経済産業省
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ナノマテリアル製造事業者等における安全対策のあり方研究会(第3回)-議事録

日時:平成21年2月4日(水)14時00分~15時30分
場所:経済産業省別館11階1120共用会議室

出席者

中西 準子(産業技術総合研究所安全科学研究部門研究部門長)、岸本 充生(産業技術総合研究所安全科学研究部門、持続可能性ガバナンスグループ研究グループ長)、武林 亨(慶應義塾大学医学部教授)、中谷内 一也(帝塚山大学社会心理学部教授)、新美 育文(明治大学法科大学院教授)、福島 昭治(中央労働災害防止協会日本バイオアッセイ研究センター所長)、川島 昭二(ナノテクノロジービジネス推進協議会社会受容・標準化委員会委員)、金井 孝陽(カーボンブラック協会環境・技術委員会委員長)、蒲田 佳昌(日本酸化チタン工業会ナノ酸化チタン小委員会副委員長)、庄野 文章(社団法人日本化学工業協会化学品管理部部長)、建部 和男(日本無機薬品協会ホワイトカーボン部会委員)、真柄 光一郎(日本無機薬品協会亜鉛華部会委員)後藤 芳一(経済産業省製造産業局次長)、福島 洋(経済産業省製造産業局化学物質管理課長)、田端 祥久(経済産業省製造産業局ナノテクノロジー・材料戦略室長)高田 修三(経済産業省製造産業局化学課長)、藤沢 久(経済産業省製造産業局化学物質管理課長補佐)

議事概要

  • 福島課長
    定刻になりましたので、只今から第3回ナノマテリアル製造事業者等における安全対策のあり方研究会を開催します。本日は、ナノテクノロジービジネス推進協議会の山本さんからご欠席、武林先生から若干遅れて到着されるとの連絡をいただいております。また、ナノテクノロジービジネス推進協議会小川さんの代理として、川島さんにご出席いただいております。それでは、この先、議事の進行を中西座長にお願いいたします。
  • 中西座長
    それでは議事に入ります。まず、事務局から配布資料の確認をお願いします。
  • 福島課長
    配布資料は、資料1から3まであります。資料1は名簿、資料2は前回の議事要旨、資料3が本日ご議論頂く報告書案です。もし不足等あれば、事務局までお願い申し上げます。
  • 中西座長
    前回の議事要旨(案)でございますが、事務局から内容の確認をして頂いておりますので、特に問題がなければ、案を取らせて頂きたいと存じますがいかがでしょうか。
  • 新美氏
    コードオブコンダクトが、「コンタクト」になっておりました。
  • 中西座長
    その点は修正をお願いします。それでは議事要旨の案を取らせていただきます。

「ナノマテリアルに関する当面の対応」について

「I.はじめに」~「IV.ナノマテリアルの安全対策に係る国内外の主な取り組みについて」

  • 中西座長
    議題1)「ナノマテリアルに関する当面の対応」について、資料3の「I.はじめに」から「IV.ナノマテリアルの安全対策に係る国内外の主な取り組みについて」まで、事務局から説明をお願いします。
  • 藤沢補佐
    それでは説明させて頂きます。まず、「I.はじめに(趣旨・目的)」について、ナノテクノロジーは、幅広い分野で便益をもたらすことが期待されており、ナノマテリアルは、従来の材料にはない新たな機能が発現することが期待されています。一方、ナノマテリアルは、その粒径等が小さいため、人への健康影響を及ぼすという指摘もあります。人の健康や環境に対するナノマテリアルの影響については、現状では十分明らかになっているわけではなく、従来の毒性評価手法では十分に対応できない可能性が指摘されており、このような未解明の状況を放置しておけば、ナノテクノロジーに関わる社会的懸念が拡大し、生産・利用の自粛等が行われることによりナノテクノロジーの持つ便益が十分に活用されないおそれがあります。他方、安全性が十分確認されないことをもって適切な取扱が行われないと、健康や環境に影響が生じるおそれもあります。したがって、現時点での科学的知見を基に、ナノマテリアルに関する留意点を整理し、適切な安全対策について検討することを目的としています。
    「II.検討対象とするナノマテリアルの定義」は、工業的に製造された固体状の材料であり、大きさを示す三次元のうち少なくとも一つの次元が約1nmから100nmの物質及び構造体(物質が凝集したものを含む)であるとされております。本研究会では、こうしたナノサイズであることに由来する性状を検討対象とするため、一次粒径等を意図的にナノサイズに制御して、特有の機能を発現させているナノマテリアルを対象とし、自然由来や製造工程において非意図的に生成されたり、粉体にごく微量含まれるナノマテリアルについては対象としていません。ナノマテリアルについては、様々な物質によるものが存在しているとの情報もあるが、本研究会では、主要なナノマテリアルについての対応を先行させるため、生産量が一定程度以上であるか、今後生産量が増加する可能性の高いナノマテリアルであるカーボンナノチューブ、カーボンブラック、二酸化チタン、フラーレン、酸化亜鉛及びシリカの6物質を検討対象としています。今回検討対象とする6物質の概要を表1に、生産量と粒径の関係を図1に示します。国内で生産されているナノマテリアルの生産量の99%以上を上記6物質が占めるため、今回は6物質を対象としています。
    「III.主なナノマテリアルについて」、ナノマテリアルについての対策を検討する上では、国内におけるナノマテリアルの大まかな状況や一般的な取組状況を俯瞰する必要があるため、今回検討対象とした6物質について、業界団体の代表者から研究会の場で情報提供を頂きました。カーボンナノチューブ、カーボンブラック、二酸化チタン、フラーレン、酸化亜鉛及びシリカの特性・生産量など、ばく露・排出防止対策を書いています。まとめとして、各ナノマテリアルについての発表内容では、製品中や大気中では、ナノマテリアルは1~100nm程度の一次粒子として存在するのではなく、それ以上の大きさである凝集体として存在する場合が大半であるとのことです。なお、製品中や大気中でナノサイズの粒径が存在しないことは証明されていないため、引き続き知見の集積が必要です。また、ナノマテリアルは粉状の製品となる場合が多く、従前より粉じんとして飛散・浮遊することは認識されていたため、ナノマテリアル製造事業者等においては、すでに労働安全衛生法、廃棄物処理法等の関係法令に基づいた対策が行われており、一部の対策はナノマテリアルに対しても有効であると考えらます。しかし、これらは一般的な粉じん対策等として行われており、ナノマテリアルについてはそれ以上の対策が必要となる可能性があります。加えて、厚生労働省の通知を受けて、ナノマテリアルのばく露防止についての予防的対応が自主的に実施されてきているとのことです。
    「IV.ナノマテリアルの安全対策に係る国内外の主な取り組みについて」、まず国内における取り組みを書いております。経済産業省では、委託調査事業の中で、我が国にとって最適なナノマテリアルの管理手法を検討しました。また、「ナノ粒子特性評価手法の研究開発」を平成18~22年度に実施しております。厚生労働省においては、労働基準局昨年2月に、労働基準局長通知「ナノマテリアル製造・取扱い作業現場における当面のばく露防止のための予防的対応について」を発出しております。さらに、平成20年3月から10月にかけて、「ヒトに対する有害性が明らかでない化学物質に対する労働者ばく露の予防的対策に関する検討会」を開催し、報告書を取りまとめております。医薬食品局では、平成16年度から、厚生労働省科学研究費補助金においてナノマテリアルへのばく露による有害性の評価に利用可能な手法の開発に資する研究等が進められています。また、平成20年3月から「ナノマテリアルの安全対策に関する検討会」を開催しています。環境省では、昨年6月から、「ナノ材料環境影響基礎調査検討会」を設置して検討されています。海外における主な取り組みについて、英国の自主的報告制度、米国のナノマテリアルスチュワードシッププログラム等について記載しております。次に、EPAのTSCAにおけるカーボンナノチューブの扱いについて昨年10月31日に、カーボンナノチューブはTSCA の第5条に規定される新規化学物質であることを発表されています。すなわち、商用目的でカーボンナノチューブの製造・輸入を行う業者は、カーボンナノチューブの製造・輸入を90 日前に届け出ることが必要となっています。OECDでは、2006年から、工業ナノ材料作業部会が設置され、ステアリンググループ1から8までが設置されています。SG3の取組として、2007年11月からスポンサーシッププログラムが開始されており、代表的ナノマテリアル14物質について、各国が協力して情報収集を行うこととなっております。情報収集をしている国のリストは、13頁に示す通りです。我が国では現在、フラーレン、単層・多層カーボンナノチューブのリードスポンサーとなっております。次に、ISOの動きを記載しております。最後にまとめとして、国内においては、ナノマテリアルのリスク評価・管理手法の開発が行われているとともに、関係省庁において安全対策のあり方が検討されています。海外においては、国際機関における有害性情報の収集や安全性試験や、各国における自主的報告制度が実施されるとともに、一部の物質については規制が行われ始めているところであるとしております。以上でございます。
  • 中西座長
    ありがとうございました。それでは、ただいまの説明についてご質問やご意見がありましたらお願いします。
  • 福島氏
    表1のタイトルを表の上に、13頁の14物質の表に番号を付け、「表2代表的なナノマテリアル14物質」と記載するべきではないか。
  • 藤沢補佐
    修正いたします。
  • 岸本氏
    目的について「適切な安全対策を検討することを目的とする」と単に「安全対策」としか書かれていないが、この報告書で検討対象としている「安全対策」の範囲を明確に記載するべきではないか。安全対策と言うと、労働現場でのばく露防止だけを思い浮かべる方もいるが、例えば、ライフサイクル全体での対策、ばく露だけでなく有害性の調査を自ら実施する、MSDSを通じた下流の企業、労働者や消費者とのコミュニケーションによる社会受容の議論も考えられるため、この研究会では、厚労省の検討会と比べて相当広い安全対策を扱っている。「III.主なナノマテリアルについて」においても、事業者における広い意味での安全対策について書き加えるべきではないか。
    報告書のタイトルが「事業者等の安全対策」となっているにもかかわらず、「IV.ナノマテリアルの安全対策に係る国内外の主な取り組みについて」では、ほとんど公的機関の取り組みであり、「公的機関の取り組み」と示すべき。また、OECDとISOについて、海外での取り組みとなっているが、日本も参画しており、「国際機関における取り組み」として別途項目立てするべきではないか。
  • 中西座長
    安全対策の範囲について、III.のどこを修正するのか。
  • 岸本氏
    それぞれの物質について、生産や特性の他に、労働現場や廃棄時の安全対策以外の取り組みがあれば記載して欲しい。現時点では実施されていないなら、今後必要だという議論になるのではないか。
  • 中西座長
    「III.主なナノマテリアルについて」は、今回の事業者の報告を基に書かれているのだが、岸本さんの問題意識は理解した。この研究会は作業環境への影響だけを問題にしているのではないということは明確にするべきであるので、事務局は検討すること。
  • 蒲田氏
    二酸化チタンは、「化学的には安定」と記載されているが、化学的に安定であるだけではないので、「化学的に安定」と修正されたい。また、ナノマテリアルの定義について、OECD、ISO等で検討されていると紹介されているが、ISOで昨年「ナノオブジェクト」として定義が出されているので参照するべき。
  • 中西座長
    ISOの定義を含めて書いているつもりだが、事務局は再度チェックすること。
  • 真柄氏
    ナノの定義について、この文言では、構造体について、構造体自体の大きさが1nmから100nmであるもののみが含まれると読めてしまうので、厚労省の定義を略さずに書くべきではないか。
  • 中西座長
    一部のカーボンナノチューブが、必ずしもこの定義に当てはまらないが、今回は対象に含めるということになっている。それも含めて何らかの形の定義の修正が必要ではないか。

V.対応の基本的方向

  • 中西座長
    それでは、次に移りたいと思います。「V.対応の基本的方向」について、事務局から説明をお願いいたします。
  • 福島課長
    それでは、「V.対応の基本的方向」について説明いたします。これまで議論があったことを、ある程度斟酌して文章にしているつもりではありますが、若干不十分なところもあることを予め申し上げておきます。
    まず、「1.対応のあり方」について、現状の認識として、ナノマテリアルについては、その有害性やばく露経路は十分には解明されていない一方で、ナノというサイズに起因したリスクがあるという指摘があります。6種類のナノマテリアルについて、現状の産業界の対応状況や法令に基づいた対策について書いております。サイズに起因した有害性、ばく露経路があるということが否定できないということが前提です。書き方が不十分かもしれませんが、TSCAでは2008年10月にカーボンナノチューブについて新規化学物質として規制がありますが、ナノであることをもって一律に新たな規制ということは行われていません。国際的にも、ナノに着目したリスク評価・管理手法の開発や自主的報告制度が実施されている事例があります。また、今回お伺いしたナノの用途については、多くは樹脂に練り込まれて、環境中に大量に出ているという状況ではないものの、ナノマテリアルが注目されていることを踏まえると、生産量・環境排出量が増える可能性があるので、注視する必要があると考えられます。
    このため、本研究会の基本的方向性を下記のようにまとめております。ネガティブな書き方になっておりますが、小規模事業者等のコスト負担という書き方がいいのか分かりませんが、現在のナノマテリアルの対応ということであれば、ベンチャー企業における研究開発が行われておりますが、コスト負担についてもある程度考えながら、一方できめ細かい対応をしなければいけないという点があります。有害性に関する知見が充分でない現状においては、直ちに化審法等の法規制を行う段階にはないと考えられますが、一方で適切な取扱が行われないと、健康や環境に影響が生じるおそれがあるため、本研究会の結論としては、自主管理によって安全対策を進めていったらどうかと考えております。2番目に、今後、事業者の自主的な管理に委ねるとしても、ナノに関する科学的知見が各種集まっておりますので、そういった状況を踏まえ、ナノマテリアルのばく露量をよく見ながら、事業者と国は、安全性に関する知見の集積や、事業者の自主管理を通じた情報収集、情報提供及び情報発信を行うべきであるということが基本的な考え方として書いております。
    検討対象については、今回、製造事業者等の方を中心に集まって頂いていますが、ナノマテリアルは、使い方などが変化していくと想定されますので、使われ方をきちんと把握して、使用実態を踏まえて安全管理を行っていくことは重要です。現在、マテリアルの使い方や安全性に関する知見は、製造事業者等に多いということで、当面ナノマテリアルに関する自主的な管理は、製造事業者及び輸入事業者を対象として、使用事業者については、今後の課題又は情報収集する上で必要があれば適切に取り込んでいくということではないかというまとめ方としております。次に、検討対象とする安全対策を書いておりますが、ナノマテリアルを構成する化学物質の安全性に加えて、ナノサイズの大きさに起因した特有な有害性に関するものも安全対策の検討対象に加えていくということにしております。以上です。
  • 中西座長
    ただいまの説明についてご質問やご意見等ありますでしょうか。
  • 岸本氏
    「対応のあり方」の部分では、「その有害性やばく露経路は解明されていない」という表現になっているが、ナノ材料については、全く何も知られていないのではなく、十分には知見がないということを明確に記載するべき。全く知られていないので規制しないということでは、何も分からないものが使われているということになってしまう。ある程度の知見はあるが、十分に分かっていないので、予防的な考え方から対策をするという文脈にするべき。
    知見が十分に明らかになっていない現状では直ちに法規制を行う段階にはない、という記述は、分からないから規制をすべきだという主張をされる方にとっては引っかかる表現だと思われる。そこで、法規制を行わないロジックとして、ナノ材料の機能や毒性が多様であり、伝統的な従来の規制になじまないため、事業者の自主的な取り組みによってカバーし、それが足りない場合にはバックアップとして法規制もあり得る、というものを提案したい。
  • 福島氏
    岸本さんの意見に同感である。基本的な姿勢として、ナノマテリアルのベネフィットは有用になるものであるが、最初からコスト負担の低減のために法規制をしなくていいとはならない。ナノマテリアルの人への健康影響が全く明らかになっていないことと、岸本さんが言われた理由の2点から、まだ法規制はしなくていいという記載にするべき。
  • 新美氏
    15頁の6行目と8行目では、「ばく露経路は解明されていない」としておきながら、「主なばく露経路は」とばく露経路が分かっているかのような書きぶりになっている。「現在まで判明している」等の留保を付けておくべきではないか。
  • 中西座長
    岸本さんと福島さんの指摘と近い意見を持っている。研究会の結論として法規制を行う段階にはないとすることは、議論していないから困る。我々は、今すぐに一律の規制が難しいだろうということは思っているが、それは別の場での議論や、行政で議論して頂きたい。この研究会では、できるだけ情報を出して、規制のための情報を共有するとともに、規制のためだけではなく、ナノについて何が分かっていて何が分かっていないのかということを明らかにすることが大事だと考えて主に情報公開について議論してきた。規制の段階にないという文章と、コストの低減については書き直していただきたい。また、「科学的知見が集積した場合に備えて」とあるが、科学的知見に対して国と事業者が備えるのではなく、事業者が持っている情報を出すことにより科学的知見が固まっていくプロセスが必要ではないか。
  • 福島氏
    事業者の自主管理によって安全対策を行うべきということはよいが、対策がイージーなものになることを懸念している。厚生労働省の通知が出され、また検討会の報告書も検討されている段階であり、もう少し積極的な自主的な管理を行うべきではないか。
  • 岸本氏
    「知見が固まった場合」という表現が気になる。ナノ材料に限らず新規材料については知見がどんどん出てくるので、永遠に知見は固まらないのではないか。知見が固まらない中で、どのように社会全体で管理していくのかというモデルを作る第一歩だと思う。どこかで知見が固まって、対応も固まるという想定をするべきではない。
  • 福島課長
    基本的には、ご意見を頂いた部分については書き直したいと思います。福島先生からご指摘のあった自主管理が安易になるおそれがあるということに関しては、各省から指針が出てくるということに関しては、「VI.具体的対応」において、審議会によるレビューや各省の通知を踏まえて、という文言もあるので、そちらも見て検討して頂きたいと思います。

VI.具体的対応

  • 中西座長
    それでは、その次の議題「VI.具体的対応」について事務局から説明をお願いします。
  • 福島課長
    具体的にどのような対応をするのか、というところです。ナノマテリアル製造事業者等の取組では、ナノマテリアルについては、国内外で事業者や政府による新たな取組が行われており、今後も入ってくる情報を踏まえて対応を考えていく必要があります。このため、国内外の先進的取組や政府の取組をきちんと把握をして、特に厚労省の通知等を踏まえた上で、製造や使用実態を踏まえた自主的な安全対策に取り組むことを期待しております。
    情報伝達については、製造事業者等とそれを使う使用事業者が情報共有を行っていくべきであると書いております。この報告書は、ライフサイクル全体の適切な管理をスコープに置いておりますので、製造事業者等からの一方的な情報提供にとどまらず、使用事業者からも製造事業者に対して使用方法等が情報共有されることが望まれます。一方で、新しい分野になりますので、企業秘密もあると思いますので、その点に配慮しながら、安全性にも配慮しつつ行う必要があると考えております。通常の情報伝達については、MSDSによって情報提供されていますが、これらは、ナノマテリアルであることに着目した項目は不十分であることを前提として、ナノマテリアルに注目した特性や使用状況を記載することが必要と考えます。20頁の表3に示したものは、アメリカのスチュワードシップを参考にしたものですが、例えば、こういった項目を情報提供してはどうかと考えております。ナノマテリアルについては、今後技術の進歩や、情報が集約されていくことを踏まえ、常に情報の更新が必要であることに留意すべきです。
    情報伝達については、専ら使用事業者との関係を書いておりますが、コミュニケーションのあり方では、国民に対して広く透明性をどのように確保するかについて、懸念を払拭するために、ホームページ等を用いて積極的に活用することが重要としています。
    政策的対応については、自主管理がイージーになるのではないかという懸念に対して、透明性を担保するための3つの手法を提案しています。手法1では、ナノマテリアル製造事業者等が自ら情報発信を行うのみ、手法2は、事業者が情報発信をした上で、国が情報を受けて情報発信を行う方法です。手法3は、情報発信をした上で、法的な拘束力がありませんが、第三者機関において管理の方法や、試験方法・結果の妥当性について専門家のご意見を伺い、事業者の取り組みに反映させるものです。透明性や、対策がイージーにならないということを担保するためには、本研究会の結論としては、手法3が望ましいと考えておりますが、先程ご指摘のあった、「直ちに規制を行う段階ではない」という部分については修文いたします。自主管理を進めていく上では、事業者における取り組みを社会全体に示して、評価を受けるという方法が適切ではないかと考えており、当然、専門家のご意見のみならず、国としても積極的に情報発信をしていくことも記載させて頂いております。一方、事業者からのご懸念としては、国などに生産量の報告をしたとしても、その生産量が安易に情報開示されては困るということで、企業秘密に関することについては開示できるところと開示できないところに配慮されたいというご意見も頂いております。また、情報発信の内容として、ナノに関して不安を持っている一般国民に分かりやすい情報なのか、ナノマテリアルの使用者、高い関心を持っているNPOの方等の専門家向けの詳細な情報の両者が本来必要かと思いますが、現時点では一定の知識を有する者に対する詳細な情報の発信を優先的していくことが妥当ではないかと考えております。ナノマテリアルの試験、評価については、方法論がNEDO、産総研で検討している途上であるが、どうやって試験データをとっていくかについて、従前の試験研究施設では不十分な点もあるので、国がナノ試験評価施設を整備する可能性について、検討させていただきたいと考えています。以上です。
  • 中西座長
    ただいまの説明についてご質問やご意見等ありますでしょうか。手法1から3のうち、手法3が望ましいということを述べているように見えるが、それでよろしいか。
  • 福島課長
    はい。
  • 蒲田氏
    第三者機関におけるレビューの内容として、ある試験データが出た際に、そのデータに対してハザードがどの程度だということ踏み込んだものになるのか、それとも相対するデータがあるという程度のことを広くレビューするのか。
  • 福島課長
    後者の方を想定しています。今後とも、ナノに関する論文が各種出てくると思われるので、事業者から提供していただいたり、我々が収集したりして、こういった場でご提示することによって専門家のご意見を伺うことを想定しています。また、事業者の労働安全に関する取り組みやMSDSの交付に関する工夫等や、事業者以外の方からのご意見を頂くことにより、いいところは積極的に取り込んで頂くことを考えている。現在でも、有害大気汚染物質、VOC、二酸化炭素の自主管理が行なわれており、我々としては法規制ではない自主管理という方法論が適用できるのではないかと思っています。
  • 蒲田氏
    政策的対応について、情報発信はプロ対プロということを想定されているが、研究論文を分かりやすくということは難しく、かえって誤解を与える場合がある。正しく伝えることが難しいというリスクコミュニケーションの難しさを常に感じている。そのような問題を段階的にクリアにしながら、情報公開のやり方には注意して進めていくことが必要ではないか。
  • 岸本氏
    手法3が望ましいと言う結論だが、手法1~3の前提として、企業が自ら自主的にリスク評価・リスク管理を行うことが必要であり、手法1を報告書が出る前から率先して行うようなトップランナーを妨げるべきではない。そのような意味で、手法3と1及び2は両立するのではないか。手法1を補完する上で手法3があるのではないか。
  • 福島氏
    使用事業者を検討対象から外しているが、ばく露や環境への排出は使用事業者においても起こる可能性がある等との記述があり、使用事業者に対する対応も書かれている。使用事業者にも配慮していることを書き込むべきではないか。また、製造事業者等が情報収集・把握に努めることが望まれるとあるが、製造事業者得た情報を一刻も早く国に連絡する等、国と企業が密に連携する体制をとることが望ましい。さらに、手法2で、国が情報発信を行う際には、国と事業者の中間として都道府県などに関与、協力してもらう仕組みを考えることはできないか。
  • 中西座長
    事務局に確認したいが、手法2と手法3は同時に行うということでよいのか。
  • 福島課長
    結論としては、第三者機関におけるレビューは行う、国は事業者から提供を受けた情報については企業秘密に配慮しつつ情報発信を行う、事業者による情報発信も含めて行ということであり、手法1から3を包含的に行う。トップランナー阻害という観点では、国に対して情報提供が行われる中で、先進的な企業の取り組みの芽を摘むことのないようにしたいと考えている。企業から国に取り組み状況を報告してもらう仕組みが必要ではないかと考えている。
  • 中西座長
    手法2で、製造事業者が国に情報提供を行うことは義務なのか。任意なのか。
  • 後藤次長
    手法1には企業が自主的に行う利点はあるが、国は関与しないので、社会的信用という点で問題ないかと考えます。手法2と3は一度国が受け取って発表するので、手続きに国が関わった形になります。加えて手法3は年に1回くらい全体の生産量などを国がレビューするもので、手法2より強い関わり方です。その選択肢を順に並べたものであり、手法1を排除する趣旨では元よりありません。
  • 中西座長
    手法3のレビューという意味では、個別の企業のデータについてレビューしたり判断したりするのかと思っていたが、福島課長のお話を聞くと、むしろそうではなく、全体的にこのようなデータがあるのか、といったレビューということか。
  • 新美氏
    前回も申し上げたが、企業秘密という言葉は人によってとらえ方が違うので、使わないほうがよい。「競争上の地位」などといった言葉にするべき。また、「自主規制と法的規制」という対置を行っているが、自主規制の中でも、製造・使用を自主規制することもあり得るため、「情報コントロールと内容規制」という対置のさせ方もある。自主規制、法的規制という言葉にもそれぞれ2つの意味がある。
    現時点では詳細な情報の発信を先行させるという方針は問題ないのだが、同時に、一般国民に分かりやすい情報提供の手法を開発、準備するということも同時並行で行っていくべきではないか。
    また、自治体を絡めてはどうかという話があり、私も賛成だが、懸念するのは、情報公開法と情報公開条例で差があり、国では競争上の地位だからといって公開しないという判断をしても、自治体では全て公開されてしまうこともあり、自治体を入れると対応が難しくなるという心配がある。
  • 中西座長
    プロ対プロの情報発信というものはどのようなイメージか。
  • 福島課長
    ナノに関する各種の論文や有害性に関するデータを、一般国民向けにかみ砕いたものではなく、詳細に正確さを求めるような情報を考えている。国民向けの情報については、化審法でもそうだが、消費者に難しい物質名や専門家にしか分からない毒性の単位について、よく分かないというご指摘を受けることがある。当面は、取扱っている方、毒性について知見がある等、一定程度の知見を持っている方が見て評価できるような情報を発信したいと思っている。
  • 庄野氏
    経済産業省が情報発信するというスキームに全く異存はないが、安全性についての国際的な動きが集約・発信されておらず、海外の動きが知られていない場合がある。事業者としても周知はしているが、必ずしも完全でなく、情報発信のアイテムとしてこういったことを含めるべきではないか。また、試験研究施設を整備することについて、各社がそれぞれ整備すると現時点で重複した負担となるおそれがあり、国が試験研究施設を整備していただくことは問題ないが、試験法が確立し、それをデリバーしていただいて、事業者はそれをどこかのコントラクトラボに試験してもらうケースも多く、そのような手法も取り込んだ表現にしていただきたい。
  • 中谷内氏
    情報提供・情報発信が誰に対するものかと思っていたが、事業者、専門家の間での情報発信を先行させるということであり、その方針はよいが、一般国民に分かりやすい情報と、専門家向けの情報は二者択一ではなく、業界内での情報共有を行うことの見え方が重要である。例えば、オープンキッチンのあるレストランで、上手に料理しているのが見えれば、調味料や作り方が分からなくても、ちゃんと料理しているのが分かる。情報共有が透明性の高い信頼できるやり方で行われていることが見えるような形にすれば、一般国民向けの情報共有になるのではないか。
    また、専門家と一般国民で二分するのではなく、マスメディアの影響もある。例えばメラミンの問題でも、メディアは大げさだとか基準の何倍というだけで意味が分かっていないと批判する方もいるが、それであれば普段からそのような情報を出しておくべきである。情報を共有するのであれば、トラブルや問題が起きた時に、専門用語はここを調べれば解説されている等、メディアが記事を書く助けになる加工しやすい情報があれば、ダイレクトに一般国民に分かりやすい情報提供ができなくても、業界の信頼を高めることはできるのではないか。
  • 岸本氏
    国民向けと専門家向けの情報を分けるべきではなく、重要なのは内容ではなくて姿勢ではないか。情報が簡単か難しいかどうかよりも、情報公開を積極的に行っているか、自らリスク評価をしているかどうかの姿勢を示せるかどうかで、内容が難しくても姿勢を示したら一般国民向けのコミュニケーションが出来ているということになるのではないか。ホームページで一般向けといっても、あまり簡単なものにしても仕方がない。
    そもそも経済産業省等の公的機関と事業者の役割分担はどうあるべきかを前提として書いておくべき。一義的には事業者が対策を行うべきだが、公的機関としてはインフラを整備する役割があるという分担を書いた上で、政策的対応を書くと分かりやすくなるのではないか。
  • 中西座長
    自主管理か法的規制かということが対立的に言われており、今回の検討会では自主管理について検討しているが、法的規制をやらないという前提で検討しているのではないということでよろしいか。
  • 福島課長
    はい。
  • 福島氏
    17頁の表2について、字体を修正すること。
  • 中西座長
    庄野さんから発言は、受託研究機関の産業をもり立てる必要があるのか、受託研究機関に委託した方が企業にとっては便利だと言うことなのか。
  • 庄野氏
    後者の意味である。ナノの評価をする際には投資をする必要があるが、吸入試験程度であれば、他のコントラクトラボでも相当の試験ができる状況である。単にナノの評価施設を作って全ての試験をそこで行わせるということでは、かえって非効率的になるので、国はガイダンスを示して、援助する等のフレキシブルな対応をお願いしたい。
  • 岸本氏
    ある海外の企業の方から聞いたが、MSDSにナノの情報を付けるとき、ナノについては取扱の注意も含めて変わっていくので、むしろMSDSとは切り離すべきという方もいた。常に情報更新が必要なものをMSDSに入るのは事業者としてどう思うか。
  • 有川氏
    MSDSは、書き方が全て固定されているものではないし、一般的な情報についても新しい情報が入れば常にアップデートしなければMSDSとしての役割を果たせない。ある時点で試験法がない情報については「知見無し」としているが、知見が出た時点で更新しており、事業者としてはアップデートに努めている。ハンドリングと物質の固有の安全性を分けるという可能性もあるが、2つのドキュメントが存在するということが、運搬、受け入れ、作業者にとっていいかという議論もあるのではないか。
  • 武林氏
    MSDSについては、製造者側はできると思うが、むしろユーザー側がアップデートされているかということをどのように手に入れるかという方が自主管理の上で重要である。どのように周知するか、ユーザーがどのように情報を入手するかということを示すべき。ユーザーが古い情報を用いている場合もある。
  • 中西座長
    MSDSの情報のアップデートについては難しい問題で、ナノだけでの問題ではない。古いMSDSが使われているような場合もある。

VII.今後の検討課題

  • 中西座長
    それでは、「VII.今後の検討課題」について事務局から説明をお願いします。
  • 福島課長
    今後の検討課題について、まさに今ご議論いただいたように、ナノについては、まだまだ途上であると思っています。このため、今回議論したスキームは、フレキシブルなものであり、有害性の知見や国内外のスキームの検討やスキームを動かす中でも変えていくこともあり得ます。情報の項目については、最新の科学的知見や、国内外の動向等を踏まえて見直していくべきと考えます。国民に向けの情報も、頂いたご意見も踏まえて、情報公開の姿勢や情報の内容について、分かりやすく伝わるような検討を引き続き行うべきと考えます。また、使用事業者について、今回検討の対象としないことを上で今後の課題として丁寧に書き述べるように致しますが、製造事業者と使用事業者の連携は更に強化して、製造事業者の方も、使い方について積極的に情報収集した上で使用事業者の方に考えて頂きたいと考えておりますし、使用事業者に対してもMSDS等を用いて各種情報を積極的に提供していただきたいと思っています。また、使用事業者において知見があった場合にも、国としては排除するつもりはありませんので、審議会にかけるスキームに載せるかどうかは分かりませんが、使用事業者からの情報も集めて対策を検討してまいります。今後の検討課題という意味では、ナノがこういう状況ですが、国と製造事業者が出来る限りの取り組みをしていこうという姿勢を国民に示すということが、ナノマテリアルを国民に健全な発展、日本の成長に資するのではないかという点で書き加えたいと思っております。
  • 中西座長
    これまでご指摘いただいていたものは、今後の検討課題に書き加えておいて下さい。例えば、一般国民向けの情報提供、使用事業者の取り組み等は書き直して下さい。新たに、ご質問、ご意見はありますか。
  • 有川氏
    関係省庁との連携というところは、検討課題としてもしっかりやっていただけると事業者としてはありがたい。
  • 福島氏
    ナノの問題は、リスクコミュニケーションが非常に重要であり、情報をある程度集めてその段階で望ましい方向などと書くと、遅れをとってしまうのでないか。集めるとともに、または集めると同時に、といった表現で国民向けの情報を出していく姿勢が求められるのではないか。
  • 新美氏
    情報開示を誰向けにするかという議論と、コンテンツをどのようにしていくかということは分けるべきで、先程来あったように、コンテンツとして専門家向けの情報であっても市民がアクセス出来ることは必ず必要ではないか。誰でも簡単に読めるような、わかるようの情報の構築はもう少し後になるかもしれない、という書き方にするべきではないか。

その他

  • 中西座長
    本来なら本日で終わりの予定でしたが、ずいぶん根本的なところで意見が出ています。今後どのように進めるべきか、事務局いかがでしょうか。
  • 福島課長
    この報告書案は本日初めてご議論いただきましたが、もしよろしければ、いただいた意見をもとに修正したものを、再度メール等で見ていただいて、もう一回開催するか、書面においてご意見を頂くということでよいかという判断をさせて頂きたいと思います。意見の対立等があって、一同会して議論しないと収まらないということであれば再度開催いたしますが、今日頂いたご意見の中では、対立的なものはなかったと感じております。
  • 中西座長
    ただいま福島課長からご提案がありましたが、皆さんから多くのご意見が頂きましたが、委員の中でご意見が分かれているということはなかったかと思います。それを踏まえて事務局の方で文章を直した上で、もう一度検討して頂き、まとまるのであればまとめるということでよろしいでしょうか。それでは、そのように進めさせて頂きます。本日は最終回ということで、経済産業省製造産業局後藤次長からご挨拶をお願いします。
  • 後藤次長
    今回で終わるかは分かりませんが、大変お忙しいところ駆け足でご議論頂き、中西座長以下、委員の皆様にはまことにありがとうございました。初めにも申しましたが、ナノマテリアルを適切な管理下で使うことが大切であり、それをやっていないばかりに危ないとされるのはもったいない話です。今回の報告書は、様々な選択肢がある中で、6物質を対象にして自主管理を中心にコミュニケーションを促進していくことを含めておまとめいただきました。今後、国内外の知見やこの自主管理のシステム自身から得られる情報を織り込んで、管理のシステムを進化させて、より高い信用を得るようにしたいと存じます。始めとして報告書案にある対象範囲を設定しましたが、それが最適かどうか自身を点検するなどを通じて制度を進化させたく、引き続きご知見を頂きたく存じます。ご知見、ご議論を頂きましたことを、この場を借りて御礼申し上げます。どうもありがとうございました。
  • 中西座長
    それでは、これで閉会させて頂きます。活発なご議論どうもありがとうございました。

以上

 
最終更新日:2009年4月2日
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