経済産業省
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低炭素社会におけるガス事業のあり方に関する研究会(第2回)-議事録

日時:平成21年4月27日(月)15:00~17:00
場所:経済産業省本館17階第1~3共用会議室

議事概要

  • 畠山ガス市場整備課長
    定刻となりましたので、ただ今から、第2回低炭素社会におけるガス事業のあり方に関する研究会を開催させていただきます。委員の皆さま方におかれましては、ご多忙のところご出席いただきましてどうもありがとうございます。それでは、着席させていただきます。
    初めに、前回ご欠席された委員で本日ご出席の方をご紹介させていただきます。中上英俊委員。
  • 中上委員
    中上でございます。前回は失礼いたしました。
  • 畠山ガス市場整備課長
    それから永田康子委員。
  • 永田委員
    永田でございます。よろしくお願いいたします。
  • 畠山ガス市場整備課長
    それでは、以降の議事進行は柏木座長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
  • 柏木座長
    ご多用中のところ多数の皆さま、ありがとうございます。座って失礼させていただきます。前回大変なご高説をいただきましてありがとうございます。今日もまたよろしくお願いしたいと思います。
    まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
  • 畠山ガス市場整備課長
    配布資料一覧をご覧ください。資料1から資料7までお配りしております。過不足等ございましたら事務局までお申し付けください。
  • 柏木座長
    資料の過不足は大丈夫ですね。それでは、資料3に基づきまして、事務局から前回の委員の皆さま方のご意見の概要についてご説明をお願いしたいと思います。

(1)第1回研究会における委員意見の概要

  • 畠山ガス市場整備課長
    今日はたくさんプレゼンテーションがございますので、ごくごく簡単にご紹介させていただきます。「第1回研究会における委員意見の概要」ということで、資料3に取りまとめさせていただきました。前回ご議論いただいた点を事務局の方で、基本的にすべて載せているつもりですが、もし何かあれば、本日でも後ほどでもおっしゃっていただければと思います。
    ざっと頂いたご意見を幾つかの固まりにまとめてみました。一つは、「天然ガス・ガス事業の特性」ということで、幾つかのご意見がございました。化石燃料の中でクリーン、それからエネルギー多様化の供給源。一方で、セキュリティーの関係で新たな不確実性が浮上している。それから、その他長期契約ないしはメタンハイドレードという国産エネルギーの可能性もあるとか、パイプラインで供給されているので供給面においてロスが少ないといった点がご指摘されました。
    2番目の固まりとして、「低炭素社会に向けた中長期ビジョン」ということで、何名かの方から長期ビジョンの必要性ということで、一例として2050年に至るプロセスの中で20年、30年というものを位置付けていくことが大事であると。それから、事業者の代表の方からは、事業の推進に当たってエネルギー関連投資というのはかなり大きいので、中長期の見通しには注目しています。それから、住宅メーカーの代表の方からは、住宅を供給するためには長期的なシナリオが明らかになることが重要だといったお話を頂きました。
    併せてそのビジョンの中身の問題として、多様な価値観を踏まえたバランスの取れた有効なオプション提示が必要であるというお話を頂きました。二つ目の丸あたりに書いてありますが、小山委員からのプレゼンテーションでも、すべての有効なオプションの最適活用を図るべきであるというようなお話で、そうした不確実性のある中でいかにガスの最適利用を進めるかということが重要ですというお話。それから、バランスの取れたエネルギー政策が重要ということで、非化石エネルギーの利用高度化に向けて技術革新を含めて普及政策が推進されることが必要であるといったお話がございました。
    次の大きな固まりとして、いろいろな視点からいろいろなご意見があったかと思いますが、取りあえず「需要面・供給面における電気と熱のベストミックス」ということで一くくりにさせていただきました。ターゲットはエネルギーの使用効率化、それからCO 2の削減ということかと思います。この中では、幾つかのご意見で、需要サイド・供給サイドにおけるエネルギーの高度利用と低炭素化を検討することが重要である。また、人口減少社会でインフラが地域によって過剰になっているということの想定を含めて、需要・供給のベストミックスのデザインが重要である。それから、分散型の再生可能エネルギーをできるだけ多く使うネットワークのベストミックスを考えていくべきである。熱をできるだけ捨てないという方向が重要である。そして、電気とガスの連携が重要であるといったようなお話がございました。
    この中で、特に民生・家庭におけるベストミックスということで、民生部門の省エネが喫緊の課題である。それから、住宅についてはオイルショック以来断熱化中心の施策が取られてきましたが、今後は設備も含めた総合的な対策が必要である。それから、太陽光発電、燃料電池、ヒートポンプの三つの大きな技術のベストミックスを考えることが重要である。次のページに行っていただいて、SOFC燃料電池のお話もございました。
    それから、同じように家庭用に対して、地域・面におけるベストミックスということで、自宅のみならず地域や町を考えて面的にエネルギー利用の効率化を図る。その際には地域で将来プランを立て、その中にエネルギーを位置付けていくということも重要である。それから、自治体の代表の委員からも、自治体もCO 2削減に取り組んでいるが、いろいろなベストミックスを見いだしていくことが重要である。それから、企業・工場といった内側でエネルギーのミックスを考えている時代から、周辺のエリアまで含めたことを考える時代にというお話もございました。
    「インフラ整備」という大きな固まりとして、インフラの拡充、エネルギーセキュリティーの観点からも重要だし、企業のニーズも高まっているので、何らかの整備が必要であるというお話もございました。
    「新エネルギー」、特にバイオガスについて、位置付けて導入を図っていくことが重要であるというお話。
    最後は「広報・教育」という切り口で、エネルギー分野は市民の理解が大変重要ですと。そのための教育・広報の徹底が必要だというお話もございました。
    以上、ざっくりとですが、取りまとめさせていただきました。このようなご意見があったかと思います。
  • 柏木座長
    どうもありがとうございました。前回、全員の皆さまからご発言をいただきまして、約六つのキーワードでまとめていただきました。これから少しプレゼンテーションをしていただきまして、皆さんと知識を統一したいと思っております。最初に前田委員および特別に今日ご出席いただいております3名の有識者のプレゼンテーションをさせていただきます。冒頭まず前田委員から、ガス事業者のお立場で今後の取り組みの方向性につきましてお話をいただければと思っております。続きまして、今日はお三方とも技術系でいらっしゃいまして、最初が東京工業大学大学院の山崎教授から、燃料電池関連の技術開発ということでお願いします。続きまして、横浜国立大学大学院の太田教授から、「水素社会の展望」というところに視点を置いたお話。さらに独立行政法人産業技術総合研究所エネルギー技術研究部門の西尾グループ長からは、CCS技術に着目した上でお話をいただければと思っております。四つのプレゼンテーションがございますので、もちろんご質問等おありになると思いますが、全部のプレゼンテーションが終わってから、ご遠慮なくご質問等頂きたいと思っております。ご意見・ご議論等は四つのプレゼンの後にまとめて行いたいと思いますので、よろしくご協力お願いしたいと思います。
    それでは、前田委員からプレゼンテーションをお願いいたします。

(2)有識者からのプレゼンテーション

  • 前田委員
    1ページ目は表題ですが、2ページ目に第1回の議論における主な、シナリオに結び付きそうなご意見ということで適当に挙げさせていただきました。大雑把に言うと、第1点目が、天然ガスの普及そのものが低炭素社会の実現に最も現実的かつ有効なアプローチというような話がありました。それから、2点目がインフラ等の整備が課題、あるいは燃料電池等の高度利用、この辺は後から出てきますので、最終的にこのような形でまとめさせていただきました。
    これらを受けて3ページ目以降、低炭素社会に向けて都市ガス事業が目指すべき方向性とその道筋を少し示してみたいと思います。4ページ目の絵は横軸が年で縦はCO 2の排出量あるいは削減量ということになりますが、真ん中辺に青い帯のような所から五つの日本全体のCO 2削減に向けての道筋の側面というか、フェーズというか、ステップかもしれませんが、そういった五つのことを示してあります。
    それぞれ簡単に申し上げますと、1点目は、先ほどの議論にもありましたように、低炭素エネルギーである天然ガスの普及拡大そのものがCO 2の削減につながるのだという話。それはどういうことなのかというのは後でまた詳しく説明します。2点目は天然ガスを高度利用する。高効率のものを技術開発し、使っていくということで大きくCO 2削減になる。3点目は、再生可能エネルギーの最大導入と申し上げているのは、単に再生可能エネルギーを入れるということだけではなくて、それと天然ガスのシステムを組み合わせることによって、単独でやるよりはたくさん入るというようなことを申し上げております。4点目は、こうした幾つかの単独のそれぞれの技術をネットワーク的に有効利用することによってCO 2削減が可能だと。5点目は水素社会。そういった五つのポイントです。どんなことかというのは5ページ目以降に書いてあります。
    5ページ目は、まず単純に天然ガスを普及拡大するということで、二つ目の赤い枠の中に書いてありますように、天然ガスへの転換によって最低25%はCO 2が削減可能で、60とか70とか、時には80というような例もあるのではないかと思っています。これは、真ん中辺に丸いものが、単純に燃焼したときに石炭とか石油とか天然ガスがこのぐらいの割合でCO 2が出るというよく見る図ですが、例えば石油から天然ガスに替えると、単純に25%のCO 2削減になりますが、単純に替えるのではなくて、例えばガスだからできるという技術がありまして、例えば直接燃焼、排ガスを石油の場合にはやや不純物があるので使えないけれどもガスだと使えるというようなことを考えると、単純に燃焼するだけでもCO 2が半分になるというような事例はたくさんあります。そういったことで、単純に取り換えることだけでも大きな効果があるということです。これは量的に非常に大きいものですから、効果があるのではないかと思います。
    6ページ目は、高度利用ということを考えたときに、真ん中の丸三つを見ていただきますと、左側から産業用、業務用、家庭用となっていまして、青いものが電力で、その他エネルギーだったり用途だったりしますが、大雑把に言って電力以外のところは第一義的には熱を使うということですので、それぞれの需要面では必ず電力と熱が同時に使われているという例がほとんどです。したがって、こういうところにロスなくエネルギーを運べる、パイプライン等で100%そこに運び、コージェネ等のシステム利用によって高度利用が可能だという例です。
    その証左ですが、7ページ目にそれを補完するというようなことでもう1枚書いてあります。例えば固体高分子、PEFCなどが話題になっておりますが、SOFCとかその他もろもろのコージェネ版をやるというようなことで相当なCO 2削減が可能です。赤い四角の枠の3点目は、EUでもCHP指令というようなことで、Combined Heat and Powerですからコージェネレーションそのものですけれども、これを促進する指令が採択されておりまして、さまざまな普及促進策が導入されているという現状にあります。従って、非常に良いものだということです。
    8ページ目は再生可能エネルギーとの関係で、絵的に言うと右側の方に例えば下水処理施設でバイオによる天然ガスを作るというようなことがありますし、あるいは太陽光や風力等々、電力側というものもあります。いずれにしてもそれぞれは単独に使うとどうしても品質が一定しなかったり、時間的に安定しなかったりいろいろなことがあるわけで、これを天然ガスのシステムと組み合わせることによって、より多く再生可能エネルギーがネットワークに悪影響を与えない形で導入できるというところが特徴で、幾つかを組み合わせることによって平準化することによって、より多く再生可能エネルギーの規模を上げることができるという例です。
    9ページ目は、エネルギーのネットワーク的利用の促進という観点から言っているもので、これはさまざまな建物、例えば住戸であるとかオフィスビル等々ありますが、そういったものはそれぞれ需要が時間的にも内容的にも違うというようなことで、それらをうまく組み合わせることによって、いわゆるネットワーク的な利用を促進することで、CO 2を40%以上削減できるという例があります。そういったことでこの辺のところを整備してやっていくことが必要なのではないかと思います。
    最初に言ったものの最後の5点目ですが、これは水素の話で、水素はご存じのとおり、あまり異論がないのかもしれませんが、下の方の絵では、天然ガスから水素を取るというのはよく言われますが、天然ガスから取るのではなくて、一般的には水と天然ガスから水素を作るというのが普通で、例えばここではFCV(燃料電池自動車)用などに水素を作るステーションではそのようなことで大幅にCO 2削減に貢献できるといったような絵です。
    以上が五つの意義ということで、次のページ(11ページ)が、今申し上げたような五つの幾つかの方法に対して、これらはいずれも下の方にポチが四つ書いてあって、赤いところは「低炭素社会に向けた中長期シナリオの実現には、技術開発の役割が極めて大きい」ということで、技術開発がそれぞれの側面で求められているということです。それから、そのほかとしては、エネルギーセキュリティーの話や、あるいはインフラ整備等も課題ですが、今日はちょっとこの辺については触れません。
    12ページ目以降が技術開発に向けたロードマップです。13ページに先ほどの五つの取り組みの方向に対して技術開発課題例ということで幾つか出ております。例えば単純に天然ガスを普及拡大するということであれば、より高効率な工業炉やバーナーを開発する。あるいは高度利用ということでは、コージェネ関係で言うと、高効率のコージェネあるいは燃料電池はさまざまなものがありますが、この辺については後で出てくると思います。それから、再生可能エネルギー関係をできるだけ入れるような技術。それから、エネルギーのネットワーク利用を促進するようなコントロール関係の技術。あるいは水素に関する製造・輸送等。ほかに技術開発という観点だけで見ると、上の黄色い枠のところは環境関係、CO 2関連ということですが、下の方はエネルギーセキュリティーについても、非在来型の天然ガスの開発ということで上流側のメタンハイドレートその他、いろいろな技術開発が求められているのではないかと思います。
    14ページ目に、今申し上げたようなものを絵に描いたようなものになっておりますけれども、幾つかの代表的な事例を、それぞれ技術開発をしていくと同時に、右側にピンクのところで「スマートエネルギーネットワーク」という題名で書いてあります。これは個々のそれぞれの技術を総合して、全体として高度に利用する。そのことによって全体として排熱が削減され、CO 2が削減されるといった仕組みであろうと思います。
    これについては、例えば15ページに「スマートエネルギーネットワークの実現」ということで書いてありますが、これは主としてそれぞれを分散型のエネルギーとして、例えば右上の方に、戸建住宅のシステムの中でも発電をし、かつ排熱を利用して給湯するといった仕組みの非常に小さなネットワーク。その右下は一つの住棟単位でいろいろ融通し合ってという、それぞれのローカルなネットワークがありますが、これをもう少し左下のような建物あるいは工場における融通システムなどで広げていって、これをさらに全体を総合するといったような概念で、先ほど申し上げたような電気あるいは熱、都市ガス、それぞれのネットワークを全部最適にするという概念です。
    16ページ目には、これは単純に欧州の絵を持ってきただけですが、欧州においてもいわゆる電力系統の単体でのスマートグリッドという観点から、今や熱・電気・ガス・再生可能エネルギー全体を最適化するようなエネルギーネットワークを「スマートエネルギーネットワーク」と言っておりまして、そういった方向に概念が広がってきているのではないかと思います。
    17ページ目以降は、個別の技術開発例ですので、こんなことが開発・促進されるべきだということでたくさん載っております。17ページ目では、工業炉の中では酸素燃焼等をやれば、酸素燃焼の場合には窒素を余分に温める必要もなくて、高効率であることはもちろんですが、CO 2の回収等を考えたときに、これもまた非常に容易だというようなことで、こういった技術開発があります。
    18ページ目は、先ほどのコージェネ関係のいわゆる高度利用の範疇で、下の方の絵は規模と発電効率の関係を表しております。発電は、規模が大きければ大きいほど効率が高いという一般的な特性を持っておりますが、最近出てきている燃料電池関係というのは、小型でも大型の発電所なみの、あるいはそれ以上の効率を持つものが出てきていて、分散型のものを支える主力になりそうだということで、こういった技術開発が求められていると思います。
    19ページ目は、同じようにもう少し業務用のハイブリッド型の、ハイブリッドと申し上げているのは超高効率GHP(ガスエンジンヒートポンプ)と、それから世の中には排熱がいっぱいありますので、低温の排熱はほとんど捨てられています。こういったものをうまく組み合わせて全体としての効率を上げていくというハイブリッド型のものがあります。
    20ページ目は、再生可能エネルギーを最大に導入するためということで、まずは都市ガスで再生可能エネルギーを利用する方法としてバイオガスがございますが、バイオガスは一般的に二つの大きな方向、熱化学的に分解をしてメタンを生成するというステップ、もう一つは生物的にメタン資化菌等で転換をするというものです。両方とも部分的には出来上がっておりますが、これらを小規模・高効率にやるというような技術が重要なのではないかと思いますし、あるいは右側の絵のように、都市ガスと行ったり来たりというか、バイオガスを導管側に注入する、そのためには高効率に生成をする、不純物等を取り除くというような膜技術等々が必要なのではないか、そういう品質マネジメント技術が必要なのではないかと思います。
    21ページ目は、同じく再生可能エネルギーを使うということで、例えば左側の方は家庭用にベランダの所にソーラーの集熱器があり、この絵には載っていませんが、同時に太陽光発電の小さなものを付けて、その電気で全体をコントロールするというような仕組みが考えられます。あるいは右側のように太陽熱の集熱器を使って、その熱で冷凍機等を回すというようなことも考えられます。これは21ページです。
    22ページ目は、同じく分散型電源をうまく組み合わせることによって、単独でそれぞれの太陽光だとか風力だとかということの発電システムをうまく組み合わせることによって、系統電力への悪影響を極小化することによって、全体として導入量が増やせるというような仕組みの技術開発も必要なのではないかと思います。
    23ページ目は、先ほどのようなもろもろのネットワーク的に利用するということで、住戸と書いてある、四つずつ描いてあるものがありますが、各戸に発電機を設置して排熱を使うというレベル。それからその中も、停電時もブラックアウトした後のスタートが可能なようなBCPも考えたような仕組みが重要ですし、あるいは1個の発電機を共有する、あるいはフロア全体あるいは住棟全体でもう少し効率の高いコージェネを入れるといったようなことの技術開発も必要なのではないかと思います。
    24ページ目は、これをさらに広げていくということです。下の表で建物間、街区、地域冷暖房、地域冷暖房間ということで、非常に広く概念的にとらえると、地域冷暖房というのは都心部にもたくさんありますが、これらを地冷プラントあるいは清掃工場と連携することによって相互にもっとより効率の高い仕組みができるのではないかと思っております。こんなことをやろうとすると、その右側に文字で書いてありますように、ネットワーク的利用を図るためにそのインフラを整備するというのはもちろんですが、いろいろな促進策が、特に規制面等も含めて必要なのではないかと考えているところです。
    25ページ目は水素の話で、水素をどうやって作るかというのは、先ほど大きく二つと言いましたが、いろいろありますが、ここの例では右側にぐちゃぐちゃとバブルのような感じで描いてありますが、これは水、水蒸気と都市ガスを高温で分解して水素を生成し、水素だけを通すようなセラミック膜等で水素を取る。その後に残ったのはCO 2だけですので、CO 2を簡単に分離できる。そういった分離膜的なことが望まれるのではないかと思います。
    26ページ目は、大変ごちゃごちゃ描いてありますが、先ほどのような分離膜みたいなことでやると、CO 2をローカルに効率よく回収できるということがありまして、そういった回収をするような静脈側の導管も考えてもいいのではないかというようなことで、これらをCCTS(Carbon Capture, Transportation and Storage)と呼んで、こういった技術開発が望まれるところだと思います。
    27ページは、同じくそういうことで地層の中にCO 2をどうやって入れていくかということで、あるいは水素を将来的に液化して持ってくるというようなことも可能だと思いますので、その場合には現地でCO 2を中に入れて水素だけを液化して持ってくるということで、全くカーボンフリーなエネルギーということになろうかと思います。
    28ページ目は、非在来型の天然ガス開発の推進ということで、ご存じのメタンハイドレード等について、国産エネルギーというのは極めて重要だと思いますので、こういったものの技術開発が求められるところです。
    29ページ目以降は、今までは技術開発がこんなものだということを申し上げてきましたが、ちょうど今年はLNGが入ってから40年になる年で、ちょうど2050年というのはこれから40年ということもあって、「LNG NEXT 40」と勝手に名前をつけて、今後の政策パッケージのあり方について簡単に書いてございます。
    30ページ目は、「技術開発に関連する政策要素」として、まず1点目のポチは、技術開発を促進するというのは当然で、促進策を実施する。2点目は、その成果を導入促進する、普及拡大するという政策が必要であろうと。3点目はこれを、日本の場合には第1回目になりますけれども、地理的に利用可能な範囲が比較的限られているというようなこともあって、これの拡大に資するためのパイプラインのインフラ整備促進策、こういった全体を考える、政策パッケージの枠組みということをやってはどうかというのが下のピンクで書いてあるところです。
    それを図示化したのが31ページ目で、エネルギー政策全体としては技術開発および導入促進策ということで、例示的に書いてあるということになります。さらに32ページ目は、それを私の方で適当にこんなことかなというものを幾つか埋めてみると、こういう促進策等も考えられるのではないかと考えているものです。これについてはここの研究会の中でおいおいときちっと詰めて最終結論を出していくべきものと考えているところです。
    ご清聴ありがとうございました。
  • 柏木座長
    どうもありがとうございました。大変膨大な資料を非常に要領よくご説明いただきましてありがとうございました。続きまして、山崎教授からお願いします。

(2)有識者からのプレゼンテーション

  • 山崎教授
    東工大の山崎でございます。「燃料電池技術の展望-天然ガス燃料を中心として-」ということで15分間お話をさせていただきます。資料が、お手元に最初に配られた資料は若干前に作ったもので、その後バージョンアップしまして、日本語のタイトルを中にたくさん入れて見やすくなっておりますので、そちらをご覧になっていただければと思います。この資料の順番で説明させていただきます。
    低炭素社会の実現に対して燃料電池はどのように貢献できるのか。燃料電池はどこまで開発されたのか。燃料電池はいつごろから使い始められるのか。これはエネルギー政策に依存するということですが、こういうことをバックにお話をしようというわけです。必要なデータをご提供しようということです。
    燃料電池というのは、よく太陽電池と二次電池、蓄電池と比較されますが、太陽電池のようにエネルギーを生産することはできません。しかし、非常に使い勝手のよいエネルギー変換装置であるということができるわけです。高高率な発電装置であって、環境に優しい発電装置であって、電力から水素を作ることができる。それから現在、先ほども出てきましたけれども、これは高温型の燃料電池と低温型の燃料電池があります。
    これは、あらためてご説明する必要もないかもしれませんが、エネルギーの消費サイドと供給サイドをつなぐエネルギーの媒体の種類です。電力、水素、天然ガス、石油、バイオ燃料、いわゆる液体系です。燃料電池はこの最後の三つのいずれを使っても発電できます。蓄電は、燃料電池はまた逆に水の電解を行って水素を作ることもできます。なかなか難しいのですけれども、それもできます。それで、これを使って余剰電力から水を電解して水素を作って水素の供給源とする。現在一番水素の供給源のメーンは天然ガスからの改質です。これが燃料電池に関係のあるところというわけです。
    燃料電池は符丁がありまして、MCFCやDMFCなど四つのアルファベットで言われることもありますので、ご存じの方はもう必要ないと思いますが、一応申し上げますと、溶融炭酸塩はMCFCといいまして、大型のものに使う予定で開発がされています。リン酸型PAFC、これも割合と大型・中型のものです。このほかにSOFC(固体酸化物型)、これは800℃、要するに真っ赤の状態で発電しているという。PEFCは通常の80℃ぐらいで動く。家庭用コージェネレーションは現在PEFCが導入にかかっているということで、SOFCが実証を始めたという状況です。車はPEFCで、SOFCもこの中の電源のみを使う。エアコンだとか、明かりだとか、そういうものだけに使う。これを「APU」と申しますけれども、それ用の電源として使おうというもの。DMFCはメタノールから直接発電できるのですが、スクーター程度のところになっております。
    燃料電池発電はなぜ高効率かというと、いろいろな理由があるのですが、一番大きいのが、ここに述べました火力発電と比較してみますと、火力発電は町なかに造ることができませんので、熱エネルギーを有効に使えないわけです。これを海水の中に捨てています。燃料電池は小型にしても効率が下がらないので、家庭用コージェネのように家の中に入れることができて、熱エネルギーも有効に使える。これでほぼ、ほぼと言いますか、非常に高いエネルギー効率が得られるわけです。ほぼと言いましたのは、電気エネルギーの変換はタービンの大型の火力発電と燃料電池とそれほど大きく違いません。大きく違ってくるのは、この熱エネルギーをどれだけ有効に使えるかということにかかってくるわけです。
    現在、燃料電池は開発途上にあります。性能、信頼性、耐久性、コストダウン。特にコストダウンが重要なのですが、これはハイペースで改善されておりますけれども、大量に普及するためには未解決な問題が存在します。最近の問題は、やはり非常にいろいろな場合に使われるので、いろいろな性能が求められて、それが用途ごとに違ってきます。例えば車は非常にパワーが大きな燃料電池が必要で、例えば白金の量も非常に大量に使わなければならない。家庭用コージェネではそんなに使わない。そうすると白金の問題というのも重要度が違ってくるというような問題があります。
    もう一つ、燃料電池は既存の装置と1対1に対応しない場合が多いです。例えばエンジンを一つ取ってみても、エンジンは化石燃料を入れて回転力を出すわけですが、これを、燃料電池を使う場合には、燃料電池は基本的に水素でないと動きませんので、まず高純度の水素を発生する装置が必要。これを改質器と呼ばせていただきますと、これが必要で、あと電気だけあってもモーターがないと回らないということで、こういう三つのものとエンジンが1対1になっているわけですね。こういう連携エネルギーというのは非常に汎用性があって、それが、これとこれを取り換えればいいというわけにはいきませんので、導入に際してはシステムを変えなければならない。柏木先生のいわれる、エネルギーシステムのグランドデザインを考える必要があるというわけです。
    それで、よく混乱するところなのですけれども、燃料電池と二次電池というのは競合するものではなく、相補的なものです。電源として利用する場合、燃料電池は非常に大容量化が可能です。大出力ではなく大容量化ですね。それから、負荷変動への追従があまりよくない。これは実際に燃料を送らなければならないのでそういうことが起きるわけです。それから長期の連続運転は可能です。
    一方、二次電池は大容量化しようとすると、安全性が問題になります。これは、電池は酸化剤と還元剤が一つの入れ物の中に非常に距離を近くして巻き込んで入っているわけですね。これはどんどん大きくしていきますと非常に危険なものになります。これはどうやって安全性を確保するかということが問題になる。燃料電池の場合は、燃料はタンクで外側にありますから、こういう問題はないわけです。
    負荷変動は非常に素早く対応します。負荷をつなぐだけで電力が出るというのは、これは驚くべきことで、燃料電池は絶対にこういうふうにはいきません。つなぐと同時に燃料を供給しないとうまくいかない。それで負荷変動への追従は非常に遅くて、動かそうとするときには非常に大変な装置が必要になります。長期の連続運転は、二次電池はできない。充電に時間がかかる。こういうことで、これは必ず組み合わせないといけないわけです。事実、二次電池がないと燃料電池はスタートできません。
    電力貯蔵として見た場合、二次電池はこれも簡単で、充電すればいいので、ところが先ほど申し上げましたように大量の電力貯蔵には向かないということと、まだ寿命が問題です。二次電池はフルに放電して充電してということを繰り返すと、やはりなかなか寿命が延びない。これを延ばすのはなかなか難しいという点があります。
    燃料電池の方は、こういう問題は解決は可能なのですけれども、実際にはかなり複雑な装置になります。水を電解して蓄えてそれを使うということです。それから、小型の水の電解装置というのはなかなか難しい。これはもう太田先生が権威ですが、高温でないと小型で電流密度高く水を分解することができないので、なかなかここのところが技術的な問題かなというわけです。
    高純度の水素があると、燃料電池は非常に高出力で発電できます。その水素をどこから持ってくるのですかということですが、現在のところ一番大量に供給できるのが天然ガスの改質ということになります。ほか、太陽光、風力も今上がっておりますけれども、やはり天然ガスからの供給が非常に多いわけです。
    それで、改質に関して少しご説明したいと思います。燃料電池の説明はたくさんあるのですけれども、意外にこの改質、すなわち燃料プロセッサーの話がございませんので、ちょっとお話ししておこうと思います。これは、もし普通のブタンガス、ご家庭で使う液体のボンベに入ったもの、液体になってカートリッジに入ったものですけれども、これで固体高分子型の燃料電池を動かそうとした場合には、まず水蒸気と混ぜて550℃以上、高い温度で改質反応を起こさせて水素を作りますけれども、この中には一酸化炭素がたくさん入っております。これを2段構えでどんどん落として、最終的には、これは50ppm以下ですが、今はもう10ppm以下かもっと低いくらいで供給するようなシステムを前に入れないといけないわけですね。
    実際の家庭用のコージェネの場合は、これが入っている分けではないのですけれども、例えばこのような装置が中に入っていて、上が改質で、改質の部分というのは吸熱反応なので、ここで一部を燃して熱を供給してやらなければいけない。この部分だけSOFCは装置の温度が高いので、中で発生する無駄な熱量を使って改質ができるという点で効率が上がるわけです。これは、PEFCの場合はこの後1段、2段とこのように温度を下げながら反応容器を通して出てくるので、これの細かなコントロールが大変であるということがお分かりいただけると思います。これはエネファームの家庭用燃料電池の図ですが、ここは貯湯です。お湯をためるところで、この中に実は燃料電池とこの改質器が二つ入っているわけです。かなり大きな容積を占めて裏には入っているわけです。
    燃料電池の特徴をもう一度ざっとおさらいしますと、エネルギー変換効率は高く、環境に優しい。この中でCO 2が窒素と分離されているということがございます。これは、燃料電池というのは必ず膜がありまして、空気から酸素が入ってくる。窒素が中に入らないわけです。CO 2側に窒素が混ざってこない。だから燃料電池発電をやると、高純度の窒素がそのまま出てくることになります。これはCO 2の除去の際に非常に有利な性質です。これは環境に優しい。小型にしてもエネルギー変換効率が低下しない。静かである。原理的に長寿命であって、滑らかな起動が可能である。
    問題点としては、パワー密度(出力密度)が内燃機関に比べて低い。出力当たりのコストが高い。現時点ではどうしてもコストが高いわけです。あとは、先ほどの燃料プロセッサーが必要で、開発のために必要ないろいろな技術がまだ不足しております。特に燃料電池というのは化学の知識が必要で、これが非常にトライアル・アンド・エラーでたくさんテストをしながら知識を積み上げなければなりませんので、これがまだ不足しているというわけです。
    今、世界で動いている燃料電池ということで挙げたのですが、あまりポピュラーではないので高温型の燃料電池の話をちょっとしようと思いますが、燃料電池はたくさんありますけれども、固体酸化物型SOFCと低温型PEFCの二つがあります。SOFCは温度は高いので高温の排ガスが利用できます。先ほどのそれを使った内部改質が可能です。水素以外の燃料が効率よく使えるという点があります。それから白金を使う触媒が要りません。ニッケルで十分なのです。これも割合と大きな要素です。それから長寿命、ただし熱サイクルがない場合には長寿命だということです。それから被毒ですね。固体高分子型は硫黄(サルファー)の被毒が大きいのですけれども、SOFCも受けるのですが、それほどは被毒はないと。あとは水管理が必要ないと。
    問題点は、高温作動するために空気をあらかじめ保温・予熱する必要があります。それから本体も保温しなければなりません。これでどうしても重くなるわけですね。それからセラミックス材料で作られていますので、温度勾配による応力で壊れることがあるわけです。割れる必要がある。そのために熱サイクルの寿命がなかなか延びないと。それから急速起動も難しい。ガスシールもなかなか難しいという点があります。あとは材料が比較的高価であるということですが、これは解決可能であると考えております。
    最後に、東工大で今、柏木先生をヘッドとしたプロジェクトでSOFCとPEFC、高温型燃料電池と低温型燃料電池を組み合わせて水素を作ろうではないかという実証システムをやっております。これは都市ガスから電力、水素、熱の三つを同時に高効率で取り出すということです。これはガスが入りまして、こちらはSOFC本体の燃料に使います。余分な熱が出ますから、それを使って一部の都市ガスを改質しまして、水素を純化しましてためると。その一部をPEFC(低温型燃料電池)に持っていって使うと。これで水素は、ここの熱は、熱を出すよりも水素を出そうと、これは合言葉になっているのですけれども、非常に効率よく水素に変換できるので、新しいシステムとして期待ができるのではないかと思っております。
    以上、まとめますと、高効率であって低環境負荷型の発電の燃料電池は、次第に社会に浸透していくと考えられます。しかし、なかなか問題が多く、全員参加型の政策が非常に望まれます。燃料電池は水電解によって水素生成装置としても使えますが、供用できるものはまだ開発途上です。さらに、燃料電池を用いた天然ガスによる発電ではCO 2が分離されて排出される利点があります。それから、水素が燃料電池にとって非常に好ましい燃料、つまり水素であれば燃料電池は非常によく動きます。このために、水素を高濃度で含んでいる天然ガスは燃料電池の普及とともに非常に需要が高まるのではないかと思っております。さらに高温型・低温型の燃料電池を組み合わせることによって、多様化が期待されます。最後に、開発をどんどんやっているわけですけれども、技術的な進歩が非常に材料開発に依存しております。そのために、開発が滑らかに進むわけではなくて、非常にブレークスルーがあってぼんと上がって、またぼんと上がるという状況で開発が進んでいるということです。以上です。
  • 柏木座長
    山崎先生、ありがとうございました。研究者として、課題を極めて明確にしていただきながら、燃料電池の最新の技術について、展望を含めてプレゼンテーションをいただきました。続きまして、太田教授からプレゼンテーションをお願いいたします。
  • 太田教授
    資料6に従ってご説明させていただきたいと思います。私の課せられた課題は、水素エネルギー社会に向けてどう行くのだ、特に都市ガスがどの程度貢献できるのだということを明確にしろということです。あらかじめお断りしておきますが、私は再生可能エネルギーにできるだけ早く行くべきだというような意識は持っています。ただ、現実を眺めたとき、なかなかそうはいかないのでというようなところを中心にしてお話をさせていただきたいと思っています。
    まず、なぜ水素エネルギーか。皆さん、水素はクリーンだから使うのだというようなことをよくおっしゃっているのですけれども、私の考えていることをちょっと簡単にご説明させていただきます。めくっていただきまして、「物質循環を考えた地球環境」というような絵が描いてあります。これは必ずしもエネルギー物質だけには限らないのですが、特にエネルギーで見たときに、エネルギーキャリアなるものは完全に循環をしていないとそのうち破綻が来ます。今のCO 2がたまってきて地球環境問題が起こっているというのはその一例だと思います。
    それで、「閉鎖系」などという言葉はちょっと別にしまして、究極の持続型社会を考えたときには、エネルギー物質も完全にサイクルしていなければならないだろうという認識を持ってこういう絵を描いております。もちろん熱やエントロピーが出てくるのですけれども、これは地球のボーダーから捨てられて、ちょっと数字が書いてありますが、かなり大きな数字なので、技術さえ進めば、物質さえうまく循環してくれれば、今から経済規模が、地球の規模は多分一けたまで上がってもいけるのではないかと勝手に思っております。
    次のページに循環量が書いてありますが、これは実際地球レベルで考えたときに炭素はどれぐらい循環しているのか、水がどれぐらい循環しているのか、この根底は、炭素は化石燃料のサイクルを考えておりますし、水は水素エネルギーを考えております。ここに全量と大気中の存在量、大気からの年間移動量、大気中の平均滞留期間が書いてあります。これは地球全体の話で、大文字のTと小文字のtが書いてありますが、炭素の「20Tt」と書いてあるのは、これはテラトンのつもりです。ですから、かなり大きな数字だと思っていただいてよろしいと思います。
    炭素と水を全体量で比較しますと、テラトンの単位で比べても大体7万倍ぐらい水が存在しています。これは海に存在している量以上に大きいということになります。それから大気中の存在量も水の方がかなり濃度が高いものですから、かなり多くあります。これはギガトンの単位で書いてあります。それから年間の移動量ですね。これは炭素が157Gtですが、水の場合は、こういう数字を書いていいのか、52万という数字を言っていいのか分かりませんが、非常に大きな水だと考えています。
    もう一つわれわれが注目していますのは、大気中の平均滞留期間です。炭素はCO 2になって出た後、固定されるのは炭酸同化作用で植物が吸収するという作用がありまして、木はなかなか成長がそんなにどんどん行かないわけです。その辺のところを数えています。一方、水はある程度平均的に言うと10日間ぐらいで地球を循環している。海の中の動きは若干違うのですけれども、大気中ですとそういうことになります。トータルしますと、炭素と水を比較しますと、水の方が莫大に大きな量が速いスピードで動いている。これに載せてやれば環境はもっとよくなるのではないかというのが根本の考えになります。
    次のページに「化石エネルギーの環境負荷係数」と書いてありますが、これはエネルギーを使用することによって環境に与える影響はどうなのだということを少し定量的に見たもので、炭素の場合は分子の方が「エネルギー起源の炭素放出量」と書いてあります。要するにこれは化石燃料を使って出てくるCO 2の中の炭素換算をしております。それから、「自然の炭素放出量」というのは、なかなか算定が難しいのですが、私はここで森林の成長速度をベースにしたようなものを少し考えていますが、実際には炭素の循環量です。これで計算してやりますと、細かい計算は抜きにして、地球全体で環境負荷係数が0.036というような数字になります。日本ですと0.86です。0.036がいいか悪いかという判断ですが、現在これで地球の温暖化が起こっていると考えますと、われわれはこの負荷係数を0.036以下にしなければいけないでしょう。少なくともこういう数字が一つの目標になるだろうと私は判断しております。
    同じようなことを水素エネルギーについてやってやります。次のページです。水素エネルギーはもちろんどこもローカルにしか今存在しませんので、ないわけですが、すべてのエネルギーが水素を経由して行ったと仮定しますと計算ができます。計算してやります。そうしますと、この場合は水素エネルギー、つまり全エネルギーが水素を経由していったと。これは分子ですね。分母が水の蒸発散量。こういったものを取ります。それで計算してやりますと、地球全体で言いますと、この水素による環境負荷係数は1万分の1、かなり小さな数字になります。先ほどの0.036に比べると随分小さいわけですから、地球全体でいったら、水素エネルギーシステムが実現できれば、これは環境はずっと優しくなるはずだということがここから推定できます。
    日本の場合も、先ほど0.86というかなり大きな数字だったのですけれども、水素エネルギーにしてやりますと0.006ですからかなり優しいものになるのではないかなという推定がここはつきます。
    1枚めくっていただいて、これはエネルギー消費密度と換算した場合、次のページが横軸にエネルギー消費密度を取って縦軸に環境負荷係数を書いてあります。基本的にエネルギー消費密度が高ければ高いほど環境に対してはよくないだろうということはお分かりいただけると思うのですが、炭素と水素、青い線とだいだい色の線ですか、2本で書いてあります。おおよそそれ二つが平行していますね。だから、エネルギー消費密度が上がれば上がるほど環境にはいずれも二桁ぐらい水素の方が下の数字になるわけですが、エネルギー消費密度に対する依存性はほぼ同じです。途中に0.036という数字が緑で書いてありますが、この辺が一つの開発の目標として、これ以上下げるということをやはりわれわれは考えておかないと、いずれ人類は破綻するかもしれないというような数字で書いております。
    1枚めくっていただきまして、今のまとめです。各地球、日本、それから東京都区部ですね。これを私が計算しますと、炭素でいったら3万5000になりまして、これは多ければ多いほどいいのではなくて多ければ悪いので、東京23区は人の住む所ではないということが数字で出てきているのかもしれません。これも水素にしてやると0.12ですから、もう少し何か努力しないと、省エネをしないといけないかもしれないということです。いずれにしろ、どういう環境においても水循環に基づく水素エネルギーシステムは環境保存に格段に優れているということがいえると思います。
    理想的には、地球全体で見たときに、水をベースに考えて、これからできれば再生可能エネルギーを使って、水素を作って使う。こういうシステムが実現できれば、これこそ持続型社会が実現する基になるだろうと思います。
    次のページに「水素エネルギーシステム」という絵が描いてあります。これは、水素は実は天然にはほとんど存在しません。ごくわずかの水素が天然に出る井戸がありますが、ほとんど0ですから、水素は作らなければいけない。電気も同じです。作らなければいけないということは二次エネルギーになります。それから、電気も同じく天然に雷はあるかもしれませんが、使えないということで、電気エネルギー、水素エネルギー、これが並立するようなものがやはり理想的な社会かと思っております。
    その上に書いてありますのが一次エネルギーで、化石燃料であり、核エネルギーであり、再生可能エネルギーで、この赤線で再生可能エネルギーから引いていますが、これが究極のわれわれの目標にしなければいけないことだと思います。ただ、そう簡単にはそれにはいかないので、いろいろなエネルギーから書いています。
    それから、電気エネルギーと水素エネルギーが並立してあるエネルギー社会の中では、お互いの変換がスムーズにいかないといけないということで、技術的に、先ほど山崎先生のお話にあった燃料電池、それから水電解といった両方の技術をアップしていかなければいけない。今、日本では燃料電池に関してはかなり精力的に進められております。もう一方の水電解については、いろいろ技術点もあるのですが、限られた範囲でしか行われていないというのが現状だと思います。電気と水素があれば、今のエネルギーシステムをあまり根本的に変えなくても、もちろんインフラ投資は要るのですが、行くだろうという予想をしています。
    次のページです。では、一体どういった一次エネルギーを使うべきかということで、これはやはりすべて一長一短といいましょうか、これは完璧なものはないと思っております。もうこれは皆さんご存じのとおりだと思いますので、逐一説明いたしませんが、化石燃料、できたらこれでいきたいのですけれども、やはり有限です。それで、CO 2は必ず出てきます。この辺の中でどのように生きていくかということが大事ですが、この後お話にありますCCSが今後どこまで進められるか。これはやはりエネルギーの光化学処理ということを含めますとかなり問題だと思っております。
    それから原子力のエネルギー。これはCO 2は出なくていいのですが、最終的にバックエンドがどうなるのだということについては、これは後世の人に託しているわけですから、必ずしもこれだけで行っていいという話ではないと思います。
    それから再生可能エネルギー。私も申し上げましたけれども、残念ながら非常に希薄であり、偏在しているということがあると思います。後で一例ご紹介したいと思いますけれども、いずれに頼ってもなかなか難しい面もあろうかと思います。これはまだこの場でまたご議論いただければいいと思います。
    いずれの場合も、水素はどのエネルギーからも作れるという話をしてきました。まずは、どのエネルギーでもいいのですけれども、究極の目標である水、H 2OからH 2をどうやって作るのだということが幾つかの技術であります。現在商業的ないしは工業的にできているものは、アルカリの水電解と固体高分子を使った水電解。これについてはお金を出せば買えるシステムがあります。ただしそんなに安いものではないのですが、特にアルカリはかなり大型のもの、高高率なものが今世界中で、特にここ1~2年技術が進んできているというのが現状だと思います。
    そのほかに、熱化学法、直接熱分解、まだまだこれはこれから研究が要るところだろうと思っております。それから光の分解は日本が得意とするのですが、まだまだ太陽光の利用ということの効率を考えますと、太陽電池で水電解をした方が効率が高いというのが現状かと思っております。
    しかし、究極のところは水電解で水から水素を作らなければいけないのですが、その前に現状では、その次のページをめくっていただきますと、化石燃料からの水素ということで、先ほど前田委員ならびに山崎先生からもお話がございましたが、現状の水素は、取りあえずは化石燃料をもって作るということが、これはもう致し方ないと思っております。その中でも、ここに例えばメタンをベースに書いてありますけれども、天然ガスを利用した水素製造というものが現状では一番安い。それからかなりのインフラも整っているということになろうと思います。
    そこで、水蒸気改質と部分酸化と二つ書いてありますが、普通にエネルギー効率を考えたときには、吸熱反応である水蒸気の改質ですね。メタンと水を加えて水素が4モルできます。これは最初のメタンが含んでいるのは2モルといいますか、Hが4ですけれども、最終的にHが八つできるということで、かなり得をします。しかし、これにはちょっとみそがありまして、熱をほかから供給してやらないとここまでは取れません。しかし、その辺が一つ、技術の要るところだろうと思います。
    それから、石炭のガス化と書いてありますが、これは昔の都市ガスですね。私の小さいころは確かこの石炭ガスでやっていたと思います。ここに現状、その当時ですら水素をそれなりに使っていたという事実があります。これは多分、都市ガス業界の方はご経験が十分おありになるだろうと思いまして、この辺の技術が生かせるかというのが水素エネルギー社会との結び付きの一つのポイントになるのではないかと思っております。
    化石燃料はいずれの化石燃料でもCO 2は出てくるのですが、カーボンの量が多ければ多いほど困難になる。これはCO 2をそれだけ取らなければいけないことも含めて、それから温度の条件、反応条件、いろいろなことを考えますと、やはり一番単純なものがいい。これはメタンであり、天然ガスであるというところが、水素を作るという観点に立つと非常に有利ではないかなと自分は思っております。
    有機廃棄物からの水素に関しましては、これは先ほどもご説明がございましたが、熱分解とか水素発生バクテリアと、これは、熱分解の方はそれなりのことはできると思いますが、水素発生については、理想的ですけれどもまだまだスピードの問題その他があろうかと思います。
    次のページ、これも先ほど前田委員からご説明があったので飛ばしてもいいのかもしれませんが、一つの都市ガスを使った水素製造で、非常に効率よくできるという一例で、私として注目している技術です。これはパラジウムという貴金属を使いますので、値段の方は問題かもしれませんが、非常に効率よく水素が分離されて出てきます。水素が分離されればCO 2も別途出てくるわけで、CO 2のCCSに対してもいいし、高純度の水素を作るためにもいい、相互効率もかなり高いということで、これは現実にもうプラントが、多分METIないしはNEDOのお金で開発が進んでおりまして、かなりいいものができていると認識しております。残念ながらちょっとコストが高いのではないかと思いますが、もう少し膜の改良が進めば一段とよくなるのではないかなと推測しておりまして、当面のこのような技術が一段進むということが重要なことではないかと思っております。
    水素の輸送と貯蔵で、本来水素というのは単純で気体です。ですから、この気体のハンドリング、エネルギー源としての気体のハンドリングは、やはりこれは都市ガスないしはガス業界の方が一番お持ちのところだろうと思います。ですから、いろいろなことを含めて都市ガスをうまく生かせるか。特にパイプラインですね。これはまだ日本はあまり経験していません。特に民生用のレベルでほとんどありませんので、そのパイプライン輸送、低圧でいいか高圧でいいか、この辺も問題ですが、その辺が、水素エネルギー社会に向かって都市ガスの技術が今後生かされていくべきところだろうと思っております。
    次のページは「水素エネルギー社会に向けて」ということで、現在はいろいろな水素を試しているというのがわが国の状態だろうと思います。当面、私はやはり天然ガスをベースにしたネットワークの下での水素が一番安価でできていくのではないかと思います。一方では液体燃料がありますから、それと比較してどうだということをやらなければいけないと思いますけれども、技術の簡単さから言ったら天然ガスかなと思っております。ですから、石油、石炭の改質というところはかっこを付けているのですが、できればこれを飛ばして再生可能エネルギーに持っていきたいというのが私の希望です。
    最後に少しだけ、では再生可能エネルギーではないではないかと思われるかもしれないのですけれども、一例だけ、パタゴニア風力。世界で今、私の調べた範囲でも、最近5カ所ぐらい世界中回っているのですけれども、パタゴニアが一番面白いと思っております。左側の地図はお分かりにならないでしょうが、その地図の一番下の方がマゼラン海峡、南アメリカです。その近傍はかなり風力がいいということで、われわれは非常に注目しております。
    次のページに、計算だけですけれども調べた結果で、風力エネルギーが年間9.7兆kWh、あまりお分かりにならないでしょうけれども、日本の総発電量のおよそ10倍取れる。風車を70万台建てればそれぐらいできますというような数字です。それで水素を作ってやりますと、今の技術でも燃料電池車12億台分の車に載せられるということですから、世界の車はこれでOKだと。ただ、机上の計算かもしれません。現在、われわれ水素エネルギー協会がちょうど風速計をそこに付けておりまして、日本製の風速計でその風況を精査しているという段階ですが、かなり風況がいいという事実だけは確実に申し上げることができると思います。
    簡単なロードマップを書いてありますが、最初は向こうのネットワークに入れるのですが、2030年ぐらいからならば水電解で水素を作って日本へ持ってこられるのではないかというようなことを希望しております。こうやれば再生可能エネルギーからの水素が使えますよという一例で申し上げました。以上です。
  • 柏木座長
    究極の水素社会、バックキャストとして都市ガスとの関連性、ありがとうございます。最後になりましたが、西尾グループ長からよろしくお願いいたします。
  • 西尾グループ長
    産業技術総合研究所エネルギー社会システムグループの西尾でございます。本日は「CCS技術の動向とガス事業」ということで、もうここまで水素や燃料電池というファクターでいろいろと期待をされているということで、一部名前が挙がっていましたところにつきまして、多少ご説明をさせていただきたいと思います。
    私自身はエネルギー社会システムを一応念頭に置いたグループのグループリーダーということで、将来的なエネルギーシステムのあり方と、技術的なものあるいは政策的なものも含めて検討するということを目指したグループを今運営しております。その中で再生可能エネルギーをどう使っていくか、その中で水素をどういう媒体として使うか、燃料電池を使ったうまいシステムはできないかといった、エネルギーネットワーク的な研究と、私自身、もう20年来このCCS、当時まだ「CCS」と言わず「CO 2の固定」と言っていたような時代からそちらの方に携わっておりまして、その関係もありまして今日ご説明させていただく機会を頂いたというふうに認識しています。
    1枚めくっていただきまして、今日お話をする、まずここまでにいろいろと出てきていますので、もう大体皆さんの頭の中でイメージができているのかなと思いつつも、CCSとは何か、二酸化炭素の回収・貯留というものについてまず概要をご説明させていただきます。その後に、なぜCCSが必要なのか、なぜこういう議論になってきたのかということを、低炭素社会に向けた現状とターゲットということで、これもちょうど私が若干関与しましたIPCCの報告、あるいはIEAからのデータをお示ししながら、どういったものなのかということがお示しできればいいと思っております。さらには、そのCCSを将来展開するに当たって、このガス事業とどういう形で組み合わされていくのかということの一部のご提案ができるといいかなと思っております。
    1枚めくっていただきまして、CCSとは何か。「CCS」という呼び方が定着し始めたのは2005年の9月にIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が初めて単一の技術を取り扱った特別報告書というものを出しました。それがこの“Special Report on Carbon Dioxide Capture and Storage”、この“Carbon Dioxide Capture and Storage”のCCSという三つを頭文字として取り上げて呼ぶようになったというところに端を発しています。それ以降、CCSということで、二酸化炭素の回収をして貯留をするというそのプロセスを示すようになったという経緯があります。
    どういったものかといいますと、基本的には化石資源を、一つこれがキーワードになりますが、大量に消費するプロセスからCO 2を分離・回収する。この大量にというところがちょっとみそになっています。さらに分離・回収したCO 2を大気に出さない。大気に出さないとなりますと、例えば地中、土の中に埋めるか海の中に溶かす、あるいは底に溜めておく、荒唐無稽に言ってしまえば宇宙空間に飛ばしてしまうというようなことが考えられるわけですけれども、ここでは現状として現実味のあるところで、私が最初に研究を始めたときには海を対象にした技術ができないか、さらには地中に埋め戻すという考え方もあってもいいのではないかということで議論が進んできたという経緯がございます。
    次のページが、そのIPCCの特別報告書にございます政策決定者向け要約のSPM(Summary for Policy Maker)の図1の仮訳です。赤い字でいろいろ書いてありますが、左上の方に、化石資源であったり、バイオマスといったものも含まれていますが、フューエル(燃料)があります。それが右側の破線で囲まれているプロセスを経由してCO 2が発生する。そのCO 2を矢印の方向でどこかに一時貯蔵しまして、そこから大気に出さないための方策を取る。一番右側が海洋に送り込む。真ん中にありますのがCO 2を地中に埋める。工業的に利用する、あるいは鉱物で固定するといったシステムも検討されています。
    CO 2を例えば海洋に(溜める)という概念自身は1980年代半ばごろから提案をされていまして、日本でも1990年になる直前、ちょうど昭和の最後のころから検討を始めておりまして、1997年には海洋隔離に関するプロジェクト、それから2000年には地中貯留に関するプロジェクトが、当時の工業技術院、ニューサンシャイン計画の中で推進をされてきました。
    地中貯留に関しましては、皆さまご存じかもしれませんが、新潟県長岡で約1万トンのCO 2を1000mほどの地中に埋めて、その挙動を観測するといったような実証をしております。先ほど申し上げた2005年のスペシャルレポート(特別報告書)ができて、それ以降、研究開発のフェーズから実証のフェーズへとだんだん移行しつつあるということで、石井委員がいらっしゃいますが、CCS調査株式会社が昨年発足いたしまして、実証に向けた検討が今進められているというふうになっております。
    次に、地中貯留の技術オプションをお示ししてあります。地中貯留のオプションの概要で、1番が枯渇した石油、ガス田。これは恐らくもともと、「掘り出してきた所に返せばいいではないか」というところで出てきた発想だと思います。2番目と4番目は石油・ガスの増進回収ということで、CO 2を利用しつつ資源も回収しようという一石二鳥のオプションです。これは経済的にもペイする可能性もあるということで、今、恐らく世界的には中心的に進められている議論の対象だと思います。
    3番目の深部地下塩水層、塩水帯水層というところで、これは先ほど申し上げた、例えば枯渇した石油、ガス田を使っても、実際に燃やしてしまえば何倍かの量のCO 2が出てくる。それを全量入れていくといったことを考えると、やはりちょっと足りないのではないかという議論もありますし、実際にアクセスできるところにそういったものがない(恐らく日本はそういう対象の一つだと思いますけれども、)ということもありますので、海域・陸域と書いてありますが、大体1000m以上深い所をターゲットにして、水資源としても使わない所、そこでCO 2を貯留するというオプションが非常に重要視されているところです。
    次のページに、それをもう一度CO 2の排出源から貯留・隔離に至る全体のシステムをお示ししております。一番上に排出源。左から発電所、セメント、鉄鋼、化学工業とございます。CO 2の排出量から申し上げますと、世界では発電所から出ているCO 2の量が約100億トンを超えます。セメントが実はその一けた下になってしまいます。約10億トンを若干切るぐらいだと思います。鉄鋼、化学工業が数億トンというオーダーですので、基本的にこういった大量に排出されるところということでは発電所に適応するというのが最初のターゲットとしては必要だという認識がもともとあったということはあります。ですが、CO 2排出ガスの濃度自身はそれほど高くないので、対応するのが非常に大変である。対応しやすいのはCO 2の濃度の高いところであるということで、右側の化学工業であったり、そういったところの方が恐らく対処はしやすいというところがあります。
    分離・回収法には、左から吸収法、吸収-膜ハイブリッド、膜分離、吸着と幾つかの手法が書いてございます。現状ではその実証に向けて一番注視をされているのは左側の吸収法、これが工業的にマチュアであるということで、これを適用するということが中心になっています。輸送はパイプライン、船舶、車両。貯留・隔離場所としては地中、海洋ということで、こういったシステムが組まれるであろうということになります。
    めくっていただいて、ではなぜCCSが必要なのかということで、IPCCというちょっと別のところからの議論の話をさせていただきます。これは一昨年(2007年)に出た報告書ですけれども、地球規模の温暖化というものはもう生じている。それはもう人間が化石資源を燃やしていることによるのがほとんどである。これをほぼ断定したというところで、もう次のステップに行こうではないかということを提示しました。そこが一つの起点ともなって、もともとUNFCCC(気候変動枠組条約)の中で求めている「気候変動に大きな影響を与えないレベルでの温室効果ガス(濃度)の安定化」に対し、この安定化するのにどうするのかというところが、議論が本格化してきたというところです。
    私自身は「温暖化」と言ってしまうのは非常に嫌いで、実際この報告書の中では、CO 2が大気中に増えることによって海洋の表層が酸性化をする。それが例えば「炭酸カルシウムの骨格を持つ生物に影響をする」という直接的な影響も実はあるのだということが書かれています。そういったところも含めて、CO 2を減らそうということについては、これはやるべきであろうと私自身は思っております。基本的に、この報告書(IPCC第四次評価報告書)もそうですし、IEAの報告書を見ましても、直接的に温室効果ガスを削減するということを書き入れないと、将来像が書けないという実態がかいま見えてきます。
    次のページを開いていただくと、これはIPCCのいわゆる「SRES」という有名なシナリオを一応想定しまして、そこからいろいろと検討した結果として、2100年にどれぐらいの気温上昇がありそうかということを言ったものですけれども、これで一つ重要なのは、右側の図の一番下のピンクの線です。(大気中の温室効果ガス濃度を)2000年の濃度で一定にしても、実はじわじわと温暖化してしまうのだというようなこともいわれています。
    次のページを開けていただきまして、いずれにしてもCO 2を含めて温室効果ガスが非常に増加をしてきている。今後とも増加をし続けるであろうというところが非常に問題になっている。ではどの程度削減しなければならないのか。どの程度の濃度目標を置かなければいけないのかというところが問題になってきています。
    次のページは、温室効果ガスの排出動向。これは、ここ40年ほどの、1970年に排出されていたものから比べると、2004年の段階で70%ほど増えている。恐らく現状ではもう少し増えていると思います。化石燃料由来のCO 2が大体6割、エネルギー供給から大体4分の1、産業で2割といった比率になっています。わが国の排出量は年間13億トン弱ということで、アメリカ、中国、ロシアに次ぐと書いてあります。最近の統計ではどうもインドに抜かれたようなところもございますが、いずれにしても大体5%ぐらいを日本が担ってしまっています。
    次のページに各分野別のGHGの伸びを示しています。エネルギー、輸送、それから産業といったところが非常に増えているということが見て取れます。一つ代表的なといいますか、民生・輸送といったところで伸びているというところが、分散型の排出源からの伸びということでどう対応するのかというのがCCSにとっては問題になります。
    次のページに、これはJae Edmondという世界的なモデラーの一人ですが、彼がIEA-GHGの主催する会議で示したプレゼン資料から拝借してきました。左側の図が、エネルギーの供給量がどんどん増えていく。その中で、そのシナリオに対して550ppmで安定化させるためにはどういう形にしていかなければいけないのかということが右側に示してあります。斜線が入っているところがCCSの関与すべきところ。それ以外にもバイオマスを相当に増やさなければいけないとか、ほかのリニューアブル(再生可能エネルギー)についても相当量増やさなければいけないという図が見えてきます。これは550ppmまでCO 2が増えるということを一応容認するというシナリオでこういう状況だというふうにご理解ください。
    次のページに行きますと、これはIPCCの方で出しました各濃度安定化目標への排出パスということで、これはCO 2イクイバレントという分かりにくい濃度が書いてありますけれども、ほかの温暖化ガスも含めてCO 2濃度に換算した濃度で示してありますが、現状からの半減というのがこの緑とか黄色とかの所のラインに入ってくるという形で、実は非常に難しいことを目標にしてしまっているのかなというところがあります。
    こういったところで、ではどういうシナリオが書かれているかと申しますと、低炭素エネルギー源への転換というものはもちろん行われている。さらにバイオマスエネルギー、再生可能エネルギーの大量導入。もう一つは、バイオマスエネルギーがカーボンニュートラルであるという利点を使いまして、CCSと組み合わせる。カーボンニュートラルから出てくるCO 2を集めて、さらに貯留をして大気に出さないようにすれば、排出量が減ったことになる、マイナスになったことになるというものも一応想定してこういったシナリオが書かれているということをご紹介しておきます。
    次のページには、安定化シナリオの特徴ということで、いつピークを迎えて、2050年に例えばどれぐらい減らさなければいけないのかといったような事例が示してございます。昨今の中長期シナリオのベースにきっかけとなった数値がこういったところに提示されています。
    次のページは、スペシャルレポート(特別報告書)の中から、ではCO 2を減らすためにCCSをどれぐらい使っていくのかという、これもモデルの紹介です。モデルによってもちろんCCSの役割の度合いは変わってくるということです。
    もう1枚めくっていただいて、2000年から2100年の累積排出削減量を書いてあります。2030年までの間の、例えば技術(の貢献度を)、これは四つのモデルからの結果を並べたものです。2030年までの間に、もちろん省エネルギーであったり化石燃料転換、これはガス転換とお考えいただいていいかと思いますが、再生可能エネルギーといったものがこれだけ導入されれば、その490~540ppmの安定化、あるいは650ppmの安定化のために寄与しますということで、省エネルギーは非常に重要です。それから、CO 2以外のもので、例えばフロンであったりメタンといったものの対応も重要です。CCSが2030年までにどれだけ入るかというと、なかなかこれは多分立ち上がりに時間がかかるだろうとこのモデルでは予測されていると理解しています。
    逆にCCSを全く入れていないモデルもあります。ただ、それがどういう結果になるかというと、右側の方を見ていただくと、100年間の間でどれぐらい寄与するかというところで、どのモデルを見ても、突出しているものもいろいろあります。要するに濃度安定化ということはある程度排出量が限定されてしまうので、そのつじつまを合わせるために、(どの技術が)どれだけ寄与しているかということの濃淡が変わってくるということになります。ですので、原子力も非常に重要なオプションですし、再生可能エネルギーも十分に使っていかなければいけない。化石燃料転換も下地を支えるものとして非常に重要であるということが見て取れます。さらにCCSに関してはこの二つ、IMAGEとMESSAGEというのは先ほどのCCS、先ほどのページにあったモデルが出ているわけですけれども、ここでも非常に重要な役割を示しているということが分かります。
    ということで、CCSの現状ですが、デモンストレーションとしては現状100万トン規模のものが世界で幾つか動き始めています。現在年間700万トン余りのCO 2が貯留されているということで地下に埋めている。これが2012年までには2400万トンぐらいまでになるだろう(との推計もあります)。この先どうなっていくかという話ですけれども、ご記憶に新しいと思います、昨年のG8サミット(洞爺湖サミット)では2010年に20件の大規模の実証を行うと、スタートするのだということがうたわれたところです。それは、心は2020年にはそれが使えるような技術にする、それが普及するようなフェーズにだんだん入っていくのだということを言っているわけです。その後、経済的な状況もありまして、12月のCOP14COP・MOP4では若干トーンダウンしているようなきらいもありますけれども、今後また2010年に向けて、わが国でもCCS調査株式会社での大規模実証が(今後)どのように進んでいくかというところかと思います。
    次のページで、ちなみに既存プロジェクトとしてこの赤いものが、塩水帯水層にCO 2を入れるというプロジェクトを示してあります。(貯留容量について)また日本のところで100Gtと書いてあります。これはIEAの方で一応ピックアップした日本のCCSのポテンシャルということです。アメリカは北米で3400Gtとか、ロシアのあたりで2000Gtといった非常に大きな数字が並んでおります。
    その次のページはいろいろなプロジェクトのご紹介ですが、詳細は記載しておりませんので飛ばさせていただきます。
    この後の3ページは、実際の今の実証事例です。このノルウェーの1996年からもう10年以上、もう1000万トン以上CO 2を地中に入れているという、これが一番最初に先鞭をつけたプロジェクトということでのご紹介です。ここでは、CO 2そのものは天然ガスに随伴するCO 2を注入しています。
    次のページが、これはカナダのウェイバーンという所ですけれども、CO 2-EOR、石油を増進回収するということを半分目的にしてCO 2の挙動を観測するというプロジェクトです。このプロジェクトで一つ特徴的なものは、CO 2そのものを実は300kmCO 2パイプラインで運んでいる。こういった事例としてもう実績が積まれているということがここで分かります。それから、アルジェリアのインサラ、これはガス田からのCO 2を帯水層の方に入れている。実際はそのガス田と層がほぼ一緒というような状況だと思いますけれども、日本の企業も参画してのプロジェクトということで、一つご紹介をしておきます。欧州のゼロエミッション化石燃料発電所は2015年に12件というのが目標として提示されています。
    ということで、将来的にCCSを普及するためにはいろいろと技術的な課題もございます。今のキャパシティー(貯留容量)の問題もそうですし、実際に(CCSを実施するには)追加的にエネルギーを使わなければいけないというところも非常に問題になっております。社会的にもその受容性といったものをどうやって確保していくか。現在CCS研究会が経済省(産業技術環境局環境政策課)の中でまた行われており、検討も進められているところです。温暖化対策として位置付けられること、あるいは実際に実施するためにどういったインセンティブが与えられるか、いろいろな問題があろうかと思います。
    次のページに分離回収プロセスがいろいろと書いてあります。これが入っている理由は、分離回収というものが実は非常にエネルギーのかかるところだということがあります。エネルギーを(得るには化石資源を)CO 2にしてしまえばいいという、ある意味エネルギーを作る方の立場からすると、最終生成物であるはずのCO 2を何とかまた別の形にしないといけない、純度を上げなければいけないということは、非常に大変なことだということです。実際これが、100万トン単位(年間)が一応商用規模といわれています。これが例えば100万kWの石炭火力だと500万トン(年間)ぐらいのCO 2に対応しなければいけない。いろいろと課題もこれから増えてくるだろうと思います。こういったところの対処が課題とはなっておりますけれども、実際CO 2を直接減らせるという意味でCCSが期待されているということです。
    ということで、低炭素社会のエネルギー需給の対応としては、発電分野での今の燃料転換、原子力の利用、再生可能エネルギーの利用といったものに並んで、この下は全部CCSが絡むところです。発電あるいは工業分野では化石資源プラントからCO 2を回収・貯留します。これは現状進められているCCS技術というものがどういった形になってくれるかというところにかかってくるところかと思います。
    運輸分野と民生分野は非常に難しいところで、実は分散排出源からのCO 2の回収というのは、もともとのそういったシステムでは考えていませんので、集中して回収してそれに対応するために、例えば電気であったり、水素を使ってもらうシステムを考える、これも一つの考え方だと思いますし、あるいは本当に分散排出源でそういう対応ができるのであれば、それも今後排除すべきではないと、そういう検討もすべきであろうと考えているところです。
    そこで、「分散型CCS」というのは言葉として今まであまり言われたことのないものですが、こういったもので、例えば効率的な(分散システムでの)回収方法が実現すればということで、一つ考えられるのが水素分離型改質システムとなります。先ほどの前田委員、太田先生からのご紹介のあったシステムのようなものが例示として挙げられるかと思います。それから、私どもの研究所でも当然燃料電池の研究を進めさせていただいているところですが、そういったところからCO 2を回収する。回収することが可能といいますか、その有利な部分というところを何とか使えるシステムが作れないかという検討もしています。
    CCSですから、回収しただけではしょうがないので、貯留手法の適用性ということで、ここは本来「貯留手法の適用性」と、この下の「分散型CO 2貯留方の検討」というものが本当は並んで書かれてもいいのかもしれません。現状考えられているCCSシステムにその分散型の回収されたものからつなげられればそれは一つの形になるわけですし、分散型のCCSというものが、ちょっとこの後ご説明しますけれども、それだけが一つの解ではないと私どもも思っているところです。
    既にご説明のあったような話ですので、この後のスライドは流させていただきますが、都市ガスからの水素製造技術で、例えば先ほどご紹介のあったメンブレンリフォーマというのは一つの解になってこようと考えております。効率も、それから実際の純度といったものも含めてこういった検討が進められていくということは、非常に重要なことではないかなと思います。
    「MRFによる分散型水素製造技術」ということで1枚入れさせていただいていますし、その次のページには「液化試験装置外観」ということで、実際にCO 2を液化しているところの図があります。こういった形で、オンサイトでCO 2分離ができるといったようなことがなかなか面白い話になってきたなと思います。
    次のページは同じなので飛ばさせていただきます。
    最後、分散型CO 2貯留法ということで、DCCS、これは私どもの燃料電池のグループの提案で、これからこのフィジビリティーについて検討しなければならない、将来的な課題ではありますけれども、こういった考え方も一ついろいろな形で取り入れていきながら、CO 2の対応というものを考えるべきではないかということでのご提案です。これまでの集中型といいますか、普通のCCS、従来型のCCSというものが大量に対応するということでのコストダウン、あるいは圧入深度を深くする必要があるということで、それをもう少し緩和できないかということが発露ということです。
    もちろんCO 2というのは非常に水に溶けやすい、(溶ければ)炭酸になるということもありますので、そのインジェクション(注入)をする場所といったものも考えれば、非常にコストを抑えられるのではないかということを検討し始めたところです。
    次のページに行っていただくと、CO 2を超臨界状態で深い所に入れるということは、非常に密度高くCO 2をためておくことができるという利点もあります。それに対して、若干浅い所で水に溶かしながらということで、容量的には非常に難しく、高密度で溜められるということではありませんけれども、貯留コストも若干下げられるのではないか。ただ、今回いろいろとこういった形で展開できればいいのではないかということで提案させていただいたものです。
    まとめとしましては、低炭素社会のための特効薬はないので、天然ガス利用というものでも進めていただきたいと思っているところです。恐らく(将来的な)水素・電気というものを利用するシステムの前に、CCSで直接CO 2を減らすということが最初の方策としてあって、この水素・電気利用システムへの移行のために、CCSを橋渡しの技術として使っていただくということが多分あるのだろうと考えます。さらに、分散型といったシステムでの適用を広げ、それから最終的にはネガティブエミッションを本当にCCSを使って実現するべきかどうかについては、また皆さま方のご議論をいただきたいと思っています。
    長くなってしまいまして申し訳ございません。
  • 柏木座長
    いえ、お呼びしておいて急がせましてどうも失礼いたしました。CCS、非常に広い範囲で膨大な資料をご説明いただきましてありがとうございました。あと20分ほどしかございませんけれども、今日は識者からのご意見をちょうだいするということがメーンですので、この20分間、有効に使いたいと思っております。
    それで、これからご質問あるいはコメントを頂きますが、前回ご欠席された中上委員、永田委員、取りあえず優先権を差し上げますので、ご質問等ある場合には札を立てていただいて、立てた順番にご指名をさせていただきますので、20分ぐらいですのでなるべくその時間を配慮した上でご質問いただければと思います。中上委員、いかがですか。

(3)フリーディスカッション

  • 中上委員
    勉強させていただいただけで十分なのですが、一つだけ、前回出たかどうかを確かめたいのですけれども、今回の長期にわたる話というのは、2030年から2050年ぐらいまでをターゲットにすると、これはこれでいいわけですね。もう1点は、事業の将来ということになりますと、ドメスティックな部分だけを考えるのか、国際展開を考えるのかということも少しお聞きしたい。実は次回プレゼンをしろということなので、その辺どのように扱ってものを言えばいいのか。いっぱいコメントはありますけれども、今日は燃料電池のところを含めた水素の勉強会ということで参加させていただきました。
  • 柏木座長
    今日の位置付けは、この資料3の「天然ガス・ガス事業の特性」、それから「低炭素社会に向けた中長期ビジョン」、この中で燃料電池だとか技術に立脚したもの。次回、この「需要面・供給面における電力・熱のベストミックス-エネルギー使用効率化、CO 2削減-」等々、ビジネスモデルも含めていろいろと話をすると。こういう段階にしようと思っています。
  • 中上委員
    そうすると国際的な広がりを持って話をしてもいいわけでしょうか。それともそうではなくて、あくまでやはり国内の事業というような感覚なのか。
  • 柏木座長
    それは構わないです。もちろん。
  • 中上委員
    よろしいですか。はい、分かりました。ありがとうございます。
  • 柏木座長
    永田委員、どうぞ。
  • 永田委員
    私も今日は勉強をさせていただこうと、この会議に出させていただくこと自体が勉強だと思ってまいりました。しかし、前回の議事録を読ませていただきましても、天然ガスが非常に幅広く、世界中のいろいろな所で生産可能だと。また埋蔵量といいますか、まだ未知数なところもたくさんあるということを知りまして、かなりこの天然ガスというものは将来有望なのではないかというような印象を受けたところです。今日のお話を伺いまして、単なるガスというものだけではなくて、このCCSのような技術というのも併用するような形で考えるのだなという、また新しい視点をちょっと学ばせていただきました。また次回以降教えていただきながら、生活者としての視点ということでご意見が発表できればいいなという思いで参加しております。よろしくお願いいたします。
  • 柏木座長
    ありがとうございました。それでは、崎田委員、どうぞ。
  • 崎田委員
    今回は技術的なお話を伺いまして本当に勉強になりました。ありがとうございます。三つほど意見を申し上げたいのですけれども、最初に東京ガスの前田委員からお話をいただいた中で、32ページの辺りが大変印象に残っているのです。例えば熱・電気・ガス、こういうスマートエネルギーネットワークを定着させるとか、新しい技術開発など盛んにご提案いただいたのですが、その導入に向けて政策パッケージをきちんと考えていくようにということをご提言されました。こういう規制を緩和する部分と政策誘導策、この両方のバランスが大変重要だと思っています。例えば、ぜひこの法律改正とか規制改革を提案するのはもちろん大事なのですが、それと同時に、今政府で環境モデル都市づくりとかいろいろな具体的なものをいろいろとやっていらっしゃると思うのですが、そういうところでどんどん積極的にモデル的に導入していくとか、何かそういう動きを並行してやっていただけたら、こういう提案がどんどん生きていくのではないかと思いました。
    2番目に、燃料電池に関してお話をいただきまして、生活者として考えると、例えば自動車、住宅、集合住宅といったところにどのように導入になっていくのか、そういうことに大変関心を持っておりますので、そういう全体像がどんどん分かるように今後情報を広く発信していただければうれしいなと思っています。
    3番目ですが、最後にお話しいただいた西尾さんからCCSに関してかなり重点的にお話しいただきました。私は考えたのですが、例えば今、高レベル放射性廃棄物の地層処分の問題も、仕組みを政府が決定されてから今10年たって、ようやく社会の関心が高まってきたというところだと思います。これはそれほどの環境負荷というものが大きな問題にはならないと思いますが、水への影響など、やはりいろいろな関心というのは社会で高まると思いますので、できるだけ早くから、広く広報や情報発信のところにこの話題を入れていくということが大事なのではないかと思いました。そういう合意形成プラスコスト負担とか、将来いろいろな意味で国民が理解していくということが重要なのではないかと思います。よろしくお願いいたします。
  • 柏木座長
    今のは一応コメントですね。
  • 崎田委員
    そうですね、意見です。
  • 柏木座長
    ご意見ですね、どちらかというと。分かりました。ご質問ではなくてよろしいですね。
  • 崎田委員
    取りあえず意見ということで、よろしくお願いいたします。
  • 柏木座長
    分かりました。それでは、続きまして、森委員代理、お願いいたします。
  • 高橋委員(代)
    高橋の代理の森でございます。私もコメントをさせていただきたいと思います。本日は興味深い発表をいただき、大変ありがとうございます。1点目は、太田先生、西尾先生からありました水素とCCSについてです、私どもの天然ガス供給事業者の本分は、お客さま先で徹底的な省エネを推進しつつ、低炭素社会に貢献するというのが第一義的ではございます。けれども、さらなるCO 2削減の面で、利用時にCO 2を発生しない水素は大変重要な位置付けにあると認識しておりまして、先ほど話題になりましたローカル水素ネットワークというのは実現性の高い一つの解であると考えております。
    さらに、西尾先生のご発表にありました分散型のCCSが加わりますと、究極的なエネルギーモデルを描くことができると思います。今後このような分散型のCO 2回収・輸送、こういうものを視野に入れた技術開発への取り組みを進めていきたいと考えております。
    2点目は燃料電池についてです。この技術は皆さんご存じのとおり長い間取り組んでいる技術で、わが国でも1980年代のムーンライト計画などを経て、30年以上も続いている、産官学一体となっての長期的な開発の取り組みを進めたプロジェクトだと認識しております。おかげさまでいよいよ家庭用の燃料電池エネファームの一般販売が始まるという時期ですが、私どもは今後もさらなるコストダウン、あるいは効率向上に向けた技術開発に取り組み、このような長期的な技術革新の成功例となるべく、早期にその普及拡大に努めていきたいなと思っているところです。また、ご発表にありましたように、燃料電池そのものが多様な可能性のあるコア技術だと思っておりますので、引き続きわれわれ産業界の努力とともに、国あるいは研究機関の積極的なご支援を賜りますようお願い申し上げたいと思っております。
    最後に、技術開発全般についてです。われわれは今発表にございました水素やCCS、燃料電池が将来、エネルギーのベストミックスによる低炭素社会実現に大きく貢献するものと考えておりますが、それらとともに多くのお客さまに安定して都市ガスを供給し、安心して使っていただける環境を整えることもまた重要だと思っております。そのための上流部門、あるいはパイプラインのインフラ、さらにはガス利用技術といったものも、技術開発の取り組みも必要であると考えているところです。
    皆さまもご存じのことと思いますが、エネルギーシステムの抜本的な効率向上や改革には、技術革新、イノベーションが不可欠なものだと思っておりまして、この技術革新は短期・中期・長期の視点からの技術開発を継続的に実施して、努力を続けることによって初めて生み出すことができる、と認識しております。今後ももちろんわれわれ事業者は技術開発に注力をしてまいりますけれども、この分野ではやはり産官学の連携が極めて重要ですので、ぜひ継続的なご支援をあらためてお願いするものでございます。
  • 柏木座長
    ありがとうございました。ちょっと私、気が付かなくてすみません。どちらが早く挙がりましたか。石井委員からでしょうか。申し訳ありません。
  • 石井委員
    私も日本CCS調査株式会社を通じましてCCS関係に携わっている者として二つほどコメントをさせていただきたいと思います。本日はCCS関係について大変詳細な、また意義深いご説明をいただきまして、非常に素晴らしいプレゼンテーションだと思っております。その中におきまして、先ほど崎田委員からご指摘がありましたが、西尾さんが言及された分散型のCCSですが、これにつきましては、まだ日本におけるCCS事業そのものがやはりコンセプトを理解していただいている段階ですので、CCS事業がすぐビジネスベースに載るような状況ではありません。CCSの事業化に向けて経産省の方でも審議会や研究会等を立ち上げておりますし、適用法規、ガイドラインを含めて現在研究が進められていると伺っています。すなわち、ビジネスベースに載せるためにはまだ多くの解決しなければならない問題があると思っている次第です。
    そういう意味では、分散型CCSにつきましては、集中型CCSの実証試験をこれから経産省主導の下に取り組まれると聞いておりますので、実証試験においてそのCCSの社会的受容性が確立された後の次世代型のCCS、という考え方を現在私は持っている次第です。現在検討を進め、また調査を進めております集中型のCCSの実証試験につきましては、CO 2の挙動特性等の理解を深めることによりまして、地下水等への影響等を含めて、影響度をできるだけ的確に把握して、それに対する社会的受容性が増した段階で分散型システムに対応するという考え方で、こうしたシステムの可能性を考える必要があるのではないかと思っております。
    二つ目に、前田委員からご説明がありました点について、低炭素社会に向けた個別の技術開発課題にも言及させていただきますと、CCSを実効性のあるシステムとするためには、CO 2の輸送の観点の検討が不可欠です。前回の研究会で、天然ガスインフラ投資は将来的にCO 2輸送のパイプラインとして利用可能であり、また水素のパイプラインとしても利用可能であるというコメントをさせていただきました。実際に海外の事例を見ますと、スコットランドでは発電所や工業用の大規模排出源から排出されるCO 2を北海ガス田に貯蔵する計画が提案されて、政府の方で審議されています。具体的には、英国の天然ガスパイプライン事業者のナショナルグリッドが、ガスパイプラインの一部をCCS用に転用する検討をおこなっているわけです。
    もちろん申し上げました英国の事例は、わが国の天然ガスパイプラインの普及過程やその操業者の位置付けとは異なっておりますので、単純な比較検討はできると思っておりません。ただし、長期的に考えるならば、既存あるいは今後新設するガスパイプラインを有効活用することにより、CO 2ならびに水素等の基本インフラを築くことになるのではないか、という視点をもつことが、政策的に大変重要であると思っている次第です。私からは以上です。
  • 柏木座長
    ありがとうございました。小山委員、どうぞ。
  • 小山委員
    私からも2点、なるべく手短にコメントをさせていただきたいと思います。最初に、技術という今日の主題の点ですけれども、ご参加の皆さんはよくご案内のとおり、技術というソリューションを考えた場合には、R&D、それからいろいろな検証やそれを踏まえた商業化、さらに普及してエネルギー需給構造に影響を及ぼすということを考えると、やはりここの研究会では時間軸というものを明確に意識した、その視点を持った議論が大事だろうということです。仮に相当長い時間軸を取るということになりますと、本日お話をいただいた非常に重要な技術も含めて、さまざまな技術要素の可能性があるということで、その中で、国民経済全体にとって何が一番望ましいというか、いいのかというような視点を持った議論も大事だろうと思います。
    それを考える上で、二つほど重要だと思うことがあります。1点目は、今、石井委員からもあったとおり、世界の潮流とか世界の技術をめぐる動きの中で何が起きているのかということをきちっと見るということが大事かと思います。適切な例かどうか分かりませんが、今日も出た、あるいは前回も出たガスの供給ポテンシャルを考える上で、非在来型のガスが急激に増えてきている。これもやはり技術オリエンテッドな世界であって、このような世界の流れを見た議論が一つ大事だということです。同時に、もし仮に日本が技術的に優位性を持ったり、優位性を持てそうなものがあるのであれば、その面で日本が進んでいくというのも非常に大事なことになるだろうと思っております。
    2点目は世界を意識した議論ということで、第1回の議論の後、私は2回ほどヨーロッパに出張に行きまして、天然ガスの問題も含めていろいろな議論をしてまいりました。そこで、例えば、皆さんご案内のIEAの「ワールド・エナジー・アウトルック」、「世界エネルギー見通し」の2009年版については、天然ガスがトピックになっております。その意味で、世界的に天然ガスの問題は大きな関心事になっておりまして、前回私の方でプレゼンさせていただいたとおり、いわゆる基準、BAUの見通しであれば、ガスの重要は非常に高く伸びていくという期待がある。
    それに関連したいろいろな議論をしていく中で、需要を見ていく上での重要な点として四点ほど重要な点があったと私は感じております。一つはやはり経済の行方がどうなるのか。これは今の金融危機の問題も含めてです。二つ目はやはり政策。これは特に今回の主題でもある低炭素政策も含め、あるいはエネルギー安全保障政策の問題を含めた政策対応が重要です。三つ目がインフラの問題であり、そして最後に、いろいろ議論が出たのは、やはりガスの競争力、経済性というものがガス需要の拡大をどのように左右していくのか、非常に大事な点だという議論がありました。
    今回のアウトルックでは温暖化対策の問題もワールド・エナジー・アウトルックで扱われますので、ガスと温暖化の二つのイシューが両方扱われるということで、非常に注目しないといけないと思います。この見通しは、例年であれば11月に発表されますので、この研究会のまとめには間に合わないかもしれませんが、まとめに至るまでの間も世界の動きをきちっと見ていくことは大事だと思います。同時に、この研究会の議論や方向性が、逆にそうした世界の見通しにも影響したり、反映されるような形になるといいのではないかなと思っています。以上です。
  • 柏木座長
    ありがとうございました。大変なご意見がたくさん出ていますが、一応私の順番だと中嶌委員が先、その次が樋口委員で、それで嶋津委員いう順番で。質問があまりないような気がしていますけれども、取りあえずやってください。ちょっと時間が延びるかもしれませんけれども、申し訳ありません。
  • 中嶌委員
    私は一つ質問をお願いしたいと思います。今日は多くの知見、方向性を、先生方を含めてご教授いただきましてありがとうございました。実は私たち産業の立場から言いますと、東京都の温室効果ガス総量削減政策等、今後、産業界は、更なる削減努力が求められており、その対応も十分私たちは考えていかなければいけません。そういった意味からも、燃料電池への注目は大変強く思っております。そこでちょっと教えていただきたいのですが、数年ぐらい先をめどに、どの程度の発電出力が可能で、その技術的な開発の見通しはどんなものでしょうか。
  • 柏木座長
    分かりました。これは前田さん、あるいは山崎先生から。今、小山さんから時間軸という話も出ましたので、少しここで。
  • 山崎教授
    実際に開発をやっている立場からしますと、燃料電池の大幅な普及というのは、技術よりも政策に非常に大きくディペンドすると考えております。技術は非常に着実には進歩しているのですけども、急には解決が出てくるという状況ではございませんので、そうすると、そこをいかに常にサポートが出てくるかということだろうと考えております。
    例えば太陽光発電の例を見るまでもなく、大きなスケールになりますと、これは技術よりも、どのように、どれだけの人がそれにかかわるかというところに大きくかかわってくるのではないかと考えております。10年先はどのようになっていくか、技術的にはコストダウンは粛々と進むと思いますし、例えば白金の使用量等も下がっていくとは思いますけれども、補助なしで動くというのは非常に難しいといいますか、かなり大変ではないかと考えております。
  • 柏木座長
    太田先生、何か今の件、ありますか。
  • 太田教授
    基本的に燃料電池が数年の間にエネルギーに貢献するかといわれますと、やはり今のところ「ノー」と言わざるを得ないと思っています。ことしから家庭用燃料電池がかなり普及するということは始まります。しかし、まだ数から言いましても1年間に数千台というレベルでは、全体のマジョリティーの中で行くにはやはり年がかかると思います。それから自動車に関しましても、業界が今2015年からテイクオフすると。そのための整備をするということで、今日も新聞に水素のステーションを造るのだ、造らないのだというお話が出ておりましたけれども、まずは規制緩和をして、技術はほぼできていると思います。ただコストが高い。ですから、それに対してわれわれはどうチャレンジしていくのだというところが、これは政策的な配慮も要ろうかなというようなことになろうかと思います。
  • 柏木座長
    前田委員、何かありましたら。
  • 前田委員
    いろいろな種類の燃料電池がありますが、少し産業用から離れますけれども、家庭用で言えば、先ほどお話がありましたように、ことしから一般販売ということですので、当面数千台ですけれども、4~5年後には少なくとも1けた以上上げるということを前提にいろいろな準備を進めておりますので、そういう意味では、ある程度影響力のある状態にいずれなるのではないかなと思います。そのほかのSOFC等々については、技術開発段階ではありますが、これももう少し遅れますけれども、数年遅れぐらいで同じようなパターンにできれば持っていきたいというような方向で動いているということだけ付け加えさせていただきます。
  • 柏木座長
    ありがとうございます。それでは、また各委員からのご質問・コメントに移らせていただいて、樋口委員、どうぞ。
  • 樋口委員
    私からは、私どもの技術的な取り組みと、ちょっと身近な課題についてコメントをさせていただきたいと思います。今日のプレゼンテーションで、燃料電池、あるいは水素利用、CCSといった技術を確立し、それを組み合わせたエネルギーシステムが2050年に向けて非常に重要であることが明らかにされたと思っております。山崎先生、太田先生から発表がありました、燃料電池と水素利用の技術についての取り組みをご紹介します。
    私どもは、熱、電気、あるいは水素といった複数のエネルギーを集合住宅の中で相互に融通しながら最適に運用していくシステムを既に実際に設置し、実験を行っております。その中で非常にいいデータが出ておりますので、こういった省エネ、省CO 2を実現する技術開発をさらに進め、そしてこの成果を将来のスマートエネルギーシステムの実現に結び付けていきたいと考えております。
    それから、前田委員からエネルギーセキュリティーのお話がありました。これも一つの取り組みをご紹介させていただきますと、炭坑から発生する非常に濃度の薄いメタンを濃縮して回収することについて、既に中国の炭田で実験的に行っておりまして、技術的な確立はできたと思っております。こういった炭坑からのメタンについても一つの天然ガスソースとしての可能性もあるのではないかということで、この辺を視野に入れて検討していきたいと考えております。
    それから、ソーラーとか風力のような不安定電源がグリッドに対する影響などいろいろ課題としていわれています。これに対しても前田委員の話の中で、コージェネとの電気的な連携によって安定電源化していくという話がありましたが、実際の建物に太陽光パネルを設置して、既存のコージェネと電気的に連携し、その安定電源化を図っていくということを実証したいと思っております。そうすることによって、太陽光、風力等の不安定電源が設置されても、例えば近くにあるコージェネと電気的な連携を行い安定化を図っていくことにより、どんどん再生可能エネルギーの導入ができていくのではないかと考えております。
    それから、もうちょっと身近な話を1点だけさせていただきたい。今、都市ガス業界はLP業界さんとも連携しながら、給湯器を潜熱回収型給湯器に替えていき、これをデファクトスタンダード化することに取り組んでおります。そうすると、熱効率が80%から95%に上がりますし、また、エンジン型の給湯装置や燃料電池などの普及を進めることで、さらに省CO 2を実現していく取り組みを既にしております。
    一方、海外の話ですが、米国ではオバマ政権になって、これまでの貯蔵式湯沸かし器から瞬間式に替えることへの財政的補助を復活し、さらには拡大して30%の補助金が出ると聞いております。彼らは、既設の60%程度の熱効率しかない貯蔵式から、日本では一般的な瞬間式の、80%の熱効率の湯沸かし器に取り換える政策を打っていますが、さらにわれわれが目指しているレベルまで行けば、一次エネルギーの削減効果は倍になります。人口はわれわれの倍いますし、恐らく給湯の使用量もたくさん使っていると思いますので、日本と同じことをやればワンオーダー効果が増大する。日本の10倍の効果が出せるのではないかと思います。そういったことが、メードインジャパンの技術で実現できますので、ぜひ産業政策面や国際的な効果の広がりも考えていくべきであると思っております。こういう身近な話と将来の話はつながりがあると考えております。
  • 柏木座長
    そうですね。ありがとうございました。嶋津委員、どうぞ。
  • 嶋津委員
    西尾さんには以前からいろいろ教えていただいてありがとうございます。ちょっと西尾さんの資料で確認なのですけれども、このCCSのポテンシャルで、IEAのものでは日本は100Gtという数字がありまして、後の方の「DCCSの展望」というページでは、日本で2~20Gtというような数字があります。この2~20Gtというのは、いわゆるDCCSのもうちょっと小規模な方だとそうなるという、数字が違うのはそのように理解すればいいのでしょうか。
  • 西尾グループ長
    はい。数字が違ってくるのは、対象としている深度も違いますし、層の対象としているものも違うので、全体としてここで言っている100Gt、これも恐らく丸めて100Gtになっていまして、もう少し大きい数字がもともとあったものからこの数字が出てきているというものですし、それから分散型の方はまだ0次的な試算でしかないわけですが、それぐらい対象にできるのではないかというのが今のところの試算です。
  • 嶋津委員
    あと、どうもまとまりのつかない意見というか、ひょっとしたら小山さんのおっしゃったことと重なるのかもしれませんけれども、要するにこのガス事業のあり方と低炭素社会の将来展望を結び付けていくという意味において、技術が非常に大事であり、今日二つの話題といいますか、燃料電池とCCSというものが取り上げられて、これが非常に重要な技術であるということはよく分かりますし、燃料電池については日本のガス業界がここまで、とにかく実用化にまでこぎつけたというのは、僕はすごく立派なことで、それは敬意を表したいと思うのです。確か2000年ごろにあれだけ水素社会が来るという、間もなくやってくるという、すごい何かブームが起きて、あのときは大体何となく一般の人たちの頭の中にあったのは、自動車の燃料電池車というものが何かすぐにでも普及するような、そういうイメージでとらえられたのが、結果的に数年でそちらの方は、消えてしまったわけではないですけれども、そう簡単ではないということが分かった。そういう中で、家庭用の方が少なくとも日本ではこつこつと実用化にまでこぎつけたという意味では、私は大変立派なことだと思うのです。
    ただ、今後のことを考えたときに、本当にその水素社会というものが期待したような形で来ればいいのですけれども、やはり技術にまつわる不確実性というのでしょうか、それからそれはCCSについても感じるわけですが、確かに2050年で世界レベルでCO 2を半減しなければならないということになれば、それはもうCCSを否が応でもやらざるを得ないという話です。ただ、先ほどの西尾さんのお話の中にもちらっと出ていましたが、果たして本当に2050年半減というのが、そんな可能な目標なのかどうかというのはよく分からない中で、けれども世界中がもうそこに走りだしてしまっているという印象を受けるわけです。
    ですから、とにかく何かやらなければいけないというマストの世界に入り込んでしまって、その中で何か絵を描かなければならないのかもしれませんが、やはりもう少し時間軸で、もうちょっと手前のところでは実現可能性をある程度担保できるようなものをステップに置いていった方が。2050年にこういう社会になればいいねというのは分かるのですけれども、本当に例えばガス業界さんが描いておられるような燃料電池と、太陽電池パネルも張って熱何とかパネルも張ってというようなものを日本の家庭が全部装備するような社会が果たして本当に来るのかというところになると、ちょっと私などは疑問というか、分からなさみたいなものも感じるのです。その辺をちょっと何か、悪い頭でよくまとまりがつかないのですが、ちょっとお考えいただきたいと思います。
  • 柏木座長
    分かりました。ありがとうございました。ほかにご意見等ありますか。今のお考えで何か、今日のゲストスピーカーから少し、最後のワントークだけしていただいて、委員の方々はまだ発言の機会はたくさんありますけれども。
  • 太田教授
    今、水素社会は来ないというようなことをおっしゃったのですが、われわれとしては着実にやっているつもりで、本当におっしゃるとおり、今すぐには見えてこない。しかし燃料電池の家庭用が入りだした。それから自動車用も動きだす。正直言うと、あと10年後を見てください。この10年後はかなり水素化が進んでいるのではないか。そのために、今、着実に政府の要請もありまして技術も上がってきている。これだけは認識しておいていただきたいと思っています。50年後をやれと言われたら、お金さえあれば絶対できると思います。
  • 柏木座長
    山崎さん、何か。
  • 山崎教授
    太田先生と似たようなコメントになるかもしれませんが、先ほど車は考えたほど、予想したほどという話があって、家庭用コージェネの方が先に行ったということですね。これは、私は家庭用コージェネに深く関わっているのですけれども、やはり研究の進め方というのは、家庭用コージェネの場合は非常にうまくいっている。生産者、材料メーカー、それから装置メーカー、エネルギー事業者が非常にうまく連携を取れてやっている。車の方は、うまくいっていないというわけではないのですが、なかなか難しい。なかなか企業ごとにやはりヒストリーがあるのではないかと思うのですけれども、それからやはり車というと、例えば燃料の供給一つ取っても大きな話になりますし、また道路にも大きな話になる。ステーションもそうです。それで一つだけではなかなか行かないということで、個々の技術は着実に進歩しているのですけれども、そのレベルになってくると、これが非常に成功したかしないかでもって結果が変わってきてしまうのですね。ですから、グローバルというか、システマティックに見ないといけないのではないかなとは思っております。
  • 柏木座長
    今日は前田委員はスピーカーの立場で結構ですから。
  • 前田委員
    燃料電池をたくさん置くような社会が来るのかというお話でしたので、もちろん具体的な個々のお客さまというか需要家の方々はいろいろなタイプの方々がいらっしゃるので、あるいは住棟もどういうところに住んでおられるかということも違うので、すべてということはもちろんないわけですけれども、そういうところに向かって私どもは行くべきだと思っているし、事実技術的にも、恐らく経済的にもある種できる部分があるのではないかなと思っているところです。
    燃料電池の自動車のところは自動車メーカーさんが必死に頑張っておられて、よく議論の中では供給インフラがないではないかという話もあるのですけれども、例えば私どもが今、天然ガス自動車というものをやっていて、ヘビーデューティーのトラック等については大変普及しているわけですけれども、これはそこに高圧の天然ガスが行っている、あるいはその辺は高圧ガスの保安法をきちっと守れるような状態になっているとかというのは、関東圏だけでも100カ所以上あります。これは、先ほどのMRFと呼んでいる水素製造装置は事実置いているところもあるわけですけれども、それを置きさえすれば、あっという間に水素供給インフラになり得るということで、技術開発のフェーズががらっと変われば、結構いけることもあるのではないかなという思いを持っているところです。これだけちょっと付け加えさせていただきました。
  • 柏木座長
    西尾さん、最後にもしよろしければ。なければ結構ですが。もうだいぶ延びていまして恐縮ですが。
  • 西尾グループ長
    すみません、延ばしてしまった犯人なのですが、一言だけ。今回ちょっとCCSについてご紹介をさせていただいたということで、今、中心になっている地中貯留というものをもう着実に進めていただくというのが今のところのスタンスではありますけれども、CCS以外にも当然そうなのですが、技術的にはもうこれからいろいろなものを使っていかなければいけないと。何でも使わないととにかく足りないというのが実は今日の私のメッセージですので、もうこれからいろいろなことをまだ検討しなければいけない。捨ててしまったものでも、実は例えば材料がよくなったら何かできるかもしれないとか、いろいろなことをまだ考え続けなければいけない状況にあるのだろうと思っています。
    そういった意味で、私自身、CCSももっと別の切り口で、最初に手を付けた海洋も、今は静観をするという状態になっていますけれども、今後考えていかなければいけない大きなシステムかもしれないとか、先ほどの分散型にしても、もっと別の切り口で実は考えなければいけないのではないかといったようなことをまた検討し続けていきたいと思っている次第です。またご指導・ご鞭撻、よろしくお願いします。
  • 柏木座長
    ありがとうございました。いずれにしても大変なボリュームをこれだけの短時間でご説明いただきました。ただ、問題は、これは技術開発とこれからのガス事業の政策パッケージをどうするのかという話ですから、今、嶋津さんがおっしゃったように都市エネルギー全体最適化はどうあるべきか。これは発電効率の高いものが最後に残るわけです。ですから、そのグランドデザインをどうするかというのは、やはり技術のシステム化を通してこれから考えていく。そのためにどういう政策が必要になる。先ほど崎田さんがおっしゃったように、ではこれを環境モデルとして実証したらいいではないかとか、先ほどおっしゃいましたね。そういう今ある、全部広くとは言わず、選択と集中をして、どこかでやはり実証していくということをやりながら政策展開へ持っていく。
    ただ、それにはグランドデザインがなければしょうがありませんから、そのためには、例えばCO 2の問題でも、どうも分散型CCSも、ある意味では一つのソリューションになり得る。今日のお二人の大学の先生は、やはり水素社会、燃料電池、確実にやってくるという学識経験者からのこともありましたから、今後こういうグランドデザインをやはり明確にしながら、徐々に一歩一歩進めて、ただ、一歩一歩というのは、この会は数回しかできませんので、ちょっと今日だいぶ時間が延びて恐縮でしたけれども、少しこう、知識を共有しながら、傍聴席の方々も一緒になって知識を共有して、本来のグランドデザイン、最終的には都市エネルギー全体最適化だと思うのですけれども、何かもしありましたら事務局の方で。いいですか。いいですね。
    そうしたら、今日一応2回目のゲストスピーカーからの大変な、資料だけでも文化資産になるぐらいのものをいただきました。あらためて厚く御礼申し上げたいと思います。ありがとうございました。

(4)その他

  • 柏木座長
    それでは、次回の日程についてよろしくお願いします。
  • 畠山ガス市場整備課長
    次回は5月14日木曜日、10:00から12:00ということで、場所は本館の、こちらの17階の国際会議室において開催させていただきたいと思います。先ほど柏木座長からもお話がありましたが、「需要面・供給面における電気と熱のベストミックス」ということで、中上委員をはじめとして数名の方にプレゼンテーションをお願いしようかと思っております。
  • 柏木座長
    徐々に核心に触れていくのですよ。嶋津さん、よく勉強しておかないと。ありがとうございました。

以上

 
 
最終更新日:2009年5月21日
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