経済産業省
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ZEBの実現と展開に関する研究会(第3回)ー議事要旨

日時:平成21年7月3日(金)15:30~17:30
場所:パナソニック電工株式会社会議室

出席者

坂本委員長、合場委員、稲塚委員、大岡委員、片倉委員、川瀬委員、久世委員(竹内代理)、栗山委員、黒田委員、佐藤委員、田辺委員(高口代理)、中上委員、野浦委員、長谷川委員(佐藤代理)、廣岡委員、松丸委員、村木委員、森本委員、米川委員

議題

  1. 本日御議論いただきたい論点について(事務局より説明)
  2. ZEBに求められる統合制御について
    • 野浦委員からのプレゼンテーション
    • 廣岡委員からのプレゼンテーション
    • 松丸委員からのプレゼンテーション
  3. 自由討議
  4. 今後のスケジュールについて

議事概要

坂本省エネルギー対策課長より資料3に沿って、「本日御議論いただきたい主な論点」について説明。野浦委員より資料4、廣岡委員より資料5、松丸委員より資料6に沿ってプレゼンテーション。その後、坂本省エネルギー対策課長より資料7に沿って「グリーンIT推進協議会技術検討委員会報告書抜粋」について説明。その後、自由討議。

OA機器なども含めた統合制御の在り方について

  • IT機器は熱負荷の二十数%を占めているが、その大部分が仕事をしていない時の熱負荷である。OA機器には、CIMというプロトコルがあり、仕事をしていないというモードを検知することができることから、統合制御で、仕事していない場合に省エネモードにもっていく方法を組み込んではどうか。
  • 本日のプレゼンテーションにあった3社の事例は、一般的な事例と比較すると、規模が大きくて、複雑な省エネ制御を実施している事例だと思うが、用途や規模が異なる場合には、統合制御による省エネ効果はどうなのかをお伺いしたい。また、統合制御による省エネ効果において、人が関与したことによる省エネ率はどのくらいなのか。
  • 統合制御技術は、企業群や街区単位でも適用可能な仕組みなのか、その辺りの技術的な展望について教えていただきたい。
  • 統合制御の仕組みの中に、人が関与することによって、省エネをさらに推進するという視点での制御はこれまであまり手をつけてこなかった。IT機器の負荷等も鑑みつつ、最適化を図れるようチャレンジしていきたい。
  • 動的制御がビル群で可能かどうかということについては、考えたことがないので分からないが、BEMS間のネットワークが必要になるだろう。
  • プレゼンでは動的制御にフォーカスしたが、地道な努力やチューニングは前提である。そのうえで、ZEBという目標に向けて、それぞれのサブシステムを最適化するという考えを採っている。

統合制御とコストの関係について

  • 現状の建築設計においては、センサーの数は通常40~50m2に1つ、ひどい場合には100~200m2に1つくらいしか入れていない。一方、今日のプレゼンテーションでは、人の動きに至るまで細かくセンシングしている。ただし、細かなセンシングを阻む課題として、センサーのコストが高いことが問題である。なるべく低コストで実現可能な制御技術ができれば、さらに普及が進むのではないか。
  • ESCOの事例を見ていても、日本の制御技術は、米国や中国に比べて非常に高い。日本の制御技術が高い理由は、制御のきめ細かさにある。きめ細かいことはよいことだが、コストもかかるし、実用的なレベルとしてはそこまでのきめ細かさは必要ない。実態として、どのように折り合いをつけようとしているのか。
     また、投資回収年数(ペイバックタイム)について、投資回収年数が短いものと、長いものとを比較すると、どうしても短い技術が採用されがちであるが、投資回収年数が短い技術が必ずしも最適な技術とは限らない。投資回収年数が短い技術と長い技術を組み合わせていく必要があると思うが、新築の場合、その辺りのバランスをどのようにして考えているのか。
  • センサーについては、開発に相当な投資コストがかかっているため、価格を下げたいが、なかなか上手くいかないというのが実態である。
  • ペイバックタイムをどう扱うかについては、長いものでも最近は手をつけられるようになってきた。一方、新築については、最後はイニシャルコストをどうするかという判断になる。そこでは、何かインセンティブがないと難しいであろう。

統合制御と規格化・標準化の関係について

  • 3社のプレゼンを伺って、ZEB達成に向けて、制御技術が極めて重要だということがよく分かった。一つお伺いしたいことは、日本のきめ細かい制御技術はすばらしいことであるが、日本の携帯電話のように、海外、例えばタイのビルに適用しようとすると使えないというようなことにならないか。むしろ、世界標準としてのシンプルなプロトコルで開発し、コモディティ化することで、価格も抑えられるのではないか。
  • 建築・設備には更新のタイミングが訪れるが、複雑な統合制御システムを組めば組むほど、更新することが容易でなくなる。例えば、10年後に通信のプロトコルが変わっていたら、設備もすべて変えなければならないようなことも想定される。このようなことがないよう、規格化や汎用化の議論においては、10年後くらいを想定した議論が必要ではないか。
  • パナソニック電工のプレゼンテーションの6ページの制御システムと、三菱電機のプレゼンテーションの9ページの制御システムについて、プロトコルが現時点で近いように見えるが、異なるメーカー間でプロトコルの共通化は図れるのか、また、その場合にメリットがあるのか。
  • プロトコルの共通化について、現状では共通化はあまり図れていない。企業の利害関係が衝突する部分であることから、難しい課題である。
  • 例えば、先端的な技術を駆使した特殊な空調システムが入っているビルは、後から統合制御しようとすると、複雑でどこをどう調整したらよいのかわからないようなケースが実在する。設備自体のシステムも、あまり複雑化しすぎてしまうと、制御しにくかったり、またそのために、世界標準化が難しいということもある。
  • 世界標準の話で、携帯電話の二の舞にならないかというご質問をいただいたが、まさにご指摘のとおりではないかと認識している。一方で、日本では省エネが相当進んでいる中でさらに省エネを推進しようするために複雑なシステムになってしまっている側面がある。アジアの中をみると、センサーとコントローラがつながっていないような事例もあり、省エネ制御技術という視点では日本よりはるかに劣る。アジアでは、まずは日本の旧来の制御技術を取り入れてもらうのが先であり、企業としてはビジネスとしてアプローチしていくつもりである。
  • 将来にわたるシステム更新という視点については、努力はしているが必ずしも実現できていないというのが実状である。理想は将来にわたって更新し続けられるシステムであり、制御メーカーとして追求していきたいと考えている。
  • 照明だけでなく、様々な機器を使った統合制御を検討したが、同じ社内でも「方言」があって、プロトコルの標準化は難しい。事業所間の連携をとるのに10年かけてもできなかったが、レイヤーを一つ上に上げることで、検討が進むようになった。どのような情報をやりとりして何をするのかは、アプリケーションの問題であり、標準化が可能ではないか。
  • 他社との共通化については、技術的には可能だと思うが、各社の利害関係が衝突することになるため、各社の判断と地球温暖化対策との兼ね合いの中で決定されていくものではないか。

統合制御とチューニングについて

  • 制御技術は言い換えれば運用上の最適化を図ることであると考えられる。省エネ削減という観点から考えると、パナソニック電工のチューニングによる省エネを実現した事例は大変すばらしい。実績値に比べて毎年10%程度削減していくことは容易なことではない。先進的な省エネ技術を導入したビルでも、使い方によって本来の性能が出ていない事例は多い。そういう意味で、チューニングは非常に重要であると感じた。
  • また、見える化ということが大変重要であると感じた。実測して評価し、それを見える形にすることで、次なる改善につながっていくのではないか。
  • 通常、設計者はクレームが出ることを恐れて、安全側の想定で設計するため、設計と実態との間にどうしても乖離が生じる。そのため、実態に合わせてチューニングすれば省エネが実現可能になるということだと理解している。パナソニック電工のように自社ビルであれば利害が一致するからよいが、そうでない場合、誰がどういう役割でチューニングを実施するのがよいのかという課題がある。
  • パナソニック電工の場合は省エネ努力で36%の省エネを達成できた事例があったが、今後、省エネ対策・省エネ技術の採用により、将来的にどの程度までの省エネが可能なのか。
  • パナソニック電工のチューニングによる省エネ実績は大変すばらしい成果である。欲を言えば、6年かけて35%削減されたものを、他の建築物において2年でできるようにできないか。そのために、蓄積された知見やノウハウをオープン化してもらえるとよいのではないか。
  • パナソニック電工本社ビルの統合制御について、当初から設置していた計測用センサーと、6年間で随時付加された計測用センサーとがあると思うが、付加されたものはどういうものだったのか。また、その辺りの計測に関わるノウハウや方向性について、わかっていることがあれば教えていただきたい。
  • 社会から要請があれば、省エネの可能性がある限り、永遠に取組んでいく覚悟である。6年かかったものを2年でできるようにというのは、努力はするものの、保証はできない。
  • チューニングによる省エネ29%を実現するために、設計段階から人がたくさん関与した。
     2年ほど前に6万m2程度の既存ビルでチューニングをしたことがあるが、最近、対前年比で13.5%を削減できたという話を聞いた。既に相当な省エネ努力を進めており、省エネの余地はないといわれていたが、設備・機器ごとに計測し、無駄を見つけることができれば、省エネ努力をしている工場などでも、更なる省エネの余地は十分にあるのではないか。
  • チューニングによる省エネの削減見込みについて、パナソニック電工本社ビルの29%という数字はチャンピオン・データであると考えている。さらにもう数%はがんばれるのではないかと考えているが、3分の1程度の削減が限界ではないか。
  • パナソニック電工本社ビルでは、当初8,000ポイントにセンサーをつけた。最初から、データ取得を目的としているので、最初からたくさんの計測用センサーを設置している。計測・計量という観点からは、センサーは追加していない。
     当然ながら、今後、テナントビルなどでチューニングを行う際には、今回の事例ほどのたくさんのセンサーは必要なく、センサーの数を減らす必要性も出てくると考えられるが、ある程度ノウハウも蓄積されており、上手く対応できるのではないかと考えている。

ZEBの普及に向けた啓発の在り方

  • 省エネはどこまでできるのか。いい成果が出たら、それをどれだけ早く世の中に広めるかということがある。省エネ見学会を継続的に実施し、多くの方々にどういう対策をして、どれだけ省エネしたかをオープンにしている。ただし、例えば、大学生の感想文を読むと、「ローテクで非常にがんばっている」というコメントをいただいたことがある。省エネノウハウをオープンにしているつもりだが、照明をこまめに消しているなど分かり易い方法の方が印象に残ってしまうようだ。

ZEBと働き方の関係

  • 総務省が提唱している定時退庁運動を社内で実施している。ワンフロアで定時に照明のスイッチをすべて消し、必要ならつけにいくということを行ったら、10%省エネができた。他のフロアに展開したら、平均5%程度削減されている。見える化することによって、競い合って一生懸命削減しようとする。まだ、削減の余地があるのではないか。

ZEBを実証することの必要性

  • 政府への要望については、ZEBの実現可能性をいろいろなタイプの建物で実証しないと、世界でアピールできない。時間のあるうちに、実証のための場所やその原資があるとよい。

以上

 
 
最終更新日:2009年7月31日
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