経済産業省
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蓄電池システム産業戦略研究会(第3回)‐議事要旨

日時:平成21年7月15日(水)
場所:経済産業省17階国際会議室

議題

  1. グローバルな観点からの蓄電池の普及ポテンシャルと普及パターンのあり方について
  2. その他

議事概要

研究会の目的/進め方について

世界市場を視野に入れた産業戦略の必要性

  • 本研究会においては、今後グローバルな蓄電池市場の中でマーケットインで市場に参入していくということを前提に話し合いを進めていきたい。
  • NAS電池には中国、ロシア、UAEなどからのニーズがあり、海外でビジネスを展開することは可能であるが、日本のことを考えると技術を流出させてしまうことが怖い。会社としても日本に貢献はしたい一方で、国内に市場が創出されなければ、一企業としては成長の場を海外に求めざるを得ない事情も出てくる。やはり、国家戦略の観点から蓄電池戦略を考える必要がある。
  • 海外を視野に入れた政策は非常に重要である。国内だけのことを考えてグローバルのデファクトスタンダードを取られることは非常に怖い。実際に実証実験に関しては海外からの引き合いもあるため、自動車メーカーとしては国の政策に関わらず、海外に出て行かざるをえない。

他国の取り組みについて

各国の事例

  • ドイツでは2020年には再生可能エネルギー割合を30%にする予定であるので、現在は夜間に蓄電すると入金がある制度を導入している。また、アメリカでもスマートグリッド普及のための補助金として国から莫大な予算が与えられており、各国はスピードをあげて産業の発展に対応している。その結果、系統用蓄電池にもニーズが生まれ、市場が形成されると考えられる。
  • 海外戦略を考える上ではEUのようにまとめてみるのではなく、個別の国の政策についてもしっかりと見ていくべきである。また、EUの中でも必ずしも大国の政策が主流になるわけではなく、委員会のメンバーなどにも左右されるので細かく見る必要がある。
  • 中国市場はしばらく立ち上がらない可能性が高そうであるが、常にその動向だけは押さえておく必要がある。中国が本格的に取り組む場合は国をあげて取り組むので、日本では考えられないほどのスピードで市場が立ち上がる可能性がある。

直近の取り組み課題について

実証実験について

  • 今後は実証実験による試験運用も重要になると考えられるが、その際には国内だけではなく海外も意識してグローバルでの蓄電池普及を考えるべきである。日本のような高度な系統を有している国はむしろ少ないので、日本の基準にばかり合わせていると、周辺の国がついてこられない可能性もある。そのために、日本としてはあらかじめ他国と連携した上で実証実験等を行う必要がある。
  • 実証実験は非常に重要であり、進めていくことには賛成であるが、その際にはやはり明確な目的、テーマを持って行う必要がある。例えばスマートグリッドの実証実験は、様々な社会インフラに関わってくることであり、電力の品質やコスト面といった観点で検証することが重要。そういったことを踏まえた上で、何を論点にするのかについて明確にしておく必要がある。
  • 実証実験については日本の場合は系統が強すぎて海外で応用できないケースがある。そのため、電気が存在しないところ、もしくは系統が弱いところも想定した上で実証実験を行う必要がある。ただし、その場合はコストとの兼ね合いをしっかりと考える必要がある。
  • 現在は様々な場所で実証実験が行われている。実際、今後ニューメキシコ州において日米相互で実証試験を行うことを検討しており、系統網の弱いところや存在しないところも踏まえて実証を行おうとしている。また、アブダビではマスダールなどの実証実験に対して積極的に提案や、国内の離島での実証実験も検討している。その際は、どのような場所で実証実験を行うべきか、しっかりと整理を行う必要がある。
  • 昭和シェルが無電化地域に太陽電池を導入するなどの事業も始めているため、そのような事業にも積極的に関わっていくようにしたいと考えている。

研究開発について

  • 電池は確かに長寿命にすることは必要であるが、初めから不必要に寿命の長い蓄電池は必要ないと思う。電気自動車やハイブリッド自動車が普及すれば、蓄電池の性能は上がり、コストは下がるはず。むしろ、産業という観点から考えると、常に新しい電池を作り続けることが重要である。
  • 蓄電池で長寿命が実現されることは、廃棄物が削減されるという点を考えると大きな付加価値になり得ると考えている。
  • 日本としては現在リチウムイオン電池よりもさらに先の革新的蓄電池に取り組んでおり、系統用蓄電池との組み合わせやシステムも考えており、研究開発は着々と進めている。

標準化、認証制度について

標準化

  • 蓄電池の普及に関しては標準化が大きな論点となるはずであり、ロードマップを作成することでいずれかの段階で、形状、出力、電圧などの指針を決定する必要がある。各社がバラバラに取り組んでいる状況では海外との関係を考えると厳しくなる可能性が高い。また、同じリチウムイオン電池でも用途によって基準が異なるので、これらも考慮する必要がある。
  • 規格化、標準化については今後大きな論点になると考えられるので、IEC、IEEEなどについては今後も見ていく必要があり、認証についても今後、情報の収集を行った上でまとめてお伝えしたい。

認証制度

  • 蓄電池には性能、長寿命、安全性、信頼性が求められているため技術開発が今後も重要になる。また、蓄電池のリユースを進めるには、残存価値のチェック等もいずれは必要なってくるため、これらの認証を行うための制度が必要になる。そのため、海外に先駆けて認証制度はつくっておく必要がありそう。
  • 残存価値などのチェックに伴い必要となる認証機関については、わざわざ電池を認証機関まで持っていくことは難しいので、ITSなどの通信技術を活用するなどの取り組みを日頃から考えるようにするべきである。
  • 蓄電池に関しては点検や残存価値の評価が論点になることがあるが、電気自動車の電池の点検であれば、車検などもあるためその中に織り込むことができるはずである。ただし、蓄電池技術の成長もあるので、電池の残存価値や余寿命の診断を行う上では、それらのメカニズムをしっかりと押さえておくことが必要になる。

国の支援体制について

研究体制

  • 自動車に関しては安全性の向上が大きな論点になっているが、現在これらはメーカーで行われているのが現状である(同時に各メーカーにとって開示したくない情報でもあるが)。安全性の基礎研究のようなものは行われていないので、メーカーにとっては大きなコスト負担になっている。
  • 蓄電池はもちろん多くの製品において、信頼性は素材に基づいていることが多い。そのため、素材の特性やメカニズムに関しても着目する必要があり、この点の基礎研究も非常に重要になってくる。NEDO、JSTやJSPSなども含め、協力して基礎研究を行くようにしてほしい。

補助金

  • 現状の政策を考えると系統整備に対しては国による補助がなく、系統整備に対する責任は電力会社が負っている。しかし、新エネの普及は系統に対しても影響を与えるため、国は蓄電を含めた系統整備にもセットで補助を考えるべきではないか。それにより、新エネが普及せず、CO2の削減が達成されなければ、結局は排出権取引を活用するなどのコストがかかってしまう。
  • 補助にも2つの種類があり、購入時のイニシャルコストに対する補助とランニングコストの補助があるので、普及を考える上ではどのような形で行うべきかしっかりと考えるべき。

その他支援/政策

  • 現在の蓄電池の研究開発を見ると、リチウムイオン電池も燃料電池もトップクラスにいる。日本はこれまで海外の技術を追いかけるだけでよかったため研究開発官が指揮をとって上手く進めてきたが、今回はトップを走っておりこれまでのやり方では上手くいかない可能性がある。トッププレイヤー同士では情報が流出するリスクがあるので、守秘義務契約等の設計も必要になってくるが、それらも含めて製造産業局なども絡めた上でトップ企業の海外進出支援を考えていってほしい。今まで通りのやり方では上手くいかないし、人材の流出のようなものにも対応する必要がある。研究開発とは本来はそのようなものであり、そのための人材の育成は今後も進めていく必要がある。

蓄電池の普及ポテンシャルについて

蓄電池の普及パターンについて

  • 蓄電に対するニーズは電源の特徴によりそれぞれ2種類ずつある。安定電源に関しては、負荷平準化ニーズに加え、火力発電のタービンを最大定格出力で常時回し続け蓄電池で電力需給調整し、燃料の消費、その結果CO2排出を最小化するなどの効率運用のニーズがある。反対に、不安定電源に関しては、再生可能エネルギーの導入促進ニーズや蓄電による柔軟な電力利用のニーズがある。
  • 太陽光/風力発電の普及による安定化ニーズは、不安定な電力が流入してくることにより生じる系統の乱れへの対策、離島での活用の2つも考えられる。
  • 負荷平準化の対策としては、火力発電による対策と電力貯蔵による対策が考えられ、電力貯蔵にも蓄電池による貯蔵と揚水式水力発電による貯蔵がある。ただし、揚水式水力発電に関してはコスト等のメリットが大きい反面、土地を切り開き、大規模な施設を建設する必要があり、生態系、環境という観点から考えると海外では揚水を排除するケースがある。
  • 太陽電池は分散型にすれば、天候に左右されずに常に一定の発電量が担保される。また、天気予報などでおおよその発電量などは予測できるため、スマートグリッドなどのそれにより普及すると考えられるシステムに期待したい。

蓄電池ニーズに影響を及ぼす要因

  • 蓄電池産業戦略を考える上で、海外市場を視野に入れることは非常に重要。ただし、蓄電池の普及ポテンシャルは、現状の政策によって大きく変化する。例えば、家庭に導入した太陽光発電に蓄電池を組み合わせることは、太陽光発電の余剰分を固定価格で売電できるFIT制度でのユーザーメリットと相反する方向であるため、それによる相殺分も含めてポテンシャルを考えるべき。
  • 負荷平準化に関しては揚水式発電所のようなものがあるが、フランスのような原子力発電が主流である国については、発電所そのものの出力調整を行っているはずである。このような対応の仕方も考える必要がある。
  • 市場ポテンシャルを算出するにあたっては、フランスの原子力発電所については発電調整が可能であること、またヨーロッパについては日本ほど1日における電力消費量の差が大きくはないので、負荷平準化に対するニーズはそこまで大きくはないはずである。また、原子力発電所での出力調整が可能になれば、蓄電池の普及状況は大きく変わる可能性もあるので、国ごとの特徴を踏まえた上でより精緻に見ていく必要がある。
  • 蓄電池の市場ポテンシャルについては、フランスの原子力発電所の出力調整も考慮に入れるべきである。また、日本であれば送配電によるロスは非常に小さいが、海外では大きなロスになっているので、送配電網の整備状況も考慮すべきである。また、中東では原油の枯渇が大きなリスクであるため、マスダールシティのような形で政策的に蓄電池関連技術に取り組んでいるケースもあるので、試算には組み込んでおく必要がある。
  • 今後の蓄電池のポテンシャルを考える上では、それらに対してどのようなニーズがあるかを明確にして考えていくべきである。例えば、自動車を考えてみてもEV/HEV/燃料電池車はそれぞれにニーズによって共存する可能性も考えられるはずである。

その他

  • EV/HEVの普及の際のボトルネックとして考えられている充電インフラの整備については、蓄電池の性能が上がれば必要がなくなることも考えられるので、これらのシステム全体を含めたロードマップを考える必要がある。

問い合わせ先

資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課
電話:03-3501-4031
FAX:03-3501-1365

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最終更新日:2010年12月13日
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