経済産業省
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ZEBの実現と展開に関する研究会(第6回)- 議事要旨

日時:平成21年9月30日(水)10:00~12:00
場所:コクヨ株式会社東京品川オフィス 2階 大会議室

出席者

坂本委員長、合場委員、稲塚委員、大岡委員(樋山代理)、片倉委員、川瀬委員、久世委員、栗山委員、黒田委員(星野代理)、佐藤委員、中上委員、野浦委員(栗尾代理)、長谷川委員、廣岡委員(山本代理)、松丸委員(坂本代理)、村木委員、森本委員、米川委員(塚田代理)

資料

  1. 議事次第
  2. ゼロ・エミッション・ビルの実現と展開に関する研究会 委員名簿
  3. 本日御議論いただきたい主な論点
  4. 長谷川委員プレゼンテーション資料
  5. 久世委員プレゼンテーション資料
  6. 黒田委員(星野代理)プレゼンテーション資料
  7. 今後のスケジュール(案)

議題

  1. 本日御議論いただきたい主な論点について(事務局より説明)
  2. ZEB化の可能性、IT技術と標準化の動向、エコオフィスの取組など
    • 長谷川委員からのプレゼンテーション
    • 久世委員からのプレゼンテーション
    • 黒田委員(星野代理)からのプレゼンテーション
  3. 自由討議
  4. 今後のスケジュールについて

議事要旨

坂本省エネルギー対策課長より、資料3に基づき、「本日御議論いただきたい主な論点(ZEB化の可能性、IT技術と標準化の動向、エコオフィスの取組など)」について説明が行われた。その後、長谷川委員より資料4、久世委員より資料5、黒田委員(星野代理)より資料6に沿ってプレゼンテーション。その後、自由討議。


ZEB化に向けた設計・運用双方の技術ポテンシャル、ケーススタディ等について

  • 「発注者側の省エネ設計に対する意識の変化」については、前向きな企業姿勢が感じられる顧客は少なく、意識はまだあまり高くないと思われる。まだ自社ビルでないと取り組みが難しい。一方、規制強化による環境の変化は大きく、規制が強化されれば発注者側の意識も変わってくる。同時に、規制だけでなく、支援策も必要である。
  • 省エネ基準に対する自治体の上乗せ規制等によって、設計者側の設計に対する考え方が変わってきた。これまでは設計のプロセスの中でPAL/CECを意識しておらず、設計し終わってから計算していた。しかし最近では、PAL/CECは設計上の物差しとして、設計プロセスの中に組み込まれるようになってきている。
  • 省エネ規制の強化は建設業界には追い風要因ではあるが、発注者側にとっては逆風であり、発注者側の懐具合を考えると必ずしもプラス要因だけではない。
  • 「建設費用とCO2削減率の関係」については、建物の用途や規模によってかなり変わってくる。例えば、超高層ビルと住宅とではCO2排出量を80%削減するのに必要な費用はまったく異なる。
  • 太陽電池によるゼロ・エミッション化への効果は、建築物の規模というよりもエネルギー需要の密度に影響される。オフィスのエネルギー消費量は、住宅と比較してかなり大きく、ゼロ・エミッションを実現するためには、その分太陽電池の導入量も増やす必要がある。
  • 委員から示されたケーススタディでは、OA機器や照明を減らし、住まい方・使い方も省エネ型に変化させた上にさらに機器の容量を最低限に絞り、放射冷房を採用した場合を前提とし、先端技術で約50%~60%のCO2削減率の達成が可能としている。省エネ建築物のコストについては、ビルを建設する時点でこれらの前提について、テナント、オーナー、設計者の合意があればイニシャルコストに対して10%程度の追加コストで済む可能性がある。
  • 一方、既存ビルの省エネ改修に関しては、以前施主からエネルギー消費量を半分にして欲しいという要望があったが、結果的には改修するよりも建て替える方が安くなるという結論であった。既存ビルの省エネ改修に関しては、現状として、CO2排出量を半減するのはほぼ不可能だと考えられる。
  • したがって、既存建築物に関しては住まい方・使い方の改善や、グリーン電力証書の購入などについても検討する必要がある。
  • 既存の大規模ビルでも年間のエネルギーコストは1m2あたり3,000円程度であり、1割削減してもコストメリットは300円/(m2・年)程度。10年でコスト回収したとしても、3,000円程度にしかならず、この金額では省エネ投資には繋がらない。結果的に、既存ビルについては、建築側の対策ではなく制御などで省エネを図るしかないというのが実状である。
  • 既存ビルに関しては省エネ対策を施していないビルがほとんどであり、特に省エネ性能が低く、数が多い中小ビルの省エネ対策が重要である。
  • 既存ビルの改修に関して、省エネを目的にした工事のみを行なうと、コストが高すぎて投資回収できないのが現状である。耐震改修等、省エネ以外の効果を目的とした工事と抱き合わせで行う方が、ユーザー側にとっては都合が良い。このような工事の組み合わせに対する優遇措置等、行政側から制度として提供されると良いのではないか。
  • 金融商品としての省エネビルの価値に関する議論はあまり進んでいないのが現状である。市場において、省エネビルの価値が十分に認められていない。一部のテナントから、LEEDやCASBEEの結果を考慮するテナントが出てきているのは事実だが、他のビルと比較した場合、基本的な性能条件が同じ場合に考慮されるというレベルである。

IT技術と標準化動向

  • スマートグリッドに関して、グリッドから制御を受けるビルにおけるCO2削減の効果については、ユーザー側のコストが削減され、さらにこれがユーザーによる省エネ投資のモチベーション向上につながる可能性があげられる。
  • ビル単体で制御をする社会から、社会全体のエネルギーバランスの中で、ビル同士がお互いに影響を及ぼし合うようになりつつある。こうした分野で、日本の持つ知恵や技術を省エネ支援のソリューションとして海外に対してもインプットできないかと考えている。
  • クラウド・コンピューティングの将来動向に関しては、今後クラウド化が加速化していくと、ビルの内部にサーバーは置かない傾向にある。今後も、その方向性は変わらないだろう。
  • サーバーのエネルギー消費量を100とした場合、これを制御する空調のエネルギー消費量は100を超えているのが現状であるが、クラウド化によりサーバーを寒冷な地域に移すことにより、エネルギー消費量を2割程度減らしたという事例もある。また、サーバーの集約化によりサーバーの稼働率を最適化し、省エネを図ることも可能である。
  • クラウド化に関して、現在「パブリック・クラウド」と「プライベート・クラウド」の2つがある。パブリック・クラウドに関しては、セキュリティが大きな問題となっているが、セキュリティの問題以外にも、課金の仕組み等、課題が残されているのが現状である。
  • 一方で、プライベート・クラウドの普及は加速する傾向にあり、米国では大企業の15%程度がプライベート・クラウドを導入しているというデータがある。5年後には、導入比率は40%くらいになるのではないかと予測している。パブリック・クラウドに関しては、例えばZEBに併せて導入するなど、何らかの動機付けがないと普及は進まないのではないかと考えている。

ZEB化に向けたエコオフィスの取組

  • エコライブオフィスにおけるエネルギー消費のリバウンドについては、今のところそのような傾向は見られないが、省エネの取組を継続していると飽きてきたり、辛くなったりする可能性もあるので、そうならないようにエコポイント制度の導入等いろいろと工夫をしている。
  • 社員の社会行動の変化については、まだ数値化はできていないが、過去に実施したアンケートからは高い効果が伺えた。実際、別のオフィスからこのオフィスに移って来た社員の中には、自身の意識がかなり変わったという者もいる。個人的にエコ行動を周囲に促している社員もおり、波及効果は大きいのではないかと思われる。
  • 建築の設計側から言うと、ユニバーサルスペース(様々な用途に対応できる均質的な空間)というものが理想とされてきた。均質的な空間でなくとも、エコに特化したスペースを設計するということに関して、設計者側とユーザー側でどの程度合意が取れるのか疑問である。
  • 設計者側とユーザー側との連携について、自社ビルとテナントビルでは、スタンスが違う。エコライブオフィスに関しても、自社ビルであるが故、使い勝手に合わせて踏み込んだ取組が可能となっている側面がある。テナントビルでは、一定の貸付条件の下で出来ることは限られており、均質性を落としてエコに特化した設計まで踏み込むのはなかなか難しい。スケルトンとインフィルを分離した発注とするなど、発注形態の変更が必要である。
 
 
最終更新日:2009年10月30日
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