経済産業省
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産業構造審議会産業技術分科会基本問題小委員会(第9回)-議事要旨

日時:平成22年3月11日(木)10:00~12:00
場所:経済産業省本館17階第一特別会議室

出席者

木村分科会長、飯塚委員、伊藤委員、呉委員、中村(正)委員、中村(道)委員、夏梅委員、春山委員、丸島委員、渡部委員、渡邊委員

議題

  1. 産業技術政策に係る今後の検討について
    • 今後の研究開発の在り方
      • 研究開発を巡る状況
      • オープンイノベーションへの対応
      • 今後の重点分野への対応
  2. その他

議事概要

冒頭、事務局より初参加の委員について紹介。その後事務局より今後の研究開発の在り方について説明。

委員からの発言概要

  • 我が国が強い上流に加えてサービス、システムといった下流の産業をより強化すべき。産業界は、新興国をターゲットとみており、例えばグリーン・イノベーションを想定しても先進国より新興国において巨大なマーケットが開けつつある。新興国も最先端のサービスやシステムを求めている。このことから、研究開発をドライブするツールとして、実証試験を使うことが必要。国内だけでなく海外でも同時並行的に実証試験を行って課題を抽出し、標準化やプラットフォームを日本で形成していくべき。また、新興国で実証試験を行い、日本のパートナーを育成していく戦略も重要。
  • つくばイノベーションアリーナについて、6つのコアにはバイオが入っていない。バイオテクノロジーにおいても異分野の研究との融合によりイノベーションが生まれるものだとすると、つくばイノベーションアリーナでもバイオテクノロジーに関する取組が必要ではないか。
  • IMECの例を見ると、共同研究を行う際の事前の取決めは非常に大事だと感じる。現在は、オープンイノベーションで得られた成果が、参画した人にどう割り振られるかが不透明なため、産業界が参加しやすい仕組みとなっていない。成果の配分を個別のケースについて定め、産業界が得られるメリットを明確にすべき。また、標準化について、事務局説明にあったような内部をブラックボックス化してインターフェースをオープンにする考え方は重要だが、これだけがすべてではない。中身を標準化しなければならない部分もある。中身の標準を他国にとられないようにすることは国家プロジェクトを生かす基本だと思う。国で戦略的に省庁が連携して全体を担う機能が必要。ほかの省庁で行っている分野とどう連携して国全体の標準化に結びつけるか、また他国の標準化を阻止するか、戦略的に動くことが大事である。
  • オープンイノベーションでは、ブラックボックスにしてインターフェースを公開し、周辺をオープンにするマネジメントが重要。日本の産業を大きく組立型産業とプロセス型産業の2つに分けると、組立型はオープンイノベーションの動きが弱く、国際分業も弱い。一方、プロセス型では、従来のすりあわせ、垂直統合のイノベーションも非常に有効。イノベーションの方法はいろいろあり、産業ごとに違っている。日本は材料系などの強いプロセス型産業をどうしていくかという議論も必要。また、グリーン・イノベーションの潮流について、日本は新興国の市場をとれていないことが大きい。アジア域内を内需ととらえて、増えていく富裕層市場に日本の産業がどのようにかかわっていくかが重要。グリーン・イノベーションも日本が強い産業だとすれば、どうして行くのかを議論する必要がある。
  • オープンイノベーションの中で、ユーザーイノベーション、リバースイノベーションといった考え方がある。例えばリバースイノベーションは、新興国で売れるものをつくるために、現地で設計からやらなければならないということである。外資系企業で行われている、研究開発の最初から新興国の地域政府や大学と連携する取組も必要。研究開発拠点を国内に置くだけで十分なのか、議論が必要。また、IMECの知財マネジメントは、契約書を見て精緻に議論する必要がある。コンソーシアムにおける契約書の書き方でパフォーマンスが変わっていることが明らかになってきており、国プロの設計において十分に検討することが重要。
  • 新興国の都市における社会インフラ改革は、交通問題・エネルギー問題・住宅の省エネ化といった課題を一気に解決しようとする取組である。その際、一つの会社のスコープだけではない広い社会システムを変えることが必要である。出口に向かう水平統合を行うことと、そこに至る基礎研究をうまくつなぐことが必要であるが、日本の企業は縦割り意識が強いため、トータルで変えていくべき。現状変革のための問題提起が2つある。一つめは、産業界は、自社がやるという意思表示と単品からシステムまで全体を纏める力を発揮する必要がある。二つめは、現場に出向き、各都市固有の課題を解決する特殊解を出す方法を練らなければならない。これと標準化をうまく組み合わせていかなければならない。
  • 敗戦の分析をしっかりしらなければならない。分析をしっかりして、何を学んで何を実行するかと言うこと。半導体については、世界ではこの10年間で4倍の成長産業であり、世界一のキャパシティを持つにも関わらず、新興国の成長市場を捕まえられなかった。また横に組まなかったものは負けている。世界的なファウンドリーが形成できず、工場がつぶれていく。ほかの分野でも出口をつかまえられないことが起こるのではないか。日本の半導体産業は技術があるにもかかわらず、ビジネスをつかまえられずに投資ができない。敗戦は貴重な体験で、無駄な敗戦にしないことが重要。まだ回復する可能性もあり、官民挙げて具体的な対策につないでいかなければならない。
  • 国レベルでイノベーションや研究開発を考えるには、単に技術革新を進めていくだけではなく、どのような国にしていきたいのかという目標と戦略が必要。目標と戦略を持つことは、出口を見据えた研究開発につながる。すなわち、研究開発段階から、標準化構想を考えておくべき。また、法制度整備、規制改革も並行して行わなければならない。そのためには、組織の壁、縦割りの弊害を克服していかなければならない。
  • 課題解決型の研究開発を進めるためには、かなり広範な諸問題を解決する必要がある。ビジョン共有型の研究開発をしなければならない。出口を見据えていても、出口が共有されていない場合がある。ビジネスモデルや市場との関連性を見据えた上で研究開発プロジェクトを組めば、企業がリスクを認識して参入できる。意図を持った開発を推進するために、実証、サービスを研究開発のポートフォリオの中に入れるべき。研究開発予算の用途がかなり狭い使用目的に限定されていると思う。成果普及にも予算の一部を使うことを認めないと、論文作成や知財の獲得ばかりに集中してしまう。
  • ベンチャーが持っていた技術の中に、以前の国の研究開発プロジェクトの成果から出てきたものがある。コンソーシアムは責任があいまいになり、その後の継承性を考えなければならない。産業化のためには、理念づくりやある程度のところでの評価、さらに切替えを連続していくことが大事。さらにマインドの連続性が必要。どんな製品でも熱心さが必要であるが、切替えによって連続性が途切れてしまうことがある。仕組みで補うことができないかと思う。太陽光発電のように長くプロジェクトを続けてきたからこそ産業化につながった技術もあることから、マインドの継続性・連続性を補う仕組みが重要ではないか。MITでは、利益の適正な案分のルールができてから産学連携がうまくいくようになったと聞いており、かかわった人にどう案分するかの設定が必要。
  • 研究開発と製造現場のリンケージが重要であるが、日本の製造現場でオペレーションを行う高校卒・高専卒の人材がなかなか集まらない一方で、大学卒は余るという人材のミスマッチが起こっている。研究者の種類として、リサーチャー、エンジニア、テクニシャンに大きく分けると、研究から発展させるエンジニアの役割は非常に大事であるが、エンジニア人材が枯渇している。ものづくりを現場で安全で安定して安価に行う技術者が育っていない。労働市場の需給バランスについても政策的に考えていかないと日本の製造業はうまくいかない。
  • 先端技術の研究者と実際に産業界を支えるエンジニアと、ものづくりの技能者は大変な需要がある。どういう風に意欲を持たせて育成するかが重要。世界的な研究開発拠点の構築に関して、このままでは、日本が完全に世界から取り残されてしまうことがはっきりしてきたと思う。新政権が打ち出したアジア共同体構想はアジア各国から良い意味で受け入れられていると感じており、これは最後のチャンスではないか。日本を徹底的に解放してしまう政策を実現する年にすべき。つくばイノベーションアリーナでは、英語を公用語とする、サポートする人も英語を話せる人を雇用するなど、思い切った国際化が必要。
  • 医薬品のイノベーションは今まで治療法のなかったところに薬を提供すること。その際に必要なのは、徹底的にものの考え方を変えること。また、欧州は米国に対抗するための共同の研究所を持っている。日本だけではなくてアジア全体として発信するためには、研究人材だけでなく、サポートする職員も含め、公用語を英語にしたアジア全体の研究所とすべき。
  • 現状で出口につながる成果があまり上がってこない問題点は2つ。一つは、第一線の一人一人の能力を上げること。例えば、高専出身の人の能力は高い。受験戦争の期間に基礎技術を磨くことができる、全寮制が多いので産業界に大切な人脈ネットワークを作ることができる、実際にものをつくることができるという三拍子が揃っている。こうした制度を日本に定着させ、現場の一人一人の能力を引き上げことが大切。もう一つは、企業研究も含め、基礎研究から応用研究、製品化までに一貫性がなく、担当者をつなぐインターフェースが弱い。目標値と、それに充てる時間・リソースの決め方が甘く、途中で挫折してしまうか、最初に考えたものとはまったく違うものになっている例が多い。国の研究プロジェクトについても、米国のプログラムオフィサー制度のように、全体をまとめていく推進責任者の役目をきちんと位置づけ、権限を与えるべき。日本の学術界ではマネジメント人材の評価が高くないと聞いているが、そういう人が機能すると研究開発の投資効果が上がると思う。
  • 研究のみならずサービスに予算をつける、という意見に賛同。企業は公的研究機関ともっとコラボレーションしたいと思っているが、時間がない。サービスがあれば、コアの技術をオープンにして、費用面でも新興国と対抗できるレートでサービスを展開できると、新たな研究テーマが生まれ、更に出口につながっていくものと考える。具体的な案を次々と実行していけば面白いのではないか。
  • 新成長戦略の基本方針では、ITを活用する視点をもっと強調しても良いのではないか。グリーン・イノベーションにしても、ITを用いてほかの分野との融合を図れば良いし、ライフ・イノベーションについても、ITを生かした医療、診断、治療をしていくことになる。ITの役割はこれからますます大きくなると考えている。それに対して、今のままでは海外のIBM、オラクル、Google、アマゾンがITを強みにして社会や生活に入り込んでいる。日本には社会インフラだけでなく、ITの基盤もあるのだから、IT活用をもっと強調して欲しい。
  • 大学の研究開発から企業の実用化に流れる仕組みは、国全体として有機的にまとめるような機能が可能となる取組が具体的に進んでいるのか。
  • NEDO・JSTとの共同で案件採択する取組や、総合科学技術会議で各省連携プロジェクトを推進する取組は進んでいるが、現場で上流の研究者が市場まで見渡して研究しているか、ビジネスのビジョンを共有しているか等の点については、まだ改善の余地が大きいのではないかと思う。
  • 本日の提案内容は、原則として経済産業省、関連する研究所と企業で取り組んでいく前提であるという理解で良いのか。
  • 今日の内容は、政府全体のプロジェクトが大学・独立行政法人・企業へとスムーズに流れるために、どのように進められるかを提案していく観点から課題設定している。新成長戦略は政府全体の課題であり、経済産業省だけでなく政府全体としてどうつなげていくか考えている。一方で、具体的な例示としては経済産業省が関与しているものがかなり多く、経済産業省独自の取組という印象を与えてしまったかも知れない。
  • ずいぶん前から研究している技術があるときから発展することを良く経験する。社内で埋没している技術がかなりあり、なかなか実用化されていない現状があると思う。製薬業界では、ある程度までいったが実用化しないものを市場取引するといった取組がある。24ページのように他社の技術を自社で役立てる絵は簡単にかけるが、技術体系が複雑で、相互依存性が高いと、統合コストがかかってしまう。補完的な経営資源を切り離したり外部から導入したりするマネジメントをしようとすると準備が必要。MOTの課題がオープンイノベーションをやろうとすると出てくる。また、こういう話では、特許流通や未利用特許の活用という話になりがちだが、特許だけでなく幅広い埋没技術の活用を課題とすることが必要。
  • 最初に、出口から見たとき、複数の社会的課題を解決することが必要だという意見をしたが、研究開発の状態では、課題解決型で良い。それを実現するためには、省庁ごとの予算分割ではなく、ある課題に対して、プログラムオフィサーに一括した責任と権限を持たせて、重点分配することが重要である。また、政策・実施にサービスに持って行くための予算づけが大切。そうした議論が国の中で進んでいるのか。
  • 現在、総合科学技術会議でアクションプランが策定され、グリーン・イノベーションやライフ・イノベーションといったテーマについては省庁を越えた形で一定期間のスケジュールの下に各省連携が必要なものを明確化し、予算を重点配分する取組が進められている。しかし、最初から最後まで、プログラムオフィサーの下に統一的に整理されるには至っていない。
  • これまで自動車、家電、造船、繊維などは先行者が作ったルールの中で、日本企業が良い製品を作り、シェアを獲得してきた。しかし、IPS、スマートグリッド、ロボット、蓄電池のように、これまで市場になかった新しいものを大きな産業に育てていかなければならない。これらの製品に関する国際標準を日本が提案し、市場形成に貢献していかないといけない。企業も大学も国も発想を転換しなければならない。そのために実証も必要だが、研究開発費が大学への交付金を含めて年間3.5兆円しかない状況で、限られた予算をどこにはり付けるのかを考えないといけない。その時に産業界が覚悟を決め、応分の負担をすることが必要。国がどこにはるのが一番新しい産業を作れるのか、どのように考えていったら良いのか。
  • これからは、単品の技術ではなく社会システムを変えていかないといけない。そのためには投資による効果を見える化すべき。それがCO2なのか、人の命なのか分からないが、社会的な課題に対する答えを、緊張感を持って産学官が話し合うことが必要。そういう場がこれまでは少なかったと思う。
  • これからの研究開発は、これまでの同業者による護送船団方式ではなく、サービス業も入った異業種の企業が集まった方式になろうとしている。その中でサービス業の企業に大いにリードしてもらいたいと思う。そうした仕掛けを作るために国の支援を期待したい。また、今後新興国での研究開発を進めるにあたり、ODA等の資金を実証研究に使えるようにしていただきたい。
  • 産業界も相当な覚悟が必要。これまでは産業界中心の色が強く、国が主導権をとっていなかった。これからは国が主導権をとることが必要ではないか。
  • 国際化に関して、日本に来る留学生が増えているが、日本から出て行く留学生がどんどん減っている。特に米国・英国への留学は激減している。日本の大学生は極めて内向きになっており心配。一方で、高専の教育はOECDの高等教育レビューで唯一ほめられるほど機能している。日本の大学生はエキサイトしていないが、高専の学生はエキサイトしている、さらに高専は社会的ニーズにあった授業をしているというコメントであった。そういった教育の場を拡充し、留学生枠を増やすべきではないかと思うが、現状では規模が小さすぎる。

(文責:事務局)

 
 
最終更新日:2010年4月20日
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