経済産業省
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ソーラー・システム産業戦略研究会(第3回)-議事要旨

日時:平成21年2月16日

議事概要

太陽電池の生産の現状と今後の見通しについて

  • 発電コストはどこまでいくのかという議論が海外では強い。最近の動向を見ると、大手の電力カンパニーが参入を始めている。日本のエンジニアリングカンパニーも、この分野に関心を高めている。火力発電所が建設できないという方向になってくるわけだから、彼らの仕事はどこに入ってくるのかということになる。大手が参入してくると、大規模の部分はコストが取られてくる。我々としても新しい太陽電池をつくっていかなければならない。どういう分野で、どういう用途で使われるかを考えていかなければならない。
  • 欧米のように、太陽光は神様というのではなく、日本の場合は色んなものを組合せていくべき。安くしていくことの道筋をどうつけるか。大きいものの市場に対する電源を安くつくって、世界にもっていければありがたい。電力会社だけでやるのではなく、みんなで協力してやりたい。最終的には、競争力あるものをつくっていく。
  • ガラスが太陽電池の主要部材として扱われているのは事実。我々も色んな展開を考えているが、基本的にガラスを運ぶことはやってはならない。ガラス産業は、大きなエネルギーを使ってつくるので、エネルギーは現地、現場主義であると思う。同じものを、性能、品質を世界的に提供できるように、ソーラーを展開していきたい。
  • 基本的には軽くて扱いやすいものが理想的だが、まだ無いと思う。せいぜい、ガラスを強化してより強度を薄く出せるという程度まで。将来的にソーラー用のある組成をもったガラスというのは考えられなくはないが、現在ソーラーには透過率の関係で、性能改善の要望の方がはるかに多く、あまり軽量や扱いやすさといったところに大きなニーズは無い。
  • 結晶系の太陽電池は構造が単純で、ものをつくるということであればできてしまう。問題なのは、評価方法はIECの様な規格ばかりで短時間の評価ばかりなので通ってしまい、それが商品として流れてしまう。問題なのは、長期信頼性というものが何も評価されていない中で商品が出ていくので、市場に出てから大トラブルを起こすという問題が既に中国製の製品の中では起きている。一方で、短期では技術の蓄積が何もないかということになると、現状、オーストラリアであれ中国、台湾であれ、国のレベルで開発する体制をつくっている。特に台湾や中国は産学の一体化がものすごく強いかたちで入り込んでいる。システムを色んなかたちでグレードアップしていくというのは、どんなシステムでもお客さんサイドがやっておられる訳で、初期にメーカーが入れた当時のまま10年同じ状態で使うことはまず考えられない。色んなかたちでユーザが固有の技術でもって開発していく。
  • 中国や台湾、韓国といったところが短期で設備を導入して、そのままの技術水準で過ぎていくことはまずない。液晶テレビの時代に端的に起きた訳で、1995~98年にかけて、韓国、台湾で日本のメーカーが色んなかたちで技術教養していわゆる低級品をつくらせようとしたものが、あっと言う間に技術レベルが日本と同じようになってきた。同時にコストも下げてきた中で、市場が大きく変わったという経緯がある。同じ事が起こりうる可能性は十分にある。
  • 太陽電池をつくるにあたって、部材コストの割合がものすごく大きい。一方で、ワットあたり1ドル以下にしましょうという目標が流れていて、各社効率を上げようとか、部材コストをどう下げるかという競争をやっている。初期には指定した材料を使っているが、それ以降は自在の材料を使ってコストを下げていくという動きがある。インドなどでは、部材にかかる輸入税が15%かかるため、部材コストが税金のかかるようなものでやってたのではとても成り立たない。そうすると国内調達ができない。中国では結晶系の太陽電池が出ているが、防湿性をもたせるためのフィルムにEVAフィルムというのがあるが、これは既に中国での生産量の方が日本よりも多くなっている。当然値段が格段に安い。そういうものをサンプル要求すると、積極的に出してくる。積極的な動きが既に起きているので、日本が保守的に活動していると、そういったところに浸食される危険が高い。もっと攻めていくような施策、輸出に対する保険や資金的な援助を国レベルで行う必要があるのではないか。

太陽電池の調達・物流の強化について

  • 上流の金属シリコンにも焦点を当てる必要がある。多結晶シリコンを製造・販売するに当たっての原材料の調達については厳しくなっており、日本でつくられていないということを含めて、世界でどのように原料不足の危機を脱するかを考える必要がある。世界的にシリコン系の太陽電池が伸びていけば、長期的に見たときにそこがネックになってくる。
  • 金属シリコンも木炭を還元材として使うことによって還元している。現実として、木材を使うということは環境破壊につながっていくことも視野に入れて、伸びをコントロールすべき。
  • 金属シリコンの調達をやっているが、金属シリコンを有利に調達して、シリコンが欲しいのであれば現地に来て出資をして一緒にやって下さいということが強く言われている。これからは、金属シリコンそのものの調達が大変厳しくなってきているという見方ができるので、政策的にやっていかなければならない。
  • 金属シリコン、ポリシリコンを使っても、最後に残るのは1/3程度。残りは、ウェハになる過程で消失してしまう。そうすると、海外から金属シリコンを持ってくることは、2/3はコストが無駄になっているということになる。本来は、金属シリコンを現地で調達して、そこでウェハをつくって、モジュールにするという流れが、トータルのバリューチェーンから見て重要。国として、材料をどうするか、日本に持ち込むのか、現地で確保できる体制をつくるのかどうか、考える必要がある。
  • インゴットスライスの過程で出来上がった製品の1/3になってしまうということだが、2/3をもう一度再利用できないかということが大きな課題かと思う。
  • シリコンコンプレックスについては考えていくべきだと思う。薄膜に関しても、モシュランを使っている。非常に危険物であり、100km、200km輸送するとなると爆発物が道路を走っているようなもので、相当の規制が必要。
  • 利用分野ごとに検討する必要。大手の住宅メーカーの場合は、新築物件についても、既存の建物についても、自社製品を扱っている。システムインテグレーターの事前調査から構造計算も入ってくる。1時間くらいでシステムインテグレーターのシミュレーションができる体制を大手はもっている。大手でない工務店や大工さんは、物理的に不可能。
  • 大学の先生方が言うには、シリコンをもっと安くつくる製法があるのではないか。シリコンは高いものだと諦めてしまっているのではないか。それについてのコメントを頂きたい。
  • 諦めているわけではない。元々結晶シリコンの製法は基本的なところは50年以上変わっていない製法である。それに対してコストをどう見るか。太陽電池用ということで、将来を見た場合には合わないという前提の下で、NEDOから支援頂きながら、現在も開発している。時間がかかっていることは否めないが諦めている訳ではない。
  • 半導体用としての多結晶シリコンというのがずっと主流できている。太陽電池はマーケットのサブ的な位置づけであったが、ここにきて大々的に使えるようになってきた。プラントシステムは個別企業の技術であった。これ以上の開発をしてもあまり事業性メリットが無い。加えて、半導体ということで品質という部分もあるので、それをどのように利点とするか課題ではあった。
  • マーケットがどんどん大きくなると、そこに新規参入が出てくるし、いかに技術をシンプルにしていくか。事業性があれば、どんどん開発していけば世界中からの知恵も出てくる。現時点では、そういう方向にいっている。極端に言えば、全てのシステムをばらばらに購入して組み立てれば、結晶シリコンなるものはできる。ただ、品質については単純にはいかない。どんどん技術がオープン化されれば知恵が入ってきて、フロントコストそのものが安くなっていくと思う。世界中の知恵が出てくれば、シリコン系の範囲の中でも新たな製法・技術が出てくるのではないかと思う。

販売力・プロジェクト力の強化(国内における取組み)

  • システムインテグレーターは、マーケットセグメントによって大きく違う。日本の流通・販売面で捉えると、個人ユーザを対象とした住宅分野では、例えば既築住宅であれば、屋根屋、電気屋を含め、専門事業者がかなり多く関係している。さらにそういう方に対しては、システム保証というかたちで各メーカーは施工訓練などをやっているが、ある意味では基本的な体力を養うために基礎的な検証をすることが重要なポイントではないか。
  • 太陽光発電を普及させる最大のネックとなるのは、現在のシステムがまだまだ経済性に合っていないこと。いかに太陽光発電の環境価値をユーザに理解してもらうかという努力が、住宅においても、大型システムにおいても重要な部分。
  • 大型の場合には、まだシステムインテグレーターが日本の中で育つような仕組みができていない。欧州でははっきりとした需要があって、それに対するインセンティブがあるから、システムインテグレーターが多く様々なアイデアを出してきた。日本型のシステムインテグレーターとして、様々な環境価値やインセンティブも無くユーザに分かる仕組みをつくるべき。
  • 今回、4省庁のアクションプランが明確に国から提示された。その中では、省庁における様々な導入形態が示されているが、例えば産業界から見れば、そのような明確なターゲットがあれば、それをブレークダウンしたかたちでシステムインテグレーターを含めて様々な提案ができるのではないかと思う。今回、新エネルギー社会システム推進室が設置されたということだが、太陽光発電を積極的に社会インフラの中に入れるということが、明確に新たな雇用を生んでいるのではないか。そういった意味で、システムインテグレーターも、日本的なやり方、さらにはセグメントに合ったやり方があっていいのではないかと思う。
  • 中国の現状を見ると、水平展開に限界がある。現在の既存技術では今の経済閉塞状態の中で生き延びていけない。日本の産業として生きていく場合、技術力をいかに生産の中でフィードバックして、それを我々産業界がいかに競争に打ち勝っていくかがポイントだと思う。需要を創生すれば明確な競争が生まれて、そこに産業界がさらに協力にコストダウンの努力をしていくのではないかと思う。
  • システムインテグレーターという側面で、2点ある。一つは、マーケットをディブロップするということ。もう一つは、テクニカルに色んな周辺技術を総合的に仕上げるということ。
  • 事業分野によって、システムのインテグレートのやり方が違ってくるし、サポートの仕方も違ってくる。産業用、公共用、一般家庭用があり、一方で固定用、モバイル用がある。また、グリッド、ノングリッドがある。これら全てシステムによって違う。
  • 新築の場合、ビルを建てるにしても、倉庫を建てるにしても、意匠や構造や仕様など、つめていくものを短時間でやる必要があるため、太陽光発電を入れたいという時には、全ての作業をやるとなると、他社にお願いしてやってもらわなければならない。ハードを全部入れてきているからその分利益になっているが、それが提案だけではそうはならない。ハードがついてこないと、事業としては難しい。
  • ESCOの場合でも、ハードがついてくれは事業にはなるが、基本的には提案や設計の費用は、どのようなかたちでやれば事業として成り立つか議論をしていく必要がある。
  • ヨーロッパは、単純なビジネスモデル。20年かかって収益が上がるかどうかでやっている。規模の勝負をしているのが、ヨーロッパのシステムインテグレーター。そのため、大型の発電所がどんどん建っていく。ヨーロッパは建物より、地べたに置くのが多い。一方、アメリカは建物が多い。いかにシステムインテグレーター自身が儲け、お客さんが儲けるかを計算してできているから、ノウハウのかたまりである。物品を大量購入して、値段も下げ、各種の補助を使い、税額控除を使い、さらにファイナンスエンジニアリングを使いながら、いかに利益を出すかを勝負にしているので、日本も参考になるのではないか。
  • コストの面で、かなりの回収期間がかかるため、実際に取り入れるのは少ない。建設会社としては進展が無い。今後、ソーラーの産業は発電所として進展が出てきた場合に、我々としてもそういった分野でのスタンディングが可能となってくると思う。

その他

  • グリーン電力がどういうビジネスになっていくかを分析している。ポイントは、グリーン価値をどう読むかということが非常に重要となる。これは、制度の問題が大きいということと、グローバルな排出権の価値がどうなっていくかということの二つの側面から分析している。グリーン価値はソーラーパネル、風車、バイオエネルギーなど省エネという側面がある。省エネでグリーンを出すという考え方と、風車などを回してグリーン電力を生み出してグリーン価値を獲得するという二つの考え方がある。そういったものを総合的に分析して、グリーン価値そのものを分析する。これができないと、マーケット分析ができない。日本の制度がどう変わっていくかということと、グローバルにグリーン価値がどうなっていくか。その見通しをある程度つくって、それからシステムインテグレーターがマーケットをディブロップし、まずはマーケットが出てこないと始まらない。
  • 自分がやる省エネのコスト、グリーン電力を生み出す行動、このお金がいくらになるのかがポイント。グローバルに色んな制度がある中で、グリーン価値は将来間違いなく上がっていくという風に見ているわけだから、数字的なものが出てこないと先に進まない。制度がどう変わるかということもあるが、やはりグリーン価値はグローバルにどう動いていくかという見通しが重要。そうなると、ソーラーパネルは発電コストが一番高く、風車、バイオは安い。グリーンエネルギー全体の組合せで、グリーン電力のコストを下げて、上手く方向性を出していければ、事業用や産業用には出てくるのではないかと思う。
  • 新エネによってどういう産業を創造するか。内需が増えないことにはエネルギーの消費が増えないのだから、内需を増やすような、産業の育成につながるような新エネルギーを使っていける、そういうものが必要。輸入を減らすために、それに代わる産業を国内で育成していくなど、そういったことを含めて考えていく必要がある。エンジニアリングカンパニーとの連携は重要になってくる。
  • 一緒にやりましょうという電力会社はいない。餅は餅屋のところがあるので、勉強して一緒にやることは重要。これが発展していく余地はある。
  • 扱いにくい電源ではあると思うが、それをどうやって組合せていくか。火力の人に良く勉強してもらって協調して運転していかなければならない。我々としては、安い設備にしていかなければならない。
  • システムインテグレーターは、ESCOを理解できないとできない。
  • システムインテグレーターは、ビジネスではなく機能である。利用分野において能力や機能が違ってくる。

以上

 
 
最終更新日:2009年2月27日
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