経済産業省
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産業構造審議会産業技術分科会基本問題小委員会(第10回)-議事要旨

日時:平成16年12月10日(金曜日)10時00分~12時00分
場所:経済産業省本館17階東8 第1・2共用会議室

出席者

出席委員
木村小委員長、大中委員、黒川委員、佐野委員、高木委員、手柴委員、中村委員、室伏委員、渡部委員

議事次第

取りまとめ案について

議事概要

事務局より、資料にもとづいて説明。

【委員】
  • 知識社会・学習社会となってきている中、教育・学習システムの再構築が求められているが、これまではそれがゆとり教育ということで、ある意味、議論が矮小化されてきた面がある。創造性とイノベーション能力を持った人材育成、日本の産業高度化や新規産業創出、世界的問題に対応できる高度な研究等が重要。
  • 学習システムとして、大きく分けて、学校教育とそれ以外の教育に分けることができるが、産業の観点から考えると、学校教育以外のところが重要な役割を果たしてくると考える。これまでも、自社内において社内教育等されているところであるが、ベンチャー・中小企業は社内教育のノウハウを持つところも少なく自社内だけでは取組が難しいことが問題としてあり、学校教育以外の教育の再構築が必要。また、技能教育を含む産業教育について抜本的に考え直すことが必要であり、それに対して政府資金をどのように投入していくか考えていく必要がある。
  • 「I.科学技術政策の基本目標」について、イノベーション評価の指標として特許出願件数等が示されており、特許出願はイノベーションと比例しているという仮定であるが、その仮定は正しいか。イノベーションの定義の仕方によって指標に何を使うべきか異なり、イノベーション評価としてなぜそのデータを使用するのか根拠が必要。
  • P.4のマネジメントの重要性について、意識改革が極めて重要と考えるが、そのために何をすべきかが述べられていない。例えば、繰り返し情報発信すること等が挙げられるかと思う。
  • P.7の技術革新のところで、「人材の確保」に加えて「移動」が必要。
  • P.18でイニシアティブの実現目標について述べられているが、目標と手段が混在して記述されており理解しづらい。例えば、「遺伝子技術等により」というのは手段に当たり、「健康生活を実現する」というのは目標に位置付けられると思われる。
  • P.21の技術戦略マップについて、研究は長期的予測が難しく、今後生まれてくる技術についてマップに載っていないからといって捨て去ることになってしまうとイノベーションの弊害につながり、そうならないように注意する必要がある。
  • P.23「IV.技術革新システムの本格駆動に必要なシステム改革」における理工系人材に関する課題について、現在の記述では何を改革しどのような方向を目指すのかがよくわからない。キーワードは、「クリエイティビティ」と「イノベーション」。クリエイティビティがあり、イノベーションの意識を持つ人材の育成が必要であるが、現在の教育システムは、細切れの教育となっており、教育方法自体の改革が必要。
  • P.24の人材受給のミスマッチについて、国だけでは解決できない。各学科、教育プログラム毎に社会ニーズを拾っていくことが必要。JABEEでは、各教育プログラムがいかなる人材を社会が必要としているかを自らが調べ具体的教育・学習目標を設定することを要求している。このような努力が全分野で要求される。
  • P.27について、「カリキュラムの開発」ではなく、「実践教育の支援」とすべき。単にカリキュラムを開発しても、現在の教員の負担を減らすか、新たに教員の手当が必要であり実施するのは困難。また、教材開発に時間と費用がかかり支援が必要。
  • MOT人材について、現在の定義は狭い定義となってしまっているように感じる。アントレプレナーシップ教育の概念も含めて考える必要があり、学部生の時からイノベーションの意識を持たせることが必要。
  • 多くの私立大学では、今でも授業負担が大きいため、新たに産業中核的人材教育に取り組む場合には、新たに教員を採用するか、従来の学科を減らすかの対応が必要。さらに前者の場合には場所も問題となる。従って、実際問題としては容易ではない。こうしたことにも配慮すべきである。
  • 大学評価の資源配分について、米国はプライベートファンディングが充実しており私立大学でも競争をしていけるが、日本はまだこうしたことが不十分であり、特に私立と国立では競争環境の差が大きいと聞いている。こうした国毎の違いを踏まえた上で、例えば寄付を奨励する施策等を考えていく必要がある。
  • クラスター形成について、単に大学に押しつけようとしても教授たちには時間的制約がありうまくいかない。エフォート制を導入すればいかに大学の教授が教育や研究に大変かわかるはず。
【委員】
  • P.20の政府開発投資について、日本は米国と比べて低いと言われているが、国研、大学等の人件費の扱い等意図的な操作がされている可能性もあり、単に低いというだけでは状況がよくわからない。
  • P.2に特許サイエンスリンケージの図があるが、欧米は基幹特許が多く、日本は応用特許が多いという特徴を持っている。こうしたことも言うべき。
  • P.3について、企業が利益をあげるためには、どのようにブランド作りをするか、また、透明性や信用等、こうしたバリューをどう築いていくかということが重要。
  • 若い人を抜擢している会社は元気がある。大学にも、こうした抜擢人事を導入すべき。
  • P.6の「自校主義の壁」について、MIT、プリンストン大学では女性が学長をしており、さらに、国境を越えた人事が行われている。日本の大学も、どのような人材を抜擢し、どのような方向性を目指すかを考えていくことが必要。
  • P.12の「主要国の論文発表件数・相対被引用度の推移」について、日本の論文は引用されても半分以上が国内での引用。こうしたことは、大学側の問題。
  • 日本では、大学の学内業務がやたら多く、それをやっただけで仕事をやった気になってしまうことも問題。
  • P.30の「学生のインセンティブ」について、留学生が少ないのは、留学生を企業が採用したがらず、留学のインセンティブがないため当然のこと。MBAについても、企業は自ら海外へ人材を送っておいて、そうした人材を抜擢したという話はほとんど聞かず、ただ肩書きを付けるだけになってしまっている。
  • 公的資金を、国立・私立かかわらず、将来の人材にどう投資するか考える必要がある。
  • P.34の図「今後の技術革新人材のキャリアパス」について、ここに記載が無いもう一つのパブリックセクターに人材があまり廻っていないということが問題。民間、大学、パブリックセクターの3つを渾然一体で廻すことが重要。
  • 米国では、若い人材に、例えば10年のグラントで数年毎の評価という柔軟な運用がされており、それが若手の独立性を生んでいるが、日本の場合、縦のつながりが強く若手の独立性が阻害されている。図においても、「助手→助教授→教授」の縦方向の書き方は再考すべき。
【委員】
  • 日本が得意とするのは摺り合わせ技術であり、それら技術を基に産業クラスターを形成しているというのが日本の強み。しかし、科学技術開発から出てくる技術というのは既存の技術を打ち壊すような破壊的技術であり、クラスターにおいても破壊的技術を取り込めるようにしていく必要がある。「破壊的技術を取り込めるような摺り合わせ技術」とでもいうべきもの。
  • 現在、大学から多くのベンチャーが生まれてきているが、大学のベンチャーに対するコンセプトはまだ中途半端。大学においてアントレプレナー教育を進めることが重要であり、さらに、もう一歩進め、大学自体が新産業創出インキュベーター機能を果たしていくことが必要と感じる。大学に長くいる人ほど産業界から遠い存在になってしまうのではなく、大学に長くいた人がより産業のためになるという方向を打ち出すことが必要。
  • 現在、日本では、産から学への人材の流れが一般的となっているが、大学に転じて産業界にいた頃を昔話のように語ることになってしまうというのでは困る。目標を実現するために大学へ行くという方向性が必要と感じる。また、理系だけでなく文系においても、ビジネスプランや経営戦略を学べるビジネススクールがもっと増えても良いのではないかと感じている。
  • NEDO、JST等は産業との接点として重要な役割を果たしているが、プロジェクトタイプごとに、単にピアレビューだけではなくマーケットメカニズムが入った形の評価を行い、評価が良ければ政府投資を増やし、悪ければ減らす等していくことが必要と考える。
【委員】
  • P.17の「3つの価値創造」にある「(1)経済的価値の創造」「(2)国家的価値の創造」「(3)科学的価値の創造」について、本取りまとめ案は、(1)と(2)に大きく偏っているように感じる。「(3)科学的価値の創造」に位置付けられる基礎研究にも、純粋基礎研究と目的基礎研究とがあるが、国家的戦略にすべてが覆い尽くされることが危惧される。基礎研究の中にはこうした産業競争力、国家戦略になじまないものもあり、十分配慮する必要がある。
  • P.37の「資金配分の戦略性」について、「トップダウン型の基礎研究」は国家戦略としてのプロジェクト型の基礎研究を指すことはわかるが、「ボトムアップ型の基礎研究」とは具体的にどのような基礎研究を指すのか曖昧。例えば、ノーベル賞を受賞した小柴教授の研究は非常に重要だと思うが、どのような位置付けになるのか疑問である。日本の将来の科学技術を産業技術で覆い尽くしてしまうのは、ある意味危険ではないか。
【委員】
  • 今までと同じことの繰り返しとの感じがしてしまう。今までのこうした提言がACTIONに結びついてこなかったことについて、どこに問題があったかということを考える必要があるのではないか。イニシアティブは、表現を再考する等もう一度整理すべき。
  • 「科学技術立国」を、どのように国民全体が共有化するかが重要。現在、初等教育において、ゆとり教育が進められる中、最初に切られるのは理科の実験等だという。しかし、こうしたものが科学技術の発展には必要なことであり、国民に科学技術は重要なのだということをどのように理解してもらうかが政策課題としてある。
【委員】
  • 本小委員会は産業構造審議会の中に位置付けられるが、日本の今後の産業構造について今回ほとんど触れられていないとの印象を持つ。経団連では、製造業は重要と位置付け、製造業を復活させるためにどうすべきかの議論を行っているが、本取りまとめ案では、こうした方向性について記述されておらず、少々ピントがボケている感じがする。
  • 先程、P.17の図の「3つの価値創造」に対して「(3)科学的価値の創造」の部分が弱いとの意見が出たが、逆に、経済産業省が取りまとめたにしては「(1)経済的価値の創造」の部分が弱いと感じている。
【委員】
  • 社会に対して説明責任を果たすため、企業の中にもコミュニケーターのような人材を配置することが必要と感じており、そうしたことも盛り込んで欲しい。また、こうした人材を育成するためには、産学連携による育成が必要になるだろう。
  • 「科学技術立国」の実現には、国民の教育が重要。これまで科学技術を社会の中に浸透させるという努力があまりされてこなかったと感じており、大学・大学院だけでなく、社会教育、初等中等教育等すべてを含め、科学技術のあり方を共通認識として持てる努力をすることが必要。
  • 最近、子供の学力低下がメディアでも話題となっているが、大学院教育を如何にすばらしいものにしようとしても、そもそも基本的学力がないまま大学へ入ってくる者が多い。初等中等教育の問題は文部科学省の領域を侵してしまうので経済産業省は取り組めないとするのではなく、府省連携で、それぞれできるところで協力していくことが重要。
【委員】
  • 「大学にいればいるほど役に立たなくなる」というのは問題。教育での産学連携が重要であり、人材の流動性と合わせた形で取り組んでいくことが必要。
  • 創造の主体としての個人、活用の主体としての組織、という考え方は全体を貫くものとして良く書かれているのはでないか。既存のものを壊していくという方向性を考えると、個人の役割は大きく、個人と組織のネットワークということが重要。
  • MOTを担う人材の育成として、産業界よりも専門職団体等の方が今より踏み込んだ形で入り込む仕組みを作っていくことが必要と思う。

-了-

*なお、本議事要旨は事務局の文責にて作成したものであり、委員各位の了解を得ていない。

お問合せ先

産業技術環境局 産業技術政策課
電話:03-3501-1773
FAX:03-3501-7908

 
 
最終更新日:2004年12月17日
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