経済産業省
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産業構造審議会産業技術分科会基本問題小委員会(第1回)-議事要旨

日時:平成16年3月2日(火曜日)9時30分~11時30分
場所:経済産業省本館2階2西8共用会議室

出席者

出席委員
木村小委員長、大中委員、後藤委員、佐野委員、高木委員、手柴委員、吉野委員、渡部委員

議事次第

  1. 基本問題小委員会の設置と今後の進め方について
  2. その他

議事概要

基本問題小委員会の設置と今後の進め方について

事務局から、資料3~7に基づいて説明。

以下委員の発言概要

  • これまでの政策は、対応が泥縄的であり不満がある。「時間がない」と言って行われないことがあるがそのような体制は是非脱却して欲しい。そのためにはエキスパートの養成が必要である。
  • 長期的目標と中短期の目標の仕分けが不十分である。基本計画でも理念的な大目標とそれを成し遂げるための中目標がはっきりせず、いきなりの小目標が立てられているため非常に飛躍を感じる。また、大目標、中目標は、評価可能な目標を立てるべき。また予算額が目標ではないはず。金額を使い切ることが目標であるのはおかしい。
  • 重点分野にある程度特化することはよいと思うが、やりすぎると計画経済に近づく。ただ、計画経済でうまくいった例はない。研究でも計画的にやったものが本当にうまくいった例はないのではないか。短期・中期ではうまくいっても、長期的に行うと問題が出てくる。計画をあまりリジットにやらずに、分野を絞らず、予測できずに生まれてきたものを育てる環境が重要。(例えば情報産業はこれほどにまでなるとは予測できなかったのではないか。)
  • NEDOの競争的資金の研究開発予算については、採択の決定が遅く、年度初めからスタートできないこともある。また1年、補正予算では半年で成果を出す必要があり非効率。2年の研究であれば本当に2年できる体制を構築して欲しい。
  • 総合科学技術会議での議論は、酒屋談義の感が強い。それぞれの方が言いたいことを述べてそれをまとめた形式。もっと戦略的、システム的に行うべき。
  • 中央集権的に研究開発の分野を決めて行うことはいいのかという疑問がある。確かに、どの国でも研究開発プログラムのようなことはやっているが、米国やEUでは、研究者からどういう分野がおもしろく発展しそうかを提案させ、そこに研究費を投入し、成果が生まれ、拡大し、その結果として分野の重点化がなされている。短期的には無駄な面もあるように見えるが、長期で見ると強い科学技術を作り上げている。
  • これまで日本の技術政策は、研究費の配分に力を入れ、また、研究開発減税により7500億円の投資効果をあげている。これらは科学技術の需要に対しての政策であった。これからの政策は科学技術を生み出すサプライサイドへのシフトが望ましい。需要側のみではなくサプライサイドへの拡充が重要。新しい科学技術の種が生まれるような政策が必要である。具体的には、科学技術を作り出す人の質と量を増加させる。単に重点分野のある分野に何人という話ではなく、根本的に質と量を底上げすることが重要。
  • ナショナルイノベーションシステムの新しい連携を考えることが必要。資料では日米の比較がされているが、欧州もおもしろい傾向がある。EUは科学技術論文で米国を抜いたところ。日本も論文数を増やしており、体制も日本に近いことから良い参考になるのではないか。また、EUは大学の教育費がタダ(進学率が相対的に低いが)である。国公立の研究所も大きな役割を果たしており、例えばフラウンフォーファでは、大学と産業界と連携のハブとなっている。そのようなシステムも視野に入れるべき。
  • 小委員会の名前である「基本問題」という言葉を使用しているが、基本問題に相応しいこととして何を取り上げるのかが不明確。
  • 資料のはじめに「少子高齢化」というワードが記載されているが、地方に行くとその傾向を強く感じる。日本政府は国としてこの問題にどのような手を打つのか、また、少子高齢化が産業技術力にどれほどのインパクトを与えるのか、日本のポジショニングはどうなってしまうのかといったことはまさに基本問題である。しかし資料ではあまり詳しく触れられていないのが残念。
  • 別の基本問題としては、グローバリゼーション、中国を筆頭とするアジアの台頭の問題がある。これについても、国としてどのように捉え、どのような方向に進むのかということは基本問題であるといえる。企業はどんどん中国市場がビジネスチャンスであるとして海外へ進出しており、世界の中での日本の位置付けというのは、少子高齢化を迎え、経済力、購買力が落ちていく一方であり、世界の中でのポジショニングも下がる一方。しかも企業は外に出て行くので、海外の国々はどんどん伸びていく。このことにどのように対処するのか、国としてのスタンスを定める必要があるのではないか。
  • 少子高齢化の対策にしても、その場しのぎの対策を練っていては、時間はすぐ10年20年経ってしまう。そのときに大あわてで対策をしても遅い。状況認識をきちんとリンクさせてどのような対策をとるのか考えるべきで、このアジェンダでは方向が不明確。
  • 重点4分野やフォーカス21の取組みについては、日本の景気が悪くなり、即効性のあるものという流れで行っている感がある。一方、基本問題を考えることは必要。10~20年後に日本の状態はどのようになるのか視野を見据えて、その中で科学技術の役割をどのように考えていくのか、経済産業省として何をすべきかを考えるべきである。日本社会が今後どのようになるのかが明白な事柄、例えば少子高齢化や環境問題にどのように取り組むのかといった長期のビジョンを持たないと、泥縄になってしまう恐れがある。来年度予算、第3期科学技術基本計画をどうするのかという議論のみでは、短期・中期の対応のみになってしまう。ちまちまとした議論にならないようにするためにも、経済産業省としての視野だけでなく、国としてどのような方向性をもつのか明確にすべきである。また、教育の問題も心配である。
  • 重点4分野への集中投資により、ライフサイエンス分野への研究開発予算は拡充され、確実に増えている。ただ、例えばミレニアムプロジェクトを見ても、結果が出たのか、例えば産業の活性化や雇用の促進の面でどうであったのかと、批判を浴びている状況にある。この数年間日本がこれほどまでにライフサイエンスに力を入れていたかというと、1つは、米国では、NIHが遺伝子の配列を解析し特許出願を行うことを国策として行っていた点(結局は遺伝子の機能が解らないことから、日米欧の特許庁協議で特許として認められなかったが)。2つ目は民間の1ベンチャー企業がとてつもないスピードで遺伝子の解析を行ったという点が挙げられる。このままだと医療のみならず食品、化学分野でも米国に席巻されるのではないかとの懸念から、日本でもバイオテクノロジー戦略を国策として行うべきであるとの要望をし、BT戦略会議が設置されたところであり、予算も配分され、200の計画が着実に実行されてきている。
  • 米国のバイオの分野で雇用を生み出しているのはベンチャー企業である。日本では2年には100社であったのが、現在350社にも増え、特に大学発のベンチャーが大きく貢献をしている。玉石混合であるがとりあえずは見守りたい。ただ、ライフサイエンスはなかなか成果が出ず、キャッシュフローには結びつかない分野であるから、日本のマーケット、投資家がどこまで我慢をしていただけるか、不安に感じるところである。
  • 基本計画には科学技術立国を目指すとあるが、国民全体が意識を共有しているのかと疑問に思うことがある。例えば最近GMO、すなわち遺伝子組み換えの農産物を研究といえども規制する流れがある(倫理にかかわる先端医療の問題は別として)。せっかくバイオテクノロジーを促進させるという気運が高まっているのに、国民の理解が得られず失速することのないようにしてほしい。
  • 産学連携、大学発ベンチャーと騒がれてはいるが、大学自身、大学の先生の意識はさほど変わっていない。税金を使って研究をしているにもかかわらず説明責任が欠如しているのではないか。
  • 競争的研究資金については、枠を30%に拡大するという目標については理解できる。ただし、中身も替えていく必要。例えば物理学・生物学の分野では30~35歳までが独創的なアイデアが生まれ、活躍ができる時であるが、若い研究者の独創性を助ける仕組みになっていることが重要。部下や弟子が大御所の先生を支え資金を獲得できる仕組みではいけない。米国の場合、NIHからの資金は、30代の若手研究者が競争資金を獲得できる状況であり、また成果を公表するという責任をもって行動している。予算的な数値上の拡充のみならず、中身の十分な検討が必要ではないか。
  • 重点4分野という分野の議論については、将来性を見据えてやっていくべきであるが、短期的にみればこんなものではないかと評価できる。研究者として現場にいて感じるのは、ナノテクでも、情報でも、環境でも出そうと思えば出せる仕組みにあり、研究分野よりも重要なのは、どれだけ優秀な研究者がそこにいるかということである。また、人の交流が重要であり、いろいろな分野の人との接触があり、人が意見を交換し、競争をするという土台が生まれれば、良い成果が生まれるのではないか。
  • いろいろな技術の出口を考えることが必要であり、そのためのスキームや適合性を考慮することが重要。例えば、ナノテクは中小企業が活躍し、技術的に関与可能な分野であり、大学等の研究成果としてのナノテクノロジーの出口として、中小企業の活用を考えるべきであり、さらに中小企業向けの政策と連携を図るべき。出口を見るという意味では短期的な視点も有効。大学や公的研究機関で科学技術に関する研究がなされ、その成果が知的財産権やナレッジとして確保され、外部調達できるような市場の整備をすることが必要であり、その際に出口を考慮してスキームを構築すべきである。
  • 大学と企業の産学連携が言われているが、今後は中間的な連携も増えてくるのではないか。すなわち、日本の場合、産業クラスターが5年で終わった後、大学と結びつきの強い企業が誕生することになるのではないか。また企業と大学との間を橋渡しするTLOが存在し、大学の外部プレーヤーとして活躍しているところであるが、今後大学内部に知財本部ができてややこしい状況にもなることも考えられるが、大学は大学の中でアカデミズムの論理の中で活躍すべきであり、企業と同じようになれということに無理がある。大学は大学として活躍することに意義があり、大学の外に設置されたTLOが知財、ナレッジを育てることが適切ではないのか。そのような点を踏まえ、各分野の出口を見据えることがよいのではないか。
  • これまでの基本計画は着実に推進されている。今後は何を一番のポイントにするのかを考える上で、大中小の目標をクリアにすべき。また、科学技術基本計画を産業技術政策といかに結びつけるかを経済産業省として考えるべき。
  • よく「死の谷」の問題が取り上げられているが、1つの谷ではなく3つぐらいの死の谷があるのではないか。1つは大学という研究をしているところと企業という事業をしているところの間に存在し、事業化に際しての有用性や経済性のハードルが存在する。また、企業と顧客の間にも大きな谷があるのではないか。すなわち、顧客の受容性・アクセプタンスという谷が存在する。個人は新しい物好きでどんどん購入を行うが、マーケットが企業であった場合(例えば設備投資)、また国がマーケットである場合、依然として保守的ではないか。してみると、真ん中に位置する企業は、どんどん高度化していく研究開発を如何にマネージするかという問題と、顧客が高度な生産装置を保有するようになり、また高度なニーズも発生するという問題の、2つの狭間にたって相当高レベルの経営をしなければならない状況になっている。さらに、シーズにあった事業を練ること、また、保有する技術を如何にマーケットに埋め込んでいくか、お客のニーズと自分の財産(ナレッジ)とを取り替えてもらうかが重要。例えば半導体で光の技術が進展し、40nm~30nmの数値が達成できた場合、これらの技術を採用すると顧客の既存の設備投資を全て無駄にすることになる。また、お客のニーズのみを見ていると今の技術の進歩をストップすることになりかねない。技術が進歩してシーズ技術の選択肢が増えたにもかかわらず、顧客が今持っている資産でこのままやっていこうという保守的なイナーシャがかかってしまう中、一気通貫で替えていく仕組みを日本全体で作り上げていくことが重要な課題。
  • ナショナルイノベーションシステムとして、研究開発と事業を円滑に回すための呼び水が必要。研究者、事業家、開発者、顧客にしても、仕組みや制度はいろいろと作られているが、制度を利用して走り出す人が少ないのではないか。成功した例が生まれたといっても新規上場会社が2~3社生まれた程度であって、まだ、他人事のように思っている状況。産学連携が進み、研究開発結果を事業に結びつき、大学発ベンチャーが、500~600社立ち上がったといっても、投資価値があるのは3~5パーセントではないか。
  • 日本では1千4百兆円という個人資産が郵便局といったノーリスクな機関に保管されている。リスクは高いが魅力があるところに流れる資金は、米国の1/20程度しかない。
  • 個人のマーケットは積極的であるのに対し、企業のマーケットは保守的であり、新しい技術を取り入れて失敗したらとの思想が根強い。積極的に行われるよう国が呼び水になるべきである。
  • 問題は単年度の会計制度にもある。
  • 投資分野の分類の仕方として、応用・基礎研究という分けがされている。これを確実に成果が出る分野、将来予測に基づいてなされる分野、大化けする可能性のある分野とわけて投資する方法もあるのではないか。これらのバランスを考え、投資のポートフォーリオをたて、偏りなくさまざまな分野に投資することが重要。
  • 人材不足もそうだが、スペースなどのインフラ不足も問題。長期的な視点でインフラの整備をすべき。
  • 人材育成では国民全体としての科学的思考力が欠如しているのではないか。理科系教育のみならず文科系教育にも取り入れるべき。
  • MOT人材の育成も重要であるが、みんなが懸命になってなんとかせねばという危機意識を持った教育を行うことが必要。アントレプレナー教育の充実が必要。
  • 教育の問題では、日本の子供達は、「勉強が大切か」と問えば8割が大切と答える一方、「勉強が好きか」と問うと2~3割の子供しか好きと答えない。特に理科、算数を嫌っている。また、世界的に各国平均6割は理科に関連した仕事を希望するが、日本では2割程度である。これも基本問題である。
  • 「日本の研究開発は非効率ではないか」と言われるが、自分のところを見ていると4500億円の研究開発費を使用しているが、その研究成果のうち日本の市場向けの開発は半分弱である。研究開発は全て日本で行うが、現地での工場の立ち上げが増えているので、研究開発費が国内の売上高、営業利益に貢献していない状況。よって、研究開発費のうち日本のGDPへの寄与度は半分にしかならない。他の企業もそのようなトレンドではないのか。資料もそのようなトレンドの変化を捉えているのか気になるところである。
  • 人材については、中国は日本と比較しても向学心、向上心が高い。日本は実はスポーツ立国ではないのか。小学校から大学までスポーツが大変盛ん。スポーツと同じように、科学技術の分野で活躍する学生が生き生きと取り組め、ニュースでも取り上げられるような状況を築くべきではないのか。
  • 現実は、子供達は学力だけでなく、体力も落ちている状況。
  • OECDが実施する大人の科学技術に対する理解度のテストで、日本はかなり低い状況。しかも学校で理科や算数をきちんと習った世代がこのような状態にある。

*なお、本議事要旨は事務局の文責にて作成したものであり、委員各位の了解を得ていない。

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