経済産業省
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ZEBの実現と展開に関する研究会(第1回)-議事要旨

日時:平成21年5月21日(木)10:00~12:00
場所:経済産業省別館9階940共用会議室

出席者

坂本委員長、横沢代理、加井代理、大岡委員、片倉委員、川瀬委員、久世委員、栗山委員、黒田委員、佐藤委員、田辺委員、村越代理、野浦委員、野村委員、長谷川委員、山本代理、松丸委員、村木委員、森本委員

議題

  1. ゼロ・エミッション・ビルの実現と展開を巡る状況について(事務局より説明)
  2. 自由討議
  3. 今後のスケジュールについて

議事概要

我が国におけるZEBとは何か

  • 「ZEBの定義」を明確にすることが必要。ZEBを実現するためには、どこかでマイナスカウントを行う必要がある。例えば、太陽光発電等の再生可能エネルギーの位置付けについて、「エネルギー消費量が大きいサーバールームの省エネ対策を実施せずに、太陽光発電によってオフセットすることを良しとするのか」など、議論の余地がある。定義と対策のプライオリティーを検討することで、目標設定も可能になる。
  • 厳密にNet Zeroではなく、Nearly Net Zeroという目標の考え方もあり得る。
  • 「ZEBの定義」について、設計段階を対象とするのか、運用段階を対象とするのかという議論がある。まずはビルそのものの省エネ性能を判断するという意味で設計段階で評価し、その上でOA機器の使用状況など運用段階を評価するというような仕組みが重要。また、オンサイトだけでのZEB化を目指すのかという論点もある。オンサイトだけでは議論が限定される。
  • 低層建築物のみを対象にZEB化しても、業務部門のエネルギー消費削減における根本的な解決にはならない。現実的な可能性を見つつ、「都心部」と「地方」など、地域特性も考慮した上での検討が必要。
  • 建築物によっては、40年以上存在するものも多い。したがって、ZEB化の検討対象として、新築ビルだけではなく、既築ビルに対するZEB戦略も重要。
  • 新築建設時や設備更新時も含めたライフサイクルでのZEBという視点も重要ではないか。

ZEB実現のためには、要素技術のパッケージ化が重要

  • 我が国は、建築設備に関する要素技術については世界的にみても高いレベルといわれているが、パッケージ化することが課題。実際にモデルとなるようなゼロ・エミッション・ビルは存在しない。日本は要素技術の組み合わせがあまり上手でないことがその要因ではないか。優れた要素技術をパッケージ化するための技術開発が必要。
  • 設計会社の側から対応可能な要素としては、「パッシブ建築」、「自然エネルギー利用」、「低消費搬送」等。エネルギー消費において大きな割合を占める「高効率熱源」、「高効率照明」、「低消費OA機器」といった対策については、設計会社では対応が難しく、各メーカーの技術開発が重要になってくる。
  • 個々の建築設備であっても、本来は運用段階における実際のエネルギー消費量を踏まえ、トータルシステムとして効率的な運転を支援するような取組みが必要。設計段階の評価だけでなく、運用段階での評価も取込んでいくことが必要。
  • ビルのエネルギー消費量は、従業員の数や顧客の数、天気などの外的要因によっても左右されることから、これらの変化を予測に入れたマネジメントができれば、省エネ効果がさらに高まる。
  • ZEBには統合制御が重要。すなわち、高効率の設備を最も燃費のいいように運転することの検討も重要。さらに、空調、照明等を一元的にコントロールできる仕組みの開発が重要。

ZEBと面的利用

  • 都市部における低炭素化を進める上では、ビル単体で省エネをどう進めるかという視点とともに、街区内の複数のビル群で省エネの取組みをいかに進めていくかという視点が大変重要。
  • エネルギーの需要側だけでなく、供給側においてもエネルギー効率化や低炭素化の取組みが求められる。その際、再生可能エネルギー等の活用方策が大きな検討課題。複数のビルの面的なエネルギー利用を進めようとした場合、ビルオーナーが異なるために合意形成が難しいことや、面的利用のためのインフラ整備が不十分であること等が障壁となる。これらの課題を解決するための社会的な制度設計についても議論が必要。
  • エネルギーの面的利用は重要な視点であるが、そのエネルギー源をどうするか。下水や河川など、まだ十分に利用されていない未利用エネルギーがある。これらの活用方法についても検討することが重要。また、原子力発電の有効活用も重要な視点。
  • エネルギーの面的利用の推進という観点からは、ビジネスモデルも含めて考えていくことが必要。街区のビルを一括でZEB化するのであれば、これらのビルを統合することにより、調達の効率化を図ることが可能となる。一方、再開発地域であれば、新築だけでなく既存のビルも含まれることが想定されることから、既存建築物の省エネ改修を小規模なビルをまとめて実施するビジネスも考えられるのではないか。

その他、やる気になる仕組みづくりなど

  • ZEB普及のための施策の在り方、社会システムの在り方の検討が重要。CASBEEなどを通じ、ビルの価値の判断に反映させ、投資メリット・インセンティブが働くようにすべき。また、エコオフィス、服装、働き方など、世の中の習慣を変えていくことも重要。
  • 省エネの設計・設備を導入すれば、イニシャルコストが増大する。ZEBの実現と展開に向けては、コストが最大の障壁になると考えられることから、イニシャルコストを押さえるための検討も必要。
  • テナントビルの省エネが難しい理由として、オーナーとテナント双方に対するエネルギー消費関連のデータ提供の不足がある。例えば、賃貸面積の規模別に、省エネ対策の実施によるエネルギー消費量や光熱費の削減に関するデータが公開されれば、オーナーにとって省エネ対策の実施やテナントのメリットを説明するための参考情報となる。また、データについては、第三者機関により標準化されたものであることが望ましい。
  • データを横並びで各国比較することができれば、日本が欧米諸国に比べて、エネルギー消費に関連する条件は不利な状況にありながら、実際のエネルギー消費量は大分抑制されていることがわかるのではないか。また、本研究会の目的としては、単なる省エネでは面白くなく、革新的な対策・技術を用いてZEBを目指していくという方向性を示していくのがよい。
  • 運用時の取組としては、ワークスタイルの変更が重要。また、ビルオーナーだけでなく、テナントに対してもZEBの付加価値を認識してもらうことが重要。通常、省エネビルのメリットは、ビルオーナーを介してテナントに提供されるが、テナントの利用年数は3~5年であり、継続性が低い。テナントに直接的にインセンティブを与えられるような制度があれば、効果的ではないか。
  • 自社ビル等を所有する企業では、運用段階における省エネ対策について既に様々な取組みを行っていることから、それらのベスト・プラクティスを共有するような仕組みがあると良い。併せて、各企業の競争心をくすぐるような制度的なアプローチが効果的ではないか。
  • 昼間電力需要が減れば火力が減って原子力の比率が上がるという趣旨の記述が資料にあるが、電源はミルクコーヒーのようにブレンドされているものであり、このような単純化した議論ではなく、負荷平準化という観点からうまく記述してほしい。

以上

 
 
最終更新日:2009年6月9日
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