経済産業省
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低炭素社会におけるガス事業のあり方に関する研究会(第3回)-議事録

日時:平成21年5月14日(木)10:00~12:00
場所:経済産業省本館17階西2国際会議室

議事概要

  • 畠山ガス市場整備課長
    それでは定刻となりましたので、ただいまから第3回低炭素社会におけるガス事業のあり方に関する研究会を開催させていただきます。委員の皆様におかれましては、ご多忙のところをご出席いただきまして、誠にありがとうございます。それからプレゼンテーションしていただく方、本日はどうもありがとうございます。それでは、以後の議事進行を柏木座長にお願いしたいと思います。
  • 柏木座長
    おはようございます。前回、長期ビジョンあるいは長期的な技術開発を含めて忌憚ないご意見いただきましてありがとうございました。今日も同じようにフリーディスカッションに十分な時間を取りながら、今後のガス事業・低炭素のあり方について、積極的なご意見をいただきたいと念じておりますので、よろしくご協力をお願いしたいと思います。それでは、事務局から資料の確認をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
  • 畠山ガス市場整備課長
    それでは、資料一覧をご覧ください。資料1から資料7まで準備させていただいております。過不足等ございましたら、事務局までお申し出いただけるようにと思います。よろしいでしょうか。
  • 柏木座長
    この資料3が第2回研究会における議論の概要と中長期シナリオです。前回の議論のまとめを事務局がしてくださいましたので、これについてご説明をお願いしたいと思います。

第2回研究会における議論の概要

  • 畠山ガス市場整備課長
    それではごくごく簡単に、前回のプレゼンテーションも含めた議論についてざっとご紹介させていただきたいと思います。本日の議論と関係がある部分については、あえてここに書いていない部分もあるかと思いますが、ご容赦ください。
    まず一つ大きなかたまりとして、低炭素社会に向けた中長期シナリオについて、資料3の一つ目の丸に書いてあります。中長期的には、将来の水素エネルギー社会を視野に入れつつ、事業展開を図っていくことが必要と。その過程で、電気と熱のベストミックスによるエネルギー使用の効率化、CO 2削減を、さまざまな局面で展開していくことが重要である。これは本日の主要テーマかと存じます。
    それから、こうした中長期を視野に入れながら、当面はエネルギー使用効率化CO 2の削減に資する天然ガスの普及、それから天然ガスの高度利用(高効率機器の普及拡大)を図ることも必要である。
    三つ目として、低炭素社会の実現には技術開発が不可欠であり、技術開発促進策に加え、技術開発成果の導入促進口普及拡大策やインフラ整備促進策等を一体とした「政策パッケージ」の枠組みが重要であるというお話がございました。
    それから、大きなテーマとして中長期シナリオのベースとして水素社会、それから燃料電池というプレゼンをしていただいたかと思います。資料の4ページ目に、先生方からご紹介いただいた図をつけておきましたが、これを文章にしたものを前段に書いておきました。まず、太田先生からのプレゼンテーションから、水素は二次エネルギーであるということで、電気と水素をうまく組み合わせて活用することが重要であるということでした。そして、水素はこの絵にも書いてありますとおり、再生可能エネルギーから水素を取り出して、水素を使っていくことが究極の目標であるものの、いろいろな化石燃料から水素を作るという方法もあります。当面は、経済性等を考えたときに、化石燃料から水素を作ることが最も有力な手段として考えられるということでした。さらに言えば、天然ガスはその有力な手段の一つであるというお話がございました。
    それから、ここに書いてあるとおり、水素は同じ二次エネルギーとして、燃料電池を通して電気になり、水電解を通して水素に戻ります。また、山崎先生からもプレゼンがございましたので、燃料電池の発電効率という話を書いておきました。将来、水素を使った燃料電池という話になったときに、例えば発電であれば、燃焼して、今のところ熱の使い道がなかなかないということでした。燃料電池は電気化学反応なので、電気エネルギーを取り出すのと併せて、熱エネルギーが出てきます。この電気エネルギーと熱エネルギーの比率については、先日の山崎先生のお話にもあったとおり、技術開発が進むと電気エネルギーの比率もどんどん高くなっていくことも見えてきて、いろいろな電気との組み合わせも可能にするというお話でした。
    こういうことを前提として、資料3に戻っていただいて、3ページ目の水素エネルギー社会のところについてですが、水素エネルギー社会の構築に向けたガス事業の役割についてお話しします。低炭素社会をにらんだときに、ガス事業およびガス事業者は以下の観点から、水素エネルギー社会の重要な担い手の一人ということになります。水素の原料となる天然ガスを供給しているということ、水素を活用する最も主役の一つである燃料電池の実用化に向けた技術開発の担い手であること、今は天然ガスという気体を運んでいますが、水素という気体を運搬・供給するインフラの整備を行っているということです。
    さらにもう一点加えれば、熱と電気を組み合わせて供給しているということです。今後、水素社会の構築のために、ガス事業およびガス事業者が水素エネルギー社会を視野に入れつつ、事業の展開を図っていくことが必要であるということです。例えば水素輸送にも転換できるようなガスパイプラインの拡充といったことも、委員からご意見をいただいたかと思います。とりあえず簡単ではございますが、前回の議論を集約するとこのようなことになると思います。
  • 柏木座長
    どうもありがとうございました。大変要領よくまとめていただきました。もし何かお気づきの点がありましたら、最後のフリートーキングのときにおっしゃっていただければと思っております。

有識者からのプレゼンテーション

  • 柏木座長
    続きまして、本日は中上委員と、特別にご出席いただいております2名の有識者、エキスパートの方にプレゼンテーションをお願いしております。ご三方、20分くらいでお願いできればと思っております。いろいろ順番を考えたのですが、まず最初に、東京大学大学院の山地先生から「スマート・エネルギーネットワーク」についてお話しいただき、続きまして本委員会の委員でいらっしゃいます中上委員から「民生部門におけるガスの高度利用システム」に視点を当てた形でのプレゼンを行っていただき、最後に株式会社日本設計の佐藤常務取締役から「都市設計からみた民生部門のエネルギーモデルのあり方」についてお話しいただければと思います。全体のまとめとしまして、デマンドに目を向けた考え方、あるいは技術開発の動向というように、まとまりがあるだろうと思っております。
    三つのプレゼンテーションがございますので、ご質問などについては、最後にまとめさせていただくという形態で進めさせていただきたいと思います。例によって、質問されるときは札を挙げるということでお願いします。
    本日は佐々木委員と嶋津委員がご予定があるため、途中でご退席されると伺っておりますので、お二人だけは特別にプレゼンテーションの時間の範囲内で、何か言っていただかないと困りますので、プレゼンが終わったときに、ご質問があれば、挙手をしていただければ、特例としてお願いします。
    それではまず、山地先生からプレゼンテーションよろしくお願いいたします。

スマート・エネルギーネットワークについて

山地 憲治(東京大学・工学系研究科 教授)

  • 山地教授
    東京大学の山地でございます。研究会にお招きいただき大変光栄に思っております。今、柏木座長から話がありましたとおり、スマート・エネルギーネットワークについて、資料4に沿って話を進めさせていただきたいと思います。なぜ私のところに、このスマート・エネルギーネットワークという話が来たのか、正直言ってよく分からずに考えてみました。アメリカのオバマ大統領が、グリーンニューディールという政策を打ち出していることはご存知かと思いますが、その中で新しいキーワードとして「スマートグリッド」があります。その関係で、私ももちろん関心を持って、研究ともかかわりがあるので、いろいろ調べていますので、その話だろうと思ったのです。
    ただ、グリッドというと網、つまり電力網のことを指すのです。しかし、こちらはガス事業研究会ですから、それだけではないだろう。グリッドとは電力のネットワークですが、当然、ガス体でのネットワークもあれば、流体エネルギー等のネットワークもあるわけです。そういう意味では、エネルギーネットワークとしてとらえて、話をさせていただけれいいのかと。それで「スマート・エネルギーネットワーク」としました。
    実際、人様から教えていただいたり、調べたりすると、欧州の方では、スマート・エネルギーネットワークがかなり展開されているわけです。それから、私が所属しております東京大学でも、東京ガスから寄附講座をいただいておりまして、「ホロニックエネルギーシステム学」をやっております。これもいろいろとエネルギー種を混ぜて、ホロニックとして「全体で、統合して」ということで、情報通信技術を使ったよいコントロールをしていくということです。そういうコンセプトが合っているかなと思い、こういうタイトルにしました。
    しかし、実績があるかというと、スマート・エネルギーネットワークやスマートグリッドの定義のしかたにもよりますが、究極の姿は今から作っていくものですから、かなりコンセプチュアルな話になります。そういうことで、スライドにしようかと資料も集めたのですが、自分のオリジナルというよりは、いろいろな人様のものですし、私よりもこの場にいらっしゃる方の方がよくご存知のこともあるので、今日は文章でまとめて資料にしました。これは言い訳で、早速中身に入っていきます。
    まず、私の問題意識としてのとらえ方である資料4の「0.背景」からお話しします。おそらくこの研究会で考えていることは、ガス事業が行える低炭素化努力だと思うのですが、これは自主行動計画のチェックというところにも書かれていますが、ガス事業となりますと、天然ガス転換してしまったら、それ以上のことはなかなかできません。従って、天然ガス転換後に行える低炭素化努力とは何かと考えてみると、一つは熱供給といわれる分野をガスは主として担っておりますので、その範囲の中でより高効率化することだと考えます。これについては中上先生からもお話があると思いますが、エコジョーズといったものです。
    もう一つは、今からという話になるのだと思いますが、バイオガスや太陽熱で、ガス事業と言えるかどうかは分かりませんが、熱供給としては自然エネルギーを利用することかと思っております。ただ、スマート・エネルギーネットワークというコンセプトに求められているものは、実はこれではなく、incrementalな努力であって、かなり限界に近いところまで来ていると私はみています。
    もう一つの柱があって、それがエネルギーサービスの範囲の拡大ということです。ガス事業という範囲の中での低炭素化は、大きなフロンティアがあるのではないか。すでに行われているようなコージェネです。熱と電気の併給でもって高効率化していくということで、これは産業、特に業務から始まって、今では家庭用にもコージェネが普及されています。それを担っているのはガス事業です。
    それから発電事業も、電力の自由化に伴ってやっておられますので、この中で高効率化発電をしていくことがあります。それからESCOといわれている省エネサービスを売るということです。それから、多分、佐藤さんからお話があるかと思いますが、面的利用ということで、通常の事業所単位や家庭という単位ではなく、もう少し広い地理的範囲の中での、より高効率的なエネルギー利用ということです。それから、前回お話があったようですが、水素ということです。これらはコンセプトでもあり個別の事業ですが、これらを促進していくインフラとして、スマート・エネルギーネットワークがあるのではないか。今日の話の、私なりの考えた位置づけはそういうことかと考えました。
    そして中身ですが、まず「スマート」は、英語で言うと、「賢い」という意味だと思います。では、どうやって賢くしていくかというと、日本ではITという言葉がよく使われますが、スマート・エネルギーネットワークには、通信にも広げて、ICTと略称し、ICTで賢くなったエネルギーネットワークである。
    そこで、ポイントは何かというと、供給側と需要側を統合していくことに重要なキーワードがあります。スマートグリッドに関しても、私は電力分野に非常に近いので、電力分野にいらっしゃる方は、「日本の電力ネットワークは十分スマートだよ。信頼性も高いし」などという話をされることがあります。そちらの方は、もちろんガス事業もそうですが、供給サイドの情報システム整備は相当進んでいると思います。電力でいえば、配電のところの自動化や、無効電力で電圧制御する。
    あるいはもう少し最近の新しい動きでいえば、基幹の交流の送電ネットワークについても、FACTS(Flexible AC Translation System)ですね。潮流制御は通常、需要に対して発電所の出力を制御して、送電線の中に流れる電流をコントロールしていくのです。とにかく、それぐらいしかできないのです。道路コントロールのように、勝手にここの電気は流れるなというわけには、電力はいかないので、インピーダンスがあるのです。
    ところが、FACTSでは、送電線のインピーダンスを変えていく。あるいは大きなバルクの送電線でも、無効電力を発生させるということで、電源の出力分担を変えなくても送電線インピーダンスを変えることで、長流を変えていくという非常に賢いことができるようになってきました。
    そういったこともあるので、スマートグリッドといっても、新しいものではないと言っているのかもしれません。そういうこともあるとは思いますが、私はむしろ非常に大事だと思うのは需要家との接点です。そこでまずキーになるのが、スマートメータだと思います。ガス事業も電気事業も同じだと思うのですが、ネットワーク産業の割には、お客さんとの接点のところである料金の設定や計量が、かなり原始的です。計量板を見て検針していくのが基本だと思いますが、これは非常におかしなことだと思います。
    小売業であるスーパーマーケットのネットワークでも、コンビニのネットワークでも、かなり前からリアルタイムで、どの地域で何が売れているかを把握できるシステムがあるにもかかわらず、ネットワーク産業である電気やガスは、需給バランスを取っているので、全体の総量は分かっているものの、どこでどのように使われているかが、後にならないと分からないというのは、やはりもう少しスマートにできるはずだと。スマートメータということは、ポジティブに考えるというか、現状を引き上げることが必要だと思います。
    ですから、情報通信技術を使った遠隔検針がありますし、それだけでなく末端の需要家たちにお見せすると、エネルギー情報が見える化されて、それを知ることだけでも省エネインセンティブになるということもあります。
    これは書こうか書くまいか迷いながら書きましたが、この前、全面自由化はどうかという議論をしたときに、電灯という非常に小規模需要家のところまで自由化するときのコストベネフィットを見ると、メータリングというバリアがある。現在のシステムだと、そうなるのです。ところが、ここのところをスマート化しておけば、実はそのバリアは低くなるわけです。自由化がいいか悪いかという議論はいろいろありますが、そういうシステムを変革していくときのバリアを下げることは、いいことではないかと思います。
    それから、そのように情報システムで需要家とつながるようになると、双方向通信が可能になってきます。双方向でなくても、多様な料金メニューはもちろんできるので、双方向通信の前にいれるべきだったと思いますが、今、時間帯別料金や省エネのためにいろいろなことが言われています。今のような検針システムでは、とてもできませんが、スマートメータであれば、十分できるわけです。そういうことをやることもいいことです。
    それとDSM(Demand Side Management)ですが、今の経営ではお客様の需要はgivenであって、それに対して最も効率的に供給サイドを構成するということでやってきたわけです。Demandサイドも、ある程度、経営資源にするということです。例えば料金メニューでもって、ピークを高くしておくということは間接的ですが、これを負荷を直接制御するとか、信号を送るということでもって、Demandサイドを調整して、全体としてSupplyサイドとDemandサイドの両方のオプションを統合して、効率化することができるわけです。そういった大きな変革ができるのではないか。
    さらに、その他付加価値サービスと言っていることは、すでにガス事業でもやっていることとは思いますが、セキュリティ的なことや介護的なことです。要するに遠隔で、どのくらい使っているのかを見て、ご老人の生活の様子を推定するといったことが考えられると思います。
    もう一つは、それと近いのですが、私は電機系に属しておりますので、情報通信関係であるセンサーネットワークを現実にやっております。情報通信は、基本的には人と人との通信から始まっているわけですが、今や機械と機械での通信となっているわけで、それを需要家のところに置かれている分散電源や、需要家のところに置かれているエネルギー利用機器の稼働状況を、リアルタイムで把握することは、すぐ可能とは言わないまでも、非常に実現可能性が高まってきているわけです。それを使うと、いろいろなことができます。これは太陽電池や家庭用コージェネなどを買い取るときに、そういうもののメニューやコントロールです。あるいは太陽電池の場合だと、非常に大量に入ってきた場合には、ある程度、太陽電池の出力の解列といったこともやらないといけません。そのためには、どのくらい出ているかを把握しなければなりませんが、そういったこともできてきます。
    それから、プライベートハイブリッドや電気自動車の蓄電池は、家庭用に充電するときには系統連結されるわけですから、そういうところの全体の協調運転も非常に課題になります。そういう意味で、スマートメータによる全体のネットワークは非常に重要だと思っております。
    もう一つは、よりガス事業分野に近づけると、集中と分散の統合・調整ということです。これは先ほど申し上げたホロニックエネルギーシステムに非常にかかわることですが、マイクログリッドということです。ただ、私の理解としては、マイクログリッドをどうとらえるかはとても難しくて、HEMS(Home Energy Management System)やBEMS(Building and Energy Management System)は、いわゆる所有権のユニットです。マイクログリッドになると、いろいろな地域の広がりです。
    では、これは何がいいのかをいろいろ考えてみると、はっきりしないところがあります。需要側に分散電源が含まれる場合は、制御システムとして、ある適正規模があるということならマイクログリッドなのですが、もしそういう適正規模がないのであれば、逆にマイクログリッドにせずに、大きなグリッドネットワークでやった方が、理論上はいい制御ができます。なぜマイクログリッドなのかということは、考えてやる必要があります。そう考えると、あるいは制御システムとしてあまりに分散で大量に入ってきた場合は、ある適正なサイズがあることは十分に考えられますが、むしろスマート・エネルギーネットワークができるとすると、地理的制約を超えた面的展開ができるだろう。つまり、熱というものは、輸送上の問題から、ある地理的エリアに制約・集約・integrateされるわけです。
    一方、電気というのものはもっと広域に展開できて、コントロールもできるわけですから、そういう電気と熱の特性の違いを考慮した統合ができます。電力はより広域に、熱は適正範囲に統合していくことができるのではと思います。そういう意味で、非常にポテンシャルはあるとは思いますが、いろいろ調べてみても、お話が多いなという感じはします。
    一方、スマート・エネルギーネットワークについて確認しておきますと、ここでも需要と供給を統合することを私は考えております。この中で統合の利益は、ばらばらしている負荷を統合すると、平準化が起こることは確率の法則としてあるわけですし、統合してやれば、供給サイドの規模の経済は使えます。だから、規模の経済はある程度展開して、むしろ燃料電池やガスエンジンなど、小規模でもいけるようになります。この統合の利益は、電力システムなどは、すでに十分に実らせていると思います。片方で、ネットワークに保守性もあることも事実で、標準化あるいは大規模化せざるを得ません。そうすると、競争が起こらないといった問題がありますが、特に平準化の問題は、スマートといった場合は非常に大きいと思います。ICTは非常に進歩が速いですから、どこで標準化するかが非常に難しく、そこを考えることは必要だろうと思います。
    基本的に何がいいかといいますと、先ほど来お話ししていますとおり、電力やガスといったそれぞれのグリッドではなく、エネルギーネットワークとしてとらえて、システム境界を拡大することで、より良い全体最適ができることが根本的・基本的なことです。電力だと、電源構成最適化をやっています。エネルギーネットワークができれば、総合エネルギーの最適化ができるし、先ほど申し上げたように需給統合で最適化できます。これによって、システムの境界がだんだんと大きくなっていき、よりよいシステムが実現できるということです。
    そうすることによって、低炭素で重要な太陽熱や風量といった自然エネルギーを入れるとき、これらは自然変動電源ですから、大規模導入しようとすると、こういう大きな受け入れがあることが基本的にはいいと思います。先ほど申し上げましたが、わざわざ自然変動電源対応の全量のエネルギー貯蔵能力ではなく、利用者として必要なエネルギー貯蔵能力、つまり自動車用の蓄電池や、ヒートポンプ給湯器やガス給湯器などの蓄熱装置などを連携利用・ネットワーク利用することが可能ではないかということです。
    もう一つは、別の視点からなのですが、やはり公共財としてのネットワークということも考えなければなりません。ここが政策的に非常に重要なところで、ネットワークは、競争を通してはなかなか自然に形成されません。過去の例で、電気は割とそうなのですが、それぞれのコアになるところを共同でやってきたりしています。あるいは戦争があって、そこを維持しなければならないなどです。インターネットやアウトバーンなどの例もあります。従って、政策ビジョンが必要となるので、グリーンニューディールなのだろうと思います。
    やはり、エネルギーネットワークは安定・信頼があり、ある意味で中立的でないといけません。これは非常に大事なところで、そこをうまくすればいいと思います。言いたかったことは大体このようなことでして、あとは今言ったことをまとめたようなことです。
    基本的な意義としては、システム境界の拡大による最適化ができて、コスト、効率、CO 2削減もよりよくできます。
    また、あまり言いませんでしたが、需要の選択肢がスマートであることを使えば、例えば品質の要求水準について、日本の電力水準は非常にいいと言われていますが、よすぎるという声もあります。だから、それをdifferentiateすることができます。また、バイオマスのように、いろいろ難しい地域資源を活用できる。また、電力は広域に、熱は適正範囲にといったようにバーチャルネットワークが組めるとか、多様な料金制度ができる。
    また、これもあまり言いませんでしたが、私はエネルギー技術進歩を長い間ずっと見ていますが、技術の進歩と普及の両方とも、いわゆる情報通信に比べれば、遅いです。特に情報技術と言った方がいいかもしれませんが、やはりそこをスマートにすることによって、電力の技術変化に加速を与えたいです。
    ついでに言っておくと、この問題を考えていくと、やはりガス事業の範囲の中だけで低炭素化するのは大変難しいだろうと思います。一方で、エネルギー間競争の公平性ということもあります。分かりやすく具体的に言うと、RPS相当量、グリーン電力証書などのクレジットを、非電力部門でも活用してはどうか。つまり、低炭素化は、全体で達成するものですから、達成しやすいものは、やはり電力システムということがあるわけです。ここで負担を、非電力部門でも持つという仕組みが大事ではないかと思います。
    それと、低炭素化というときに、太陽電池をものすごく推進しようとしていますが、個別技術に特に注目するのではなくて、エネルギーネットワークのようなインフラが重要ではないか。インフラを形成して、その上に乗っかるものは、より効率的で合理的なものを選んでいく。その入れ物を作ることが大事ではないかということを申し上げたかったわけです。とりとめのない話でしたが、以上です。
  • 柏木座長
    どうもありがとうございました。スマートネットワークは、いろいろな定義によっても考え方によっても、ターゲットとするものが明らかになっていないところを、山地流できちっと定義をしていただきました。ありがとうございました。
    ただ、マイクログリッドに関しては、アメリカの場合は、全体の質が悪い中に、一つだけいいものを入れるということで、おのずからあるメガワットクラスの領域を決めて、そこから大きくしようということから始まっていますので、日本のマイクログリッドとはちょっと違うのです。そのあたりを、これからガス事業の中でも、このスマート・エネルギーネットワークという考え方をどのようにもっていったらいいのかは、議論の対象になるのではないかと思っております。いずれにしても、大変なインパクトのあるプレゼンテーションいただきまして、ありがとうございました。
    続きまして、中上委員から「民生部門におけるガスの高度利用システム」についてプレゼンテーションよろしくお願いいたします。

民生部門におけるガスの高度利用システム

中上 英俊(株式会社住環境計画研究所 代表取締役所長)

  • 中上委員
    傍聴に来られた方の配布資料は白黒でしょうから、カラーでないと分かりにくいかと思いまして、パワーポイントを使って前でやることにしました。
    いつものように民生部門ということで、お鉢が回ってくるのですが、民生部門とはご案内のように家庭と業務が入っているので、20分程度で両方やれというのはとても無理ですので、今日は家庭部門に絞ってお話しさせていただきたいと思います。特にガス事業そのものが、家庭用がメーンの市場であったこともありましたので、そういう意味で、そうピントはずれていないと思っております。
    今日の報告内容は、資料5にもございますように、「はじめに」ということで、私の私的な考え方を述べさせていただいて、家庭用の話をご紹介します。それに対してガス業界について、私自身がどういうことを期待しているかということと、さらにもう少し広い視点から締めくくりをするという流れでお話しさせていただきたいと思います。
    「はじめに」は釈迦に説法ですが、エネルギー政策は長期的視野が必要ということは、常にわれわれは忘れてはいけないわけです。こんなことを皆さんにあえて言う必要はないかもしれませんが。二度の石油危機からの教訓で、資源エネルギー庁もできたわけですが、もっぱら省エネルギーということは、脱石油ということがニアリーイコールで使われてきたのではないかと思いますし、特に次ページのグラフにもありますように、電源構成の変化を見ますと、脱石油政策はきわめてうまくいったと私は評価しております。これはご承知のとおり、原子力、天然ガス、石炭によって石油を置き換えていくということで、きわめてうまくいきました。
    これは3ページのデータの左から3番目は、1973年オイルショックのときですが、このときは電源構成の73%が石油依存だったわけです。それが2004年には見事に原子力、天然ガス、石炭という形で、置き換えが進んできたということです。その裏で私がもう一点面白いと思いましたのが、1960年では52%が再生可能エネルギーとなっています。これはほとんど水力です。石炭も、かなり国内炭があったと思われますから、電源の自給率は恐らく7割ぐらいあったのだと思います。グラフの一番右を見ていただきますと、今は11%だけ残っております。石炭はもちろんなくなりましたが、水力発電がなくなってしまったわけではなく、これは需要が5~6倍に増えたということです。これをまた自給率を高めようということで、供給側が何とかしろというのは難しい話で、省エネとセットでないといけないということです。省エネ部会の委員でもありますので、ちょっとだけ宣伝しておきます。
    ところが、地球温暖化と低炭素政策というように大きく流れが変わってきておりまして、石炭火力に逆風が吹き始めたのです。またご案内のとおり、海外のNGOが、わが国は石炭火力が増えており、けしからんと言うわけです。30年かけてエネルギー政策を一生懸命やってきたわけですが、今になって急に変えろと言われても難しい話で、電源立地というのは長いリードタイムを必要とすることはご存じの通りだと思います。ことほど左様にエネルギー政策は時間がかかるということです。
    もう一点、これは今日の私の議題に近くなりますが、電力の負荷平準化とガス冷房普及支援ということです。これは資料の4ページ目に幾つか代表的な事例を書いてあり、たくさん資料はありますが、代表的なものだけ抜いてきました。1980年当時の総合エネルギー対策推進閣僚会議で、ガス冷房の普及促進により、夏期の電力ピークの緩和に資すると共に、LNGの導入促進を図るということです。ガス供給はどちらかというと夏期に余裕がありますので、LNGの拡大利用することも含めて、お互いが協調して、このエネルギーの需要と供給をバランスさせていくという政策が取られたわけです。1980年前後は、電源の立地が需要に追いつかないという時代でしたから、この下にガス冷房の普及が設けられたわけで、それに対応するガスのインフラも整備されたのだと思います。需給が緩和したから、もう要らないというのもなかなか大変な話ですから、これもやはり時間がかかるということの一例だと思います。
    いずれにしても、エネルギーの安全保障とベストミックスが最終的な落としどころだと思いますので、こういう観点からいくと、あまり短絡的に話を進めるのはいかがなものかというのが私の前置きです。
    続きまして、家庭用エネルギーの動向について、ごくごく簡単にお見せしますが、6ページの左側のグラフはエネルギー種別で、右側が用途別です。
    エネルギー種別で見ると、電気だけが直線的に伸びており、ガスはやや増加傾向から横ばい傾向に移行したのがお分かりいただけると思います。
    右側の用途別のうち、やはり伸びているのは照明・家電製品等です。よく家庭用で、どういうところで省エネしたらいいかという話になりますが、中身をいろいろと見ますと、冷房も暖房も給湯も大事ですが、家電製品だけ伸びているのが極めて顕著ですから、ここを何とかしないと、そう簡単には省エネが進まないと思います。余談でありますが、昨今のエコポイントの話で、大型の機器を買うほどポイントの還元が多いということについて、私は反対でありまして、小型のものほどポイントを多くした方がいいのではないかと思うのです。時遅いかもしれませんが、非常に不満に思っております。
    次に国際比較をしてみますと、8ページの図もよく出す図ですが、日本が一番下で、ヨーロッパがほぼ2倍、アメリカがほぼ2.5倍という図です。どこが違うかというと、暖房が圧倒的に違うのです。日本の家庭のエネルギー需要自体は、サチュレートしかかってはいますが、本当に充足しただろうかということです。欧米との差は圧倒的に暖房にあるわけですが、欧米では全館、冬中暖房が当たり前です。わが国の暖房は、個別間歇的な利用が一般的なので、4~5倍の差が出ているわけです。全館冷暖房はないのだろうか、夢なのか。私も建築を長くやっておりまして、こういう研究を40年くらいやっておりますが、このままで日本の居住水準がフィックスされるのは、いささか情けないと思っておりまして、何とかいい方法はないかと思っているところです。
    次に、ガスの位置を少し違った観点から見てみたいと思っております。資料の11ページ目の図は、ガスのシェアを示したものです。下から2番目が都市ガスで、1番下が電気です。先ほどの図にもありましたように、電気だけが伸びていることが、シェアの推移率で見てもよくお分かりになると思います。ガスは一貫して、25%前後を保っているといえば保っているわけです。これを諸外国と比べてみますと、12ページのグラフはアメリカが左側で右側がイギリスですが、アメリカの場合は天然ガスが47%、イギリスは約7割弱がガスに依存しています。エネルギーの需給構造の差はありますから、一概にこれでうんぬんすることはできませんが、わが国と欧米の国を比べたときに、こんな差があるということを少しご紹介したかったわけです。
    次に暖房用のシェアですが、暖房に占めるガスのシェアは、13ページ左側のグラフの下から2番目で、やはり17%近くで、少しずつ増えていて、電気も増えておりますが、大体全般的には、石油つまり灯油を食っているという状況です。
    右側のグラフが給湯用で、給湯用は圧倒的にガスがメーンの市場で、1970年ごろは6割くらいシェアがあり、それからいったん下がりますが、現在は半分ぐらいを都市ガスが占めているということです。都市ガスとLPGは同じガス体エネルギーですが、倍と半分の差があるのは、価格が違うのです。こういった資料をあまりご覧になったことがないかもしれませんが、14ページのグラフは、地域別に都市ガスの単価とLPGの単価を比較したものです。下の点線が都市ガスの平均価格で、上の点線がLPGの平均価格です。6~7割、LPGが高いわけです。従って、LPGを使う所帯で、都市ガスと同じような用途に使えるかというと、高くてなかなか使えないことがお分かりいただけると思います。
    さらによく見ていただきたいのは、同じ都市ガスといっても地域によってかなり差があるということです。関東、近畿といったところは低いわけですが、中国地方あるいは九州を見てみますと、5割ぐらい高くなっていることがお分かりいただけると思います。都市ガスの話をここで論ずるときに、どちらかというと東京や大阪を中心にお話になることが多いかと思いますが、地方のガス会社のおかれた位置も、われわれは少し認識しておくべきではないかと思います。
    続きまして、15ページ以降は、われわれがガス協会からの委託で実施した非常に大規模な実態調査と、大きなモデルを動かした将来予測で、2015年までを予測しました。この結果は空調衛生工学会で発表しておりますので、詳しいデータをガス協会のご好意によって発表させていただきましたので、これを参照していただきたいのです。この中から、二つお見せしたいと思います。
    一つはBAU(Business and Usual)ということで、自然体で伸びていくとどうなるかということについて、16ページの左のグラフで、左の4本は実績、右の1本離れたものが2015年の推計値です。もちろん、これは原油価格あるいは為替レートなどマクロの要素も含んだ値ではありますが、結果として2005年以降は鈍化してきて、過去ほどは伸びていかないだろうということです。これは基本的には、世帯数の増加が頭打ちになるからです。世帯数のピークも、やはり2015年くらいですから、2015年以降はこれとはまた違った絵が描けると思いますので、引き続き今でも研究を続けているところです。
    結果として、電気は依然として増加傾向にあり、都市ガスはほぼ横ばいか微減で、LPG、灯油は減少傾向であることは、右のグラフからご覧いただけると思います。直線的に伸びているのが電気で、黒い丸のついたグラフが合計です。電気だけが伸びていることがお分かりいただけると思います。幾つかシナリオを想定したのですが、ここでは技術進展ケースをご紹介します。どういうシナリオを作ったかといいますと、省エネ政策強化ということで、断熱を義務化する、機器効率の向上が引き続き加速する、潜熱回収型の給湯器やエコキュートの普及、ガス化の進展については、政府の長期見通しをそのまま入れ込みました。そうしますと、18ページのグラフにあるように、将来的には現状より減少するというような推計結果になりました。全体でいきますと、5%ほど家庭消費エネルギーは減るが、電気は21%伸び、都市ガスは16%減るというような、ドラスティックな結果になりました。
    こうやって見てまいりますと、家庭の電化率の上昇は不可避であることが、この結果からも、過去の経緯でもうかがえるわけです。エネルギー産業として、やはり電気という商品を持つことが必須の条件ではないかと思われるわけですから、エネルギーにかかわる方が、ここに新たに注力することが極めて自然かと私は思います。燃料電池は、そのうちの一つですが、私自身は非常に夢のあるエネルギーだと思っております。個人的な見解ですが、ガスにとって、燃料電池というと未来的なイメージで、かなり格好いいのではと思います。これをぜひ明るい未来的なイメージに向けてほしいというのが私の希望です。そこで、燃料電池、太陽電池、蓄電池(これを電池三兄弟というそうですが)、これらがガスエネルギーの救世主なのかと思います。
    21ページは2010年の例で、エネファームと燃料電池、エコジョーズといった高効率の給湯器、それと天然ガスをうまく組み合わせて消費を図っています。これは東京ガスさんから頂戴したデータであり、右の方には省エネのナビゲーション、つまり、見える化を取り込んでいく。これはすぐにでも、今でも手に入る話だと思います。
    もう一点、大阪ガスさんから、2030年の住宅ということで頂戴してまいりました。東京、大阪、の両ガス会社さんからはお二方が委員として出席されていますので、バランスを取って報告しないといけないので、1枚ずつ両社の資料を入れさせていただきました。この場合には、先ほど山地先生からお話がありましたとおり、蓄電池もわざわざこのために使うのではなく、電気自動車の蓄電池を利用しようといったことがいろいろと組み込まれています。太陽光もありますし、燃料電池もあるという話です。
    少し閑話休題ですが、欧米の給湯器については、前回、樋口委員からお話があったかもしれません。アメリカの給湯器の大半は、貯湯型のボイラーでありまして、非常にプリミティブな給湯器ですが、ガス焚きですら貯湯型なのです。日本型の瞬間湯沸かし器は、それだけで、すでに省エネルギーとして評価されているというのが、アメリカの現状らしく、リンナイの社長さんが、これで表彰されたと言われていました。エコジョーズのような潜熱回収型給湯器も、最近ガス協会がこぞって普及させようとしていますが、欧州ではすでに標準仕様となっていますし、これでなければだめだという国もあるそうですから、いわゆるデファクトスタンダード化されているわけです。そういう意味でも、日本ももう少し加速する必要があるのではないかと思います。
    それから、ガス事業をいろいろ見てまいりまして、ガスから新しい住宅への提案は、もともとはガス灯という明かりだったと思いますが、厨房コンロへの普及、あるいは小型湯沸かし器が登場したことによって、主婦は冬の台所での食器洗いなど冷たい水から解放されたということです。ガス風呂の普及から、さらに一歩進んでセントラル給湯システムを作り上げたのも、私はガスの功績だったのではないかと思っております。それから暖房機においても、FF型の暖房機から、セントラル暖房機への展開も、やはりガスの力が大きかったと思います。浴室乾燥機やミストサウナなど、いろいろなものが出てきましたので、私の友人の電力会社の方から聞きましたが、よくも次から次にいろいろなものを出してきて、なかなか電気も追いついていけないなどと聞いたことがありますが、次なる提案は何であろうかと、楽しみにしたいところです。
    26ページは、集合住宅からの提案ということで、これは東京ガスさんから頂戴した資料です。新エネルギー導入への貢献ということで、太陽エネルギーとドッキングさせようというものです。こういうものを組み込むと、必ずガスの売上は減るわけです。私の記憶では、数年前にガス業界にこういう提案をしても、一切こちらを向いてもらったことがないような記憶がありますが、最近はこういう研究が進んできて普及レベルにきたということで、大変喜ばしいことです。
    左側の絵では太陽電池が入っていますが、試作機のレベルでは、手すりの間にあるものが太陽電池です。搬送用のポンプの動力を、太陽電池でまかなうという仕掛けになっております。こういったものが、もう一歩で普及という段階に入っています。
    集合住宅からの提案で、もう一つありますが、こちらに関しては後ほど資料7で樋口委員から詳しいご説明をいただけるそうなので、詳しくは申し上げませんが、各戸から住宅全体の視点でエネルギーマネジメントをしっかりやっていこうではないかということです。集合住宅のメリットは、やはり土地を有効活用したことぐらいしかメリットはなくて、設備の面でいうと、ほとんど戸建住宅がそのまま乗っかっているだけで、本来の集合住宅の設備的なメリットはあまりありません。なぜそんなことになってしまったかというと、住宅の暖房レベルが、あのレベルでとまってしまっているということです。熱を集合住宅で相互に共用しようとすると、ロスが非常に大きくなってしまうこともあったのだとは思いますが、そういう意味では、集合住宅の設備のあり方は、もう一歩も二歩も進んで、大胆な提案をしていただきたいと思っております。むしろ燃料電池は、ここで一番格好いい使い方をしてほしかったわけで、多分していただけるとは思います。後で詳しいご説明があるかと思いますので、この辺にさせていただきます。
    もうそろそろ終わりにしますが、エネルギー間の競争は、消費者にとってはどうだったのかということです。私の個人的な考えでは、エネルギーと住宅設備についていうと、石油が住宅暖房を作ってきたわけです。石油ストーブが来たから、われわれには暖房という概念が普及してきたのだと思います。
    都市ガスは厨房、給湯、暖房のセントラル化に対して、大きな寄与があったということです。もちろん、電力は照明やAV機器に対してサポートしたわけですが、機器の開発という意味では、電力は、石油やガスに比べると相当遅れていたということです。これはある意味仕方がないのは、兼業規制があり、昔の段階では照明器具・電灯に電力会社が寄与したことはありましたが、その後は電力会社は、機器そのもの開発はある意味でタブーだったわけです。しかし、今後はぜひ積極的な提案をしていただきたいと期待をしております。
    こういうものを見ますと、エネルギーには指定席があったわけですが、指定席から自由席になった。立ち席特急券で、座る所がなくなる人が出ると困るわけですが、競合が新たな利便性や快適性につながるような方向で自由競争をやっていただきたい。これは後ほどもう一回触れてみたいと思います。
    終わりに、長期的には人口は減少しますが、社会はシュリンクしていく。必然的にエネルギー需要は減少していくと思います。省エネルギー社会、加えて温暖化ということになりますと、エネルギー需要の減少をいっそう加速させることになると思います。そうすると、縮小社会におけるエネルギーの有効活用は、非常に大きなテーマになってくると思います。先ほど山地先生のお話にもありましたが、日本ではマイクログリッドをやるまでもなく、マクロの面でも非常によくできているということでしたが、素晴らしいインフラがガス・電力にもあるわけですから、有効活用していくべきだろうと思います。改めて、エネルギーの安全保障とベストミックスを、再検討すべきではないかと思います。
    余談ではありますが、途上国の発展と爆発的なエネルギー需要の増大ということは、われわれ先進国に何を求めているかということです。優れたエネルギー需給システムをわれわれは構築してきたわけですから、ぜひこういった技術やノウハウを、途上国の支援に積極的に活用すべきではないか。それがひいては、エネルギーの安全保障政策に寄与するのではないかと私は強く思っております。
    最後に、エネルギー産業間の協調の時代ということで、先ほどお見せしましたとおり、1980年ごろはまさに協調でした。これも余談ですが、コージェネレーションの研究会に私が参加したのは1975年でしたが、このときは、まさにエネルギー産業間の協調というテーマで始まったのです。エネルギー需給が緩和し、供給が余裕を持ってきますと、これがかえって競争ということになって、競争の時代になったわけです。しかし、むしろこれからは競争も必要ですが、競争とともに、従来やったような協調で、改めて相互で補ってやっていかないといけないのではないかと思っております。
    また、エネルギー自体が総合的・複合的な転換を否応なしに迫られています。これも先ほどの山地先生のお話にもありましたが、単にエネルギー供給だけではなく、サービスをもっと広く考えるべきだという展開を考えるべきだろうと思います。結果として消費者にとっていいものであり、なおかつ地球環境にとってもいいものでなければ、市場から退いていただかなくてはなりません。目的はあくまで、消費者や地球環境にとって最適なエネルギー解は何であるかということを、供給の立場だけでなく、需要の立場にも立って、ぜひ提案していただきたいと思うわけです。ちょっと長くなりましたが、以上でございます。
  • 柏木座長
    どうもありがとうございました。ぴったり20分ぐらいです。中上委員は実際のデータに基づいてお話しされていますから、複眼的な視点を踏まえて、示唆に富んだお話でした。ありがとうございました。
    佐々木委員と嶋津委員は、何かご質問等ございますか。
    それでは、佐藤常務のお話に移らせていただきます。佐藤さんよろしくお願いします。

都市設計からみた民生部門のエネルギーモデルのあり方-民生部門・輸送部門のガスを活用した低炭素社会、まちづくり、面的利用等―

佐藤 信孝(株式会社日本設計 常務執行役員)

  • 佐藤常務
    日本設計の佐藤でございます。今、中上先生から住宅系のお話がございましたが、私は低炭素化を中心に、都市のエネルギーモデルのあり方というテーマでお話しさせていただきます。
    今日は民生部門特に、特に業務系の低炭素化についての、背景とエネルギーの面的利用の意義、そして都市における面的ネットワーク的モデルの評価、最後にガス事業のあり方という流れでお話しさせていただきます。
    まず、資料6の3ページはよく目にするグラフですが、二酸化炭素の起源は、ほとんど90%がエネルギー起源であるということです。右側は、部門別のエネルギー起源の二酸化炭素の割合を示したものですが、これからお話しします民生部門は、業務系と住宅系が全体排出量の約3分の1を占めていることになっております。それから、業務系の中で、どういう用途で二酸化炭素が排出されているのかという割合を示したグラフが4ページです。この中で見ますとやはり事務所ビルが非常に大きいことが分かります。併せて商業系施設も、同じレベルで排出していることが分かります。
    事務所ビルにおけるエネルギー消費の内訳を示したグラフが右側です。このグラフの右側部分の熱源から換気および空調までの用途がいわゆる冷暖房領域であり全体の約2分の1を占めています。その他は照明・コンセントや昇降機といったものです。やはり冷暖房空調機器のエネルギー消費を抑制することが、省エネルギーには非常に効果的といえます。
    それでは、われわれはどのような考え方で建築物を設計しているかといいますと、建築物の省エネルギー基準に従って設計を進めます。5ページは非常に概念的に建築物を表したものですが、建築物自体の熱負荷をできるだけ抑制することが設計の基本となっています。法律ではPAL(Perimeter annual Load)という指標が基準値として定められており、できるだけ断熱をきちんとする、あるいは日射遮蔽を考慮した建築物の造り方をするといったことです。まず建築物の熱負荷をできるだけ抑制するということが基本的な対策となります。
    そしてこれらの熱負荷を処理するための空調設備及び照明コンセントなどに電力を供給しますので、ここでエネルギーが消費されるわけです。その他にも昇降機や給排水などの設備においてもエネルギーが消費されるのです。そうしたときに、このシステムそのものの効率性を評価する指標が決められております。つまり負荷を処理するために、どのぐらいのエネルギーを使うのか。この比をCEC(Coefficient of Energy Consumption)という概念で指標化しており、その基準値を法律で定めております。同じ熱負荷を処理するにしても、この数字をできるだけ小さくするような、エネルギー効率の高い設備を入れてエネルギー消費を抑制するのがCECの概念です。
    次に、こういった前提の中でわれわれが建築物を設計する際に、どういったシステムを選択するのかということですが、例えば1万m 2以下の小規模建築ですと、最近では分散型の空調機を利用するケースが多くございます。例えばEHPと呼ばれる電気のヒートポンプですとか、あるいはGHPと呼ばれるガスのヒートポンプシステムを個別分散で入れていきます。ある程度規模が大きくなってきますと、熱源を集中化して冷温水をつくり、各空調機で空調するというシステムです。ただ最近は、大規模なものに対しても、分散型システムを導入していくというケースが増えています。これは個別空調機器の機能性や効率性が向上してきていることに起因しています。
    それから、地域レベル、都市レベルという観点で見ますと、複数の建物にエネルギーを集中化して、冷暖房をするようなことが出てまいります。これを一般に地域冷暖房と呼んでおります。このような規模の場合には、例えば清掃工場の排熱を利用したり、近くの河川水の熱を利用しようといったときに、個別分散型システムでは利用ができませんので、こうした集中熱源のシステムの中に取り込むことで活用が可能になるということです。
    7ページは、京都議定書の目標達成計画に、省CO 2型の都市デザインということがうたわれています。従来建築物単体で対策していたエネルギー対策を、面的な広がりの中で解決していこうということです。即ち点から面への視点の拡大ということを狙ったものです。ここでは面的エネルギー利用の形態について三つのイメージを挙げております。一つは従来の熱供給事業型で、エネルギープラントから周辺に熱を供給するものです。もう一つは、こうした熱供給事業に該当しない、隣接の建築物に熱を供給するもので、事業認可を得ない地点熱供給がこれに当たります。それから、すでに熱源を持っている建物同士がエネルギーを融通しあう形があります。ある建物の冷房需要が大きくて大量の排熱が出るといった場合は、隣接ビルに熱需要がある場合に供給することで排熱を有効利用できます。これも面的なエネルギーの利用の一つということで、促進する方向になっております。
    ところで、地域冷暖房がエネルギー効率的にどうであるのかということは一番注目すべき点です。グラフは、横軸が対象建物の延床面積で、縦軸が総合エネルギー効率です。効率が高い方が、小さいエネルギーで負荷を処理できるという意味です。個別熱源システムが三角で、地域熱供給システムが丸です。このグラフでわかることは、個別熱源でも非常に効率が高いものもありますし、地域熱供給でも高いものや低いものが、それぞれかなりばらついていることです。
    これをデータで示したものが次の数字です。これは試算ではなくて、実績値に基づいたデータで、個別ビルについても、111件分の実データをベースに計算しています。まず、熱供給事業までいかない地点熱供給の場合で、約8.2%のエネルギー削減になっています。地域熱供給システムで約10%削減、さらに地域熱供給に未利用エネルギーを組み合わせたケースですと、20%ぐらいエネルギー消費を抑えることができるということです。これはいずれも平均値の話ですので、グラフで示した三角、四角、丸についての平均値であります。
    そういうことで、集中化のメリットを簡単にまとめますと、集約効果が一つあります。いろいろな建築物の負荷需要を重ね合わせることで、設備容量を小さくすることができます。また、用途混在があると、例えばオフィスで冷房があると、その排熱をホテル等の温熱に利用できることがあります。それから熱源機器というのは、非常に部分負荷運転が多いのですが、集約することで部分負荷効率が高くなります。また、規模効果としては、再生可能エネルギーや未利用エネルギーなどが活用できます。それから先ほどから話題に出ております分散型電源の導入も可能になります。
    更に運転効果としてこういった地域熱供給は、エネルギー管理のプロが運転管理するのが通常ですので、高度で高効率な運転をすることができるといえます。この図は集約効果の一つの事例ですが、事務所と住宅の冷房負荷を単純に重ねたものです。これらは個別でやっておりますと、それぞれの熱源装置容量が必要ですが、これを重ね合わせると、この負荷曲線に合わせた熱源容量でいいということで、これが集約効果になります。
    このグラフには、ホテルや住宅の給湯負荷をあわせて示していますが、ここで冷房をするということは必ず排熱があるわけで、この排熱を給湯などに利用することができるという意味です。
    次に、分散型エネルギーシステムの導入効果について、当研究会の委員でもあります村上周三先生を座長としたサステナブルタウン調査委員会の報告書の一部を紹介させていただきたいと思います。分散型エネルギーシステムは、大規模集中型のいわゆる系統電力に対して、都市ガス供給網を利用して、特定のエリアに天然ガスコージェネレーションを導入して、電力を供給すると同時に、その排熱を冷暖房に利用していくというものです。この場合には、先ほどから説明しております個別の建築レベルではなしえない省エネルギーを、街区全体で達成することができます。もう一つ、オンサイトでエネルギー発生源を持つことになりますので、非常時にも重要地で一定機能を維持したBLCP(業務と生活の継続計画)に貢献することができるのではないかということです。
    東京都内を想定して幾つかモデルを作成し、フィージビリティ・スタディを実際にやってみたケースです。これは新規面開発のモデルで、区域面積約5ヘクタール、延床面積30万m 2のモデルです。2番目は、既設の地域冷暖房を核にその周辺の需要を取り込んで高効率なシステムを拡張していくモデルで、これが約9ヘクタール規模です。もう一つは、既存の地域冷暖房を連携し、ここに高効率システムを入れることで、全体の効率を高めていこうというケーススタディです。今日は時間の関係で、この新規面開発の例だけご紹介させていただきます。
    全体のシステムのイメージは、このように集中プラントがあり、住宅や事務所などがあり、ここに自然エネルギーや再生可能エネルギーを導入しようということで、太陽光発電、太陽熱給湯、それから河川水や下水管線への放熱利用を組み合わせています。
    14ページに計算結果を記載していますが、エネルギーとCO 2の評価をしています。これらのグラフは、これが建物個別のケース、熱融通のみのケース、それから分散型エネルギーシステム、いわゆるコージェネレーションを拡大していったものです。評価の結果は、分散型電源を拡大するほど、省エネルギー率は上がっていくということで、分散型では約20%のエネルギーの削減になっています。これに再生可能エネルギー、未利用エネルギーを加えますと、約30~35%くらい削減できています。更に、再生可能エネルギー、例えば太陽光発電は入れれば入れるほど削減効果は大きいということですから、ネットワークの作り方によって、削減率はもっと上がってくることが可能性として言えます。
    15ページは費用対便益で、「便益/かかった費用」で計算してみますと、分散型エネルギーを大きくしていった場合と、再生可能エネルギーと未利用エネルギーを入れた場合を比較すると、1はバランス点ですが、分散型エネルギーシステムの規模を大きくするほど費用対便益は大きくなります。規模が小さい場合は1に近づき、再生可能エネルギーを入れると、どうしても費用が上がってしまい、費用対便益の効果が十分に出ないという結果になっております。この辺は、再生可能エネルギー利用に関わるイニシャルコスト負担が大きいことに起因しており、今後こういった再生可能エネルギーを利用することの環境価値をどうみていくかということや、その他の集約化による便益をコストにどう置き換えていくかが非常に大きな課題であると考えております。
    16ページが全体のケーススタディの結果で、一次エネルギーとCO 2削減量の削減率が参考として示されています。
    最後に低炭素社会におけるガス事業のあり方に関してですが、まず基本認識です。エネルギー基本計画の中に謳われていますが、石油・石炭・原子力・天然ガスなど、エネルギー源として多様なエネルギーで構成するということが一つ目です。それから、やはりエネルギー基本計画の中に、大規模集中型のエネルギー供給(電力供給)と分散型エネルギーを調和していこうという方針も示されています。次に非化石エネルギー(新エネルギー、原子力など)の利用とエネルギーの高度利用の開発及び導入促進も基本的な方向性であろうと考えます。
    もう一つ、ここに加えたのが、冷暖房エネルギーは、排熱利用を基本として考えるということです。都市における冷房需要は非常に大きいのですが、その排熱はほとんど捨てられているのが実態です。熱は、できるだけ熱のかたちで利用していくことが基本だろうと考えております。熱はエネルギーの墓場と言われておりまして、どのようなエネルギーを使って仕事をしても、最終的には熱になってしまうということですので、低レベルの熱エネルギーをできるだけ使っていこうという理念です。
    18ページに、面的・ネットワーク的エネルギー活用による低炭素街づくりへの貢献ということで、今後のガス事業への展開を幾つか述べさせていただきます。一つはガス事業からエリア・エネルギーマネジメント事業の担い手へという点で、電力事業とガス事業の境界がなくなりつつある現状において、エネルギーをサービスするという事業に転換していくという姿勢です。もう一つは、面的な開発でなければ実現できない高効率かつ需要家ニーズに対応したトータルエネルギーシステムを開発していくということです。それから今後拡大が見込まれる再生可能エネルギーや未利用エネルギーを、そういった面的活用の中に取り入れていくための技術開発を促進していくことです。さらに中水道や上水道、ごみ処理などの都市施設と連携したエネルギー供給のあり方も検討していくことが必要だろうと思います。
    19ページは、エネルギー事業の一つの考え方を示したものです。従来、エネルギー供給事業者が地域冷暖房事業を行っているケースがかなり多いのですが、実は建築物全体のエネルギー消費の内、熱の部分は25%ぐらいですので、建物全体のエネルギーマネジメントをするためには、二次側空調設備まで含めた運転管理サービスをしていくことが効果的ですので、このケースは二次側まで事業を拡大したケースを示しました。
    また、熱供給だけではなく、電力や情報化など諸々のサービスを含めて事業を拡大していくといった方向もあるわけで、こういったものを総合化したエリアのエネルギーマネジメントシステムを構築し、その担い手として、ガス事業が拡大していくという道もあるのではないかと考えています。
    20ページは、トータルエネルギーシステムについては、先ほど来説明しております通り、分散型エネルギーシステムに、再生可能エネルギーや未利用エネルギーを組み合わせることで省CO 2化を促進することができます。こういった高度のエネルギーシステムを展開する中で先端的技術開発を先導していくことも必要かと思います。
    それから21ページは、再生可能エネルギーと未利用エネルギーの例で、東京都における賦存状態を表した分布図です。都心部の蒸気の熱源エネルギーの試案図が提案されております。海外の例で申しますと、北京は600km、ベルリンは550km、パリは400kmという熱源ネットワークの規模を持っておりますが、東京は試案で示した通り40kmですので、熱のインフラとしてはまだまだ未整備ではないかと考えております。
    最後に政策への展開という課題ですが、このような都市における面的ネットワークを拡大していくためには、どうしていけばよいのかということです。われわれが日々設計を行っている中で感じるのは、上位のところでエネルギー政策を展開していく必要があるのではないかということです。例えば再開発などの都市計画マスタープランに、エネルギー政策を組み入れていくことです。一般に都市計画は、道路計画や樹木整備、公園整備などが対象ですが、エネルギーシステムをどうするか、あるいはCO 2の削減目標を提示することなど、環境対策や省エネルギー対策を上位計画で示し、地域のコンセンサスを得ていくことが必要だと思います。
    また促進策を上げるならば、例えば容積率の制限の緩和も必要だと思います。プラント面積などは、公共財として容積率から除外してもよいのではないでしょうか。それからインフラ整備における障害の除去という点では、例えば清掃工場の排熱利用のための導管整備は、個別事業者の負担では、決して実現できません。公共財として全面的に公的な支援が必要ですし、道路占有などの扱いにおいても都市施設としての位置づけが必要です。一方、需要家側に関しては、対象敷地と未利用エネルギーの賦存状況によっては、利用義務を課すなどの一定の規制が必要ではないかと思います。需要家としての事業者や利用者は、自分のところは自分でという意識がかなり強いので、空調設備やエネルギー基盤を共用することに関しては拒否反応を示すケースが多いのです。エネルギー政策を実効的に展開するには、ある程度の義務化も必要ではないかと考えております。
    だいぶ早口になってしまいましたが、ありがとうございました。
  • 柏木座長
    大変重要な内容をご指摘いただいたと思っております。ありがとうございました。特に面的利用のメリットを、実際のデータに基づいて出していただきましたし、排熱等の熱インフラのあり方については、今後この低炭素型社会におけるガス事業を考えるときには、きわめて重要なポイントになるだろうと思っております。いみじくも最初に山地先生がおっしゃった公共財としてのインフラと、今佐藤さんが紹介してくださった排熱を統合した形を、どのように統合すべきかということでしょうね。どうもありがとうございました。

フリーディスカッション

  • 柏木座長
    これからフリートーキングに入ります。この会議はまだ中段階でございまして、あと1、2回は行いますが、忌憚なご意見をいただきながら会議を進めていきたいと思っております。
    もし佐々木委員と嶋津委員から何かありましたら、先にご発言いただければと思います。
  • 嶋津委員
    質問なのですが、佐藤さんのお話の終わりの方に出てきました、世界の主要都市の熱源ネットワークのキロメートル数についてです。東京の場合は、北京やベルリンに比べて圧倒的に短いのですが、東京はそういった都市に比べると暖かくて、そういった街づくりの発想がもともとなかったのか。それとも、例えば22枚目に社会的な問題があると書いていたような、そういうことをやろうとしても、それができない幾つか社会的な問題があると言われましたが、その辺はどのように考えればいいのかを教えてもらいたいです。
  • 柏木座長
    佐々木委員は他に何かございますか。少しまとめてご質問やコメントをいただいた上で。この件については、佐藤委員も、村上先生もご造詣が深いと思いますので、適宜フリートーキングをどうぞ。
  • 佐々木委員
    一つは山地先生にご確認させていただきたいのです。大変貴重なお話をいただけてありがたく思いますが、資料内の1番の最後のところで、地理的制約を超えた面的展開というお話がありました。ネットワークを考える上で極めて重要だと思うのですが、もう一点、前回の資料の最後にありました、水素や熱については貯蔵が可能であるということを考えると、地理的制約に加えて、時間的制約を調整することが、このネットワークの上でも似たようなことがあるのかということを、ご示唆があれば教えていただければと思います。
    それから、本日、佐藤さと、特に中上委員からご指摘いただきました、住宅におけるエネルギー消費の方向を考えていく上で、わが国の居住水準を今後どのように考えていくべきなのかを、これから議論させていただければありがたいと思っております。
  • 柏木座長
    最後のは、コメントでよろしいですね。
    今のお二方からの質問に関して、まずは佐藤さんからお願いします。
  • 佐藤常務
    今のご指摘は、まさにそのとおりです。ここに示しました北京、ベルリン、パリ、また記載しませんでしたがニューヨークもかなりネットワーク整備が進んでおりますが、いずれも寒冷地です。やはり生活基盤としての電力や水の供給と同じように、暖房システムが整備されており、あって当たり前という認識がそもそもあったと思います。
    日本全体で申しますと、暖房のためのエネルギー消費が大きかったと思いますが、東京だけでいいますと、実は冷房エネルギーの方が大きいのです。暖房基盤の必要性が、欧米ほど大きくなかったと考えられます。ただ、札幌の都心部は、高温水の地域暖房がかなり古くから進んでおりまして、そういった意味でも地域性は大きな要因ではないかと思います。
  • 柏木座長
    ありがとうございました。山地委員から何かございますか?
  • 山地教授
    ご質問ありがとうございます。ご指摘のとおりで、地理的制約だけでなく、時間的制約の問題も重要です。思い出すのは、新国家エネルギー戦略のときでしたか、「時空を超えたエネルギー利用技術」という、なかなか文学的な表現がされましたが、まさに時間の問題はエネルギー供給上、非常に大きな問題です。これは電気も熱も両方ともに言えますが、特に電気の場合は、瞬時、瞬時のバランスということで、時間調整は大問題です。
    ネットワークで対応できることは、ほかのところに少し書きましたが、そのために従来の電力システムは、例えば揚水発電であるとか、負荷変動に応じてFC容量ということで調整電源を常に持っています。ただ、われわれは量しか見ないのですが、タイミングをとることに随分コストを払っているのです。アンシラリーサービスという形で、新規参入者の方にサービスを与えることをしているようです。
    だんだん理解されてきたのですが、その点でも、私が申し上げた中で先ほども少し言ったのですが、需給統合すれば、需要家側のインセンティブとして持っているエネルギー貯蔵設備、つまり電気の場合は、電気自動車あるいはプラグインハイブリッドのバッテリーが非常に大きいと思いますが、それの活用可能性が出てきます。そこでおっしゃるような時間的な制約の壁を、もちろんこれで完全にとは言えませんが、ある程度は乗り越えられる可能性がある、しかしそのためには、情報通信ネットワークが必要だということを申し上げたかったわけです。
  • 柏木座長
    ありがとうございます。村上先生、今の都市計画と排熱パイプラインが、日本がいかに少ないかということに関して。
  • 村上委員
    佐藤委員も指摘されましたが、熱需要の構造がヨーロッパと日本ではだいぶ違います。中上委員からも指摘がありましたが、基本的に異なるので、今後日本でこういうものを伸ばそうとすると、日本モデルやアジアモデルという形で、新しいエネルギーの需要、供給のシステムを考えなければならないと思います。
    別の視点として、もしパリやニューヨークやベルリンや北京が、今改めて都市を作るとなったときに、どういう熱供給システムを作るかということも、考えてみるといいと思います。ああいったものを作ったかどうか。というのも、今は小型の機器が進歩していますので、当時とは事情が大分違うと思います。いずれにしても、日本における面的エネルギーに関しては、コストベネフィットに関する社会の十分な認識が、未だ得られていないと思います。ですから、佐藤委員の資料にも少しありましたが、コストベネフィットに関する検討を十分にやって、単なるエネルギーベネフィットだけではなく、ノンエネルギーのベネフィット、例えばセキュリティの問題なども含めた、幅広いベネフィットを、市民の方に理解してもらわなければ、普及の力は出にくいと思います。
  • 柏木座長
    ありがとうございました。一応、今もご質問が出ましたが、これからフリートーキングに入りたいと思います。札を立てていただくというルールにのっとっていただき、順番に指名させていただきます。いかがでしょうか。では、村上先生お願いいたします。
  • 村上委員
    この会議はガス事業のあり方の検討が目的であると思います。特に民生の立場から、エネルギーサービスと生活サービスという二つの側面についてお話します。エネルギーサービスにつきましては、山地先生あるいは中上委員から大変的確なご指摘がありましたように、やはり電化率の向上は、日本も世界も、発展途上国も先進国も、避けられない傾向です。ですから、これは大前提として認めた上で、どうやってガスの事業の展開を図るかということが必要です。従って、都市ガス事業が、熱エネルギーサービスと電気エネルギーサービスをセットにした、総合エネルギーサービスを進めるべきであるということについては皆さんも同意されていると思います。
    そのときの特徴の一つが、オンサイトで熱やエネルギーを作ることで、それは電力事業と比べた場合に非常に違う点です。その特徴を十分に活用すべきだろうと思います。
    次に、総合エネルギーサービスを拡張して生活サービスという面について申し上げます。ガス事業というのは明治以来、厨房や給湯を中心にして、日本の生活文化の近代化に大変大きな貢献を果たしてきたわけです。実際、ガス事業というのは今でも、家庭の中の主婦と密接なコンタクトを持ってサービスを提供しているわけです。今後の低炭素社会を考えたときに、ハードだけでなくて、ライフスタイルのイノベーションが必要だということです。
    例えばゼロエネ住宅を考えたときに、ゼロエネ住宅を造ることは簡単ですが、いいハードを使っても、ユーザーがじゃぶじゃぶエネルギーを使ったのではゼロエネ住宅は実現されない。ということで、必ず省エネ型のライフスタイルが伴わなければ、トータルの省エネは達成されないのです。ライフスタイルイノベーションが必要です。ガス事業は生活トータルに対して大きな影響力を持っていますので、総合生活サービスということもぜひこれからの事業の中に入れていただきたいと思います。総合エネルギーサービスと総合生活サービスの二つの展開のあり方を、ガス事業として検討いただければありがたいと思います。
  • 柏木座長
    大変重要な、供給と消費者サイドの両方という話ですね。ありがとうございました。
    それでは、永田委員、高橋委員、崎田委員の順番でお願いします。
  • 永田委員
    今日は中上先生が、家庭用のエネルギー消費についてお話いただきましたし、お三方の委員の先生方には、消費者にとってはなかなか知りえないような重要な情報を提供していただいたと思いますので、感謝申し上げます。プレゼンいただきました中で、家庭用エネルギーの消費の推移については、非常に興味ぶかく拝聴しました。用途別で、暖房や給湯が右上がり、家電の伸びが非常に大きくなっていることは、生活実感からしてもまさにそのとおりだと思いました。そして電気がますます伸びていくだろうという推定についても、さもあらんという感じで拝聴していました。
    そのときに、やはり電気だけ伸びていっていいのかというあたりがあると思うのですが、私たち消費者が見まわした時にエネルギーのリスク管理の点から言いましても、身近なところに、いろいろなエネルギーがあった方がいいと考えますので、単一ではなくて、未利用エネルギーや再生可能エネルギーなど、もろもろのエネルギーのベストミックスがいいと思っております。ですから、需要家側の視点に立ったエネルギーベストミックスの重要性について、しっかりと表現していただきたいと思います。
    もう1点が、低炭素社会の構築に向けて、まちづくりガイドラインといったものを策定していただければ、数多くの人々に、こうした取り組みの有用性が理解されるのではないかと思います。スマート・エネルギーネットワークとか、面的利用であるとか、地域での電気や熱の相互利用など、素晴らしい情報をいただきましたが、なかなかそれが一般の消費者まで届かないと思います。現実、建物を建てるときは、消費者には情報が必要です。大きい建物であればゼネコンが立てるので、そういった情報も十分にいきわたっているのだと思うのですが、個々の消費者にとっては、省エネ家電もそうなのですが、お店や建築家や大工さんが提案してくれることがやはり重要ではないかと思います。建築家の方々一人一人に至るまで、そういう情報がいきわたるようなシステムを考えて、構築していただきたいと思っております。
    三つ目は、家庭でダブル発電のように、複数のエネルギーを組み合わせて低炭素社会の一翼を担うことは十分可能だと思います。そのためには、そういった機器やシステムが普及するような支援策を構築し、考えていただきたいと思いますし、同時に需要家や消費者に対して、十分に周知・広報をお願いしたいと思います。
  • 柏木座長
    ありがとうございました。多様化とガイドライン、普及策についてですね。
    順番ですと、高橋委員、その後が崎田委員ですね。
  • 高橋委員
    どうもありがとうございます。前回は、出張があって欠席して失礼いたしました。
    前回の内容について、エネ庁でまとめられたものを先ほど拝見しました。遠い将来は夢があるが、近い将来は家庭用はガスが減るということで、心が千々に乱れる思いです。単体の機器だけでなく、いい機器をどうやってシステムにして提供するかが、家庭用でも業務用でも産業用でも必要だということを、今日のお三方のお話を聞いて理解したと思っています。
    特に熱電併給、コージェネレーションやトリジェネなどいろいろありますが、一つの燃料を用いて熱と電気を供給する、それもオンサイトで行うことの良さをどうシステム化していくかといった点についてご示唆をいただいたと思います。
    また村上先生からのお話について、ガス事業者が総合エネルギー産業や、総合生活サービス産業に近いうちに取り組んでいかなければならないことが、よく理解できたと思います。
    そして山地先生のお話にもありましたが、EUでは欧州開発フレームワーク計画があり、その中の一つとして省エネルギーの関係で、スマート・エネルギーネットワークを提案しています。まだ具体的になったわけではなく、コンセプトの段階だろうと思いますが、日本全体を考えた場合は、電力、ガス、その他の熱源のシステムを、どううまくシステムを作っていくかが重要であることから、われわれも研究しなければいけませんが、行政の方に研究いただいて、提案していただきたいと思います。別に欧州に負けるなというわけではありませんが、あれだけの広い地域でありながら単一市場になったとの考え方のもとでどうやっていくか検討されている。日本でも同様と思うので、われわれも研究しますが、ぜひ行政やNEDOなど、いろいろなところで研究していただくようにお願いしたいと思います。
  • 柏木座長
    ありがとうございました。それでは崎田委員、どうぞ。
  • 崎田委員
    ありがとうございます。今回、皆さんの発表を伺いまして、特に民生部門の家庭や地域事業者の部分でのエネルギー消費が、90年以降3~4割上がっている中で、暮らしや地域の中で、きちんと面的に改善していくことがどれだけ大事かということを痛感しました。その改善するときに、どんなことが大事かということが、今日の皆さんのご発表だと思っているのです。
    私は一つ、非常に大きく大事だと思ったのは、今大きく変化をさせる時だということを、すべての事業者をはじめ市民が、皆でそれを自覚して作っていくことが大事なのではないかと思ったのです。やはり2050年にCO 2を、60~80%削減しなければならないというのは大変な数字ではありますが、逆にこういったエネルギーを効率的に使った都市づくりや住宅づくりをして、私たちがライフスタイルの中できちんと実践すれば、みんなで作っていけるのだということが見えてくると思います。
    ですから、先ほど中上先生のお話の中で、協調の時代から競争の時代へという中で、競争だけではなく、連携してというお話がありました。競う「競争」ではなく、共に創る「共創」、新しい時代を共に創るという「共創」の時代だという基本的認識を持つことが大事ではないかと思っています。
    それをやっていく上で、幾つかポイントがあると思うのですが、今日伺ったことに私は市民として参加をさせていただくところからいくと、まず市民が皆でこういう状況を理解する、学ぶことが大切だと思います。基本的には、天然ガスはもちろんCO 2を出している化石燃料ではありますが、天然ガスを効率よく使って、社会の中で本当に重要なエネルギーなのだという基本的な理解が大事です。それと共に私たちが暮らしの中できちんと大事に使っていくとか、これから住宅の中で燃料電池を使うことを考えていくことが大切だという、きちんと基本的なエネルギー学習をしていく。その中に、ガスをどう利用するかということも入ってくると思います。
    なお、私は地域の環境学習などをやっています。地域の環境リーダーの募集ということで、10回ぐらいの連続講座を毎年やっていますが、年々、男の方の受講が増えています。特に、シニア世代近くなった方で、今後、自分がどう社会貢献しようかと勉強しに来る方も非常に増えています。そういう意味で、こうした面的利用や住宅改善のお話は、主婦の方だけでなく、男性の方には大変大勢の若い学生の方もいるので、プログラムをそういうところにどんどん広げていくことが大切だと思います。
    もう2点ほどですが、一つは事業者が、電気とガスと熱をミックスして自由に考えて、効率よく使っていくことを考えていけるようになることがとても大事だと感じました。それは、ガス事業者が電気もガスも考えていくという方法と、電気事業者も交えていろいろと考えていくといったやり方があるとは思いますが、私は電気事業者とガス事業者と熱利用とが連携して、共創社会を作っていただきたいと思います。
    また政策誘導としては、先ほど村上先生もおっしゃいましたが、イギリスなどでやっているゼロエミッション住宅の政策を入れる。都市間カーボンオフセットのような排出量取引を自治体間で入れていく。あるいは、自治体が地域の省エネルギーの地域計画を作ることを政策の中に入れていくことなどが大事だと考えました。よろしくお願いします。
  • 柏木座長
    ありがとうございました。大変重要なポイントだと思います。
    続きまして、樋口委員、野口委員、小山委員、前田委員という順番でお願いします。
  • 樋口委員
    資料の最後に資料7がついておりますので、それを参考にしていただきたいと思います。今日のプレゼンの中で、分散型のエネルギーシステムを中核にした需要サイドでのエネルギーのベストミックスが非常に大事であることが示されたと思います。そういった意味で、熱や電力などを一か所だけで考えるのではなく、相互に融通していくための技術開発が必要であると考えております。
    前回、少しお話しましたが、当社ではネクスト21という実験集合住宅で、住戸間で熱や電力を融通するシステムの実証を行っております。今日は少しデータを交えながら、ご紹介させていただきたいと思います。一つは、水素駆動の燃料電池の電力を、住棟内で融通している例です。水素製造装置を屋上に設け、集合住宅の各戸に水素を供給する、ローカルの水素ネットワーク方式を想定したものです。この水素で駆動するPEFCからの、電力の融通効果を実際に測定しました。2年間、実証を続けており、そこで得られた、各戸に独立して燃料電池を設置した場合の省エネルギーの効果と、融通することによって実現する効果は、それぞれ省エネルギー率で11.9%と19.9%となり、融通によって2倍近くまで大きくなることが実証できました。
    これだけ省エネ率が向上するのは、燃料電池からの電力を相互に融通することによって、燃料電池をより効率の高い定格発電能力で運転できる時間が増える上に、省エネ設備である燃料電池の運転稼働率が向上するためです。また、各戸に設置する機器の容量を小型化できるため、投資額の抑制という経済的な効果もあります。
    もう一点は、住棟内で、セントラル型の熱融通のシステムの検証を行っております。住棟の熱源としてガスエンジンを置き、シングルループ配管で各戸に熱を供給しております。このシステムは、各戸に蓄熱槽を設置して熱負荷を住棟全体で平準化し、その負荷に合わせて設置したコージェネレーションも、定格出力で運転ができるため、省CO 2効果が最大限に発揮できることを確認しています。
    データが示しているとおり、各戸に蓄熱槽を置かない場合に比べ、約2倍のCO 2が削減できます。こういった実験からも、電力や熱といったエネルギーは、住戸単位で利用するのではなく、相互に融通することによって、住棟全体だけでなく、もっと広い地域全体の省エネにつながると考えています。ご紹介したことをさらに突き詰めて、効率的にエネルギーを利用できるスマート・エネルギーネットワークの実現に向けた努力をしていきたいと考えております。
  • 柏木座長
    ありがとうございした。今日はキーワードとして随分、面的利用のメリットというものが多角的に出てきていますので、これは今後の検討課題として、政策パッケージの中にどのように組み込んでいくかということが非常に大事だと思います。
  • 野口委員
    自治体の立場でいろいろお話を伺いまして、考えたことを申し上げたいと思います。今、低炭素化ということで、自治体が取り組んでいることはいろいろありますが、大体は点的なものです。私ども茨城県でも、エコ事業所登録制度などをやっており、例えばコージェネなどの取り組みをしている事業所などを登録して、ホームページで紹介することをしています。今日お話が出ておりました面的な取り組みや、ネットワークとしての取り組みは、自治体の政策としてはまだ非常に弱い部分ではないかと思っております。
    まず、ネットワークということに関しては、山地先生から公共財としてのネットワークで自然には形成されないというご指摘がありましたし、佐藤常務からもお話がありました。これについては、これからの社会を作っていく上で非常に不可欠なインフラですので、ぜひともインセンティブを考えていくことが必要ではと考えております。
    もう一つ、面的な取り組みということで、自治体の都市計画として取り組むことは非常に重要だと思っています。例えばエネルギー面的利用促進区域のようなものを定めて、そこの中でのエネルギー事業者や建築関係や住宅や事業所のユーザーの方のさまざまな取り組みに対して、インセンティブを与えられるような区域を定めて、国としても応援していただき、地方としても促進していただくようなやり方は、有効なのではと感じております。
    ただ、少し感じたのは、今日ご紹介いただいたものは、どちらかというと大都市向きのイメージのものが多いのかと思いました。私ども茨城県を含めて、もう少し分散している地域で、どのようの進めるのかという問題は多いと思います。高層の住宅がなかったり、そこまで密集していない地方都市や農村等でも、このネットワークをどうやって進めていけばいいのかという大きな問題があると思います。これについては、ぜひ幾つかの類型的なことを考えていただいて、大都市での取り組み、地方都市での取り組み、農村等、集落での取り組みというような類型を設けていただいて、それぞれの中で進めるべき開発やインセンティブの与え方の検討が必要ではないかと考えました。
    もう一つは、計画論として、ネットワークをどう位置づけていくかということがあると思います。都市計画などでは、エリアとしては定めますが、線の方になると、道路などは定めていくわけですが、例えば天然ガスのラインについて、都市計画で定めることはないわけです。しかし、国レベル、あるいは地方自治体レベルできちんと位置づけることが、今後のインフラを整備する上で必要なのではないかと思いました。
  • 柏木座長
    ありがとうございました。続きまして、小山委員どうぞ。
  • 小山委員
    座長、ありがとうございます。また今日は三人の方に素晴らしいプレゼンテーションをしていただき、勉強になりました。ありがとうございました。私からはごく簡単に、プレゼンテーションについての感想と、質問を一つ、山地先生にさせていただきたいと思っています。
    今日のプレゼンテーションは、三つとも共通して、これから先の日本のエネルギー需給構造の長期的なシナリオを考える上で、大事なポイントとして、ネットワーク、社会的なインフラ、面的な供給ができるかどうか、の重要性が指摘されたと思います。特に山地先生の資料の2番目の「エネルギーネットワーク」で、先ほど野口委員も指摘されましたが、公共財としての性格とその形成を考えると、政策的なかかわりやビジョン、イニシアティブが非常に大事だとのポイントがありました。この研究会できちんと議論すべき、非常に大事なポイントがここで出てきたと感じた次第です。
    それが感想で、その上で質問ですが、そのネットワークの要件として、山内先生から、安定性・信頼性に加えて、競争中立的であることが大事なのではないかというお話がありました。この言葉をどのようにとらえて行けば良いか、どういうポイントが重要なのかを、山地先生に教えていただければ、と思います。
    もう一点、このネットワーク・社会インフラの問題は、中長期的な問題を考える上で非常に大事であると同時に、今の日本の経済が非常に厳しい中で、大規模な社会投資をしていくことも、経済対策・政策的な観点からも非常に大切だと思いました。まさにオバマ大統領のグリーンニューディールと同じような観点で、考えることも大事ではないか、というのも感想です。
  • 柏木委員
    ありがとうございました。それでは先に全部、ご質問をいただいてから、山地先生から中立性についてご見解をいただきたいと思います。
    前田委員、山内委員で本日は打ち切らせていただきます。
  • 前田委員
    意見ですが、よろしいでしょうか。
    これまでの日本のエネルギー政策は比較的うまくいってきました。その内容は、供給側の一次エネルギーはどうするといった非常に大きな政策的なもの、あるいは最近のように、太陽光発電や燃料電池といった需要側の機器等についての促進策で、これらは非常にうまくいっていると思います。
    ただし、いろいろと考えてみると、供給側と需要側の間をつなぐところのエネルギー政策は、抜けがあるのではないかと感じます。それは何かというと、今日のプレゼンや意見で盛んに出たようなエネルギーの仕組みを供給と需要を統合するようなもの、地産池消といったローカルに最適エネルギーシステムを求める部分のエネルギー政策です。大規模なネットワークは、電力事業者やガス事業者が主体となって進めていますが、供給側と需要側の間をつなぐ担い手が、必ずしも明確ではありません。我々も一生懸命やろうとしていますが、担い手が明確でないことと、そこについての政策的な考え方が、必ずしもなかったのではないかと思います。今日は山地先生などに非常に良いご指摘をいただきました。スマート・エネルギーネットワークのようなインフラが重要といった考え方を、エネルギーの基本政策や戦略の中に、1つのパートとして織り込むべきではないかということが意見の1点目です。
    もう一つの意見は、前回の議論でもありましたように、エネルギーの高度利用のために、技術開発や、ガイドラインその他の支援策をいろいろパッケージで考えるという必要性です。この必要性は論を待たないところで、そういうご指摘は何度もありました。特に今日の佐藤常務のプレゼンにあったような面的利用は、地域の開発を担うデベロッパーが一番の主体ですし、あるいは土地を持っている事業者などの主体もあり、ガス事業者も幾つかの地域開発でかかわりたいと思っています。面的利用を実現していこうという主体は少しずつ出始めていますが、まだたくさん出ているわけではありません。ただし、面的利用による省エネをやろうとしているところが出始めているので、これをできるだけ早くパッケージとして政策にしていただき、予算などにも盛り込んでいただきたいと思いました。それが、面的利用によるさらなる省エネにつながるのではないかと思っております。
  • 柏木委員
    ありがとうございました。山内さんは、今回初めてですよね。どの見地でも結構です。
  • 山内委員
    先にそう言われると困ります。勉強不足なところがあったら申し訳ありません。私は文科系ですので、技術的なことはよく分からないのですが、前回、前々回も資料をいただいて拝見したのですが、今日のお話でかなり内容が分かるようになった気がします。
    なぜかというと、方向性としては、エネルギーのベストミックスをどのように求めていくか、システムに移行させるために、どうしたらいいかということだと思います。ベストミックスの具体的な中身は何かということについては、それぞれ皆さん、どうしようもないところもあるのかと思いますが。基本的にはシステムへ移行するときに、方向性や具体性でどちらにくのかということと、それをいかに速度を上げていくのかという速度の問題があります。
    それから、そのシステムの時間的な評価というか、例えば2050年か2020年なのかと考えると、あまり先を見てもということで、それをどこまで見ていくのか。それから、いかに効率的にシステムを移行させていくのかといったことがポイントなのかと、私は考えていました。
    それで、今のお二方と問題意識がかなり近いのですが、大規模ではなくて、中規模やローカルな面的ネットワークをどのように作っていくかということが、システム移行においてはかなりポイントになりそうだということです。そのときに、山地先生の問題提起はわれわれと言葉として非常に近いので、食いついてしまうのですが、公共財としてのネットワークというのがあり、これが一つのポイントだという皆さんのご意志と、私は本当に同じ意見です。
    そのときに、公共財を使うというのは、多分、公的な介入や公的な誘導の中で物理的にも作っていくということです。われわれ経済学者だと、法制度も公共財だという言い方もするのですが、それも含めて、何らかの社会的な意思決定の下に作っていく。それが公共財ということだと思います。そのときにポイントなのは、誰がそれを担っていくのかということと、具体的に内容は何かということと、費用負担はどうなのかということと、公共的にどう意思決定するかということだと思います。
    先ほど村上先生がおっしゃっていましたが、費用対効果や費用対便益を、どうやって客観的に論証していくのかということも、少し立ち入って勉強しないと説得力が出ないと思います。
    二つ目に速度の問題で、経済をやっている人間だと、どのように社会的なスタンダードを作っていくかというときには、やはりこれだと決めつけても、だめな面がかなり強いと思うのです。ですから、よく経済学者はバンドマン効果などと言いますが、みんなが従うとそれに乗っかっていって、ネットワークができていくという効果が必要なのかと思います。先ほどもご議論が出ていましたが、公共財としてのネットワークということだと、競争中立的でなければならないと言われ、そこは非常にポイントだと思います。インフラの部分はある程度、公的に介入したり提供したりしますが、その上でいろいろ競争などをする中で、バンドワゴンのようなデファクトを作っていくのも一つの考え方で、そういうところの余地を残しておかないといけないと思います。それは非常に重要なポイントで、先ほどもご質問があったように、では具体的にどういう形なのか、私も山地先生に伺いたいのです。経済学者は、イノベーションは経済的に存立可能ではないとイノベーションではないという言い方をします。存立可能性を考えた上で、技術的方向を探っていくべきかと思います。
  • 柏木座長
    ありがとうございます。初めて出てきて、まとめていただいような形でしたが。
    5分だけ超過させていただきます。山地先生、お願いします。
  • 山地教授
    小山委員のご質問は大変難しいと思っておりまして、山内先生に任せようかと思ったのですが、やぶへびのように逆に質問もありました。
    更地から作るわけではなく、現実からわれわれは変化していくので、当然そういうリアリティをもって考えないといけないとは思っています。そうすると、ものすごく難問になりますが。アンバンドリングという言葉に、非常に拒否反応がありますので、所有的な意味では別に現状でもいいのですが、やはりネットワークに対するオープンアクセスだと思っております。そのときに、競争中立的というのは、オープンという意味で中立なのですが、鍵になるのは、むしろネットワークサービスのプライシングです。そこでスマートというところに期待するのですが、まだコンセプト段階では何とも言えませんが、やはりネットワーク利用のプライシングに、スマートなシステムであるところを生かして、ダイナミックに変えていくということでしょうか。研究者がよく言う混雑料金といった話になりますが。詳しくは、山内先生に本当は聞きたいのです。
  • 柏木座長
    今後の検討課題だと思います。スマートメータやインフラのスマート化が、ある意味ではプライシングには不可欠になると思います。どうもありがとうございました。
    今日は大変なポイントを明確にしていただいたとような気がします。ガス事業の形態も、総合エネルギー・生活サービスで、上流から下流に至るまで、シームレス化するというサービスです。
    それから二つ目に、消費者サイドに立つと、エネルギー源の多様化が二者択一的ではないということでした。多様化に資するライフスタイル、あるいは意識の考え方についてでした。
    三つ目はやはり重要で、インフラのあり方についてです。面的な利用の中に、実際のデータとして省エネ・省CO 2に対するポテンシャルがあることが分かりました。こういったデータが出てくるのであれは、これを推進するような政策パッケージが必要になるということです。面的あるいはスマート化するネットワークのあり方はどうするのか。もちろん時間的なミスマッチングは電気によって行う。そしてガス事業としては、これからの電気立地の世界を考えると、位置エネルギーを扱う業者としては、電気・熱を両方踏まえた統合型のスマート・エネルギーネットワークという考えたかをどうするのか。そこには競争中立性や経済的な考察ももちろん入れながら、どういう仕組みにしていくかという話です。
    四つ目が広報です。ガイドラインを作ったり、面的にするにしても、ライフスタイルをどうするのか。広報はどのように打っていくのか。市民との知識の共有はどうするのか。いろいろとご意見をいただきました。
    もう一つは、大都市圏では分かるが、各地域、地域の都市レベルで、同じようなことが適用できるのか。やはり幾つかのモデルケースを示しておかないと、インフラの考え方が変わってくるような気がします。
    今後のまとめに向けて、ポイントとなる点を複数の方々からご指摘いただきました。また今日の内容は出してお読みいただく形で、論点ペーパーにまとめて次回に臨みたいと思います。ご協力よろしくお願いいたします。ありがとうございました。また次回よろしくお願いいたします。

その他

  • 畠山ガス市場整備課長
    本日はありがとうございました。
    次回は27日15時~17時に、別館の526会議室で行います。

以上

 
 
最終更新日:2009年6月8日
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