経済産業省
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総合資源エネルギー調査会鉱業分科会クリーンコール部会(第4回)-議事録

日時:平成21年4月21日(火)14:00~16:00
場所:経済産業省本館17階西3国際会議室

議事概要

  • 持田部会長
    出席予定でまだお見えになっていない方がいらっしゃいますが、定刻となりましたので、ただ今より総合資源エネルギー調査会鉱業分科会第4回クリーンコール部会を開始させていただきます。本日はご多忙のところ、多数の委員の皆さまにご出席いただきまして、誠にありがとうございます。
    議事に先立ちまして、定足数及び配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。
  • 國友石炭課長
    本日は委員総数26名に対しまして、本日のご出席は過半数以上の19名の委員にご出席いただいておりますので、総合資源エネルギー調査会令第8条の規定に基づき、審議会として成立しております。
    また本日は、衣川委員の代理として、三菱商事の鉄鋼原料本部一般炭事業ユニットマネージャーの山中様にご出席をいただいております。また、福江委員の代理としては、三菱重工業株式会社原動機事業本部技師長、IGCCガス化統括の橋本様にご出席いただいております。また、森崎委員の代理として、三菱東京UFJ銀行ストラクチャードファイナンス部ECAトレードファイナンスグループ次長の桝谷様にご出席いただいております。また、セメント協会渡邊委員の代理として、社団法人セメント協会専務理事の舟町様にご出席いただいております。
    また本日、萩原委員が途中ご退席ということで、ご了解願います。また、大変恐縮ですが、事務局の資源燃料部長の北川も中座させていただきますので、ご了解いただければと思います。
    さて、資料の確認ですが、お配りしております資料の右上に資料番号を振っております。資料1~資料11までです。ご確認いただければと思います。審議中でも、資料の不足がありました場合にはご連絡、お申し出いただければと思います。また、資料3,4は前回の議事要旨及び議事録ですので、委員の方々には事前にお目を通していただいておりますが、お気付きの点がありましたら、事務局にお申し出いただければと思います。
  • 持田部会長
    資料は揃っていますでしょうか。それでは、議事次第に従いまして議事に入りたいと思います。議題(1)につきまして、これまでのクリーンコール部会は3回を数えておりますが、主な論点の整理及びそれに対する具体的な対策のイメージ、それからクリーンコール技術開発研究会の設置につきまして、事務局から説明をいただきます。國友課長、お願いします。
  • 國友石炭課長
    それでは資料5-1,5-2、また後ほど資料10のご説明をさせていただきたいと思います。まず、資料5-1、A3の横長の資料をご覧いただければと思います。これまでクリーンコール部会を3回実施させていただいておりまして、いろいろな方からご意見をいただいております。これまでの議論を若干まとめさせていただいているものと、また、最終的な取りまとめイメージなども、ストーリー性を持った形でまとめさせていただいているものです。
    まず、このクリーンコール部会の設置、検討の発端となった石炭を取り巻く状況、現状認識ということで、一番上に五つ挙げさせていただいております。まず一つは、気候変動問題に関する国際的な議論の高まりの中で、石炭は他の化石エネルギーに比べまして、単位当たりのCO 2排出量が大きいということで、世界的な低炭素社会づくりのために、石炭利用をどう考えていくかという議論が非常に高まっているという論点をまず1点挙げさせていただいております。
    2点目に、世界の石炭需要は非常に拡大しているということです。石炭需要はアジアを中心に今後とも拡大の予定でありまして、石炭火力は世界的な全体の発電量の中でも半分近くを占めますので、世界的にも非常に必要不可欠なエネルギーであるということです。
    例えばこの1点目と2点目の順番の置き方についても、いろいろご意見があろうかと思いますので、後ほど、ご意見をいただければと思います。
    3点目ですが、我が国は世界最大の石炭輸入国ということです。また、我が国の2030年に向けての需給見通しにおきましても、大体一次エネルギーの2割程度は占める見込みであるということで、我が国にとりましても今後とも重要なエネルギー源であるという認識です。
    4点目では、産炭国において状況が非常に変わってきている面が見て取れるということです。中国、インドネシア等、ベトナムなどもそうでしょうか、内需が非常に拡大しておりまして、国内電力需要向けの石炭供給が非常に重視されるような方向になっております。そういう中で、それまで輸出振興策を持っていた国が、どちらかというと輸出は振興しない、抑制策に移る動きもございます。さらに需要の拡大を反映しまして、生産も拡大している中で、産炭国の輸送インフラの問題が非常に顕在化しております。他のエネルギー資源に比べまして、石炭の輸送インフラというのは、公的な関与が強い中で整備されている事例が非常に多いので、それをどう考えていくかという議論です。さらに市場の中でも、インド、中国という大産炭国が、国内の生産では国内の石炭需要がなかなか賄えない中、輸入国になり、かつ輸入量が非常に拡大してきているという面を取り上げさせていただいております。
    5番目といたしましては、特に国内的には石炭に対するイメージの問題が、いろいろ議論されておりまして、そういうことに対してどう対応していくかという点や、さらに石炭の開発・利用は今後とも重要ですが、人材の確保、育成の必要性が非常に高まっているという、このような現状認識を五つ整理させていただいております。
    その中で、これまでこのような課題に対して、我が国がどのように取り組んできたかという経緯や、これまでの取り組みの実績、成果について述べさせていただいております。まず、国内におけるクリーンな石炭利用の現状といたしましては、国内には3000万kWを超える世界有数の高効率な石炭火力の運営実績があり、現在、それが安全に運転されているということです。それから、海外炭への依存度はほぼ100%で、国内における環境規制等からクリーン・コール・テクノロジーについては世界トップレベルの水準まで取り組んできて、その実績があるという点です。このような世界有数の実績をさらに発展させる上で、IGCC等のさらなる発電効率化への取り組みや、CCS等、出たCO 2を回収するというようなところでの取り組みが官民で計画されている点です。
    その下ですが、このようなクリーン・コール・テクノロジーは、海外への移転も民間ベース、政府においても、これまで十分に取り組んできておりまして、優れたCCTが中国やインド等へ民間ベースで技術移転され、CO 2削減に貢献しているということではないかと思います。さらに最近では先進国や発展途上国から、日本のIGCCをはじめ、USC等、高効率石炭火力に対する期待が非常に高まっているという状況かと思います。
    今度は生産、供給面で見てまいりたいと思います。国内における石炭の生産量はほぼ100万トンですから、零点数パーセントということですが、その技術というのは、石炭の生産、さらには保安面の技術というのは優れたものを持っており、それが技術移転されることによって産炭国から高く評価されている現状があろうかと思います。ただ、世界最大の輸入国で、ほぼ全量を輸入しているわけですが、その輸入量の40%は、豪州等における我が国の企業が持つエクイティーコールであるという点です。その自主権益比率の高さが安定供給の確保にも貢献しているという事実があるのではないかと思います。
    一方、各委員からもいろいろ指摘されましたが、国内市場のバーゲニングだけを背景とした安定調達ではなかなか難しい面も出てきているのではないか、海外炭調達に係るコンペティターが出てきたのではないかという点です。ですから、さらなる投資参画や権益確保というものが重要な課題になってきているのではないかという現状認識があろうかと思います。
    その中で、我が国の新たなクリーンコール政策として、石炭は今後も世界の重要なエネルギーであることを認識しつつ、気候変動問題など、非常にグローバルな議論がなされておりますので、そういう議論を踏まえて、我が国の石炭政策というものを考える必要があるというのが、大きなこの場での議論だったかなと思います。
    その具体的な石炭政策の方向性として、ここに五つの方向性を書かせていただいております。まず一つ目に、横に広く書かせていただいておりますが、グローバルな視点で議論されている気候変動問題等の議論の流れを踏まえて、我が国における石炭利用の意義をきちんと認識して、政策を講じるべきだろうということです。気候変動問題への対応というのは世界全体で取り組むべき課題ですし、石炭を使わざるを得ない世界のエネルギー需給の中で、クリーンな石炭利用というのはますます重要になっていくものと思われます。我が国は、クリーン・コール・テクノロジーにつきましては、輸入炭を使っている国内環境規制等々もあり、世界最高水準の先進国ですから、今後とも、このようなクリーン・コール・テクノロジーの次世代技術の開発に取り組み、気候変動問題に貢献するという方向ではないかというのが、まず1点目の横断的な意味合いでのまとめです。
    2点目の方向性といたしまして、クリーンな石炭利用技を進める上での技術開発が非常に重要で、それを促進させることが必要だということです。民間の技術開発意欲を促進させるための国の支援も必要だという論点をまず1点目に書かせていただいております。
    3点目は、そのような国内で使われている最先端のクリーン・コール・テクノロジーをできるだけ海外に技術移転していくという点です。技術移転をしていく上では、民間ビジネスをベースとしたWin-Winの仕組みが大事ですから、そのようなことを前提としつつ、海外に技術移転をしていき、気候変動問題に対応すべきではないかという論点が二つ目です。そのためには政府間対話も非常に重要だということかと思います。
    4点目は、クリーンな石炭利用にかかわる国民の理解を進める上での広報の強化、資源開発・利用面両面での長期的・総合的な人材育成も重要であろうと思います。
    5点目の安定供給の観点では、産炭国との関係は、資源の売買という関係のみならず、産炭国との重層的な関係を作っていくべきではないかという方向性が多くの委員から出されたかと思います。そのための安定供給を確保するために、継続的な政策対話や、産炭国には未利用な石炭資源も結構ありますので、それを有効に使っていくということや、クリーン・コール・テクノロジーを技術移転するというところでのいろいろな中層的な関係を構築していくことが安定供給確保にもつながるのではないかという論点を五つ目に述べさせていただいております。
    このような論点を最後の五つの方向性ということにつきましてまとめたものが5-2です。繰り返しになる部分は省かせていただきます。まず1ページ目です。「グローバルな視点での石炭の位置付け」で、先ほども申しましたとおり、グローバルな視点で、我が国の石炭利用の意義をきちんと評価し、取り組んでいくべきだとまとめさせていただいております。資料に概念図的に書かせていただいておりますが、発電分野を中心に世界的な石炭需要はどんどん拡大する方向です。気候変動問題への対応から、石炭利用におけるCO 2削減への要請はますます高まるばかりだということです。そういうことを受けまして、いろいろなグローバルな議論では、G8サミット、IEA等においても、CCSの実証プロジェクトの開始等、技術を開発し、実証していくことで対応していこうではないかという流れかと思います。
    我が国は、これまでもトップレベルのCCTを有し、総合的な技術開発と技術移転を実施してきた実績もございますので、これを今後とも促進させることで、我が国のクリーンコールの開発・利用が世界の気候変動問題に貢献していくという方向性かなというようにまとめさせていただいております。
    2ページ目、「クリーンな石炭利用技術開発の促進」で、先ほどと同じような議論ですが、真ん中の右側をご覧いただければと思います。技術開発の方向性として、民間の技術開発を促進するためには、引き続き国の強いリーダーシップが必要だろうということで、継続的な技術開発に取り組む上で、いろいろな技術の成熟度に応じた国の支援の枠組みが必要であろう。また柔軟な対応が必要だと。特にCCSについては、一貫システムの検証や、実証プロジェクトにおける国の主導的な役割が大事だろうという方向性でまとめていくのかなと思っております。
    3ページ目は「クリーンコールテクノロジーの技術移転の促進」です。中段以降、左から右にご説明をさせていただきたいと思います。「民間による国際協力の現状」で、民間企業におけるビジネスベースの技術移転は進展しております。ただ、相手国にまだまだ高効率な利用ニーズがないような例もありますので、その掘り起こしや、いろいろなCDM等の仕掛けも必要かと思います。知的財産権にかかわるいろいろな懸念なども表明されましたので、そのような課題認識も必要かと思います。
    「民間による国際協力の方向性」として、CO 2を削減していくことは、我が国として大きなアドバンテージになるという認識や、技術移転については正統な対価が得られるようなWin-Winの関係が大事であるとか、アジアへのCCTの発展に貢献しながら、産業競争力を高める側面も大事であろうというような意見が出されたと思います。
    また、国による国際協力におきましても、マルチやバイでいろいろな協力の枠組みが作られ、例えば、専門家派遣や研修生の受け入れ、診断事業やモデル事業とさせていただいておりますが、相手国のみならず、技術移転の主体となる民間企業にとっても、メリットのあるような仕組みづくりを考えていかなければいけないと思いますし、初期段階における資金援助や政府のイニシアチブなども重要だろうというご意見が多かったかと思います。
    4番目、4ページ目ですが、「国民の理解の増進」ということで、まず前段のパブリックパーセプションですが、国民の理解の現状ということで、イメージはあまり好ましいものではないという現状認識です。こういう現状認識がいいかどうかというのも、いろいろご意見はあろうかと思います。そういう国民理解の促進のために取り組んでいるいろいろな例なども、これまでご紹介させていただいております。
    その国民理解を増進させる上での方向性として、やはり社会に向けた正確な情報を発信していかなければいけませんし、石炭のみならず、エネルギー全体に対する理解を促進することが必要だというご意見も出されております。
    それから人材の確保や広報ツールの充実など、官民が連携して、広報の強化に取り組んでいくことが必要であるという方向性かと思います。
    人材育成の面におきましては、大学における資源系学科が縮小する中で、海外の資源開発という意味では、若年層の技術者不足が逼迫しておりまして、利用面においても新たな技術に取り組む上での人材育成が必要です。
    そういう観点から、人材育成の方向性として、資源開発の面におきましては国際感覚や経営ノウハウなど、新たなスキルを有する人材の育成が必要ですし、利用面でも、継続的な石炭火力の運営を基盤とした人材育成を総合的なプログラムの上で進めていく必要があるということかと思います。
    最後に5ページ目、産炭国との重層的な関係です。資料5-1でも申し上げましたが、安定供給確保に関してはさまざまな懸念が生じております。そのような中、安定供給確保を実現していく上で、継続的な政策対話も大事ですし、相手国が求めるニーズに、いかに日本の技術で対応できるかということを十分考えていかなければいけないという点かと思います。
    そういう観点で、安定供給確保の方向性として、政府間対話なども継続しながら、産炭国との重層的な関係をさらに強化する。また、瀝青炭の利用が拡大する中、産炭国におきましては未利用資源としての褐炭、亜瀝青炭は非常に多うございますから、そういう有効利用に貢献するということも重要でしょうし、開発、経営、操業、販売まで意思決定に参加できるエクイティーの確保、権益の確保ということも大事だろうと。さらに豪州、インドネシア等々以外の産炭国にも供給源を広めていくことが必要ではないかというような論点が数多く出されているということです。今後の取りまとめのイメージとして、今回出させていただいております。本日、次回、次々回と議論を深めていきたいと思っております。
    次に、資料10をご覧いただければと思います。「クリーンコール技術開発研究会の設置について」という資料です。このクリーンコール部会におきましても、各委員の皆様方から、数多くのIGCCの技術のタイプについて、いろいろご紹介があったり、推進の必要性をご提言いただいたり、CCS等の技術開発に対する国の支援の強化のご意見をいただきました。褐炭のガス化や、SNGに利用するための石炭ガス化についてのいろいろなご提言や必要性も述べられているところです。国内におきましても、勿来の酸素吹のIGCC実証試験や、若松におきましては酸素吹のIGCCのパイロットプラントの技術開発などもしております。今後、それらを実用化に向けて進めていかなければいけないと思っております。CCSについても、国内でのプロジェクトのみならず、海外の酸素燃焼のプロジェクトも、国が支援し、実施しているところです。
    ただ、このように今、国及び民間企業で計画されているIGCC、CCS、ガス化、高効率発電など、技術的に非常に理解の難しい点もございます。国民感覚的には同じような技術と思われかねない向きもないわけではないということで、市民感覚的に国民にも分かりやすく、この技術の必要性、違い、比較、特質を説明していくことが、国の支援を考える上で非常に重要だろうと考えております。この部会の場では、そういう専門家も中にはいらっしゃいますが、必ずしも議論にはなじまないだろうということで、別途研究会を作らせていただいて、このような新しい技術開発の必要性とともに技術の特質、評価、社会的意義について議論、把握し、われわれも政府として発信していきたいと考えておりまして、別途このような研究会を作らせていただいているところです。審議会の下部組織という議論もあろうかと思いますが、審議会の肥大化という議論も一方であるものですから、このような形で効率的に実施させていただきたいと思っております。
    2枚目に名簿で、委員にはこの部会にもご参加をいただいております中立的な委員の皆様方にご協力いただく予定でございまして、座長は末次委員にやっていただき、持田委員長にも顧問としてご参加いただくほか、大学の先生方、この分野における専門家の先生方に十分ご意見をいただきながら、今後の国の支援の方向性を決める上での技術的な知見を高めていきたいという形で進めさせていただくものです。
    この研究会の中身の議論につきましては、審議会の検討マターではございませんが、この成果につきましては、今回のクリーンコール部会の議論の参考になる部分も多いので、6月ぐらいの部会では、何かしら報告内容をこの場でご披露できるようなスケジュールを当面考えているところです。
  • 持田部会長
     どうもありがとうございました。ただ今、3回までの議論を要領よくまとめていただきまして、これが審議会の結論に向かっていく一つの段階だと思いますので、たくさんのご意見や感想、場合によってはこういうところを改めてほしいということもあろうかと思いますが、内容が大変重いので、今日は4人の委員の方にお話を伺い、その後にまとめて議論をいただく。もちろん今回だけで済むとは思いませんので、先ほど國友課長からお話ししましたように、今後、議論を続けてまいりますと同時に、場合によってはペーパーで、文書として意見を提出いただくこともお願いして、深めていこうと思います。後ほど、このクリーンコール部会の議論の整理、あるいは具体的な対応イメージは、まとめてさせていただきたいと思います。  クリーンコール技術研究会については、課長からもお話ししましたとおり、日本の技術開発の中で中心的なガス化技術の全体像のマップを作り、今後の方向性も探られるということですので、大変大事な見通し、あるいは現状の解析という内容を含んだ研究会ということになろうかと思います。
    この点について何かご意見、ご要望等があれば、この際承っておきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、もしあれば後でお聞きするとして、まずは議事を進めさせていただきます。
    それでは議題(2)で、委員からの意見説明をいただきます。今回は4名の委員からご説明をいただきます。今までどおり、ご説明の後には簡単な質問をお受けして、後でまとめて内容についての議論・意見をお伺いしたいと思います。説明は、上前委員、川嶋委員、竹内委員、有馬委員の順でお話を伺いたいと思います。スクリーンでお話しいただきますので、よろしくお願いします。
    では、上前委員の準備はよろしいですか。では、どうぞ、お願いいたします。
  • 上前委員
    出光興産の上前でございます。本日は発表の機会をいただきまして、誠にありがとうございます。私はアニメーションを使いますので、皆さんは画面の方で見ていただいた方が分かりやすいと思いますので、お願いします。
    本日のご説明は、このスライドのとおりです。まず私どもの石炭事業の概要について、各分野別に説明申し上げます。最後にクリーンコール部会に対する私どもからのお願いをお話しさせていただくというような予定です。
    出光は、鉱山事業から利用技術の研究開発まで、一貫した石炭事業に取り組んでおります。鉱山事業はオーストラリアにてメジャー権益を保有し、私ども自身が鉱山開発と鉱山のオペレーションを行っております。また、日本国内では石炭輸入基地を保有し、需要家の皆さんへ輸入炭の安定供給を行っています。
    さらに国内の3カ所の製油所に石炭ボイラーを導入しまして、石炭利用技術のノウハウを蓄積して、お客さまの皆さまへの支援に活用しております。また、千葉に石炭・環境研究所を保有しています。ここでは石炭利用技術や環境問題解決に貢献するような、さまざまなコンサルティング、技術商品開発に取り組んでおります。
    このスライドは、私どものこれまでの石炭事業への取り組みについての歴史を示しております。70年代のオイルショックを契機としまして、77年に新燃料室を設立し、石油代替エネルギーとして石炭、ウラン、地熱事業を開始しました。また、78年には石炭利用技術の研究を開始し、80年に石炭の輸入販売をスタートしました。その後、褐炭液化、ガス化プロジェクト等へも積極的に参加しております。
    一方、海外では、92年に設立した北京事務所を通じて中国炭の確保に力を入れてまいりました。また、2004年に中国山東省煙台に石炭中継基地を建設しまして、中国国内での石炭販売も始めています。
    石炭資源の開発は、80年代にカナダ、アメリカ、オーストラリアで検討を開始しました。当初から上流への参画を試みましたが、カナダ、アメリカからは早々に撤退し、オーストラリアだけが現在残っております。オーストラリアでは、80年代に鉱区取得、権益購入を行いまして、プロジェクトごとに順次鉱山開発を進め、生産量の拡大を図っております。
    次に、各石炭事業の内容について簡単に紹介させていただきます。最初にオーストラリアにおける鉱山事業です。これは保有する鉱山の位置を示したものです。オーストラリア北東部のクイーンズランド州にエンシャム鉱山、その隣のニューサウスウェールズ州にはマッセルブルック、ボガブライ、タラウォンガの各鉱山を保有しています。ピンクで示しました部分が各鉱山の操業状況です。まず、一番上のエンシャム鉱山ですが、生産規模は年800万トンの大規模な露天堀の鉱山です。私どもは85%の権益を保有し、Jパワーさんと韓国のLGIさんとのジョイントベンチャーをやっております。
    次のボガブライ鉱山は、生産規模が150万トン、権益比率は100%です。
    次のタラウォンガ鉱山は、ボガブライ鉱山と隣接鉱区にオーバーラップしております。年産150万トンで、お隣に鉱区を持っているホワイトヘブンという会社と地下の埋蔵量の比率で権益を分けており、3:7です。
    次のマッセルブルック鉱山は、私どもが100%の鉱山です。年産150万トン程度ですが、開設102年の歴史のある鉱山です。いずれの鉱山も一般炭を主体とする生産を行っています。
    このブルーで示した部分は、現在開発検討中のプロジェクトです。エンシャムの坑内堀プロジェクト、ボガブライの拡張、ウェストマッセルブルックプロジェクト、それぞれ資源量も2億トン以上と非常に大きく、さまざまな問題や課題がたくさんありますが、今後、順次開発を進めていく予定です。
    出光は今ご説明しました保有資産のほか、新規案件の調査を、豪州と、それからその他の国でも今行っております。今後も自社権益炭の引き続きの開発や新規鉱山の獲得を続けて、日本への安定供給の一翼を担う所存です。
    こちらはオーストラリア鉱山からの生産量の推移です。89年に生産を開始して以来、順調に増えてきておりまして、現在年産1000万トン程度です。なお、2008年はエンシャム鉱山での洪水の影響で生産量が下がっておりますが、2009年には洪水前の水準に戻る見込みです。
    こちらのグラフは、2007年度のオーストラリアの石炭生産社の一般炭生産量を比較したものです。私どもはXstrata、Rio Tinto、Anglo、Peabody、BHPの石炭メジャーに次いで、オーストラリア第6位の一般炭生産者となっております。
    オーストラリアで石炭開発を進めていく上での課題と問題点は次の4点です。まずインフラ問題です。オーストラリアでは港湾と鉄道能力が限界に近く、インフラ確保が増産、新規鉱山開発のネックになっています。
    次に人材確保です。近年、人材不足が顕在化しており、特に新規鉱山を開発する際、人材を確保できるかどうかが大きな問題となっています。
    次は環境関係です。オーストラリアではCPRS(Carbon Pollution Reduction Scheme)と呼ばれる温暖化ガス規制制度が、早ければ来年から導入されることが現在検討されています。この制度が導入されますと、石炭生産者は鉱山の重機からの排ガス及び炭素放出ガスの放出量に応じた負担が強いられることになります。
    最後に市況のボラティリティーですが、もともと利益マージンの大きくない一般炭の生産者にとりましては、市況急変への対応が非常に重要な課題となっております。
    次に、国内の石炭物流・販売について説明します。石炭輸入基地であります千葉バルクターミナルは、1986年に操業を開始し、貯炭能力は現在35万トンとなっています。また、私どもの製油所に導入した石炭ボイラーには、微粉炭と循環流動床ボイラーがありますが、使用石炭の多様化を図るため、本年より自社ボイラーで亜瀝青炭を少しずつ利用して、ユーザーとしての利用技術力を蓄える計画です。
    次に、国内の石炭販売につきましては、国内各産業分野の需要家への販売を行っています。石炭の調達ソースは、オーストラリア自社炭、中国、インドネシア、ロシア等です。自社鉱山の石炭は日本をはじめ、韓国、台湾、インド等のアジア諸国向けと、オーストラリアの国内向けに販売しております。
    次に、CCTへの取り組みについてご説明します。私どもは民間ではあまり例のない石炭の研究所を設けて、CCTの開発と活用を行っています。本研究所の取り組みは、大きく既存設備の高度運用と、国の技術開発プロジェクトへの参加に分けられます。まず、既存設備の高度運用に関連して開発した主なツールとしまして、石炭評価システムと燃焼シミュレーションがあります。石炭評価システムは、石炭やボイラーの性状をパソコン入力することで、対象ボイラーの燃焼特性や環境特性を予測するものです。燃焼シミュレーションは3D解析によりまして、ボイラー炉内の粒子の流れや温度分布などの燃焼状況を予測するものです。
    次の新技術開発プロジェクトに関しましては、亜瀝青炭の利用促進技術や有害な微量成分の環境影響低減技術、それから中国の石炭火力のリノベーションプロジェクトなどに参加しています。また、海上輸送に関するIMOのBCコード規制強化という動きがございますが、その技術評価も私どもが受託しております。
    次のスライドで、既存設備の高度運用に関しまして、もう少し詳しく説明します。私どもは、発電所における貯炭、送炭、粉砕、燃焼、排ガス、排水、灰処理などの各ステップごとの利用技術開発を行っています。具体的には、先ほどご説明しました石炭評価システムや、燃焼シミュレーションのほかにも、ご覧のような石炭利用の各ステップを網羅する技術開発に取り組んでいます。これらの技術メニューを使いながら、お客さまがクリーンで高効率な発電ができるよう、使用する炭の種類の選定や、それらの最適なブレンド比率の提案、さらにはボイラーを操作する際の技術条件の設定等のサービスを提供しております。
    次に、海外でのCCT活動についてご紹介します。中国では2004年に、山東省煙台市に出光清潔能源公司という、クリーンエネルギーという意味を持つ現地法人を設立しました。出光清潔能源は、外資企業ではほかに例のない石炭販売権を取得し、需要家への石炭販売を行っています。ここでは石炭のブレンドによる品質調整を通じて、顧客の省エネ、環境対応を支援しております。苦労している点としまして、顧客の信用リスクの問題があり、石炭代金回収が難しいという実情があります。
    石炭評価システムの販売・普及は、これまでのところ、一部の中国、韓国の電力会社への導入に成功しています。しかしながら、海外では需要家とのコネクションが限られ、また信用リスクの問題もありまして、残念ながら十分な普及活動には至っておりません。
    次に、オーストラリアの石炭鉱山の跡地で行っている植林をご紹介します。石炭鉱山の跡地は復旧義務としまして埋め戻し、そこにもともと自生していた草などを植える義務があります。私どもはエンシャムとエベネザ鉱山において、合計220ヘクタールで植林を行っています。特にエンシャムではNEDO事業としましてJパワーさん、関西電力さん、JCOALさんとともに植林を行いました。
    私どもは海外での文化活動にも取り組んでおります。オーストラリアでは出光がスポンサーとなっております「題名のない音楽会」をシドニーとブリスベンで開催しました。また、同様に出光美術展もブリスベン、シドニーほか、オーストラリア各地で数回にわたって開催しており、これらの活動を通じて地元との文化面での交流を深めています。
    大規模ではありませんが、石炭についてのPR活動も行っております。石炭・環境研究所では94年以降、これまでに15年間、毎年9月5日のクリーンコールデーに近隣の小中学生を50人ほど招待しております。石炭の利用方法や重要性についてアピールし、興味や関心を持ってもらえるように努力しています。
    また、2003年からは、経済産業省等が主催する海外技術者研修に参加しています。これまでアジア各国から合計1300人の研修生を受け入れ、石炭利用技術等の指導を行ってまいりました。
    最後に、本部会への出光からのお願いについてお話しさせていただきます。最初は「クリーンな石炭利用のあり方」に関する点です。まず国内の課題ですが、前にお話ししましたとおり、私どもは特に既存の設備に着目して、石炭評価システムや燃焼シミュレーション等の運用技術の普及を図っています。これら技術の既存設備への導入により、環境負荷低減等に即効性の高い効果が期待できます。しかしながら、現実問題として、電力会社の大型ボイラーへの適用は進んでおりますが、一般産業用の中小型ボイラーへの普及はあまり進んでいません。中小型ボイラーの場合、技術導入による燃料節約効果が小さいため、普及を進め難くしている現実があります。
    そこで中小規模設備については、技術導入による環境負荷低減効果に対する評価を行い、これに対して需要家に補助金等の形で技術導入支援を行うことによって、幅広い産業分野でさらに環境負荷低減が図られていくと考えております。これはまだ具体的に細部まで詰まった話ではございませんので、これからエネ庁の石炭課さんと事務レベルで打ち合わせをさせていただきたいと思います。
    次に海外協力に関する課題ですが、石炭利用技術導入によって、省エネの進んでいない海外では、日本国内以上の効果が期待できます。しかし民間ベースでは、先ほどの私どもの例でも紹介しましたが、信用リスク面での問題もあるため、相手先が限られ、普及・発展という点で限界があります。そこでG-Gベースで政府窓口を設立し、相手国内での技術導入設備等の確保、それから日本企業各社が保有するハード・ソフト両方の技術のグルーピングやパッケージングというようなことを行って、その中で各社が活動できるような枠組みづくりが必要ではないかと考えております。
    次に「石炭資源の安定確保について」ですが、このスライドは石炭資源の開発の流れを示しています。まず、事前調査の段階で、開発対象国や地域を絞り込みます。その後、鉱区を取得したり、他社さんの鉱区の権益を購入します。鉱区取得をした後、まず探鉱調査によって、資源の賦存状況を確認します。次に企業化調査を実施して、プロジェクトがフィージブルであれば、開発に移行するということになります。石炭開発の場合、石油開発に比べまして、探鉱段階での資源発見の確率が極めて高いのですが、企業化調査段階で技術面、経済性、インフラ確保、許認可取得、それから販売先の確保等の大きなリスクとなり得る、さまざまな課題をクリアする必要があります。実際に資源があっても、企業化調査の結果、開発できないケースや、開発までに長期間を要するケースというものが結構多いのが現実です。
    スライドの下部の方に費用のイメージを示していますが、企業化調査までに要する、大体30~40億円規模の費用が、回収不能の可能性のあるリスクマネーと言えます。一方、現在、NEDOさんが行っている海外炭開発可能性調査による補助金制度は、作業面では、今年から事前調査から企業化調査までをカバーするように改善されましたが、補助金の交付対象が日本法人に限られておりまして、私どものように海外に現地法人を設立して資源開発を実施している場合は、補助金を受けることができないという現状があります。
    石炭資源の安定確保についてお願いしたいことというのは、この3点になります。第1に、現在NEDOさんが行っている海外炭開発可能性調査の補助制度対象の拡大が必要と思います。先ほど説明しましたとおり、現在の交付対象は日本企業に限られていますが、海外で権益を保有する際は、現地法人の設立が義務付けられるというケースが非常に多いので、その実情に合わせて、海外現地法人も対象に含めるということをお願いいたします。この点につきましても、石炭課さんとNEDOさんと、これから打ち合わせをさせていただきたいと思います。また補助金額が、現在1件6000万円までですが、先ほど申しましたような実際のリスクマネーの額を勘案していただいて、補助金の増額の検討も併せてお願いできればと思います。
    2番目に、政府による産炭国へのインフラ整備支援の検討をお願いしたいと思います。先般、伊藤忠さんからもお話がありましたが、例えばモンゴルのタバン・トルゴイ(Tavan Tolgoi)の資源開発を行う場合、巨額の投資が必要なインフラ整備が要求されています。現在、中国、インドを含む各国間の資源確保競争は次第に激しくなっています。この状況を踏まえまして、政府には産炭国へのインフラ整備への支援等でご協力いただきまして、見返りとしての資源権益を相手国に要求するなど、官民一体となった資源確保政策の具体化と、リーダーシップの発揮をお願い申し上げます。
    3番目の提案として挙げていますのが、相手国に関しては金銭的な援助だけでなく、文化面も含め、互いの理解と信頼関係の構築、緊急時に日本が無視されないような関係づくりが不可欠だと考えます。資源確保だけに限った話ではございませんが、しっかりとした国としての基本戦略があって、これに官民の多層的な活動が日常的に行われるというような姿が必要だと思います。出光も非常に微力ですが、できるだけの貢献をしていきたいと考えております。
    以上で私からの説明を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
  • 持田部会長
    どうもありがとうございました。出光の取り組まれている事業及び幾つかの提言をいただきました。何か簡単なご質問がありましたら、お伺いいたしますが、よろしいでしょうか。それでは上前委員、ありがとうございました。次に川嶋委員よりお願いいたします。
  • 川嶋委員
    三井物産の川嶋です。本日は、このクリーンコール部会での発表の時間をいただきまして、ありがとうございます。今回のテーマであります、われわれは特に石炭の安定供給という観点と、環境調和ということで、日ごろ考えている点をお話しさせていただければと思います。既に伊藤忠の小林専務や三菱商事の衣川COOといった先輩方からプレゼンテーションを戴いており、同じ業態である商社という点では内容的に重複するところもあるかと思いますので、あらかじめご了解いただきたいと思います。
    それから、私ども三井物産ではエネルギービジネスはエネルギー第一本部、第二本部と本部を分けて対応しており、第二本部ではサハリンを含むガス全般を、私のところの第一本部でガス以外の全てのエネルギービジネスを担当しております。即ち、石油、石炭、原子力、バイオマス、エタノール、排出権等幅広く対応しており、今回のクリーンコールのテクノロジーと関係する環境ビジネスも取り扱っております。それから、商社では、石炭ビジネスは鉄鋼部門で扱っておられるところが大半ですが、三井物産では2007年から、石炭ビジネスをエネルギー本部に組み込んでいる点が特徴的かと思います。
    お手元の資料に沿ってご説明申し上げます。プレゼンテーションの内容として、われわれが考えている石炭ビジネスの特徴・現場認識、それから石炭の需給動向、これについては既に國友課長が1回目のところで話をされましたのが、改めまして簡単にレビューしたいと思います。それから資産取得、安定供給の実現に向けてご説明させて戴き、それから商社の資源ビジネスモデルとしての石炭開発について少し述べてみたいと思います。出光の上前委員からも今ご説明がありましたが環境調和に向けての取り組みについて触れ、それからまとめという形で進めさせていただきたいと思います。
    1番目の「石炭ビジネスの特徴と現場認識」ということです。繰り返しになりますが、まず特徴としては豊富な埋蔵量が挙げられると思います。1兆トンに及ぶ確認埋蔵量があるということと、炭化水素として160~200年分の埋蔵量がある。これは石油の40年とか、ガスの60年と一般にいわれていますが、これに比べても非常に多いということ。それから世界各地に存在して生産されているということ。
    それからもう一つの特徴は、地産地消型で、そこで産出して、そこで消費される性格の商品であること。大体、2007年ベースで54億トンぐらいの生産量ですが、そのうち国際貿易量は約8億トンということで、15%です。これは褐炭は除いております。
    もう一つ、競争力という観点では、キロカロリーベース・CIFベースで、非常に大ざっぱな数字ですが、石炭はガス・石油に比べて1:2:3というぐらいの価格の競争力がある点がポイントかと思います。それから用途の広がりとしましては、製鉄用のコークス原料、それから燃料用途、それから石炭化学、IGCC等への広がりがあるということ。それから水素源としての用途が広がってきているということです。
    一方で環境問題に目を転じますと、灰処理の問題が付きまとうこと、また現在ではCO 2の分離、CCSの実用化といった動きが進んでいることが挙げられると思います。
    「Global Coal Supply & Demand」ということで、世界の石炭の供給と需要を2007年と2015年でプロットしてみました。これはIEAの予測ですが、二つとも先ほど申し上げた地産地消という観点で、2007年ベースで大体、生産も消費も54億トンということで、これが2015年にかけまして、生産も消費も約16トン増えて70億トンになると予測されております。
    それから生産量、消費量も、緑のところの中国と黄土色のアメリカ、それから黄色いインドで約4分の3を占めておりまして、繰り返しになりますが、まさに地産地消の商品であるということがよく分かると思います。
    ご存じのとおり、中国、アメリカは、かつての石炭の主要輸出国でしたが、国内の需要が伸び、生産を上回った需要になって、近年、輸出が非常に減ってきているということです。
    それからインドは石炭生産国ですが、地理的に北東部に採炭地域が偏在しているということもありまして、国内の需要を満たしていないといません。
    繰り返しになりますが、2015年には、中国とアメリカは消費が生産とほぼ拮抗すると予測されている一方でインドは、大体6億トン強の生産をしていますが、消費が8億トン強になりまして、2億トン強の輸入が必要になります。この予想どおりになりますと、2015年には既に日本を抜いて、インドが世界最大の石炭輸入国になると考えられます。
    これらの3カ国以外では、全体で供給力バランスが1億6000万トン強ありますので、インドの需給ギャップがカバーできる絵になります。生産面では、やはり豪州とインドネシアが非常に大きな生産国としての役割を果たしております。豪州は1億8000万トン強、インドネシアで1億トン弱増加しますが、このほかにも特にアジアの需要を考えた場合に、ロシアやモンゴル、もしくはアフリカ、南米での供給力の増加が必要になってくると思っております。
    次は一般炭と原料炭の貿易量のフローですが、先ほど申し上げましたとおり、全体の需要、もしくは消費の約15%がこのフローで表されております。皆さんご存じのとおり、アジアについては豪州、インドネシアからの供給が主力です。またロシアからヨーロッパ、あるいは南米からヨーロッパといった流れもございます。
    次が原料炭のフローです。これも見ていただくと分かりますが、原料炭に於いても日本は豪州への依存度が非常に高いということが分かります。これも同じように、先ほどお話が出ましたモンゴルやロシアといったところに供給を確保する、供給ソースの多角化が必要だと思っております。ただ、こういう新しい供給ソースと考えられる国・地域は、一般にインフラが非常に未整備なので、この問題をどう克服していくのか、それから物理的インフラに加えまして、ビジネスインフラといいますか、ソフト面でのインフラ、法整備が非常に不十分な面もありますので、これらの点もどう克服していくのか、課題になると思います。
    例えばアフリカは、いろいろな新規案件が出てきておりますが、発電事業とのパッケージで、例えば石炭をその国で発電用に消費して、残り分だけを輸出するというような計画が多いのです。またその場合物理的な、鉄道・港湾と言ったインフラ整備が必要になってくる訳で、今後詰めていかなければいけない、とても一私企業で克服できる問題ではないと考えております。
    それから「石炭需要の伸びが最も大きいアジアの一般状況」ですが、先ほど申し上げたとおり、特に中国とインドを見ていただくと急速に需給状況が変わっていることが分かります。
    次のスライドに中国の2000年以降、現在に至るまでのエクスポート能力を青線で示していますが、2000~2007年にかけて輸出力が非常に低下していることが見て取れます。一方、赤い線がインドの輸入量です。これが特に2003年以降、徐々に増えてきており、2001年と比較すると、中国の場合、約9000万トン近い輸出力が失われていると。一方、インドでは2000年時点で、約2000万トンであった輸入量がだんだん増加しておりまして、現在は5000万トンと、約3000万トンぐらいの追加需要が出てきているということです。2000年の比較行くとでインド、中国を併せますと、1億トンから1億2000万トンの石炭供給力が減少したことになります。このほかにも、インドは2015年に向けて、いわゆるウルトラ・メガ・パワー・プロジェクトというものが計画されており発電能力として400万kWの石炭火力が9基立ち上がるという計画になっておりますので、1基当たり約900万トン弱の石炭が必要だとすれば、これだけでも8000万トンぐらいの石炭が新たに必要になるということになります。
    一方、供給サイドとしては、これまで同様に豪州が中心的役割を担っていくことに間違いなく」  現在何かと問題になっているインフラストラクチャーのボトルネックが2010~2011年にかけて徐々に解消していくだろうと考えており、その後は比較的安定した供給力が見込めるように考えます。
    インドネシアについては、昨年12月に新鉱業法が可決されておりますが、まだ不明確な点が多いのが実情であり、元々外資が権益に入ることが難しいシステムになっております。それからDMO(Domestic Market Obligation)と称する国内への一定量の供給義務が課せられる見通しであり、さらに政府による輸出価格への介入等々も過去ありましたので、供給国として安定性があるかということについては、若干疑念が残ると考えております。
    それから私どもの石炭関連ですが、私どもの石炭権益を出させていただいております。三菱商事さんの3000万トンと比較すると、少ないのが現状ですが、一般炭・製鉄用原料炭を合わせて約900万トンの、エクイティーコールを持っております。後で出ますが、豪州に八つの生産権益を持っておりまして、そのプロジェクト全体の年間生産量は約3500万トンであり、そのうち私どもが900万トン強ということです。埋蔵量ベースでは既に約4億トンぐらいを確保しておりますので、われわれの野心的な計画ですが、保有権益の開発を進めることにより2015年にこの900万トンを2000万トン、それから2020年に2500万トンに積み上げていきたいと思っております。
    それからロシアや南米のコロンビアで、先ほど出光さんからも説明がありましたが、極めて初期の段階から探鉱作業に入っているものがございまして、こういったところも含めまして、将来的な安定供給・供給ソースの多様化に寄与していきたいと思っております。
    それから権益炭の販売に加え、「買って売る」形の石炭を含めたマーケティングでは、原料炭、一般炭を合わせて、約2500万トンの年間取扱量となっています。
    それから次のページは、先ほど申し上げました、豪州しかないのですが、私どもの持っている石炭権益です。八つの権益を持っております。クイーンズランドで六つ、それから豪州のニューサウスウェールズで二つということで、Anglo American、Rio Tinto、BHPといったマイニングハウスとのパートナーシップを組んでおります。
    われわれの石炭の開発ビジネスモデルですが、これは鉄鉱石や石油、もしくはガスといったビジネスにも通じますが、基本的には大手メジャー、もしくは大手マイニングハウスと組んで、鉱山の操業そのものは、オペレーターに任せる形が前提となります。われわれのファンクションとしては、産出物の石炭のマーケティング、それからプロジェクトを作るためのファイナンス、資機材の手配、スクラップの処理等々、全体としてのプロジェクトの立ち上げに貢献して、それをベースにプロジェクトの価値を高め、応分の発言力を保持しているということになります。
    ただ、実際に手を下してオペレーションをやっている訳ではありませんので、オペレーションがうまくいっているときはいいのですが、うまくいかない時に技術的な部分でオペレーションの実態が把握しにくいと言う問題があり、これを反省点としまして、三菱商事さんの例でもありましたとおり、最近では現地の会社に技術スタッフ陣を充実させ、オペレータとの開発計画策定の段階から、われわれとしてもいろいろと意見を述べて、オペレーターと極力同じ土俵に立って日々のオペレーションにも深くかかわってきているというのが最近の状況です。
    次に、二つ目のポイントであります「環境調和に向けての取り組み」につきご説明させていただきます。そこで触れるものは、石炭灰の処理、CCS、排出権、それから廃熱利用発電、石炭ガス化です。
    まず石炭灰処理の問題です。これはご案内のとおり、日本では一般炭使用が約1億トン、灰分を12%程度含みますので年間1200万トン程度の石炭灰が出てくることになります。現在はこの石炭灰はセメント焼成用に64%、それから路盤材や肥料用、埋め立てといった用途で使われております。しかしながら、埋め立て地の不足や処理コストが高いという問題、それから灰の品位のバラつき等、いろいろ難しい問題があり、安定的な石炭灰の受け取り先・アウトレットの確保が必要となって参ります。
    三井物産では2005年4月に物産エコリサイクルという会社を作りまして、石炭灰を加工して、産炭国をはじめとする港湾埋め立て用としての輸出を検討している状況です。これは有害廃棄物の国境を越える移動になりますのでバーゼル条約を初めとする関連法規を遵守することが大前提になりますが、輸入してきた石炭灰を日本で燃料として使って、例えば産炭国に石炭灰を持っていって、埋め立て用に使うと言った、言わば動脈と静脈の関係のような有効活用ができないかということで、いろいろ検討中です。
    また別の用途として、石炭灰自体はアルカリ性が非常に強いので、酸性が強い土壌に土壌改良材として使えないかといったような実証実験を、沖縄でやっており、安定的アウトレットの開拓を進めています。
    次に温暖化ガス削減のための方策としてのCCSの位置付けにつきお話します。これもなかなか難しい問題ではありますが、これはIEAの資料で、前にも触れられておりますが、2050年までに50%以上の温暖化ガスの削減ということになりますと、CCSに負う部分が大きくIEAのデータでは、50%削減という中で、CCSに頼る割合が、産業部門・転換部門の炭素隔離貯蔵ということで9%、発電部門のCCSで10%ということで、19%をCCSに依存する絵となっており、その実現に至るまでの道筋はなかなか容易ではないと思います。
    これは皆さんご存じのとおり、CO 2とCCSの定量イメージです。詳細をお話するとキリがないのですが、世界のCO 2貯量のキャパシティーが71年分といわれておりまして、日本には約115年分のCO 2貯留キャパシティが存在するという前提になっています。これはIPCCやRITEの資料から持ってきたのですが実際は地質学的またパブリックアクセプタンスの問題など、種々難しい問題があるということで、かなり詰めていかなくてはいけない問題だと考えております。
    それから、CO 2の排出規制につきましてのEUの現状認識ですが、昨年12月にEUのClimate Change Packageが可決され、グレーな表現ではありますが30万kW以上の発電所を建設するにはCapture-Readyとする必要があるとの前提となっており、即ちカーボンキャプチャーをやるのだということを前提として作ってくださいというと理解されます。結果的に曖昧な表現となっていますがこのPackageが可決される直前まで、キロワットアワー当たり500g以上のCO 2を排出する発電所の新設は、2020年以降は認めないというような具体案が盛り込まれたということなので、方向性としてこれに近い厳しい規制が、まず間違いなく行われることになるだろうと理解しています。
    一般的な石炭火力発電からのCO 2排出量はキロワットアワー当たり1000g程度、ガス発電が大体400~500gですので、このルールが施行されると、新設発電所については原子力やガス発電なのか、IGCCとするのか、或いは従来型の石炭火力の場合はCCSを付けるか、と言った選択になってきます。またCCSが、CDMとして認められていくのかといった問題があり、今年デンマークでのCOP15の会議を見守っていく必要があると思っております。いずれにしても、CCSにつきましては、世界的なレベルでの制度設計が必要であり、各国政府の関与が必要と思っております。
    次は、私どももこのような問題意識から参加している豪州でのCCS酸素燃焼実験プロジェクトですが、これは既に紹介されておりますので詳細は省略させていただきます。
    それから三井物産としての排出権関係ビジネスですが、CDM、及びJI(Joint Implementation)、に対応して進めており現在、約25案件で、CO 2排出量にして約5700万トンの排出権のビジネスをやっております。国名と場所とプロジェクト内容をここに紹介しております。
    次のページに、具体的な例として、中国の四川省の重慶近郊の松藻(Song Zhao)という炭鉱でのCDM例を挙げています。元々メタンガスが一部、都市ガスとして使われておりまして、あとは空気中に放出されていたのですが、これを回収して自家消費電力用のガス発電に利用し、それをCDMに取り込んで排出権として販売するスキームであり、これをやることによってプロジェクト全体の価値アップに繋がる仕組みに育て上げた例です。
    それから、「廃熱回収発電の取り組み」につきご紹介致します。例えば中国とアメリカの石炭火力からのCO 2排出を日本の技術を用いることによりその削減量は日本の年間排出量に相当する13億トンにも上るとのデータもよく紹介されますが、われわれもこれと似た発想のりしましては、セメント工場での廃熱の利用、もしくはコークス炉の廃熱を回収して発電への利用を、中国やインドで進めております。こういったものをCDM化して、排出権として販売するスキームも構築しています。
    次に石炭ガス化の問題です。石炭をガス化して化学産業のフィードとしていく事業については、全体的に条件が合致しないとなかなか難しい事業になると考えます。これには二つの段階、即ち技術的な実証段階とそれを事業化していく段階それぞれで克服していくべきポイントがまだまだ多いように思います。また石炭ガスの場合は常に天然ガス価格との競争力比較にさらされますので、昨今のガス価格動向等を見たときに、コンスタントに石炭ガスが競争力をキープしていくことはかなり難しい問題と思っており、石炭ガス化のときに、CCS導入等の付加価値を高めた上で、経済性・事業性を採算に乗せて行くにはまだ若干のギャップがあると認識しています。
    いろいろ述べさせていただきましたが、私からの発表の纏めとして、まず石炭資産取得につきましては、われわれとしては豪州今後ともビジネスインフラが充実しており、私企業として対応出来る環境が整っていることからも、安定的な供給ソースとしてこれからも位置付けられるだろうと考えております。それに対し、アフリカ等々の発展途上国にある国々に対しては、電力やインフラ、輸送面のみならず、法制面などのビジネスインフラストラクチャーが未成熟である場合が多いので、ここのところは官民連携による効果的な取組みが必要かと考えております。
    それから環境調和につきましては、何度も申しましたが、CCSの位置付けにしましても、排出権にいたしましても、いろいろ制度設計の途上ですので、リスクが十分に読めない中で、民間企業としてどこまで踏み込んでいくのかというところを常に考えている状況ということで、世界的スタンダードの制度設計に向けての対話等々が今後更に進められるべきだということで、このポイントにつきましても官民の連携、更には各国政府の強いリーダーシップが求められると考えております。
    それから、いわゆるCSRの部分で触れますと、石炭は古くてダーティーなイメージがあるということで、われわれ社員も、出光さんほどではないのですが、日々、いろいろ各セミナーでの講師役等々をやって、CSRの活動の一環として、一般の方々により理解して戴く為の活動をさらに強めていきたいと考えております。
    どうもご清聴ありがとうございました。
  • 持田部会長
    川嶋委員、ありがとうございました。石炭をめぐる世界情勢と三井物産の取り組みについてご紹介いただきました。ご質問はありますか。よろしければ、次の竹内委員に進めさせていただきます。竹内委員、よろしくお願いします。
  • 竹内委員
    ありがとうございます。エンジニアリング振興協会理事長日揮株式会社の竹内でございます。今日はこのような機会をいただきまして、本当にありがとうございます。タイトルは、CCT、CCS、そしてエンジニアリングということでお話しさせていただきたいと思います。「エンジニアリングとは」から始まって、第6章まででお話を完結したいと思います。
    冒頭に、石炭のユーザーサイドでもない、またサプライサイドでもない、かといってメーカーサイドでもない、エンジニアリング産業が、なぜこの場にいるのかということの、疑問まではいっていないかもしれませんが、そういう感覚をお持ちの方が若干おられると思いますので、エンジニアリングについて、この機会ですので、紹介を含めてお話しさせていただきたいと思います。
    われわれエンジニアリング産業はエネルギー全般に大きくかかわっておりまして、石炭関連におきましても、技術開発・高度利用、そして国際協力のすべてに貢献できる立場にございます。このスライドをご覧ください。ヴィクトリア女王時代に、ヴィクトリア女王を支えて英国の繁栄を導きました夫、アルバート公の記念碑で、1872年に建てられたものですが、その台座の四つの側面にヨーロッパ、アジア、アフリカ、アメリカの4大陸がモチーフされております。また、足元には、ここにある四つの産業、Agriculture(農業)、Commerce(商業)、Manufactures(製造業)、Engineeringだけは日本語訳がないのですが、Engineeringと刻まれております。英国では、既に19世紀の時代にエンジニアリングは全世界にまたがった基幹産業の一つとして位置付けられておりました。加えて、エンジニアリングは英国の現地に根付いた植民地支配に不可欠の要素もあったということです。
    また、見方を考えれば、エンジニアリングというのは、この図の用にも表現できると思っております。「ヒト(人財力)、カネ(金融)、ワザ(技術)、チエ(経営力)を駆使し、モノ(生産手段、インフラ、サービス)を提供、創造するもの」であり、プロジェクトマネジメントと融合し、最も効率的に科学技術という入り口を、ビジネス、市場という出口に導くハイウェイのような存在でもあります。経済産業省のイノベーションスーパーハイウェイ構想こそ、われわれエンジニアリングの役割が大きいと理解しております。
    われわれは早くから海外市場に進出して、海外のプロジェクトを数多く経験してきている産業であることから、日本の異業種の皆さんとの融合を図りながら、国際展開を積極的にリードしてきました。それは我が国の国際協力政策においても重要な役割を担っていると認識しております。このようなことから、この場に出席させていただいております。
    エンジニアリング振興協会の実績について少々触れたいと思います。エンジニアリング振興協会は170社のさまざまな業態の企業集団でして、1978年に現経済産業省のご指導の下、設立されて以来、30年、多数の調査研究を実施してまいりました。その中で石炭関連のものをこのスライドに載せておりますが、1979年からいろいろな角度で研究を行ってまいりました。
    次のページ(6ページ)ですが、CCS関連につきましても、ここに記載のとおりです。モニタリング、地中挙動予測指標の高精度化のほか、全国の貯留ポテンシャルの調査などを行ってきております。
    また、2008年度からクリーンコールの利用推進を目的とした、ゼロエミッション石炭ガス化発電に関する幾つかの調査検討にも参加しております。ここに記載のとおりです。
    それでは、クリーンコールテクノロジーとエンジニアリング産業という切り口でお話ししたいと思います。このフローチャートは、石炭の利用技術をエンジニアリングの視点で簡便化して分類したものです。石炭は固体のまま、あるいは液体、気体と、その姿、形を変えて、現在も価値の高い製品に転換されております。その多くは製鉄副原料と電力用途ではありますが、化学原料や肥料、水素や液体燃料というように、さまざまな必需産業製品をも生み出すことができる、汎用性の高い、非常に貴重な資源です。日本のエンジニアリング会社の中には、LNG技術や、その上流に位置する天然ガスの処理技術において、世界で屈指の実績を有するリーディングカンパニーがおります。とりわけ、そこで得たガス処理技術の実績、レベルの高さというのは、石炭のガス化に不可欠なガス処理工程において、大いに役立っていくと思っております。
    次の9,10ページに、この分野における日揮の実績をご参考までに紹介させていただいております。9ページに示しますように、世界のLNG生産量の35%のシェアを誇っていますし、千代田さんを含む日本のエンジニアリング会社としてのシェアは、約7割にもなんなんとしております。
    こちらは石油関連と天然ガス処理分野の直近10年間の実績です。ご覧のように多種多様のガスの処理プラントを経験しております。このような豊富な実績の積み重ねで培われました化石燃料プロセッシングの技術は、繰り返しとなりますが、石炭利用におきましても幅広く活用できるものと確信しております。
    11ページです。石炭利用技術の中で、特にエンジニアリングの役割が大きいガス化技術を例にとりまして、その高度利用方法について、少し詳しくご紹介したいと思います。ここに記載の図は、例えば100万トンの石炭、一応計算上は亜瀝青炭グレードとしていますが、これをガス化した場合、どういう価値を生み出すか。特に天然ガスと比較して示したものです。石炭の質や適用技術によって差があるので、絶対値はともかくとして、オーダーとしてご理解いただければと思います。
    水色の部分は、この右側に示した製品を同量作るのに、現在どれだけの天然ガスが使用されているかというものを点線枠内に示しております。すなわち、石炭という豊富な資源をガス化して、既存天然ガス技術に置き換えることによりまして、40~45万トンの天然ガスの消費減につながっております。それが日本にとって、直接的にはLNG代替、間接的にはLNG確保につながるということも言えると思います。ここに日本にとってのエネルギー資源確保と国際協力の形が存在するのではないかとも感じております。石炭と天然ガスの価格差が大きくなればなるほど、石炭ガス化利用の経済性が高まることになります。
    このガス処理システムを原料、用途において最適に、全体フローに組み込んでいく技というのは、まさにエンジニアリング産業の腕の見せどころと自負しております。
    次に12ページです。さて、そのガス処理システムですが、ここに示しますように、数多くの触媒反応装置や溶液洗浄装置等から構成されております。これらを、原料から発生する合成ガスの性状から、さらには後段プロセスの要求、全体との統合性、効率、コスト面等々、あらゆる面から検討し、構成する要素技術の選別はもちろん、この図に示す装置構成からも大きく変わるような変更を加えまして、ガス処理設備が出来上がっていきます。刻々と変化する発電需要に直結するガス化の高度な制御技術、加えてガス処理プロセスにおける複雑な設備構成とシステムインテグレーションというものがキーと理解しております。
    さて、ここで話をクリーンコール技術のもう一つのポイントであるCO 2回収に移したいと思います。CO 2回収の中で、日揮が高効率の回収技術を開発いたしましたが、そのきっかけとなりましたアルジェリアにおけるガス開発プロジェクトについて、簡単に説明させていただきます。
    アルジェリアのインサラーという天然ガス処理開発プロジェクトに参加しまして、その天然ガス処理プラントの設計及び建設を担当してまいりました。このガス田の天然ガスの圧力は80キロですが、このプロジェクトはCO 2回収後、それを200キロまで昇圧して、地中に圧入するという設備構成になっておりました。
    しかし、当時はこのCO 2回収時の吸収液再生のプロセスは常圧下に限られていました。これを高圧下で行うことができればプラントコスト及び運転コストの低減にはつながります。
    そこで、このプラントの建設後に経済産業省のご支援をいただき、ドイツのBASFとともに、われわれの名称、HiPACT法を開発いたしました。これはそのスライドです。現在はパイロット試験を終了して、実証段階にあります。高圧でのCO 2回収がキーであり、後段の圧縮機を含めた全体システムのエネルギー消費及びプラントコスト削減が可能であり、CO 2回収、圧縮原単位が改善し、地中貯留や原油のEORの促進に貢献できると思っております。コンプレッサーが1台要らないというようなイメージです。
    その次の15ページをお願いします。では、次に回収したCO 2をどうするかという問題に移りたいと思います。先ほどご紹介しましたように、エンジニアリング振興協会はRITEへの協力を通じて、CCSに関する我が国の科学的・技術的知見の集積を図ってまいりました。昨今では、昨年設立されました日本CCS調査株式会社にも、われわれの中の会員企業から出資などを通じて貢献しております。国内の貯留ポテンシャルの有効活用を図るためには、排出源と貯留層のマッチングが非常に重要であり、詳細な検討が必要であると認識しております。
    16ページです。CCSプロジェクトの実現の課題として、まずCCSは、CO 2分離回収や圧縮にエネルギーが必要であり、追加の燃料が必要になります。このため、まずは省エネや効率化などでCO 2の発生量自体を減らして、それでカバーできない分をCCSで処理するというベストミックスの考え方が非常に重要であるということです。また、CCSプロジェクトの実現には非常に大きなコストが必要です。CCSによるクリーンコールを実現するためには、CCSのコストをどのような仕組みで捻出するかが最も重要な課題でして、そのコストを下げる努力も必要です。先ほどの例にも示したように、われわれエンジニアリング業界がこの問題に鋭意取り組んでいるところです。
    このように考えますと、どこでもCCSを行うのではなく、最も効率的に実施できる場所で実現する必要がありまして、この観点で海外でのCCSも重要なオプションになってくると考えられます。産炭国や海外の石炭火力発電でのCCSを通じたグローバルクリーンコールを実現するためには国際的枠組みの構築が必要になると理解しております。
    次に18ページです。さて、CCSに関しまして、もう少し話をさせていただきます。エンジニアリング業界は海外で数多くのプロジェクトを行ってきております。この強みを生かして、海外でCCSプロジェクトの開発や実施に大きく貢献できると考えております。また、IEA-GHGというような活動に、日揮は日本の企業として唯一参画しておりまして、国際的な取り組みに協力している例を示させていただきました。
    この組織は国際的な調整能力も高く、CCS分野での影響力は大きいものと理解しており、これへの参加を通じまして、官民協力の一環として、ぜひお役に立ちたいと考えております。
    さて、目次5番目の「国際協力と石炭資源の安定的確保」です。今までのトーンとは少し異なりますが、お話しさせていただきます。19ページは産炭国において、未利用である低品位炭を日本のCCT技術によって有効活用し、さらに産炭国における石油天然ガスを代替することによって、良質な石炭ならびに天然ガスを日本へ輸入することに貢献できればと考えて計画している例です。われわれはインドネシアにおいて、このデモ事業を計画しておりまして、当初は低品位炭の改質のみでスタートいたしますが、将来的にはバガスであるとか、パームヤシ殻を混合改質することによって、CO 2排出原単位を石油、天然ガス並みに低減することも視野に入れております。
    次に20ページです。私どもも、先ほど三井物産様からご紹介がございましたように、CDM関連の案件には積極的に取り組んでおりまして、日本企業として中国発の大規模CDM事業を既に実現しております。その実績をベースに各種やっております。ここでは炭鉱メタンの例を記載しておりますが、先ほどの話と重複いたしますので、割愛させていただきます。
    では最後、まとめです。以上、話が少々技術に偏りましたが、いろいろと紹介させていただきました。今までお話ししたことを、この部会の、これまでの議論の論点に沿いつつ、エンジニアリング産業の視点に立って整理し、かつ、それらがクリーンコール政策に、どのようなつながりを持つかという観点でお話しさせていただきたいと思います。
    まず、CCTのさらなる開発は、これまでそうであったように、基本的には石炭の大口ユーザーさんである電力会社さん、また鉄鋼会社さん、あるいは関連する主要機器メーカーさんを軸に展開されていくでしょうが、システム全体の高度化やプロセス上の、あるいはメカニカル上の創意工夫、ケミカル反応や触媒等の応用、あるいはバイオのような非化石燃料との組み合わせによるクリーン化など、エンジニアリング技術がお役に立つ余地は少なくないと思っております。ユーザーさんや石炭のサプライサイドには、それらの技術や知見の活用、また政府ご当局には、その活用によりCCTがさらに高度にシナジーをもたらすよう、ご支援をぜひお願いしたいと思います。
    CCS実現のポイントにつきましては、この資料に示したとおりです。ポイントは地中貯留の実現です。安いコスト、より安全、かつ企業が押し付けではなく、積極的に取り組める仕組みづくりをぜひお願いしていきたいと思います。
    22ページです。石炭に限らず、化石燃料の利用を地球環境問題に結び付けて考えてみれば、その開発から輸送、エネルギー化、もしくは原料化の過程において、炭素そのものがCO 2となって排出されることを、どこでどのように防ぐか。それをいかに効率的に実現するかということにほかなりません。それぞれの立場によって異なるものでしょうし、また、代替性のある他のエネルギー資源との比較においても答えは違ってくると言えると思います。
    石炭の安定確保を意図した国際協力のあり方としては、そのことをよくわきまえた上で、かつ相手国の事情に適した戦略を講じるべきだと考えております。そこで発揮されるべき日本の強み、すなわち国際競争力は何かというと、世界に冠たる日本の石炭火力や、製鉄業の長年にわたる技術の蓄積だと信じております。産業技術の進化というのは、現場でのいろいろな運転経験に基づく試行錯誤の結果であって、緻密で忍耐強い取り組みの積み重ねがあってこそと言えます。それは責任感が強く、かつ協調性の高い特性と併せて、まさに日本人の強みそのものです。相手国に深く入り込んだ、つまりローカルの制度、実態をよくわきまえ、人材育成を含んだ、いわゆる現地に根ざしたローカリゼーションの経験豊富なエンジニアリング産業も、その一つの強みとして活用価値があると思っております。
    最後の最後ですが、われわれエンジニアリング産業も石炭の国民的理解を得るために一翼を担いたいと思います。われわれ170社の多岐にわたる異業種企業や、大学生、大学院生、大学の先生方との交流の輪を広げつつあります産学人材交流センターなどの協会機能を通じて、しかるべきメッセージを発信していきたいと思っております。どうもありがとうございました。
  • 持田部会長
    どうもありがとうございました。CCT、CCS等、石炭にかかわるすべてのエネルギー利用におけるエンジニアリング部門の役割と貢献をお話しいただきました。ありがとうございました。何かご質問はありますか。よろしいでしょうか。もうお一方、有馬委員よりお話をいただきますので、よろしくお願いいたします。
  • 有馬委員
    東ソーの有馬でございます。皆さんのお話を聞いていると、これはまさに発電の効率を上げるとか、いかにCO 2を減らすかとか、そういう技術的な面が非常にあって、それから今日は調達の話も随分ありましたが、私どもは使う側として、せっかくの石炭から出てくるカロリーをどうやって有効に使うのですかというところを自分たちの仕事としてやってきました。そこの関係を少し違う観点から、データがございますので紹介したいと思います。
    紙は1枚ですが、「化学産業において多数採用されている自家発電設備のエネルギー効率」というものです。これは石炭に限らず、いろいろな熱源、重油も入っております。この中で、3行目にございますが、大口自家発電施設者懇話会(JIKACON)というものがございます。ここは大口の自家発を持っているところのいろいろな業種、約200社、正確には207事業所の懇話会です。そこのホームページに、平均の総合熱効率というものが紹介されております。それは、絵がございますが、インプットされたエネルギーということで、これは回収エネルギー、それから石炭や油のエネルギーの合計がインプットされまして、それがどういう形でアウトプットされるかを示しており、具体的には電力であり、熱であるわけです。
    しかし、この中で実際に電力、あるいは熱として本当に利用されるのは58%ですので、残りの42%はロスとして出ていってしまう。しかしながら、上に書いてありますが、一般の電気事業者の汽力発電平均熱効率は41%だというのが2006年度のデータです。自家発の58%というのは、実は相当有効なカロリーの活用をしているのだということが言えると思います。
    なぜこれができるかといいますと、電力事業者さんのボイラーといいますか、発電は、蒸気を一度か二度使って、タービンを回した後は、恐らく海水中に捨てておられる。従って、石炭なり重油なりから発生した熱量の約6割は、実際には外に出ていってしまっています。ところが、特に化学産業はいろいろな製品を作っておりまして、1回タービンを回した蒸気の、温度が少し下がったような、200℃とか、150℃といったような蒸気でも、それを熱として、今度は蒸留に使うとか、あるいは濃縮に使ってみたり、いろいろなところに利用するということで、通常ですと40%前後しか利用できない熱を、実際には6割ぐらい活用しています。
    これは棒グラフの方が良かったと思いますが、下の折れ線グラフは、200事業所のうちの熱効率で、やはり60%以上のところにピークがございます。ちなみに弊社は今、石炭火力で約80万kWの発電を行っておりまして、石炭量としては約200万トンを消費しておるのですが、私どものそこの工場の熱効率を計算しますと、64%ぐらいになっております。従って、確かに発電の効率を良くするのは非常に大事ですが、トータルの熱として考えた場合に、それをどのようにして有効に使うかというのが非常に大事なことで、それが全体の省エネにつながるのではないかと考えてきた次第です。
    資料にはございませんが、ある大手のプラントメーカーさんの作られたデータによりますと、ある指標がありまして、一つの製品なり事業をやるのに、分子に使う蒸気の量(トン/h)、分母にMWというものを蒸気電力比といっているようですが、これが産業によって全く違います。私どもは例えばセメント事業をやっていますが、やはりセメントはほとんど蒸気を使いません。それから電解ソーダもほとんど使いません。どうも鉄鋼さんが、大体1:1ぐらいらしいのですが、普通の化学が2ぐらい、石油化学は4ぐらいになりまして、蒸気を随分使っています。非常によく使われるのは製紙業界で、5.5~6ぐらいにあるようです。それと発電効率がどういう関係があるかといいますと、大体同じ曲線になっていくようです。左下の90%ぐらいのところにも何社かあり、大体70~80%のところに石油化学会社が来ているようです。私どもはいろいろなことをやっていますので、平均したら50と70の間ぐらいにいるということになります。
    これは、ちょっと見方を変えた熱の有効利用という、使う側の話を差し上げたわけですが、結局、本当に省エネをやろうとしたら、発電所と、いろいろな事業、特に蒸気をたくさん使う事業を一緒にやれば、ものすごく効率的になるということがございます。例えば産業によっては、電気は使わないけれども、蒸気ばかり使う。そのために、わざわざ石炭を燃やして蒸気だけを取っている蒸気ボイラーもあるわけで、再編するというのは大変難しいことですが、これから開発途上国などに省エネを紹介するときに、技術面だけでなくて、そういうエネルギーをどうやってロスしないかという面で何かアドバイスできれば、実際には相当効果があるのではないかということで、今日は紙1枚で簡単ですが、紹介させていただきました。以上です。
  • 持田部会長
    ありがとうございました。化学、石油化学における大型コジェネレーションによる高効率利用という観点のお話でした。ありがとうございました。何かご質問はありますか。よろしいでしょうか。
    4人の委員の方々の、それぞれの分野の興味深いご報告をいただきまして、大変ありがとうございました。この部会に新たな視点を持ち込んでいただけたと思っております。
    それでは、4人の方のご発表も含めまして、今日、冒頭に國友課長のお話がありました、これまでの部会の論点、あるいはそれに基づいての、この部会での取りまとめの方向、場合によっては、ちょっと大げさに言いますと、石炭政策の骨格というようなものをご紹介いただきましたので、これについて、ご出席の方々からご意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。資料5-1と5-2に沿いましてご質問、あるいはご意見をいただければありがたいところですが、いかがでしょう。どうぞ、お願いいたします。
  • 猪野委員
    意見というか、少し気になっているところがあります。これまでは石炭といっても、やはり上流から、実際に使うところまで、いわゆるそういうサプライチェーンのところを中心にいろいろやってまいりました。今日、ちょうど川嶋委員から、下流側の話が図らずも出てきたということで、石炭をこれから利用して、安定供給してということは、やはり下流側にも少しは目を配っていないといけないのだろうというところが多分出てくるのだと思います。そういう意味では、最終的に出てくるのは、石炭を使うと、大体1割ぐらいは、最後は灰になって、いわゆる石炭灰となって出てくると。そのようなことも、先行きどういう形で、新技術、クリーンコールという言葉にはそぐわないのかもしれませんが、そちらの方も一つのチェーンとして考えていくような、一つの項目として出しておくということも必要なのかなという意味で。
    もちろん石炭灰だけではないかもしれません。途中で出てくる副産物というと、場合によっては脱硫からの排出物の石膏なり、そのようなことも少し派生的なものとしてチェックしておく必要があるのかなと。そこら辺は大きく取り上げるというより、事務局の方でちょっと考えていただければと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
  • 持田部会長
    ありがとうございます。石炭をトータルに見る面でのご指摘で、ありがとうございました。どうぞ。
  • 上前委員
    資料5-2の資料の最終ページ、5ページ目の右下ですが、ここには「開発、経営、操業、販売の意思決定に参加できる権益確保が必要」と書いていただいておりますが、できれば5-1の右下のところにも、そういうニュアンスの言葉を入れていただくといいかなと思います。
    申し上げたいのは、石油は180日ぐらいの備蓄があるのです。6カ月ですよね。ですから、何か事が起こったときに、6カ月は凌げるのですが、石炭は物理的に備蓄できない。流通在庫しかありませんから、せいぜい一月分か一月半しかないので、その分だけ権益を持っておかないと、セキュリティー上、石油と対比すると、ちょっと弱いかなという気がしますので、その重要性はうたっていきたいと思います。
  • 持田部会長
    ありがとうございます。崎田委員、どうぞお願いいたします。
  • 崎田委員
    ありがとうございます。私はこれまでの委員会で、国民の理解が大変重要という話を申し上げてきました。そのときには割にコミュニケーションや環境教育、環境学習、エネルギー学習といった話が多かったのですが、今日のお話を伺って、先進事例の発信も重要だと思いました。例えば上前委員から、国内の既存施設の環境負荷をきちんと削減していくプロジェクトもきちんと提案していきたいというお話や、東ソーの有馬委員から、熱をきちんと使い切るというお話などもありました。そのようにきちんと効率化し、環境負荷を下げた運営を、国内施設、あるいは海外の施設で実践していただき、その情報を発信することも、国民の信頼感や理解につながっていくのだと思いますので、ぜひそういう視点も、国民理解の中にきちんと入れていただければとありがたいなと思いました。
    それから、CCSの技術開発のことで。例えば日本の省エネ技術は進んでいて、それがCDM化されたりしていますが、CCSそのものがCDMにどのように位置付けられるのか、国際ルールが決まっていないという話で、私は今日伺ってびっくりしたのですが、ぜひそういう国際ルールづくりに政府にきちんと関与していただければありがたいと思いました。
    政府の関与のことから言うと、産炭国や現地の地域の皆さんとの信頼関係づくりや、ODAなりで、ODAとは皆さんおっしゃらないのですが、そういう相手国のインフラ整備に日本がどれだけ貢献できて、信頼関係が得られるかとかが重要ながら、一民間企業だけでは大変難しいという話を、すべての委員の皆さんがおっしゃいました。やはりそういう情報に関して、こういう委員会、あるいはこちらの部局がコーディネーターになって、外務省や文部科学省、あるいは関係の省庁や研究機関、事業者さんと、定期的に情報交流するような場づくりをしていただくとか、そのように広がっていければ素晴らしいのではないかと思って伺っておりました。よろしくお願いいたします。
  • 持田部会長
    ありがとうございました。ほかにはいかがでしょうか。ご発言のある方は名札を立てていただきますと・・・。中垣委員、どうぞ。
  • 中垣委員
    事務局でお作りいただいた部会の議論の整理は、大枠として非常によくまとまってきていると思いますので、さらにこれをブラッシュアップしながら、最終的なリポートにつないでいくということで、私は基本的には問題ないと思います。
    一つだけ、今日の発表でも前回の発表でも思ったのですが、例えば石炭の利用ということになりますと、一般炭でありますと発電事業者、セメント関係といったところに絞られるわけですが、今日もエンジニアリング振興協会の竹内さんのお話などを聞けば分かるように、例えば下流側の石炭利用の新技術開発につきましても、それぞれの産業内部における取り組み方というのは、少しずつ違ったところがあるわけで、そのいいところを組み合わせながら、国としての一つの新しい技術開発につないでいくといった業際間協力の可能性、いわゆる異業種間の協力可能性というものは、かなりまだ残っていると思います。IGCCあるいはCCSといった問題が、中心になると思いますが、特にCCSの問題につきましては、これからさらに数多くの新たな調査検討、そして技術が必要になるということで、この辺については、そういった意味での業際間協力というのがもう少し強調され、あるいは実行されていいのではないかということを感じました。
    同じようなことが、石炭については上流側の問題について、例えば資源確保の問題についても、部分的・局部的には民民でやっているわけですが、今後もう少し、例えば中国のように、まさに資源確保に奔走するような国がさらに現れてまいりますと、民と民の間の連携といったものをかなり強力にしていかないと、思ったような石炭の資源の確保が将来的に容易ではなくなるという感じを持つわけです。そういう意味では、上流側の問題、さらには最下流の、石炭の利用から発生する石炭灰であるとか、その他の副生品の利用といった面を含めて、つまり上流、中流、下流全体につきましての、国内での異業種間の協力というのは、今後さらに検討され、推進されてよろしいのではないか。その辺のことが少し、このリポートに盛り込まれてもよろしいかということを感じた次第です。
  • 持田部会長
    ありがとうございました。末次委員、お願いいたします。
  • 末次委員
    ありがとうございます。質問ですが、今日の4人の委員の皆さんはそれぞれのアプローチの仕方で、大変認識を新たにしました。特に竹内委員の多様な、夢のある、日本の社会としての技術立国をいろいろ果たしていける可能性というものがワイドにあるなというインスピレーションをいただいて感謝しています。
    そういう点では、4人の委員のお話の中にシーズがありますし、前回の各委員のプレゼンテーションの中にも豊富にありますが、今はグローバルウォーミングガスの取り扱いをめぐる新しい世界経済と技術秩序の形成が混沌として、ルールづくりの途上にある。どういう技術戦略、技術選択が、日本の与えられた諸条件にミートするのかという選択がすごく大事になっていますが、ものすごく難しい。ついつい何でもやれということになってしまう。
    しかし、いろいろ考えたときに、特に竹内委員にお示しいただいた11ページの石炭ベースの一つの技術オプションの方向付けですが、これはどのように考えたらいいのか。特にCCSをどんどんやっていく、いろいろなタイプのものを、官民を上げて攻め込んでいく。それで国際的な貢献も、自国のためにもやるというのですが、もう一つ考えたとき、クリーンコール化、石炭のCO 2対応の中でどれぐらいの位置付けで考えたらいいのか。
    ぜひご質問したいのは、例えば11ページの石炭からのガス処理のプロセスで出てくるCO 2をCCSでとにかく量的にミニマイズするのか。それとも合成ガスの方へ、有用なフィードストックの方へ行く量を最大化するという技術のオプションを主とするのだろうか。CO 2のミニマイジングについては川嶋委員がおっしゃったように、これが日本メイドのシナリオが、IPCCのシナリオかしれませんが、日本は炭酸ガスのsequestrationのキャパシティー、貯留資源というものにどれぐらい恵まれているのか、恵まれていないのかという、CCS開発戦略の先の方にある不可欠な、大事なターゲットをどのようにイメージするかという点が、今の時点でも非常に大事だと思います。
    そのときに、CO 2をフィードストックとして限りなく使っていく。ケミカルや触媒など、日本の得意なテクノロジーを使ってやっていくというオプションの優位性がどのぐらいあり得るのか。今の想定で、それがどれぐらいあるのかという点について、もう一度竹内委員にお伺いしたいと思います。これは持田議長からもぜひ、持ち前のお話をいただきたい。
  • 持田部会長
    いや、後ほど意見は言わせていただきます。では、竹内委員、よろしくお願いします。
  • 竹内委員
    私もそこまで詳しく説明できるかどうか、自信はありませんが。
    この合成ガスは水素とCOになるわけですが、今、CO 2をミニマイズしてという考えもありますが、例えばそのルートが複合発電に行くと、そちら経由で結局CO 2は出ていくということになるわけです。ケミカルに行く場合はまた違います。となると、複合発電に行く場合は、極端な例を言うと、ここで水素だけにしてしまうということです。ここで全部取ってしまう。その方がプレコンバッションではなくて、要するにこれの方が高圧状態でキャッチしやすいということで、ひょっとしたら効率的かもしれない。ただ、水素発電が本当にできるかどうかというのは、まだまだ技術的革新もあるでしょうから。用途によってCO、すなわちカーボンを持っていくのか、取ってしまうのかというのは全く異なってくると思います。
    例えばメタノール合成などの場合は、COを持っていかないとメタノールができないので、CO 2の除去量は減るということで、後ろの用途によって、ここで取るCO 2の量が変わってくると私は認識しております。ですから一概に、ここは取らないで後ろというようにも言い切れないと理解しております。
    なんでしたら、今日は専門家が来ておりますから、ご説明いただいたらということです。
  • 持田部会長
    今のお答えでよろしいでしょうか。CCSに日本でどのぐらいできるかというのは、ある程度研究が進んでおります。まだ確定ではありませんが。課長、それについて何か。
  • 國友石炭課長
    今日も二人の委員から、当方が1回目に提出している資料におきましてもCO 2の貯蓄のポテンシャリティーはマキシマムで1500億トン程度と書かせていただいておりますが、そのポテンシャリティーを発電技術として成立ならしめる上で、発電所からキャプチャーした後、連続的にストレージできるかどうかというところのデモンストレーションをやらなければいけないのだろうなと思っているものですから、そのようなデモンストレーションプロジェクトを現在、幾つか進めようとしているところです。最大限1500億トンというのは出されておりますが、その中で発電技術として使えるポテンシャリティーをどの程度見るかというところは、これからさらに実証が必要なところかなと思っております。
  • 持田部会長
    ありがとうございます。CO 2をミニマイズする点については、エネルギー利用の場合には明らかに効率利用を徹底するということで減らせますが、製品中にCO 2が行く場合には、未来永劫に燃やさないカーボンですと、そのまま残りますが、エネルギーにもう1回使いますと、そこの時点でCO 2が出るということになりますので、分かりやすくは、先ほど竹内委員が言われたように、製造あるいはエネルギーの利用に当たっての効率を最大にするということでCO 2をミニマイズするというのが、エネルギー面からは最も効果的な方法です。そのほか、カーボンのノーブルユースということで、材料として取っておくのだという考えも当然ございますので、それはエネルギーがほかにちゃんとあるという前提であれば、そういうことも考えられるかなということです。エネルギーと材料を見ますと、大体9:1ぐらいというのが普通のところです。エネルギーから出てくるCO 2が一番多いということです。そこら辺をミニマイズするということではないかと思っております。
    ほかにはいかがでしょうか。大変大きな問題をいろいろ含んでおりまして、今、委員からのご意見に重ねるようなご意見もあろうかと思いますが、いかがでしょうか。
    こうした議論をあと2回は続けさせていただいて、中身のあるものに仕上げてまいりますが、問題提起、あるいはこういう考え方もあるのではないかというような回答のサジェスチョン等がありましたら、ぜひお願いしたいところですが、いかがでしょうか。よろしいですか。
    それでは、今日のところはそろそろ時間ですので、議論はこれまでにいたします。今日の二つのペーパーに対する議論は、今後も引き続きしていただきたいと思いますし、例えば前もって事務局の方にご意見なり質問なり、こういう方向もちょっと調査しておいてほしいというようなご希望をいただくと、あと2回の議論が深まりますし、効率も良くなります。そういう意味で、事務局より、今日のご発言も含めて、さらに付け足していただいてももちろん結構です。今日ご発言いただけなかった方でも、この連休中にいろいろ考えて、こんなことをやってはどうかと。すみません、連休中も宿題を出すようで誠に申し訳ありませんが、そういうこともいただけますと、今後の議論がより深まりますので、この二つの種類の、書かれておりますような論点、あるいは具体的な性格についての追加、あるいはここでは欠けている、日本のエネルギーに石炭というものをきちっと使っていく、確保していく上で、こういう視点もぜひ盛り込んでほしいということを大胆に、ペーパーでいただけると、これからの議論が大変深まると思いますので、ぜひご協力のほどをお願いいたします。お願いにつきましては、後ほど事務局より、メール等で各委員に参りますので、その際には忌憚なく、あまりいろいろなことを考えずにぜひ。いろいろなことを考えずにというのは、アフターエフェクト等は考えずに、これこそやれというものを出していただければと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
    それでは、今日のまとめについて、國友課長より何かございますか。
  • 國友石炭課長
    本日も誠にごもっともなご意見が多々ありまして、そのような意見を踏まえながら報告書も取りまとめたいと思いますし、日ごろの業務にも役立てなければいけないと思うようなお話も多々ありましたので、そのような方向で進めさせていただきたいと思います。
    最後になりましたが、スケジュールだけ確認させていただきたいと思います。資料11です。次回は5月29日(金)ということで、若干時間を置かせていただいております。私どもも資料の作成、取りまとめ等の時間をいただくという観点で、5月29日(金)に第5回をこの会議室で、2~4時に開催させていただこうとしております。最後を6月17日(水)2時半~4時半、これも同じくこちらの会議室で予定させていただいておりますので、よろしくお願い申し上げます。
    また、部会長から先ほどお願いさせていただきました、ペーパーでの意見提出等につきましても、メール等で事務的にご担当あてにご連絡させていただきますので、ご協力いただける方は、ぜひともご協力いただければと思います。
  • 持田部会長
    では、大体議題はこれで終わりましたが、何かご発言、注文等がありましたら、この際ですから。よろしいでしょうか。
    それでは今日も2時間、大変効率良く議論を進めていただきまして、ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。本日はどうもありがとうございました。

以上

 
 
最終更新日:2009年6月16日
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