経済産業省
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産業構造審議会産業技術分科会評価小委員会超先端電子技術開発促進事業追跡評価ワーキンググループ(第1回)‐議事録

日時:平成21年2月16日(月曜日)13時~15時30分
場所:経済産業省別館10階1014号会議室

出席者

WG委員:
菊池座長、石原委員、中馬委員、中嶋委員、前口委員
関係課:
月舘課長補佐(情報通信機器課)
関係者:
北田主席研究員(株式会社三菱総合研究所)、大久保主幹研究員(株式会社旭リサーチセンター)、小森主席研究員
事務局:
産業技術政策課技術評価室(長濱室長、大久保産業技術総括調査官、稲橋課長補佐)

議題

  1. 追跡評価WGの公開について
  2. 追跡評価の実施について
  3. 評価対象研究開発プロジェクトについて
  4. 追跡調査結果の報告について
  5. 追跡評価の検討について
  6. 評価コメント票の検討について
  7. 評価報告書の構成について
  8. 今後の予定について
  9. その他

議事概要

  • 事務局(稲橋)
    WGの開会に先立ちまして、本WGの座長を選出したいと思います。産業構造審議会運営規定の第15条3でWGの座長は委員の互選により選出されることになっております。事務局といたしましては、長年に亘りまして追跡評価WGの座長として実績を有しておられます菊池委員を座長に推薦したいと存じますが、委員の皆様からご意見等ございませんでしょうか。
    (「異議なし」の声あり。)
    それでは、菊池委員に本WGの座長をお願いしたいと存じます。菊池委員、よろしくお願いいたします。
  • 菊池座長
    本WGの座長を務めさせていただくことになりました。委員の皆様、よろしくお願いいたします。
  • 菊池座長
    それでは、議事次第に基づきまして議題1.から議題9.まで進めさせていただきたいと思います。本ワーキンググループは、15時30分まで予定しておりますが、先生方にはよろしくお願いいたします。
    まず、「議題1.追跡評価WGの公開について」、事務局から説明をお願いします。
  • 事務局(稲橋)
    それでは、資料1に基づきまして、ご説明をさせていただきます。
    (「資料1追跡評価WGの公開について」に基づいて、説明が行われた。)
  • 菊池座長
    よろしいでしょうか。本ワーキンググループは、基本的に公開という形で進ませていただきたいと思います。
    それでは、「議題2.追跡評価の実施について」に移らせていただきます。事務局から説明をお願いします。
  • 事務局(稲橋)
    それでは資料2に基づきまして、ご説明をさせていただきます。
    (「資料2経済産業省における研究開発評価について」に基づいて、説明が行われた。)
  • 菊池座長
    追跡評価の実施時期ですけれども、事前評価、中間評価、事後評価が終わった後、数年経ってから行われます。今回行う追跡評価の場合ですと、平成13年度に研究開発が終わって、平成20年度の今行われます。そのため、追跡評価を行う上で判断基準となる、研究開発が終了してから現在までに研究開発成果が産業や社会に及ぼした効果などについて、最初に調査を行います。この調査は、実は昨年度に行っております。それから今年度も、昨年度の調査結果に基づいて更に詳細な調査を行っています。先生方に、まず初めに、研究開発からいろいろな影響が出てきたのだろうというものを、技術的側面、経済的側面、または産業的側面から見ていただければと思います。
    それを踏まえまして、現在の視点、いわゆる今の時点に立っていろいろなことにつきまして、忌憚のないご意見を先生方からいただきたいと思います。それは、当然うまくいったものもあるだろうし、その当時からするとやむを得なかったというものもあると思いますが、現在ならばどうすべきだったのだろうという視点から評価したいと思います。そのような視点から評価し、次の研究開発に、どういう提言ができるのだろうかというところが実は追跡評価の評価項目に入っております。これにつきましては、「議題6.評価コメント票の検討について」のところで、事務局から説明したいと思います。基本的には、図2にあります左からきた時間の流れを、右側の追跡評価で一旦整理してみるということになると思います。一般的に追跡評価の位置づけとしては、このようになっておりますということをご承知いただければと思います。
    よろしいでしょうか。もしよろしければ、次の議題に移らせていただきます。
    「議題3.評価対象研究開発プロジェクトについて」、事務局から説明をお願いします。
  • 事務局(稲橋)
    それでは資料3に基づきまして、ご説明をさせていただきます。
    (「資料3評価対象研究開発プロジェクトについて」に基づいて、説明が行われた。)
  • 菊池座長
    今回の追跡評価の対象となります研究開発プロジェクトの概要について説明をしていただきました。そして、参考資料4に研究開発プロジェクトの終了時に行われました事後評価の報告書がございます。
    ところで、追跡評価を行うためには、研究開発プロジェクトが終了してから今日までの間に研究開発成果が経済や社会などに及ぼした効果に関する情報が不可欠です。そのため、昨年度と今年度に研究開発成果とその効果に関する調査を実施しております。その調査結果を取りまとめたのが資料4-1、資料4-2、及び資料4-3です。
    まず、効果の全体像を調査して取りまとめた資料4-1について、調査を実施した株式会社三菱総合研究所の北田主席研究員から説明をお願いします。
  • 北田主席研究員
    それでは、昨年度行いました追跡調査の結果ということで、このプロジェクトが主にどういったところに効果を及ぼしてきたのかについて調査を行いましたので、簡単にご説明をさせていただきたいと思います。
    説明に使いますのは、資料4-1でございます。これを最初から読んでいるとそれだけで時間がかかってしまいますので、75頁以降に参考資料として調査結果を要約したものがございますので、こちらを中心にご説明をさせていただきたいと思います。
    (「資料4-1平成19年度技術評価調査(超先端電子技術開発促進事業の技術・産業・社会へのインパクトに関する調査)報告書」に基づいて、説明が行われた。)
  • 菊池座長
    先生方からご質問等がございましたら、お願いします。
  • 中馬委員
    例えば、75頁とか76頁の内容について、教えていただければと思います。私は、たまたま2001年位からArF用のフォトレジストでブレークされた企業さんを6、7年の間ずっと調査してきました。その調査に基づき、最近、論文を書かせていただきました。その経験から申しますと、本プロジェクトでの活動と最終的にマーケットで観察される成果との因果関係が必ずしも説得的ではないように思います。
    自らが関与したプロジェクトがうまくいった際には、私達は、どうしても自らの関与をより強調しがちです。従いまして、そういう自己近接感が湧いてくるのは自然だと思います。ただし、その際のやや高めになりがちな自己評価をどう適切に割り引くかという点については、少し工夫が必要かもしれません。研究開発活動へのインプットとそのアウトプットとの間の因果関係を考える場合に、ASETのインプットが非常に重要な役割を果たしているということは評価できると思いますが、マーケットでの良好な成果の発現にはさらに多くの他のインプットも付け加わっているわけです。プロジェクト評価の際には、その辺りの事情についてどう勘案するかも重要だと思いました。私自身がたまたま深掘りしてきましたArF用フォトレジストのプロジェクト評価部分をそういう視点から拝見しますと、プロジェクトへのインプットとアウトプットの間の関係に関する叙述は、全体としては事実と言えるかもしれませんが、本文中にあります両者の因果関係に関しまして、正直、ここまで言い切って良いのかなと思います。その点に関してはどうですか。プロジェクトの成果をどのように評価するかという話と非常に似通っていると思いますが。
  • 事務局(稲橋)
    因果関係に関して、他のインプットまで含めて精密に実証するのは難しいと思うのですけれども、1つ言えますことは、この研究開発プロジェクトがある一定の役割を果たしているのかということです。今、仮に成功している製品があったとして、この研究開発プロジェクトで開発された技術だけによっていることはまず少ないと思うのです。そこで、その製品を製造する上で、この研究開発プロジェクトの成果が活用され、ある一定の役割を果たしていると言えれば効果があったと考えております。
    追跡評価の場合、実際的に研究開発プロジェクトから生まれたものが発展して、効果をもたらしているところを今は評価している訳ですけれども、国の研究開発プロジェクトがあったお陰で、民間企業さんでは、別の研究開発に打ち込めて成功したという例も、実はあると思います。追跡評価では、このような効果については評価されておりませんが。
  • 中馬委員
    プロジェクトの成果としましては、研究開発力の潜在性を高めるとか、学習機会を増やすとか、あるいは探査的な研究の結果として何処に的を絞れば良いかが最終的にわかるとか、様々な便益があると思うのです。私の質問は、事後評価の際に、最終的にどのような評価軸を用いれば良いのかという漠然とした質問だとも言えます。そういう質問をしましたのは、私自身がたまたまArF用フォトレジストの産業に関しましてかなり深掘りしてきているためです。
  • 菊池座長
    この追跡評価というのは、私の場合はたまたま十数年続けさせていただいているのですけれども、今、中馬先生が疑問を感じられる点は、正にそのとおりなのです。今まで、私が基本としてきたのはインプット、アウトプット、そしてインカム、アウトカムがあって、インパクトといった時に、アウトプットとアウトカムの関係がエビデンスとしてあるならば実線として表現する。もし、エビデンスがなくて実線が引けないとしても、関連性が認められるのであれば点線にしましょうというスタンスをとってきています。
    この時に問題になるのが、過去の資料がなかなか体系的に整理されていない。今まで、制度体系が整っていなかったものですから、因果関係がはっきりしなかったり、それぞれの関係者の方々の資料が散在していてなかなか情報が集められない。そういう状況の中で、追跡調査をする時に、ヒアリング調査に携わると、先ほど中馬先生がおっしゃられた様にどうしても創ってしまう。または、その様に見えてしまうというか。そういうリスクはあります。
    フォトレジストのところの線がなかなか引き難いのではないかと。むしろ、別な成果を使った可能性がある。または、技術的な研究開発成果というものの貢献は、ゼロではないだろうけれども、非常に微々たるものである可能性もある。とすれば、ミスリードしないような注意書きをしていくことによって、私達が最終的に追跡評価の報告書を取りまとめた時にコメントをすれば良いと考えます。これはプロジェクト単位の評価でありますので、次にありますような特許に関しても、出てきた特許だけで製品が成り立つ訳ではありませんし、特許権を全てパッケージにしたとすれば何千、何万という特許群があり得る訳でありまして、それをこのプロジェクトで全て用意して、オールインワンにしてやる訳ではなくて、アウトソーシングの連携に期待をする訳です。アウトソーシングの状態になっているものをどこまで書くのかというのは、この追跡評価の1つの課題でもあるのです。
    技術的なエビデンスが明確にならなかったとしても、何らかの形で次の研究開発に実際に使われていったとすれば、人材的なつながりとか、または論文を介して、何かをリファーした形でエビデンスがとれるのであれば、実線を書いても良いのかなと思っているところなのです。
    ですから、今、各先生方がお持ちになっている知識の範囲の中で、これはちょっと書き過ぎではないか、または、ミスリードを誘うということであれば、忌憚なくご意見をいただいて、それを修正していくというやり取りをするのが良いのかなと思っています。
  • 石原委員
    簡単な質問ですけれども、この調査に当たっていろいろな調査をしておられると思うのですが、主にどんな手段で調査をしたのですか。
  • 北田主席研究員
    基本的には、ヒアリング調査が中心です。関係された方をたどっていって、ヒアリング調査をして情報を集めていきます。もちろん、その前に文献とか報告書などでの基礎調査は行いますが、一番重要なのはヒアリング調査で、事実関係なども少し確かめながら行って報告書に書いています。
  • 石原委員
    それは研究開発の現場にいた技術者、研究者に直接聞くということもやっていらっしゃるのですか。
  • 北田主席研究員
    はい、やっています。
  • 菊池座長
    効果の全体像を追跡調査した結果の報告は以上にさせていただきますが、各先生方から、この辺はちょっと違うのではないかとか、もっと違う展開もあるのではないかというコメント等をいただければ、追跡評価を行う時に役に立ってくると思います。
    それから、中馬先生がおっしゃられたように深掘りした経験がございましたら、それも含めて追跡評価をするときの資料としていくのが一番良いのではないかなと思っていますので、資料の提供にご協力をよろしくお願いします。
    他に、何かご質問等々ありますでしょうか。北田主席研究員から、調査結果の要約版で説明いただきましたが、調査報告書には、その前に文章等々がありますので、またお気づきになりましたら事務局に問い合わせていただくということで、よろしいでしょうか。
    もしよろしければ、4-2の資料に移りたいと思います。4-2と4-3の資料につきまして株式会社旭リサーチの大久保主幹研究員及び小森主席研究員から説明をお願いします。
  • 大久保主幹研究員
    それでは、ご説明させていただきます。
    (「資料4-2平成20年度実施マネジメントに関する調査」及び「資料4-3平成20年度実施特許に関する調査」に基づいて、説明が行われた。)
  • 小森主席研究員
    続きまして、資料4-3の3ページ、磁気ヘッド関連特許のサイテーション分析についてご説明させていただきます。
    (「資料4-3平成20年度実施特許に関する調査」に基づいて、説明が行われた。)
  • 菊池座長
    ありがとうございました。今の説明、また資料に関しましてご質問等ございましたらどうぞ。
  • 中馬委員
    たまたま、我々の研究所で同じようなことをやろうとしています。従いまして、こういうこともあり得ますという提案です。こういう事後評価では、国が資金を投下したことによって特定分野での研究がさらに進み、大きな外部効果が企業・組織の境界を越えて社会にもたらされるという状況も評価の対象になると思います。
    そういう視点からしますと、例えば、研究開発に参加された方々には、当該プロジェクトに参加される前に既に出願・登録済みの関連特許や論文があったものの、プロジェクト終了後の5年とか10年で関連特許の出願・登録状況を追跡してみると、プロジェクトが終了した途端に関連特許や論文が全く出なくなっていた、という事例もあり得ますね。中折れしたプロジェクトが良くないと言っているわけではないのですが、プロジェクトを事後的に評価するという場合、参加された方々の学習機会をどれだけ豊かなものにしたのか?その結果、プロジェクト終了前後で関連特許や論文がどう増減しているか?例えばですが、そういう評価の方法もあり得ると思います。
  • 菊池座長
    若干補足しますと、これは出願人ベースです。発明者ベースではないので、実際にプロジェクトにかかわっていた○○先生がどのような成果を成したかという視点からは追いかけていません。ですから、先生がおっしゃられた研究者ということであれば、ある一定期間、研究者であって、その後、昇進して自分はもう研究しなくなっているとかは別にして、特許の中の発明者として記録されているのであれば、このようなサイテーションマップを使ったエビデンスの分析は有用であると考えます。
  • 中馬委員
    私達の研究所も、そういうことをNEDOのプロジェクトでやりかけております。特定プロジェクトでお金がなくなると関連特許や論文が急に全く出なくなるとか、あるいは、プロジェクトにお金が出ても、関連特許や論文の出具合にはあまり変化がないとか、幾つかの特徴は出てきています。ですから、追跡調査で何をやるのかということの1つの提案として、そういう方法もあり得ますねという意見を述べさせていただきました。
  • 小森主席研究員
    今、おっしゃったことで私どもなりに調べたところから申しますと、プロジェクトが終わった後も継続的にやられていたのは日立さん、東芝さん、TDKさん、昭和電工さんです。IBMさんももちろん入ります。この業界は、先ほど三菱総研さんの報告でありましたようにかなり厳しい業界で、日本電気さんはあきらめました。続けられた日立さんの場合には、自分でヘッドも、メディアも、スピンドルモーターぐらいは購入しているようですけれども、全部自社でやることで続けられたというのが、今やっと黒字化したようなのです。この不景気で、またどうなっているかは分かりませんが。
    あと東芝さんの場合には、システムとしての構築は自社でやられたけれども、実際にヘッドとディスクはTDKさんと、それから昭和電工さんが主に供給しました。そういう形で設備投資リスクをうまく回避して、生き残ってこられたというように理解しております。
  • 中馬委員
    単なる意見ですので、無視していただいても全然構わないです。
  • 菊池座長
    他にご質問、助言など、またこのような追加情報があるといいというものも含めて、何かございますか。
    数字の確認だけなのですけれども、被引用も、自社引用を含んだ全てですね。
  • 小森主席研究員
    含んでいます。それから、審査官引用がベースです。出願人も自動的に組み込まれます。
  • 中馬委員
    我々社会科学者の研究対象としても、垂直磁気ヘッドのイノベーションは興味深いと思っています。最初に東北大で行われた研究にまで遡りますと、それが商品化されるまでにも何十年もかかっているわけですよね。ある時代になって当該技術への期待が急に高まり、大きな研究開発リソースが注がれた結果花開いたということですね。けれども、技術としては、水面下に潜っていた時代が相当に長かった。そういう風に長い時間をかけてやっと実現した大きなイノベーションの事例として、(そこにどのような人々・場所・時代が絡み合った結果なのかという視点から)非常に興味深いと思っています。長い時間をかけて脈々と蓄積されてきていたポテンシャリティーが、ある時期に不連続的に花開くということが実際に起こった事例ですね。
  • 小森主席研究員
    そうですね。
  • 中馬委員
    したがって、この研究開発プロジェクトの力がなければ、これほどまでに不連続的な形で製品化されるに至らなかったようですね。非常に興味深いと思います。
  • 小森主席研究員
    たまたま、ある企業の当事者で、ずっと続けておられる方にお会いできたものですから伺いますと、東北大学の岩崎先生が発明されて、その後しばらくいろいろブームになった。ところが、どうもうまく行かず、業界的にもだめだった。いわゆる「死の谷」の期間があって、それでも脈々と続けていたら、ある時になって国プロとして資金が出たことによって、タイミング的に非常にいいチャンスで乗れたというご説明でした。
  • 中嶋委員
    そういうテーマは、技術研究組合の超先端電子技術開発機構が実施する国プロの中に結構ありました。磁気記録なんかは、典型的だったと思います。ほとんどつぶれそうな状況といいますか、シェアが8%という状況の中で、もちろんもの凄い巨人がいたということが1つありますけど、国プロという企業にとってはお墨つきといいますか、バックグラウンドをもらって研究ができたという状況は、非常に大きい効果をもたらしました。
  • 小森主席研究員
    そうでしょうね。
  • 中嶋委員
    もともと技術ポテンシャルは、結構高かったのです。そうした中で、ビジネスとしてはそう儲かるとは言えない状況で、さて自分の会社でできるかという話になった時に、厳しかったのだと思います。そうしたところに、この研究開発プロジェクトのような形で技術開発の場を創ってもらったことで非常に大きい牽引力になりました。これは、結構いろいろな分野で共通していて、例えば電子ビームもある意味そういうところがありました。技術はもうかなり高いものが、電子顕微鏡をベースにあった訳です。電子線をどう操るかという課題があった訳ですけど、その分野の研究には巨額な資金が要ります。研究開発投資として要りますといった時に、企業として踏み切れるかどうかという状況にあったと思います。勿論、うまく動き出せば、その位の金は出せたと思いますけど、なかなかそうならないのが企業です。ですから、最初のうまく動き出す形になるまでつないでもらう。あるいは、研究を加速するきっかけを創ってもらう位置づけは、国プロの1つの大きな要素になります。
    液晶は、多分この研究開発プロジェクトで実施したのが最初のサポートだったはずです。それまでは、各企業ばらばらという形で動いていました。もう、連携もない状況です。ですから、この研究開発プロジェクトがスタートしても各企業同士が何となく牽制し合っている感じが随分ありました。しかし、研究開発プロジェクト後半になると、そういう雰囲気は一気になくなりました。
  • 菊池座長
    この研究開発プロジェクトを立ち上げる時のテーマの絞り込みというのは、かなり体系的に行われた訳ですね。
  • 中嶋委員
    立ち上げる前に、準備といいますか、調査が行われましたから、その結果どこをやるべきかという話だったと思います。
  • 菊池座長
    かなり具体的、戦略的に詰めていますね。
  • 中嶋委員
    詰めています。
  • 菊池座長
    ArFあたりの2年間位行って終わってしまうというものもありますが、全体としてはかなり体系的にテーマの絞り込みといいますか、ロードマップの検討がされていたと思います。
  • 中嶋委員
    環境も、そういう状態にあったということもあります。
  • 菊池座長
    そうでしょうね。
  • 中嶋委員
    特に、半導体は厳しい状況を向かえていました。実際、厳しい状況を向かえて、国としても何かやらなければ、あるいは、働きかける必要性があったのだろうと思います。
    逆に、液晶はまだ立ち上がっていない状況でしたから、半導体の前例に従わないようにというか、そういう状況をつくらないよう、早い段階から手を打たなければという形で動いたという状況でした。その時、研究開発プロジェクトの液晶の開発目標は省エネです。どこを狙えばいいかということになると、今でもメインテーマはこの辺に来ますからね。いずれにしても、誰もが認めた事業分野であるという位置づけははっきりしていた。ですから、かなり先行して、省エネも頑張って、ある時期に日の目を見るようにしなければいけないなという位置づけになっていたと思います。
  • 石原委員
    先程、ちょっと言葉が出ましたけれども、最近はやり言葉になってきた「死の谷」というフェーズが技術開発の段階の中にありました。「死の谷」というフェーズの中で、国プロとして研究開発を推し進める重要性を把握することができて、そこからうまくいった事例というものが出てくれば、結局、そこのところの目利きがとっても効果的であったことになります。過去の研究開発プロジェクトを追跡して調査して、その目利き力をどう強化するのが良いかというような提言がこのWGでできると、大変良いと思いながら聞いていました。実際、「死の谷」のまっただ中で、資金を投入するのは難しいですね。特に企業は難しいです。調子が悪い時に人と金を投入することができるのは、公的な資金ではないかという感じがします。
  • 菊池座長
    このプロジェクトの中では、IBMさんはどういう位置づけで入ってこられているのですか。
  • 大久保主幹研究員
    日本IBMは、磁気のプロジェクトには入っていませんでしたが、液晶のプロジェクトに入っていました。
  • 事務局(稲橋)
    資料4-1で申しますと16頁にございます。図表2に研究管理体制がございまして、日本IBMさんが第三研究部(液晶)の分散研のデバイスの中に入っています。
  • 中嶋委員
    液晶のプロジェクトの場合にはIBMさんもそうですし、メルクさんも入っていました。そういう意味では、国際共同研究という感じにしたいという意向もありました。ただ、磁気ディスクにしても、半導体にしても、戦略的なロードマップがかなりしっかり出ました。一方、液晶はいわば、こうあるべきだ、こうありたいというベースでロードマップがスタートしていますので、ある意味では実際の競争状態に入る前の研究開発をやっていた感じがします。
  • 菊池座長
    ロードマップはある程度確定していますけれども、国プロからオフロードのものが出てきて、その芽がロードマップ上に載ってくるような動きはあったのでしょうか。
  • 中嶋委員
    そういう動きはありました。
  • 菊池座長
    他にコメントでも構いませんけれども、何かございますか。
  • 前口委員
    電子ビームが成功例として挙げられていて、等倍X線が実用化に供されなかった技術みたいな表現になっています。当時のデバイスメーカーでは、いろいろなリソグラフィーの候補技術の中で、どれが本命かよく分からない状況だったと記憶しています。いろいろある候補技術の全てについてデバイスメーカーが手をつけるとなると、大変な資金が必要でとてもできない。そういった状況の中で、この研究開発プロジェクトでいろいろな候補技術の中から、本命となり得る候補技術を絞ってきた経緯があると思います。その中の1つが等倍X線で、結果からいえば落ちていますが、この研究開発プロジェクトが技術の流れをつくっていった部分があります。その理由で、落ちたけれども、使われなかった技術が失敗という訳では決してありませんので、是非、評価ではこの点を考えていただきたいと思います。当時を振り返ると、そういう感じがします。
  • 事務局(稲橋)
    資料4-1の76頁の見出しの半導体分野と書かれている下の超短波長電磁波パターニング・システム技術をご覧ください。等倍X線露光技術は、当初想定できなかった新たな代替技術が出現したことにより、活用されませんでしたが、その研究成果が縮小X線露光技術に引き継がれて活用されておりますので、決して失敗ということはないのではないでしょうか。
  • 前口委員
    いずれにしても、研究テーマによっては、それが実用化に耐え得る技術か否かという見極めをすることが重要ですので、落ちた技術というのは、それはそれで技術開発する上で非常に意味があると、デバイスメーカーは捉えています。その辺の視点が、先程の説明を受けただけでは分かりませんでしたの、コメントさせていただきました。
  • 事務局(稲橋)
    追跡評価で、その点は非常に重要と思っております。
  • 前口委員
    プラズマ反応的な部分では、サイエンスといいますか、そこでどういう反応が起きているのかということもきっちり調べられたのだと思います。得られたサイエンスというものは、その次以降の研究開発プロジェクトに知識基盤として生かされていると思います。その視点も、重要です。
  • 菊池座長
    知識基盤をどうメンテナンスしながら重層的にしていくかは、追跡評価を行う際の1つのスタンディングポイントとして大きな項目になっています。過去の追跡評価から得られた知見に基づきますと、意外と知識基盤を捨ててしまったり、途中で消えてしまったり、陳腐化してしまったり、または非常に速いスピードで人的な基盤も散逸してしまっているケースがあったりするのです。それから、特許も数だけ出されて実際は使われていないとか、今回のように引用とか被引用が明確になってくると、それなりのことは分かります。ここではどんな形で知識基盤がつくられていたかというのは、ぜひ先生方にお書き願いたいところです。
    もう1つ、ご指摘いただいた技術課題の絞り込みなのですが、やはり絞り込むためのコストというのは非常に大きくて、一企業だけでは不可能なところがある。絞り込みコストを国がリスク負担する方向はあると思いますが、それについて今まで余り強調してこなかったのです。それは無駄なことではなく、技術の科学的知見を積み上げていくためのコストとして考える必要がある。特許にする、いわゆる産業技術化していく場合、絞り込みのコストを認める必要がある。単に失敗だったということではなくて、戦略的に絞り込んでいるのだというのであれば、この追跡評価よって、数百億円も使っていることに対する説明責任を果たす側面もありますが、役割としてそういう費用をかける必要があったのではないかということは、是非いっていただけるといいのではないかと思います。
  • 前口委員
    最後に、あと1点。特許に関しては追跡調査の中でどう考えたらいいのか。特に、半導体ですと基本構造特許で押さえられるものではなく、周辺特許が一緒になっていないといけない。半導体では先程ご説明いただいた磁気ヘッドやメディアのようにすんなりいかないのではないかなという気がしていて、どう捉えようかとちょっと悩んでおります。
  • 菊池座長
    今回、調査にかけたというのは、多分ある程度パッケージとして見えそうな成果のかたまりがあるのだと思います。半導体となるとマップも相当大きな表を作らざるを得なくなると思うのです。ただ、NEDOで成果として記録している番号が明確にされていますので、明確にされている番号から世代を下りて見るというやり方が、適切であると思います。
    先程ちょっとこだわったのは、出願人ペースではなく、発明者ベースの追跡調査をしても良いと考えたからです。プライバシーの問題ではなくて、特許情報の開示された内容として、発明者がどのように技術的課題の上で変遷していくのかというのは、こういうプロジェクト追跡評価の中では重要かなと思っているのです。
    半導体という領域もいろいろなもののコアがあって、その周辺にくっついて巨大な固まりとして扱わざるを得ないところからすると難しさがありますが、今回、株式会社旭リサーチさんにやっていただいた調査は、いろいろなものを考える上でのいい材料ではないかと思います。
  • 前口委員
    分かりました。
  • 石原委員
    知識を蓄積することも大きな成果だという話が先程ありましたけれども、その横にあるような格好で、大変掘り起こしにくい共通基盤技術という分野があります。これは計測の技術であったり、物を加工する技術であったり、いわゆる道具に相当する部分です。実は何を開発するにしても、この部分全体がレベルアップしているということが非常に重要なファクターなのですけれども、この研究開発プロジェクトからそこを押し上げた成果を探し出すことができると、とてもよいのです。
    これは大変難しいのですけれども、そういう視点を少しもって見ることは、大変重要だと思います。この研究開発プロジェクトで測定技術を上げていますので、一部そうしたものがあります。
  • 菊池座長
    今おっしゃられた共通基盤の技術の方も、それからデータベースも含んだ意味でいいと思うのですけれども、そういうものは結構出ているはずですので、そこを少しクローズアップしておくのはいいことだと思います。
  • 石原委員
    大抵は○○測定装置とか、○○製造装置とかの名称で残っていることが多いです。
  • 菊池座長
    共通基盤のあたりは抽出できると思います。
  • 中馬委員
    どんな研究開発でも基本的には幾ばくかのポテンシャリティーを高める。まったく無駄というものは無い。そういう意味では、先程前口委員が言われましたように、事後的にうまくいったかどうかの視点だけからみるのではなく、当該研究開発が行われていた時代の背景を考慮しつつ、その時点でみた事前の視点から評価することも重要だと思います。研究開発プロジェクトの有り様は、生物の進化のプロセスと似ている。研究開発活動によって新たな知識を蓄積していくプロセスは、将来の想定外の不確定性にうまく対応できる(サイエンス上の方向性を豊かにする)事後柔軟性みたいなものを蓄えていくプロセスなのだと思います。追跡調査は、そういう視点から行う必要があるだろうと思いました。
    私達はどうしても現時点での成果に基づいて評価しがちですが、可能な限り当該プロジェクトが実施されていた時点に立ち返り、そこでの研究開発活動が、その時点以後に事後柔軟性を高めていった具合を追跡調査の中にうまく表現したいですね。そういう視点から捉え直すと、幾つかの新しい評価軸も出てくるのではないかと思います。正直申しまして、研究開発プロジェクト自体は、リスキーなものですから、そんなに成功確率が高いわけがない。でも、事後的にうまくいかなかったと見なされたプロジェクトの中にも、将来のページがめくられていく中で事後柔軟性を高めていった程度に関しては、大きな差があったりするのではないかなと思います。
  • 菊池座長
    非常によくわかる事後柔軟性ということですが、過去、大体200億円を超えるような予算を使った研究開発プロジェクトについて追跡評価を行ってきました。それで、どういう研究成果ではなくて研究効果がもたらされてきたか。いわゆるエビデンスのある効果が残っているか。そこからそれぞれの間に何らかの相互関連性があって、新しい可能性をつくり出しているのだろうかというところを追いかけてきたわけなのですが、先程いったようになかなか研究開発成果と効果の因果関係がはっきりしない。当然研究開発プロジェクトに参加していた人達だけではなくて、参加していなかったところでの派生効果もありますので、そういうところの因果関係を集める必要がある。そうして、研究開発を推進したことによって、どういう可能性をクリエーションし得たのだろう。また逆にいえば、間違っていたのだろうというところを評価する。
    追跡評価をする際に要点となることに、大きな環境変化があります。それを見抜けなかったが故に失敗してしまった。そのようなことが過去の追跡評価には結構多い。大きな環境変化というものは一体何なのかというと、それは政策だったり、不況だったり、外圧だったりする場合もあります。そういう大きな変化の中で、研究開発プロジェクトがすごく影響されてしまうことがあります。このケースでは平成7年度から13年度まで続いているわけですけれども、その後の後継プロジェクトは一体どうだったのか。それからその発展性はどうだったのかといった形で、プロジェクトの柔軟性というものを表現しよう、具体的に説明していこうと考えております。
    ですから、中馬先生からも新しい視点での柔軟性の項目を何か探し出していただければ、我々の追跡評価報告書案の中がもう少し広がりが出てくるのではないかと思います。
  • 大久保総括調査官
    今、柔軟性という言葉はなるほどと思ったのですが、多分柔軟性というのは多様性から生まれるのではないかという気がします。要は、1企業だけではなくて複数の企業があって、複数の人材があって、そういう中からいろいろなシナリオや多様性が出てくるということはないですか。
  • 中馬委員
    そうですね。生物学者たちは、それを冗長性(Cooptin)と呼ぶようです。環境変化の望ましい方向性に関しては、不確定性が高いので、なかなか事前には分からない。したがって、ある程度の冗長性(事後柔軟性)があれば、急に不確定性が高まったり、より複雑な対処方法が必要になったりしても、組み合わせ複雑性によって対応できる。それが、進化論的な意味での冗長性かなと思います。
  • 菊池座長
    中嶋先生、総論的なところで何かありますか。
  • 中嶋委員
    勿論、そういう環境の問題があるでしょうけれども、プラットホーム技術をやろうということであれば、今のようなお話がどんどん出てくるだろうし、意外なところに意外な発展があってもいいだろうし、先ほどの人材育成のところ、あるいはプロジェクトそのものが直接ではないけれども、間接的にどのように動いたということとか、そのようなことをずっと見て、今のお話のように研究開発はリスクがありますから必ずしもうまくいかない。直接的にはですね。
    だけど、それがあったためにできたというような派生技術なり、派生効果なりというのは、かなり期待しないといけないことなのだろうと思いますので、そういった意味では、その辺を追跡評価で位置づけがうまくできればいいので、考えてみなければいけないと思っています。
  • 菊池座長
    他に、ご意見はありますか。
    もしよろしければ、次の議題に移らせていただきます。評価コメント票は様式がありまして、そのもとで各先生方にコメントを入れられるところを入れていただきたいと思います。
    それでは、「議題6.評価コメント票の検討について」に移らせていただきます。事務局から説明をお願いします。
  • 事務局(稲橋)
    それでは資料5-1及び資料5-2に基づきまして、ご説明をさせていただきます。
    (「資料5-1評価コメント票(案)」及び「資料5-2質問票」に基づいて、説明が行われた。)
  • 菊池座長
    提出期限については、もう1回、土・日を挟んで3月2日月曜日にした方が余裕ができますね。
  • 事務局(稲橋)
    承知しました。
  • 菊池座長
    何かご意見はありますか。
    (意見なし。)
  • 事務局(稲橋)
    評価コメント票は、書ける範囲でなるべくご記入いただければと思います。もちろん、ご専門等によりまして、全ての項目を埋めることは難しいと思いますが、可能な限り各項目へコメントしていただければと存じます。
  • 菊池座長
    最初のインフォメーションとしては、ちょっと幅広目にいただいた方がよろしいというところがあります。
    それでは、「議題7.評価報告書の構成について」に移らせていただきます。事務局から説明をお願いします。
  • 事務局(稲橋)
    それでは資料6に基づきまして、ご説明をさせていただきます。
    (「資料6評価報告書の構成について(案)」に基づいて、説明が行われた。)
  • 菊池座長
    追跡評価の場合には、「II.現在の視点からのプロジェクト評価」、また「III.経済産業省が今後実施する研究開発プロジェクトへの提言等」というところも非常に重要なところでありますので、そういうところも少し幅広目にインフォメーションいただければ、事務局がまとめる上で助かると思っております。
  • 中馬委員
    資料6のところなのですけれども、今までディスカッションしてきた中で第3章の「I.波及効果に関する評価」ですが、技術的波及効果、研究開発向上効果、「力」が抜けているようです。次の経済効果のところは、経済的な波及効果という意味なのでしょうか。そうだとしますと、先ほどの事前と事後という視点からは、将来のページがめくられる前に期待された効果というよりも、めくられた後に実際に確認された効果ということでしょうね。
  • 菊池座長
    出てきた効果と違いますので。
  • 中馬委員
    分けてやればいいのですか。
  • 菊池座長
    分けてくださって結構です。基本的にコメント票にありますように、例えば経済効果と書いてあるのは、新しい市場を創出したか、また寄与したかといったときに、事前というのと事後、これからというのもありますので。
  • 中馬委員
    どうしても事後の話が質問されているように感じるのです。
  • 菊池座長
    いや、そうではないです。それも含めてですので、そこのところは、そのような書き振りにしていただければそのまま反映します。
  • 中馬委員
    それで良いのですね。
  • 菊池座長
    そのとおりです。
    他に、ございますでしょうか。
    (意見なし。)
  • 菊池座長
    それでは、「議題8.今後の予定について」に移らせていただきます。事務局から説明をお願いします。
  • 事務局(稲橋)
    それでは資料7に基づきまして、ご説明をさせていただきます。
    (「資料7今後の予定について(案)」に基づいて、説明が行われた。)
  • 中嶋委員
    4月の評価小委員会のときは、我々は時間を予定する必要はありますか。
  • 事務局(稲橋)
    評価小委員会では、菊池座長からご説明していただきますので、お時間を予定していただく必要はございません。
  • 菊池座長
    他に何かございますでしょうか。
    (意見なし。)
  • 菊池座長
    よろしいですか。
    予定時刻をちょっと過ぎてしまいました。先生方にはメールで、また資料等をいただくことになると思いますけれども、よろしくお願いいたします。これで、第1回追跡ワーキングを終わりにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。

以上

 
 
最終更新日:2009年3月26日
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