経済産業省
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産業構造審議会産業技術分科会基本問題小委員会(第11回)-議事要旨

日時:平成16年12月22日(水曜日)14時00分~16時00分
場所:経済産業省本館2階東3 2東3共用会議室

出席者

出席委員
木村小委員長、大中委員、大見委員、後藤委員、佐野委員、高木委員、中村委員、室伏委員、吉野委員、渡部委員

議事次第

報告書取りまとめについて

議事概要

事務局より、資料にもとづいて説明。

【委員】
  • 学校教育は重要だが、学校教育に過度の期待をしてはいけない。現在、至る所に知識があふれている状況であり、学校教育以外の教育が非常に重要となっている。そういう意味で、P.33の「産業技術人材の継続的教育の在り方」に関して、今後、こうしたことは非常に問題となってくると思われ、もっと突っ込んだ記述(例えば「基本的な計画を立てるべき」など)とすべき。もう一度再検討してほしい。
  • 技能者と技術者について、現在、技能者訓練に関する取り組みは厚生労働省、技術者はまた別の省庁というように各省庁バラバラに取り組んでいるが、実際には技能者と技術者の性質は近づいてきており、統一的な取組みを行うべき。
  • 厚生労働省では、現在、第7次職業能力開発基本計画を実施いるところであるが、その概要を見るとエンジニア教育、大学教育について本報告書とほとんど変わらないことが書いてある。こうした動きについて連携はとれているのか。政府全体としての大きな基本方針・計画が必要。

→【事務局】

  • ご指摘のとおり、科学技術のスピードが非常に速くなっている中で、大学卒業後社会に出てからも引き続き教育を続けていくことが必要と認識いる。一部、IT、化学、環境等の分野については、学界が中心となりプログラムを動かしているが、こうした動きを、240万人いると言われる技術者へどのように広げていくか、2、3年前から勉強を始めており、すぐに施策に結びつくということころまでには至っていないが、枠組み作りをどうするかということも議論している。そうした中で、中核産業人材やMOT人材等で文部科学省とはかなり連携を行ってきている。ただ、ご指摘のとおり、厚生労働省との間については必ずしもそうした深い連携を組んできたということはなかったので、今後そうした点についても考えていきたい。
  • 地方は設備等をたくさん持っているのだが、こうした資産を府省が連携し有効活用することも必要。こうしたことは他の国ではよくやられていること。
  • アントレプレナーシップ教育について、現在、MOT人材の中で議論されているが、本来もっと広いテーマとなるべきものではないか。
  • 日本には、研究に対し教育はあまり評価されないという文化があり、エフォート制が本当に教育のインセンティブとして働くかは疑問。教育の評価の向上とセットに考える必要があるのではないか。
  • 英語で講義等行う大学が増えているが、座学だけでなく実際に国際経験させることが重要。
【委員】
  • P.26の「新技術の導入に際して発生する可能性のある倫理面や安全性への国民の不安感」に関して、これまで、こうしたことは研究者や技術者はあまり議論してこなかった面があるが、今後非常に重要な部分。倫理観、コンプライアンスについて若いうちにどのように身につけてもらうかという点で、大学等教育現場でもこういう教育あってもいいのではと思う。
  • 学生の時から、大学、さらには社会をどのように変えていくかという使命感を持ってもらうことが重要。こうした本質的な部分となる倫理観や使命感の教育の必要性についても記述して欲しい。
【委員】
  • 倫理観や使命感を記述することに賛成。ただ、細かな話であるが、「国民の不安感を払拭し、新技術の社会の受容性を高めるための」という表現が役所的で上から見ているようなので、「新技術の導入に際しては、倫理面・安全性に充分配慮し、国民の不安感を払拭して」等の表現に改めた方が良い。受け入れる国民の側に立った視点での表現にすべき。
  • イニシアティブの財源としては、科学技術振興調整費の有効活用の他にも、現在、複数省庁で同種の研究開発があると思うので、それらを使用(調整)していくことも書き込めないか。
  • 中国や韓国等では、国家レベルで相当なことやっており、そうした近隣の国との対比をうまく入れながら、日本がどうすべきかを記述できれば良いのではないか。
【委員】
  • 全体の状況の認識をもう少し厳しく見るべき。今、日本は赤字を抱え、経済的に成り立っていない状況。今後さらにひどくなる可能性も考えられ、飛躍的にパフォーマンスをあげないといけないのだということを認識するべき。民間では、現在、リストラ、ボーナスカット等が行われている状況であり、そうした状況にある民間から見れば、本報告書はそうした認識が薄いと感じられる。
  • P.16で、輸出型産業が下支えしているという書き方になっているが、実際には、競争力があるから日本の主導力となっているのではなく、世界で競争し生き残ろうと切磋琢磨してきたからこそ競争力が高くなっているわけで、世界と競争するという意識こそが重要なのだということをもう少し書いて欲しい。かつての護送船団方式のような横並び政策が成功したとは思っておらず、世界を目指し世界で競争しようとしたことが今につながっていると思う。
  • イニシアティブの発想は良いが、実際にうまく動くのか懸念するところ。総合科学技術会議のリーダーシップとあったが、当該会議は、首相、関係閣僚、有識者が主要メンバーとなっており、実際の会議の状況というのは、各閣僚が「我が省は」という発言ばかりで官の縦の障壁のバージョンアップ版のようなところがある。
  • 障壁を打ち破るためには、例えば、副首相級が担当していくなどの長期的にパワーを持った人がきちんと国を経営するというのでないと、飛躍的にというわけにはいかない。
  • 中国の脅威は、政府の幹部に科学技術に詳しい者が多いこと。こうした状況も含めて、もう少し「政」の障壁についても書いて欲しい。
  • 雇用についても触れるべき。少子高齢化の中で、ものづくりを支えていくのは高齢者や女性となる。ものづくりをそういう人でもできる技術にしていくことが必要。新産業が雇用に結びつかないというのでは問題であり、新たな技術による雇用の問題についても考えるべき。
【委員】
  • 全体の記述については賛成だが、論調が全体的におとなしい。日本経済の現状や中長期的な展望を考えた際に、もう少し切迫感を持って訴えることが必要。例えば、アメリカのNIIの報告書は、そうした点についてわかりやすく書いている。
  • 各章内で小さな話が多いため、各章最後にサマリーを置くことはできないか。
【委員】
  • 人材育成も流動化も単独ではなく全て関連しているため、ある大学一つだけの動きでは全く効果がない。国全体として動くことの重要性を書き込まないと現実には何も動かない。例えば、○○年までに任期付制度について△△するとか、制度・規則を作るなど、全体としてやるべきことを統合すべき。
【委員】
  • 第3期科学技術基本計画の提言にするということを考えると、もう少し危機感が伝わる記述にすべき。
  • 第1期・第2期の10年間で41兆円という資金を使い、第3期でGDP比1%程、額にすると24兆円程度を使うとなると、15年間でおよそ計65兆円使うことになる。それ程の多額の資金を使うわけなので、具体的な成果を出すことは国民の当然の要求。
  • 「はじめに」における記述、「環境・エネルギー制約と経済成長との両立は国内外の重要政策課題となっている」の後に、例えばカッコでも良いので、「2010年代初頭の財政収支均衡のための、100兆円、200兆円を超えるGDPの増額と2012年の京都議定書に基づくCO2削減」の両立ということを、是非記述して欲しい。
  • P.26の新技術の導入について、科学技術にネガティブな面があるのは当たり前で、研究開発を始める際、そうしたことを配慮し危険を無くしてから行うのは当然。私の場合、新入生が入学して来た際に、安全教育についての講義をまず最初に行っている。教授たちの中には、自分の研究が危険と思われたくないために、こうした講義を行うことを嫌がる人もいるが、反対に、世界中でまだ制御できない技術を制御可能とすることができれば、それが世界中に一つしかない「強み」の技術とすることができるわけであり、例えば、学生に分かりやすい例としていつも言っていることは、「とんでもなく足が速く世界中誰も乗りこなせないじゃじゃ馬を、もし乗りこなせたら、競馬では100戦100勝。これが科学技術だ」とアピールしている。ネガティブな部分を残したまま研究開発を行うのが問題であり、本来、初めからこうしたことは解決しておくべきことで、研究をしてから安全対策しますというレベルの低い研究開発はやらせるべきではないし、そういうふうに誤解されないような記述にするべき。
【委員】
  • 科学技術の基礎を高めるために、若い人材の教育、社会の教育は大変重要。そうしたことが盛り込まれ、大変うれしい。
  • 目標として「品格ある国家を目指す」ということも記述してもらいたい。
  • ASEANの学術会議で、アジアの国の理工系教育、科学技術の展開についての熱意ある取組みを見てきた。その会議では、サテライトシンポジウムとして小中学校の先生方による理科教育の現場でのさまざまな新しい試みが発表される等もされたのだが、我が国がこれだけの熱意を持って科学技術に取り組んでいるだろうかということを反省した。
  • P.26に書かれている科学技術のネガティブ面については、今の記述のまま入れておいた方が良いと思う。科学技術の中には将来のネガティブな部分を見通せないものもあり、国民への説明、社会への責任ということから、そうしたことをしっかり認識していくこが必要。
【委員】
  • 大学関係についていろいろと良く書かれており、大学自身の取組みが重要ということが伝わってくる。ただ、例えば、エフォート管理について、実際に教員の立場として行おうとすると難しく、どのように現場で実現させていくか、議論が必要。
  • 産学官連携について、法人化以降、かえって大学の多様な取組みがなかなかできていないと感じており、例えば、法人化し知的財産本部整備事業が始まったことで知的財産ポリシーを各大学で作って良いということになっているが、実際には、各大学の環境や資源が違うにもかかわらず画一的に行われている状況であり、実態とうまく合わずワークしていない面がある。大学の自主的な取組みで解決できる部分は、大学自身で取り組んでいくことが必要ということを言うべき。
  • 人材の流動性については、産業界の経験を有することを積極的に評価するなど、各大学における評価が流動化の促進に重要。
【委員】
  • 全体の記述内容が、問題が事前に存在しそれを解決するといった問題解決型となっているが、例えば、韓国・台湾等を含めた先端産業クラスター形成の中で如何にリーダーシップを発揮して頂点の存在としての日本を作り上げていくかなど、こうした大きく前向きなビジョンを打ち出すことが重要で、問題解決型ではなく、結果として問題が解決されていくようなビジョン創出型のトーンを打ち出してほしい。
  • P.19で、民間研究を引き出すのが国の研究開発だという、大変明快な切り口を出していることは良いと思う。ただ、これをどういった形で実現していくかということについて、例えば産学連携をする際に、お互いに目を見合あわせ「ここからはうち」「ここからはあなた」と牽制しあうのではなく、ビジョンの創出についてお互いに共有した関係を築くことが必要と思う。
  • 地域クラスターについて、つくば地区や“けいはんな”地区等の学術研究都市と言われるところでは産業化・市場化・事業化の意識が薄く問題と感じており、そうしたことについて一言触れるべきではないか。産総研には、予算・人材を投入しているのだが、ある意味、つくばは科学技術の聖域となってしまっている感がある。「学術研究都市」から「先端技術産業都市」へ変革することが必要。
  • P.48について、大学発ベンチャーやIPO100社構想は、これはこれで立派であるが、組織重視のイメージがある。個人重視の観点から、起業家創出を全面に打ち出し、例えばアントレプレナー5年間で1万人作る等を掲げるべきではないか。
【委員】
  • つくば、“けいはんな”の問題については、経済産業省の人の中にも問題視している人もいると聞く。一方、台湾の新竹(シンチュウ)等では、産業と一体になり取り組むことで大成功を収めている。こうした動きは、つくば、“けいはんな”ではほとんど見られないが、例えば、GDPを100兆円、200兆円創り出す産業を生み出そうというような提言を明快に出していくことが必要ではないか。
【委員】
  • 新竹(シンチュウ)の場合は、現在はどうかわからないが、45歳になると外部へ出て事業を興さなくてはならないといった半強制的な人材流動促進の施策があったと聞く。
【委員】
  • 現在、日本とフランス等との間で、共同博士課程の取組みが始まっており、両方の国から学位が出せるといったもの。また、フランスの大学と日本の企業、あるいはその逆もあるのだが、国際インターンシップを行おうという動きも起こっている。こうしたことを、経済産業省でもサポートしていくことが重要と思う。
【委員】
  • 以前より、日本と海外でお互いに学生を工場等へ派遣する制度は存在するが、派遣数・受入数の双方同じ人数でなくてはならず、日本企業はあまり受け入れようとしないため利用者数は非常に少ない。こうした既存の活動を財政面等で支援し活用させていくことも方法として一つあるかもしれない。
【小委員長】
  • ノーベル賞学者江崎氏と、シンガポールで開かれた会合に参加したが、議長は副首相のトニー・タンが務めていた。政治家でも科学技術についてよく知っており、非常に熱心に取り組んでいる。最近発表されたIEAの子供の学力調査でシンガポールは全部1位になり、さらに理科算数を好きと答える子供が多い。一方、日本は、成績は良いのだが、好きだと答える子供は世界最低。シンガポールのように両方とも良いというのは世界でも珍しく、国全体で取り組んでいることが成果として出ていることがわかる。

-了-

*なお、本議事要旨は事務局の文責にて作成したものであり、委員各位の了解を得ていない。

お問合せ先

産業技術環境局 産業技術政策課
電話:03-3501-1773
FAX:03-3501-7908

 
 
最終更新日:2005年1月17日
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