経済産業省
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二酸化炭素回収・貯留研究会長期的な安全性確保検討ワーキンググループ(第2回)-議事録

日時:平成20年11月25日
場所:経済産業省(別館5階)509共用会議室

議事概要

  • 三橋地球環境技術室長
    少し定刻より早いですが、委員の皆様、お集まりでございますので、第2回のCCS研究会、長期的な安全性確保ワーキング・グループを開催したいと思います。
    早速ですが、座長の佐藤先生に進行をお願いしたいと思います。
  • 佐藤座長
    佐藤でございます。本日は、皆さん、お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。座って進めさせていただきます。
    前回、合同でワーキングが開かれ、皆さん、全体的なことはおわかりいただけたと思います。本日から、いよいよ分かれてのワーキングということで専門性も高くなってまいるかと思いますけれども、皆様の活発な御議論をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
    本日の議題に入ります前に、資料の確認を事務局よりお願いいたします。
  • 三橋地球環境技術室長
    お手元の座席表の次の紙に本日の議事次第と配付資料が1ページに書いてございますので、確認させていただきます。
    まず、「CCS関連技術について」ということで、本日、前半のプレゼンテーションを依頼しています日揮の熊谷委員から用意していただいている資料でございます。横向いた色刷りの資料でございます。傍聴席の皆さんは、タイトルが「CCSについて」となっていますが、これは印刷の関係でそのようになっております。御容赦ください。
    資料2が後半のプレゼンテーションを依頼しておりますCCS研究会・本委員会の委員でいらっしゃいます三菱重工の飯嶋委員に提出いただいている資料でございます。CO 2の回収技術についてまとめたプレゼンテーションになっております。
    資料3から5までが事務局で用意したものでございます。資料3が「CO 2の分離回収技術の概要と特性」、資料4が、それらの分離回収技術によって回収されるCO 2の濃度、そして、資料5に、企業1社から御協力を得まして、既存の化学プラント、すなわちアンモニア製造工程から高濃度のCO 2のガスが出ておりますので、その回収といいますか、実際には大気に放出しているわけですが、その工程を説明した資料を用意しております。
    全部で資料は5点でございます。もし足りないもの等ありましたら、事務局に御連絡をいただければと思います。よろしいでしょうか。
    それから、本日の委員の御出席でございます。北村先生が本日も欠席されております。ワーキング・グループ1から、村井委員に御臨席をいただいておりますので、よろしくお願いいたします。
    以上でございます。
  • 佐藤座長
    ありがとうございました。
    今、御紹介ありましたように、2件、委員からプレゼンテーションがございます。

CCS関連技術について

  • 佐藤座長
    まず、1件目の熊谷委員から「CCS関連技術について」のプレゼンテーションを、10時40ぐらいをめどにお願いいたします。
  • 熊谷委員
    日揮の熊谷と申します。私から、「CCS関連技術について」ということで御説明させていただきます。
    流れですけれども、最初に、私どもで関与させていただきましたインサラーの天然ガス処理プロジェクトにおける関連技術について概要を御説明いたします。その後に、突然ですけれども、CCS-CDM方法論の審議における論点について御説明します。
    皆さん、CDMのことを御存じかと思いますが、非常に厳格なルールが適用されて、削減量などが非常に精緻に計算されることが要求されるものでして、そういった意味では指針の究極に値するものかと思います。そこのCCS-CDMに関する方法論を私どもで出しておりまして、それについていろいろ論議がされておりますので、どういう論点が議論されているかを御紹介したいと思います。
    その次に、CO 2の地中貯留といいますと、リスクがどうなのか、長期的漏洩はどうとらえるのかという点が非常に重要視されますので、それについて、どういう考えがあるかという点を御説明したいと思います。
    最初に、インサラー天然ガス処理プロジェクトにおける関連技術について御紹介します。これは、アルジェリアのインサラーで行われている天然ガス開発プロジェクトのことで、天然ガスからCO 2を分離して地中に貯留し、天然ガスはパイプラインで輸送します。この図は後ほど御説明いたします。
    アルジェリアの国営石油会社のSONATRACHが35%、BPが33%、StatoilHydroが32%ですけれども、プロジェクトを開始した当時はBPが65%で主導権を持っておりました。
    私ども日揮とKBRというアメリカの会社とJVでプロジェクトに参加し、ここに出ていますプラントの設計・調達・建設を担当いたしました。残念ながら、いわゆるサーフェイスのほうで、地下のサブサーフェイスはBPの所掌となっています。
    これは、2004年8月に圧入を開始しまして、設計上は1.2Mt/yで、合計17Mtを計画されていると聞いています。
    コストのほうですが、BPが発表している数字が、プロジェクト全体として2000ミリオンドル、CO 2圧入のための追加コストとして100ミリオンドル。100ミリオンドルを17Mtで簡単に割りますと、単純に6ドルというのが初期投資に対する割合になります。
    概要ですけれども、インサラーというのはアルジェリアの真ん中ぐらいにございまして、ここで生産されたガスをパイプラインで欧州に持っていく。インサラー地区のガス田自身の開発は古かったのですが、CO 2濃度が5から10%ぐらいのガス田は、開発がおくれていました。
    アルジェリアはCO 2濃度が比較的低いガスが多いもので、Hassi R'Melというところでは0.3%以下という非常に低いものが生産されていますので、そのままパイプラインで送られています。一方、5から10%というのは非常に高いので、これを処理する必要があったことから、このインサラー地区の開発をするときに、CO 2の除去プラントが建設されることになりました。
    当初は、合計7つのガス田がありまして、これをどういう順序で開発していくと一番合理的か、どういうところにCO 2除去プラントを設けると合理的かということが検討されました。開発段階から、いわゆるサーフェイスと言われる設備部分とサブサーフェイスあるいは生産部分の相互の協力で、最も合理的なプロジェクトを開発したということになっています。
    これはBPが出している生産プロファイルです。上の黄色い部分が天然ガスから分離したCO 2で、平均10%と言われていますけれども、その割合はガスの生産に伴って変わっていきます。この合計が17Mtと言われています。ただ、最近のBPの発表では14Mtということも言っておりまして、大体そこら辺の値ということであります。下の部分はプラントのユーティリティですね、熱とか電気に使うエネルギーに由来するCO 2の発生量となっています。
    これはインサラーで採用されたCCS関連技術ということで、CCSCC部分、すなわちCarbon Dioxide Captureですか、キャプチャーまでの部分は既存技術として従来から行われていました。インサラーの場合ですと、アミン系の吸収液によるCO 2吸収と再生が行われています。
    油ガス田の生産現場では、このカーボンキャプチャーまではもともと必要な場合が多くて、ほとんど既存技術として実施されてきています。CCSのS、ストレージのみが新しいというのが特徴かと思います。スレージ、Sの工程としては、圧縮、脱水、輸送、圧入というものがございます。このインサラーの場合ですと、こちらの方から天然ガスが来まして、プラントの中で処理をされて、こちらの方に出ていくという流れになっています。
    それで、CO 2の分離回収設備の後にコンプレッサーがついていまして、これは設計上、50万トン/yが2系列となっています。ここで圧縮されたCO 2、200気圧が設計条件ですが、それがこのラインで3カ所の圧入井から圧入されています。
    なぜBPはCO 2貯留をやったかということですけれども、1997年5月ですか、BPのジョン・ブラウンという会長が、京都議定書が批准されたのは97年12月ですのでその前なんですけれども、CO 2などの温暖化ガスが地球温暖化に寄与しているといいますか、影響を与えているという明確な証拠がない段階ではあるものの、そういう可能性が認知された時点で、BPとして何か対策を取るということを打ち出しまして、それに基づいて、このインサラーでのCO 2貯留を実施することになりました。
    その決定をした当時、BPの中でいろいろなオプションが検討されて、そのうち、ここでCO 2を貯留するというのが一番合理的なオプションであったということから、これが選定されました。このためBPでは、この後にも幾つかLNGプラントを建設していますが、必ずしも地中貯留をやっているわけではありません。この時点では、これが一番いいと判断されたようです。正にボランタリーにこれが行われたわけです。
    インサラーの貯留層ですけれども、地下1800mぐらいにガス層がございます。石炭紀のキャップロックですか、それと石炭紀の帯水層ですけれども、砂岩層ですね。ここに天然ガスがたまっています。その天然ガスを生産して、プラントで分離をして、天然ガスはパイプラインで輸送します。CO 2は再度、同じ貯留層に戻すというところがみそになっています。ただし、同じ貯留層と申しましても、天然ガスのある部分から離れたところにある端部域、「は水」という言い方をしますが、そういった部分に戻しています。
    圧入井が全部で3つございます。これは模式的な図ですけれども、青でかいてある位置が圧入井です。それを横方向に伸ばす工法をとっています。この場所を選定するときに、いろいろシミュレーション計算を行いまして、ここに圧入したCO 2がもともとあるガス層に移行しない地点を選んだと言われています。そのシミュレーションに当たっては、当然いろいろなパラメータがありますので、そのパラメータを確率論的に振って、いろんなケースを考えても来ない地域を選定したと聞いています。
    これがそのシミュレーションの例です。これはガス層で、これがCO 2が貯留されている部分ですね。ガス層は、生産に伴いどんどん小さくなっていきます。CO 2層は大きくなるということから、究極的には、CO 2はどんどん広がりますがガス層の方は狭くなっていきますので、このCO 2はこれに追いつかないということになっています。
    これはインサラーの地震探査の例です。このガス層の厚み、貯留層もそうですけれども、20mぐらいしかありませんので、2000mに対して20m、わずか1%ぐらいの領域に貯留していることが特徴になっています。
    これはインサラーでのモニタリング計画です。先日行われましたGHGT9でBPのIain Wrightさんが発表されたものです。BPのリスク評価はどうやってきたかということは余り公表されていませんが、説明によりますと、彼らがいろいろ評価をして注目しているのは坑井の健全性と地下でのCO 2の横の部分への移行、すなわちガス層へ移行してガス層をコンタミすることがないという、その2つであるようです。彼らの検討では、浅いところにCO 2が垂直方向に移行するというリスクは主要なものとして識別されなかったので、これはほとんど注目しておらず、井戸だけが問題であるという言い方をしています。
    モニタリングについては、彼らのほうでジョイント・インダストリー・プロジェクトと言っている、アメリカなどと協力してモニタリングプログラムを実施していいますが、その際に識別されたモニタリングの方法がこれです。横軸がコスト、縦軸がベネフィット、便益。普通、下のほうが便益性は高い、コストは横方向が高い。当初、こちらを考えたようですが、その後、いろいろ検討していきますと、結局、これだけでいいだろうということになっています。すなわち、コストが低くて便益が高いものとして幾つかの方法を識別したようです。
    ここで特徴的なのは、地震探査、サイズミックが外れていることですが、発表者によると、地震探査はこの基準からは外れていますが、一般的に非常に有用な方法と言われているので、これも試してみると聞いています。ただし、業界関係者のうわさでは、20mしかない貯留層に貯留した場合に、地震探査で本当にCO 2を検知できるのかどうなのか、非常に疑問であるとの意見もあります。一説によると、20mの厚さ全体にCO 2が入った場合には検知できるけれども、初期段階では難しいのではないかという憶測もあります。
    BPは、こういうモニタリングを行い、地中挙動のシミュレーションも両方実施して、モデルの精緻化を図り、最終的には長期的な性能評価における信頼性醸成に貢献させるということを言っています。
    その次に、CCS-CDM方法論の審議における論点について御説明します。
    最初に背景的なものですが、CDMと申しますのは非常に複雑な手続でして、最初に方法論と言われるものを開発して承認してもらう必要があります。これは型式認定という認識でいいと思いますが、その後、プロジェクトごとに事業許可申請書のようなものを作成しまして、それを承認してもらって、最終的にモニタリングをして、その結果を確認してクレジットが発効されるという複雑な手続になります。
    それで、CCSもCDM化できないかと、方法論を開発してCDM理事会に提出していますが、CCSというものがそもそもCDMに馴染むかどうか、適格性があるかどうかというところの議論がなされている段階で、この方法論自体の審議は始まっていない段階です。
    ただし、最初にCCSの適格性の審議をするかどうかと決めたときに、CDM理事会では幾つか問題点を識別しています。それは3点あります。1つはプロジェクト境界、あとCDMリーケージ。これはCDM固有の問題で、安全性の観点では余り重要ではありません。あとは永続性で、漏洩なども含めた永続性を非常に重要視しています。
    これはその後の経緯です。最初、COP/MOP1というところで検討することが決って、その後、SBSTA、科学及び技術の助言に関する補助機関ですか、そこでワークショップが開催されて、CCSに関する理解が深まりました。その後にCDM理事会で提案された方法論に関するレビューを行い、それに基づいて提言を出しています。これが多少示唆的なことが書かれていますので、これも赤い部分を御紹介したいと思います。
    その後、COP/MOP2では、この結果等を踏まえて、CCS-CDMとして解決すべき課題を10点近く挙げていまして、それについて各国政府とかIGO(International Governmental Organization)あるいはNGOなどからの意見提出を要請しています。
    それらの出された意見をもとに、統合報告書というものに、どのような意見が出されて、どのような点が合意されて、どのような点が合意されていないかをまとめた報告書が出されています。
    それらを踏まえて、来月早々に実施されるCOP/MOP4で、CCSがCDMとして適格かどうかということに関するガイダンスが出されることになっています。ここではCDMというよりも、安全評価指針を考える上で参考になるような3つの論点について御紹介いたします。
    最初に、日本から三菱UFJ証券殿と私どもと三菱総研殿で出している二つの方法論があります。まず、そもそもどういう方法論かということを御説明したいと思います。私どもが出しています帯水層への貯留を対象とした方法論、帯水層CCS-CDMと呼んでいますけれども、それについて御紹介したいと思います。
    これは非常に単純なものでして、従来は、天然ガスに含まれているCO 2を除去し、不純物を焼却して放出しています。例えば300万トンの天然ガス由来のCO 2があるとしますと、燃焼で新たにものが発生する分が50万トン分ぐらいありますので、合計350万トン発生していることになります。それをCDMプロジェクト、CCSにすると、その焼却が要らなくなりますので、そのまま圧縮して貯留することができます。このときに、圧縮コンプレッサーを駆動させるために新たなCO 2が発生しますが、それは大体40万トンとなります。すなわち、300万トン圧入するのに、大体40万トンのCO 2が追加的に発生してしまいます。そういったことを差し引くと、正味で大体300万トンが削減量となります。
    これは非常に単純で、CDMの場合には、追加性、それをすることが合理的かどうか、CDMがなかったらやらないかという議論があるのですが、その追加性という点では、これは非常にクリアな、単純な考え方になっています。
    帯水層CCS-CDMの方法論の大前提として、どういう場合に適用するかといいますと、私どもの方法論では、天然ガス処理プラントについてだけ適用します。あと、EOR(Enhanced Oil Recovery) やEGR (Enhanced Gas Recovery)というものは対象としません。
    あと、どういうところに貯留するかということを前提条件として書く必要がありますが、サイトスペシフィックじゃない、ジェネラルな形では明確に書きにくかったので、資料で示しましたように、長期的健全性が期待できる地層への貯留であることとしました。
    これはどういうことかというと、1つは超臨界状態が維持できる深度、大体800m以深と言われていますけれども、そういう深度であること。あと長期的安全性とか貯留容量、安全性を確認できる十分なデータが取得されていることとか、シミュレーションによって十分に適切に管理された貯留層であることが示されていること。
    このときに、適切な貯留層であるということの条件の例は、IPCCの特別報告書で示されています。例えば100年間にわたり99%以上保持される可能性は90から99%であること。これは英語ですと、very likelyです。1000年以上にわたり99%以上保持される可能性はlikely、66から90%であること。そういうことが言えるような貯留層が健全な貯留層と定義しましょうとIPCC特別報告書では記載しています。
    CO 2の地中挙動シミュレーションに非常に大きく依存することになりますが、シミュレーションが良いかどうかということは適切な第三者機関により確認されることとしています。この適切な第三者機関は何かというところまでは決め切れていませんが、そういうロジックにしています。
    あとモニタリングです。モニタリングは非常に重要で、三種類のモニタリングを行うことを想定しています。1つは坑底モニタリングです。圧入中に圧入井の底の部分、坑底部分で温度、圧力を測定し、それによって圧入が健全に行われていることを確認します。あとは3次元地震探査とサンプリング調査です。
    位置づけとしましては、私どももいろいろ考えたりしましたが、CDMの場合には、例えば漏洩があるのであれば、それは具体的にどの程度かかという定量性が求められることから、地震探査で漏洩が無いこととか、漏洩量とか、そういったものを全てCDMが求めるレベルで示すことが難しいと判断しまして、地震探査というのは、いわゆるサポート役で、具体的な数字というのはシミュレーションに頼らざるを得ないと考え、シミュレーションで漏洩量の推定予測をすることとしています。
    その時のシミュレーションの妥当性は地震探査で確認します。あるいは地震探査の結果を使ってシミュレーションをどんどんブラッシュアップしていってより精度の高いものにし、将来の漏洩の可能性及び漏洩量を算出するという考え方にしています。
    その時に、サンプリング調査、例えば地上での水とかガスのサンプリングですが、これについては、ここでやっても実質的に何も検出されないし、CDMという観点から有用な結果は何も出ないと思われます。ただし、社会的受容性という観点から、そういったことを考慮すると、何も検出されないことをきちんと示しておく必要があるだろうという位置づけで入れています。
    地震探査で測定を行い、シミュレーションのヒストリーマッチングを行って、漏洩量を推定することとしています。本件はCDMという事業目的としていますので、なるべく少ない頻度とできるような考え方を採用しており、バックグラウンドの測定を行った後、CDMプロジェクトは7年間となっていますので、その7年間が終了した時点での測定、あるいは7年間経たなくても何かしら漏洩の徴候を検知した場合の測定ということにしています。圧入が終わった時点でヒストリーマッチング結果から長期的なシミュレーションを行い、漏洩の可能性とか漏洩量を推定するロジックとしています。
    漏洩については、基本的には良いサイトを選べば漏洩することは無いと考えています。ただし、井戸については人工的な構造物ですので、これが漏洩経路となる可能性は否定できないとおもいます。あとは水に溶解してCO 2がどこかへ行ってしまうことはないのかということが考えられますので、それをシミュレーションで確認することを想定しました。
    ちょっと長くなってしまいますが、最後に参考用ということで、CDMに固有の問題ではありますが、将来の漏洩量のアカウント方法についてご紹介します。アカウントというのは削減量を計算することなのですが、私どもの方法論では、将来、漏洩が発生する可能性が認識された場合、シミュレーションで例えば500年後にこれくらいの量が漏洩するという可能性が示唆された場合に、その漏洩量の予測結果を今の削減量から差し引くというものです。
    CDMというのは削減分をクレジットというお金で解決する手段ですので、そういった意味で、削減できなかった部分は、その分のお金を精算するという考えになっています。その場合に、いろいろな考え方があります。縦軸が大気中のCO 2濃度、横軸が時間ですが、IPCCの第4次評価報告書でも今後CO 2が非常に増加する20~30年の間に対策を取ることが重要であると言っています。そういった意味からすると、今後、20~30年以内にCO 2を有効に減らすことができれば、将来的に多少漏洩があったとしても、今一番クリティカルな時期を緩和できれば良いのではないかという考え方も考えられるということで、この図を引用しています。
    方法論の紹介が長くなってしまいましたが、ここからが、CCSはCDMとして適格かどうかという点に関する国際的な議論です。CDM理事会が方法論をレビューした際、CCSをCDMとして見るときの問題点は、政治的な問題と技術的な問題の2種類に分けられるとしています。政治的な問題は、COP/MOPとか上位機関が政策的に判断する必要があるとし、許容可能な漏洩リスクや不確実性はどの程度であれば許容できるかというのは、技術論的には答えが出ないので、政策的に判断してもらう必要があると言っています。
    あるいは、技術的な問題としては、サイトの選定基準とかCO 2漏洩に対する適切なモニタリング方法の構築に関するガイダンスというのが挙げていますが、CDM理事会が言っているのは、漏洩のモニタリングというのは最新の科学知見の反映が望ましく、一般的なCDM方法論の要求内容に馴染みにくいとも言っています。これには専門家の知見が必要であり、一般要求事項とサイト特性を考慮したサイト毎の要求事項を柔軟に取り扱うバランスが必要と言っています。
    すなわち、普通のCDMの方法論というのはモニタリングの方法とか計算方法を事細かく書くわけですけれども、事細かく精度までも含めて書くような要求にCCSが馴染むかどうかというと、これは非常に疑わしいと言っています。
    その後はCOP/MOP2で、各国政府に意見を求めましたが、その時はこのような9項目について意見を求めています。例えばリスクとか不確定性のレベルをどう考えるのか、長期的な責任をどう考えるのか、モニタリングはいつまでやればいいのか、何かあったらどうするのかとか。それに対して各国政府とかIGO、NGOから意見が出されています。それをまとめた報告書も出されています。
    その報告書は、出された意見を技術的課題などに分類、整理した内容となっています。本当は、この意見が全て、これらの項目に対応して提出されていればよかったのですが、そのような形での意見となっていませんでしたので、それを彼らがまとめるときに、技術的課題、方法論的課題、法制度的課題、政策的課題に分類して、何が合意されていて、何が合意されていないかという点を整理していきました。
    技術的課題に関して、皆さんの意見で合意されている点を書いています。1つは考えるべき漏洩の種類ということで、これは普通、地上の設備からの漏洩とか、一般的なことですが、注目すべきはシミュレーションとモニタリングの両方が必要であるということはNGOも含めて全ての人が認めている点です。原文ではコンピュータモデリングと書いてありますが、コンピュータによるシミュレーションを含めたモデリングとモニタリングで相互に補い合うことが必要であることを指摘しています。
    方法論的課題では、例えば柔軟性が必要であるとか、サイト選定に当たってはこのようなことを考慮する必要がある、サイト選定の手順では、まずサイトをよく知って影響評価を行って潜在漏洩経路を評価し、環境影響評価も行う必要があるとか、一般的といえば一般的ですが、このような手順は国際的に合意されています。
    あとサイト特性化についても合意されています。特性化は、Site Characterizationの訳ですが、サイトの特徴をよく知ることと解釈すれば良いと思います。そういうサイト特性化とかサイト選定は最も重要な要素であるということは共通の認識となっています。
    あと短期的、長期的シミュレーションというのは、サイト選定に当たって重要な情報を提供するとか、サイト特性化とモニタリングは強い関連性があるということも言われています。これは先ほど御説明した内容と同様ですが、モニタリング結果をシミュレーションによる予測結果の確認に利用してシミュレーションを改良し、漏洩する可能性の識別に活用すべきである点が指摘されています。
    また、IPCCのインベントリー・ガイドラインの2006でCCSが取り扱われていますが、そのアプローチが非常に適切なものだとも認識されています。
    法制度問題としては、サイト選定は重要であるとか、先ほど申し上げたような将来の漏洩分を取り扱うのはなかなか難しいとか、そういった議論が記載されています。
    今述べましたように、長期的な問題の取り扱いは重要であると認識されていますので、漏洩という長期的なリスクをどう考えるかという点についてまとめていますので、それを簡単に御紹介します。
    初めに、リスクの議論を行う際に最も重要なのは、便益とのバランスを考慮しながら議論する必要があるという点です。ややもすると、これが忘れがちですが、CCSに関するリスクを考える時も、なぜそれを実施するのが良いのかということを十分に考えておくことが重要と思います。これは当たり前といえば当たり前ですが、リスクの話をする前には、その便益をちゃんと説明する必要することが重要であろうと思います。
    そもそもCO 2地中貯留に想定されるリスクはどういうのがあるか。これはIPCCの特別報告書に書かれていることですが、グローバルリスクといわれる地球温暖化への影響とローカルリスク(局所的リスク)に分けられています。
    グローバルリスクについては、漏洩によって温暖化を促進するリスクのことですが、これに対してもいろいろ意見があります。本当に100%完全貯留である必要があるのかという点に関して疑問も出されています。100%でなくても、CCSの便益は損なわれないのでは、例えば漏洩率が0.01%以下であれば、かなり大規模なCCSを実施した場合でも温暖化抑制の有効な手段であると結論づけている文献もあります。
    局所的リスクとしては、誘発地震とか生態系、地下水、人体への影響が指摘されています。誘発地震というのは圧入による影響ですが、一般的な話として、主要なリスクの発生源は貯留されたCO 2の潜在的な漏洩であると認識されています。局所的な影響というのは、サイト条件への依存性が強いことから、プロジェクト毎、サイト毎の評価が必要だろうと思います。
    これは先ほども出てきた図ですが、一般的にどのような漏洩経路が想定されているかを示しています。これもIPCC特別報告書に書かれている有名な図です。この図では黄色い層に圧入することを想定しています。
    黄色い層の上にキャップロックがありますが、この図はキャップロックの薄い部分から、その上の帯水層にCO 2が移行してしまい、そこから上にじわじわ漏洩するのがA経路です。Bは、ここにある断層を通じて移行するという経路です。Cは、もともと不連続な部分、すなわちキャップロックのすき間を通じて漏洩してしまう経路です。Dは、CO 2を圧入したことによって閉じていた断層が開き、そこを経由して漏洩する経路です。Eは坑井です。人工構造物である井戸の劣化によってCO 2が移行してしまう場合です。FはCO 2が地下水に溶解し、溶解水がどこかへ移行する場合です。Gは、CO 2の溶解水が地上に出て、CO 2が大気に放出される場合です。
    これらは、あくまでも一般的に考えられる例ですが、こういうことを見ましても、例えば断層やキャップロックがきちんと評価されているとなると、最後に残るのは井戸ということになります。世間といいましょうか、CCS業界のいろいろな評価を見ましても、井戸の重要性がよく指摘されています。
    それでは、リスク評価の実施方法についてご説明します。リスク評価の一般的な手順は、おおむね確立されていると考えています。これは非常に単純化した流れですが、最初に貯留システムの定義づけ、すなわちサイトやそこでどのように貯留するのかということ明確にします。その後にFEPを抽出します。FEPというのはFeature、Event、Processの頭文字で、サイトを特徴づけるパラメータです。これについては後ほど御説明します。
    そのようなサイトを特徴づけたものから、どのような漏洩の可能性があるか、どのような移行経路があるかを考えてシナリオをつくり、そのシナリオごとにモデルを作成して計算するという流れです。
    そのときに、システムの評価モデルについては、単純なモデルで様々なケースの評価を行う場合とか、精緻なリザーバ・シミュレーションで評価を行う場合が考えられます。ただし、精緻なリザーバ・シミュレーションを行う場合に、精緻な計算をできるだけの精緻なデータがあるかどうかが非常に重要ですので、そのようなデータが無い場合は、それらを包含したような単純なモデルで計算をするということもあります。
    世間で安全評価手法がよく確立されていない、いろんな方法があるというように言われていますが、それは主にどういうモデルを使うかという点に関する議論が多く、大きな流れとしては、シナリオをつくって、モデルをつくって評価を行うという流れだと考えていただいて結構だと思います。
    次にFEPについて簡単にご説明します。最初にFEPの抽出と記載しましたが、そもそもFEP、すなわちFeature、Event、Processとは何なのか御説明します。Featureというのは、特質をあらわすパラメータで、例えば浸透率とか孔隙率とか、そういうパラメータです。Eventというのは、Featureの変化をもたらすような短期的事象のことで、例えば地震とか人間による掘削とかです。ProcessというのはFeatureの変化をもたらすような長期的な化学的・物理的なプロセスで、例えば化学変化、物理変化とか、劣化とか、腐食とか、そういったようなものがあります。
    FEPという概念は原子力の放射性廃棄物処分の評価の分野で発達してきました。例えばここで何が起こるかということを考えるときに、考慮すべき点を網羅的にリストに挙げておくという発想です。すなわち、そこに挙げられたものを考えれば、考えるべきことは大体すべて網羅されているという概念です。ちょっと分かりにくいかもしれませんが、放射性廃棄物処分の安全評価の分野で概念が出されて、それが進化していきました。それをCO 2の貯留にも使えるのではないかと考えられデータベースが整備されて、IEA-GHGのウェブで公開されています。
    これは、あくまでも汎用なFEPデータベースというもので、カナダのWeyburnプロジェクトで行われた安全評価の過程で得られた知見に基づいてまとめられたFEPです。
    どういうものがあるかといいますと、FEPを見てみますと、わかりにくいもので、例えば評価の前提条件を明確にしておくこととか、要因として外的要因の中には気候とか将来の人間活動などを考慮することとか、一見あまり意味がないように見えることも書かれています。何か評価を行うとき、例えば安全評価のシナリオを作成したときに、そのシナリオが本当に全ての可能性を網羅しているか、考えるべきものが考えられているかどうかを評価するときに、FEPオーディットと呼ばれていますが、FEPを一項目、一項目見ていって、その記載事項から考えて、作成したシナリオは抜けが無いかどうかの確認に使うことができるという意味で非常に重要なものだと思います。
    ただし、このFEPデータベースというのは汎用なものが公開されていますが、汎用であるが故に、ある国、あるサイトではカバーされていないこともあり得ることから、実際には使うときにはサイトスペシフィックなもの、またはその国にスペシフィックなものを新たにつけ加えて利用することが必要となります。
    実際、Webで公開されている汎用FEPもいろいろ見直し作業が行われており、新たに得られた知見を反映するとか、データベースを使った人からのコメントを反映するとか、そういったことがされているようです。
    これはちょっと見にくいのですが、FEP解析の例です。考慮すべきFEPを抽出してそれを対角線上に並べ、おのおののFEPがほかのFEPとどういう関連があるかというものを時計回りに見ていって、それを関連づけたものです。このような関連づけを一つ一つ記述して、シナリオを作成することができます。
    そもそもこのサイトはどういうFEPが必要かということをボトムアップ的に考えるやり方の他に、トップダウン的に考えるやり方もあります。CO 2が漏れるとすると、どういうふうな漏れ方をするのか、漏れるために何が起きなくてはいけないかというように、フォールトツリー的に事象を整理してその結果とFEPを比較する、トップダウンとボトムアップを両方合わせて評価を行うやり方なども行われているようです。それによって網羅性を確認することができます。非常に重要なことは、網羅性をどうやって確認するか。あるいは網羅性を確認したことをどうやって示すかということと思います。
    不確実性については、CO 2の貯留では不確実性があることは事実です。ここで不確実性と一口に言っても大きく2つありまして、知らないことによる不確実性と、物理的にその現象が持っている統計的な不確実性です。これらを混同すると、例えば確率論的評価を行うときに、本当に知らないことを例えば確率論分布で表現するというと間違った議論になる可能性があるということで、この不確実性をきちんと識別して考える必要があると思います。
    CO 2地中貯留のように、地下という見えないものを取り扱い場合には、どうしても不確実性というものは残ってしまいます。そのときに、どの不確実性を低減することに注力することが全体として信頼性を向上させるかというマネージメントと、そういう努力をしても絶対不確実性は残ってしまいますので、そういう不確実性が残っているという状況下で、どうやって社会の合意を得るかというような、その2点を考えることが必要です。
    例えば、こちらは一般的に、いろいろなことを考えてモデルをつくってリスク評価を行って、そのリスクを評価した結果だけを説明して、「リスクがこれくらいないから安心して下さい」という言い方だと、「本当か?いろんな不確実性あるのではないか?」ととらえられることもあると思いますので、リスク評価というのは一つの要素であって、その他にナチュラルアナログとか、ほかの事例とか、あるいは歴史的な地誌とか、そのような様々な複数の論拠を合わせて、こういうような根拠は数多くありますので、これは信頼できるという説明のやり方が重要ではないかなと感じています。
    まとめですけれども、今回、御説明したことから非常に示唆的なことだけを抜き出しています。
    1つは、モニタリングというのはサイト特性に応じた費用対効果を考慮して計画することが重要。すなわち、いろいろと見ましても、モニタリングというのはサイトスペシフィック、サイト依存性が非常に高いということで、サイトジェネリックな方法はなかなか決めにくく、サイトに応じて最もいい方法を選ぶことが必要だと思います。そのときに、費用対効果と書いていますが、むやみにお金をかければ良いというわけではなくて、一番効果的な方法を採用しないと無駄なお金を使ってしまって、本来やるべきことにお金が回らないという可能性もありますので、そういう費用対効果を考慮することが重要と思います。
    CO 2地中貯留の長期的有効性を確認するには、シミュレーションを含む特性化とモニタリングの2つが非常に重要であろうということは国際的に共通の理解として得られています。
    サイト特性化、サイトキャラクタリゼーションの手順としては、2006年のIPCCインベントリー・ガイドラインに書かれているアプローチが非常に良いと考えられています。
    リスクについて議論するときには、必ず便益というものを考える必要があります。逆に言いますと、その便益は何なのかということを明確にしておくことが必要です。
    あとCO 2地中貯留の長期的有効性の評価には、システムの複雑さのために不確実性というのは必ず残ります。信頼性を醸成するためには不確実性低減のために何をするべきかということを明確にするとともに、不確実性は必ず残るという前提で合意形成のためのコミュニケーションが必要と考えられます。
    以上です。
  • 佐藤座長
    どうもありがとうございました。インサラーでの具体例とCDM、リスク評価についてのワークでした。
    委員の先生方から御意見なり御質問なりございましたら伺いたいと思いますけども、いかがでしょうか。
  • 飯嶋委員
    熊谷委員から大分詳しい御説明いただきまして、私もCCSに大分関与している中で、貯留側で一つだけ、世界的な技術的に完全に完成されていないと思っているところがあるんですよ。そこはモニタリングで3Dサイズミックでいくとか、いろいろやっているけれども、定性的なモニタリングなんですな。地表モニタリングというのはWeyburnでサンプリングを200mピッチぐらいでやっているけれども、なかなかいい方法じゃないんですね。ですから、漏れていないということを証明するというのが結構難しい話なんです。
    むしろ我が国も、日本の技術を使いながら、特に境界層で漏れていませんと、また万が一漏れていても幾らしか漏れていませんということを、そういう技術を日本としても持ったら非常に有効じゃないかと個人的に思っておるんです。
    いろいろ説明していただいているけれども、パーフェクトに絶対漏れていませんと、また万が一漏れていても幾らしか漏れていませんということが今の世の中の技術、結構難しいんだということだけ知っておいてほしいなと思います。
  • 佐藤座長
    境界層とおっしゃっているのは。
  • 飯嶋委員
    境界層は、例えば地表面とかですね。普通やっているのは、入れた層に対してどう広がっているか、また井戸を掘れば、その上の層にどう来ているかと。一番重要なのは大気中に出てこないこと、またどこかからじわじわと出てこないこと。これがゼロですということを証明するって結構難しいんです。入れる前と後で変わっていません。なぜなら、こうやって確認しましたというのは、必ずしもいい方法がない。
    それをサンプル的にサンプリングでやっているんですが、スポット的にしかできないので、ぜひ考えてほしいけれども、日本のハイテク技術を使って、そういうことをきちんとやれれば、それが世界でも使える技術になるんじゃないかなと思っているところなんです。
  • 佐藤座長
    ありがとうございました。
    何かございますか。
  • 熊谷委員
    今の飯嶋委員の御意見はごもっともで、そのとおりだと思います。
    私どもいろいろ検討したときに、例えば海底下の帯水層に貯留して、万が一、それが漏れたときに、海底下で水をサンプリングしてCO 2濃度の変化をとらえた場合に、どれくらいの漏洩があったら検知できるかということを非常に大まかに考えたことがありますが、そうすると、かなりの量の漏洩がないと、季節変動とかの不確実性などを考えると検知は難しいという結果となりました。
    今おっしゃったように、そういう中で、例えばトレーサなのか、同位体なのかと、いろんな考えがあるかと思いますが、どうやったら識別できるかというのは、それができれば、とても信頼性醸成に良いことだと思います。
  • 三橋地球環境技術室長
    事務局サイドのイメージで申し上げますと、まずファクトとして、前回、こちらのワーキング・グループじゃない、ワーキング・グループ1のほうで漏洩にかかわる説明が委員からありました。
    出光興産の長谷川委員から、実際にノルウェー沖の海上のプラットフォームの付近で天然ガスが、ガスを取り出す井戸から、途中のセメントのシーリングが十分でなくて、漏れてきて、ボコボコと横から見ていて出てくるのがわかるという規模で出てきた事例が御紹介あって、どのようにわかったのかということから議論がありました。
    飯嶋委員の御指摘もあると思うんですけれども、漏洩ということを一くくりで議論すると、マグニチュードとの差もあるものですから、確率の高いところをしっかり問題がないことを確認する対応の、ある意味、あらゆるところを封じた上で次、まだフロンティアで、未知のところをどうするかというところ、色分けする必要があるのかなという気もします。
    客観的なお話を伺っていますと、私自身の理解は、井戸とか人為的につくったところ、あるいは断層がある境界面のところが、どうしても漏洩のリスクがファクトとして高い。その上で、そこのところをきっちりする対応方法を考えた上で、その次にできることとして開拓しておくべきところというふうに理解したんですけれども、そういう理解でよろしいんでしょうか。
  • 飯嶋委員
    当然のことながら、断層とか人工的な井戸の周りとか、この辺は漏れる可能性が高いから、きちんと境界層でモニタリングする。これは非常に重要だと思います。
    問題がもう一つあるのは、それがどこかということがわからないときに、結構広域なんですね。広域である範囲でもって漏れていないということをきちんと証明する手法というのは、将来的には一つの技術的課題だと思っているので、ぜひ皆さんも考えていただきたいし、私は解決する手段はあるんじゃないかなと思っております。
  • 佐藤座長
    ほかに何かございますか。
  • 當舎委員
    今の室長の御意見はもっともだと思います。
    先週終わったGHGT-9で、35年間のアメリカのEORで、どういう事故例が多いかという発表がありました。我々は期待していったのは、井戸の周りの漏洩が多いと思ったのですけど、実はパイプラインからの漏洩が非常に多く12カ所あったそうです。井戸に関してはブローアウトという、井戸自体から噴き上げるような現象があるということです。
    この検討会でどこまで含めるのがいいのかというのは佐藤先生にお任せしますけれども、例えば土からだけではなくて、地上設備ないしはパイプラインの漏洩というのも考えないといけない項目ではないかというふうに、この前のGHGT-9で感じました。
  • 佐藤座長
    ありがとうございます。
    ほかに何か一般的なことでもございますでしょうか。
    今の御講演の中で、シミュレーションとモニタリングの関係が一つ重要なことであるというのが報告されました。シミュレーションに関しては、占いではないので、何も努力しないで未来のことがわかるというものでは当然なくて、シミュレーションが本当に意味を持つには、そこに入れているデータがしっかりしている必要がある。
    その部分は、このワーキングともう一つの基準をつくっているワーキングでも考えていらっしゃるんだと思うんですけれども、どの程度のデータがそろっていて、それこそ断層がどうなっているんだということがわかっている、わかっていないという議論がそこであるんだと思います。
    石油開発等々でのシミュレーションというのは、どんどんデータが集まってくるし、井戸もどんどん掘りますし、開発当初よりも進むほどシミュレーションをやりやすくなるわけですね、データが集まるので。ところが、CCSの場合は、その後、井戸をたくさん掘るかというと、そうでもないだろうし、データギャザリングという意味では、安全基準を考えるときにドサッと集まって、その後はそれほどでもないんでしょう。一つの候補になるのがモニタリングだと思うんです。
    そういう意味で、こういうところとか、こういう項目をモニタリングすれば、シミュレーションをモディファイしていくのにいいのではないかという御議論が何かございませんでしょうか。
    私、申していますのは、今のお話の中にあったのは、圧入井で坑底圧力とか坑底温度を測定します。もちろんそうなんですけれども、それがわかったとしても、シミュレーションのモディファイに余り使えないですよね。一つのポイントで圧力がどう変わったとしても、シミュレーションの予測とちょっと違ったとしても、それをあわせるのは、例えばコンプレッシビリティでちょっと動かせば、それに合うということはあり得るわけです。
    空間的な何かがあるべきだとかいうところでの御議論があればいいかと思うんです。ということであれば、モニタリングはこういうものが望ましいということに発展していくのかなというふうに思います。
    堀江さん、石油関係のシミュレーションとかでヒストリーマッチをしているときに、多分あわせにくいところとかですよね、そういうのが一番肝な項目だと思うんですけれども。
  • 島本委員代理(堀江)
    エコノミックスを考えなければ、ボーリングで井戸を掘るとか、ちゃんと確認できるものを設置するのがいいんでしょうけども、エコノミックスを考えれば難しいので、先ほどインサラーでは層厚が20mと薄くて、震探では解像度等が足りないという説明がありましたが、震探が厳しいとなると、それ以外で効率的な方法は難しいですね。例えば海上で層が厚いというところであれば、3Dは確かに有効ですが、サイトにかなり特徴的なものになると思います。
  • 佐藤座長
    厚ければ震探の意味が出てくる。スライプナーとかは震探で見えていてというようなことですからね。
  • 島本委員代理(堀江)
    陸上だと震探は別の制約が出ますが、インサラーのような砂漠ですとかオフショアで制約が少なく、かつ、それなりの層厚があれば、震探はコストパフォーマンスの高い手法であろうという感じはします。
  • 佐藤座長
    先ほど震探をやる時期が終わった後というのは、御提案だったか何かありましたけれども、私なんかは終わった後、やったってしょうがないと思うので、そういう意味では、どこか中間でやるべきなんだろうなと思って聞いていたんですけども。
  • 熊谷委員
    ご指摘されたのはCDM方法論に書かれていたことだと思いますが、やる前にバックグラウンドを測定して、ある期間たった後に再度やってみてどうかというのが発想です。ある期間をどうとらえるかというときに、これは都合のいい考え方ですけれども、CDMという観点から言うと、なるべくコストをかけたくない、もう一方では、クレジット期間を一つの区切りとして考えれば良いということで、圧入が終わった後にしました。御指摘のように、例えば1年毎が良いのか、2年毎が良いのか、そういう点は入れるシステム、場所、特性とか、それに応じて考える必要があると思います。
  • 佐藤座長
    モニタリングも目的が2つあって、終わった後というのは、リーケージありませんでしたよというのを示すという意味では、そこがよろしいですね。でも、私が今申し上げたのは、シミュレーションのモディファイのためという目的だと、また違う時期だということがあるので、モニタリングの目的も分けて議論しないと難しくなるのかもしれないですね。
    ほかに何かございますか。
  • 三橋地球環境技術室長
    今のモニタリングの計画の密度というか、中身と関連するので、この機会に皆さんのいる前で環境省に伺いたいんですけども、海防法では圧入の許可を5年ごとに更新するようになっているんですが、5年のたびに最低限1回は震探がないと困る、やっていないといけないですという意味ではないと理解してよろしいですよね。いかがですか。
  • 環境省(北本)
    環境省の北本と申します。よろしくお願いします。
    本日、代理で出席させていただいているので、この場では答えにくいので、持ち帰って検討させていただきたいと思います。済みませんが、それでよろしくお願いいたします。
  • 佐藤座長
    海防法のあれは、震探をそこで義務化ということはしてなかったと思いましたけどもね、議論している中では。
    シミュレーションとモニタリングという関係で御議論いただければと思います。
  • 當舎委員
    これもGHGT-9で発表された我が国の技術なんですけれども、In Salah(インサラ)にて衛星を使って広域的な起伏の変動を計測するという発表がなされました。そういうものは、地震探査に続く、より広域的な変動が押さえられるのかなと思います。
    ただ、問題は、植物分布の問題だとか、衛星のバンドの問題だとか、どこでも使えるわけではないし、かつ海底になると難しいと思うので、かなり貯留サイトに依存したもので、この貯留場所であればどうかという話に、どうしてもならざるを得ないのかなという印象を持っています。
    もう一つは、それに似たような傾斜計の利用というのが、佐藤先生は御存じだと思いますけれども、今オイルフィールドではかなりコモンになってきたと聞いています。今回のGHGT-9では、そういう発表がなかったのですけれども、CO 2のインジェクションないしはEORに関して、広域的な地面の変動みたいのを押さえるというのは一つのテクノロジーかなと感じました。
    ただ、実際的には、最初に言いましたように、かなりサイトに依存した条件を考慮しないと、どれでも、これでも使えるというわけではないのかなという気がしました。
  • 佐藤座長
    今のお話のやつも空間的に把握をというものの一つとして、震探以外にもそういうのもあります。でも、どちらかというと、リーケージをディテクトに使うというのでなくて、シミュレーションのあれですね。
  • 當舎委員
    全体がどうなって、それをもとにして、シミュレーションの適合性を高めるというか、より確かなものにしていく。その中でリーケージがあるとすれば、どこかということですから、そういう意味では、リーケージを特に押さえるという方法ではない。どうしてもシミュレーションとのマッチングになると思います。
  • 佐藤座長
    安全基準のほうでいろいろデータを集められてつくったモデルで最初、シミュレーションをやるわけですので、リーケージを起こすはずがないんですね。0%でしたね、シミュレーションを何年流しても。シミュレーションでリーケージを予測するということはあり得ない。
    ですから、今の御議論の中は、そのシミュレーションで、こっちのほうに行くと思っていたけど、こっちが盛り上がったからこっちに行っているので、こっちの浸透率上げようかとか、そういうことですよね。それには使えるという。
  • 當舎委員
    その先に断層があった場合に、その断層の何らかを考慮しないといけないだろうということにはなってくるので、モデルをアップデートしていくのに使える。
    ですから、熊谷委員の御指摘のように、我々モニタリングをやる人間としては、モニタリングだけでゼロをディテクトするというのはほとんど難しいと思うので、そうなると、モニタリングをやった結果、シミュレーションないしはモデルがこれだけよくなって、だから、こうですということにならざるを得ない。
    その一つの方法として、モニタリングの方法からもいろいろ考えられるところがあるかなと思います。
  • 薛委員
    私はIEA-GHGのモニタリングのワークショップに長くかかわっていて、実際のIEA-GHGがモニタリングツールに関して一つの基準というか、参考の例をつくったんです。その中で多く議論されたのは、どの手法が一番効果的かという話なんです。
    今まで紹介された技術の中で、地震波探査にまさるものはないというのが一般的です。既に石油とか天然ガスの業界で長く使われて、技術がある程度完成されている。それから、空間的、時間的にそれを追いかけていく中で、シミュレーションのほうにヒストリーマッチングをしやすいというのがあります。
    その話の中で断層の漏洩の話もあったんですけれども、多くの委員の意見としては、断層というのは、サイト選定の段階である程度、その場所は特定できているんです。だから、そういう場所がある程度わかっていれば、それは別の考えで、重点的にそこをモニタリングすればいいんです。すべての漏洩に関する話を3Dあるいは4Dのサイズミックに全部賄えというと困難です。それが一つ。
    もう一つは、今回のGHGT9で私が感じたのは、断層の話以外に、キャップロックを通ってしまうという話もあるんです。それはキャップロックのシール性の評価なんですが、今まではその辺の話は余りなくて、今回はドイツのアーヘン大学の研究発表があって、CO 2がもし泥岩層に入ったときに、果たして、我々地震波探査のほうでとらえる情報はないのかというのがあるんです。
    実際、RITEのほうでは同じような実験をやってました。例えば超臨界のCO 2を地下と同じ条件で泥岩層に圧入したら、地震波の速度あるいは地震波の振幅はどうレスポンスするかというのをやっています。私も実験を手伝っていましたけれども、波が遅くなる、振幅が変わってくるというのは確実に私のデータとアーヘン大学のデータと同じように出ています。
    ですから、会場の議論としては、こういう情報があるなら、我々は地震波探査の結果からもっと早く、早期にCO 2漏洩を検知することも考えられるんじゃないかと私は思いました。
  • 佐藤座長
    解像度の議論とかあったんですか。
  • 薛委員
    解像度の議論は、当時の委員の中で、地層が厚ければいいんですけれども、現在はいろんな手法で考えるようになってきていますので、あるいは、解像度の話とか、どれぐらいのCO 2を入れれば本当に、検出限界ということに関しては、コマーシャルのサイトよりも研究ベースで行われた幾つかのサイトの結果をきちんと吟味して、そこから得るものはないかというのが今後、研究ベースのサイトからの情報をみんなが期待しているんです。
  • 佐藤座長
    ありがとうございました。
    ほかにはよろしいでしょうか。
    また何かございましたら、後で伺いたいと思います。

三菱重工の排ガスからのCO2回収技術

  • 佐藤座長
    次の御講演を「三菱重工の排ガスからのCO 2回収技術」ということで、飯嶋委員からよろしくお願いいたします。30分間の御発表ということで、35分をめどにお願いいたします。
  • 飯嶋委員
    三菱重工の飯嶋です。
    排ガスからのCO 2回収について御説明したいと思います。特に弊社と関西電力と共同で開発しました技術を中心にお話ししたいと思います。最後のところで、きょうは特に安全性評価の中で一つポイントになります回収CO 2中の不純物についても触れてみたいと思っております。
    温暖化対策として我々、回収・処分(CCS)に取り組んでおるわけです。御存じのように、化石燃料を使う限り、回収・貯留を行わないと温暖化対策にはならないということは皆さん、よくおわかりのことだと思います。そういう意味で、特に我々、排ガスからの回収を中心に行っております。
    なぜ排ガスからかといいますと、世の中の大気に放出されているCO 2の90数パーセント、細かい数値は記憶しておりませんけれども、これが燃やされて出ている。ですから、先ほど熊谷委員からお話しがありましたように、天然ガスからのCO 2回収は非常に重要ですけれども、温暖化対策を取り組む以上、燃やされて出てくるCO 2、または燃やす前からのCO 2回収が非常に重要であります。この中で、我々は特に燃やした後のポストコンバッションについて対象としております。
    これ以外に、当然のことながら、天然ガスとか石炭の部分酸化法または改質法によりまして、燃焼前回収という方法もございますし、最近では酸素燃焼という方法も研究されているという状況でございます。この中で、きょうの話は、燃焼後の回収、特に化学吸収法に焦点を当てて御説明したいと思います。
    この回収方法の中で、特にポストコンバッション、燃焼法の回収の場合、発電所等の大量の固定排出源ということになりますけれども、排ガス、回収する対象は明らかになっております。煙突から出るということで、圧力は大気圧しかございません。CO 2濃度はガスタービンで3%、石炭だきボイラーで最大15%ということで、この範囲にある。それ以外の排ガス中の不純物としまして、ここにありますように、酸素、SOx、NOx、バイジン等々を含むということで、ガスだきの場合にはこういう不純物は少ないんですけれども、石炭の場合にはこういう不純物を多く含むということがポイントでございます。
    回収方法はいろいろ検討されていますけれども、現在実用化されているのは、化学吸収法でございます。これは圧力がほとんどない、CO 2濃度も低いということで、我々はCO 2分圧という言葉で呼んでいますけれども、CO 2分圧の低い状態では化学吸収法が一番いいと言われておりまして、これを対象に御説明したいと思います。我々、KM-CDRプロセスという名前をつけておりまして、関西と三菱の略でございます。
    排ガスからの回収方法は、古くはモノエタノールアミンという最も基礎的なエタノールアミンを用いて、1つは天然ガスや合成ガスの分野で80年ぐらい前から使われておりましたし、また排ガスからの分野においても小規模に食品等の分野において数十年ぐらい前から使われてきておりました。
    我々、開発する前は、モノエタノールアミンしか使われていなかったのは用途がなかった。CO 2のないところで食品用にCO 2を供給しなければいけないというような、しかも非常に規模の小さいベースでのニーズしかなかったので、モノエタノールアミンが使われてきたんです。
    モノエタノールアミンが長く使われてきましたけれども、80年代の初めに、ダウケミカル社がモノエタノールアミンの欠点である腐食性を抑制した防食剤を開発しまして、モノエタノールアミンの高濃度化したプロセスを開発した。これを90年の頭に現在のフロアー社が買い取って、使用権を有しているというのが現状でございます。薄い濃度では、いろいろなところで若干小規模ではやられているのが現状でございます。
    これに対して、吸収液としてはKS-1という吸収液を関西電力とともに90年代の前半に開発しまして、1999年から商用化している状況でございます。現在、商業機としては、アミンとしてはこの2つが商用化して使われている状況でございます。
    回収のプロセスを御紹介しますと、燃焼の排ガスですから、煙突から出ていく排ガスからCO 2を回収するんですけれども、まずは排ガスをできるだけ冷やしましょうということで、水を回しながら排ガスを常温の近くまで冷やします。具体的には30℃から45℃ぐらい。
    その上で、吸収塔でアミンと吸収させる。CO 2を吸収した吸収液は再生塔に送ります。再生塔のボトムを低圧の蒸気で加熱しながら得る蒸気でストリッピングをかけてCO 2を回収する。吸収液から解き放つわけです。
    純度としては、ドライベースで99.9以上という純度のCO 2が回収されます。後で出てきますけれども、不純物としては、どうしても排ガス中にN2、O 2を含んでいるので、物理吸収的に若干のN2、O 2が入ってくる。これ以外にわずかながら、それ以外の不純物が微量に入ってくるという状況でございます。
    基本的には、こういうプロセスで、これがモノエタノールアミンであろうが、我々のであろうが、基本的なプロセスは変わりません。すなわち、吸収塔と再生塔を有していて、排ガスを冷やす。ただし、弊社の場合も、プロセス自体にも改良を加えまして、省エネのプロセスをつくり上げているというわけでございます。
    特徴としましては、先ほどのモノエタノールアミンとの比較において、この特徴を書いておりますけれども、エネルギー消費を少なくするということを一番のポイントにして開発してきています。
    あと、排ガス中にSOxが含む場合、脱硫しなければいけないんですけれども、排煙脱硫装置が広く同じような排ガスで使われていまして、これらの実績をベースに大容量化ができるようになってきております。
    吸収液としては、ここに書いてございますように、吸収液としての吸収性能が高い、腐食性が低い、劣化性が低い。あと、この性能に伴いまして、ユーティリティ消費が少ない。さらに、プロセスとしての省エネプロセスもでき上がっている。運転が容易であって、経済性として、特に運転コストが少ないとか、スケールメリットが大きいという特徴を有しております。
    大きな特徴を化学式で書きますと、モノエタノールアミンは2モル1モルの反応がベースになっています。しかも、R-NH、これがカーバメイトでございまして、CO 2と強い結びつきのものでございまして、再生にエネルギーが有する。これに対して、我々の主反応が1モル1モルの反応で、カーバメイトができにくい。この辺が一番の基本的な特徴でございまして、それから省エネ化を達成しているというわけでございます。
    今の反応をベースにしまして、特に吸収能が高い、モノエタノールアミンをたくさん吸収できる。1モル1モルだと、1.0までいきますけれども、大気圧下ではなかなかそこまでいきませんで、モノエタノールアミンよりもはるかに吸収能が高い。再生もはるかにしやすいということで、広いレンジでの吸収、再生が使える。これがポイントになってきております。
    もう一つ、カーバメイトの生成がしにくいということから、モノエタノールアミンに比べまして反応熱、すなわち解離熱ですね、CO 2とアミンが反応するときに発生する熱、逆に再生するときにはそれを解き放つ熱、これが少ないというのがポイントで、これはカーバメイトの生成が少ないというところからきております。
    もう一つは、特に排ガスの場合、酸素を含んだ排ガスからの回収ということで、酸素存在下ではモノエタノールアミン(MEA)が酸化分解を起こしやすく、いわゆる酸性物質をつくるということで腐食しやすいんです。高濃度の場合、インヒビターでもって腐食性を抑えておりますけれども、酸化分解が少ないということから、この腐食が非常に少ないという結果になっております。
    もう一つ大きなポイントは、酸素を含む排ガス中下ですと、モノエタノールアミンは非常に速いスピードで劣化する。これに伴って熱安定性塩という劣化生成物ができます。このために、頻繁に吸収液の熱安定性塩の除去を行わなければいけない。と同時に、アミンの損失が大きいということになります。この点、我々の吸収液自体は劣化が少ないということから、熱安定性塩の生成が非常に少ないし、これに伴うアミンの消費量も非常に少なく抑えられてきております。
    もう一つ、吸収液だけでなくて、省エネのプロセスとして開発しております。我々の吸収液は再生しやすいという特徴から、この再生塔において上部と下部の温度差がつけられる。これを利用しまして、ボトムが一番温度が高いものですから、ボトムの吸収液の熱を利用して再度、一部再生をかけるということによって、15%の省エネがさらに達成できているという特徴も持ってきております。
    これらを整理しますと、今までモノエタノールアミンで商用化されているものに比べまして、ここにありますように、循環量とか省エネ、劣化の面で非常に大きなメリットを有してきております。
    こういう技術をベースに我々、商機をおさめていますけれども、温暖化対策ということになりますと、発電所規模の大規模のCO 2回収が必須になります。石炭だけで100万キロワットですと、CO 2回収量で1万7000~8000トンという大量になります。現在では3000トン/Dベースのガスだきベースの基本設計ができ上がって、いつでも供給できるようになっております。これについては、海外では、ガスタービンベースですけれども、この3000トン/Dでの商談が進んでおります。
    ポイントは、石炭が特にCO 2排出量で多いし、今後も石炭火力が中心になるだろうということで、石炭だきの場合には不純物を非常に含むこともありまして、実証試験をやっております。
    この写真は電発の松島火力におきまして、石炭火力からのCO 2回収、特に不純物に対する影響をきちんとクリアにしようということで、2年ぐらい前から試験をしておりまして、既に6000時間以上の運転が終了しています。ほぼ目的を達成したので、この試験はほぼ終了している状況でございます。キャパはまだ小さいので、次のステップは数百トン規模の中規模の実証を経て、石炭の場合、コマーシャルに持っていこうという計画でございます。
    石炭火力からのCO 2回収の場合は、御存じのように、石炭火力の場合、不純物が含まれています。通常は脱硝、あとEPですね、すなわちダスト除去ですね。FGD、排ダスト、大気から比較的クリーンな排ガスを大気に出しています。日本の場合、全部ついていますけれども、アメリカとか豪州はまだ完全についていない状況で、特に脱硫は全部ついてほしい、脱硫、脱硝も早くつけてほしいなと思っています。
    この上でCO 2回収しますけれども、FGD、脱硫の後から排ガスを引いてきてCO 2回収を行いますけれども、若干Sが残っています。我々、ほぼ完全に近い、完全までいきませんけれども、S分をさらに取りまして、排ガスを冷やす。そして、CO 2を回収し、回収したCO 2は圧縮してDehydration、脱水して、プロダクトCO 2として、または貯留用としてパイプラインで供給するというのが石炭火力の一般的なパターンになります。
    最後に回収中の不純物を整理しております。モノエタノールアミンも、我々もそれほど大きくは違いません。すなわち排ガスからCO 2を回収した場合、いずれも純度が非常に高い。モノエタノールアミンも含めて、99.9%以上、ドライベースの純度でございます。実際は99.95から99.97ぐらいの純度になります。
    不純物は排ガス中にどうしてもN2、O 2を含むということで、これが物理的に吸収されて出てくる。または、わずかな気泡の形で入ってくるということから、N2が200から400、O 2が50から150というふうに入っています。これ以外に、微量にNOxとかアミンの分解生成物とも1ppmレベルまたはこれ以下で入ってくるということでございます。
    モノエタノールアミンの場合は、先ほどプロセスで御紹介しましたように、我々の吸収液の循環量が多いということで、たくさん液を回すというところもあり、N2、O 2が若干多くなる。及び、アミン自体が劣化分解しやすいということで、10ppmぐらいまでの量での微量成分が入ってくるということでございます。
    これは一般的な値でございまして、運転条件によって大分変化しますし、これらの値、一番難しいのは、サンプリングによって大分ばらつきがあるので、どうしてもバシッと幾ら以下に必ず入るというものではございません。大体この辺の範囲に入ってくるということで、総じて、我々としてはこのくらいの濃度でいけると。ただ、この中で必ず常にこの値以下にしてくれというのはサンプリング、実際の計測上はなかなか難しいということで、ばらつきがあるということを御承知いただければと思います。
    我々は商用機を幾つか納めていますので、簡単に御紹介したいと思います。
    この写真は1999年にマレーシアに納めた尿素用でございます。キャパは公称で160トン、最大200トンぐらい出ています。ここがガスだきのスチームリフォーマーの煙突であります。ここから排ガスを引いてきて、CO 2を回収しています。尿素生産用に使われております。
    これは国内にございまして、一般用途でございます。ここに赤と白の煙突が200mの高層煙突でございます。ここから部分的に排ガスを引いてきまして、回収キャパで定格で283トン、最大330トンということで、液化されて、ドライアイス等々、液化炭酸として出荷されております。
    これはインドに納めたプラントでございます。2カ所、別々の場所で450トンでございまして、世界で動いている中でワントレンでは一番大きいかなと思っております。これもガスだきの排ガス、部分的にナフサを燃やしていることもありますけれども、CO 2を回収されて、回収されたCO 2を圧縮されて尿素に使われております。若干Sが入ってくる可能性があるので、SOx除去も行われています。
    これ以外にも建設中が幾つかございます。これはUAE、アブダビ用ですね、400トン。これは来年ぐらいから稼働すると思います。インド向け、450トン。これも建設にかかっておるところでございます。バーレーン向け、450トン、これも建設中です。
    ここに書いてないけど、パキスタン向けも一つ建設中でございまして、現在、我々の技術によりまして、4件のプラントが稼働中で、4件が建設中という状況です。いずれも、現在、CCS用途としては商用機ございませんので、化学用途及び一般用途という形で使われております。今後、CCSのデモプロジェクトとか、EOR用に大型化プラントの商談が海外もございますので、使われていくのではないかと期待しております。
    以上でございます。
  • 佐藤座長
    ありがとうございました。
    化学吸収法に関する御説明でした。

CO2回収技術とCO2濃度及び回収の事例について

  • 佐藤座長
    全般的な分離回収技術に関しまして、事務局で御用意いただいた資料がございますので、その御説明をお願いします。
  • 三橋地球環境技術室長
    ただいま飯嶋委員から化学吸収法の御説明がありましたので、それを少し補足するような形で材料を用意してございますので、資料3、4、そして5と順番に、簡単に御説明をしたいと思います。
    まず資料3でございます。ただいま説明のありました化学吸収法を含めて、それ以外に一般的に有名な吸収法を全部あわせまして5種類、書いてございます。その概要と、CO 2を吸収あるいは回収する基本的な原理、そして、CCSではとかく分離と回収にコストがかかるという問題もございますので、安全や環境配慮という意味で代替性があるかということとは重要な議論があるんですけれども、経済性というところについて備考を設けてございます。順番に簡単に御説明いたします。
    まず化学吸収法。ただいま御説明ありましたけれども、アミン溶液あるいは炭酸カリの水溶液を用いて吸収をさせるということでございます。その吸収液を事後に加熱することによって、二酸化炭素を手放してもらうという形でございます。特徴の一つは、温めてCO 2を解放するということと、SOxが吸収液と結合をつくるということで十分な脱硫が求められるというところが大きな特徴であるということでございます。
    既に飯嶋委員からの御説明がありましたように、今後のCCSの中で大規模に実施するものを考えますと、この化学吸収法は最も有力な技術的オプションであるとともに、CO 2の分離回収の比率といいますか、体積比率も他の技術と比較して高いものがあるという点、後ほど資料で御説明をしたいと思います。
    2つ目が物理吸収法でございます。これはメタノール、ポリエチレングリコールなどを用いるという手法です。高圧低温下で吸収させて、その逆、つまり減圧加熱することによって、二酸化炭素を放散させるということでございます。当然のことながら、もともと圧力が高い状態になっているガスに向いているということであります。一方としての特徴は、先ほどの化学吸収法に比べますと、熱を用いて解放するということではないので、エネルギー面でのコストの削減に少し役立つということであります。
    こういった圧力の高いガスという意味では、IGCCへの活用というのが視野に入ってくるんですけれども、実際にはIGCC全体で見ますと、施設、設備費用は、当然のことながら、上がるというところも経済性として付記してございます。
    3つ目に膜の分離法というものを書いております。RITEのほうで研究を進めているものでもあるのですが、一般的に通常の気体を透過速度の違いを活用して化学的につくった膜、つまり高分子あるいはセラミックなどの膜を透過させるというものでございます。特にCO 2と比較して分子サイズが非常に小さいH2をいかに分けることができるかといったところが現在の技術開発の課題となりますけれども、将来的な価格の低減といいますか、分離回収のコストを下げる一つの有力な技術と政府としては見ております。特に分離回収技術の将来の削減のための一つのかぎとなる技術と考えております。
    4つ目でございますが、酸素燃焼+深冷分離でございます。もともと燃焼に酸素を用いて、出てくるガスのCO 2の濃度を高くするということでございます。それを冷却する際の凝縮温度がガスによって違うことを利用してCO 2を分離するという手法でございます。
    最後に、PSAということで吸着剤。これは活性炭その他多孔質の吸着剤にCO 2を、圧力をかけてくっつけるということであります。論理的にあり得るということで、実際にも実用されているケースがありますけれども、吸着塔自身のキャパの問題がありますので、大量に分離回収しようとしますと、この吸着塔をどんどんたくさん建てていかないといけないといった問題があります。大規模なプラントに必ずしも向かないというところはありますけれども、一つの技術として確立しているものでありますので、ここで御紹介したいと思います。
    ここに書き並べましたものは、基本的にIPCCのレポートとRITEでこれまで行ってきた研究その他、収集してきた情報をベースに作成させていただいております。
    ページをめくっていただきますと、今の吸収法を用いた場合のCO 2の濃度、これは体積濃度で記述しております。これも同じようにIPCCのレポート、特別報告書の記載を引用して主に記述しております。その他、若干文献等も引用しておりますが、原則はIPCCのレポートというふうにごらんいただきます。
    化学吸収法については、先ほど飯嶋委員から99.97といった実測値の報告ございましたが、非常に高いCO 2の切れといいますか、分離比率を出しております。一方で、物理的吸収法になりますと、その数字より若干下がるというのがごらんいただけます。特に吸着剤は、先ほどたくさん塔を建てなければいけないと申し上げましたけれども、出てくる数値としては、化学吸収法に次いで高い比率を得ることができるということになります。
    基本的に、CO 2の濃度というところに着目しています背景は、ロンドン条約に書かれています二酸化炭素が大部分を占めるガスであるということでございますので、定量的基準がどうかということももちろんありますけれども、例えばN2など不活性なガスが量として一定程度あるというところについては、ものによっては考えることがあるのかなという視点で、資料5をもう一点、用意してございますので、こちらを説明したいと思います。
    こちらは国内のアンモニア製造プラントの企業の御協力を得て作成した資料でございます。すなわち、天然ガスから出てきます一部の成分のメタンを活用して、それから空気中の窒素、N2を活用して、この両者を利用する形でアンモニアを製造するというプロセスを行っている事業のモデルの図でございます。大雑把に御説明させていただきます。
    1つ目の改質工程というところで、天然ガスから分解させて水素を取り出すという作業を行っています。これはメタンに水を反応させて一酸化炭素と水素を取り出すということであります。この一酸化炭素をさらにシフト工程という第2段の工程でCOとH2Oを反応させて、二酸化炭素と水素にする。この2段階で水素を取り出すということになります。
    最終的に、ここまで出てきていますCO 2を回収するということで、これは大気に放散させているわけですけれども、出てきたH2と大気中のN2を1対3の比率で合成してアンモニアを取り出しているという全体の工程でございます。
    ページをめくっていただきますと、その中でも特にCO 2を回収する部分というところを少し詳し目に書いております。若干圧力高目、2から4MPaでの操作によって、CO 2を炭酸カリウム水溶液に溶かしている。こういう手法によってCO 2を吸収しているということでございます。したがって、技術的には化学的吸収法の一つの種類であるというふうに言えます。
    これによってCO 2を取り出すと、再生塔で再度温めてCO 2を取り出すという、先ほど飯嶋委員から説明がありましたような化学的方法によってCO 2を取り出すということが、アンモニア製造工程のプロセスで実質的に行われているということでございます。
    これはCO 2を回収という言い方をしておりますけれども、実際にはアンモニアを製造するプロセスでCO 2が出てきているというふうにもとらえるのが自然といえば自然なんですけれども、この結果として、どういう体積濃度のガスが出てきているかというのを最後のページに触れてございます。
    ごらんいただきますと、先ほどの化学的吸収法で御説明がありました、あるいはIPCCの報告にあった99.9、99.99あるいは99.97といった数字には達しておりません。ただし、出てきているガスの濃度をごらんいただきますと、二酸化炭素が97%で、その他、最も量的に多いものでも水素で1.8%と、窒素と合わせるとほぼ99.7%に達する数字になっていて、二酸化炭素が大部分を占めるというところにきているのではないかということもごらんいただけるということで、例えば実証事業の一つのスコープにこういった既存の実質的な回収が行われているような施設の活用というのも視野に入れていくということで、このCO 2の濃度というのは、もちろん現行の海防法とその政令を守ることは当然でございますが、こういった既存のプラントも現実にあるということをあわせて御紹介して、事務局の説明とさせていただきます。
    以上です。
  • 佐藤座長
    どうもありがとうございました。
    この件は、先日のもう一個のワーキングで何かあったんでしょうか、濃度に関する議論は。
  • 三橋地球環境技術室長
    前回は地質構造の議論でございましたので、二酸化炭素の濃度の議論はワーキング・グループ1ではございません。
  • 佐藤座長
    ただいまの飯嶋委員と事務局からの御説明に関しまして、何か御意見、コメント等ございましたら、御質問等ございましたらお願いいたします。
  • 當舎委員
    2つ教えていただきたいんです。
    事務局の用意された資料3の中にコストが4200円/トンと書いてあります。先ほど飯嶋委員からの御説明ですと、スケールメリットが大きいので、スケールが大きくなるに従って安くなるというふうな理解だと思いますが、この4200円/トンというのは、スケールとしてどのくらいのところから出されたんでしょうか。
  • 三橋地球環境技術室長
    ロードマップを策定したプロセスですけれども、おわかりになりますか。
  • 村井委員
    100万トン。
  • 當舎委員
    2つ目の質問で、overwhelminglyというのがロンドン条約の原文ですけれども、海洋汚染防止法では99%ないしは、石油の工程は98%。ただし、新しい技術が出てきた場合には、また見直すということが言われていると思います。
    今回、お示しになった最後のプロセス、数字をどう読むかというのは必要ですけれども、海洋汚染防止法と協議できるような素材になっているのでしょうか。
  • 三橋地球環境技術室長
    これ自身は、私どもとしては材料の提起というレベルでありますけれども、既に現行の法規がありますので、それは現在では守らなければいけないという前提に立った上で、現実にガスとしてこういう形で実質的な回収ができているものを、技術的にどう評価するかということの議論があって、その上で道が開けるものか、そうでないかという制度のつくり方の議論の段階があるのかなと思っておりますので、なかなか軽率な発言はできないんですけれども、前回、合同のワーキング・グループを開催しましたときにも、学術的な研究のレベルということで、炭素固定の実例ということであれば、二酸化炭素に若干N2を加えることによって圧入性が上がるということもありましたので、最も重要なことは、もともとのロンドン条約の規定をきっちり、趣旨をきっちり国内で実施するという観点で、どういったことができるかというのをきっちり国内制度につくるということなんであろうかなと思います。
  • 佐藤座長
    よろしいですか。
  • 當舎委員
    わかりました。
  • 佐藤座長
    ほかに何か御質問等ございませんでしょうか。
    この委員会としては、濃度に関してはどういうあれですかね。どういうところを議論すべきという趣旨だったんでしょうか。
  • 三橋地球環境技術室長
    ここのところは既に海防法でかなりしっかりした制度が構築されておりますので、當舎委員からありましたように、新しい技術としてここを追加したほうがよいとか、新規の技術で実用化が目の前であるとか、そういったものがあれば、ここでの専門家の議論の結果として、一つ取りまとめに入れて、今後の制度の手当てへの出発点に少しでも役立つようにするとか、あるいは現在の制度について、始まったばかりですけれども、新しい問題が発見されているとかいうようなことを含めて、技術的な視点から幅広く意見がいただければなと思います。
  • 佐藤座長
    海防法のときもあれでしたね。環境省も、CO 2を入れるというのは、地下に圧入するということなわけだから、妨げるような方向でそれをつくるのではないというような認識はお持ちだったと記憶しています。99というのも、吸収法を限定していることで、それ以外のものに関してはその後云々ということでしたから、私たちとしてはあれでしょうかね。
    例えば99より低いものを入れて、地下に何か危険性があるかというのもないんでしょうし、何かを溶かし出すということが、こういう物質だとありますねとか、有害な物質をかなり多く入れてしまうと、漏洩のときに云々がありますねということはもちろん常識的な範囲外のところでの危険性というのはあるんでしょうけども、それ以外、例えばN2を分離できないことが悪いというようなことは、エコノミックス的にCO 2の貯留量が下がってしまうというのはもちろんあるんでしょうけれども、それ以外に何かございますでしょうか、懸念材料として。
  • 飯嶋委員
    資料4で見ていただけると、1つは、化学吸収法99.99になっていますから、99.9%以上か何かにもう一度見直しておいていただきたい。IPCCの特別報告書をもう一度確認してほしい。99.9だと思うんです。
    議論のところは、私の個人的意見は、CO 2の純度がポイントではなくて、不純物はどういうものが入っていて、それで危険性があるかないか、まずこれだと思います。資料4で見ていきますと、物理吸収法でIGCCとかいうので硫化水素が入っている。漏れた場合にどうか。これが一つ議論だと思うんですね。
    先ほどアメリカの例でパイプラインとか井戸のブローアウトとかいう議論がありました。硫化水素の場合には毒ガスなので、これが漏れたときに、それを直接吸うと死に至るという問題がありまして、そういう面で考えてほしいし、アメリカの通常の天然ガスのパイプラインですと、硫化水素20ppm以下とかいう規定があるので、この辺をベースに一つ考えていただいたらどうかなと。
    2つ目に、これを見ていきますと、COもある意味では毒性があるので、COについても考えてほしい。
    あと、SOxですね。0.5だとちょっと多いので、これもどうするか。
    そういう意味で、CO 2以外の不純物で毒性のあるものについては、どういう規定を設けるべきかという面でもう一度、ぜひ議論をしていただきたい。
    これとは別に、この表には書いていないんですけれども、我々、海外のプロジェクトで議論していますと、何があるかといいますと、逆にパイプラインスペックがあるものだから、O 2は例えば10ppm以下とか、水分は幾ら以下とかいう規定がありまして、逆に言えば、10以下にするとO 2を取り除かなければいかんというので、本当にその必要があるのかないのか。
    これは単にパイプラインスペック、一般的スペックがそうなっているので、それにしてくださいという余り意味のない議論があるんですけれども、そういう面で含めて、何かそういう規定が必要なのかどうか。O 2が入っていると、しかも水があると、水があるところだと、酸素による腐食という議論から来ているんですけれども、そういう面で2つのポイントですね。
    1つは、もう一度言いますと、不純物が入っているガスの毒性のあるガスについては、幾ら以下だと万が一漏れても、それを人が吸っても大丈夫かという議論ですね。もう一つは、一般にパイプラインのスペックがある中で、規定があるけど、本当にその規定が必要なのか。特にO 2などですね。あと水分規定もえらい低い規定を設けられて、コストがアップするよという議論がありまして、50ppm以下とかいう議論があるんですけれども、本当にそれが必要かどうかですね。
    そういう2つの面でこの委員会で議論をしていただきたい。私はCO 2の純度自体が大きな問題ではない、むしろ不純物がポイントではないかなと思っております。
  • 佐藤座長
    ありがとうございます。
    コストから考えたときに、CO 2の純度に戻っちゃうんですけれども、99というのを達成するためのコストってございますね。それを例えば95に下げると、これぐらいコストが云々というような議論はいかがでしょうか。
  • 飯嶋委員
    化学吸収法の場合には下げてもコストは変わらない。ただ、薄めるだけ。ただ、ここでありますように、物理吸収法とか酸素燃焼法で純度を上げようとすると、コストがかかる。例えば酸素燃焼法と物理吸収法が液化してイナート分をパージするとか、そういうことをしないと純度を上げるのは難しいという問題があります。
    だから、その辺も踏まえて考えていただければいいかなと思います。
  • 佐藤座長
    ありがとうございます。
    ということで大分整理されてきたと思います。CO 2濃度に関しては、コスト面等々で、そこまで気にすることはなくて、むしろそれ以外のもので何が入っていていいかどうか。このワーキングで最終的には何パーセントというのを出すというのは無理と思っていますが、そういう理解でよろしいですか。考え方をまとめるぐらいでよろしいんでしょうか。
  • 三橋地球環境技術室長
    定量的な議論をしないというと、全体に雰囲気のテンションが下がるので、精力的に皆さんがこうであるべきだという提言にたどりつくようであれば入れたいと思います。それは議論の内容次第で決めていきたいと思います。
  • 佐藤座長
    そうですか、わかりました。
    いかがでしょうか。そういうことを踏まえまして、RITEさんで今までやってきた基礎的な研究の中で、こんなものを溶かして上に持ってくるかもしれませんよねというような研究もされたりしていましたよね。外注でしたっけ。
  • 薛委員
    帯水層の圧力と温度条件で、岩石を粉にして超臨界のCO 2まで実験をしました。日本国内の石だけじゃなくて、アメリカからもらったサンプルも実験しましたけれども、飲み水に影響を与えるほどのものは検出されないのが結果でした。
  • 佐藤座長
    そういう基礎的な部分での研究ですけれども、とりあえず、そういうことは出ているということですので、そういうことも踏まえると、1つは先ほどありました毒性ですね。漏洩があって、それが人体に影響するようなものを大量にまぜるということは、かなりまずいことであるというのは一つの考え方だと思います。
    それに関しての数値等々というのはどうでしょうか。環境省の海防法のときにそういう議論あったと思いましたけど、わからないですか。
  • 三橋地球環境技術室長
    飲み水への影響とかという意味では、一番参考になると思っていますのは、アメリカの地下水、UICプログラムの今度のClass VIの記述というふうに思っています。これ自身がもともと飲み水への影響を目的として規定しているからでありますが、その中での二酸化炭素の濃度あるいは記述については、二酸化炭素の体積濃度についての数字の比率は入っていません。
    一方で、ポジ書きされていますのは、二酸化炭素の回収あるいは輸送、圧入の工程でやむを得ず附随する物質の混入を認めるという書き方で、ポジティブに混入を認める旨、書いているというところが特徴です。
    ただ、飯嶋委員御指摘のように、例えば有害物質についてどういうふうにしているかというと、有害物質については別の規制がありまして、その有害物質が入っていてはいけないということで別法を引用しているという記述になっているところが特徴であります。
    最終的には、有害物質については別法にお任せで、それ以外については、まざっても工程上やむを得ないものはオーケーという書き方になっているところが特徴でございます。
  • 佐藤座長
    それは別の機会に御紹介いただけますでしょうか。
  • 三橋地球環境技術室長
    諸外国の法令の具体的な規制の該当箇所は、この後、例えば二酸化炭素の回収と濃度のところのパーツについて最終的な仕上りの文章を議論いただくときに、横に参照していただけるように、特にアメリカとEUが中心になりますが、その規制の該当部分とその対訳を載せた資料をお配りする予定です。
  • 佐藤座長
    ありがとうございます。
    ということでしたら、その折にでも、また議論をしたいと思います。
    何かほかに御意見ございませんでしょうか。
    先ほどのモニタリングの関連でもよろしいんですけども、よろしいでしょうか。
  • 當舎委員
    熊谷委員に聞くのを忘れたのですが、CDMで7年の期間というのは、CCS-CDMとして、そういうふうに決められているんですか。それとも、御社が決められたもので7年というふうに規定されているのですか。
  • 熊谷委員
    CDMの一般的なルールですね。7年をプロジェクト期間として、それを更新していって、最大21年までできますよというのがCDMとしての決まりです。
  • 當舎委員
    海洋汚染防止法ですと、クロージングした後、5年ごとに審査をやってというステップを踏むようになっているのですか、クロージングした後も7年ごとなんですか。
  • 熊谷委員
    CDMという観点からは、クロージングした時点でというか、7年の期間が終わった時点でプロジェクトは終わりです。ただ、CCSをCDMに適用する場合に、それ以上のことがわかったら議論があるかと思いますが、純粋にCDM、普通のCDMですと、削減を行う場合のCDMとしては、7年が終わったら、それで全部終わりです。
  • 當舎委員
    クロージングした後のポストクロージングのモニタリングだとか義務化はされていないという理解でよろしいですか。
  • 熊谷委員
    全然されていません。
  • 三橋地球環境技術室長
    CCSのCDM化について若干補足しますと、7年とかという一つの期間は、それぞれの技術に応じて、その適性に応じてということ。あるいは、このCCSの場合はそうではないと思うんですけれども、例えば約束期間の長さとの関係で設定されるようなケースもあるというのが実態です。
    ただ、CCSの議論、CDM化については、まだ入り口の議論になっていますので、先がどういうふうに取り上げられるかは非常に難しいんですが、特に技術的に、あるいは反対している諸国から、漏洩のリスクは非常に過剰に指摘されている感がありまして、そのため主要なメーンのアイテムとして取り上げられているというふうに言えます。
    漏洩するリスクという意味を単純にCDMの中でだけ議論すると、例えば森林のCDMというのがございまして、これは木を植えるとCO 2を吸収してくれるということになるんですけれども、この木が枯れちゃったり、燃えちゃったりした場合はCO 2が漏洩するケースに当たるんですけれども、その場合はCDMの制度がかなり厳格になっていまして、代替するクレジットを用意して補償するという議論になっていますけれども、CCSの場合はもちろん漏洩のリスクとかということに対する相場としての議論が、そこまでを求めているものでないことは今の段階ではそうなっています。
    ただ、どんどん深追いしていくと、そういう議論に入っていく可能性もあるとは言えないんですけれども、別のそういう事例があるということを簡単に御紹介させていただきます。
  • 佐藤座長
    よろしいでしょうか。
    何かございますか。
  • 中尾地球環境技術室課長補佐
    地球環境技術室の中尾と申します。
    先ほど飯嶋委員から資料4の化学吸収法のCO 2濃度について、もう一回チェックされたほうがいいというお話がありました。
    資料4を見ていただきまして、化学吸収法の石炭火力とLNG(通常)というところがあります。
    手元に資料があるので見てみましたところ、IPCCのCCSの特別報告書の本報告の141ページのテーブル3.4というところに不純物の記載がありまして、そこで不純物合計が0.01%というのがございますので、そこから99.99%を取ってきております。
    NGCCについてはチェックできておりませんので、また調べたいと思います。
  • 佐藤座長
    ありがとうございました。
    何かございますでしょうか。
    よろしいですか。どうもありがとうございました。

その他

  • 佐藤座長
    次回ワーキングの日程等について、事務局より御説明をお願いします。
  • 三橋地球環境技術室長
    最後になりますが、次回のワーキング・グループでございます。
    年末、仕事納めの日になるんですが、日程調整の結果、12月26日の1時から3時、金曜日でございますが、開催したいと思いますので、よろしくお願いします。
    その際は、今回と同じように、ワーキング・グループ2の主要な検討項目について、引き続きプレゼンテーションをいただくような研究会としての事前の情報ストックテーキングということで考えております。
    参考までに申し上げますと、もう一つのワーキング・グループ1のほうは、クリスマスイブの日に開催いたします。12月24日になっております。
    あわせて、委員の皆様には年明け以降についても日程調整させていただいておりまして、こちらのワーキング・グループ、1月30日に予定をしてございます。
    ワーキング・グループそれぞれ相互に委員の方々に出席していただくのは私どもとして歓迎しておりますので、日程、時間がつく範囲でぜひともと思います。
    特に前回、ワーキング・グループ1について、先週開催したんですが、その中でも石油資源開発の佐藤委員から、CO 2貯留の地層上の構造に求めるべきこと、出光興産の長谷川委員から、施設あるいは輸送、そして漏洩のリスクに関連するプレゼンテーションをいただいております。これらはインターネットに資料をアップいたしますが、もしお時間あれば、一回ごらんいただくということが、こちらでの検討にも役に立つかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
  • 佐藤座長
    ありがとうございました。
    きょうモニタリングの話が一つありましたが、このワーキングでは主要な議題の一つだと認識しています。今後、委員のどなたかにモニタリングのこととか話題提供いただくんだと思うんですけれども、きょうの議論を踏まえて、シミュレーションとの絡みでのデータ源としてのモニタリングというとらえ方と、リーケージをディテクトするというのを主要目的とするモニタリングの考え方とか、どのタイミングでそれらを踏まえてやるべきかとか、頻度とか、そういうような具体的な適用を踏まえて次回、議論したいと思いますので、そういう観点でプレゼンテーション等々をお願いできればと思いますので、よろしくお願いいたします。
    何かございますでしょうか。よろしければ、本日のワーキングはこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

以上

 
 
最終更新日:2009年1月22日
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