経済産業省
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産業構造審議会産業技術分科会基本問題小委員会(第2回)‐議事録

日時:平成20年12月16日(火)13時30分~15時30分
場所:経済産業省第4特別会議室(別館3階)

出席者

木村小委員会長、飯塚委員、伊藤委員、岸委員、鴇田委員、中村(道)委員、夏梅委員、橋本委員、丸島委員、丸山委員、渡部委員

議題

  1. オープンイノベーションを促進するための総合的な制度整備の方向性について
  2. 産業技術政策に関する今後の検討

議事概要

議題1 資料に基づき事務局より説明。出席者の発言は特段なし。
議題2 資料に基づき事務局より説明。

自由討議

  • 委員
    「基礎」と「応用」や「プリコンペティティブ」と「コンベティティブ」という言葉は既にあるが、「協調」と「競争」との関係をどのように理解すればよいのか。
  • 事務局
    競争前段階、競争段階という概念は時間軸上にプロットされるが、「協調」と「競争」は必ずしも時間軸で分かれない。例えばインターフェースの開発は、最終的な成果を共有することが前提となっている。
  • 委員
    以前は時間軸で分けることで比較的問題なかったのが、最近の国プロでは川下から川上まで同時に産業化するものが増えてきたため、「協調」と「競争」の仕分けが必要になってきたと理解している。本来、競争モデルでやるべきところを公開せざる得なかったり、バイドール特許など企業が協調領域での使用を前提としているものを共有できなかったりということがあり、国の施策を適切に仕分けた上で設計することが必要。
    国際的な広がりを持つ協調領域の政策として国際標準を積極的に進めてきたが、全部国際標準にすることが必要ではなく、標準技術を使ってコアの競争領域で利益を上げることが重要。
    海外の企業も参加して産業振興を図る仕組みは相当議論の余地がある。知財制度に限っても国ごとに大きく異なっている。特に職務発明制度は国際的にみても日本特有で、日本に研究開発拠点を置くリスク要因になっているとも指摘されている。
    また、産業界から大学に対して高度な秘密情報の提供を必要とする共同研究の要望があるが、大学は学生や研究者を抱える多様な集合体で、高度な秘密管理は難しい。産総研といった研究独法で制度を備えることを検討すべき。
  • 委員
    オープン・イノベーションに向けて技術や人材の流動化を促すという方針か。日本は最も技術の流動が起きやすい環境にあり、技術や人材の流出を防ぐ動きがある一方で、流動性を増すべきという考えもある。企業の立場からは、恐らく技術流出は避けるべきで人材流動もできるだけないほうがよい。
  • 事務局
    イノベーションを推進するうえで、重要情報が不適切な形で流出することは大きな問題。流出防止の制度や仕組みを整えつつ、例えば休眠特許の外部での適切な活用などについて、検討の余地はないかという問題意識。
  • 委員
    各企業はそれぞれ、共同研究の成果を事業に結びつけて考えており、その成果の取り決めは難しい。特にグローバルに複数企業が同時にアライアンスを組む場合、成果の取扱いが極めて重要。ただ知財制度は世界各国根本的に異なっており、特に、職務発明制度や技術流出防止、ライセンシーの保護などの点において、日本の制度は欧米と異なり極端に不安定。世界レベルでオープン・イノベーションを実現するには、前提として知財制度を調和のとれた方向に変えていくことが必要。
  • 委員
    国際開放型イノベーション拠点の整備について、集中的に議論すべき。
    ベンチャー企業は単独というよりはイノベーションのエコシステムの中で育っていく。しかしこの10から15年、我が国のベンチャー企業の成長速度は遅く、今後オープン・イノベーションを考えるにあたって、このベンチャー育成の問題を取り上げるのか。
    研究組合、技術組合をつくって実証試験を行う、あるいはその際必要なインフラを国の補助金等で作るといった段階を経ないと事業化まで行かないのではないか。例えば、水素燃料電池を積んだ自動車でも、もっと全国に水素の供給拠点ができないとクリティカルマスまでいかない。
  • 事務局
    ベンチャーはどこかのパーツ、モジュールで優れたコア技術を持って発展していくのがあらまほしき姿。ベンチャー企業1社で完全にマーケットに対応するのは難しく、市場をにらんだ他社との連携が必要。
    また、実証やそのためのインフラ整備の必要性については、プロジェクトごとに異なる。例えば協調領域で基盤的技術を確立するために実証が重要という場合には、インフラ整備が当然スコープに入ってくる。競争領域のプロジェクトにどこまで政策的支援を行うのかはケース・バイ・ケースだが、基本的には実証も政策範囲に入れていきたい。
  • 委員
    グローバルに展開するベンチャー企業が日本からなかなか出ない。ベンチャー企業、中小企業1社だけでは成長が困難な時代で、幅広く協業できるプラットフォームは必須。大企業はインターフェースを公開して、ベンチャー企業側が開発に取り組みやすい社会システムをつくって、オープンに利用できるものは利用することで効率化を徹底的に進めるべき。
  • 委員
    日本は歴史的に垂直統合型のビジネスモデルで生きてきた国家で、100年以上の歴史を持つ企業が3000社と世界1位で、2位のドイツ800社を大きく引き離している。このイノベーションを1つの系列の中で実現するやり方ではここ10数年負けが明確化しており、日本特有のイノベーションのからくりをつくり出す必要がある。
    世界の薬品分野や半導体分野では、イノベーションの構造がオープン化しており、特に大企業には新しい提案する人たちと水平に組むワザが必要。これまで日本の大企業は、海外に大きな資金を注いでイノベーションの核を形成してきた実績があるが、それにも限界がある。
    また、日本は職務発明に対して特殊な制度を持つ国ということで、インテルやマイクロソフトに研究所をつくってはいけない国という見方をされている。オープン・イノベーションを実現するためには、多くの制度、法律を変えることが必要。
  • 委員
    大企業や国研、大学が抱えている技術やナレッジのカーブアウトは、企業にも戦略的な行動があまりなく、研究者自身も大企業から外へ出るモチベーションがいまひとつという実感。大胆なリストラをする時代が来ており、起業休暇というアメリカのシステムを一歩進めて、リストラの対象であっても新たに企業を起こす場合には企業や本人に何らかの支援をすることを検討できないか。企業側も技術や人材を出しやすくなり、ただのリストラではなく、次の新しい産業の芽になるというよい循環につながっていくのではないか。
    また研究開発の水平分業化では、成果をどこかがストックして、日本全体の財産として次の世代につなげていく「知」のストックのメカニズムが必要。ナショプロでは、個別の技術を切り分けて委託するのではなく、ハブとなるファンディングエージェンシーにまとめて委託する制度ができないか。プロジェクトの企画やマネジメントの提案をコンペで選び、選ばれたマネジメント組織は、自分たちのネットワークで世界からナレッジを集め、全体のソリューションを提供して国のミッションに応えるといった制度が必要ではないか。
  • 事務局
    制度の調整を図りつつ、開放型の国際拠点をモデル的に形成し、そこから出てくる様々な問題を解決していきたい。
    また、出口を見据えたモジュールの再統合については、欧米においてはベンチャーが担ってきたところだが、日本は垂直統合の経験とノウハウがある大企業がその役割を担う可能性があるのかもしれない。
    起業休暇はすぐに政策として立ち上がるかは議論が必要だが、企業で自主的に始める動きはあってよいと思う。
    ナショプロにおいてハブ機能にまとめてファンドする方法は、ひとつの考えとして検討していきたい。
  • 委員
    イノベーションを成果に結びつける観点から、精密機械や素材、部材といった投資がそのままリニアに成果になるすり合わせ型の産業と、全く相関しないデジタル家電やコンピュータ、半導体デバイスといった産業に分けられる。両者でビジネスモデルが違うので、分野ごとに分けてイノベーションの議論をすることが必要。日本の強いすり合わせをさらにブラッシュアップする方向も重要で、すり合わせ型のオープン・イノベーションモデルとしては、蓄電、通信、水など出口の大きなマーケットを見据えて、特定の強みのある様々な部材が集積するモデルがあるのではないか。
  • 委員
    研究開発の進展に伴い、協調領域、競争領域の線引きは常に動くので、そのマネジメントは非常に困難。協調領域と競争領域を画一的に分けるのではなく、幾つかのパターンを用意して契約なりで選択できるようにしてもらいたい。
    また、リーダー個人での「協調」と「競争」のマネジメントには限界がある。参加企業が集まって作る研究組合でも利害がぶつかってしまうので、第三者的なマネジメント組織が必要。
    外国の企業の参加は制度的に可能かはともかく、現実にはマネジメントが難しくてできない。市場を海外に求めると早い段階から外国企業と一緒になることが必要で、外国の企業が現実的に参加できるように、制度の問題とマネジメント組織の問題あわせて検討することが重要。
  • 委員
    社外の研究者をレバレッジしてより多いアウトプットを生み出すことを目標に、いたるところでラボラトリのコラボレーションを進め、研究開発投資の効率向上を目指している。共同で問題を解きたいと思っている人は多いが、コラボレーションを進めるにはそのマッチングを助ける仕組みがあるとよい。
    また企業の立場からすると、事業環境に応じて事業戦略が変わっていくので人材の流動性はあったほうがよいし、国全体から見ても、研究者の適正配置という点から人材の流動はなくてはいけない。
  • 委員
    現在もNEDOのプロジェクトに海外企業が入るのは可能だが、非常にマネジメントが難しい。
    また、外国企業は大学より国研のほうが来やすいようで、日本の大学が大きなプロジェクトや国際プロジェクトにうまく対応できないのは大きな課題。具体的な対応策を明確にして、経済産業省のほうからメッセージを出してほしい。
  • 委員
    総科で重点研究課題を決め、大学が基礎研究成果を生み出し、その成果を産総研が死の谷を越えて事業化へ結びつけるという一連の流れは、この構図通り機能しているのか疑問。この機能が生きていないと、今回議論している基礎から応用までの垂直統合や水平アライアンスもうまくいかないのではないか。
  • 委員
    産総研になってから7年間、自らが持つシーズを社会に出すことに注力をしてきた。大学や企業のシーズを取り込みインキュベートして社会へ出すのはこれからの課題で、外部シーズ型ベンチャーなど、現在システムを作っている段階。これまで戦略的に進めてきたプロジェクトとして、例えば北海道センターにある遺伝子組み換え植物工場での医薬製剤の製造プロジェクトでは、企業が来年から治験を始めて3年後には最初の製品を出すという段階にきている。その他SiC、バイオマス、太陽電池などの分野で死の谷を越える取組みの幾つかは、目に見える成果になってきた。また、特許の不実施補償の問題や出資形態の柔軟化といった制度改善も行った。
  • 委員
    企業はナショプロでセキュリティ度の高いIPを出さないが、大学でもしっかりしたシーズを持っている場合には、企業とうまくマッチングがとれる。
  • 委員
    多くの大学では、適切に秘密情報を管理して共同研究プロジェクトを進めている。ただ、3年から5年の間一切成果の発表をしない条件で共同研究を進めることや、輸出入管理規制、安全保障管理の問題に絡むようなものなど、通常の範囲を超えた高度な秘密管理については、別の仕組みを考えたほうがよい。

以上

 
 
最終更新日:2009年3月24日
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