております。ある意味で言いますと、政策なしでもパフォーマンスがうまくいくようなことがあれば、それはむしろハッピーなことで。私も歴史家なんで、この同じグラフを見て、見方がちょっと違うところは、やはり、日本の場合には、エネルギー産業を公益性を持ちながら民間がやるという形をとってきた。その結果として、場合によっては政策と齟齬が起きたりなんかしても、民間企業の企業努力によって問題を解決してきた。それは将来もあり得るだろう。

    技術革新という要素を入れると、制度によって公平性だとかフェアネスだとかというところで攻めていくことももちろん大事なんですけれども、そちらで問題を解決していくという観点が抜けてしまうと、いわば産湯を捨てようとして赤ちゃんまで捨てちゃうような事態が起きちゃうんじゃないか。それが一つ疑問なところです。

    もう一点は、そうは言え、政策が必要なことは間違いないわけなんで、全体を聞いていまして非常に違和感を感じたのは、原子力に対する政策についてのメンションが非常に少ないと思うんです。例えば8ページ、供給対策側で、化石燃料以外の転換ということで、RPS法がある。これは間違いないと思うんですが、もう一つ当然、むしろそれ以上に原子力が重要な問題になると思うんです。今の原子力に対して、工学的安全性以外の問題がすぐ政治化してしまうようなところに対して、思い切って踏み込んだような法的規制、これは社会を規制するような側面もあると思うんですけれども、そういうものが欠けているというようなところに感嘆符が打たれるというのが行われるべきなんじゃないか。

    まとめて言いますと、非常に総合的にやるというのは正しいと思うんですけれども、基本的には政策ができる範囲を限定する必要があるということと、同じ政策でやる場合に、供給側にある程度の規制をかけるという話、ちょっとそういう意味で違和感を感じるんですが、もしそれでいくとしたら、RPS法とバランスを持つ形で原子力への抜本的支援がないとおかしいのではないか。以上です。

  • 石谷委員長

    ありがとうございました。

    とりあえず、ほかの委員の札は立っていませんので、戒能さんから今の件について、簡単に応答をお願いしたいと思います。

  • 戒能研究員

    大変ありがとうございました。

    まず、ご疑念の点からお話をさせていただきますと、もとの考え方として、基本法と今行っている政策の対比というところでとどめておりまして、全部政策で行うべきかということではないです。なぜかと申しますと、基本法自身の中にも、民間活力を活用してこれを行えということがありまして、全部国ががちがちに規制をして措置するべきであるという考え方は、そもそも否定されております。

    ただ、こういう考え方すら持ってないんじゃないかという懸念があるものが幾つかありまして、一例としてちょっと考えてみたんですが、13ページに必要な制度的措置と書いたわけですけれども、例えばこれが、法律上全部必要なことなのかというふうには自分は考えておりませんでして、定期的にウォッチをする、あるいは調査をして情報公開をするということでも十分用が足るものはこの中にたくさん含まれていると思います。ですから先生おっしゃることはまさに正しいと思います。逆に、元公務員としては、何事もすべて法律でなすべきという考え方について戒める言葉をいただいて、大変そのとおりだと思っております。

    2つ目に、原子力への提言でありますけれども、一つ、自分が引っかかっているものは、まだ、高速増殖炉や核燃料サイクルというのは完全に完成していない状況下で、ウランを使って軽水炉を行っているという現状で、どこまで胸を張ってこれは大丈夫だと言えるかというのは、ちょっともう一度調査する必要があると思っています。もちろん、将来的な原子力技術の延長線上に核燃料サイクルやいろんなものが広がっていって、最後は核融合まで続いているはずなので、この道はおかしいとは自分は考えていないわけですが、一度入口で精査をした後で、改めて必要であると考えるのならば、それはむしろ、新エネルギーより実用化で手近に近い技術なので、これについての措置というのは先生おっしゃるようなことは当然視野に入れるべきだと思います。

  • 石谷委員長

    どうもありがとうございました。

    それでは、廣江委員、どうぞお願いします。

  • 廣江委員

    ありがとうございます。今、戒能先生のお答えで、サーベイを原子燃料サイクルでやるというお話がございました。そのお答えになるかどうかわかりませんが、例えば原子力立国計画が数年前に策定されました。さらにはその直前に、原子力政策大綱が策定されており、これは既に何年かごとにサーベイをしております。そして、その直近の議論の中で、日本は原始燃料サイクルを進めていくし、さらにいえばFBRをしっかりとやるんだと位置づけられているわけでありますので、必ずしも改めてサーベイしなければならないということではないと思うのが1点目でございます。

    もう1点、橘川先生からご指摘があった点ですが、それに対して戒能先生からお答えが出されましたので、少しだけ事実関係をご説明したいと思います。先ほど、特定地域過度依存とか、相互融通等についての政策的支援というご指摘がありました。支援と言っていただいていますので、そのレベルであれば、私どもも全く問題ないと思いますが、従来、私ども電力会社だけをとりましても、私どもの扱える石油にはやや限りがあるものの、その石油の中では精いっぱい分散して調達するような努力をしておりますし、当然石油からLNGへの転換も、実質的に行ってきたのは日本の電力会社とガス会社であり、努力して参りました。さらに言えば、天然ガスの中での分散努力もしてきたということですので、こうした民間の努力を基本に置いていただき、あまり法で縛るような話ではないのではないかというのが二点目です。

    それから、融通等につきましてもご指摘をいただきましたが、例えば現在でも電力会社とガス会社がコンソーシアムを組みながら、LNGの開発について今も新規案件をやっておりますし、融通についても、すぐそばにあるガス会社さんとの間で融通したり、あるいは少し国境を越えた融通もやっております。こうした事実がございますので、それらを中心に何か支援いただくということがあれば、もちろんそれは結構な話でございますが、民間がやっている創意工夫や使命といったものを最大限活用いただくというのが筋であろうと、このように考えております。

    以上でございます。

  • 石谷委員長

    どうもありがとうございました。

    今の最初の原子力の長期方針の件について、はい、どうぞ。

  • 戒能研究員

    恐れながら、原子力立国計画などの内容についてはもちろん承知しておりますが、今、現状を足元で見ますと、残念ながらあの状態に至っておりません。電力会社の皆さん、原子力関係者の皆さん、もちろん現状にとどまられるつもりはお持ちでないというのは百も承知しているわけですが、ただ、ものの考え方としましては、今安全な地盤の上に立っているわけではない。そういう努力をして初めて原子力立国計画の目標とすることが達成され、それがエネルギー政策基本法の要請にこたえることができるので、今この瞬間だけを見てみると、実はおそらく精査をしてみれば、安定供給度でもほかのエネルギー源よりはよいということなんですが、当然見落としているいろいろな問題がほんとうは幾つかあるはずです。というものを洗い出すということを一度やってみるべきではないかというのが、私が今日ここへ来た理由であります。

  • 石谷委員長

    ただいまの議論、ここで深く議論を続けますと非常に長引きますので、とりあえず今、小山委員と戒能さんのプレゼンに関する内容についてのご質問ということで限らせていただきたいのですが。山浦委員どうぞ。

  • 山浦委員

    先生の論文の中で非常に意味深いものがたくさんあったわけですが、1つだけ、石油等についてもRPS法でやったらどうかという一つの政策手段が出ているんですが、国際的な観点から日本のエネルギー産業を論じる必要があるんじゃないかと思っています。

    電力、ガス、石油についていうと、相互に国内的な競争はやっておりますけれども、業種によって自由度というのは非常に異なっている。電力・ガスの貿易というのもありませんし、石油について保護は全くない。そういう意味で、いろいろな規制をかけたときに、電力も含めてトータルには日本の経済のコスト増になるわけですが、直接的にはまさに石油なんかは周辺国と競争していまして、競争力がなければどっと輸入が来るわけでございます。産業といっても、石油は、いろいろな規制があってコスト増になると、まさに我々の産業自身が、競争力で負けるという点があるわけです。これは、海に隔てられているからあまり感じないということもありますが、ヨーロッパが一番はっきりしていて、中近東とロシアとの石油の競争がありまして、常に環境税とか、あるいはRPSはバイオ導入のEU指令でやっていますが、そのときに負担が増えるなど、4割ぐらい石油製品が2地域から来るというのが非常に大きな問題になっているんですね。

    そういう意味での競争力という観点が、総論としてはRPSという考えがあるのかもしれませんが、燃料別に見ると、競争条件が全く違っているというのを頭に入れておいていただきたい。

  • 石谷委員長

    どうも戒能さんに質問が集中しているようですが、その前に、葉梨委員のご質問だけ承ってから、応答をお願い致します。

  • 葉梨委員

    申しわけございません。また、戒能さんの資料についてです。16ページの図に関して、超長期の一次エネルギー供給で、いわゆる福田ビジョンを実行あらしめるには、大幅なCO2の削減が必要だとされています。それをこの図では、化石エネルギーを半減するというような問題意識で書かれているかと思うのですが、翻って日本を考えたとき、安定供給の視点については、昭和55年以降代エネ法でいろいろなエネルギーを有効にミックスしてやっていこうとしてきたと思います。先ほど特定地域依存の話がありましたが、いろいろなエネルギーを多様化させてエネルギーの安定供給を確保していくことも、やはりリスク管理の一つであろうと思います。そういう視点で考えると、化石エネルギーを半減するというのはかなり困難かと思います。2030年で化石エネルギーの比率が70%という見通しが、原子力もかなり頑張った数値の中で出しています。加えて、再生可能エネルギーのポテンシャリティーは、代エネ法が施行されて、過度な石油の依存度を低減させようとしたときの石油に代替する他のエネルギーのポテンシャリティーと大きく違うということを認識しておかなければいけないと思っています。

    つまり、超長期的にも化石エネルギーを5割以上必要として確保していく気持ちを持っていかざるを得ないのかなと思います。そういう中で、先ほど小山さんの説明で言われましたが、やはりだんだんと化石エネルギー確保競争というのは厳しくなっていくわけですから、日本として化石エネルギー資源確保のためしっかりと交渉力を鍛えて、前向きに、長期的に対応をしていかなくてはいけないと思います。では、どうしてCO2を大幅に下げられるかということですが、今から30年、40年先の環境問題がどういうことになるかにもよるかと思いますが、今後CCSの技術の可能性をしっかり見極める努力をしていくことが必要かと思います。大幅なCO2の削減が求められることになった場合、技術と経済性を持つCCSができることによって、環境問題をクリアしていかなければならなくなるのではないかと、私見として考えております。

    以上です。

  • 石谷委員長

    ご質問というよりコメントでしょうか。

  • 葉梨委員

    ええ、コメントになります。

  • 石谷委員長

    わかりました。

    それでは、予定時間の関係で次の話題に移りたいと思っておりますが、窓側の委員で残られた高橋委員、最後に簡潔にご質問だけでお願い致します。議論のほうは、後で引き続き行う予定です。

  • 高橋委員

    どうもありがとうございます。

    小山さんの非常に包括的で、かつコンパクトにまとめられました資料2-1について、お伺いしたいことがございます。内容につきまして、私ども都市ガス業界の実態と少し違う部分がございます。19ページ以降ですが、世界の天然ガス貿易が記載されており、それからアジアのLNG需給バランスがあり、最後に世界の天然ガス・LNGの課題と記載されています。その中でアジアのLNG需給バランス見通しについては、私どももこの26ページのデータを使用させていただいておりますし、また、先般9月に韓国でございました世界ガス会議理事会でも、これとほぼ同じような数字をみんなで議論していたわけでございます。

    何が違うかと申しますと、25ページでございます、地政学上の問題やシーレーンの安全確保という点について、先ほどのご説明でも天然ガスだけの話ではないような説明のように聞こえたのでございますけれども、第1回政策小委員会のときに、村木から説明をいたしましたように、日本の天然ガス、LNGの輸入は、結局は世界の3つの大きな市場の中の太平洋アジア地区の市場の中で行われているということ、それがほとんどLNGであるということ、そして、ガス業界でいいますと、都市ガス業者のLNGは中東依存度13%であって、日本全体でも25%という状況であること、それから、ものの見方だと思いますけれども、ロシアは本当にリスクがあるのかということです。先ほど例に出されたウクライナとの関係というのは、お金も支払わなかったり、途中ガスを抜いたりということがあったためガスの供給停止を行ったわけであり、きちんとしたお客さまである西ヨーロッパには供給しているわけです。私どもも、今までロシアというのは、きちんとお金を支払えばきちんと契約を履行する国だと認識しているため、何かロシアが入ると危険なように見えるというのはどうかという気がするのですが、これについてお話ししていただければと思います。

  • 石谷委員長

    今のご質問で打ち切るつもりだったのですが、柏木委員から、ご質問をどうぞ。

  • 柏木委員

    そうです。

    小山委員のほうに、一言だけちょっとお伺いしたかったのは、この化石系の安定供給やリスク回避というのに対して、再生可能エネルギーのマーケットが成長していないがゆえに、やはり今までのボラティリティーが比較的低かった石油等に、投機筋も入ってきた。このリスク回避の最も大きな要因とは、私はある意味では、非化石系の再生可能エネルギーのマーケットのいち早い成熟した市場創生というのが、今後のかなり大きなポイントになるんじゃないかと思うんですが、それに対してお伺いしたいということ。

    それからもう1点だけ、簡単に。私は戒能さんに同意するところが非常に多くて、ただここでいう2050年に目標を達成するために、いろいろなエネルギー源に対して、公平性、不合理な制度では達成できないというのは私も同意なんですが、ただ、一次エネルギー、二次エネルギー、最終エネルギーという、我々熱をやっていますので、一次エネルギー、二次エネルギーはどちらかというとエクセルギーベースで、比較的質も同質なものが多いわけですけれども、熱になりますと、これはもう温度によって全く質が違ってくる、ここに書いてある熱とかガスとか何とかとなっていましたので、例えば、そういう異質なものの公平性に対して、私はある意味では制度はきちんとしないと、割高なシステムを入れていくわけですから、達成できないと思うんです。そこの考え方というのが、公平性、不合理性という中に何かお考えがあるのかどうか。

    その2点です。

  • 石山委員長

    では、戒能委員から応答をお願い致します。まず山田委員からのご質問だったと思いますが。

  • 戒能研究員

    国際的な競争力という意味で、EUが参考になるというのは、全くおっしゃるとおりです。現在EUにつきましては、2020年に向けて、再生可能エネルギー20%導入策の一環として、全EU加盟国はバイオガソリンを一律10%入れなさいというのをテーブルに乗せて政治交渉を行っており、おそらく通るだろうと言われています。彼らの国際競争力に対しての考え方というのは、私も行ってお話を聞いて、恐れ入ったんですけれども、WTOに提訴されて、仮に外の途上国から石油製品についての紛争があったらどうするかと言ったら、法廷闘争をすると言っていました。ですから、見方は多様であって構わないと思うんですが、私どもから見ますと、逆にEUは我々より先に行っている、政策を講じているという認識ではあります。もちろん日本についても、そういう諸外国との競争条件というのを何も考えないで措置を講じようと言っているわけではごさいませんので、そういう多面的な評価をした上で、どうするかというのを最後決定するべきかというのはおっしゃるとおりだと思います。

  • 石谷委員長

    高橋委員から、最後はどういうことだったでしょうか。何か小山委員の後に、ご質問がなかったですか。

  • 高橋委員

    大丈夫です。

  • 石谷委員長

    そうですか。それでは、柏木委員からのご質問に対してどうぞ。

  • 戒能研究員

    末端での最終エネルギー消費についての再生可能エネルギー比率の評価なんですけれども、これはご指摘のとおりで、難しいことは重々承知しております。ただし、少なくとも最終エネルギー側に措置を広げていかないと、一次エネルギー側でどこまでできますかということだけを追っていきますと、価格でしか転嫁がされないということになります。技術的にはいろいろな可能性を捨てることになります。ですから、例えばエクセルギーの考え方や、あるいは使い勝手という意味での何かの新しい指標を開発していくというようなことは、むしろ私のいろいろな工学系の友人にはお願いしたいことだと思っております。それができれば、例えばいろいろな平均エクセルギー原単位であるとか、あるいは全電源平均とか全何とか平均とか、いろいろな考え方があっていいと思うんですが、評価のための尺度ができて、政策が組んでいけるようになるのではないかと思っています。残念ながら、そこまでたどり着けておりません。

  • 石山委員長

    それでは、小山委員から、高橋委員と柏木委員のご質問に。

  • 小山委員

    ご質問いただきましてありがとうございます。

    まず、最初のスライドの25のほうについては、これはご指摘のとおり、別に天然ガスあるいはLNGに限ったというよりは、むしろ石油等も含めて、国際エネルギー貿易全体の中でということでお話しするつもりでしたので、ガスに限ったお話ではないということでご理解いただければと思っております。それで、その絡みの中で、ロシアのほうのお話が出たんですけれども、私自身、ロシアがよく取り上げられたように、信頼できるような供給者ではないというように単純に申し上げるつもりで言ったのではありません。お話があったとおり、ウクライナへの供給遮断は、これは実際にはごく短期間で、且つ、供給がとまる背景については、そこに至るいろいろな交渉の結果として、ビジネス的な観点からも見る必要があるのは事実だと思います。ただ、同時に供給遮断がきっかけになって、ロシアは大丈夫なのかということの議論が起きてしまったことも、また一つのファクトで、それをもとにしてさまざまな政策や戦略論議が起きたということは、これもまたファクトということであります。

    あと、先ほど最近のロシアの行動について、上の供給中断問題とは関連してなんですけれども、ロシアの考え方の背景には、エネルギーというものを戦略的、政策的なツールにしてやっていることがあるんではないかということが、やはり国際的なエネルギー政策を議論する場で語られていることも一つのファクトです。ヨーロッパの場合と日本の場合は、やはりポジションも多分間違いなく違うと思うわけですが、日本の場合ですと、これからロシアからのいろいろなエネルギー供給が始まってくる可能性があるということで、むしろ分散化につながってくるという意味を持ちます。一方、ヨーロッパの場合は、先ほど戒能さんからのお話にもあったように、ロシアに過度に依存していることに対してのリスク感から出てくる議論という面があるかもしれませんが、むしろこれから日本あるいはアジアの国にとっては、新しい供給源としてどう活用するかという視点が、私自身は重要ではないかと思っております。

    それから、柏木先生からのお話につきましては、これは石油をはじめとして、国際的なエネルギー市場の発展を見ていきますと、やはり市場が十分に発達していくということが、一つのリスク回避の役割に立つということは、これまでもあったことで、私はこれからもそれは期待できるだろうと思います。例えば、先ほども委員の方から出ましたけれども、天然ガスにおきましても、やはり市場が発達してきたこと自体が、ある意味でいくと柔軟な調達を容易にしたり、あるいは何か供給にトラブルがあったときに、それをうまく調整するような仕組みやスキームを民間企業の間で努力でするというようなこともおきています。これはやはり、国際市場のメカニズムが発達してくるということの中でできたということだと思います。したがいまして、今はまだ再生可能エネルギーの場合にはそういう機能・メカニズムはできていないのかなと思いますが、これがやはり市場が発達していく中では、そういう効果を期待できるようになる可能性もあるとは思います。ただ、同時に、今回、石油市場などで問題として出てまいりましたけれども、例えば価格面での激しい変動というのは、ある意味でいきますと、今度はなかなか管理というか、コントロールができなくなってくる側面もあるのかなと思います。いわゆる価格ボラティリティーがものすごく高まるというようなこと自体は、その発展の中で起きてくるケースが散見されるということで、リスクについては量と価格、その両方を見ないといけないのではないかと私は思っています。

  • 石谷委員長

    どうもありがとうございました。

    既に議論が大分進んでしまったようですが、この後でまた同じような内容の議論になるかと思います。

    議事に従いまして、これまでの議論の中間的整理案の説明に移らせていただきます。事務局から、資料3についてご説明をお願いいたします。

  • 石崎エネルギー政策企画室長

    それでは、資料3をご参照ください。ちょっと時間が押しておりますので、大体10分ぐらいでごく簡単にご説明をしたいと思います。

    これまでの議論の中間的整理ということでございますが、まず代エネ関連施策の評価でございますが、各委員からの評価をもとにいたしますと、天然ガスにつきましては、これまで石油依存度の低減とCO2削減を図ってきたと。都市ガスとして供給される天然ガスの一次エネルギーシェア、我が国でのシェアはまだまだ低いので、利用拡大の余地は大きいと。LPガスにつきましては、LPガスは代エネ法上、石油と位置づけられているが、ガス体エネルギーとして定義し、本来の役割を果たすことができるような改革が必要である。電力については、いわゆる3Eのベストミックスにより、これまで着実に推進し、結果、石油依存度は大幅に低減したと。石油につきましては、代エネ法制定時は80%であった石油依存度は50%まで低減したと。代エネ法は、入り口段階で石油を排除しており、エネルギー政策基本法と矛盾していると。

    委員からの主な意見といたしましては、代エネ法で石油代替を進めるということだったのが、いつの間にか新エネに変わってきて、代エネ法の背景をみんなが見失ったようなところがあると。1ページをめくっていただきまして、石油ショック以降、民間事業の活力を使いながら、政策課題を実行してきた点にはメリットがあり、今後もこれを生かさなければならない。

    次の図表の説明は省略させていただいて、さらに3ページ目でありますが、2つ目の論点として、一次エネルギー源ごとの特性ということでありますけれども、委員からの発表につきましては、天然ガスについては化石燃料の中で最もクリーンなエネルギーで、長期契約締結であると。それから、2020年で最大2億トン程度の需要が発生すると見込まれるが、それを上回る供給潜在力があると。また、天然ガスは、水素利用のかけ橋的な役割を担うエネルギーであると。LNG火力については、ミドル供給力としての活用をしている。次にLPガスにつきましては、長期エネルギー需給見通し最大導入ケースでも、引き続き3%を担うということになって、一定の役割を継続的に期待されている。代エネ法上、石油と位置づけられて、税制上も除外されている。アメリカやヨーロッパをはじめ、国際的には石油代替の燃料として位置づけられていると。水力につきましては、経済性に優れ、ベース供給力として活用されている。石炭については、ベース供給力とミドル供給力の中間供給力として活用されていると。

    1ページめくって4ページ目ですが、供給安定性と経済性に優れた石炭火力は、長期的なエネルギーの安定供給を確保する上では不可欠である。世界中に広く分布し、政情の安定している国、可採年数も他のエネルギー源に比べて長い。原子力につきましては、資本費は高いが、運転経費が安いため、ベース供給力として高利用運転されていると。新エネルギーについては、出力が不安定である。我が国の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合は10%であり、ドイツと同等で遜色ない水準である。電力会社は、余剰電力購入メニューなどの取り組みを実施している。RPS法により発電される電気の一定量以上の利用を義務づけられている。石油については、2030年においても、石油依存度は約40%を占める見込みであり、また石油火力発電所は、需給のバッファーとして一定量の活用が必要であると。

    5ページ目は、参考図表、これは前回ご説明したので、省略いたしまして、6ページ目に行きますが、3つ目の論点として、目指すべきエネルギー需給構造の方向性でありますが、委員の方々からの主な意見としましては、まず目標についてでありますが、世界的にエネルギー資源の需給が逼迫しているという状況にある。その中で日本のエネルギー安定供給をどうするか。エネルギー価格が高騰している時代が、2030年でもあり得るだろうという前提を認識すべきである。次に国全体として目標、これが明確になっていなければならないが、化石燃料の非石油分野については、新・国家エネルギー戦略でも明確な数値目標がなく、定性的には記載されてはいるが、明確な目標はないと。最大導入ケースの場合、発電電力量が2030年までに10%減、石油の国内供給量が28%減、ガスの国内供給量は17%減という状況でありますが、若干省略して、最後のところですが、プレーヤーの視点が重要で、プレーヤーが頑張れるような仕組みをつくることが重要である。長期エネルギー需給見通しの最大導入ケースについては、相当強制的あるいはその一歩手前のような措置によってようやく実現できるものであり、これを前提に建設計画をやっていくと、将来もしかすると供給支障が発生する可能性もあると危惧している。したがって、努力継続ケース等の数字も参考にしながら、建設計画を進めてまいりたいと。

    7ページ目、次に供給構造のところでありますが、各業界引き続き化石燃料が非常に重要であると。2030年の最大ケースでも、途中段階においては、70%を化石燃料に依存せざるを得ないということを認識すべきであると。非石油分野については、ゼロエミッション電源50%については、現状の化石燃料比率60%からどこを削るのか。また、福田ビジョンで、2050年に60から80%削減するとあるが、原子力と新エネでほとんどを賄い、火力を出力調整程度にしないと、この数字は達成できない。石油業界が目指しているのは、化石燃料の高度利用である。今回の見直しが、脱化石だけで終わってしまうのではないかという懸念をしている。また同じような話ですが、脱化石、化石代替と単純に言ってしまうのは非常に危険である。あらゆるエネルギーの効率的な利用、あるいは研究開発で、人と資金を投入していくことなどにより、グローバルな観点からも、今後のエネルギー政策が世界に納得できるエネルギー施策になっていくのではないか。化石燃料の高度利用については、焦点はガス化であると思うと。

    その次の3番目、需要構造のほうでありますが、需要側でバランスのとれた社会というのはどういう絵姿なのか。成熟社会から今後世の中が縮小していくとなると、過剰設備になるので、生き残り戦略という意味で、今までのエネルギー産業とは事情が変わってくると。化石燃料を供給の段階で高度化するだけでなく、需要の段階でも高度化すべきである。

    次の8ページでありますが、供給側のベストミックスの話は、安全保障の面からもこれまでも出ているが、需要側については相互補完的なエネルギーであっても、それぞれの位置づけをきちんと行った上で議論していくべきであると。また、一般家庭の暖房の7割は依然灯油であり、目の前の技術が進んでいるからというだけで進めると大きな禍根を残すことになる。需要サイドであらゆる面で電化を進めていくということが、低炭素化、省エネに寄与する。電化の効果という点も、ぜひ考慮してほしいと。これからの低炭素社会に向けては、需要側でのベストミックスが非常に重要であり、天然ガスの果たす役割は一層重要になる。天然ガスを原料とする都市ガス供給では、製造供給段階でのエネルギー消費は極めて小さい。都市ガスの場合、太陽光発電と給湯の組み合わせはどのようにインセンティブを与えるかという点で非常に難しい。

    それから、(4)の時間軸についてですが、どこに軸足を置いて、どの時点の議論をするのかが大事であって、これだけ変化が激しい中で、時間軸のとり方については慎重に考えるべきであると。

    それから、少しまたページをめくっていただきまして、9ページ、10ページ、11ページと、これも既に説明したものでありますので、省略させていただきます。

    最後の4つ目の論点でありますけれども、12ページですが、エネルギー供給構造の高度化に向けた取り組みの具体的な内容であります。まず、とるべき政策の方向性でありますけれども、21世紀の日本の成長エンジンは低炭素型の経済モデルをつくっていくこと、こういうことでコンセンサスが得られているのであれば、化石から非化石、あるいは化石燃料の高度化に対してはきちんとした規制をしいていかないといけない。各業界は、自分で持っているシステムを最大限導入しようとするが、国家としてのグランドデザインを描くことがまず大事である。マーケットにおいては、業界は現場で競争しているが、CO2を削減するエネルギーを技術開発あるいは普及するという観点でのねらいは大体同じだと考えられる。政府は一種の緩い規制のようなものをつけた中で、どのように各エネルギー供給主体が競争していくかというところを見逃さないようにすべきである。次に、代エネ法が導入された80年以前から、脱石油の動きは進んでいた。民間の活力によって、スピーディーな調整が行われたというのが電力の歴史が示しているところである。政府から、何らかの強制をするよりも、技術革新など民間の活力を使って誘導していくことが重要である。

    次のページでありますが、一方で、ある程度再生可能エネルギーを入れるためには、多少の強制はあってもいいと考えているが、そのときの理屈というのは低炭素なので、一方の原子力についても相当な支援が必要であると。新エネも原子力も両方が進むような仕組みが重要である。民間企業の自主性を最大限に生かすべきで、民間の持っている柔軟性、創意、使命感を決して損なうことのないように、今後検討すべきである。化石燃料の高度利用が新エネルギー導入と並ぶ重要なテーマである。その取り組みが効果的に推進されるような制度設計とすべきである。新エネの定義に関しては、供給サイドに限定して、非化石燃料の導入、再生可能であることを要件に絞り込み、この開発・普及を強力に支援する枠組みとすべきである。LPガス業界のように、需要家に選択権がある設備の導入に対して、法的な義務づけを行うことは適切ではない。

    次に、競争公平性の確保でありますが、エネルギー間の公平性に留意すべきである。公平な競争が行われるよう配慮すべきである。競争条件の公平化を図るべきである。大企業ばかりいる電力業界と、中小企業や大企業が集まったガス業界では様子が違う。

    最後の14ページでありますが、配慮事項として、非化石エネルギーの導入普及をエネルギー事業者に義務づけることは、慎重かつそれぞれのエネルギー特性に応じたものとする必要がある。電力セクターにおいては、全体最適の視点に立った検討を行うべきである。PPS事業の特性や制度上の制約があることから、非化石燃料の電気の比率を過度に引き上げることを求めるような方策の検討は、十分慎重であるべきである。

    次に参考図表として、エネルギー別の取り組みを右側にとりまして、(1)から(3)まで革新的技術や未利用エネルギーの開発、非化石エネルギーの導入拡大、化石燃料の高度・有効利用、それぞれをマトリックスで、これまでの議論も踏まえまして示したのが参考図表であります。

    少しはしょってしまいましたが、不足した点等あれば、ご議論の中で補っていただければと存じます。

    以上であります。

  • 石谷委員長

    どうもありがとうございました。

    皆さん、ご自分の発言ですので、相当要約されているところがありますが、おわかりいただけたかと思います。これは、これまでの小委員会の議論を整理したもので、今後の取りまとめに向けた、たたき台となるものと存じます。論点の抽出に資するような各議員の活発なご議論をお願いしたいと思います。

    時間がまた限られておりますので、一回ごとの発言は端的にお願いします。またネームプレートを立てていただきたいのですが、まず橘川委員、途中退席されますので、最初にどうぞ。

  • 橘川委員

    どうもありがとうございます。

    すごく民主的にまとめていただいたと思いますけれども、我々、代エネ法の見直しということで2つのことを議論してきたと思います。1つは化石燃料の高度利用ということと、もう1つは非化石燃料の導入拡大という、この2つを議論してきたと思います。

    意見を述べさせていただきますが、まず第1点は、高度利用という点は大賛成である。したがって、代エネ法の見直しは、前回山浦委員が提案された、高度利用法という形でいくのが一番いいんじゃないかと思います。我々は、セキュリティーの問題と環境の問題を一緒にあわせて考えなければいけないわけですが、これまでの代エネ法というのは脱石油というメッセージを発することによって、エネルギーセキュリティー確保に非常にマイナスな面も持っていたという点を見落としてはいけないわけで、そこを見直すのには意味がある。特に高度利用すると、重質油あるいは非在来型の利用ということが可能になるということは、これは石油をもってしてもセキュリティー上非常にメリットがある。私、脱中東というスローガンも、ある意味でエネルギーセキュリティー確保を邪魔してきたと思っておりますが、石油は主に中東からしか出てこないんですが、中東の石油が重たいということを考えますと、この高度利用ということを明確にした法律が出ることは、中東の産油国にとっても非常にプラスのメリットがあるのではないかと。同じような発想から、マトリックスで考えて、セキュリティーと、それから環境の問題で、△△に位置づくガス体ですね。天然ガスおよびLPG、これに対しても明確な長期的な目標を持つ必要があるのではないかと。一方石炭は、環境×、セキュリティー○ということになると思いますけれども、注目すべきは、この環境×のところで、排出量4%の日本が幾らあがいて石炭を減らしても、世界中が増えていくわけで、むしろ日本の石炭の技術をもって世界のCO2を減らすということを考えると、石炭が世界的には一番減らす余地がある。そこのハイテク技術の発信源となるような日本という姿で、石炭を日本に置くことの意味を考えたほうがいいんではないかと思います。

    2番目の非化石燃料の導入拡大については、考え方としては賛成ですが、現時点であまり急いでやるということに対しては、非常に慎重論でいかなければいけない。CO2の問題、今も言いましたけれども、世界の270億トンをいかに減らすかが問題なのであって、日本の13億トンをいかに減らすかというように考えるのは、ある意味で本末転倒なんではないかと思います。そのために貢献できるようなプランということが大事であって、セクター別アプローチでいくことだ、ということなんですけれども、セクター別アプローチをまとめて国別アプローチというような発想になるところが、やはりこの問題に政治が入ってくると、問題がゆがんでしまうところであります。その意味を考えると、やらなければいけないことは非常に大きなことを考えなければいけないわけで、世界へ向けて、270億トンをどう減らしていくかというプランをつくるという、その発信すること自体が一番の本質的な問題だと思うんで、もうちょっと時間をかける必要があるんではないかと。

    12月にも小委員会があと2回という話も出ていますけれども、どうも話が、2月の通常国会から逆算されて立てられているような感じがする。我々は暇だと思われているかもしれませんけれども、間もなく教師も走る季節がやってきます。仕事で来ていない委員の場合にも、この時間調整するのが限界に達していたりすることもありまして、やらなければいけないこと、非常に大きなことをやるわけですから、非化石燃料拡大にもし何らかの規制を導入するというのであれば、もう少し時間をかけてやるべきだというのが私の意見です。

    以上です。

  • 石谷委員長

    ありがとうございました。

    それでは、山浦委員、どうぞお願いいたします。

  • 山浦委員

    前回、政策小委員会において、議論いただきたい項目ということと違った説明をさせていただきましたものですから、本日は石油の特性について述べさせていただきたいと思います。

    先ほど小山委員から石油関係の説明をしていただいたんですが、まさにそのとおりでございますけれども、特に石油はなぜ各国争っているかという意味では、石油は液体燃料で、経済性ということに加え、エネルギー密度が高くて、運搬とか貯蔵が非常に容易であるなど利便性に優れているからであります。技術的に日本のような国でなくても、どこの国でもそれが利用できるということで、各国とも資源の争奪戦に入っているわけでございます。そういう利便性があるんだということをこのエネルギーの特長として書いていただければと思います。そういう意味で、地震等が起きた場合の電力の助太刀にも役に立っています。

    逆に言いますと、小山先生のまとめの中にもありますように、エネルギーが地球環境よりも、やはり国民の生存、あるいは社会経済、市民生活に不可欠であること、安全保障という観点から、人口増と経済成長が見込まれている中国とかインド、ブラジルは、地球環境対策というのは第2次的な観点で、資源争奪戦ということをやっているわけでございます。我が国も、おくればせながら開発、産油国外交というのをもう一度やっていただいているわけです。その点をやはり見失ってはいけないのではないかというのが、小山委員の説明の中でわかってきたのではないかと思っております。

    そういう意味で、従来からの代替エネルギー政策というのは、十分達成したというのが評価なんですけれども、ただ、これからの脱化石ということを考えますと、正直、技術的には代替が非常に困難な分野に限られていると言えます。代替が経済的に成り立つ分野は電力においても、ガスにおいても、燃料転換が積極的に行われているわけです。これからは経済性が成り立たない、あるいは社会的コストの増大を招くような分野に限られる、。今後エネルギーベストミックスを非常に歪めてしまうおそれがあるといえます。

    そういう観点に立ちますと、基本法がねらっているところの経済性、環境性等々を達成するためには、やはり技術のイノベーションというのがキーになります。これは福田前総理の懇談会がまとめた「低酸素社会・日本を目指して」のキーワードになっているわけです。それがやはり低炭素社会実現の重要な施策であるということだと思います。そのためには長期の時間とお金とがかかりますし、民間にとっては非常にリスクの高いものでございます。そこは規制的な手法でなくて、民間の活力、創意工夫を生かすような、柔軟性の発揮できるような道筋をつくっていただければと思っています。また、エネルギー間の公平性を維持できるような仕組みにしていただきたい。この2点をお願いしたいと思っております。

  • 石谷委員長

    どうもありがとうございました。

    あと、7名の委員の方のプレートが残っていますので、恐縮ですが、今日の論点の中間取りまとめに対して、欠けている部分、あるいは今後のとりまとめに対する重要な論点といいますか、そういったようなことを中心に、できるだけ簡潔にお願いしたいと思います。

    それでは、まず、高橋委員。

  • 高橋委員

    どうもありがとうございます。

    山浦委員、廣江委員と同じような話でございますが、法律・制度をつくる場合には、規制がないと法律ができないということが法学的には考えられるわけですけれども、規制というのはなるべく軽いものにしていただきたい。企業の自主性を高めて仕事をするようなことを、政府は応援していただくということを是非お願いしたいと思います。

    先ほど融通について廣江さんからお話がありましたけれども、今般の柏崎の事案におきまして、LNGが足りないというときに、東京ガスや大阪ガスが、東京電力に船を融通した事例、それから、オーストラリアでの天然ガス開発についても、電力事業者とガス事業者の共同取組みに、役所の方も参加していただき、先方の不条理な要望をとりあわなかったなど、そのようなことをしております。我々の自主的な活動をぜひ応援していただくということでお願いいたします。

    新エネルギーの導入につきまして、そういう面から、それぞれのエネルギーの種類や、事業者に応じた対応に合ったものでご検討をいただきたいと思います。そう申しますのは、いろいろなエネルギーの産業が融合化する中で、それぞれの事業者が今後どうしようかいろいろ考えている段階だと思います。それを長期的な方向を見定めて、事業者が自主的にそうした方向に向かうということでないと、事業者は追いついていかない。急に言われてもなかなかできないということがございますので、是非そういうことを念頭に置かれまして、制度設計をしていただくようにお願いいたしたいと存じます。

    以上です。ありがとうございました。

  • 石谷委員長

    ありがとうございました。

    それでは、葉梨委員、お願いします。

  • 葉梨委員

    ありがとうございます。

    論点整理で私どもが申し述べたものについては、しっかりと整理をさせていただいているかと思っております。ありがとうございます。

    そこで、ただいま山浦委員、さらには高橋委員からもコメントありましたように、企業の自主性ということと、代エネ法にも共通するかと思いますが、国の政策として長期的な視点で重要な点は、道標、ベクトルを国民に明確に示してあげることかと思います。そうすることによって、民間企業はその方向に向かって努力していくかと思います。規制ということではなくて、民間の自主性を生かしながら、先ほどの技術のイノベーションもそうですが、国がしっかりとしたサポートをしていくということが重要かなと思っております。

    次に1点、資料の中で確認をしたい部分があるのですが、先ほどの論点整理案の一番最後のところ、14ページに技術的なマトリックス表がございます。左のところの(1)が革新的技術、(3)が化石燃料の高度・有効利用というところで、パセプションというか、我々の認識では、例えばエコジョーズというものは、需要サイドにおける化石燃料の高度利用であり、有効利用という認識でいるんですが、この表では(1)であり、(3)ではない。この辺の整理学を後ほど教えていただければと思っております。概念の整理を共通認識させていただきたいと思います。

    以上です。

  • 石谷委員長

    どうもありがとうございます。

    それでは、柏木委員、中村委員の順でお願いいたします。

  • 柏木委員

    橘川さんお帰りになったんで、彼が規制をするのであれば、ちょっと待てとおっしゃっていたように思いました。焦るなということなんです。私はちょっと逆で、地球規模の環境問題というのは、もう国際政治課題ですから、国際的な流れの中にあって、我が国のスタンスをどう示していくかというのが今問われているんだろうと、私は思うんです。

    そうなると、重複するようですけれども、やはり低炭素型に対して我国がどういう姿勢を示すかというと、これは普通の市場原理だけでは入るわけはないわけで、今日の戒能さんの話を聞いていても、ある意味では賛成することが多く、どういう形で官の役割と民の役割を今示すかと。官の役割はどちらかというと、やはり制約を少し設けていくという。これが今、世界の流れの中でも、今回のオバマ次期大統領の件もそうかもしれませんけれども、米国の動きを見ながらすべてが民だけではダメだと。パラダイムシフトを起こすわけですから、何らかの姿勢をどうやって見せるかと考えたときに、今このバランスをとる時期だと思います。

    ですから、民の役割、官の役割をどのように考えるかというのが、この小委員会の役目だと私は思っていまして、姿勢を示す意味では、ある程度の制約というのがないと姿勢が出ないと思うんです。ただ、それがあまり厳しいと、今度は経済が疲弊する可能性もありますから、そこら辺を二者択一ではなくて、民間との間で意見を聞きながらどこにどういう線を決めていくかというのが今問われているのだと思っています。ですから、規制がある程度あった、フレームワークをいち早くつくっていく。それは国際情勢を見ながら、時期でどのような値で規制を詰めていくかということを考えていくべきで、やはりまずはフレームワーク的なものをつくっていくことが重要。ただ、そのためには、税の配分を新エネルギーに向けていかなくてはいけません。その結果、支援策というのは規制と同じような手厚いものがあって、初めて世の中がうまく回っていくんだと思います。

  • 石谷委員長

    どうもありがとうございました。

    まさに官民のベストミックスというような話かと思いますが、それでは、中村委員、ご意見等お願いします。

  • 中村委員

    ありがとうございます。

    一言、PPSとして述べさせていただきます。まとめていただいた14ページの最後の配慮事項のところにも触れられていますけれども、私ども電力セクターで事業をしている者については、ここでも書かれているように原子力発電を国策として、その中で火力発電を中心として事業者の競争を通じてということを述べられています。今日の会の先生のお話にもあったように、まさしく私どもPPSは、電力会社さんとエネルギー政策基本法の中で述べられている安定供給、環境適応といったところは強調しつつ、もう1つの項目である市場原理の活用といったところで、電気料金とかサービス面で競争しているということですので、ここで述べられている3番目の市場原理の活用といったところを、ぜひ位置づけが後退することのないような形で考えていただければということでございます。

    以上でございます。

  • 石谷委員長

    ありがとうございました。

    葉梨委員はよろしいですか。はい、小山委員。

  • 小山委員

    ありがとうございます。

    私は、この政策的な取り組みと民間サイドの自主的な努力というのが、これまで石油危機以降30年、うまく組み合わさってここまでやってきたのではないかと思っています。その結果として、省エネルギーにしても、環境技術にしても、それぞれの個別のエネルギー業界の技術にしても、その中で非常に高まって、すべてではないですけれども、ある分野では世界のトップレベルまでやってきたということだと思います。ですから、これから先、長期の温暖化にしても安全保障の問題にしても、政策的な枠組みを見直して進めていく場合には、20年後あるいは30年後に、日本のそれぞれの技術がまた世界のトップレベルとなるよう工夫していくことが絶対に必要なのかなと思います。

    その結果として、国内対策としても役に立ちますし、先ほど橘川先生が言われていた、例えばアジアとか世界に対して発信するメッセージ、石炭を日本の中で減らしただけでは世界全体の温暖化の改善にはあまり貢献しないかもしれないけど、世界全体としての消費効率化を通した貢献というようなことを考えることが大事だと思います。つまりこの政策の見直しというものが国内の技術力と国際競争力に資するような形で進めていかないといけないんじゃないかなということを感じた次第です。

    以上です。

  • 石谷委員長

    どうもありがとうございました。

    木場委員は、特によろしいでしょうか。

  • 木場委員

    ありがとうございます。

    私の立場から今日の論点整理を拝見して、供給側の議論なので具体的な提案はないのですが、最初に総合部会で私が申し上げましたのは、どなたが何をどれだけの量、どうするのか。これをそれぞれの方々、国でも民間でもそうですけれども、それを見極めていく委員会なんでしょうね、というような質問をさせていただいた覚えがございます。具体的な議論は今後になると思いますが、もう1つ、私がこの委員会に出て常々感じるのは、国民の皆さんに、今私たちがここで議論している、安定供給や環境への配慮など、その前提である資源の96%を海外に依存している現状などが伝わっていないことが気になっております。

    私は専門家ではなく、生活者の立場で恐縮なのですが、例えば、この1年少々の間に、洞爺湖サミットがありましたから、さまざまな場面でCO2の削減について、1人1日1キロ減らしていきましょうというような国民運動喚起のために、直接生活者の皆さんと接してきました。一昨日も、鹿児島の公立高校で、1,000人の生徒さんにお話しさせていただきましたが、やはりそこでも自給率4%を知っている方は1割もいないというのが現状でした。本日も記者の皆さんたくさんいらしていますが、やはり大前提をもっと国民の皆さんに知っていただいた上で、今代エネ法という法律をなぜ変えようとして議論しているのかということがもっと伝わるようにお考えいただいて、そして今の論点整理も、もっと皆さんに知っていただく努力というものが必要ではないかと、このように感じている次第でございます。

    そして、本日は、小山先生には、今の世界情勢など最近のデータをありがとうございます。よくわかりました。そして、戒能様にもこういう法律を変えるということに関して、不慣れな私にとりましては、法律というものがあってどこに課題があり、どう変えていけばいいかということの方向づけが非常に頭の中で整理できましたので、感謝申し上げます。今後は、柏木先生がおっしゃったように、ある程度の規制みたいなものが必要なのか、それと同時にもちろん支援も必要でしょうというところで、具体的な議論に入っていったときに、また勉強させていただいて感じたことを述べさせていただきたいと思っております。

    以上です。

  • 石谷委員長

    どうもありがとうございました。

    前半のほうは、木場委員にぜひご活躍願いたいと思いますので、国民への周知ということをお願いいたします。

    それでは、質問が切れ、一とおり皆さんのご意見を伺ったと思います。廣江委員は何か、よろしいですか。

  • 廣江委員

    この件については結構でございます。

  • 石谷委員長

    それでは、今の件について事務局のほうにもご質問があったかと思いますので、応答をお願いしたいと思います。

  • 石崎エネルギー政策企画室長

    14ページの表につきましては、たしかに(1)の革新的技術や未利用エネルギーの開発と、(3)の化石燃料の高度・有効利用、これをどちらに分類するか微妙、どちらにも分類できるものがあるんですけれども、私どもの整理としては(3)の化石燃料の高度・有効利用につきましては、エネルギーの供給事業者の方々がみずからやられるものについては(3)に、そして(1)については、基本的には需要家の方が使うわけですけれども、それについて貢献するような話では(1)に、とりあえず分類するという、そういう整理でやっております。この辺の整理学については、もう少し検討してまいりたいと思っております。

    以上です。

  • 石谷委員長

    どうもありがとうございました。

    時間がほとんど来ておりますが、本日は活発なご意見ありがとうございました。私は、この席ですと本来は何も発言出来ない立場ですが、今までの議論を伺っていて、お許しをいただければ2、3コメントさせていただきたいのですが。

    まず論点が2つあったと思うのですが、1つはエネルギー資源の高度利用について、これについてはもちろん各委員が反対する理由は全くないと思います。ただ、そのやり方についてはいろいろなバリエーションがあるかと思いますし、さっき木場委員がおっしゃったように、これからどういう形が最も効果があるかという手段について検討していくかということではないかと思いますので、今後もさらに内容を具体的に詰めて、多様な可能性を議論することが可能かと思います。

    もう1つの重要な論点は、やはりCO2削減という話でして、これが直ちに非化石燃料への転換という話になってくると、当然窓側に座っている委員の方々は、ご自分の商売にかかわる深刻な話になります。それに対して、長期的な一般論としては、温暖化防止を推進するという世界の趨勢として、これは避けようがないということかと思います。しかしながら、いかにしてそれを上手に各企業、業界の活力を失わないように実現していくかというあたりが、非常に重要な論点です。その中でいまもっとも皆さんの同意を得られやすいのは、やはり技術による解決だと思います。革新的な技術を実現して対応できれば、悪い話は何もないということで、これは間違いなくコンセンサスが得られると思います。問題はその途中のプロセスでCO2排出量をどこまで絞っていかなければいけないかですが、この点についてはもう時間があまり残されていないといわれており、またFCCCなど海外との相対的な問題もあります。その辺をにらみながら考えていかなければいけないのですが、その際、相当のCO2削減の推進を自主的に進めるべきか、あるいは規制でいくかという点が問題になってくるわけです。

    その規制の話ですが、私の理解は、もちろん民間の活力は最大限活かさなければいけない。これはもう自明でして、そういったやり方が今までもかなり上手に働いてきたことは事実ですが、一方で、現在の経済性とか、事業形態というものは、CO2の削減とか温暖化防止ということを目指していない経済体制の上に成り立っています。従って日本だけがこれを協力に進めるのは問題だということですが、同時に柏木委員が発言されたように、長期にわたってそういうことが続くことが許されているのかどうかということを見極めておく必要もあると思います。国としては、やはり20年、30年先まで継続できるような政策を取らなければならないので、こういう委員会を開いているわけで、その中に低炭素化社会とか、現在の経済枠組みで考えると無理なような目標が頭から降ってきているわけです。その辺をご理解いただいて、やはり国がどこまでやるべきか、あるいは民間はそれに従っていかにして活力を伸ばす方向を探すかというのが重要な課題ではないかと思います。

    その1つの例が、私もかかわってきた省エネ基準ですね。先ほど小山委員が、省エネは政策的な取り組みと民間サイドの自主的な努力というのがうまく組み合わさってきたとおっしゃいましたが、省エネ基準を決める最初の段階では、スケールは小さいはなしですが、やはり業界とのいろいろな意見の交換の場がありました。そのときに省エネというのはこれを協力に進めれば結局は企業にとっても得策になる、あるいは日本にとってもプラスになるというようなことでスタートし、その結果がある程度企業にとっては武器になったのは事実だと思います。同じようにエネルギー供給についてもご自分の企業とか業態を考えられたときに将来の方向ということを考えることも重要かと思います。現在の枠組みで突然、大幅なCO2削減といって話が降ってくるとこれは非常に問題が多いのかとは思いますが、先ほどどなたかおっしゃった長期の道しるべというものは必要かと思います。その中でもし規制が有効であれば、規制と言うと印象が悪いのですが、ある程度の方向の指針というものが必要であれば、そういうものも頭から否定せず、どういった枠組みが有効かという観点で考えていただければと思っております。

    今後、まださらに2回ぐらい議論がございますので、そういった長期的視点も加味した上で、各企業あるいは業界として、どういう形が望ましいかという観点で議論を進めて頂きたい。頭からこういうものを排除しますと、結局は対応がおくれてもっとひどい状態になって厳しい対応が必要となるおそれがあります。昨今の温暖化に対する世界的な動向を考えると、そのような可能性もありますので、その点をご理解の上、長期の目標に従って建設的な議論を進めていただければと願っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

    最後に、審議官どうぞ。

  • 上田審議官

    今日は、座長にものすごくきちんとまとめていただいて、ほとんど何も言うことはないんですけれども、今日の議論というのは、おそらく窓側におられる方々も、廊下側に座っている我々も、頭の痛い話も含めて、いろいろとあったんじゃないかと思いますが、非常にためになったご議論を小山委員と戒能先生にしていただいたと感謝申し上げたいと思います。

    私自身、今の皆さんの議論を聞きながら、企業の利益と国家的な利益というものの関係というのは、やはりかなりいろいろ議論の対象になると思います。LNGの議論が今日は非常に多かったんですが、私、たまたま昨日までインドネシアに行っていまして、インドネシアのLNG開発というのは、日本が非常に長いことかかわってやってきたんですけれども、今インドネシアというのは、国内供給優先義務というのを考えております。国内供給に優先するというのは、別に海外に出さないと言っているわけではありませんけれども、インドネシアの需要の増大を考えると、海外にLNGを回す量というのは、物理的にどんどん少なくなってこざるを得ないということであります。

    もちろん企業の方もエネルギー源の多様化に非常に努力されておられまして、多様化というのは企業の利益にとっても非常に資することでもあるんで、各社がさまざまな協力をされていることは、皆承知しております。だけども、業界を超えた多様化というのは考えられているだろうかと。例えば、石油業界は中東から石油を輸入しておられる、電力業界さんはもちろんそうであります。ガス業界さんもガスを輸入されていると。では、そのLNGの輸入についてガス業界さんと電力業界を総合化したリスク管理というのは、だれがどのようにしているんだろうかというところは、おそらくあまり今までは意識されていなかったのではなかろうかと。しかし、それが資源ナショナリズムのもとで、そのようなことというのは非常に重要性を増してきて、そこにある種の国家的な利益と私益との調整というのが生まれてくるんではないかなと思ったりもしております。

    環境問題もしかりでありまして、企業の努力に任せろというご意見がありますが、今まさに座長が言われたように、省エネ法というのは何だったのかと。これはまさに官民を挙げた70年代以降の、官民あげた協調的な努力が今の日本をあらしめていると思います。もう1つ私が例に挙げたいのは太陽光でありまして、オイルショック以降、サンシャイン計画というのをご存じの方も多いと思いますけれども、我々は70年代以降、30年かけてやってきました。太陽光にはたしか1,500億ぐらいの、1,200億だったかな、国の技術開発のお金を注いで、これもまた企業のお金が加わって、2000年ぐらいからようやく太陽光の市場が立ち上がってきて、今や日本は世界の生産量の圧倒的な多数を占めているという状況になっているわけであります。国内の需要を創出したのは一体何だったのかと、ひとつはやはりRPS法であったと。そういうある種の技術開発と需要創造の仕組みの組み合わせというのが、企業の私益と国の利益を、何といいますか、上手に調整する仕組みであって、これがおそらく比較的うまくいってきたというのが、日本の経験であったんではなかろうかと思うわけであります。

    環境問題は、先ほど僕は、戒能委員の最後のほうの資料をすごくびっくりして見ていたんですけれども、半減というのは非常に難しいことだと。ほんとうに大変ですと。我々は、半減ではなくて、もちろん世界全体をやっていくんですけれども、日本だけにすると6割から8割というのは一応福田ビジョンの数字になっているわけでありまして、とても半減などできないという話も先ほどちらっとございましたけれども、国家戦略としてそれはとれないと。我々は、地球環境問題がある以上、一応この6割から、8割を2050年に実現していくという方向で基本的には考えていかざるを得ないわけでありまして、ここにも私益と国家的な利益の調整があるんではないかなと思います。日本は、企業の自由な活動をベースとした国家体制である訳ですが、そういうことをベースにしながら、しかし、世界の中で競争力ある低炭素社会をつくっていくというある種の世界の利益というか国益というか、それに向かってどのように官民協調の上手な仕組みを作りあげていくか、というのがおそらく議論の焦点になってくるのかなと思います。

    今日はほんとうにいろいろな意味で、私はものすごく勉強させていただいて、両プレゼンテーターに感謝を申し上げたいと、どうもほんとうにありがとうございました。

  • 石谷委員長

    どうもありがとうございました。

    ほんとうに今日のお話は非常によく整理されたお話で、プレゼンをいただいたお二人に感謝したいと思います。

    それでは、次回の本小委員会は、11月27日の15時より、経済産業省本館17階の国際会議室にて開催いたします。内容としては、これまでの議論を踏まえた論点整理案を提示し、本小委員会の取りまとめに向けたご議論をいただきたいと思います。資料の作成は事務局にお願いいたします。委員の皆様におかれましては、引き続き精力的なご審議をお願いいたします。

    それでは、これをもちまして、総合資源エネルギー調査会総合部会第3回政策小委員会を閉会いたします。

    本日はご多忙のところ、長時間にわたり熱心にご議論いたただき、まことにありがとうございました。

以上

 
 
最終更新日:2008年12月18日
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