経済産業省
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ZEBの実現と展開に関する研究会(第5回)ー議事要旨

日時:平成21年8月20日(木)10:00~12:00
場所:経済産業省別館10階1014会議室

出席者

坂本委員長、合場委員、稲塚委員、大岡委員、片倉委員、川瀬委員、久世委員、栗山委員、黒田委員、佐藤委員、田辺委員、中上委員(村越代理)、野浦委員(栗尾代理)、長谷川委員、廣岡委員、松丸委員、村木委員、森本委員、米川委員(塚田代理)、石原課長(東京都環境都市づくり課)

議題

  1. 本日御議論いただきたい主な論点について(事務局より説明)
  2. 規制、要素技術の今後の見通しなど
    • 稲塚委員からのプレゼンテーション
    • 森本委員からのプレゼンテーション
    • 東京都 都市地球環境部 石原環境都市づくり課長プレゼンテーション
  3. 自由討議
  4. ZEB研究会のメンバーによる欧州米国訪問について
  5. 今後のスケジュールについて

議事要旨

坂本省エネルギー対策課長より、資料3に基づき、「本日御議論いただきたい主な論点(規制、要素技術の今後の見通しなど)」、資料7に基づき、「建築物の省エネ基準」について説明が行われた。その後、稲塚委員より資料4、森本委員より資料5、東京都 都市地球環境部 石原環境都市づくり課長より資料6に沿ってプレゼンテーション。その後、自由討議。

ビル空調における省エネと快適性の関係について

  • 日本においては、快適性等を考慮した「人に優しい」ZEBを実現・展開する必要がある。人に不快感を与えない省エネ対策に関しては、顕熱(温度)と潜熱(湿度)を分けて制御するということが重要。ヒートポンプの効率向上のためには冷媒温度を上げることが一番だが、他方で除湿ができないという問題が生じる。室内温度と湿度を個別に制御することで、省エネと快適性を同時に実現することが可能になる。
  • ZEBの実現にあたっては、他のオフィス機器やビル自体との連携によって、より大きな省エネ効果を発揮することが課題となるが、そのためには扉の開け閉め、在室人数など、人の動きに関する情報が必要。人の動きによる負荷の変動要因に関する情報が限定的であるため、対策を施すのが難しい。
  • 人の動きに関する情報との連携に関しては、タイマーだけでなく、負荷状況を学習しつつ負荷に応じた自動的な制御も実施している。
  • 快適感による制御までは実現できておらず、現状においては、室内の温度と湿度によって制御をしている。

ビル空調における省エネの要素技術について

  • 2025年に向けて冷凍機のCOPの予測値については、ビル用マルチエアコン単体ではなく、システムとして考えると、現状から50%のエネルギー消費削減の余地あり。
  • 暖房のCOPに関しては、吹き出し温度を下げる際に快適性を維持できるかが問題。ヒートポンプの効率を上げることは、高圧と低圧の圧力差をいかに小さくするかという技術的にはシンプルな話であるが、凝縮温度を下げると吹き出し温度が下がる。冷たい風が大量に放出されるため、快適性の維持が課題。室内機の形態や排出等も含め総括的に考える必要がある。機器のCOP向上については、技術的にはまだ可能だが、ビル内での設備の設置方法も含め、内部環境と整合性を図った設計を行うことが重要。
  • 待機消費電力に関しては、定量的な数字を把握していないが、対策は随時実施している。
  • 暖房については部分負荷に対する実効効率の向上が重要になってくる。機器単体の省エネ性能評価だけでなく、ビル全体のエネルギー消費やエネルギー効率を考える必要があり、実稼動効率で評価していくことが重要な課題。その際には、JIS等でのCOPの評価方法の見直しも必要ではないか。
  • 今後は河川、地下水、下水等の未利用エネルギーを活用する必要がある。これらの水熱源の利用については、水熱源のビル用マルチエアコンはすでに商品化済み。地中熱(地下水)を利用している施設もある。

ZEBにおける太陽光発電の役割について

  • 太陽光発電を建築に取り込むことを考えると、ビルの外壁材への応用が最大のテーマであると考える。太陽光発電メーカーとしては、太陽光発電パネルの建材としての用途への可能性に関して、今後の有望なアプリケーションとして捉えている。今後、建材としての太陽電池を提供できればと思う。
  • 高層ビルの場合、本来隣の敷地に入る太陽光を遮って、当該ビルの発電のために太陽光を利用するという捉え方もできる。太陽光は、ある敷地における貴重なエネルギーであると考えると、太陽光の利用権のような制度設計や法改正等が必要になる可能性も考えられるが、日照権については、太陽エネルギー権とも言い換えられるのかもしれないが、具体的な制度設計については、国でご検討頂きたい。
  • 太陽電池に関して、シリコン材料の需給の逼迫が問題になっているが、シリコン材料の需給の逼迫の問題については、世界規模での太陽電池の爆発的な需要に対応できなかったのが要因。シリコン自体には、需給バランスを調整すれば、原料不足の問題はない。
  • 2050年のコストターゲットとして1kWあたり7円という値が提示したが、こうした予測値は将来の太陽電池の導入予測や価格、材料の需給逼迫等が想定された数値になっている。
  • 2025年までに都心立地型ビルに関して75%の省エネを想定されているが、実現可能性には要留意。達成されないとしても、ZEBの実現に至る過程を考えることが重要である。
  • 2025年にビル単体でのZEB達成が困難とすると、時間や場所の差異を利用してZEBを実現することが重要であり、系統電力と太陽光発電や風力発電による電力との統合が重要になってくる。
  • 日本の電力の質は他国と比較しても非常に高い。設備設計会社や機器メーカーには、技術や経験、ノウハウの蓄積があり、これらは日本の強み。こうした日本の強みを生かしたZEB化を目指すべき。アメリカのZEBをスタンダードとするのではなく、日本の強みを活かした日本のスタンダード、さらにはアジアのスタンダードを構築していくべきであり、そうすることで日本の産業発展にも貢献できるはず。

東京都における規制について

  • 東京都の制度に関して、PALやERRといった省エネ法を基準にした数字で評価しているが、省エネ法の数字そのものをどう捉えるのかが重要になってくる。高効率な機器の開発は日々進んでおり、最新のデータや機器の省エネ性能を、省エネ法に反映させていく必要性があるのではないか。
  • 地域におけるエネルギー有効利用計画制度の内容は非常に重要。さらに地域冷暖房の導入推進や未利用エネルギーの活用等を効果的に進めるためには、規制とともに支援策が必要。
  • エネルギーの面的利用に関しては地域冷暖房に限らず、建物間融通など、様々な形で行っていく必要があり、建物間融通についても何らかの制度設計が必要ではないかと考えるが、これらの制度に関しては、国の方で検討して頂きたい。
  • 東京都は基本的には省エネ法に基づき制度の運用を行っている。省エネ法における建築主の判断基準の引き上げ、制御技術の発達による計算手法等のアップデート等が必要ではないかと考えている。

ZEB実現のための支援策等について

  • 東京都では、大規模事業所に対してキャップ・アンド・トレードが課される。今後、より低価格な省エネ技術に対する要求が高まると予想され、それらの技術の価格や性能をマッピングする必要がある。
  • 日本でも技術と必要な費用やCO2削減ポテンシャルのマッピングを作成すれば、支援・誘導施策等の検討にも有用ではないか。
  • 今年の8月に環境省が発表した資料では、非住宅建築物に関する政策としてはBEMSと規制強化についてのみ言及。ビル用マルチエアコンや太陽光発電等、各メーカーの技術も重要であり、本研究会での検討内容が政府の公表資料に盛り込まれるようアプローチが必要。
  • 冷凍機の部分負荷効率の算出方法はJISで規定されていない。部分負荷効率を算出しようとすると、国土交通省が開発しているLCEMやBESTを使用する必要があるが、難易度や制度的障壁により普及が進まないという問題もある。システムと制度の両面による仕組みづくりが必要。

以上

 
 
最終更新日:2009年9月15日
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