経済産業省
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ZEBの実現と展開に関する研究会(第7回)- 議事要旨

日時:平成21年10月15日(木)10:00~12:00
場所:経済産業省本館17階国際会議室

出席者

坂本委員長、合場委員、稲塚委員(加井代理)、大岡委員、片倉委員(鎌倉代理)、川瀬委員、久世委員(竹内代理)、栗山委員、遠藤様、黒田委員、佐藤委員、田辺委員、中上委員(村越代理)、野浦委員、長谷川委員、廣岡委員、松丸委員、村木委員、森本委員、米川委員

資料

  1. 議事次第
  2. ゼロ・エミッション・ビルの実現と展開に関する研究会 委員名簿
  3. 欧米ミッション出張報告
  4. 今後のスケジュール(案)

議題

  1. 欧米ミッション出張報告
    • 田辺委員・水石氏(野村総合研究所)からのプレゼンテーション
  2. 欧米ミッション出張報告に関する自由討議
  3. 報告書骨子(案)
  4. 報告書骨子(案)に関する自由討議
  5. 今後のスケジュールについて

議事要旨

欧米ミッション出張報告

田辺委員及び野村総研・水石氏より、資料3に基づきプレゼンテーションが行われ、その後自由討議。

ZEBの政策目標について

  • 米国では2030年までにすべての新築業務用ビル、2040年までに既築の業務用ビルの50%、2050年までに米国のすべての業務用ビルをZEBとするための技術の開発・普及を進めており、既築ビルのZEB化に対しては積極的な姿勢を示している。一方、コスト面への懸念は依然大きい。
  • 米国では、新築ビルの建設や既築ビルの改修を行う施主と国立研究所が協同で行うプログラムがある。このプログラムにかかる建設費用はすべて施主持ちで、国立研究所の役割は「技術的なアドバイスを与える」こと。国立研究所の技術や知見を上手く利用したプログラムといえる。
  • 英国に関しては、ラベリング制度(Energy Performance Certificate、Display Energy Performance)の義務化が進められているほか、CRC(カーボン・リダクション・コミットメント)という、運用時のCO2排出量を削減させるキャップ&トレードシステムも2010年4月より開始される予定である。
  • 英国における省エネプログラムについては、英国南東部の地域で行われた事業において、ある建築物をゼロ・エミッション化する目的で、「デベロッパーがその周囲の既築建築物の改修を行い、そのクレジットをオフセットのCO2削減量としてカウントした事例」があった。
  • 今後、建築物のZEB化を進めていく上では、民間セクターを含めた金融措置の充実化が必要となるのではないか。米国では、特に省エネ住宅に関するローンが充実しているという話もある。
  • 米国の国立研究所(NREL)によるZEBの実現可能性の評価において、「2025年に想定される技術を用いた場合、床面積ベースでのZEBの実現可能性は全体で47%」との試算はあるが、これは、全米約6,000の既築ビルを対象に集められた情報に基づき、外皮の断熱性能や内部の設備等が入れ替わったらどうなるかという仮定により試算したものであり、建築物の方角を変更するなどの条件は含まれていない。これらを考慮すると、ZEBの実現可能性は高くなると考えられる。
  • 英国では完全なZEH、ZEBの実現は難しいが、オンサイトの省エネと再生可能エネルギー利用により、2006年の省エネ基準に比して7割以上のCO2排出削減は可能であると評価している。残りの部分については、オフサイトの措置で賄うことになる。
  • 英国では政府、産業界ともに、オンサイトの措置だけでなく、オフサイトの措置を含めてZEH、ZEBは達成可能であるという姿勢を示しているように感じられた。どのタイミングで達成できるか、となると、賛否両論様々だが、英国政府としては目標年次とその内容は堅持する方針である。英国では、再生可能エネルギーの比率を15%まで引き上げる、という大変野心的な目標もある。

ラベリング制度及びデータベースについて

  • LEEDはUSGBC(米国グリーンビルディング協議会)によって運用されているが、エネルギー・CO2の部分については、「Energy Star制度」を適用している。
  • 「Energy Star制度」はエネルギー消費量の実績値に基づいた評価制度であることから、基本的に「空間の質」については扱っていない。一方、ASHRAEなどは室内環境や生産性についても頻繁に指摘していることから、米国でもこれらへの関心は高い。USGBCのLEED取得ビルは居住者の満足度が極めて高い、という論文も出始めている。
  • 「Energy Star制度」は、CBECSという非住宅建築物のエネルギー消費データベースとのベンチマークにより格付けされるが、ベンチマークにおいては、建物用途やアクティビティ、従業員数などの要因により、標準化された上で評価が行われている。
  • 日本ではEnergy Star制度と類似の評価・表彰制度が、日本ビルエネルギー総合管理技術協会において数年前から運用されているが、調査サンプル数は1,000件程度に留まっている。今後、我が国においてデータベースの充実化を図るには、電力やガス等のエネルギー供給事業者からの情報提供を依頼するようなことも検討する必要があるのではないか。
  • Energy Star制度はラベルに取得年が記載されるようになっており、米国のビルオーナーの中にはEnergy Starを1回取得して終わるのではなく、数年ごとに継続して取り続けたい、というオーナーもいる。つまり、運用段階のエネルギー管理を徹底するためのインセンティブとなっている。また、Energy Starの急速な普及の背景として、LEEDに組み込まれているという点が非常に大きいように思う。
  • 建築物に関するデータベースの構築は、今後、ZEB化を推進していく上で、また既築ビルの省エネ性能向上を進めていく上でも、極めて重要な要素になる。米国の場合には、データ収集にDOEは約8億円の予算をかけており、データベースは一般に公開されているが、データ収集に関しては、強制力は持っていないと思われる。欧米では、エネルギー消費に関するデータは公開されていることが多い。日本では、不動産信託物件については監査報告で見ることができるが、多くは非公開なのが現状である。

報告書骨子(案)について

報告書骨子(案)に基づいて、事務局(坂本課長)から説明が行なわれ、その後自由討議。

目標設定について

  • 規制のあり方について、今回のように高い目標を掲げてそれを目指すというのは素晴らしいことだと感じる。
  • 国際基準と照らし合わせた目標設定は、日本にとってビジネス上の観点からも良い方向。野心的な目標で非常に良いと思う。
  • 我が国のCO2排出削減目標を達成する上で、建築分野が具体的にどのような目標を立てていけばよいかを明確にすることが重要。ストックも含めてすべての建築物が2020年までに現行省エネ基準を満たすというのは現実的ではない。「新築では省エネ性能をどこまで高め、既築ではどうか」といった、現実的かつ明確な目標を提示すべきではないか。
  • 新政権が新たに25%の削減目標を提示したことで、ビル分野の数値は前政権時以上の削減を求められることになると考えられる。これを達成するためには、現行の省エネ基準を満たす程度では難しいという印象を強くしている。
  • ビル分野における低炭素化の推進に向け、建築分野の明確な目標を打ち出して頂いた方が産業界も取り組みやすいのではないか。
  • ZEBを巡る国際的な動向の中で、日本もZEBの目標を明確にし、国際動向においても役割を果たしていくことが重要であると思う。
  • 「省エネ基準の強化」という表現の中には、義務化も含まれているのかもしれないが、義務化されていない(罰則規定のない)建築物もあることから、「省エネ基準の強化及び義務化」という表現の方が良いのではないか。
  • 建築物のエネルギー消費に関するデータに関して、ビルのテナントや用途に応じた数値が取れる状態になっていないのが現状である。建築物の省エネやZEB化の進捗を把握するためのツールや仕組みの開発が報告書骨子(案)にも盛り込まれていくとよいのではないか。
  • ZEBの定義に関して、オンサイトでの対策までに限定しているが、スマート・グリッドの可能性も非常に大きいのではないかと感じている。
  • 国の政策と地方自治体が独自に行っていく規制や制度等、それぞれの政策との兼ね合いを考えることが必要であると感じている。
 
 
最終更新日:2009年11月26日
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