経済産業省
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ナノマテリアル製造事業者等における安全対策のあり方研究会(第1回)-議事録

日時:平成20年11月27日(木)14時00分~16時10分
場所:中央合同庁舎第7号館西館9階共用会議室-1

出席者

中西 準子(産業技術総合研究所安全科学研究部門研究部門長)
岸本 充生(産業技術総合研究所安全科学研究部門持続可能性ガバナンスグループ研究グループ長)
福島 昭治(中央労働災害防止協会日本バイオアッセイ研究センター所長)
小川 順(ナノテクノロジービジネス推進協議会社会受容・標準化委員会委員長)
金井 孝陽(カーボンブラック協会環境・技術委員会委員長)
蒲田 佳昌(日本酸化チタン工業会ナノ酸化チタン小委員会副委員長)
庄野 文章(社団法人日本化学工業協会化学品管理部部長)
建部 和男(日本無機薬品協会ホワイトカーボン部会委員)
真柄光一郎(日本無機薬品協会亜鉛華部会委員)
山本 隆夫(ナノテクノロジービジネス推進協議会社会受容・標準化委員会委員)
後藤 芳一(経済産業省製造産業局次長)
福島 洋(経済産業省製造産業局化学物質管理課長)
田端 祥久(経済産業省製造産業局ナノテクノロジー・材料戦略室長)
高田 修三(経済産業省製造産業局化学課長)
藤沢 久(経済産業省製造産業局化学物質管理課長補佐)

議事概要

  • 藤沢補佐
    定刻になりましたので、只今から第1回ナノマテリアル製造事業者等における安全対策のあり方研究会を開催します。事務局を勤めさせて頂きます、製造産業局化学物質管理課の藤沢です。どうぞよろしくお願い申し上げます。まず、開会にあたりまして、経済産業省製造産業局後藤次長から一言ご挨拶申し上げます。
  • 後藤次長
    皆様にはお忙しいところご出席いただき、誠にありがとうございます。ナノテクノロジー、ナノマテリアルの機能や、物質としての可能性については、大変な期待をされる一方、ナノであるが故の環境や人への影響の可能性も指摘もされています。規制がないために管理せずに用いて後で問題が生じたり、反対に、危ないという不安だけが広がることのないよう、科学的知見のもとでの議論が必要です。
    ナノの概念をめぐっては、産業化への期待から広めに用いる場合や、寸法に関わる定義があります。化学物質自体には取扱の体系がすでに存在するため、化学物質としての性質というより、ナノであるがゆえに生じる性質についての議論が必要かと思います。こうした背景から、検討対象範囲を事務局の案として、お出ししています。
    よく分からないので全て制限する、よく分からないので放置するという両極端にならないよう、どうするのが合理的かという出口を見つつ、ナノ材料が本来持つポテンシャルを活用し、環境への影響も防げるよう、忌憚のないご議論ご指導を賜りたく思います。どうぞよろしくお願いします。
  • 藤沢補佐
    ありがとうございました。次に、出席者の紹介をさせて頂きます。本研究会の座長につきましては、産業技術総合研究所安全科学研究部門長の中西先生にお願いしたいと思いますので、中西先生よろしくお願い致します。自己紹介を兼ねまして中西座長から一言ご挨拶をいただければ幸いです。
  • 中西座長
    ご紹介いただきました中西です。ナノ材料のリスク評価という仕事をやっていて、日夜新しい情報が出ているが、多くの情報の中で、確かな情報が提供されることが望ましいと思っていた。特に、事業者の方はご自分たちが納得できるということで製造されており、様々な有害性試験をされていると聞いている。そういった情報が出てこなかったために、事業者が有害性に関係なく製造しているのではないかという雰囲気が作られている。したがって、この委員会を通して、事業者の皆さんが情報を提示できるようになればよいと思っている。具体的はこれから議論があると思うが、事業者の方が持っている考えや、データがきっちり外に出ていない現状を残念に思っており、何とかそのあたりを補填するような、考え方、管理の仕方についての情報が出せるようなことができればよいと思っています。
  • 藤沢補佐
    ありがとうございました。次に、本日御出席の皆様におかれましては、簡単に自己紹介をして頂けますと幸いです。
  • 小川氏
    ナノテクノロジービジネス推進協議会の社会受容・標準化委員会に所属しております。小川と申します。よろしくお願いします。
  • 金井氏
    カーボンブラック協会で技術・環境委員長をやっております金井と申します。よろしくお願いいたします。
  • 蒲田氏
    日本酸化チタン工業会でナノ酸化チタン小委員会の副委員長をしております蒲田と申します。よろしくお願い申し上げます。
  • 岸本氏
    産業技術総合研究所安全科学研究部門持続可能性ガバナンスグループで働いております岸本と申します。元々経済学で、現在ナノ物質のリスク評価・管理をやっております。よろしくお願い申し上げます。
  • 庄野氏
    日本化学工業協会の庄野でございます。化学物質の安全性評価を担当しております。よろしくお願い申し上げます。
  • 建部氏
    日本無機薬品協会ホワイトカーボン部会委員の建部と申します。よろしくお願いします。
  • 福島氏
    日本バイオアッセイ研究センターの福島です。どうぞよろしくお願いします。
  • 真柄氏
    日本無機薬品協会亜鉛華部会委員の真柄と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 山本氏
    ナノテクノロジービジネス推進協議会から参りました、山本でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  • 藤沢補佐
    どうもありがとうございました。なお、本日は武林先生、中谷内先生、新美先生、有川さんからはご欠席との連絡をいただいております。それではこれより先、議事の進行を、中西座長にお願いいたします。
  • 中西座長
    それでは、議事に入ります。事務局から配布資料の確認をお願いいたします。
  • 藤沢補佐
    本日の配布資料は、議事次第に書いてありますように、資料1から7までと参考資料1でございます。不足等ございましたら、事務局までお申し出ください。

研究会の開催について

  • 中西座長
    議題1「研究会の開催について」、事務局から説明をお願いします。
  • 藤沢補佐
    資料2「ナノマテリアル製造事業者等における安全対策のあり方研究会」の開催について趣旨を書かせていただきました。趣旨は、最近、ナノマテリアルの安全性への社会的な関心が高まっており、ナノマテリアル製造事業者等において、ナノマテリアルを自主的に管理する必要性が高まっているため、経済産業省としてナノマテリアル製造事業者等における自主的な安全対策のあり方について検討していきたいと思っております。研究会の位置付けは、製造産業局長の私的研究会として公開で開催させていただきます。スケジュールは、本日11月27日に第1回を開き、第2回を12月25日、第3回を来年1月の後半から2月にかけて開催し、記載の検討内容で検討していただく予定です。
    資料3「本研究会の検討対象について」、ナノテクノロジーは、次世代の産業基盤技術として、幅広い分野で便益をもたらすことが期待されており、ナノマテリアルは、従来の材料に比べて特有の機能が発現することが期待されています。一方、ナノマテリアルは、その粒径が小さいため、元の状態とは異なる特性や形状を有することによる有害性、健康影響を及ぼすという指摘もあります。ただし、人の健康や環境に対するナノマテリアルの影響については、現状では十分明らかになっておらず、従来のハザード評価手法では十分に対応できない可能性が指摘されています。このような現状を放置すると、ナノテクノロジーに関わる社会的懸念が拡大し、ナノテクノロジーが持つ便益が十分に活用されないおそれがあります。他方、有害性が十分確認されていないことをもって適切な取扱が行われないと、健康や環境に影響が生じるおそれもあります。したがって、現時点での科学的知見を基に、ナノマテリアルに関する留意点を整理し、現時点での適切な対策について検討することを目的としていきたいと思っております。2つ目「ナノマテリアル」の定義について、OECD、ISO等の国際機関においては、元素等を原材料として製造された固体状の材料であり、大きさを示す三次元のうち少なくとも一つの次元が1nmから100nmの物質及び構造体、構造体というのは1nmから100nmの物質が凝集したものを含むとされています。ナノマテリアルを通常の物質と別に定義する理由は、原子や分子そのものが持つ物理化学的性状に加えて、いわゆるナノサイズによる特有の性質が発現している場合があるためです。本研究会では、こうしたナノサイズであることに由来する性状を検討対象としていきたいと考えております。なお、「ナノマテリアル」の定義につきましては、国際機関等において引き続き検討が行われているところであるため、今後国内外における最新の知見を活用したいと思っております。3番目「検討対象とする事業者」について、ナノマテリアルは様々な用途に使用されているが、安全対策を検討する上で、まずはナノマテリアルに関する知見を持つ製造事業者等を対象とすることが効果的であると考えております。よって、本研究会における検討対象は、現時点では製造事業者等としたいと思っております。なお、使用事業者等については、今後、製造事業者等における取組状況を踏まえて検討することとすることを考えております。「検討対象とする安全対策」について、本研究会での検討対象とする安全対策は、ナノサイズの大きさに起因した特有な有害性に関する懸念に対応するための対策としたい。よって、ナノマテリアルの成分が持つ、化学物質としての有害性に係る対策は、検討対象としないということを考えております。
  • 中西座長
    只今の説明について、ご質問、ご意見等ございましたらお願いします。
  • 福島氏
    ナノマテリアルの定義について確認したい。定義の中に、自然発生的なナノマテリアルや製造過程で発生する非意図的なナノマテリアルは含まないという理解でよいか。
  • 庄野氏
    ナノマテリアルを通常の物質を別に定義する理由について、「原子や分子そのものが持つ物理化学的性状に加えて、いわゆるナノサイズによる特有の性質」とあるが、小さい形状であるということが原因となるのでそこに着目するということでよいか。つまり、化学物質が本来持つ分子生物学的作用とは別にナノであることに着目した性質と理解して良いのか。
  • 藤沢補佐
    自然発生源のものは含まないということを考えております。非意図的な発生源についても、基本的には考えない。
  • 中西座長
    「原子や分子の物理化学的性質に加えて、生物学的影響について検討する」とすべき。ナノサイズの影響だけを切り分けて取り上げることは難しいため、議論の中で柔軟に考えていくべき。事業者の方々からご説明いただく時には、事業者自身が、なぜナノマテリアルの対象に含まれているのか、お考えを伺いたい。

ナノマテリアルに係る現状等について

ナノマテリアルの安全性に係る国内外の動向について

  • 中西座長
    「ナノマテリアルの安全対策に係る国内外の主な取り組みについて」、事務局より資料の説明をお願いします。
  • 藤沢補佐
    ナノマテリアルの安全対策に係る国内外の主な取り組みについてご紹介させていただきます。まず国内における取り組みとして、経済産業省では、平成18年度委託調査において、ナノテクノロジーに関連する研究や製造が行われている現場の現状を調査するとともに、海外での管理事例を調査し、我が国にとって最適なナノ材料の管理手法を検討し、とりまとめた報告書がございます。次に、ナノ粒子特性評価手法の研究開発について、平成18年から22年度の5年間、科学的根拠に基づいたナノ粒子の適正な評価を実施するため、ナノ粒子の計測技術の確立、生体影響評価手法の開発、ばく露評価手法の開発とともに、ナノ粒子のリスク評価及び管理手法の確立を図る研究開発を実施しております。これはNEDOプロジェクトとして産業技術総合研究所、産業医科大学で実施しております。なお、本年4月には、NEDO、産業技術総合研究所、OECDの主催により、国際シンポジウムを開催しております。厚生労働省労働基準局におきましては、平成20年3月から10月にかけて、「ヒトに対する有害性が明らかでない化学物質に対する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会」を9回開催し、報告書を取りまとめております。医薬食品局については、ヒト健康への影響については未解明であることから、安全性の評価手法や安全対策のあり方等について検討を行うため、平成20年3月から「ナノマテリアルの安全対策に関する検討会」を開催しております。環境省では、ナノ材料の使用実態等を踏まえた環境中への放出の可能性と管理手法についての知見の収集と整理を行うため、本年6月から、「ナノ材料環境影響基礎調査検討会」を設置して検討を行っております。我が国では、このような検討会、研究会を行われているところでございます。
    英国環境食糧地方問題省は、「工業ナノ材料についての自主的報告スキーム」を、2006年9月から2008年9月まで2年間実施しました。提出されたレポートは11レポート、うち産業界から9レポートと学術界から2レポートでありました。現在、ナノテクノロジーに関する閣僚グループにおいて、今後の対応を検討しているところです。
    米国EPAでは、ナノマテリアルを扱っている企業による自発的な情報提供プログラムであるスチュワードシッププログラム本年1月に開始しております。スチュワードシッププログラムは、ナノマテリアルの安全な取扱いについて理解を深め、将来的な規制の是非や必要に応じ規制対象などを絞り込み、安全なナノマテリアル開発を促進するために、TSCAのもとに、ナノマテリアルを扱う企業などに自主的なデータ提出を促すことで情報を収集するものであります。提供が期待されている内容は、ナノ材料の物理化学的特性、有害性情報、曝露情報、リスク管理対策の情報など多岐にわたっております。当該プログラムは基礎的プログラムと詳細プログラムからなり、前者は手持ちの情報のみを提出する、後者はEPAと相談しながら費用をかけてデータを取得していくものです。基礎的プログラムは、10月23日現在では25事業者から113のナノスケール材料についての情報提供がホームページに載っております。米国EPAは、TSCAはCNTにも適用でき、CNTはTSCAのインベントリ上のグラファイトや他のカーボン同素体とは区別できる化学物質であることから、多くのーボンナノチューブはTSCAの第5条に規定される新規化学物質であることを発表しております。そのため、商用目的でCNTの製造・輸入を行う業者は、CNTの製造・輸入を90日前に届け出ることが必要となりました。TSCAの中で、工業ナノ材料が新規であるか既存であるかということについて、EPAはケースバイケースで適用していくことで、具体的には、炭素の同素体である、CNT、フラーレンなどは新規化学物質となるが、二酸化チタンや銀などは既存化学物質となるようです。
    OECDの取組について、平成18年9月に工業ナノ材料に関する作業部会が設置されました。その中で工業ナノ材料のヒト健康及び環境の安全性に関係する側面における国際協力がOECDをベースに進められております。8つのステアリンググループが作られております。現在我々が積極的に参加しているのはSG3、「代表的な工業ナノマテリアルの安全性試験」です。SG3の取組の一環として昨年11月からスポンサーシッププログラムが開始されております。これは、生産量等の観点から選定された代表的ナノマテリアル14物質に関し、合意された安全性情報項目について情報収集あるいは試験を実施するものであり、各国が自主的に特定のナノマテリアルのスポンサーとなり、試験計画を策定することとしております。日本は現在米国と共同で、フラーレン、単層CNT、複層CNTのスポンサーとなることを表明しており、経済産業省を中心とした関係省庁及び産業総合研究所等の機関で試験を開始しているところでございます。これは先ほど紹介したNEDOのプロジェクトの一環として実施しております。代表的なナノマテリアル14物質について、2008年の10月現在、まだスポンサーのついていない物質もございます。OECDにおけるナノマテリアルに関する取組の経緯を次に記載しております。
    ISOにおいては、2005年5月にナノテクの技術委員会、TC229と用語・命名法、計測・キャラクタリゼーション、環境・安全・健康の3つのWGが設置されました。WG1はカナダ、WG2は日本、WG3はアメリカがコンビナー、議長となっております。今年の2月に新たに材料規格のWGが設置され、中国がコンビナーとなっております。以上、国内外の主な取り組みについてご説明しました。
  • 中西座長
    只今の説明について、ご質問、ご意見、補足等ございましたらお願いします。

ナノマテリアル製造事業者等における取組について

カーボンナノチューブ
  • 中西座長
    次の議題に参りたいと思います。「ナノマテリアル製造事業者等における取組について」、事業者の方から発表いただきたいと思います。まずに、ナノテクノロジービジネス推進協議会の小川さんからご説明をお願いいたします。
  • 小川氏
    資料5-1に基づいてご説明申し上げます。まず、ナノテクノロジービジネス推進協議会(NBCI)の紹介をさせていただき、その後カーボンナノチューブのご説明をさせていただきます。(3頁)ナノテクノロジービジネス推進協議会は、2003年の10月に設立され、ナノテクノロジーに興味のある大学、商社等の関係者が会員となっております。(4頁)組織体制について、社会受容・標準化委員会を設置して安全性の問題等について対応しているところです。(5頁)ナノ材料に関する取組として、2月7日に発出された厚生労働省の局長通知について、NBCIの主催で説明会を開催しました。参加者130名80社が参加されました。この他、厚生労働省、環境省の検討会にナノ材料を取り扱う産業界の代表として出席しております。(6頁)NBCIの会員企業にアンケートをとった結果をまとめてあります。ナノマテリアルを取り扱う会員企業は、粉じんという観点での対策としては、すでに法令等を遵守しているということ、厚生労働省の通知を受けた、製造工程のばく露防止対策を行っています。(7頁)CNTのサイズについて、繊維の径は数nmから150nm、長さが数ミクロンから10ミクロン程度です。取扱量は、単層CNTが年間約100kgでほとんど研究用です。太さが10-70nmの複層CNTが約60-70トン、糸の径が最大150nm程度のカーボンファイバーが年間約60-70トンと報告されています。右側に写真が掲載されておりますが、単層CNTはシートが1つだけのもの、複層CNTは何層にも重なったものでございます。CNTには、製造法、精製法によってグレード、種類が多岐にわたっています。特に単層CNT、複層CNTについては、少なくとも一次元が100nm以下ということであれば、ナノの材料であろうということで間違いないですが、一方、カーボンナノファイバーは、平均の繊維径が150nmであるが、少なくとも100nm以下の分布も存在していることから、大きくとらえてナノ材料であろうとメーカーでは考えています。(8頁)簡単な用途、開発状況について、単層CNTについては、現在は研究開発中であり、将来的にはトランジスタ、燃料電池、機能材料から機械的な材料として開発が進められています。(9頁)複層CNTについては、半導体トレイ等で導電性を持たせたプラスチックの材料として使われている他、将来的には、デバイス、燃料電池などの用途があると聞いています。カーボンナノファイバーについては、リチウムイオン電池の電極の添加剤として使われており、将来的には、機械的な強度を目的とした用途等の開発も進められています。(10頁)カーボンナノファイバーのリチウムイオン電池への応用の例を紹介します。カーボンナノファイバーをわずか2%添加することによって、電池の容量の低下が防ぐことができます。また、カーボンナノファイバーを添加することによって、大きな電流で使用しても電池の容量を十分に活かせるため、今後、自動車や風力発電の貯蔵等、大電流を使用するという環境上の目的に合致した用途にも活用が可能です。(11頁)複層CNTの製造工程における安全管理の例を示します。写真1に電子顕微鏡写真を示します。製造時には基本的には密閉系の製造ラインを使用し、建屋外にCNTが排出させないため、フィルタとHEPAフィルタの組み合わせ等の対策、運転員への保護具の適切な使用等の教育、お客様に対してはMSDSの配布と取扱の注意喚起、製造設備内での環境測定を行っております。(12頁)複層CNT製造工程での例について、排気についてはフィルタを設置して外部環境への放出を防止しております。排水に関しては、冷却水がほとんどでナノ材料の混入はございません。また、発生する廃棄物については、産業廃棄物としてほとんどが焼却処理されております。(13頁)最終製品からの一般環境に与える影響について、リチウムイオン二次電池では、CNTは電極にバインダーとともに固定されており、電池自体がパッケージングされているため、使っている最中に大気環境へ放出されるということは考えにくい。また、使用されている希少金属の回収の観点から、リサイクルシステムが確立されている。半導体のトレイについては、CNTは樹脂に強固に固定されており、この状態での環境中への放出はないと考えられます。(15頁)樹脂の中に固定されている状態での断面写真を掲載しております。(16頁)NBCIでは、海外の研究機関あるいは工業会等に自主管理という視点でヒアリング調査を行っております。
  • 中西座長
    ありがとうございました。それでは、只今の説明について、ご質問等ございましたらお願いします。
  • 福島氏
    7頁の生産量は何年のデータか。複層CNTについては、繊維の径が10-70nmより大きいものもあるのではないか。
  • 小川氏
    生産量については、2007年時点のデータであったと記憶している。定義状99nmまでは「ナノ」チューブと言えると思うが、実用的に使われる70nm程度のものが商業化されている。もっと太いものはカーボンナノファイバーと呼ばれるが、命名と定義には曖昧な部分があり、メーカーが自主的につけているので、厳密な違いはない。
  • 岸本氏
    安全管理や排出対策について、ナノマテリアルだから特別にやっているのか。通常の粉体で行われている対策と比較して、特別なものはあるか。
  • 中西座長
    MSDSの内容について教えていただきたい。公開されているのか。
  • 小川氏
    HEPAフィルタは高価なフィルタであり、通常の粉体ではあまり使われないものであり、ナノに係る環境への配慮で使用していると認識している。メーカー5社に聞いたところ、5社全てがMSDSを作成しており、うち1社がHPで公表している。残り4社は顧客からの要求に応じて出すとのこと。
  • 真柄氏
    カーボンナノファイバーについてもサイズの分布があるとのことであるが、1100m以下のものはどの程度含まれているのか。
  • 小川氏
    15-20%程度含まれているため、ナノマテリアルと認識している。
  • 藤沢補佐
    環境測定として、具体的にどのような測定を行っているのか。
  • 小川氏
    アスベストに準拠した測定法である。一定量の空気を吸入して取れる繊維の本数を測定している。また、一部企業は、労働安全衛生研究所の行うナノ向けの環境測定に協力している。
  • 中西座長
    100nm以下のもの割合が少なくてもナノマテリアルと呼ぶのはなぜか。少量でもふくまれていれば将来問題になる可能性があるためか、それとも商業的な価値があるためか。
  • 小川氏
    100nmで安全性について厳密に仕分けられるわけではないため、ナノマテリアルに含めており、商業的な意図はない。150nmの中空の多層の材料についてのEPAの見解は、複層CNTの1つであるとのことであり、我々もその考え方を踏襲している。
  • 中西座長
    EPAの考え方も、100nm以下のものが一定程度あるということなのか、それともサイズにこだわらず複層CNTというグループに含まれるということか。
  • 小川氏
    後者の解釈である。
カーボンブラック
  • 中西座長
    次に移りたいと思います。カーボンブラック協会の金井さんからお願いします。
  • 金井氏
    カーボンブラックについてご説明をさせていただきます。(2頁)まずカーボンブラックとは何かと言うことですが、カーボンブラックとは、管理された条件下で作られた煤と定義されます。煤ですから外観は黒いです。製品として出荷される際には、約1mmくらいのビードという形状になっています。これから製品を回覧します。出荷形態は、ビードが約95%ですが、粉末状の製品もあります。(3頁)カーボンブラックの用途は、ゴムの補強剤や黒色の着色剤、導電付与剤等です。具体的に皆様の身の回りでは、タイヤ、自動車部品、電気部品、印刷物、電気部品、IC部品、ICトレイ等の身の回りの黒い部品の多くに使用されています。(4頁)構造は、乱層構造の黒鉛であり、比表面積は5-500m 2/gで、普通用いられているものではおおよそ20-200m 2/gです。炭素を主体としてものですので、電気や熱の伝導率は非常に良く、水、油に溶解せず、非常に高い耐食性を持っております。(5頁)カーボンブラックの最小単位をアグリゲートと呼んでおります。モデル図を書いておりますが、長さは数百nm程度であり、その一部がドメイン(粒子)と呼ぶものになっております。ドメインの一部は100nm以下であると言うことは当てはまるのですが、生成過程で経由する液晶段階において融着しており、さらに炭化水素が結合してそれが更に炭化するということが起こりますので、非常に壊れにくく、粒子単独で存在することは考えにくい。ドメインの大きさは、10-500nm程度、アグリゲートは数十~1,000nm程度のものですが、カーボンブラックは、製品中でも空気中でもアグリゲートの状態で存在することはなく、二次凝集体(アグロメレート)の形状をとっております。二次凝集体は、数ミクロンから数百ミクロンと言われております。さらに、製品として固めてお客様にお出しするビードの大きさは1mm程度です。(6頁)アグリゲートの写真を品種別に載せさせていただきましたが、例えばドメインだけでできている大きなものや、長く連なって1,000nm程度になっているものまで、非常にたくさんの種類があります。カーボンブラックについて、国際規格で百種類近く、個々のメーカーの品名で言うと千を超える品種があります。(7頁)アグロメレートはアグリゲートがいろいろな結合により生じる二次凝集体であると定義できます。実際に測定してみると、数ミクロンから数百ミクロン程度になっております。製品工程でもビードを形成する前にはアグロメレートの形態で存在すると考えられます。市販されている粉末状カーボンブラックもアグロメレート形態であると考えております。(8頁)ビードについては、発じんを防止するという観点でカーボンブラックを固めたものであり、現在市販されている製品のほとんどはビード形状で出荷されております。ビードの製造方法には、水を加えて作る湿式法と水を加えずに作る乾式法がございますが、どちらの方法でも、最終的には水分を飛ばした状態で出荷します。(9頁)製造工程の一例を示します。カーボンブラックは多環芳香族であるタールや石油の接触分解重質油成分を原料として反応炉で作られます。反応炉は耐火物で作られており、1,300-1,800度という高温でカーボンブラックを生成させます。生成したカーボンブラックはすぐにアグロメレートの形態になりますので、比較的簡単に(ほぼ99.9%の効率)バグフィルタ等で捕集することができます。捕集されたものを造粒器に入れて水を加えて造粒、乾燥し、出荷する形態になります。(10頁)国内生産量は約80万トン、国内需要量は100万トン弱です。世界全体では、2007年の実績では生産が約953万トンで、ほぼ同量使用されております。(11頁)安全対策について、カーボンブラックは非常に歴史の長い産業であって、その間いろいろな安全対策を行っております。例えば、カーボンブラック製造工程は、基本的に外部に粉塵が漏れない構造としています。ポイントは3つあり、浮遊カーボンブラックを扱う設備は、密閉構造で出口部分にはバグフィルタ設置し捕集する構造となっています。その他カーボンブラックの輸送、貯蔵設備は点検口及び空気の取り入れ口、負圧の部分を除き密閉構造としており、粉塵が発生し易いシュート等には、系外への漏えいを防ぐ為、粉塵吸引装置が設置され、バグフィルタで処理されています。製品出荷用排出口にも同じような吸引装置が設置されているほか、系内よりの取り出し口は負圧にして発塵を抑えています。(12頁)我々はお客様や輸送業者様に対して、次の内容を示しております。使用等取扱上の施設は極力密閉構造とし、容器や配管等も外部に漏れないものを用い、点検孔、マンホール等解放される部分もシールで密閉する、というものです。「カーボンブラック取扱安全指針」を顧客(消費者)にお配りしています。(13頁)労働者のばく露対策について示します。粉塵対策としては、労働安全衛生法粉じん障害防止規則及びじん肺法の規則内容を当然遵守しています。保護具の使用については、粉塵作業に従事する場合は、防塵マスク、防塵メガネ、ビニール又はゴム手袋を使用しております。その他、製造工程の中で、作業環境の向上の取り組みについてもノウハウがあり、取扱安全指針の中で示しております。(14頁)出荷時の梱包状況には、3つの形態がございます。最も多いのは大口需要家向けのバルクトラック輸送であり、我々の製品タンクから、バルク車に直接詰めて出荷しています。次に、500-1,000kg投入可能なフレコンバックに入れ、漏れないようにゴムラインニングをしてお届けします。内容量20kg程度の粉塵が外部に流失しない構造の紙袋に入れて出荷しております。なお、顧客に対しては、MSDS及び取扱安全指針を配布して、安全上の注意を徹底しています。(15頁)カーボンブラックのフレコンバックでの輸送、紙袋での輸送の写真がございます。(16頁)最後になりますが、廃棄物の処理方法についてご説明します。製造工程・出荷工程及び工場各所には多数の吸引ラインが設置されており、吸引されたカーボンブラックは再処理されて製品化されます。製品以外で系外から取り出したカーボンブラックは、再利用できるものは再利用し、再利用できないものは、産廃処理業者に委託して焼却処理をしております。
  • 中西座長
    ありがとうございました。只今の説明について、ご質問はございますか。
  • 岸本氏
    今日お話された対策は以前から行われていたのか。最近アグロメレートの粒径が小さくなってきているのか。顧客の中から、粒子のサイズを小さくして欲しいという意見はあるのか。
  • 金井氏
    カーボンブラックについては、以前から粉じん防止対策が取られていました。例えば取扱暗然指針の初版は1982年3月であり、いわゆるナノという言葉ができる以前から対策をしておりました。カーボンブラックの特性とサイズ、比表面積との関係はほぼ理解されています。例えば、タイヤには、比表面積が大きいもの、黒色をより黒く出すためには比表面積の大きいもの、アグリゲートの短いもの、導電性を上げるためには表面積の大きく、アグリゲートの長くつながったものを使う等、用途に応じて様々なグレードあり、これは従来からありました。
  • 中西座長
    印刷に使われるカーボンブラックは、従前より細かい粒子のものになっているのではないか。
  • 金井氏
    最近の動きではなく、より鮮明な黒を求めるという動きは10年くらい前からあります。
  • 中西座長
    カーボンブラックだけでなく、全体として要求はナノ化していると思うが、出荷形態は変化しているか。5%程度が粉末状で出荷とあったが、これは特殊な用途ということか。
  • 金井氏
    着色用途等で溶剤系に使うというものは、粉末の方が混ざりやすい等、出荷形態はそのような必然性から出ている。
  • 福島氏
    粉末状のものは、サイズはどのくらいなのか。
  • 金井氏
    アグリゲートではなく、アグロメレートの発達した状態であろうと想定されますが、二次凝集については測定技術が難しいので、何ミクロンという言い方はできません。
  • 中西座長
    粉末状というと非常に小さいものだと思ったのですが、出荷する時はアグロメレートということであるということですか。
  • 金井氏
    そうです。例えば、空気中でチンダル現象を目視することができますので、ナノオーダーではないだろうと言うことができます。
  • 中西座長
    それは、一部が見えないだけということはあり得ないですか。
  • 金井氏
    そうかもしれません。
  • 山本氏
    ユーザーが製品を破損してしまったという時に、アグリゲート又はドメインレベルでの飛散が起こる可能性はあるか。
  • 金井氏
    製造工程でもすぐにカーボンブラック同士は凝集してしまう。お客様で使われている段階ではビードかアグロメレートの状態であり、これがアグリゲートで飛散することは考えにくい。全くないかと言われると答えられないが、ドメインにまで分解することはないのではないか。
  • 中西座長
    アグリゲートの粒径はどの程度か。BETの表面積から計算されるような粒子の大きさは。
  • 金井氏
    それは実際に存在するものではありませんが、遠心沈降の相当径に直す、つまりアグリゲートをつぶして球形にすると100nm近辺になる。製造過程でドメインが集まって、その段階では液晶状態なので、ぶつかり合ったときに完全に一体化する、そういうものが連続してアグリゲートを形成します。
  • 中西座長
    長い間カーボンブラックを使ってきて、職業病、例えば肺への沈着というものはないのか。
  • 金井氏
    よく分からないが、例えばドイツ、アメリカ、イギリスの疫学調査の結果では、有意差としてあるかないかわからない、という表現をとっている。
  • 岸本氏
    製品の破損の話があったと思うが、例えばタイヤの摩耗といったライフサイクルまで含めた環境放出について検討しているか。
  • 金井氏
    我々の協会ではまとめていない。
  • 岸本氏
    破損の時のように、もっと小さい単位で環境中に放出されるという可能性については。
  • 金井氏
    ほとんどないと思う。十分にゴムに入れ込んだ形で存在しているので、それが環境中で、例えばドメイン程度の大きさになることはないだろう。
酸化チタン
  • 中西座長
    次は日本酸化チタン工業会の蒲田様、お願いいたします。
  • 蒲田氏
    ナノサイズ酸化チタンについて、顔料級と呼ばれるナノではない酸化チタンとの対比でご説明します。まず酸化チタンについて、製造、特性、取扱状況について説明します。(2頁目)酸化チタンは非常に屈折率が高く、通常ナノではない酸化チタンは、酸化チタン粉末として、インキ等の白色ペイント用の粉末として使用されています。酸化チタン粉末は、大きな結晶をつぶしてできるものではなく、合成によって小さなものから作ります。(3頁目)酸化チタンには、ルチル形とアナタース形という2つの結晶形があります。4頁にユニットセルを書いております。ルチル、アナタースとも高い屈折率を持っており、特にルチルは屈折率が高く白色顔料として用いられます。化学的には安定で、熱濃硫酸、ふっ酸に溶け、塩酸、苛性ソーダ、水、有機溶剤等にはほとんど溶けません。アナタースは熱をかけると約1,000度前後でルチル結晶に転移します。(5頁目)ペイント用の酸化チタンは、可視光の波長の1/2の大きさにコントロールされており、この大きさのものが可視光を最も効率よく散乱する能力があります。粒径が大きくなると、効率的な散乱を起こしません。一方、可視光の波長の1/2より小さくしてナノサイズになると、散乱能力が落ちて白色顔料としての特性が消え、UVに対する特性が出てきます。(6頁目)一次粒子径が10-1,000nmの酸化チタンの透過率曲線を示します。ナノではない酸化チタンについても、UVを吸収・散乱する性質は持っていますが、ナノサイズでは可視光の透過率が上がり、紫外線のカット能力が大幅に上がります。(7頁目)顔料級酸化チタンは、光をよく散乱するということで、一次粒子径が200-400nmにコントロールされております。一次粒子径はTEM写真を撮影し、画像解析を行って求めた値ですが、公的な測定方法はではありません。二次粒子径については、動的散乱法及びレーザー光散乱法で、比表面積はBET法を用いて求めています。ただし、顔料級酸化チタンもナノサイズ酸化チタンも、表面を何らかの違うマテリアルで改質する場合が多く、比表面積はマテリアルによって変わりますが、今回示したデータは未処理の酸化チタンのものです。次に、ナノサイズ酸化チタンについては、ルチルとアナタースとがあり、若干機能が変わります。供給形態には、粉体または水、油等に分散させた状態、ゾルの状態、コーティングという樹脂に練り込んだ状態があります。平均一次粒子径はナノの領域に入ります。二次粒子径は、測定する際の媒体、試料の調整は方法により変動が大きいが、およそ平均して200nm前後と思われます。しかし、製品中でこのサイズを保っているかどうかは別の話になります。用途は、化粧品、塗料、トナー外添剤となっております。8頁目)酸化チタンの粒径と用途について説明します。可視光の散乱には、顔料級酸化チタンが主に使われており、用途は包装材、車の塗装、ビルの塗装、化粧品等です。国内のメーカーは60年以上の製造歴史があります。ミクロンサイズにコントロールした酸化チタンは、近赤外領域の波長の光の反射剤として徐々に使われてきています。ナノサイズの酸化チタンは、主に光触媒用酸化チタンやUVカット用酸化チタンとして使われています。例えば化粧品や車の塗装、防臭、液晶テレビ、眼鏡の屈折率コントロール剤にも使われています。(9頁目)実際の酸化チタンの粒子径について、我々の知見をご説明します。ナノサイズの酸化チタン(微粒子酸化チタン)について、TEMの一定方向径の平均値を用いて一次粒子径を測定すると、小さいものは10-15nm、少し大きなものは30-80nmです。粒径によって、少しずつ透明性などの特徴があります。サブミクロンサイズの酸化チタンも、用途によって粒子径をコントロールしています。なお、この写真は実際の粒子の凝集状態を示すものではありません。(10頁目)最終製品中での存在形態については、一次粒子、アグリゲート、アグロメレートという可能性が考えられますが、大気中、製品中での存在の可能性が高いのは、アグロメレートの状態のではないかと考えております。公的な測定方法というのは確立されておりませんが、我々の経験上、透明性などの特性からの予想であります。(11頁目)空気中での存在状態について、空気中に粉を舞わせてみて、粒子を観察する実験を行っております。(12頁目)SEM写真の観察結果では、ミクロンサイズ、小さくてサブミクロンサイズのものが観察されております。ナノサイズの粒子が一つで存在するということは、その表面エネルギーが非常に大きくなりますので、難しいと考えられます。(13頁目)顔料級酸化チタンの製造法を紹介します。顔料級酸化チタンには、大きく硫酸法と塩素法とがあります。反応はほとんど液状又はスラリー状で進んでおり、焼成、乾燥・粉砕工程で粉体になります。作業者が直接粉末にふれる可能性があるのは包装工程になります。(14頁目)ナノサイズの酸化チタンの代表的な製造法を紹介します。これも途中まで液状、スラリー状であり、乾燥・焼成の部分で粉末状態になります。それから、表面処理を湿式で行った場合には、再び乾燥・粉砕して粉末状態になります。粉末を扱うため、パイプで吸引して、バグフィルタによって酸化チタンを除去しています。なお、作業者には、粉じん則に則ってマスクをさせております。(15頁目)次に取扱量について説明します。顔料級酸化チタンですが、国内生産量が約30万トン、世界生産量は500万トンです。国内使用実績は、23万2千トン強であり、ここ数十年安定した状況になっております。(16頁目)ナノサイズの酸化チタンについては、外部の調査会社の数字を使います。需要は、国内で950トン、海外で1,450トン、併せて2,400トンです。国内の総出荷量は2,150トンであり、内需用が950トン、輸出用が1,200トンであり、国内のメーカーが作って海外輸出するものが多いということです。これは調査会社の予想ですが、今後年数%の率で伸びていくと予想されております。(17頁目)ある事業者における製品梱包例を示します。いろいろな包装形態がございますが、段ボール箱とポリエチレン製を用いたり、紙製の袋に入れて出荷しています。(18頁目)最後に廃棄処分方法について、今の段階では特に我々はナノサイズであるからといって特別な扱いはせず、法律に則って処理をしております。
  • 中西座長
    ありがとうございました。只今の説明について、ご質問はありますか。
  • 福島氏
    ナノでない酸化チタンの製造歴史が60年とあるが、ナノサイズの酸化チタンの製造歴史は何年か。
  • 蒲田氏
    顔料級酸化チタンについての数字は、国内の生産歴史とご理解いただきたい。ナノサイズ酸化チタンについても、20年以上の歴史がある。
  • 福島氏
    人に対する有害性、例えば皮膚炎について、従来の酸化チタンとナノサイズの酸化チタンの違いは疫学的に分かっているか。
  • 蒲田氏
    専門家ではないのでお答えは難しいが、従業員が顔料級からナノサイズの酸化チタンの製造ラインに移って直ちに健康上のトラブルが起きたという事例は聞いていない。化粧品等の最終製品について、ナノサイズの酸化チタンのハザードが明確に違ったという話は聞いていない。
  • 岸本氏
    製品中ではアグロメレート状態とのことだが、その場合、紫外線の遮蔽機能が完全には出ないのではないか。製品中では分散化してもっと小さくなっているのではないか。
  • 蒲田氏
    酸化チタンの機能を最大限にするためには、一次粒子まで分散させるのが理想だが、現実には、アグロメレートをいかに小さくするかが重要である。
  • 中西座長
    一次粒径の計算方法は一般的なものか。
  • 蒲田氏
    ISOでもナノサイズの測定方法は検討中であるが、我々の業界では、電子顕微鏡写真の画像解析により一次粒子径を求めている。
  • 中西座長
    NIOSHによる二酸化チタンの規制は、比表面積から求めた一次粒子径により行われているのではないか。
  • 蒲田氏
    比表面積から一次粒子径を求める場合もあるが、酸化チタンは表面処理をしているため比表面積がそのまま粒子径を反映する数字になりにくい。表面処理剤によっては、非常に小さな細孔を持つ場合があり、その補正をかける必要がある。そこで、確実な方法として顕微鏡を用いる手法を用いている。
  • 中西座長
    未処理の酸化チタンについて、電子顕微鏡で観察した一次粒子径と、比表面積から計算した一次粒子径は一致するのか。
  • 蒲田氏
    おおよそ一致する。ただ、形状が特別になると誤差が出る場合もある。
  • 中西座長
    10頁目で、ファンデルワールス力を「弱い力」と表現されているが、実測しているのか。
  • 蒲田氏
    化学結合と比較した場合のことを書いており、経験上そう思っているだけである。
  • 中西座長
    ファンデルワールス力について、比較的弱い力で凝集した粒子と書いてあるが、アグロメレートになったもののファンデルワールス力は本当に小さいのか。
  • 蒲田氏
    分散がどのように進んでいくか、管理の中で推測しているものである。
  • 中西座長
    ファンデルワールス力は小さいと思っていたが、ナノの領域では、非常に大きくなるという話もある。

検討の進め方について

  • 中西座長
    ありがとうござました。次に、後の進め方について事務局から説明をお願いします。
  • 福島課長
    (資料6)「本研究会における主な論点」について説明します。ナノマテリアル製造事業者等に係る安全対策について、まずは、現在の知見を整理する必要があります。将来、リスクが明らかになれば、法規制等を検討する可能性もありますが、現時点ではそこまで至っておりません。一方、知見が無いからといって対策を行わなければ、結果として健康や環境への影響が発生するおそれがあります。こうした現状を基に、本研究会では、次のような論点について検討を行うこととしてはどうかと考えます。まず、ナノマテリアルの管理のあり方について、予防的な観点も含め、当面はナノマテリアル製造事業者等における自主管理と、国による積極的な有害性の知見の集積を行ってはどうか。自主管理については、例えば、大気汚染防止法における有害大気汚染物質対策、VOC対策等は自主管理がうまく機能して削減が進んでいる例と考えます。一般論として、自主管理には、状況変化に柔軟に対応できる、事業者が様々な取組の中から最適な方法を選択できるという利点が一般的に言われております。次に、自主管理をする場合について、有害性に係る科学的知見が十分ではない中で、事業者の方は、どのような情報を収集・把握するべきか。有害性情報の収集、ばく露情報、環境への排出抑制対策等どういった情報を集めて管理に役立てていくか。3番目には、今回ナノマテリアル製造事業者等の方にお集まりいただいていますが、ユーザーも含めて情報等をどう伝達すべきなのか。4番目には、ユーザー、国民、消費者等を含めて、自主管理の取り組みの透明性と言う観点で、社会との対話、コミュニケーションはどのようあるべきか。最後に、こうしたものを含めて政策的対応、政府としての対応ということで、上記にあげた仕組みを適切に進めるために、例えば、自主管理の仕組みの運営についての役所の絡み方、知見の収集等について、役所はどういう形で関与をすべきなのか。以上について、この場でご議論いただければと思っております。
    (資料7)本検討会の進め方についてご説明します。本研究会では、ナノマテリアルの安全性に係る国内外の動向を幅広く収集し、ナノマテリアル製造企業等における取組等を踏まえ、安全性を確保しつつ、いかにナノテク産業の健全な発展に資するかということを検討したい。2番目に、上記のために、ナノマテリアル製造企業等における現在の取組についてお話を聞かせていただきたい。最後に、こういった議論を踏まえた上で、来年当初には、「ナノマテリアルに係る当面の対応」を今後の検討課題を含めて取りまとめたいと思っております。
  • 中西座長
    ありがとうございました。只今のご説明について、論点の追加やご意見をいただきたく存じます。「国による有害性に係る知見の集積」を対応策として記載しているが、これは、有害性データを国が集めるということか。
  • 福島課長
    事業者における自主管理には、有害性情報の収集やばく露対策が含まれますので、国だけではなく、事業者の取組と組み合わせる必要があります。国は、事業者では難しいところ等、一定程度の有害性情報の収集に責務があるということです。
  • 中西座長
    事業者から有害性データを出していただいて、その知見を国が集積するということか。
  • 福島氏
    「使用事業者」には、ナノマテリアルを使って製品を作る、例えば化粧品等の製造事業者が含まれるのか。ナノの有害性は明らかではないが、製造事業者は何らかの防護対策をとっているとのことだが、使用事業者の防護対策が見えてこない。資料3でこの研究会として製造事業者を対象としていることは妥当であるが、使用事業者についても十分頭に入れておく必要があるという印象を持つ。
  • 福島課長
    現時点では、使用段階についても含めて製造事業者に知見があるため、まずは製造事業者からお話を聞いた上で当面のアクションプランを考えたい。今後、ナノマテリアルについてヒアリングや実態調査をした上で、必要があれば検討したい。今後のあり方のところで、将来的な課題としてご提案いただければ我々としても検討して参りたい。
  • 中西座長
    私の理解では、まず原料を作る製造事業者を押さえ、次に使用事業者や最終製品等と段階的に考えていくのではないかと思っている。事業者の方から何かご希望などはないか。
  • 庄野氏
    日化協としての意見を申し上げると、情報伝達のあり方については今回ご提案の趣旨で我々としては異論がない。ただ、情報伝達のあり方については難しい部分がある。ナノマテリアルに限らず、ユーザーに適切な情報を与えるためには、ユーザーからの情報も必要であり、双方向での情報交換が重要である。情報伝達については、知的所有権の問題も裏にはある。ナノの分野では、日本は特許でも世界一であり、R&D上の拠点でもあるわけで、もちろん安全は優先であるけれども、ビジネス上のコンフィデンシャリティーの問題にもある程度配慮して対応いただけるとありがたい。
  • 中西座長
    今回、米国TSCAの下でのスワンケミカルに出された同意指令を見ると、スワンケミカルと同じような管理ができるところだけが商品を取り扱いできることになっている。庄野さんから見て、そのような対応は行き過ぎと思うか。
  • 庄野氏
    今回のTSCAの動きについては、日本や国際的な動向に合わせられているかというと確信を持てていない。一時回避的な考え方としてはあり得るがが、我々として受け入れられるどうかは若干疑問である。TSCAでは、カーボンナノチューブやフラーレンを、二酸化チタンや銀などと差別化しているようだ。
  • 中西座長
    管理のあり方についてはこれから議論があると思うが、日化協としてTSCAの扱い等について、明らかに問題があれば、積極的に意見を出していただきたい。
  • 庄野氏
    これからはそのような観点でコメントさせて頂く。

その他

  • 中西座長
    最後に事務局から何かご連絡はありますでしょうか。
  • 福島課長
    本日はどうもありがとうございました。論点について、さらにご意見等ございましたら、一週間後の12月4日までに事務局にお願いいたします。それを踏まえてさらに議論を深めて参りたいと思います。次回開催につきましては、12月25日10時から、経済産業省別館10階1020会議室にて開催いたします。正式な時間は改めてご連絡いたします。
  • 中西座長
    本日はご多忙のところ、活発なご議論をありがとうございました。本日はこれで閉会します。

以上

 
 
最終更新日:2009年1月19日
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