経済産業省
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二酸化炭素回収・貯留研究会長期的な安全性確保検討ワーキンググループ(第3回)-議事録

日時:平成20年12月26日
場所:経済産業省(別館5階)509共用会議室

議事概要

  • 三橋地球環境技術室長
    まだ北村委員がご到着ではないのですけれども、時間になりましたので、会合を始めたいと思います。よろしくお願いいたします。
    本日は、年末の無理な会合開催にお越しいただきまして、ありがとうございます。それでは早速、座長の先生にマイクをお渡ししたいと思います。
  • 佐藤座長
    本日はお集まりをいただきまして、ありがとうございます。活発なご意見をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
    議題に入ります前に、配布資料の確認を事務局よりお願いいたします。
  • 三橋地球環境技術室長
    それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。
    資料1は、本日、石油資源開発株式会社の藤井常務のほうから、坑井の掘削に関する安全性確保についてのご説明をいただくということで、スライドを資料として準備いただいておりますのを紙で印刷してございます。
    それから資料2は、本日、薛委員のほうから、CO 2のモニタリングの現状と課題というプレゼンテーションを後段にいただくということで、同じように資料を用意してございます。
    最後に資料3ということで、今般12月初めに開催されましたCOPのほうで、CCSのCDM化に関しまして決定のテキストが入っておりますので、この紹介を時間の許す範囲でご紹介をしたいと思います。
    そして2点、資料番号が打たれていないものがございます。一つは、今後のワーキンググループの開催の予定でございます。もう一点は、A4の横を向いた紙がございますので、この場で簡単にご紹介だけさせていただきます。
    経済産業省のほうで、現在、主催しておりますCCS研究会と、その下に2つのワーキンググループを設置しております。現在の検討会と、皆さまが現在ご出席いただいているこの研究会でございます。
    それと経済産業省が産業技術総合研究所のほうに委託事業として、CCSに係る社会システム基盤の形成検討会を委託調査で検討を実施しておりまして、そちらのほうに委員の重複が何名かいらっしゃいますけれども、そちらのほうで本研究会と社会システム基盤検討会の業務上といいますか、タスクのデマケをはっきりさせたほうがいいという議論がございまして、そちらからの要請ということで、資料を参考までに一点用意してございますので、ご紹介します。
    こちらの研究会は、すでに何回か冒頭のときにご紹介しておりますけれども、今後実施します大規模実証を視野に入れて、その際の安全性の基準、つまり実際に穴を掘ってということの前に貯留構造といいますか、地層構造などをきっちり確認して、その後、実際に圧入をして、その後モニタリングを行うということで安全性の基準というのが書かれておりますが、もう一つの社会システム基盤の形成検討会のほうでは、もう少し長期の視点、つまり2020年の実用化といったところまで視野に入れて、事業を進行していくための法的な枠組み、あるいはこの事業実施を加速させるような経済的なインセンティブを付与する手法を含めた検討を行うということで、今回、足元のこれからの実証をどういうふうに安全を確保してやっていくかということに、現在、CCS研究会が着目していることをご紹介させていただいて、頭の整理というふうにさせていただきたいと思います。
    以上、資料の確認とあわせてご報告をさせていただきましたが、もし資料の不備等ございましたら、ご連絡を事務局にしていただければ当方で差し替えるようにいたしますが、よろしいでしょうか。
  • 佐藤座長
    どうもありがとうございました。いまご説明をいただきましたようにスタンスはそういう違いです。それから研究対象は、技術的なことは、この親の研究会なりこのワーキングでということですので、その要請に応えるべく進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
    それでは本日、2件プレゼンテーションをご準備いただいております。

CCS実施に際して、坑井掘削工事に関わる安全確保について

  • 佐藤座長
    最初に石油資源開発の藤井常務のほうから、「CCS実施に際して、坑井掘削工事に係る安全確保について」のプレゼンテーションをお願いいたしたいと思います。
    お時間は35分間ということですので、13時40分ぐらいをメドにお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。
  • 藤井様
    石油資源開発の藤井でございます。きょうは、坑井掘削工事に係る安全確保に関する話題提供ということでプレゼンテーションをさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

〔スライド〕

目次

プレゼンの内容は、まずロータリー掘削技術概説で、その基本原理と、現在の技術到達レベルを中心にご紹介したいと思います。これによりまして、CCSで求められている掘削に関する技術レベルはどのへんにあるか、ご理解いただけると思います。
2番目としては安全の確保。3番目は仕上げについての技術。4番目はまとめということにさせていただきました。
それから工事に従事する人員の保安確保、人身災害の防止ということが非常に重要でありますが、本日のプレゼンでは割愛させていただきます。
又、ロータリー掘削の原理ということでは、石油開発に携われている方々はほとんどご承知のことですので、少しご辛抱下さい。内容としてサイエンティフィックであったりアカデミックでありませんので、初めての方でも肩が凝らずお聞きいただけると思います。

陸上掘削現場全景

画面の写真は、平均的な石油開発の掘削現場全景でございます。櫓の高さがが50~60メーターあり、手前には鉄管置き場があり、周囲は各種タンク類、調泥材置き場となっており、背後には巻き上げ機、ポンプ、エンジンあるいは発電機などが配置されております。外周には各種ツール置き場があり、坑井から一番離れた敷地隅に作業事務所が設置されている典型的、標準的な掘削現場の姿でございます。
後ほど触れますが、作業フロアの下部に空間が確保されていますが、この理由は噴出防止装置を設置するためであります。

掘削現場のスナップ写真

これは現場スナップ写真で、中央の写真では掘削作業員がドリリングツール先端を坑井に入れようとしているところです。作業環境としては危ない、きつい、汚いの3K職場で、作業員の保安確保が重要であることがご推察いただけると思います。

I.ロータリー掘削技術概説1.ロータリー掘削の基本原理

ロータリー掘削の原理をご紹介いたします。ロータリーという名前の通り、左側の写真にありますようにターンテーブルでドリルパイプに回転を与えて掘削するという原理になっています。この技法が導入されたのが約100年前、20世紀初頭でありまして、この技法によって現在では数千mという深い井戸の掘削が可能となりました。
右側の絵は、一番下にビットと称する刃が下端に接続されておりまして、地層を掘るための下向き荷重を与えるために、その直上にドリルカラーという肉厚の鉄管、それらを高張力のドリルパイプに接続・懸垂して、回転を与えて地層を掘り進めてゆき、掘進した分だけドリルパイプを継ぎ足してゆきます。ここでキーとなるのは掘削中このパイプの中に泥水を送入して、アニュラス環状部を通じて地上に循環するというシステムにあります。
戻り泥水は地上で岩石屑や砂が除去され、必要な性状に調合されてポンプで再度坑内に送入されるという循環システムゆえ、井戸はいつも泥水で満たされていることになりますから、この泥水の性状、特に比重の調整により、地下の高圧層を抑圧でき、従って大深度の坑井が安全に掘削できるということになります。

ドリルビット(地層を掘削する先端の刃先)

左の2つはコーンが3つついたトリコーンビットで、鋼刃のもの、タングステン超合金刃のものがあります。右の2つは表面にダイヤモンドを埋め込んだもので、特に右端のものはコアを採取する目的のものです。例示した以外にも地層、用途により種々のタイプがあり、蓄積した経験と先端技術が投入されて製造されておりますが、基本的に消耗品でございます。

ドリルストリングを構成する鉄管類

左側は横置きされた高張力鋼管のドリルパイプ、右側は櫓に立てかけた、肉厚でビット荷重を与えるためのドリルカラーです。

2.泥水(Mud,Drilling Fluid)(1)泥水の役割

掘削した井戸に清水を張り込みますと、軟弱層ではすぐに崩れてしまいますが、清水に代えて粘土を膨潤させた泥水を張り込みますと、坑壁の安定性が劇的に向上することが経験的にわかっておりまして、これが泥水の発祥です。英語ではMudあるいはDrilling Fluidと呼ばれます。土木分野でも安定液として活用されております。
右下は大型泥水ポンプの写真です。泥水の役割として、列記しましたように掘り屑の運搬とか、冷却、潤滑とかいろいろありますが、特に重要な役割として先ほど触れましたように、比重調整により地下の圧力を制御することがあげられます。稀には清水の2倍以上に比重を上げることもあります。

2.泥水(Mud,Drilling Fluid)(2)掘削中は

(2)は調泥剤置き場でありまして、粉末や液体の物がございます。これを使用して、24時間体制で泥水の調合、調整が行われます。
(3)泥水を幾つかの種類に分類致しますと、まず水をベースとした泥水が最初に用いられ今日まで改善が加えられ発展してまいりました。後に水系泥水の弱点、特に水に対して敏感で崩壊しやすい地層に対する坑壁安定性、耐熱性に優れた油系泥水が開発されました。軽油等をベースにした油系泥水は潤滑性にも優れ、抑留防止に大いに力を発揮致しましたが、最大の欠点は、高コストに加えて、環境に優しくないということにあります。作業面から滑りやすい、皮膚につくとヒリヒリする、そして外部に排出すれば鉱害問題を生じてしまいます。90年代になりまして、synthetic-based drilling mud(SBM)が開発されて使われるようになりました。これはエステル系の合成液がベースになりますが、油系泥水の利点を持ち、その欠点を改善することに成功致しました。特に環境面で毒性が非常に低く抑えられております。、依然高価ではありますが、この泥水の開発により、後ほど述べますような水平掘り、ERDといったものが実現できるようになりました。近年、当社が国内に初導入いたして現場適用に成功し、石油技術協会から表彰をいただきました。

3.坑井には何故多段のケーシングパイプが必要か?

基本的なことになりますが、なぜ井戸は一段で掘れないか、二重三重に鉄管を入れて掘らなければならないかという理由が記載してあります。
地上付近の軟弱地層の保護、噴出防止装置の基礎、途中で遭遇する崩壊層を遮蔽するなど、深い坑井ではどうしても、鉄管を多重にいれざるを得ず、このために坑井のコストが深度と共に級数的に増加する原因となります。

ケーシング設置深度の検討事例

ケーシング計画を検討する場合に、当該地域の経験に加えて、地層圧力と強度を予測して設計致します。ここでは国内の坑井の事例を例示しておりますが、試掘に際して地層層序の予測、それに対応した地層圧力、地層破壊圧力を震探データや近隣坑井データから推定致します。そして掘削に必要な泥水比重の検討に進みます。
浅い部分の掘削に必要な泥水比重では、深部で地層圧力と均衡を保つことができず、最初から高い比重にすれば、浅部の地層が耐えないということになります。そこでこの圧力ウィンドウの中で、深度区間を区切り、ケーシングを設置してその区間を適正比重で安全でトラブルフリーで掘進しようを計画するところから掘削計画がはじまります。高圧層があるほど、ケーシングを何重にも挿入せざるを得ません。

4.傾斜掘の基本原理

掘削現場を訪問される来客から、必ず質問されるのが「井戸をどうやって曲げて掘るのか」ということがあります。傾斜掘そのものは戦前から行われてきておりますが、今日の傾斜掘の技術は図示されているとおり、循環泥水によって中心のドリルシャフトのみが回転するマッドモータを使用するのが一般的です。マッドモータの断面図がありますが、隙間に泥水を強制的に循環してやりますと、このシャフトに回転力が生じて、先端のビットが回転致します。このマッドモータに1~1.5度程度の角度をつけておき、ドリルパイプを回転せずに掘削を続けますと、角度方向に緩やかに曲がった坑井ができてゆきます。ここでマッドモータ駆動に加えて、ドリルストリング全体も併せて回転して掘削すると、まっすぐな坑井が掘削できます。この組み合わせにより、現在では坑井の傾斜コントロールが3次元的に意のままにできるようになりました。

MWD、LWDの発達により水平坑井、ERD坑井が可能となった

90年代に石油開発技術で著しく発展した技術として、3D震探に加えて水平掘り技術があげられますが、その基礎はMWD、LWDという技術の確立であります。これで石油開発技術が大きく進展致しました。
従来は、傾斜掘りに際してワイヤラインを用いて測定器を坑内に降下して坑井の方位、傾斜角度を測定しておりました。これに対して、MWD技術では、地下で測定した方位、傾斜角度を地下でデジタル信号あるいはFM信号に変換し、そのデータを泥水循環の圧力系を通じて地表に伝達させ、そこでノイズを除去して解読することができるようになりました。この結果、方位、傾斜等の地下データが、リアルタイムかつ連続的に地表で把握することが実現致しました。ワイヤラインによる測定器の降下に依存しないために、水平坑井であっても方位、傾斜角度がリアルタイムでつかめます。この技術の延長上で、地下で坑井方位、傾斜角度以外に、例えば地層の種類や性状、砂岩であるが泥岩であるか、油層を掘っているかどうかといった地下データ・情報も掘進しながら地上にてリアルタイムでつかめるようになりました。これがLWDと言われておりますが、このMWD、LWDの技術の確立で、右側の模式図のように坑井が3次元的に自在にかつ油層を外すことなく掘削できることにつながり、今日の大距離ERD坑井の実現に至っております。

偏距VS垂直深度の変遷

先程申しましたとおり、90年代に水平掘り、あるいはExtended Reach Drillingという技術が大進展致しました。図は縦軸が垂直深度、横軸が水平偏距となっておりまして、時代と共にどのように進捗していったかが判ります。90年代以前は単なる高傾斜掘りだったものが、90年代に水平偏距が伸びて行き、本年も世界記録が更新されている分野でございます。

世界最先端のERD坑井掘削イメージ

このイメージは、サハリン島でメジャーのオペレーターが海岸から沖合に向かって10キロものERDを行っている現場写真で、このリアルなイメージが右側にあります。
櫓の高さが60mとして、横方向の距離が10キロになります。このようなERD坑井が複数並んで掘削されておりまして、ここでは掘削技術の最先端のものが投入されております。

5.世界の掘削深度記録

世界の掘削深度記録をお示し致します。商業的掘削では、1974年にアメリカで掘られた9583mが最深の記録になっています。当時、アメリカでは深掘り競争が行われ、毎年記録更新がなされる状況でありましたが、この井戸では9583mで溶けた硫黄の層に遭遇して、それが坑井に侵入してきてドリルストリングを押し上げながら固化してしまい、井戸を放棄せざるを得なくなりました。これを契機に、深掘り競争は転機を迎えました。深い井戸ほど級数的にコストを要すのに対して、超大深度では地質リスクが大きく、そもそもそれに見合う大きな油ガス田が超大深度で成立してそれに遭遇する機会が極めて乏しいと人々が考えるようになったからです。
国内では93年に、基礎試錐「新竹野町」で達成した6310mが記録になっています。
本年2008年春に、サハリン島でERDの深度記録が更新されましたが、その後すぐにカタールでERD記録が更新されました。井戸の総深度が12キロ、水平偏距あるいは水平区間が約11キロです。坑井の大部分が水平で11キロにもなっているということです。
このERD分野については、アラスカなどでの新規掘削計画で、近い将来にさらなる記録更新が予測されております。
下には科学ボーリング分野で、ソ連が20年かけて垂直に12キロ超を掘削したのが世界記録です。その後ドイツで掘削された9キロというのが、科学ボーリングの2大掘削記録になっております。

海洋掘削で使用されるリグ

海洋掘削の分野をご紹介しますと、浅い水深では甲板昇降型で着底するジャッキアップ型、水深が深くなると半潜水式浮遊でアンカー係留されるセミサブマージブル型、更に深い水深では船型のドリルシップで、セミサブマージブル型に比較して安定性が劣りますが、搭載能力が大きく、かつGPSと多数のスラスター常時駆動をコンピュータ制御で行い、定点保持を行うダイナミックポジションシステムを有したドリルシップ型などが主として使用されます。

現在は、米国メキシコ湾、ブラジル沖合いなどにおいて

現在の技術レベルでは、水深3000mで石油試掘が行われており、水深2000mで石油採掘が商業的に実現しております。

(参考)掘削請負契約の形態

契約形態に簡単に触れますと、石油の坑井掘削は地上の土木工事とはかなり異なる面があります。石油開発では、契約形態がおよそ4種類ありまして、リグを日単位で雇用して日割り料率で行う契約、井戸を一本完掘するのを一括で請け負う契約、掘削を単位mで請け負う契約、あるいはその組み合わせとなります。
石油開発というのはコストが非常に高く、海洋試掘ではリグの傭船料に1日数十万ドルを要し、坑井1本の総費用が数千万ドルも要することがあり、このリスクは掘削請負会社がすべて負うことはできませんので、日割り作業料率で契約するのが通例です。石油会社からは掘削の総指揮をとる責任者が派遣され、日々作業指示を発して掘削工事にあたります。
これに対して、温泉掘削などでは発注主は掘削会社に全面的に工事を請け負ってもらうことになりますので、一括契約となります。

II.坑井掘削における安全の確保

これまでご説明したように、CCSに求められる掘削技術に関しては、石油開発における掘削技術が不可欠であり、かつ十分な技術レベルに到達していることが理解して頂けたと思います。
坑井掘削での安全ということになりますとなんと言っても噴出防止対策、ブローアウト防止ということがあげられます。暴噴、ブローアウトというのは、地層流体の坑内への侵入、地上への噴出が制御不能となってしまう状態を言います。この暴噴は石油・天然ガスを目的にしていない坑井でも発生する可能性があり、坑井掘削における最大のリスクといえます。

(1)地下の圧力を制御する能力が欠如していた石油開発の黎明期

写真は20世紀、ロータリー掘削の技法が開発された当時のテキサスでのスピンドルトップでの大噴油で、石油時代の始まりを象徴しています。キャップロックを掘り抜き、その下に被圧されていた石油が溶解ガスと共に強烈に吹き出しておりますが、まだ環境保全の意識も希薄な時代であり、大噴油を制御する意志も能力も欠けていた時代です。

(2)地下の圧力制御に失敗すると(海洋油ガス田開発における原油、ガス暴噴の例)

この写真は、制御する機器、技術が保有していながら、制御に失敗した例です。いずれも海洋掘削の場面で、左は天然ガスの暴噴、右はカリフォルニアで沖合になりますが、1969年に発生した原油の暴噴、漏出事故です。これが契機となり、今日までカリフォルニア沖合では新規の石油探鉱開発が許されない状況が続いています。カリフォルニア沖合には、当時商業的規模の油田が発見されながらも今日まで未開発のままにあります。

(3)暴噴から火災に至れば(大きな災害を免れない)

ブローアウトとなると大変悲惨な事態となるのは必至です。今日はCCS掘削に過度な悪印象や誤解を与えないように、比較的穏やかなインパクトものをお持ち致しました。
右側は、平原の真ん中で起きた暴噴、火災の例です。黒煙がないため天然ガスの火災であることがわかります。油井や天然ガス井における火災では、強い火勢のため掘削櫓などの鉄が熱で溶けてしまうので、ごらんのように櫓などは崩れ落ちてしまいます。通常の消防車などは役に立ちませんのでやってきません。必要とされるのは特殊な専門技術、機材を有する油田火災専門会社のチームです。それでも手に負えなければ、リリーフウェルといって、近傍から新規に傾斜井を掘削して、地下で火災を起こしている坑井まで掘削して交差させ、重泥水やセメントで抑圧しなければなりません。いずれにしても莫大な損害と対策費用を要することになります。
左側では消防隊が写っていますが、これは数年前に都内で発生した温泉ボーリング工事現場での天然ガス火災事故です。夜間ですから、火がついて非常に派手に見え、あるいは住宅地で起こったため大変大きな騒動となりましたが、技術的側面から言えば大変軽微な暴噴事故といえます。消防隊は放水で機械類を冷却させてその損傷を最小限に食い止め、石油開発の専門家の助言と機材で無事抑圧、鎮火することができました。これを契機に、温泉ボーリング工事においても、掘削の安全面から新たに規制が加えられることになりました。

ブローアウト・プリベンター(BOP)

これを坑井掘削中は常時装備しておきます。蓄積された油圧により、いかなる瞬間でも、坑内にどのようなサイズのパイプが挿入されていても、あるいは何もなくても、坑井を瞬時に密閉することが出来ます。又、油圧装置が故障して油圧を喪失しても、停電でも、いかなる状態でも密閉できるように2重・3重の備えをするのが石油開発の常道です。

どのような状況にも対応できるように多重に設置された例

ブローアウト・プリベンターはそれぞれ特徴がありますので、あらゆる場合を想定するとなると、何段も多重に備えることになります。海洋掘削、特に海底下設置のサブシーBOPの場合には更に多重に備えをします。例えば暴噴と悪天候が重なった場合には、ドリルパイプをBOP位置で切断して、リグを退避させるといったことも可能です。

マッド・ロッギング(泥水検層)

石油開発では循環システムにおけるリターン泥水中から油・ガスの兆候、ガスの含有を連続的にモニターされています。掘進率など様々なドリリングパラメータも監視して、異常高圧層の早期探知の努めるのも重要な任務です。リターン泥水の増加あるいは減少もモニターして暴噴の早期発見に備えます。

2.漏洩リスク最小化を目指したセメンチング、仕上げ、廃坑処置

CCSにおけるCO 2の漏洩リスクという点で、断層やキャップロックを通じた漏洩が論議されますが、坑井を通じた漏洩というのが大変リアリティがあるシナリオであり、この点でセメンチングの成否というのは大変重要な項目となります。坑井ではセメンチングが非常に大事であり、クリティカルといえます。

ケーシングセメンチングのフロー図

例示のセメンチング図では、アニュラスにセメントが100%充填されておらず、数段にわけられているのは、セメント使用量の節約が理由ではありません。地層や坑内条件から、費用と時間を掛けて多段セメンチングをせざるをえないというのが、深い井戸では通例です。

セメンチングで使用される坑内機器、ミキシング&ポンピング機材

セメンチングに際して、セメンチングの成功度を向上させるために、様々なツールを使用します。ケーシングのセントラライジングや泥水・セメント置換効率を少しでも向上させることが目的です。

セメンチング不良の事例

典型的なセメンチングの不良の例です。左側はセメンチング後のアニュラス部に泥水が残ってしまった例です。この部分が縦方向に連続していると、漏洩や層間導通という状況が起こる原因となります。特に高傾斜井や水平坑井ではケーシングの全周を完全にセメントを充填することの困難度が上がります。セメンチングの成否は後日セメントボンド検層で確認することができます。
右図はセメンチングで全周にセメント充填には成功したが、セメントが完全の固化する前にガスのマイグレーションあるいはチャンネリングが発生してしまった事例です。これもセメントボンド検層から検出することが可能なことがあります。
このような結果にならないように、セメンチングを計画する際には、セメンチング機器というハードウェア、セメント組成や流動性状、置換速度などを総合的に勘案して最大限の結果が得られるように立案致します。

補修セメンチングの例

セメンチングは一発勝負であり、やり直すことができません、しかしもしも失敗して、セメンチングが不完全な結果となった場合には、後ほどセメンチング不良箇所のケーシングに穿孔して当該箇所にセメントを押し込んで補修をすることが可能です。補修が一度で成功しなければ、成功するまで何度でも満足する結果を得るまで繰り返し行うのが通例です。

(2)仕上げ計画(CO2圧入井仕上げ計画案例)

石油開発では、採油・採ガスのために、ケーシング内にさらにチュービングという鋼管を挿入するのが通例です。チュービングとケーシングの間はパッカーという機器で圧力遮断をするために、腐食性であるかもしれない原油、天然ガス、あるいは地層水をパッカー上ケーシングと接触させずに採取することができます。CCSの場合であれば、パッカー上ケーシングにCO 2を接触させることなく、確実にパッカー下の圧入層に挿入することができます。もしチュービングで漏洩すれば、アニュラス環状部の変化としてすぐに探知することができます。
又、長年使用して腐食、損傷したチュービング、パッカーは改修作業を通じて回収、交換することが可能です。近代石油開発の基本であり、常識であるチュービング・パッカー仕上げがCCSでも原則とすべきと考えます。

埋坑(廃坑)措置

例示しておりますのは鉱山保安法の鉱業権者が講ずべき措置事例に沿って行なっている廃坑方法の例で、弊社の1000~1500m級油ガス井の廃坑図です。
地下に枯渇した油ガス層が存在すれば、先回のワーキンググループ会議でウェルバリアという言葉が使われましたが、この例で言えばウェルバリアがブリッジプラグやセメントプラグなど5段程度設置してあります。これで地下からの油ガスあるいは地層水の漏洩、浸出防止のための備え、遮断が万全にできていると考えております。
特に地下深部にバリアを作っておきませんと、少量でも圧力をもった油・ガスが比重差で上昇して、浅部で蓄積して圧力がこもった状態となると、浅部軟弱層に漏洩してしまう恐れがあります。できるだけ深い場所でバリアを作っておくこと、多段にバリアをおくことが肝要と考えます。又、これであれば、現在米国環境庁が提案している、CCSに関するガイドラインも十分満足することも申し添えます。

III.CO2を扱う坑井の仕上げ技術

ここに著名な鋼管メーカーが発行している、耐腐食鋼管材料選定ガイドを示しております。このようなガイドラインは各メーカーがそれぞれ出しております。図は詳細で見にくいかもしれませんが、縦軸にCO 2の分圧、横軸に硫化水素の分圧、あと温度条件等を与えると、推奨される材料を選択することが出来ます。これはあくまで一般的なガイドラインで、個別の油ガス田の坑井条件に合わせて更に絞り込んでゆくことになりますが、ここでの坑内条件は、6000mを超える大深度、高圧力、高温、大きなH2SあるいはCO 2濃度、地層水の存在等大変過酷な坑井条件がカバーされてあります。従ってCCSで想定されているような圧力、温度条件は、これらの材料セレクションで十分カバーされているとものといえましょう。

2.油井用鋼管の継ぎ手(用途、材質に応じて多様な種類の継ぎ手が各メーカーから販売されている)

油井用鋼管には種々の継ぎ手が開発されております。左は一般的な継ぎ手であり、右側は高圧の気体を封じる能力の高いプレミアム継ぎ手の例です。コストがかかりますが、右手のようなメタルシールを持ったプレミアム継ぎ手が高圧ガス井では常用されます。特にステンレス系耐腐食材の鋼管では、ステンレス特有の問題に対処するために、必ずプレミアム継ぎ手が使用されます。それと継ぎ手の取扱については、適切な摩擦係数の専用潤滑剤と適切な取扱、適正締め付けを行う知識と経験が不可欠です。

3.耐CO2セメント

耐CO 2セメントについては、世界の有名な油井セメンチング会社から推奨される添加剤が販売されていますので、それを使用するのがよろしいと思います。企業秘密の観点から詳細な組成は判りませんが、試験結果から最適なものを選定することになるでしょう。

まとめ1

まず、地下を深く掘削する以上、必ず備えることが暴噴対策です。これは何らかの規制が必要と考えます。
長い歴史で集大成されてきた鉱山保安法/規則を適用、準用するのが理想です。鉱山保安法以外に、掘削の安全に関連した公的規制は、東京都環境局の指針があります。後者は先ほど触れました都内の温泉ボーリング工事現場でのガス火災事故を契機に対策として適用されるようになったものですが、鉱山保安法に比較して大変緩い規制となっております。CCSの掘削に際しては、最低でも東京都の指針程度の規制は不可欠と考えます。

まとめ2~6

それ以外は、チュービングとパッカーを使用した仕上げを原則として、CO 2の目的層に確実に圧入されていることを担保して、漏洩の有無を継続的に監視すること、ケーシングセメンチングや補修セメンチングの記録をしっかり残すこと、中長期的に腐食性のあるCO 2流に晒される鋼管やセメントには耐CO 2の性能を有したものを使用することが必要と考えます
廃坑に際しましては、鉱山保安法の措置事例を基準にすれば十分と思います。そしてもしセメントが長期間にCO 2流体に晒されるのであれば、耐CO 2セメントを使用すべきと考えます。
6番につきましては、計画立案に際しては個別の坑井条件として多様な状況が考えられますので、これを一律に技術基準という形でまとめるのは非常に難しいとすれば、識者による委員会等での審査を経て実施するスキームがよろしいのではないかというのが私の提案です。
取り急ぎの説明となりましたが、以上でプレゼンを終わります。ご静聴ありがとうございました。
  • 佐藤座長
    巨大技術を短い時間でご説明をいただきまして、ありがとうございました。ご質問ご意見等ございましたら、よろしくお願いします。
  • 熊谷委員
    補足で教えていただきたいんですが、「(2)仕上げ計画」でSeismic Sensorと書いているんですけれども、これについても教えていただければと思います。
  • 藤井様
    事例として、幾つかの種類のセンサーを設置する案を提示致しました。圧力、温度あるいはSeismic Sensorを設置するべきか否かはその必要の是非での議論をお願いします。ここでは、そのニーズがあれば、ファイバーグラスとともに設置可能な機器が実在することを示しております。
  • 熊谷委員
    例として示されているということですね。
  • 藤井様
    その通りです。装着する場合には、相応の費用がかかります。もちろん効果と費用との兼ね合いで省くという判断もあるでしょう。
  • 佐藤座長
    それにからんでですけれども、例えば坑井をモニタリングに利用したいということでケーシングコンベートの計器を付けたりするときに、セメンチングのやり方が複雑になってくると思うんですが、そういうことに関して専門家からすると、そういうものを付けても付けない場合と比べてセメンチングのやりやすさがどうであるとかいうような、何か決まった考え方みたいのはあるんでしょうか。
  • 藤井様
    セメンチングに際しては、セメント送入には何ら問題はありません。降下に際しては、大変手間がかかりますし、降下途中で損傷してしまう危険はあります。セメンチング全体にはマイナスの要素となりましょうが、ケーシングコンベイの計器がセメンチングに重大な悪影響を与えるとまでは言えないと思います。
    ここではチュービングコンベイの例ですが、水平坑井などの場合、降下中に損傷するリスクはあります。
  • 村井委員
    天然ガスなんかですと、途中にバルブを付けるようなケースがあると思いますが、こういうケースではないんでしょうか。
  • 藤井様
    バルブですか。ダウンホールバルブですか。
  • 村井委員
    はい。圧力が高くなったら自動的に閉まるようなバルブがあると聞いたんですが。
  • 藤井様
    セーフティバルブですか。
  • 村井委員
    セーフティバルブです。
  • 藤井様
    例示の地上の高圧クリスマスツリーには安全遮断バルブが装着されています。坑井上下流、あるいは地上システムにおいて設定圧力範囲を逸脱したり、何らかの異常が検知されれば自動的に坑井を密閉することができます。
  • 村井委員
    そういうのがクリスマスツリーの中に組み込まれているという理解でよろしいですか。
  • 藤井様
    組み込むことも省くことも可能です。ダウンホールセーフティバルブについては、米国環境保護庁のUIC規制で、CCS坑井に装着を義務づける提案がされております。このダウンホールセーフティバルブは、一般的に陸上坑井では取り付けてられておらず、海上の坑井では必ず取り付けられている物です。海上プラットフォームが倒壊した場合などの極端な異常状況になっても坑井を安全に密閉することが目的です。UICの提案については、石油業界から過剰規制ということで反対論が出ており、論争になっております。
  • 當舎委員
    セメンチングについて伺いたいんですけれども、セメンチングは基本的には井戸をドリルで掘って、途中まで掘った段階でケーシングパイプを入れて、セメンチングを半ばから押し込んで、外側のアニュラス部に出してくるということでよろしいでしょうか。
  • 藤井様
    はい。これ(「ケーシングセメンチングのフロー図」)は海洋坑井でのセメンチングのフロー図です。ポンプからスペーサー、リードスラリー、テールスラリーの順番で送入され、茶色の泥水が中から外に置換されてゆきます。セメントの背後は、プラグを介して泥水が送入されます。プラグが着くとセメンチングが終了です。
  • 當舎委員
    スペーサー自体、引き上げるんですか。下から押し出すような感覚ですか。
  • 藤井様
    中から押し出す形となります。
  • 當舎委員
    それで質問なんですけど、石油の場合に、大部分の井戸はフルホールで全部セメンチングされているのですかというのが一点と、あと水平の場合には比重の関係で、下にはセメンチングが回るけれども、上のほうはプアーになるということはないんでしょうか。
  • 藤井様
    まず石油の場合ですが、フルホール・セメンチングが一時流行った時代がありますが、現在は深い井戸についてフルホール・セメンチングは普通は行いません。(「2.漏洩リスク最小化を目指したセメンチング、仕上げ、廃坑処置」)先程申したようにそれはセメントを節約することが目的でなく、長いセメント柱による問題点、例えば高比重による浅部の強度の弱い地層の破壊とセメントの喪失、あるいは深部と浅部の大きな温度差のため、セメントスラリーの固化時間設定が難しくなること、セメント全体が短時間に固化せず強度発現が遅れて流体圧力が不十分な時間が長くなりガスチャンネリングを引き起こしてしまう危険性など、フルホール・セメンチングに伴う問題が多くあることが理由です。ということで、現在では浅部ケーシングのセメンチングを除いて、大深度のケーシングでフルホール・セメンチングを適用することは非常に稀です。これに対して、地熱井の場合には、ケーシング背後に泥水のポケットがあると高熱でケーシングを圧壊させる危険が高まったりすることもあり、ケーシングセメンチングではフルホールを目指すことに努力するケースが多いと思います。
  • 當舎委員
    深さは、どのくらいの深さですか。
  • 藤井様
    目的層や一連の油ガス層を十分カバーする長さが最小限必要です。出水層など特段の問題がない箇所であれば、セメントを充填しなくても問題ないという考え方です。
    もう一つの質問は。
  • 當舎委員
    水平坑井の場合にセメンチング方法は非常に難しいかなと。
  • 藤井様
    非常に困難です。例えば10kmもの水平坑井であれば、ケーシングを挿入することそのものが難しくなります。その場合にはケーシングにフローティングデバイスにより浮力を与えて重量を減じる処置をとる場合もあります。そのような場合では、セメンチングは極度に困難となります。水平坑井内でケーシングをセントラライズして、アニュラス環状部全周について泥水を均一は流動パターンでセメントに置換することは著しく困難といえます。水平坑井で完全なセメンチングを期待できず、別の手段を併用して圧力遮断を獲得するように工夫したりします。例えば圧力、あるいは油分による膨潤によるラバーパッカーを膨張させたりすることもあります。
  • 三橋地球環境技術室長
    つまらない質問かもしれませんけれども、「CO 2を扱う坑井の仕上げ技術」に住友金属のカタログが載っていますのと、その次のページではSchlumberger社がCO 2耐久性の高いセメントを持っていますが、その内容は秘密の取り扱いですけれども、商品はちゃんとしていますとご紹介いただきましたが、こういう耐腐食性については、例えばISOの基準とか国際的な基準によって守られている技術上のスペックは、どこかに標準があるんでしょうか。それとも、一方的に開発した商品側のほうが提示しているものをみんなが信じて使っている世界なんでしょうか。
  • 藤井様
    標準的あるいは技術基準というものはありません。ここでお示ししたのは一般的ガイドラインですが、個々の石油会社が固有の油ガス田、あるいは対象坑井の条件をメーカーに提示してラボテストなどを行なったうえで、メーカーと協議して選定してゆきます。通常の高張力鋼に比較して、耐腐食性のステンレス鋼は高価ですし、大変強力な耐腐食性の特殊合金鋼は更に著しく高価となります。坑井の腐食成分、生産量と坑井寿命、年間の腐食率、その他の腐食防止措置との兼ね合いをにらみ採算性を総合的に考慮して会社の裁量で決定してゆきます。
    耐CO 2セメントの成分は、企業秘密となっておりますが、性能表は提示されます。ここでも性能、コストの見合いで添加材やそれを提供するセメンチングサービス会社を選定してゆきます。
  • 佐藤座長
    ほかに何かございますでしょうか。
    セメンチングのお話で、先程のご質問で「水平坑井は難しいです」とお答えで、例えばキャップロックのところは垂直に掘って、そのあと曲げるということであれば解決できるんでしょうけれども、サハリンの絵とかだと、キャップロックを水平坑井として貫いていたりしていますね。こういう場合に、どういう考えでキャップロックからの油の漏れとガスの漏れというのを防いでいるというふうにいまは考えられているんでしょうか。
  • 藤井様
    これが(「世界最先端のERD坑井掘削イメージ」)がサハリンのイメージですが、油層を数キロ貫いております。油層に入る手前で坑井傾斜は水平近くになります。詳細は存じておりませんが、ケーシングをこの深度まで挿入するのも大仕事ですし、原油・ガスの漏洩防止のためにセメントと先ほど述べましたメカニカルな遮蔽手段を併用しているものと推測しております。
  • 佐藤座長
    キャップロックから何かが漏れているとか、そういうことを検知した事例はあるんでしょうか。
  • 藤井様
    サハリンの話ですか。
  • 佐藤座長
    いえ。どこでも。
  • 藤井様
    個別の油ガス田における経験を踏まえて、セメントボンド検層で十分な硬化セメントを確認してから仕上げ作業に移ります。キャップロック周辺のセメントボンドが不良でガスチャンネリングが発生することはほとんどありませんが、事例がないわけではありません。
  • 佐藤座長
    事前にセメンチングの健全性を評価するときに、CDLで見てというのはあるんでしょうけど、0・1でOK、ダメというのはわからなかったりしますよね。ちょっとあやしいとか。
  • 藤井様
    CBL測定に際して微妙な値や長さ故、判断に悩むことがあります。
  • 佐藤座長
    例えばアニュラスで圧力を監視してみるとかあるんでしょうけれども、どういう判断基準がいまのところ普通なんでしょうか。そのセメントが効いている、効いていないということを判断するときには。
  • 藤井様
    従来型のセメントボンドログ検層では、経験からミリボルト測定値の区間が最低長ささえあれば、その部分の圧力遮断はできていると判断しています。区間について硬化区間が連続していなくても、累積していればOKとすることもあります。個々の坑井の坑内状況、傾斜角度、あるいはセメント性状によっても検層レスポンスが異なってきます。したがって一律のガイドラインを設定するのは難しいと考えます。
    検層会社からはガイドラインは提示されていますが、各石油会社が経験を踏まえて個別に仕上げ移行の可否を判断しているのが実情です。
  • 佐藤座長
    サイトによって変わり得るということですか。
  • 藤井様
    個々の坑井の事情、状況によって変化します。従来型のセメントボンド検層であれば、石油会社は経験的にガイドラインをお持ちであると考えています。先程示しました最新のセメントボンドログでは(「セメンチング不良の事例」)、チャンネリングがどちらの方向にどういう状態で形成しているか判断できるようなものがあります。そのチャンネリングが上下で閉じていれば、圧力遮断は出来ていると判断できる場合もあるかと思います。
  • 福島委員
    一般的な質問で恐縮なんですけれども、ブローアウトに対するリスクとして、石油とか天然ガスのような可燃性のものを扱う場合と、CCSのようにCO 2を帯水層に入れるという場合ではリスクの考え方がかなり違うのではないかと思いますが、そのへんはどうなんでしょうか。
  • 藤井様
    ごもっともで石油・天然ガスを目標に掘っていれば、可燃性のものに遭遇する機会は、帯水層をターゲットにしている場合よりも明白に高いと思います。しかしながらキャップロックを有する帯水層を目標にしている場合でも、地質の予想が外れて被圧した地下流体に遭遇するリスクは依然残ります。従って、深い坑井を掘削する場合には暴噴に対して無防備というわけにはゆかず、程度はともかく、最低限の暴噴対策をすべきというのが本プレゼンの骨子でございます。
    先程の温泉ボーリングの火災事故ですが、地下から地層流体が噴出してきた場合に即座に坑井を密閉できる装置を備えておりませんでした。それとガスが噴出することを想定していませんでしたから、火気の取扱にも注意が払われていませんでした。ガスへの着火が、照明用電灯なのか石油ストーブなのか原因はわかりませんが、この現場に鉱山保安法が適用されていれば、噴出防止装置の設置、坑井から8mの範囲内では裸火の禁止、照明等の電気設備は耐圧防爆型のものの使用が義務付けられておりますから、このような火災事故に至る可能性は著しく小さかったものと考えられます。
    従って、鉱山保安法の完全遵守まで求めなくても、参考として示しております東京都の基準程度の規制は、CCSで坑井を掘削する際に請負工事業者に求めるべきというのが私のリコメンドであります。
  • 熊谷委員
    一つだけアドバイスをいただければと思いますけれども、材料のことなんですが、「III.CO 2を扱う坑井の仕上げ技術」ですね。
  • 藤井様
    ガイドラインです。
  • 熊谷委員
    これ一般的にチュービングの中を通すのにCO 2とH 2Oと分けたものに対してもつような材料を選ぶとおっしゃったんですが、例えば圧入過程を考えると、いったん圧入をやめて再圧入というプロセスを考えると、地層水が上がってきて、例えば塩水が入ったものが上がってきて材料ミスして、それからまたCO 2が入ってくるというプロセスも考えられると思うんですけれども、そういうときにどこがどういうことを考えて、材料は選定すべきだみたいな何かご意見がありましたら。
  • 藤井様
    CO 2輸送を目的としたパイプラインが米国にありますが、輸送されるCO 2は脱湿されたドライなC02であるため、腐食性が低く、パイプラインには通常のカーボン鋼が使用されています。EORでの坑内チュービングも同様にステンレス鋼を使用しておりません。CO 2実証試験で、どのような圧入パターンをとるかわかりませんが、長時間ドライなCO 2の圧入を続けると、坑井近傍の地層はむしろ乾燥してしまうものと推測されています。一定程度の坑井密閉期間内で、坑内が湿潤となって腐食環境になるかどうかは、圧入パターン次第かと思います。
    ただ、ケーシング外周は依然としてCO 2、地層水の双方に長時間晒されることが予想されますので、耐CO 2腐食材料を使用しなければならないのではと考えております。
  • 佐藤座長
    ありがとうございます。よろしいでしょうか。
    それでは藤井様、どうもありがとうございました。

帯水層貯留におけるCO2挙動モニタリング現状と課題

  • 佐藤座長
    続きまして2点目のプレゼンテーションで、薛委員のほうから、「帯水層貯留におけるCO 2挙動モニタリング現状と課題」ということで、35分間ということでお願いいたします。
  • 薛委員
    薛と申します。私のほうから、CO 2のモニタリングについてご説明申し上げます。

CO2モニタリングの目的&役割

モニタリングに関しては、環境の中で大半の話を占めているんですけれども、実際は今まで、例えばコマーシャルベースで幾つかケーススタディがあるんですが、決して十分な情報が開示されていないために、状況に関してはっきりしていないところがあります。ですから、きょうは私が考えてまとめたものを皆さんにご提示しようと思います。
まずはCO 2モニタリングの目的ですけれども、現在は、主な目的としては、井戸から圧入される二酸化炭素が実際に挙動をどういうふうにするか、あるいは貯留層に圧入した二酸化炭素がどのように分布しているのかというのが主な目的です。
その挙動に関しては、一つは貯留層の中の二酸化炭素の移動です。つまり、井戸からどのように砂層の中を移動していくのか。
もう一つは、貯留層の外のほうに移動していくか。つまり、今まで二酸化炭素を圧入する対象の砂の層の上には必ずキャップロックが存在しています。もしかしたら砂の層から泥質岩のようなキャップロック層へ移動するのではないか。言い換えれば、漏洩があるんじゃないかというのが、この監視の目的の一つです。
それからこういった挙動を監視したうえで、実際に圧入された二酸化炭素がどのようにリザーブの中で分布しているのか。それは圧入の仕方によって、あるいは空間の特有の特性によって最大限に地下の貯留層の空間を利用するためには、どのような圧入の仕方が適しているかというのはCO 2EORの業界ですでに一般的に利用されています。
さらにその分布を見ることによって、もしあるところに極端に集積するような状況があれば、そこが局所的な集中として例えば破砕帯が存在するというのが、おそらく見当として情報提供ができるだろうと思います。
これらのCO 2の挙動に基づいて、モニタリングの目的は、最終のゴールではなくて、あくまでも考えるうえで情報を得るため。ですから、一つの大きな役割としては地下の地質の情報です。
EORを比べまして、多くの井戸を掘ることができない、むしろできるだけ掘らないで済むようにしたいんです。そうすると、一般的に地質の情報というのは比べると少なくなります。ですから、その少ない情報に基づいて地質のモデタリングを作っていくんですが、例えばこのモニタリングで得られたデータに基づいて、ヒストリマッチングすることによってそのモデルを完成していく、あるいは精度を高めていくというのが、このモニタリングの主な役割として考えています。

主なCO2モニタリングの手法

実際に現在どのようなモニタリングの手法があるかというのは、IPCCの2005年のレポートに表が載っております。この表を2つに分けてカットして示しておりますけれども、左側は測定の技術、それからどのようなパラメータを求めているか、どのように応用しているかというのが縦の3つの欄です。
一枚目では、測定の技術としてトレーサを使う、あるいは地層水の分析、それからリザーブの中の水圧をコンスタントにモニタリングする。それから井戸があれば、その井戸の中にツールを投入して検層する。もし井戸がなければ、三次元の地震波探査という手法を使いまして、地表から、あるいは海底・海面から地下の貯留層の中のCO 2の存在を調べる。さらにもし複数の坑井があれば、VSPとか、2つの井戸を使う弾性波のトモガルといった技術を使います。実は、ここで示した黄色の部分は、我々は長岡のプロジェクトで、すでにVSPを除いてすべて実施したというのが現状です。

主なCO2モニタリングの手法(つづき)

それ以外にもモニタリングの手法は幾つかありますが、電気探査、電磁気探査。つまり弾性波は波の速度とか振幅を測りますけれども、実際は抵抗を測るのが電気探査および電磁気探査です。
それ以外に重力の変化を求める手法もあります。つまり、もともと密度が1.0の水が、例えば0.5か0.6のCO 2に置き換えてしまえば、そこは重力の異常が微小に生じるので、その微小な重力の変化に基づいてCO 2の分布を調べることも可能です。
さらに地表の変形、要は地層の圧が高くなればある程度は地表の何らかの変形があるだろうということもあります。
それから地上では、CO 2が出てきて地表にCO 2が到達したときには、どれぐらい量が出てきているのか。あるいはそれほど深くない、地表の浅いところに土壌のガスをサンプリングして、そこのCO 2が実際に圧入したCO 2かどうか。このへんはトレーサの試験と関係してきます。

CO2モニタリング事例紹介(その1)

これから2つほどの事例を示しまして、どのようにこのサイトではモニタリングが行われたか、何がわかったかということを話します。
まずは北海のSleipnerのサイトですけれども、ここは海域の帯水層、かつものすごく浸透性がいい。2ダルシーぐらいのジャブジャブのものが流体で入っていくような砂の層です。ここでは繰り返しの地震波探査、4Dのseismicの方法が使われています。それに加えまして、途中からはSTATOILの会社は地震波探査と同時に微重力の探査。先程申し上げた重力の変化に基づいた探査も行なっています。
これら2つの手法を用いて、実際に圧入されたCO 2挙動モニタリングを今までずっとしてきました。

Sleipnerサイトの圧入量(予測)の推移

その計画及びこれまでの圧入の推移に対して、どのようにモニタリングが計画されたのかがこのグラフです。横軸が時間で、スタートが1996年です。縦軸が圧入したCO 2のトータルの量で、500万トンと1000万トンです。
赤の上に向いている矢印が地震波探査を実施した時期です。途中から緑の矢印で示しているのが重力探査を用いた手法です。計画どおりできれば、すでに3回の微重力の探査が行われています。残念ながら、2004年の時点でSTATOILで仕入れた情報をいただいて、それ以降は詳しい結果は公表されていないのが現状です。

地震波探査結果@Sleipner

地震探査に関しては、皆さんすでにこの図面は何回も見られていると思いますが、要は二酸化炭素が実際にコアのスペースの中で水と置換することによって、今度は反射の強度が変わってくるのが、この地震探査で求めております。もともとCO 2圧入する前の地層の中の反射の様子が左側です。
圧入を開始すると、そこにはCO 2が水と置換すると、強く反射を示す黄色とか赤の領域とマイナスのほうに強弱の範囲が示されております。これが時間がたつにつれて、徐々に圧入のポイントの周りから両方に広がっていくのが、2個のタイムラグのデータから見ることができます。
我々がよく見るのは、右図で垂直方向の断面の様子を見ていますが、実はこれを合成して、これが三次元の状態で、二酸化炭素がどのように分布しているかを示してあります。赤く塗っている領域が、実際にCO 2が存在している箇所と考えています。

水平スライス断面におけるCO2分布(経時変化)

この三次元の画像に対して水平方向にスライスをとる、要するに水平方向に断面を切っていけば、各深度ごとに反射がどうなっているか、つまりCO 2の分布を知ることが可能です。
上の段が99年、下の段が2001年ですけれども、上と下を比べますと、同じ深度で切っていれば分布の成長していく様子を見ることによって、どこの層でCO 2が広がっている、あるいはどの層に、例えばこの辺はCO 2が少ない、こっちが多いというのを知ることができます。さらにこのスライスした水平の断面を重ねると、トータルとしてどれぐらいの領域に水平面上にCO 2が広がるというのも知ることができます。
これ(左側)が99年、これ(右側)が2001年。比べてみますと、大きく領域が広がっているというのが、ここから読み取ることが可能です。

微重力測定@Sleipner

これに対して微重力の探査に関しては、あくまでもSTATOIL当初の考えとしては、補助的な手段、あるいは現在の地震波探査はお金がかかるから、もう少し安くできないか。それから別の技術の開発もするべきじゃないかというのがおそらく発想のもとで、このように計画されます。
実際の実験の測定に関しては、アメリカのSCRIPPS研究所と共同で実施しました。右側の図で示しましたように赤く囲った領域が、地震波探査によって明らかにされたCO 2の分布領域です。それに対して海底にベンチマークを設けて、三十幾つのポイントを設けて船から機械をおろして重力の測定を行います。2002年に初期状態の把握、つまりベースラインの測定をして、そこから2004年、2008年とそれぞれモニタリングサーベイを行なっているはずですけれども、この情報はまだ公開されていません。

CO2モニタリング事例紹介(その2)

もう一つはカナダのWeyburnの事例です。WeyburnはSleipnerと異なりまして、まずは対象となるものがCO 2のEORです。それからCO 2が入っていく、要するに圧入される対象のターゲットの層というのは亀裂性の石灰岩に入れます。Sleipnerは砂の層です。同じようにここでも繰り返しの地震波探査が行われまして、さらに油田ですので、多くの生産の井戸がありますから、生産井から得られている流体の化学分析を行いまして、地球化学的な観点からもCO 2の挙動のモニタリングが行われます。

CO2モニタリングプロジェクト

ここでは幾つかの圧入と生産のパターンがありますが、典型的なのがこれです。垂直に掘られている生産の井戸、圧入井戸。ただし水平方向にもCO 2の圧入井、生産井がありますが、この図面を用いて言いたかったのは、ここの地層は、ターゲットの層はそれほど浸透性もSleipnerに比べて高くない。例えば1から50mD、さらにその厚みは6メートルぐらいしかないです。下の層は、浸透性が10から300mDですけれども、ここでも厚みは約17メートルぐらいです。先程のSleipnerの200から300メーターの砂の層に比べると、ここは帯水層のリザーブの厚みが非常に少ないことが一つの特徴です。

モニタリング測定#1と#2の反射走時遅れマップ

ここで2つのモニタリングサーベイの反射のある時刻の断面を示していますが、左側が2001年から2000年の間の断面図。また2002年と2000年の断面図は、2000年がベースで、2002年がそこから差し引いたものですが、差し引くことによってどこの領域で反射して返った波の走時の遅れが生じるかを赤の色で塗りつぶしています。2001年に比べて2002年は年間100万トン圧入していますので、赤の領域が少し成長しているのが見えます。かつ、ある方向に沿って流れている雰囲気もありますけれども、このようになっています。
Sleipnerは垂直の断面を切って話をしてきましたけれども、Weyburnは水平のスライスした断面を用いて、このCO 2がどう分布しているかというのが議論に使われています。

モニタリング測定と#1と#2の振幅(RMS)差のマップ

いまのデータでは、走時の遅れ、CO 2と水の置換によって波の走る時間が遅れることによって話をつけたんですけれども、同じようなデータを用いて、今度は波の立ち上がりとか振幅の強さを比べてみますと、同じように赤の領域が2001年に比べると、2002年のほうがはっきりとある帯状に広がっているのが、ここの振幅の変化からも読み取れます。こういった変化はさっきの走時と同じようにCO 2が分布しているというふうに解釈されています。

CO2圧入に伴う地層水の組成変化

さらに置換の反応に関しては、生産井からたくさんの水を得られていますので、いろんな硫黄成分の濃度の経時変化、例えば圧入前に比べると12ヵ月後はここでこういった変化が起きている、さらに31ヵ月後はこのように変化をしている。
要はここで非常にわかりやすいのは、石灰岩の地層なので、当然こういったカルシウムの濃度の変化が顕著にあらわれます。ですから、ここでは地化学の観点から、こういった情報があれば、同じようにCO 2の広がりを把握することが可能だというふうに考えられます。

CO2モニタリング事例紹介(その3)

もう一つの事例は、アルジェリアのIn Salahの話ですけれども、ここではまだ情報は十分に開示されていないので、あくまで一般的な話ですが、生産する井戸が4本、圧入井戸が3本。同じように、ここでは陸域の帯水層で、しかもリザーバーの浸透性はそれほど高くない。中浸透性砂岩の層ですけれども。さらにここは天然ガスがたまっている砂岩の層の厚みが約20メートル。ですから、ここからガスを抜いたあとにCO 2を圧入しているのが実際に行われているプロセスです。

人工衛星データより推定された地表変形

In Salahに関しては、一番最初に得られた情報では、同じように繰り返しの地震波探査の測定を行なうというふうになっていましたけれども、現在どのようになっているかというのはまだ十分に話が聞けていません。ただ、この間のワシントンの会議で、それから8月のオスロで行われたIGCの会議では、人工衛星のデータを用いて、ここの圧入の井戸の周りで地上の地形の変形が起きているのが示されています。これは砂漠でほとんど植生がないところでそういった測定ができたと思いますけれども、いってみれば特異な事例としてこういったモニタリングができたというのが私の感想です。

CO2モニタリング手法の現状

この3つの事例から、我々が現在モニタリングに対してそれぞれ使っている手法がありますが、実際にどのような現状かというと、これまでに一番よく使われているのがこの地震波の探査法です。それは石油とか天然ガスの業界ですでに多くの実績を持っている、かつ一度の探査で広い範囲をカバーすることができる。また、先程のデータにもあったように走時あるいは振幅、石油・天然ガスで開発された分析手法ですけれども、情報量としてはほかの手法、例えば重力とか電磁波の探査に比べると、情報量が豊富です。
ただし経済性、あるいは手法の有効性を考えると、STATOILが実施したように地震波探査とあわせて、例えば微重力の探査を行う、さらに現在オーストラリアで行われているOtwayのプロジェクトではVSPの探査を進めていると聞いております。
それ以外に特異な例として、陸域帯水層で人工衛星を使った地表の変位の観測も行われます。

CO2挙動モニタリングヒストリマッチングCO2流動シミュレーション

次に、こういったCO 2挙動モニタリングの結果が得られたときに、我々はそれをどういうふうに生かしていくのか。一番最初に申し上げたように、ここで得られた知見に基づいて、できれば長期の挙動のCO 2のシミュレーションに使われる地質のモデルのキャリブレーションを行いたい。要はモニタリングはいつまで続くか、あるいはどういうふうに実施していくかというのは常に流動のシミュレーションとあわせて考える必要がある。そのためにはここで得られている結果に対して、例えば流動のシミュレーションとどのようにマッチングしていくかというのが、おそらく一つの形として必要になってくる。

CO2流動解析とモニタリングのマッチング例(1)

これに関しては2つほど例がありますが、シミュレーションに関しては十分な情報が現状はありません。例えばSleipnerでは、下にある地震波探査で得られたCO 2の分布に対して、シミュレーションで、例えばCO 2の分布の領域に合わせるためにはどのようなパラメータを設定していくか、あるいはCO 2の、もしここの時点である程度モデル化が完成されれば、次は完成されたモデルでモニタリングの結果にわりと合わせやすいように流動の解析が得られます。

CO2流動解析とモニタリングのマッチング例(2)

もう一つはWeyburnのほうでも同じですけれども、流動のシミュレーションと実際にSeimicのデータを合わせることがここでも行われています。このようなCO 2分布に対して、流動のほうでもCO 2がどのような分布をしているのか、右と左の2つの図面で合わせることができます。

CO2圧入による振幅異常域分布(貯留層)

さらにもう一つは、ある領域で振幅の異常域。要は、CO 2があるところに集中的に集積するような話があるんですが、それはCO 2の集積に関して、時間的な遅れよりも、振幅を使ったCO 2の分布を調べるというのがわりと有効的というのが、Weyburnのデータから読み取ることができる。
例えば2001年の時点で振幅の異常が、変化があった領域と、2002年と比べると、かなりはっきりとCO 2がこの周りから広がるというのが読み取ることが出てきた。なぜかというと、薄緑の線がCO 2を圧入する水平の井戸の存在を示しますが、要は水平の圧入の井戸の周りにCO 2がどんどん広がっているというのが、ここではっきりと読み取ることができます。

地震波探査結果に基づくCO2貯留量評価

もう一つは、せっかくスライスの断面がきれいですから、例えば貯留層の中で断面を切るだけじゃなくて、その上のキャップロック層でも同じようにスライスの断面をつくれば、そこにCO 2が存在するかどうかというのも把握することが可能ではないかというのが、Weyburnは最後にこの絵を出しました。
これはCO 2が存在する、生産する井戸の地層の走時の遅れをここで示しておりますけれども、赤の領域が走時の遅れのあった領域。でも、その上の層はほとんど赤く染まった領域が存在します。
ですから、こういった時間の遅れのデータに基づいて、実際に圧入したCO 2の量をザッと計算してみたところ、圧入した98%強のCO 2の存在を確認することができた。それは少し大ざっぱではありますけれども、貯留層の中のCO 2の飽和度を20%で想定すると、広がった領域のCO 2の量が圧入した量に相当します。
それから上の層もCO 2の分布がないと考えれば、ここはリーケージがないというふうに結論を出しました。

CO2分布や貯留量のヒストリマッチングより

こういったCO 2の分布、あるいは貯留量のデータに関してヒストリマッチングすると、このようなことがわかってきます。
一つは、貯留層の地質モデルの高精度化。つまり、モニタリングの結果に基づいて初期の地質のモデルを何回もキャリブレーションすることによって、最も地下の情報をよく反映するような地質のモデルが必要になってくる。そうすれば、こういった高精度化された地質のモデルに基づいて、長期のCO 2の地質の挙動予測が、より正確な結果を得ることができます。
もう一つは、ヒストリマッチングするだけでCO 2のモニタリングの頻度を決定することを考えます。もし数値シミュレーションから得られた結果が、CO 2の結果とモニタリングの結果がほぼ一致すれば、モニタリングの間隔をあけて実質することも可能になります。そうすれば、経費の節減にもつながります。
さらにここで得られた地質のモデルを使えば、長期の挙動予測の手法も確立されます。理想的なのは、短期の観測の結果に基づいて、CO 2の長期の挙動を予測することです。そのためには、この必要な地質のモデル、さらに手法を確立する必要があるだろうと。

CO2モニタリング事例のまとめ

こういった話を一つにまとめますと、例えば微重力の測定。これは地層水とCO 2の置換によって、重力の変化に基づいて、CO 2の分布を知ることができます。
それから人工衛星に関しては、おそらく圧入による地層水の増加が起こり得るので、そこで地表の変形が起きます。ただし私の理解では、地表の変形がイコールCO 2の分布とは限らない。これはあくまでも中の水の地層水、水圧の増加を示しているだけです。
地震波探査に関しては、ここで得られた反射の強度、走時の変化に基づいてCO 2の分布、かつ貯留量そのものを評価することができる。
それ以外に地化学の観点からは、実際にCO 2、地層、鉱物の間でどのような変化が起きるかというのもつながってくる可能性がある。これに関してもCO 2の分布を知ることは可能だと思います。

貯留層外へのCO2漏えい検出の可能性

ここで貯留層の外へのCO 2の漏洩の検討の可能性を考えてみます。先程申し上げたようにSleipnerもWeyburnも地震波の探査を行なっていますので、そこで水平スライスの断面をもしキャップロック層に対しても同じように切ってあれば、そこに異常があるか知ることによって漏洩があるかどうかというのを検出するのは可能じゃないかと考えます。
そのためには、実際に泥質岩のような岩石にCO 2がしみ込んだら、どのような変化が起こるか。ここでは、あえて異常といいます。実際は現在は、このような実験は日本を除いてどこもやっていません。ですから、私がRITEに行ったときに実際に泥質岩のサンプルを使いまして、こういった室内実験を行なってきました。

房総泥岩への液体CO2の注入時の弾性波の波形変化

その一例として、例えば房総泥岩を使いまして液体のCO 2を圧入すると、はたして観測されたのは、ここでは透過波として測定するんですけれども、どのような変化が起きるかというのがここの図面です。
赤く示しているのがCO 2を圧入する前の波の伝わり方、この房総の泥岩に液体のCO 2がしみ込むと黒の線のように波の伝わり方が変わってきます。はっきりと、こういった立ち上がりの時間の遅れと、それから振幅の強さが変わっていることを考えると、おそらく走時の遅れ、あるいは振幅の変化に基づいて泥岩の層にCO 2があるかどうか、ある程度検討することができるというふうに考えられます。

房総泥岩への超臨界CO2の注入時の弾性波の波形変化

もう一つは、地下の条件がもし超臨界であれば同じように実験をしてみたところ、赤の線が圧入の前、青の線が圧入あと。先程の液体と同じように、ここでも超臨界の圧入によって走時の遅れと振幅の減少を確認することができました。

初動振幅の急激な変化より⇒CO2漏洩の早期検出

さらに、できれば漏洩は早く知りたい、あるいは早く検出する。我々は実験している中で気づいたことは、実は初動の振幅の急激な変化が実際の実験のときに観測されました。要はこういった波の変化をここに重ねると、時間的な遅れよりも、むしろ最初に振幅の変化がある先に起きているというのが実際の実験の中での観測です。
例えば上から3つか4つ目の波は位置はそれほど変わらないんですけれども、山の高さはどんどん下に下がってきています。さらに後半、右側にシフトしていく。時間の遅れが存在します。

CO2漏えいの早期検出には、弾性波速度よりも、初動の振幅が有効

これをどのように読み替えてやるかというと、例えば漏洩の早期検出に関して、もし弾性波の速度よりも、初動のほうが有効であれば、例えば地下に、海底にしても、常設のモニタリングシステムを入れてしまえば、常時そういった情報を得ることができると考えています。

CO2貯留量評価手法の確立

さらにもう一つ、実際にリザーバーの中にどれぐらいのCO 2がたまっているか。漏洩の話をするときに、実際にどこで漏洩するかわからないことも考えられますので、できれば、どれぐらいの量がそこにたまっているか。入れたものと、実際にたまったものを比べてやることも可能です。そのためには、貯留量の評価が現在盛んに検討されています。評価するために必要な情報としては、あるいは考えとしては、一つは波の速度を使う。つまり地震波探査なら、ここでP波の速度とか振幅が得られる。さらに電磁波探査だったら、比抵抗の値を入れればいい。

長岡サイトの坑井配置(貯留層深度)

できれば、我々が長岡で実際に実験して研究した感じでは、それぞれの値よりも、むしろ両方あわさったようなジョイント・インベンションという手法が考えられるんじゃないかと考えています。実際に長岡のサイトのほうから圧入井、観測の井戸の2号井から、コアの試料を採取してRITEで実験を行いました。

長岡サイトのコア試料を用いた測定実験

そのうちの一つが、貯留層に相当する砂のサンプルを使いまして、長岡の地下の圧力と温度条件のもとで実際にCO 2を圧入してみると、ここにあるように横軸が圧入開始時間、縦軸がP波が減少した割合、さらに右側が振幅の比較をとっている。赤が、速度が減少した経時変化です。最終的には20%ぐらい速度が変化します。実は、ここでは初めて長岡のほうの検層の結果で20%という値を我々はラボのほうでもコアを使って確認することができます。
もう一つこの実験で大事なのは、青の点に示されている振幅変化です。比べてみますと、走時の速度が大きく下がっていく前に、極めて短時間の間で振幅が急に下がってきます。これが漏洩の早期の検出に使えるんじゃないかと考えています。

音波速度と比抵抗VSCO2飽和度

もう一つは量の評価についてですけれども、ここでは長岡の検層の結果をクロスボードしてみました。横軸はCO 2の飽和度、縦軸が音波の速度、右縦軸が比抵抗の結果です。これを比べてみますと、CO 2の飽和度が高くなるにつれて、音波の速度は急激に下がって、それからあまり変化しなくなる。
これに対して比抵抗のほうは最初は変化は緩いですけれども、途中から立ったようなカーブになる、要は急激に変化する。ちょうどクロスしているところが0.3、30%前後のCO 2の飽和です。
何を言いたいかというと、飽和度がある程度高くなると、音波の速度はCO 2の存在に対して鈍感になります。その鈍感になったCO 2の量に対して、今度は比抵抗のほうから見ると、こっちのほうがCO 2を顕著に検出することがあります。ですから、もしCO 2のある固まったところで存在して、かつ飽和度が高ければ、両方の信号を使って、あるいはデータを使って量的に評価していく必要があるだろうと考えます。

Immbibition(浸水)過程の比抵抗変化

さらに長岡はすでに圧入が終わってだいぶ時間がたっていますけれども、実はここでは比抵抗のほうに面白い変化のデータが観測されました。つまり、一度CO 2がそこに存在するんですけれども、よく言われるようにCO 2は水より軽い、自分の浮力でどこかに移動してしまう。実は移動する過程で、新たにCO 2がたまった領域に水がやってくると、比抵抗のほうが敏感に反応するというのが、この結果で読み取れます。このようにCO 2の移動によって水がやってきて、さらに抵抗が今度は小さくなっていきます。

弾性波速度VS CO2飽和度

さらにその小さくなっていく過程で、音波の速度はどのようなレスポンスなのかです。同じように横軸がCO 2飽和度、縦はP波の速度ですけれども、オレンジ色の点はCO 2を圧入する過程で得られた音波の速度です。これに対して圧入が終わったあと、浸水過程ですけれども、薄青の点を見ると、徐々にではありますが、左のほうに動いています。もしかしたら、もう少し計測を続ければここの音波速度が急激に変化するポイントがやってくるかもしれない。

残留ガストラップとCO2長期挙動予測

これは何が意味があるかとういと、長期の安全性の中で一つ重要なトラップのメカニズムとして考えるのが残留ガスのトラッピングです。つまり、このようにCO 2がもともとたまった領域がありまして、もし時間がたつとアップデプスのほうにCO 2が移動していくと、後ろのほうでは所々CO 2がトラップされてそこに存在する、とどまって、半永久的にここから移動できない。ですから、もしフリーのCO 2が移動してほしくないですが、もし移動すれば、この(下図)ような形で地下に安全にCO 2をトラップすることが可能というふうに思われております。

圧入中と圧入後の長岡サイトの地層水圧の経時変化

現在、長岡のほうは井戸も封鎖されていなくて幾つかのデータも続けてとっていると思いますが、ここで水圧の変動の話をしたいと思います。これは圧入のインジェクション側の圧入の井戸の水圧の変動、それから少し濃い緑色は4号井の圧入の変動です。長岡はCO 2圧入開始前は10.8MPa。圧入することによって11.5、あるいは12まで水圧は上がってくるんですが、実は圧入を停止してしまうと、このようにかなり短期間に地層の水圧が徐々に減少していて、ほぼ元の状態に戻りつつあります。
つまり、ここではこういった水圧を常時モニタリングすることによって、地下でどのようなCO 2の流動、場合によっては地層を破壊しないような制御された圧入のモニタリングが実施することが可能というふうに考えられます。

室内試験&現場測定の結果より

今まで行われた室内の実験と現場の結果を考えますと、一つは貯留量の定量評価について、我々は弾性波の速度と比抵抗の同時測定が必要と考えました。というのは、20%以下の飽和度では弾性波が敏感に反応するんですけれども、それ以上のときにはむしろ比抵抗のほうが敏感になってくる。
さらに漏洩の早期検出するためには、速度よりも走時よりも振幅のほうが有効ではないか。そのためには、例えばこういった常設型モニタリングシステムが必要になります。
もう一つは、残留CO 2トラップメカニズムをさらに解明していく、あるいは理解を深めるためには長岡サイトで継続してモニタリングしていく必要があると。ここでは現在、長岡のサイト以外に定量的な評価、かつ圧入が終わったあともそういったCO 2の挙動の議論に関しては、ここのみそういったデータが得られていますので、ぜひとも、このへんのことを検討していく必要があるかと思います。以上です。
  • 佐藤座長
    どうもありがとうございました。何かご質問ご意見ございましたら、お伺いいたします。
  • 熊谷委員
    コメントなんですけれども、Sleipnerで微重力測定をやった理由というのは、たしかGHGT-8のときに出していた話ですと、CO 2の比重が温度によって違うので、シミュレーションの結果から、ボリュームから重量に直すときに、その温度分布がどうなるか仮定することによって大きな違いがあるというので、それであれば重量を測ったらどうかというのもあったというふうに聞いています。ただ1回目やったときは、センサーの設置の不備といったところでうまくデータがとれなかったという話があったと思います。
    もう一つは、Sleipnerの「地震探査結果@Sleipner」を見ていただきますと、これが非常に示唆的なのは、今回のGHGT-9のときにもあったんですけれども、Sleipnerの分布をよく見てみると、先程ご説明のあったレジデュアルトラッピングによって保持されていると思われるようなものが非常に多いというので、今回GHGT-9なんですけれども、そのレジデュアルトラッピングに関する発表が多かったということで、あとのほうでご説明されました長岡で実際にもう少し長い間観測すると、そのレベルトラッピングの効果がよりわかるんじゃないかとおっしゃったのは非常にいいポイントじゃないかと思います。
    もう一つ、Sleipnerの例でGHGT-9でもう一個ありましたのは、キャップロックから上のオーバーバーデンの貯留量というものを考えてみると、漏洩というものがキャップロックを超えたものの漏洩じゃなくて、生物圏に出ることを漏洩と定義すると、オーバーバーデンにおける貯留量が非常に大きなものになるので、そういった意味でも万が一キャップロックから上にいったとしても、それは漏洩ではなくて、オーバーバーデンによる貯留だというものもありましたので、我々漏洩ということを考えるときでも、そういうようなことも考えるべきかなと思います。
  • 薛委員
    最後におっしゃられたキャップロックの中にしみ込んだときということに関しては私も同じような考えで、多少しみ込んだとしても、むしろ上の層は浸透率が低いと考えれば、その層の一番上までブレークスルーしない限り、そこは貯留そのものは安全であるというふうに私も思っています。
  • 當舎委員
    これもコメントなんですけれども、重力に関してSCRIPPSのドクター論文として一般公表されていて、その結果を見ますと、「微重力測定@Sleipner」から、seismicのCO 2の圧入分布と必ずしも重力の圧力分布が合わないといいますかね、当然かもしれませんけれども。重力のほうで見ますと、25番という点が非常に大きな重力変化が出たというふうに私は記憶をしていて。
    言いたいことはseismicはかなり有望なんですが、seismicだけで見ていると、必ずしもあるものしか見えなくて、先程、薛さんが言われた比抵抗と組み合わせる、ないしは重力と組み合わせると、たぶん温度の違いによって重力に関しては差が出てきているのかなということもあって、ある意味、何らかの手法を幾つか組み合わせないと本当の姿は出てこないのかなというのを感じました。以上です。
  • 佐藤座長
    何かございますでしょうか。
    いまご説明いただいたいろんな視点で切り分けられるんだと思います。モニタリングの範囲が巨視的にモニタリングをするというものと坑井ごとに進めるというのもあります、という分け方が、まずあると思います。
    それからモニタリングの目的が効率的に貯留層を活用するために貯留層内のCO 2の動きを見てみるということと、漏洩を検知するというような見方があるかと思います。
    このワーキンクでは、どちらかというと貯留層の効率的な運用というのは事業者さんがやられたらいいので、安全性という観点からいくと、漏洩を主目的とした場合にどういうモニタリングがよろしいのかを主にやるべきワーキングだと思いますけれども、そういう意味でWeyburnのほうでいろいろ積算してみると98%あるので、よろしそうだという話があって、地下のほうでやっている者にとっては98とかになると、これは大変よろしいと感じますけれども、それはいろんな人の見方があって、じゃ、2%漏れているのねというような方もいらっしゃるかと思います。
    そういう意味で、漏洩を目的とした場合のモニタリング手法として、いま薛さんいろいろやられていて、これが一般の方々にもわかっていただけるようなやり方としては、こういうものがあるなというのは何かございますでしょうか。
  • 薛委員
    そうですね。一つは、漏洩をどういうふうにとらえるかですけれども、私が思うには、いまの地震波探査がとらえている目標、ターゲットとしては、あくまでもフリーのCO 2。要するに水に溶けたもの、あるいは別の形、HCO3になったものというのは地震波探査でとらえきれないです。
    ですから、98%あればあと2%というのは確かに議論ではありますけれども、早期に漏洩を検出するためにはフリーのCO 2が移動していくと考えると、こういった水平のスライス断面をつくるというのが一つの手法じゃないか。というのは、実際に実験で見る限り、泥質岩の中にCO 2がしみ込むとそのように振幅が急激に変化する、走時が変化するというのが同じように貯留層の中で起きていると考えれば、そういったことは有効じゃないかと私は思います。
  • 佐藤座長
    あと最後のほうでご説明のあったので、泥岩中の弾性波の解析というローカルに見た坑井を使ってというような話で、これは大変インシットで見るのでいい半面一点でしかみれないということがあると思いますけれども、一般の方々から見ると、もうちょっと単純に言うと、キャップロックと想定されるものの上のほうで圧力をずっと測定していて、その圧力変動がないということが地下で漏れが動いていないというのも。
  • 薛委員
    そうです。圧力と温度を常時モニタリングすれば、もしどっかつながっているところがあれば水圧のレスポンスはあると思います。
  • 佐藤座長
    いまの圧力というのは、キャップロックの上ということですね。
  • 薛委員
    そうです。上です。
  • 佐藤座長
    いま考えられる現地で直接的にというのは、その程度なんでしょうかね。ログを何回かされるというのももちろんあるんでしょうけれども、お金をあまりかけずにというと。
  • 薛委員
    たぶん貯留層の中ではいまのような圧力を測ったり、それからもし地震波探査をやれば、断面の情報を見たりというのは、ほかにはこれといったのはまだ見当たらないと思います。
  • 佐藤座長
    先程の坑井のお話を伺っていて、そういうことはべつにキャップロックの上のほうで何かを測定するというための計器を坑井に置いておくということが健全性を、ちょっとやめますということはないというふうに考えてよろしいですか。
  • 藤井様
    はい。ケーシングの外でも内でも、そういったモニタリングを付けることが坑井の健全性を大きく損ねることにはならないと考えています。作業は複雑になりますが、きちんと装着されれば、坑井の健全性も確保できると思います。
  • 佐藤座長
    ほかに漏洩という観点でコメントなりご質問なりございましたら。
    よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

その他

それでは3つ目の議題で、事務局のほうからCCSのCDM化についてのご報告をよろしくお願いします。
  • 三橋地球環境技術室長
    先般、12月1日から開催されましたCOP14の結果の中に、CCSのCDMとしての記述としての採用についての議論がございましたので、この場で関連する動きということでご報告をしたいと思います。
    背景を申し上げますと、皆さんご存じの方多いかと思いますが、2年前のナイロビのCOP12で、このCCSのCDM化についてどうするかということを、今回のCOP14でガイダンスを出すということがあらかじめ決められてありました。
    2年間、昨年のCOPも含めて、あるいは年央6月に開かれますSBSTAと呼ばれています科学上及び技術上の助言に関する補助機関会合などを含めて議論を行なってきたということでございますが、今般、最初に英語のテキストで書きましたパラ41というのがCDMというアジェンダのテキストとして合意されております。
    どういうことが書かれているかといいますと、CDM理事会、すなわち、エグゼクティブボードに対して評価レポートの提出を求めております。それはどういう評価かといいますと、CCSをCDMに取り込んだ場合の技術的あるいは政策的、あるいは方法論的な課題、影響ということをきっちり評価したものを取りまとめて、次回COPに対して報告をするようにという形になっております。
    もともとCDM理事会のほうで議論をしていて、まとまりがつかなくて大きなイッシューなので、COPの決定を仰ぎましょうといったボールが2年たってもう一回蹴り戻されたというような感じですが、じゃ、なんだったのかということを少しこの機会を借りまして、出席していました私自身から報告をさせていただきますと、本来、検討を任されていましたSBSTAの議論の中では、賛成派と反対派、すなわちCCSのCDM化を推進したいと考えていますEU、中東の産油国といった国と、南米、小島嶼国といった反対派との間で議論が分かれたまま最終的な結論が得られなかったということでございます。
    一方で、その結論が得られない政治的な分裂とは別に、反対に強硬的であったブラジルが、このCDMに関して、CCSとは別であります森林のCDMのエリジビリティーの提案を別途したというのに対して、CCSのCDM化の推進派でありますサウジアラビアがわざとテキストをぶつけて、両方がパラ41と42にそっくりなテキストが2個書き並べられたという形で、そもそも全落ちで何もなくなる合意なしのところを、ブラジルも自分の大切な森林をなんとかフロートさせるために、CCSのCDM化のテキストをのんだという構造になっておりまして、これがパラの41と42が一緒にセットで書かれたということでございます。
    これは1年間かけて検討されるということで、最も反対の強硬でありましたブラジルがある意味、森林のCDM化を人質にとられる構造になっておりますので、1年間の検討は意味がないとはいえず、なんらかの形で成果が上がってくる可能性が十分にあるというふうに私どもは考えておりまして、このCDM理事会の検討に期待をしたいということでもありますし、また日本政府としても、可能なインプットをしかるべきタイミングでしていきたいなというふうに思っています。
    ページをめくって以降、一体どういう理由で反対する諸国が反対しているのかというご質問がよくあります。
    例えば小島嶼国、あるいはジャマイカとかブラジルといったところがセグメントとして読み上げたテキストを一部私がメモってきたものを字にしておりますので、お時間のあるときにご覧いただきますとわかりますが、ジャマイカなどは「長期的な貯留の信頼性が本当に確保されてから初めて考えたらよいんじゃないか」というようなことを言っているのに対して、ブラジルのほうは「これだけ大規模な削減が起きるプロジェクトがCDMの世界に入ってきますと、炭素市場そのものに非常に影響を与えるということでもありますし、5年や8年といった約束期間よりはるかに長い期間、貯留を行なって確認するということは、クレジットを短期間の間に発行するということとどういう関係でおさまりがつくのかどうか見通しが立たないといったようなことも批判のネタとして使っていたというところが目につくところでございます。
    マルチの会合ですので、発言するものがダイレクトに反対理由を言っていないところもあるんですけれども、あくまで平場で言っていた意見ということで参考までに添付してございます。以上でございます。
  • 佐藤座長
    ありがとうございました。いまのご説明に対しまして、何かご質問ございますでしょうか。よろしいですか。
    それでは次回のワーキングの日程について、事務局よりお願いいたします。
  • 三橋地球環境技術室長
    参考の資料として一枚、次回の会合について触れてございます。
    まず、このワーキンググループでない、もう一つのワーキンググループが年明け1月19日、それからここに書いてございませんが、おととい決めたことでございますけれども、2月20日金曜日10時から12時に開くことがすでに決定しております。
    こちらのワーキンググループは、次回会合を1月30日3時から5時ということですでに委員の皆さまのご了解を得ておりますが、可能でしたら、この場で2月に開きます会合の日程を調整させていただきたいと思います。
    すでに座長から幾つか候補の日をいただいている状況ですが、2月の一番最後の週で皆さまのご都合を伺いたいと思いますが、26日午前中を除く23日の週でご都合の悪い日にち、時間帯がございましたら、言っていただけますでしょうか。
    特に大学の先生の皆さまは論文の審査等、2月の後半は日程的に厳しいのではないかと思いますので、先生の皆さまのご都合を優先するような形をとりたいと思いますが、いかがでしょうか。
    それでは、25日午前10時からということにさせていただきたいと思います。
    あわせてもう一点ご報告がございますが、すでにこのワーキンググループ単独で開催しますのは2回目、合同とあわせますと3回でございますけれども、今般、事務局の補佐という形で日本エネルギー経済研究所のほうに事務局のサポートをしていただくことになりました。細かい話になりますが、今後の委員の旅費、謝金といったことはそちらのほうを通じてということになります。
    あらためて委員の皆さまに委嘱の手続きなどをするというやや煩雑なことがございますが、郵便などで後日、日本エネルギー経済研究所のほうのほうから書類が届くかと思いますが、皆さまのご協力をよろしくお願いいたします。
  • エネ研(事務局補佐)
    どうか、よろしくお願いいたします。
  • 佐藤座長
    ほかに、何かございますでしょうか。
  • 佐藤座長
    ないようでしたら、本日はこれで終了したいと思います。どうもありがとうございました。

以上

 
 
最終更新日:2009年1月30日
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