経済産業省
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産業構造審議会産業技術分科会基本問題小委員会(第11回)-議事要旨

日時:平成22年4月9日(金)10:00~12:05
場所:経済産業省本館17階第一特別会議室

出席者

木村委員長、飯塚委員、小野委員、岸委員、呉委員、夏梅委員、丸島委員、渡部委員

議題

  1. 産業技術政策に係る今後の検討について
    • 民間企業の研究開発を促進するための環境整備
    • 研究開発成果の普及のための国際標準化の推進及びアジアへの展開
  2. その他

議事概要

事務局より民間企業の研究開発を促進するための環境整備及び研究開発成果の普及のための国際標準化の推進及びアジアへの展開について説明。
以下委員からの発言概要。

  • 国際標準化に当たっては陣営づくりが非常に重要。現在、経済のブロック化が進み、EU域内だけでも50%の貿易をやっている。こういうブロック経済圏の中で標準化も動いていると思われる。日本とってはアジアが重要であるが、陣営づくりという面で取り組みが不足しているのではないか。FTAを含め取り組みの振興度合いによって、標準化に向けた壁の高さが違ってくるのではないか。
  • DVDプレイヤーの事例について、日本が技術を開発し率先して標準化したにもかかわらず、シェアを見ると中国や台湾が主導している。そこに標準化を進める上でのヒント、課題が隠されているのではないか。
  • インテル、ノキア、アップルは、コア技術のブラックボックス化を徹底している。実際にはオープン・クローズ・イノベーションというべきか、オープンとクローズをセットにしてオープンイノベーションといえる。特許戦略、標準化戦略、ブラックボックス戦略をセットにして考え、初期段階から仕掛けを作っていく必要がある。
  • アジア地区、新興地区のインフラには、これから巨額投資がなされる。原子力発電、水処理、新幹線、これらに対して国家戦略としての取り組みは大切。例えば水処理については、フランスがアフリカにおいて、上下水道を都市計画から運転まで一括して行い成功した事例がある。原子力発電では、先日、長期的運転を韓国企業がやるということで韓国企業が受注した。日本では上下水道の運転なりノウハウを持っているのは地方自治体、原子力発電は電力会社であり、こういう人が中長期的に立ち会うなど、総合力を持つことが必要。
  • 産業と標準との関係について、過去において標準化は日本の産業成長を妨げ、その弊害は大きかったと思う。これまで分科会において、この敗戦から学ぶべきと言ってきているが、エレクトロニクス、ITの敗戦の大きな理由の一つは、過剰品質だと考える。
  • アジアの状況は変わってきて、ガラパゴス化という言葉が話題にならないくらい、圧倒的にアジア市場は大きくなっている。日本の標準を利用していてもアジアの中で通用しなければ、産業に携わる人たちの興味と合致しない。下手をするとアジアで開業、開発、製造、再投資を行い、ちょっとだけ日本に配当するという構造になりかねない。
  • アジアと標準について考えるときに、インテルの例もあったが、事業に先行して民間の事業部が主導で動かしていかないと、事業のブレーキをかけることになりかねない。
  • 所得税、相続税、法人税にしても、企業の活力を奪うような、アントレプレナーを完全に駄目しかねないようなメッセージが日本の中で見られる中、元気をだしてビジネスモデルを考えるような若者が育つのか。アジアの熾烈な競争の中で戦っていく若者を元気づけるような施策を考える必要がある。
  • 最大の課題は、教育政策、科学技術政策、産業(イノベーション)政策にほとんど連携がないこと。従ってこの3者の連携を考えていく必要がある。また、大学は危機感がない一方で、民間は相変わらず自前主義から抜け出せないでいる。
  • 今後の対策が5~7つ程挙げられているが実現可能かどうかに関心あり。またより具体的な実施内容を明らかにしてもらいたい。全体の構成及び課題の指摘は良いが、アクションプランとしてもう一段煮詰めることが必要ではないか。
  • 標準化について、次のアクションプランをどのようなものとするかという事が重要。現在、我が国でもようやく打ち込めるような状況になってきた。アメリカのNISTが国際標準化に注力すると言ったのが10年前。それ以前のアメリカではIEEEやASTMといった国内規格が結局は世界のデファクトスタンダードになるのでそれでよいといった姿勢だったが、やはりISO、IECというような国際標準が重要であると方針転換された。
  • なぜうまくいかなかったのかという、敗者の論理から次の戦略の検討をスタートしてもダメ。日本のために日本に有利なものを作ろうとするのではなく、世界の課題解決に貢献するという姿勢で取り組むことが重要。
  • 日本の企業はよく社内規格を使っている。社内規格を業界の規格として広めた後に、国際標準として提案していく、といった流れが望ましいが、なかなか最初の社内規格の提案が出てこない。このような取り組みを支援していくことが必要ではないか。
  • 人材育成に関連し、研究者が、何が最も世の中で使われる技術であるかを考えながら研究することが重要。
  • 研究開発成果の実用化・普及の促進についていえば、良い技術をデファクト化するというものではなく、良い技術が世界の市場に出ることができれば実はデファクトといった形になってくる。事例にあったインテルやシスコは、技術の市場化にあたり、おそらく短時間でマーケティングやセールスに多額の費用を投入しているはずであり、そうでないとデファクトは取れない。この活動を支えているのは資本市場であり、デファクトをとるためにはこの役割は大変重要であり、研究開発費だけでは語ることができない。
  • 台湾では大変高価な製造装置を大量に買って、中国本土に投げ売っているが、これを支えているのも資本市場。台湾の資本市場から調達した資金がどんどん投資されている。従って、国のお金と民間の自前のお金の他に、もう1つ資本市場から調達した資金を上手く使っている企業が短期間に世界の市場を席巻する構造になっていることが明白である。
  • 翻って日本の場合、大企業の財務関係者から見ると、子会社の上場はおかしい、許されないと何故か思われている。オープンイノベーションが進む中、ジョイントベンチャーを立ち上げ、外部資本を取り込むことをマーケットが受け入れるかといったら、そうでもなく、逆の方向に行っている。一方、台湾や中国、韓国は全部良い方向に行っている。
  • 日本では研究開発型ベンチャーにやさしいかといったらそうではなく、研究開発型ベンチャーは、資本金を元手に研究開発をすすめているが、この研究開発費は全く評価されずに会計士は減損と見てしまう。大企業がお金を出しても、すぐに減損され、さらに課税されてしまうので、市場がお金を出しにくくなっている。欧米等では評価する人が相応にいて、それに基づいた株式の評価、マーケット評価に繋がっていって、投資分が投資家に返ってくるという仕組みができている。日本の企業は、韓国や台湾に上場しようと考え始めている。
  • 研究開発効率を上げるためには、マーケットのお金を取り込む仕組みを早急に築きあげることが重要。技術戦略だけでなくて、産業政策を支える金融、特に資本市場の戦略がリンクしてこないと、やはり効率が向上しないと思う。経済産業省だけの問題だけではないかもしれないが、そこまで踏み込んでいかないと、また莫大なお金を損失してしまう懸念がある。
  • スマートグリッドの標準化については、ベンチャーの目からみると携帯電話と同じ目に遭う懸念を有している。日本の電力供給システムはもともとスマートであるため、標準化に対する関係者のインセンティブをどう高めるかが重要であり、また、経済産業省が先頭に立っていろんな技術を取り込むプラットホームをつくらないと、ガラパゴスという状況になる懸念がある。
  • 未利用特許の活用については、イノベーションを保護するのが知財であって、知財を活用してイノベーションを促進するというのはよほどの例外の場合でしかないのではないか。企業自身が未利用の特許の中にイノベーションを促進するものがあるのか疑問。
  • また、利用率が50%で低いとあるが、30%あれば上々だと思っている。利用率が100%の企業は一番いい会社という評価は逆だと思う。利用率100%の会社は現事業に100%知財を活用してしまっており、将来のビジネスがない会社ということになる。よって、将来の事業活動のために本当に知財活動している会社は30%の利用率であれば御の字だと思う。特許の利用率に対する評価はいろいろ見るが、その度に実態と違うのではないのかと感じている。そういう意味では未利用特許の活用がイノベーションに何故、結びつくのか、どういう仕組みで言っているのかわからない。
  • 「事業戦略に基づく標準化戦略」が非常に重要だが、企業の現業の部門は1~2年の計画を立ててそれに専念するので、将来という長期をにらんだ標準化を進めることは難しい。事業部門に理解させて動いてもらうことが重要。
  • ITの世界では新しい製品が次々出てくるが、その裏には、長期に亘る研究の積み重ねがあってのこと。企業の社長は毎期毎に利益を上げないと評価されず、株主のことばかり気にする状況では、将来を見据えた研究開発投資はできない。長期戦略がとれるような企業の評価が必要であり、企業評価する基準に対してイノベーション力の視点が必要。
  • 強い分野は標準化しないというのが大原則。例えば、デジカメについては最低限必要なフォーマットだけしか標準化しておらず、標準化していたら日本は負けていたと思う。
  • 標準化戦略について「何もしないという選択肢はあり得ない」というのは全くそのとおり。企業の経営者の中には、誰かが作った規格や標準、特許を利用すれば、事業ができると思っている人もいるが大間違い。現在、企業みんなが、それぞれ多くの特許を持っているが、ロイヤリティを支払って他者の技術を製品に取り入れた時点で、その製品の競争力はない。
  • 国際標準化については、仲間づくりが大事というのはもっともであるが、国レベルの仲間作りが必要で、国際標準の国家的な戦略が不可欠。
  • 国際標準化にあたってのアジアとの連携は、いくつかの国とはうまくいくと思うが、問題は中国。中国は自国のマーケットを守るために自国で標準を作って他国に従わせるやり方であり、戦略的に標準を作っている。
  • 未利用特許活用に関しては、製薬業界と機械の業界では状況が異なる。製薬業界の特許権は製品との関連が極めて明確で、業界全体としては未利用特許は少ない。それに対して、オープンイノベーションという観点では、エレクトロニクス業界等では、相互依存性が高く特許権と製品との関連が複雑になりがちであるが、技術・特許と製品との関連性がわからないとオープンイノベーションはできない。企業の技術マネジメントの中で、本当に重要なもの以外は自前で作らず、もう少し構造を単純にしないとオープンイノベーションは進まないため、そういう意味では未利用特許が活用できる状況にした方がいい場合もある。
  • 日本の場合は企業の数が多く、国際標準を進めることが難しい。同じ業界内であれば話し合いもできるが、最近の国際標準では、例えば電気自動車にしても、複数の業界が絡んでいる。光触媒の標準作成の際でさえ、業界団体が二つあって難しかったが、今はもっと複雑な状況。そういう中で政府がどう施策をうっていくかは大きな課題。

(文責:事務局)

 
 
最終更新日:2010年4月27日
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