経済産業省
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蓄電池システム産業戦略研究会(第2回)-議事要旨

日時:平成21年6月17日(水)
場所:経済産業省17階国際会議室

議題

前回の議論等から抽出した論点について

議事概要

会議の進め方について

  • 本日の研究会のテーマは電気自動車に関するものであると書いてあったが、今後の研究会の進め方はどのように行っていく予定なのか。また、研究会で考えている時間軸についてはどの程度のものであるのかを明確にしたい。
  • 現時点では(先の市場が)見えているものと見えていないものがある。そのため、まずは論点となりそうなことを幅広く出してもらいたい。その後で、見えてきたものに関して議論を行い、整理する予定である。横に発散させた後で縦に深く掘るというやり方をとりたい。そのため、ユーザー側の意見をまずは聞くという形式で進めさせてもらった。時間軸に関しても今後の意見交換の中で決めていく予定であるが、まずは2020年が一つの目安にはなると考えている。

議論の枠組みについて

あるべき姿の設定

  • 蓄電池システムは電池をどのように利用すればCO2を削減できるかを考える必要があり、そのためには電力の需給量を見る必要がある。現在は原子力、水力のような発電形態がベース電力となっており、電気の利用が多い昼間は火力発電を増やすことで電力をまかなっている。そのため、夜間に蓄電をして充電を行い昼間に放電を行うことで火力発電を減らすことができるはず。このような結果としてCO2の削減にも寄与する。このようなあるべき姿を考えた上で、今後の政策を考えるべきである。
  • 蓄電池システムのモデルケースを考える上で、エネルギー貯蔵という目的では同じ水素との比較も必要。詳細の水諸社会を想定すれば、ケースによっては電気を貯める目的での水素利用も考えられる。蓄電池の位置づけを考える必要がある。モデルケースによってその位置づけも異なってくるので、例えば水素社会を想定するなど、その将来像を明確にした方が具体的な議論をやりやすい。
  • クルマに限らず製品における蓄電池の果たす役割は大きいため、あらゆる業界での蓄電池活用を促進することを前提に需要の総和を予測し、開発から生産・販売・利用までの蓄電池のライフサイクルでの市場育成に総力をあげるべき。
  • 日本はエンジンからの脱却に対して悲観的という見方があるが、取り組みのレベルは世界の最先端にあり、現実的な見方をしているだけである。ただし、日本の自動車産業がエンジンにより作り上げた既存の基盤から脱却することは簡単なことではないので、あるべき姿を明確にして積極的に取り組む必要がある。
  • 今後の新しい技術としては何が出てくるか分からないので、フレキシブルな対応が必要になる。また、日本と海外とでは求められるものが異なるので、それらを考慮した上でどのようなシステムが必要になるかを考えるべきである。例えばスマートグリッドは米国においてはシステムの脆弱性をカバーするために必要なものであるが、日本の場合は必ずしもそれが必要になるとは限らないはず。

モデル化による検討

  • 不安定な新エネルギーを系統に入れるに当たって、蓄電池は非常に役立つものの、太陽光発電等が普及して逆潮流するとなると制御装置等の社会インフラの整備が大変になる。そのため、蓄電池の利用範囲を家庭に限定して系統には影響のないようにするか、そうするとコストがかかるため系統に入れて全体コストを下げるか等適用をどこまで広げるべきかに関しては、モデルを設定して検討していくべきである。また、社会インフラ設備の形成はそのモデルの実証試験を行いつつ技術開発を進めることが大事である。
  • 創出されるエネルギーの種類と場所は多様化され、消費されるエネルギーの利用特性や場所も多様化する中、蓄電池が有効な地域、形態などを分析し、蓄電池エネルギーを含めた最適エネルギーマネジメントを社会システムとして継続的に運営できるとよい。このエネルギーの在庫最適化問題を、ユーザー視点を踏まえて世界のあらゆる地域で解決できる能力がグローバルにおける日本の価値となるのではないか。
  • 世界の蓄電池需要を見てみると太陽光発電の普及と関連して需要が拡大するようであるが、現在は単純に無電化地域であるので電気が必要といった場所においてもニーズがあると考えられる。この点も含めてモデル化をしていく必要があると思う。

優先順位づけ

  • 蓄電池のようなコストのかかるものに関しては、エネルギー在庫の最適化が重要になるため、優先順位をつける必要がある。まずは集中的にエネルギーを使用する場所から設置すべきだと思う。
  • 蓄電池は用途によって競争力の源泉になるものが異なってくるはずである。実際に社会の中で蓄電池システムをまわしてみることで新しい発見もあるはず。その上で、何に注力していくべきかを考えていくのが良い。
  • 蓄電池システムでは国、用途を含めどこにウェイトを置いて進めるべきかを考えていく必要がある。

ロードマップの作成

  • ユーザーサイドとしては軽量化された電池が欲しいという考えはあるが、将来像が定まっていないためやりにくい。そのため、蓄電池をどのように普及させていくのかに関するロードマップが必要。

実現する際のハードルについて

原料確保

資源国家との関係構築
  • 資源制約の問題では資源ナショナリズムとの関係が重要になる。そこに日本がどのように絡んでいくかが大事なポイント。そのためにも、リチウムそのものの需要、さらには電気自動車の需要などのモデルケースについても考えるべきである。
その他
  • 大型蓄電池は、材料は簡単には変えられないので資源の確保に加え、安定供給が重要になる。

研究開発

支援体制
  • 研究開発でも技術革新が求められるが、NEDOによる支援は米国に比べると小さい。そのため、もっと積極的な支援を行って欲しい。
  • 現在技術的に優位に立っている蓄電池は主に民生用の小型のものであり、社会インフラにもなり得るような大型用途に関してはまだまだ技術的に成熟していない。実際、寿命の問題一つとっても求められる技術、スペックは大きく異なる。アメリカでは社会インフラ向けの蓄電池に対して積極的に支援を行っているため、このまま日本が現在の民生用におけるアドバンテージを生かせるかどうかは疑問である。
  • 蓄電池の普及には急速充電システムも含めたインフラの整備が不可欠である。研究開発についてはNEDOでも支援できるが、基本的なスペックや規格などが定まってくるとより支援もやりやすい。
  • 米国では材料メーカーに対する支援制度もあるので、日本メーカーが現状の状況で戦うことは厳しい。今後も日本が強さを維持するためには支援が必要。
技術流出
  • 早期にマーケットを拡大させようとすると、世界に需要があるためいずれは海外で生産を行うことになる。その結果、ノウハウが流出してしまうことが多い。そのような状況で、いかに日本がトップを維持するかが大きな論点。
  • これまで日本の技術産業では、日本の設備が海外に流出したことが大きな問題になっている。大型の蓄電池になると設備の重要性も高いので、設備の海外流出を防ぐような政策が必要。
  • 過去の半導体のステッパー技術が流出したことは生産設備の流出が問題となっている。しかし、太陽電池の単結晶抽出設備のように自社内で生産設備を開発するという方法もある。しかし、退職者からの技術流出もあるので、そのような人材の受け皿が必要になるのではないか。
  • 技術流出を防ぐためにどこまでを内製化する必要があるのかを含め、技術をどのように囲い込んでいくか、実現性を含めて考える必要がある。
人材育成
  • 蓄電池の研究開発は人材不足が大きな問題。特に基礎研究と応用研究の間に大きな溝があり、その間を埋めるような研究者がいない。
  • 基礎研究と応用研究の間の穴埋めが必要であるというのは大きな問題であり、このあたりについては今後も議論をするべき。
  • 研究開発に関しては国内の研究者だけでは不足することがあるので、海外の研究者にも研究をしてもらう環境が必要なのではないか。
その他
  • 電力を蓄えるという点で揚水発電と比較すると、系統用の蓄電池には規模や経済性、寿命等の性能においてかなりの技術革新が必要であると考える。電力系統は、社会インフラとしても非常に重要であるので、電力系統に入ってくる蓄電池には、より信頼性の高い設備が必要。
  • 材料メーカーはどうしても個別最適化を考えて開発を行ってしまう傾向があるので、大きな視点を見落としている可能性があるのが怖い。

量産体制(標準化)

支援体制
  • 国内、海外問わず生産設備には多大な投資も必要になるので、この点は支援すべき。
  • 米国においては研究開発だけに支援をしているのではなく、生産設備整備にも多くの支援を行っている。
  • 日本が競争力を確立する上には、材料、電池設計、生産設備の大きく3つの要素があるが、生産設備の部分が特に重要になりつつある。そのため、設備産業に対するテコ入れが必要。
  • 蓄電池には市場が立ち上がるまでにも非常に大きな投資が必要。その上で、量産体制を構築し、より安い価格で提供することで技術革新につなげていきたいと考えているので、やはり国からの支援は重要。
  • 設備の投資には大きなリスクをとっているので、もっと企業がチャレンジできるような環境が必要。
  • リチウムイオン電池には大きな設備投資が必要。そのため、直接の助成金は難しいというが、これがないと厳しいのが現状である。
標準化
  • 米国においては安全基準を不合理なほど厳しいものにすることで、非関税障壁による米国メーカーの優遇を行おうとしており、その結果海外メーカーが不利になる可能性もある。そのため、日本からも積極的発信を行って安全基準の設定を行うべきである。
  • ISO、IECとの区分けは既に考えており、今後規格の統一化は本格化する予定。IEEEなどとも連絡をとって国際規格に日本の意見を取り入れてもらえるよう動いている。ただし、第3者認証が必要になるのが一般的であり、この点は意識しておいて欲しい。
生産能力
  • 中国は市場が大きいため、蓄電池についても中国生産が積極的に行われる可能性がある。この点は脅威になり得る。

市場形成

インセンティブ設計
  • 電気自動車の市場化は現実的なものになっているが、ユーザーサイドにおいて経済合理性によるインセンティブを与える必要がある。
  • 蓄電池の普及に際しては様々なステークホルダーが存在する。例えば太陽光発電と蓄電池のセットを考えてみると、電力会社は逆潮流を受け入れるための設備投資(コスト)も必要になれば、負荷平準化というメリットも見込める。そのため、総合的に考えた上でインセンティブを設計すべきではないか。
対象市場の設定
  • 日本の技術レベルはトップクラスにあることは事実であるが、海外企業も積極的に取り組んでいることも事実である。そのため、海外において新たな市場が形成されて出遅れることは非常に怖いことであるので、日本はもっと連携すべきである。
 
 
最終更新日:2009年7月7日
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