経済産業省
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産業構造審議会産業技術分科会基本問題小委員会(第3回)‐議事録

日時:平成21年2月2日(月)10時~12時
場所:経済産業省526共用会議室(別館5階)

出席者

木村小委員会長、伊藤委員、鴇田委員、中村(道)委員、夏梅委員、橋本委員、丸島委員、丸山委員、渡部委員

議題

  1. 産業技術政策に関する今後の検討

議事概要

議題1 資料に基づき事務局より説明。

自由討議

  • 委員
    長期的なゴールを設定して、アプローチしていくということは大変重要。「イノベーション25」等で、何回も議論はされているが、具体的な目標設定、具体的なアプローチの道筋をつける必要がある。今回の経済危機以前に作ったものは、大きな目標としては間違いないが、もう少し短期的な観点からの道筋を明確にして、国が主導して需要を作るということまで含めてやらないと、民間における研究開発が止まってしまうような状況にある。
    従来型ではない、新たな価値観を明確に示す必要がある。例えば安全に関することであれば、新型インフルエンザなど、具体的な事例を挙げて、政府資金の投入も視野に早急にやるべき。
    「出口を想定した基礎研究の強化」のためには、基礎研究に優秀な研究人材を引き込むことを政策的に行う必要がある。方法論として、ダブルメジャー的なことを推奨すべきではないか。ある一定の研究資金を得る場合には、基礎研究をやっている人も、必ず国の大きな方向性に従った研究をせざるを得ないようなところまでやらないと変わらない。
    イノベーション推進拠点の一つとして重要視されている大学は管理機能が弱い。大学でプロジェクトマネジメントをしているNEDOプロジェクトなどでも、知財やお金の管理など、実際には各省庁のOBを雇用しているが、大学にはそうした雇用のための予算はなく、間接経費で賄っている。基盤的経費が減って競争的資金が増えているため、競争的資金で得た間接経費を基盤的経費の中に入れ込むというふうになっており、間接経費の意味は2種類あることを認識していただきたい。
  • 委員
    1つの課題解決の中でも、2~3年の短期間で成果が出るものから、5年あるいは10年かかって大きな成果になるものまで組み合わせて進めるべき。10年、20年後まで何も出てこないというのは、今は社会的に許されない。NSFのテクノロジーコンバージングの例は、いずれも2020年から40年、50年ぐらいまでの将来。もう少し身近なところで出口が必要。
    具体的プロジェクトの立ち上げに向け、テーマ設定の検討プロセス、仕掛けを明らかにし、実際の検討に繋げることが重要。5年、10年後に反省しないよう、プロジェクトコンセプトのフィージビリティースタディーに手間をかける必要がある。その際、他府省と連携してリードするための、行政側の仕掛けも新しく作り直さなければならないという危惧がある。
  • 委員
    技術で課題解決しようというのは、ソリューションインダストリーの振興につながる。その競争力は、主には材料技術等の摺り合わせ的なものになるのではないか。エレクトロニクス産業等でも当然今までも考えられてきたが、日本としての大規模なメッセージを出せるぐらいの方向性を出そうということ。その方向性を明らかにした上で、ソリューション産業を起こすために、出口を見据えた技術を位置づけていくということが重要。現在の経済環境の中、何かしらの需要創造が必要。ソリューションインダストリーの10年の中でも、早くやるものと遅くやるものとあるが、今の経済の状況が完全に解消される10年ぐらいの間を乗り切るための需要を作る地図を描くことも必要。
    そこに位置づけされる技術について、従前のロードマップ等でも、この技術がこういう出口に繋がるという仮説は提案されてきた。技術というのは曖昧で解釈が多義的であるため、解釈の仕方によって違った方向が出てくる。企業の中でも基礎研究成果がどこに繋がるかは、大変な努力の上にようやく出口を見つけていく。ロードマップも、まさしくこれは仮説であり、本当にその方向に進んでいるかどうかというのを常に検証するという仕組みに重点を置くべき。
    イノベーション拠点は、産業創生の拠点という考え方。既存の企業の枠を超えて、業界が変わっていくような、カーブアウトも含めて新しい事業体が起きるダイナミックな拠点という捉え方をしなくてはならない。そこに必要な機能、人材は、今までのプロジェクト拠点より規模の大きい構想を持つ必要がある。
  • 委員
    「課題解決」、「フロントランナー型」、「デマンドプル」、「出口を見据える」、いずれのコンセプトも同意。私はリニア型に対してターゲットドリブン型と言っている。バックキャスト型ロードマップの考えは非常に重要。我々が現実にやっているターゲットドリブン型では、目標を決めて、ゴールからスタート時点を考えるという仕事の進め方。これがスピードや確率を上げる意味で非常に重要。基礎、応用、開発と区別するのではなく、ターゲットを実現するための課題があり、そのための課題の中に、基礎もあれば応用もあれば開発もある。同時並行型にやっていくというのが重要。これを国レベルでやっていくには、「課題解決先進国」等の大きな分野で捉えるということになるが、ターゲットドリブンのやり方を成功させるためには、それぞれのセクションの活動も大事だが、全体の中で基礎研究部門や開発部門等それぞれが、ターゲットに対してベクトルを合わせていけるような、トータルプロデュースが非常に重要。
    ターゲットドリブン型を進める上での考え方として、従来型の基礎、応用、開発という捉え方では成功しにくくなってきている。スタンフォード大学では、基礎研究、発明・発見からのスタートというよりは、デマンドプル、市場から見たビジネスというケースが非常に多い。国レベルでの課題解決は非常に重要な視点。すべてのことをやるのではなく、日本に強いものは何かという捉え方で、具体的なテーマはこれから議論を深める必要がある。
  • 委員
    方向性には賛成だが、拠点を構成する個々の企業、団体、大学などにとって、出口が決まったときの利益相反も随分ある中で、誰が責任持って完成させるのか。行政庁が強い権限を持つようなことが本当にできるのか、という疑問がある。
    具体的な出口設定については、事業者寄りの意見をより多く聞いた方がよい。大きな出口を一つだけ決めてそれに全部国が進んでいくのではなく、あるソリューションニーズ、要求が出たときに対応できるような母体が必要ではないか。
  • 委員
    「ピンチをチャンスに」という言葉。今の経済状況では、まさにこれをなし遂げないとその先はない。どういうチャンスなのか。利益の創出なのか社会全体の改善なのかなど、日本がどうなるのかの明示により、単なる解決ではなく、希望、やる気に繋がるのではないか。
    イノベーション政策と基礎科学技術政策は意識して分けて考えて頂きたい。「科学技術政策」など、「科学」と「技術」が一緒になって議論されている場合が多い。技術というのは、ある目的を持って科学などの知識を活用するということで、考えるパターンが違う。「イノベーション政策」と「科学」、特に「基礎科学政策」とは分けて考えるべき。大学も基礎科学政策の中心プレイヤーだが、昨今のノーベル賞の例を見ても、必ずしも科学に対して余りニーズを求めない方がいい場合もある。一方で、科学の成果を強烈に社会や産業に繋げていくことは不可欠であり、やはり区別が必要。基礎研究政策で活用される組織や人材とイノベーション政策で活用される組織や人材も異なり、今後イノベーション政策に活用するプレイヤーを強化する必要がある。
    イノベーション拠点に求められる管理機能は、「基礎科学政策」ではなくて「イノベーション政策」の中で重要になってくる話。産総研の九州水素センターは九大キャンパスの中で活動しているが、最近の外部評価では、マネジメントや安全など下働き以外の、オリジナリティーがどこにあるのか、というコメントがある。大学の知をマネジメントで結集、統合させて大きな成果を得ることが重要だが、評価はそういう認識に立っていない。オリジナリティーという軸だけで評価されると、イノベーション政策のプレイヤーはなかなか育ってこないし、やっても報われないという状況になる。日本全体で評価軸の差別化、政策の差別化を図る、こういう意識の涵養が必要。
  • 委員
    ベンチャーを育てる側から見ると、「社会システムに直結する出口産業」の牽引産業である家電や自動車に、具体的に組み込まれているベンチャー企業は残念ながら少ない。グローバルで活躍するベンチャー企業が日本に育たない原因の一つは、トヨタ自動車の中にはベンチャー企業があるという風に、大企業によるベンチャーの内製化。いろんなR&Dの資金を出しても、ベンチャーが大企業の中に収斂されていかない、産業、本当のウォンツ・ニーズに直結していないことが問題。「医薬産業」でも、いいベンチャーが医薬産業のウォンツ、ニーズとは直接結びついてない。ここに示されているような、サプライチェーンに組み込まれているベンチャー企業・中小企業は、残念ながら少ない。
    アメリカでは、コーポレートベンチャリングの世界の中で、国、ビッグネーム、大企業、中小ベンチャー、研究機関とが一体となって回転していくサイクルの中で動いている。日本は、残念ながら出口産業たる大企業の、選択と集中、研究開発も全方位であり、R&Dの担い手としての研究開発型ベンチャーは育っていない。ベンチャービジネスの成功確率が高まらないとベンチャーキャピタルの投資も進まず、さらには大企業が採用するレベルの技術開発ベンチャーが育たない。
    新社会システムでは、横断的、総合的な、国家レベルでの選択と集中が必要。横断的に、横割り、縦割りのいい面を組み合わせながら、新社会システムでウォンツとするもの、また、基礎と応用など、それぞれの得意分野、強い面、そういった役割分担も含めて、国が目標を明確に出して頂きたい。
  • 委員
    社会システムを考えた際に、それを支える出口産業は一つとは限らない。目指す社会の特性は何か、いろんな属性があり、その属性を満たす産業、という捉え方もある。例えば、車産業におけるパーソナルモビリティーやIT産業でのクラウドコンピューティング。あるいは例えばゲームのようなコンテンツ産業といった物理的資源に依存しない産業がこれから伸びるというような共通の属性を捉える方法もあるのではないか。
    拠点については、人材流動性が大事。特に政府のリードするプロジェクトに関しては、優秀な人材を集められるようなコンテンツや仕組みを作らなければならない。
  • 委員
    「課題を解決する」ことも大事だが、チャンスを見据えて何をすればいいか、抽出そのものが独創的、差別化されていることが非常に重要。課題の抽出も含めた表現であるべき。
    ある領域の出口とは、大きく捉えればシステム。その中で、サービス、コンテンツ、モジュール、素材がそれぞれの出口ごとに構成される。全体の方向をつけていく中で、個々の企業なり研究機関が課題設定をしていく。大きな出口の中にはたくさんの小さな出口があり、それが一つの大きな産業になっていくという捉え方ではないか。
  • 委員
    イノベーション人材と科学技術人材の育成を分けるべきではない。「イノベーションの推進」と「科学技術の推進」は同義で、それとは別に「基礎科学」がある。例えば基礎科学の素粒子物理にイノベーションを求める必要もないが、一方では物性化学や化学はイノベーションの推進につながる題材を研究対象としている。アメリカの例でも、エネルギー庁長官になったスチーブン・チューは、もともとイノベーションに直接関係ない原子核関係の実験物理学者だったが、ローレンス・バークレーの研究所の長となってエネルギー開発に携わった。博士課程の学生も、大学に残るのと企業に行くのをあまり区別せず、むしろ大学と産業界を行き来するような意識に変わってきている。
  • 委員
    大学では基礎科学研究と比べ応用研究が少し軽視される傾向があるが、イノベーションのプロセスを担う人材の重要性を基礎科学と同程度に認識させることが重要。
    基礎科学分野から問題意識をもって応用分野まで範囲を広げてきた人材や、逆に企業のビジネス側から基礎科学分野に関心を広げてきた人材がいるので、そのオーバーラップした部分にイノベーション人材という形でスポットライトを当て処遇すべき。
  • 委員
    イノベーション拠点には、イノベーション全体をプロデュースするマネジャーや実働部隊も必要だが、技術面での課題は日々刻々生まるので、大学の先生あるいは学生が関与しないのは想定しにくい。技術を進歩させながらイノベーションに結びつける機能も必要で、基礎科学技術の研究とイノベーションは切り離せない。
  • 委員
    研究開発に携わる人間だけでなく、成果取扱の法的な側面について分かる人にも話を聞いておいたほうがいい。拠点から生まれた成果やお互いが持ち寄った情報の取扱は出身母体も関心が高く、その調整をする法律や規則をつくるとすると大変で、早く手を付けたほうがよい。
  • 委員
    課題解決型拠点は、それぞれの分野で幾つかのソリューション・インダストリーを創生していく拠点と捉えている。
    拠点では、研究成果を需要に結びつけていくことに企業や大学が最優先で取り組まなければならない。大学が関与すれば特許を出して公表するのが通常の研究開発プロジェクトだが、企業からは例えば3年くらいは公開してほしくないという要請もあり、両立が難しかった。ただ拠点では、研究成果の非公表が産業創生にあたって重要であれば優先させることも必要。また安全保障上の機微の技術についてもさらに縛りが強くなる。
    また複数の企業から生まれた成果の取扱について、ある程度の準備期間を用意して事前に合意を得ておくことが重要。
  • 委員
    社会システムの将来像を描く人材や拠点形成をコーディネートする人材、あるいはビジネスアーキテクチャーを設計する人材が非常に不足している。例えば、ハリウッドのSF映画の監督は、世界中の様々な科学技術を結集して未来の社会像をリアルな映像にしているが、こういった映画監督のような役回りが必要。
    したがって、「イノベーションの推進」と「基礎科学技術の推進」はある程度分けながらも、双方を持ち合わせた人材、あるいは「イノベーションの推進」について相当なコーディネート能力を有する人材を育成し生かしていくことが重要。
  • 委員
    ドナルド・ストークスの「パスツールの象限」のような考え方で、「科学技術」と「イノベーション」のポートフォリオをどの割合で組むか考えればよい。少しイノベーション人材の重みを増やすくらいがよいのではないか。
  • 委員
    企業にとっては、出口アプリ毎にイノベーション拠点ができるとやりやすい。サービス、ハード、ソフトが集積して1つの出口に向かって議論する仕掛けはアメリカのほうが進んでいるが、国内でもこのようなベースキャンプ型の拠点を作ってほしい。
    またマーケットと技術を結びつけてイノベーションを創出する実務的な人材は、大学のMOTというよりは、大学と企業が連携して育成することが必要。
    企業の研究員には、サイエンティストもいればエンジニア、技術者もいるが、昨今、体系化された技術を身につけた技術者、エンジニアがかなり少なくなってきている。社内で再教育しなければいけないほどで、人材育成のあり方を見直す必要がある。
  • 委員
    先端技術の研究を追い求めたために、大学の学部や修士で体系立った教育が手薄になった。ただ、大学によっては、学部教育や大学院教育を体系立ったものに見直す方向で大きく変わっている。一方で研究は最先端分野を追求するのが基本なので、特に博士課程は専門性を持った研究をすることになるが、その場合でも、俯瞰的な知識を持てるように教育する方向に変わってきている。
  • 委員
    大学での社会人教育は2つのケースがある。一つは企業と連携した教育で、派遣元の会社とその人材に将来どういうキャリアを歩ませるかを徹底的にすり合わせすることが重要。もう一つはキャリアチェンジのための大学院で、特にこれから必要になってくる。理工系の学生でコンサルや外資に行った人が、また理工系に戻るために大学院に来ることがあり、この多様性のある人材をベンチャーや新しい産業等につなげていくよう、拠点で生かしていくことが重要。
  • 委員
    イノベーションを起こすには先端的の研究シーズも必要だが、最終的にはローテクも組み合わせて社会が必要とする技術を作っていくことがゴール。そのためには、自身が研究の経験を積んでいるだけでなく、自らの研究からは離れ他人の研究を組合せてソリューションにつなげていく、研究の目利き人材が必要。そのイノベーション人材の育成には大学や企業とも違う産総研のような第3の場を活用するのが有効。
  • 委員
    日本の特に博士課程の学生は、サマースチューデントのインターンに行く例が極めて少ない。アメリカの大学からはサマースチューデントが3カ月単位で来るが、日本は先生が博士課程の研究が遅れるのを嫌がって出したがらないのではないか。インターンは、全く違う分野や企業のビジネスライクな考え方にも触れられるので、もう少し力を入れてよいのではないか。
  • 委員
    ケンブリッジ大学では78年当時は学部の講義もハイレベルなエンジニアリングサイエンスだったのが、96年には極めてプラクティカルな教育に変わってしまった。例えばエクスポジションという科目ができて、クライアントから必要とする半導体を聞いてきて、それをデザインして売るという授業までやっている。英国でも技術体系全般を見渡せる教育はすたれ始めていると思う。日本でも学問教育を見直す動きは全体的に広がっていないのではないか。
    また、企業が連携する研究プロジェクトでは、一つの中心的な企業に小さな企業が集まっている場合と、同じような力の企業がたくさん集まっている場合があるが、前者の形態のほうが調整がとりやすい。ただ例外的に、多くの企業が入っていてもうまくコーディネートされている研究もあり、外国で育ったリサーチコーディネータが入って、すべての企業をうまく均等に引っ張り込んでいる。
  • 委員
    理学部系と工学部系でイメージが違うが、日本の大学でも体系立った学問教育の重要性を認識してきたことは間違いない。
  • 委員
    英国の場合、特に工学部で顕著だが、一度企業に出てから大学に戻って専門の研究をするのがほとんどで、ビジネスのセンスを持って自分の研究を進めている。日本も見習うべきではないか。

以上

 
 
最終更新日:2009年3月24日
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