経済産業省
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産業構造審議会産業技術分科会(第17回)基本問題小委員会(第8回)合同開催‐議事要旨

日時:平成22年2月19日(金曜日)10時00分~12時00分
場所:経済産業省本館17階第1特別会議室

出席者

木村分科会長、荒川委員、飯塚委員、伊藤委員、宇佐美委員、柏木委員、呉委員、夏梅委員、西山委員、橋本委員、春山委員、古川委員、前田委員、松田委員、丸島委員、谷田部委員、渡部委員

議事次第

  1. 産業技術政策に係る今後の検討について
  2. その他

議事概要

冒頭、近藤大臣政務官よりご挨拶。その後、事務局より産業技術政策に係る今後の検討について説明。委員の発言の概要は以下の通り。

政府研究開発予算の重点化、イノベーションを進める上での政府の役割

  • 日本は技術力、研究レベルはトップレベルだが成果に結びついておらず、イノベーション立国ではない。価値観創造がないとイノベーションにならない。
  • イノベーションにおける日本のプレゼンスは低下しており、これを反転させるためには重点化が必要。以前はエレクトロニクス、自動車、鉄鋼のような強くて日本全体を支えているものがあった。グリーンイノベーションやライフイノベーションとして戦略が掲げられているが、一つに絞って成功事例を作ることが必要。研究開発は先行投資であり原資を稼ぐという切り口が必要。我が国の市場シェアが低く弱い分野よりも、シェアが高く強い分野に重点化すべき。
  • GDP比研究費は高いが付加価値を出していないのは、国家戦略ではなく省庁戦略になっていることも原因の一つ。
  • 日本は、すりあわせ型産業で高い市場シェアを持つが、モジュール型では低い。研究開発投資に見合って成果を出しているところと、そうでないところがあり、モジュール型で苦しんでいる。短期的には強いところを強くすることをやっていくことが重要。5年後のイメージを持って、ポートフォリオ的な考え方を入れて、いつまでに何をやらなければいけないのか、税制や助成など具体的な戦略が見えてくる。
  • どの国もグリーンイノベーションに取り組んでいるが、日本は独自のやり方を追求しないといけない。この成功例が第2次世界大戦の理化学研究所であり原爆やペニシリンにも良い線いっていた。大学は長期的、企業は短期的、国研は中期的な成果追求に取り組みが必要。今の理化学研究所は大学よりも基礎研究を追求している。国研は大学と企業の中間であり、政策実現を担うべき。
  • 太陽電池等は、百家争鳴になっていて、日本企業は中国の国策企業と競争しなければいけない。韓国では成長企業に対する税制優遇があり、日本企業のように負債を負っての設備投資をするのと経営環境が全然違う。選択と集中により重点化すべき企業を優遇すべき。
  • 昨年8月に出した基本問題小委員会の中間報告も枠組のレベル。枠組と同時に、基本問題小委や研究開発小委などで中身の議論を進めることが重要。グリーンイノベーションについても、個別に研究者の話を聞いていてはもっともらしく聞こえるものが上がっていってしまうので、委員会のなかで俯瞰的、客観的な議論を行い、そのうえで政策決定するプロセスが重要。
  • 研究開発が成功する確率は臨床段階でも、医薬品で10パーセント、癌だと5パーセント程度。欧州のメガファーマは日本から中国に研究開発を移動している。特許は他社の参入を防ぎ自分のシェアを取るために使うこともある。生産性が低下しているのは、単純なものを拾うことができていないから。サルファ剤は染料工業から派生した単純なもの。開発度が80パーセントのものを100パーセントにするためには多大なコストが必要。

産学官の研究開発力を結集する研究開発拠点の取組

  • よい装置を入れて拠点を形成するのは重要だが、より重要なのは融合や連携。そのために最も有効なのは、研究拠点に人がきて長時間一緒にいること。このため、拠点を維持する費用、特に学生やメンター等の旅費や滞在費は、間接費ではなく必要な資金として手当てすべき。連携活動半分、研究半分という形態でポスドクを活用することも一案。
  • 拠点の維持は重要な国の役割。IMECは自治体、国が資金を出しているが、雇用を2,000人以上生んでいる。国が負うべきインフラ維持の負担とプレイヤーが負うべき負担をはっきり分けるべき。
  • 産総研は太陽光、つくばイノベーションアリーナのプラットフォームに携わっているが、拠点には世界から人が集まり、そこで人材育成も一体的に行うのが効率がいい。大学の教育制度に係る改革までしっかりやるべき。
  • 研究開発から実用化につなげるシステムが重要。フラウンホーファーでは、産学連携に対して国がマッチングファンドを出している。企業からどれくらい資金をもらったかが一つの評価指標となっており、自然と企業との連携が促進される。

産学官連携によるイノベーションの推進

  • 産業界が産学連携に関心がないといわれるが、それは産業界が狙う産学連携になっていないことが原因。国は基礎を担い、産業界が産業化するべき。大学が利益を得るために短期で成果を求めるのではなく、企業が利益を得る体制にすれば活発化する。
  • 大きい大学は知財関係の機能を知財本部に集約して生き残っている一方、地域の大学はTLOに頼っているが、経産省は、このようなTLOを縮小しようとしていて問題。
  • イノベーションのあり方として、人件費の安いところで大量に雇用すること、優秀な人材を海外から採用するというように物理的な地域の枠を超えて考えることが必要。
  • 産学官連携は、場の共有が重要。技術分野は巨大科学と異なり小さな拠点の間にリンクを張ることが重要。

実証、標準化、制度改革の取組

  • バイドールでいろいろな企業が特許を持ってしまい、データベースが使えないというケースがあったと思うが、標準化するのであれば戦略的にまとめておくなど、プロジェクト設計の段階で詰めておくことが必要。
  • グリーン・イノベーション、ライフ・イノベーションを進めるに当たって、研究、開発、実用化からマーケットに至る一気通関の仕組みが欠けている。
  • DVDは標準化することによって競争優位を失ってしまった。研究開発段階から標準化の構想を考えておくことが必要。
  • 日本企業はいい技術を作ってそれをパテントプールに入れるが、韓国企業は標準策定が始まった時に非常に低コストでパテントプールに入れる特許を作る。パテントプールに入っている特許は権利行使をせず、数だけのシェアでロイヤリティが決まるというルール。重要な特許であって排他権を使うのであれば、パテントプールに入れない、もしくはノウハウにするなど、ルールに対する合理的な行動ができるかが問われる。逆に、RAND(Reasonable and Non Discriminatory Licensing)のように特許の質を国際標準のなかに反映させるなど、ルール自体を変えることも必要。

国際標準化を見据えた研究開発の推進

  • 国際標準を進めるには、ガラパゴス化を促進するような研究は、安心・安全でもない限りやらないという視点が重要。
  • 国家レベルでの国際標準を考えた場合、技術が出来てから標準化が必要かどうかを検討していては遅い。標準化する場合それによって拡充したパイの中でどうやって勝か戦略が必要。省庁連携が出来ていないため標準化戦略が作れないのではないか。国家戦略として国際標準化と進めるには、企業だけではなく国の関与が必要。また、アジアでの標準化を検討するのであれば、中国の動向を示すデータが必要。中国は独自の標準化を進めており、中国の情報は重要。
  • 国内企業同士の競争が激しくなっているため国内基盤が築けないので海外に出られないのではないか。

国際標準化等のアジアへの展開

  • 国際標準のアジア新興国への展開は研究開発、知財、科学技術を含む、イノベーション全体の問題で必須の課題。
  • 我が国は世界の成長ゾーンとの連携が薄い。日本に来いというだけではなく、海外に日本人をどう出していくのかが重要。成長ゾーンとそうでないところではモチベーションが違う。
  • アジアに展開していくことは明るいテーマだが、難しい。アジアには成長の種があり、重要なテーマ。アジア展開と中小企業政策とのリンクが重要。日本に企業を呼ぶのではなく、中小企業がアジアに出て行くときの環境作りが重要。知的財産権保護のインフラ整備、デファクトの獲得など、海外とぎりぎりのところでやっていくことが必要。中国は難しい国だが、そうと言わずに支援して欲しい。
  • IMS(知的生産システムプログラム)で先進国の連携に取り組んできた。我が国は撤退することになったが、ここで得られた連携のあり方、知財のあり方などのテンプレートをアジア展開に応用していくべき。

地域・中小企業のイノベーション力の発揮

  • 国際標準や新興国への進出は、中小企業、ベンチャーにとっても重要。地域の特許流通アドバイザーは海外移転はやらないといった自己規制をしているところがあるが、既存の制度を生かして新興国に出て行く支援をすべき。
  • 産業クラスターは地域でオープンイノベーションを進める上で良い制度だったが、経産省は縮小していく方針と聞いている。見直して欲しい。
  • 産総研の技術移転プロジェクトに関わっているが、技術内容をわかりやすく中小企業に伝えることが重要。
  • 地域のイノベーション力の発揮は重要な論点。例えば北海道では産学の距離が近く、北見工業大学や帯広畜産大学などは地域の中小企業との連携や製品化などに積極的に取り組んでいるが、あと一歩のところで止まっている。

イノベーション人材の育成・活用における産学間のミスマッチの改善

  • 産学連携の大学側にいた視点からすると、産学連携はかなり進んだように見えていたが、全国イノベーション推進協議会に移り、産業界側からみると、全く進んでいるように見えない。大学側と産業界側のコーディネータの認識、レベルが違っており、これを揃えることが必要であるとともに、コーディネータの育成が大切。
  • 人材育成としては、東京工業大学では産学共同研究を行うソリューション研究機構を設置した。教授が企業が選んだ特任教授とのディシプリン研究で満足していては成果が出ず、企業が選んだ特任教授が対等な立場で研究を行うことが必要。また、企業の共同研究を促進するためマッチングファンドを充実させてほしい。
  • 人材に係る産学ミスマッチについては10年後のニーズを国、企業、大学で議論すべき。大学改革という観点からはミスマッチが続くと日本人ではなく、中国、インドの学生を企業が採用するようになるという危機感と持つことが必要。また、大学の研究者が大学院に雇用されていることにより、改革が硬直的になっている可能性がある。
  • 国研、大学でイノベーションを生み出していくためには、人材交流が重要。理化学研究所は5年任期を採用しているが人材交流活性化の事例を作っていく必要がある。

ベンチャー企業等の活動の拡大

  • 大学発ベンチャーは技術があってかつチームとして取り組む体制がやっと出てきたが、大学研究者のマインドが変わっていない。大学教員にとってベンチャーで儲けても評価されず、これを変えるには20年~30年かかる。
  • 新技術を産業化するに当たって、研究費は調達できるが、産業化に近くなるほど資金が少なくなる印象。産業化には、設計費、量産化のための設備投資、マーケティング費用等、多額を要するが、大企業と組むところにも至らないというのが現状。
  • 産業化に対する支援に当たっては、技術の目利きというより、産業化の目利きが重要で、いろいろな目や感性がぶつかりあうことによって、良い産業が生まれてくると思う。

(文責:事務局)

お問合せ先

産業技術環境局 産業技術政策課
電話:03-3501-1773
FAX:03-3501-7908

 
 
最終更新日:2010年3月15日
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