経済産業省
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産業構造審議会産業技術分科会基本問題小委員会(第9回)-議事要旨

日時:平成16年11月30日(火曜日)9時00分~11時00分
場所:経済産業省本館17階西7 第1特別会議室

出席者

出席委員
木村小委員長、大中委員、大見委員、梶山委員、國井委員、黒川委員、後藤委員、佐野委員、高木委員、中村委員、室伏委員、吉野委員、渡部委員

議事次第

技術革新システムの重要課題

議事概要

事務局より、資料にもとづいて説明。

【委員】
  • 人材育成について、大学院博士課程の学生にどのような学力を身につけさせるべきかが我が国では確立しておらず、学生が研究の補助員的な使われ方をされている。基礎を実用化に結びつけてリサーチプロポーザルできる学生を育成することが必要であり、そのためにはインターンシップは重要な経験となる。
  • また、大学の研究開発の成果を社会に出すために目利きが重要となるが、総合大学から生まれるさまざまな分野に渡る成果を統合して新たな成果を生み出すことのできる人材は少ない。本大学でもそうした人材の育成に取り組んでいるがまだまだ足りない。
  • エフォート制の取組みとして、本大学では、総長裁量経費2億円を活用し、若手の研究者30人を対象に、ポスドク等を雇用するための人件費等に当てることができる「スーパースター研究支援プログラム」を実施している。総長が研究員を選定して資金を配分する試みは本大学では始めてであり、将来の大学や日本を背負える人を選ぶものであるが、選定対象から外れる人も多く反対が根強い。意識改革を行っていくことが必要と感じている。いずれにしろ、組織の中においてインセンティブをつけていくということは重要なことだと感じている。
【委員】
  • 大学にはこんなにも多くの資金が流れているということに驚いているが、政府の研究開発費を使っているという自覚を持たせ、大学の使命を徹底させることが必要。反対する人の首は切れるようにするぐらいのことが必要である。
  • 全ての大学が総合大学のようなことをやってもだめである。専門別に特化させることが必要である。例えば、山形大学は有機EL分野に強みを有している。大学において基礎を教えるには、今やあらゆる分野の全ての講義が必要となるが、総合大学等においてさえ、ある分野における専門教員が一名しかいないといった状況にある。教授のネットワークを作り、インターネットで講義が受けることができるようにしないと小さな大学も大きな大学も生き残れない。
  • また、日本の博士課程を受けている者の能力はアメリカと比べると低いと言われることがあるが、そのようなことはなく、本研究室では、最先端の研究所で日々on the job trainingで鍛えられているため、世界から引き抜きが来る状況。そうした点からも、ある専門に特化した研究所を作るということは重要と考える。
  • 目利き人材の育成については、何十年もかかってしまい即効性という点ではあまり効果がないと感じる。即席の目利きは帰ってマイナスになる。
  • それよりも、日本で優れた新しい技術が生まれた際に、日本企業では採用されず、台湾・中国企業で採用されることが起きており、日本のR&Dが外部へ流れてしまっているという問題がある。こうしたことが起きるのは、日本では出る杭を打つという風土があることによる。制度的に変えるより他なく、日本の競争力を強化するために、ナショナルプロジェクトを真っ先に採用した国内企業には、例えば税制の優遇措置を設ける等の支援策を検討すべき。
【委員】
  • 「産」と「学」が連携を進めていく中で、その中核となる人材の育成が重要。
  • 産業教育の観点からも生涯教育が見直され始めているが、現在はまだ漠然と行われている状況であり、どのような教育を行うべきかもう少し抜本的に考えていくことが必要と考える。例えば、先端技術を使った実習や、ものづくりの開発設計等のカリキュラムを戦略的に組み込む等。
  • 産業人材の育成の問題について、大学側に全部押しつけられてもとても対応できない。産業界と大学の間を取り持つような中核的機関の必要かと感じている。
  • 情報技術の発達により遠隔地教育も他国では進められているが、日本ではマルチメディアの教材作り等遅れている。また、カリキュラムの問題だけでなく教育する場所(最新設備)が無いといった問題も抱えており、スイスの例のように、産業教育を大企業が受け持ち、それを国が税制面で支援するようなことも必要。
  • 海外のMITをそのまま日本に移殖することはできない。アメリカのMITでは学生が寮でも勉強しており、それがきちんと評価される仕組みがあるが、日本にはない。
  • 地域クラスターも海外とは金額の桁が違う。
  • 教育問題については意識改革が必要であるが、意識改革を促進するような施策として、例えば、政府が積極的に情報発信することも必要ではないか。
【委員】
  • 人材については、教育への投資の結果、どれだけの報酬が得られるかという視点が経済学的には重要。博士号を取得しても企業の処遇に反映されない問題にどう対応するかである。
  • 人材育成に関しては、質の向上のインセンティブが必要であり、戦略的キャリア形成として自らキャリア形成に励む人に対するインセンティブを与えることが重要。
  • 民間企業では5~6%が基礎研究に割り当てられており、割合では低く聞こえるかもしれないが金額としては相当大きく、国全体で見ると民間企業による基礎研究というのは相当の割合になる。こうした民間企業が行う基礎研究に、政府がどのように支援していくかということを考える必要がある。
  • ベンチャー育成については、独占企業に対する独禁法の適用ということも一つの方法としてあり得る。ベンチャーの新規参入に種々の妨害があるが、これは本来独禁政策で対応すべきだが、積極的に行われていない。競争政策の活用を検討すべき。アメリカでは既存大企業による市場独占に対し独禁法を適用したことがベンチャー育成にもつながったと聞いている。
  • 産総研等の公的研究機関の役割として、企業・大学にできないことを行うというようなネガティブな考えではなく、ポジティブに考えるべき。そうでなければ、大学の研究に税制で例えば1,000億円の支援をした方が、公的研究機関に助成するよりいいのではないかとの議論に対抗できない。産総研だからこそこんなことができるといった積極的な取組みに期待をしている。
【委員】
  • 資料3-1のP.6にある米国の事例について、日本の教育の仕方は横断性がなく、研究者間でも隣の研究室ではどのような研究を行っているのかよくわからない状況だと聞く。専門分野だけでなく、周辺・関連分野を身につけていくモチベーションを学生にどう持たせるかが重要。そういった意味で、サポートシステムとして、インターンシップをうまく機能させていくことが重要。また、自分の学科以外に他の大学の授業も受けたい等の意欲ある学生の道を広げていくことも重要で、直接補助により学生が教育サービスを自ら選択できるバウチャー制度を強力に進めていくべきだと考える。
  • 私立大学の中には研究費が少ないにもかかわらず受託実績を上げているところもあり、効率化を考えると、私立大学と国立大学の制度的差はなくしていくべき。
【委員】
  • 先程、日本で良い技術が生まれてきても、日本企業は買おうとしないという話があったが、NIH症候群に見られるように産業界にも反省すべき点がある。ただ、本質的に良い技術であっても、技術移転等にどうしても時間がかかってしまうことがある。ビジネスモデルも当初から検討しておくべきという問題もある。最初からテーマを設定し、大学、公的研究機関、企業でインダストリアルクラスターを組んで取組んでいる例が、ドイツのフラウンフォーファー協会の例のように世界のクラスター事例を見ても多い。公的研究機関の役割を強化することが必要。
【委員】
  • サンプルを持ち込み、当初から企業のニーズを踏まえてクラスターでやってもうまくいかない例がある。新技術を最初に導入する企業への支援が必要と考える。
【委員】
  • 産業界も大いに反省すべき。今までの考え方を変えないといけない。NIH症候群があるとしたらとんでもない。
  • 大学から企業への人材のフローが少ないが、企業が急遽人材を強化したいと考えたとき、一般の採用方法では人材を集めることは難しい。公的研究機関のリーダー級の人材を引き抜くことがあるが、公的研究機関には、人材プールといった役割もあるかもしれない。
  • ベンチャー育成については、ベンチャーファンドに参加する等企業としていろいろ取り組んでいるところであるが、成功させないといけない。
【委員】
  • 制度ができてもうまくいかない。ビジョンが必要な場合がある。過激と思えるほどの制度改革が必要。
  • ビジョンについては、新しいものづくりに強いところが新しいソフトやサービスを生んでおり、世界はものづくりの強さを競っている。ものづくりに強い国としては、超精密な高度技術に強い日本、超低コストで大量マーケットを得意にしている中国、高度化した製造業を抱える韓国・台湾という4カ国があり、この日本を中核とした4極の製造クラスターは他地域に例を見ず、その意味で楽観的。
  • 日本では、ベンチャー企業がそのまま大企業に技術を売り込みに話に言っても難しく、サムムソンに採用されてから日本でも採用されるといったようなことは確かにある。
  • 前回提言した「個性と創造性」について、今回の資料中に盛り込まれることとなり大変うれしいが、できればベンチャーに限定した内容ではなく、全体を貫くコンセプトとしてほしい。
  • 人材の流動性が高いフィンランドでは大学人材が企業へ移ったりしているが、日本では逆に企業から大学へのフローが多く、企業で退職した人の第2の人生のようにもとられるが、あまり良い傾向ではない。マーケットが明らかでない大学から、明らかになっている企業への移動の方が重要。また、大企業からベンチャーの移動が極めて少なく、ベンチャーに行く人を支援していくことが必要。
  • NEDOやJSTのPO/PDは質・量ともにレベルが低く、あまり顔が見えないという問題がある。VCでは、人材の発掘に事業の2%の資金を投じている。NEDOの事業費が2,000億円なら、最低20億円の費用はかけるべき。こうした人材にも、人件費コストがかかっているわけであり、きちんとした評価がなされるべきである。
  • 研究開発においては、事業化の出口を考えた上で取組むことが重要であり、例えば中国の北京大学や精華大学のように事業化専門大学といったような在り方が一つのモデルとして参考になるかもしれない。
【委員】
  • 明治維新や戦後の改革など日本の社会変革は「常軌を逸した」人が行った。大企業では世の中は変わらない。また、目利きも失敗の積み重ねで初めてできるようになる。大学、企業はまず自分たちで何をかえられるかを考えるべき。
  • プリンストン大学が女性の学長を招いたり、カリフォルニアのバークレー校がカナダ人の学長を登用したり、MIT、ケンブリッジ大学、ロックフェラーの学長がイギリスからである等、海外では外部人材をトップにすることはよくある話だが、日本では、外部人材をトップに据えるということはトップの大学においても企業においてもほとんどなく、考えもしない。また、日本は、女性採用を推進しているとは言え、実際にはまだあまり進んでいない状況。今後、優秀な女性人材が海外での待遇の方がよいということで流出する事態も考えられ、日本でも早急な取組みが必要。日本のトップ大学等がこうしたことをやりはじめることで、波及効果がおこり、日本も変わっていくのではないか。
  • ベンチャー企業は収益の波が大きく、多くの収益を上げる年と赤字の年の差が激しい。このため、税制面でベンチャーに対して、例えば3年を一区切りとして税を課していく等の措置を設けることが必要。現在、ベンチャー企業の設立が800社までいっているが、税制を理由に潰れる企業が多く発生すると思われる。
  • 第3期科学技術基本計画に向けては、20年後の国家ビジョンが必要。環境フレンドリーなものづくりを通じてアジアからも信頼を得、世界の中で存在を示すことができると考える。環境と経済の両立のための方策として科学技術投資を位置付けるべき。
【委員】
  • 国の基盤は人材であり、良い人材をいかに育成していくかが重要。教育の質の向上のためにインセンティブメカニズムを積極的に導入していくことは良いことだと思う。
  • 大学院教育だけでなく、国さらには世界を背負って立つ人材育成として、子供の頃の教育も重要。産業界も最近関心を持ち始めていると聞く。
  • 評価について、日本発の技術の正当な評価が日本の中でなされていないとの話も出たが、外国人を評価者に加えることも一つの方法としてあるかもしれない。
  • 人材の流動性を高めるため、現在は、一度大学側あるいは産業界側へ移ってしまうと再度他方の側へ戻ることはほとんどないが、もっと自由に大学側と産業界側を行き来できるシステムにしていくと良いと考える。
【委員】
  • 公的調達にベンチャーが参入したいということあるが、随意契約で行われることもあり、ベンチャーの方も仕組みがよくわからず躊躇してしまうと言うこともあると聞く。もう少しベンチャーも入り込めるようにすることが必要ではないか。
  • エフォート制については、とにかく早急に取り組んでほしい。産学連携の利益相反の問題もあり、早くルールを作ることが重要。
  • 日本は、機関間や個人間においても横のネットワークが少ないのだが、このような取組みは大学のみ、企業のみのどちらか一方でできる取組みではなく、システムとして動かしていくためにネットワークを構築していくことが重要。企業経営の立場から見ると、流動化が必ずしも良いとは限らない。技術流出や職務発明等の問題にどう対応するかという視点からも考えるべき。
【委員】
  • 大学と企業とでは、価値基準が必ずしも一致するものではなく、例えば大学に長くいる人ほど、企業では採用したがらない。産学のコンタクトポイントを増やして一緒にやっていくしかない。
  • 日本の研究開発成果を、日本企業ではなく韓国や台湾企業に買われてしまい流出しているとの指摘があったが、これは、売り手と買い手の間の問題といった面もあると思う。日本の技術が海外で成功すれば、それは教訓になるし、それでいい。

-了-

*なお、本議事要旨は事務局の文責にて作成したものであり、委員各位の了解を得ていない。

お問合せ先

産業技術環境局 産業技術政策課
電話:03-3501-1773
FAX:03-3501-7908

 
 
最終更新日:2004年12月17日
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