経済産業省
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ZEBの実現と展開に関する研究会(第2回)ー議事要旨

日時:平成21年6月15日(月)14:00~16:00
場所:経済産業省別館3階第4特別会議室

出席者

坂本委員長、合場委員、稲塚委員、大岡委員、片倉委員、久世委員、栗山委員、黒田委員、佐藤委員、中上委員(村越代理)、野浦委員(栗尾代理)、野村委員(塚田代理)、長谷川委員(佐藤代理)、廣岡委員、松丸委員、村木委員(原代理)、森本委員

議題

  1. 我が国におけるZEBの基本的考え方について
    (第1回研究会で議論された内容の項目整理)(事務局より説明)
  2. ZEBに求められる総合設計について
    • 栗山委員からのプレゼンテーション
    • 佐藤委員からのプレゼンテーション
    • 野村委員からのプレゼンテーション
  3. 自由討議
  4. 今後のスケジュールについて

議事概要

坂本省エネルギー対策課長より資料3に沿って、我が国におけるゼロ・エミッション・ビルの基本的考え方について(第1回研究会で議論された内容の項目整理)説明。続いて、資料4に沿って、議論の論点について説明。栗山委員より資料5、佐藤委員から資料6、野村委員(塚田代理)より資料7に沿ってプレゼンテーション。その後、自由討議。

ZEBの実現に向けた設計技術の現状と課題

  • ZEBの実現に向けた設計等の課題として、一番大きいのはOA機器・照明等の内部発熱の抑制。躯体の断熱等による外部負荷の抑制は、技術的に限界に来ている。個々の要素技術のパッケージ化による全体設計と統合制御、設計段階と運用段階のミスマッチに関しては、設計と運用を一体的に管理するような仕組み、ビジネスモデルが必要となるが、その実現可能性についても別途検証する必要がある。
  • OA機器については、特にPCからの発熱が大きい。クラウド・コンピューティングやシンクライアントのような技術により、ディスプレイとCPUとキーボードさえあれば、PCが使えるという環境になる。ディスプレイについては、液晶や有機ELの技術開発が進んでおり、PCの省エネ化も今後進むのではないか。
  • 照明については、LEDは現在の蛍光灯と比較すると、発光効率の点で省エネ化が進んでいない。新しいデバイスであることから、今後、LEDの発光効率が向上していくことを期待。
  • ZEBの達成に向けては、省エネ努力では難しい部分のエネルギー消費を太陽電池等でまかなうことが期待されている。太陽電池の変換効率は、現在12~13%であるが、太陽電池の材料であるシリコンの理論的な変換効率は20%代の半ばと言われており、2050年頃には変換効率が現在の2倍の太陽電池が開発されてもおかしくないと考えている。用途としては、現在は屋上への設置が一般的であるが、壁面に取り付けて建築物と一体化するといったアイデアもある。
  • ZEBの実現に向けた設計技術には、検討の切り口がいろいろあることから、これらをトータルでどう整理したらよいか、分類の方法等、もう少し検討が必要。アプローチとしては、各種対策を積み上げたらどこまでCO2削減が可能かといったボトム・アップ型よりも、目標を決めた上で、そのためにどのような設計技術が必要かという検討の仕方がよいのではないか。また、本日のプレゼンですべての設計技術を網羅しているのか検証が必要。これらの技術は日進月歩なので、新しい技術を吸い上げる仕組みが必要ではないか。
  • 建築物のZEB化に向けて、ITの活用が極めて重要であり、今後、スマートエネルギーネットワークの検討などを進めていきたい。
  • 今後、OA機器や照明などの内部発熱が抑制されると、冷房負荷が減る。現在は、空調は冷房効率だけ注目されているが、今後は、冷房負荷が抑制されることにより、逆に暖房効率が課題となることが想定される。

ZEBの実現とエネルギーの面的利用

  • エネルギーの面的利用、都市の未利用エネルギーの活用については、ゼロ・エミッション・タウンやゼロ・エミッション・シティといった広域的な概念の整理が必要。
  • 今後の我が国の建築環境を鑑みると、特に都市部においては、複数建物間でのエネルギーの面的利用が重要な対策として位置づけられる。省エネ効果を発揮するだけでなく、再生可能エネルギーや未利用エネルギーの活用にも貢献する。ZEB化を進めていく上で、非常に重要なアプローチではないか。
  • エネルギーの面的利用については、個別活用から下水道などの都市インフラの活用まで、さまざまな種類・方式があることから、個々の定義をきちんと整理していく必要があるのではないか。

施主にZEB化の意義を見いだしてもらうための課題

  • 施主にZEB化の意義を見いだしてもらうためには、規制や税制優遇など、何らかの強いインセンティブを与えないと難しいのではないか。
  • 栗山委員のプレゼンから、ZEB化を進めていくためには実証していくことが非常に重要であると感じた。
  • 米国では、10年程前から、オン・ザ・ビル・ファイナンシング・プログラムを取り組んでいる。これは、エネルギー供給会社が投資をして、需要家が料金に上乗せをして返すというスキームで、米国では賃貸住宅を対象に適用されている。日本国内では、オーナーが投資をして、店子が利益を得るというミスマッチがあるが、オン・ザ・ビル・ファイナンシング・プログラムのスキームは、オーナーの投資がいらないことから、このミスマッチを解消するための一手となる。ただし、我が国で導入するには、いろいろな制度改革が必要かもしれない。

規制基準のあり方

  • 佐藤委員のプレゼンから、(1)内部熱源・外部熱負荷の削減、(2)エネルギー消費設備の効率化、(3)エネルギー供給の低カーボン化の3つのステップで進めていくことが重要であるということを改めて感じた。このうち、(1)及び(2)については、すでに規制・基準やさまざまな評価ツールが整備されている。ZEBの実現と展開に向けては、これらの規制・基準の見直し、または評価ツールの連携を今後の検討課題としてはどうか。
  • 本日のプレゼンを聞いて、機器を上手く組み合わせれば、ZEBを実現できるのではないかという感触を得た。ただし、需要側、供給側の変動が大きい中で、これらを最適化しようとした場合には、PAL/CECのような静的なシミュレーションではなく、動的なシミュレーションも必要。また、機器や運用方法のバリエーションが多数ある中で、これらを最適化するためのソフトウェアの開発も大きな課題。
  • 本日のプレゼン内容から、ZEBの達成に向けた要素技術としてはいろいろなものがあるということがわかった。これらの普及のネックになっているのは、価格、認知度、規制・基準などであり、これらをクリアする必要がある。
  • 欧州では、EBPDの改正に伴い、ZEBを指令に取り入れようと検討を進めている。日本において優れた技術があることはわかるが、これを普及させていくために、規制や基準をどう運用していくかということが大きな課題ではないか。
  • 設備ごとのCO2削減はもちろんのこと、これらを合算した建築物全体でのCO2削減を評価基軸としていってはどうか。その意味で、本研究会での議論は大変意義のあるものである。電力業界においても、「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エレクトリック」という制度を運用し、住宅の設備だけでなく、住宅全体でCO2削減を考えるような検討を行っている。

その他

  • 欧米の動向を注視しつつ、同じ土俵で比較できるような制度整備が必要。ただし、その際、日本に有利な点、不利な点を踏まえた検討が求められる。不利な点としては、狭い敷地に高層化して建築されていることから、再生可能エネルギーの導入に難があり、これらについては考慮が必要である。
  • EU指令の中では、再生可能エネルギーの定義の中に、地中熱や河川熱とともに、大気熱も入っている。我が国においても、未利用エネルギーではなく、再生可能エネルギーとして扱っていただきたい。
  • 本日のプレゼンテーションで、設計技術のことは大変よく理解できた。一方、建物の使い方に関する話が少なかったように思う。クールビズは当たり前になってきている。また、夏休みを上手く活用することも考えられる。これらの視点が、ZEBの定義・コンセプトの中にも必要ではないか。

以上

 
 
最終更新日:2009年7月3日
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