経済産業省
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蓄電池システム産業戦略研究会(第4回)-議事要旨

日時:平成21年8月5日(水)15:30~17:30
場所:経済産業省17階国際会議室

議題

  • 中間論点整理
  • どの市場を想定し、どの用途を準備すべきか
  • 標準化について

議事概要

目指すべき方向性の設定

  • 日本の新しい産業として蓄電池産業を考えていくのであれば、やはり輸出産業の花形にしていくということを考える必要がある。米国のスマートグリッドのようなものに惑わされずに、日本の蓄電池システム産業のあり方を描いて、それを実現していくことが重要である。
  • 海外の取り組み状況を考えていくことは確かに重要であるが、蓄電池システムとその市場性を考えていくためには、どのような蓄電池が、どのようなところに、どのような形で導入されるかについて考えていく必要がある。その上で、日本が世界の中でどのように勝っていくかを見ていくことが戦略を考える上では非常に重要になる。
  • 蓄電池の市場としては、大きくは家庭用、系統用、自動車用が考えられるが、家庭用については不確定な点も多いので分からないが、一つの考え方として、系統用に関しては、コージェネレーションなども含めて、過去の色々な取り組みのように実証実験を行っていけば良いのではないか。また、自動車用に関しては、日本のメーカーがグローバルでも強いので、認証なども含めつつ、リユース、リサイクルの仕組みや社会システムを考えた上で国際展開を図っていけば良いのではないか。

産業化に向けて考えるべきこと

  • 経済産業省として新産業化を行うのであれば、総花的な話だけをやるのではなく、蓄電池システムの中でも何を選んで、何を進めていくか、何を具体的に伸ばしていくかを考えていく必要がある。
  • 太陽電池の普及促進のために系統側に発電したものを売っていくというモデルは一つとして考えられる。しかし、電気自動車や家庭用蓄電池に蓄電するということも一つのモデルとして考えられ、住まいから低炭素に貢献するために、どのようにしたらクリーンエネルギーを上手に活用できるかを考えることが大事である。生産した電気をその場で消費するニーズもあるので、適切な容量の電気自動車やプラグインハイブリッド自動車、家庭用蓄電池が普及することも考えられる。
  • 実際、いつまでも太陽電池で発電された電気を高く買い取ってもらえ続けるということは現実的ではないはず。
  • 太陽電池や電気自動車の普及により蓄電ニーズが生まれることはあるが、経済的な観点から考えて系統用蓄電池を利用するほうが合理的である。その上で、VtoGや家庭用蓄電池が本当に普及するかという点については考える必要がある。
  • 求められる蓄電池の種類は、系統網の特性、導入される新エネルギーの種類等によって異なるはず。海外の系統用蓄電池の市場は大きそうなので、各国の地域特性を踏まえた上で、どのような蓄電池が求められるかを考えていく必要がある。
  • 自動車用蓄電池が必要になる次世代自動車にもハイブリッド自動車、プラグインハイブリッド自動車、電気自動車等、いくつかの種類が存在しており、これらは使用される電池も異なるので、市場は分けて考えるべきである。
  • 今後の蓄電池関連システム市場を考えていく中では、将来のことなので不確定な要素も多いので、一度、蓄電池の普及パターンや関連するビジネスモデル、生じる問題点について、蓄電池のライフサイクルの中で考えていく必要がありそう。叩き台として、ひとつながりのストーリーを作成した上で、レアメタルのリサイクル、蓄電池のリユース等の蓄電池ビジネスも考えていくとよいのではないか。
  • 系統安定化用途に関しては、それぞれの業界の利害関係などが絡んでくるため簡単ではない。海外に出て行く際には、日本の新幹線システムのような形で、トータルのシステムを考えた上で、電力会社、電池メーカー、パネルメーカー等が協力して国際展開を行うということも考えられるのではないか。
  • 蓄電池を産業化していく中では敵を知り、己を知るということが非常に大事である。己を知るということで言うと、NEDO等で考えている自動車用蓄電池のロードマップが出ているが、これらの蓄電池が本当に普及していくのかについて検討していくべきである。また、米国においても電気自動車等のロードマップは出ているので、これらと比較することでも色々なことが見えてくるのではないか。
  • NEDOではロードマップの作成など様々なことを行っているが、今後の技術開発を考えていくためにも市場動向を踏まえた調査を行う必要がある。
  • 戦略を考える場合には確かに色々な変数が存在しており、予測は立てにくい。実際、電気自動車の価格や普及率を考えてみてもメーカーによって予測値が異なってくる。しかし、レアアース等の原料調達を考える場合には、正確な予測が立たないと大きな投資を行うことは難しい。そのため、メーカー等の協力も含めて考えていく必要がありそう。
  • 電力運用の難しさはあるが、今後世界中で再生可能エネルギーが積極的に導入されることは必至であり、その対応のために系統用の蓄電池を導入する必要が出てくる。実際に、ヨーロッパでは風力発電の導入により系統に支障が出始めている。市場を世界で考えるのであれば、系統用蓄電池に関してもロードマップに加えていく必要がある。
  • 系統用蓄電池としてNAS電池を利用するニーズは世界各国から出ているそうで、引き合いが強いと聞いている。
  • 定置用蓄電池については現状ではあまり見えにくい部分もあるが、NAS電池、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、鉛蓄電池等の種類があり、それらが本当に入っていけるのかを検討していく必要があるのでは。
  • 現在、知的財産権の問題が挙げられているが、調査によると中国や韓国で既に知的財産の侵害がなされている可能性のあるものも出てきている。かつては知的財産争いでも勝ったことがあるが、今後はどのように対応していくべきかについては一緒に考えていきたい。また海外では生産設備などが急速に作られる中で、日本としてどのように取り組むべきかを考えていく必要がある。
  • 中国においては電動二輪車の市場は1,000万台市場とも言われている。市場としては非常に魅力的ではあるが、コンプライアンス上の観点から中国メーカーと同じ土俵で戦っていくことに難しさを感じることもある。やはり技術で勝負できるような環境を整えてほしい。
  • 中国ではスクーターのような電動二輪車が多く走っているが、自転車扱いで販売されているのに対して、日本では原動機付き自転車扱いになっているなど、法律によっても普及のしやすさが異なってくる。
  • 中国に関しては二輪車において蓄電池の普及が進む可能性もある。
  • 未来開拓戦略の中では2020年に新車販売の半分が次世代自動車になるという大きな目標を掲げているが、国の政策が定まらないとその実現は難しいため、国も覚悟を示す必要があるのではないか。
  • 他国の取り組み状況を分析することはもちろん大事であるが、自国の技術や市場を踏まえた戦略に基づいて、政策を作っていくことも大事である。国の政策次第で大きく変わる部分も多いと考えているため、特に現在のような状況では国の動き方が重要だと考える。
  • 海外のスマートグリッドの実証実験プロジェクトには多くの企業が関わっているが、技術力が有るにも関わらず、日本のプレイヤーの参加は非常に少ないと聞いている。技術流出は確かにリスクではあるが、実証実験の中で経験するべきことも多いはずである。そのため、海外の実証実験に参加するか、国内でプレイヤーを集めて実証実験を行うかのいずれかで海外に出られるケイパビリティを身に付ける必要があるのでは。
  • スマートグリッドに関しては実際に海外に出て行こうとする動きもあり、NEDOがアメリカのニューメキシコ州の実証実験に参加している。これらの実証実験で得られた内容に関しては是非ともシェアをしてほしい。

蓄電池普及のためのハードルについて

  • 半導体であればムーアの法則のようにコストが急激に下落していったが、蓄電池ではロードマップにあるような現在の1/7レベルにまで急激にコストを下げていくのは、技術的に非常に高いハードルがあると考えられる。そのため、コストを下げていくためには技術開発だけでなく、ビジネスの仕組みなどもセットで考える必要があるのではないか。もちろん量産フェーズに入れば、ある程度のコストダウンは見込めるだろうが、リースや残価設定などの仕組みがメーカーのイノベーションと併行して作られることで、蓄電池の普及がより進むのではないか。逆にこれらの仕組みがなければ、5年以内などの近い未来において、電気自動車やその他の蓄電池が大量に普及しているような姿は考えにくい。
  • 蓄電池の普及を考える上で、コストがどれぐらい下がるのかという点は、支援のための政策を考える上でも非常に重要である。これらの情報に関してメーカー側は明かしたくはないだろうが、外部からでは見えにくい部分も多いのでメーカーの方々のお話も伺いたい。
  • 電気自動車の普及を考える上では、明確なことはわからないがコストがどの程度下がるのかを考える必要がある。自動車の部品の中には10年間でコストが1/10になるケースもある。また、電気自動車の普及は社会システムとも関係しており、この点は注意して見ておくべきである。これらを考慮すると想定以上に電気自動車の普及が進む可能性もあるのでは。
  • 標準化において自動車用に関してはジョイントワーキンググループで国際標準化に取り組んでいる。フランスの案が一度出されたが、日本が出したものが通っており、日本案がそのままベースになって使われる可能性がある。
  • 自動車用の蓄電池を考える上で、民生用の標準化の概念に引きずられ過ぎることで失敗することを非常に危惧している。
  • 蓄電池は利用シーンによって電池の種類も異なってくるので、それらを一つにまとめて、電池の種類によって何ができて、何ができないかを評価する必要があるのでは。その上で、標準化を考えていく必要があるはずである。
  • 蓄電池に関しては売っていくということだけではなく、リユースなどの電池の有効利用を図ることもビジネスになる可能性があるので、その中では認証制度も重要になる。そのため、蓄電池の利用過程が重要になり、これらの可能性についても検証すべきでは。
  • 系統用蓄電池として電池を導入していても、残量測定が難しいため無駄に容量の大きなものを導入しがちである。その結果、コストダウンが進まないということもある。そのため、残量表示等のシステムは重要になるはずである。
  • 充電状態の検知は非常に重要であり、鉛蓄電池、NAS電池については出入りの積算電流計を使用している。ただし、誤差が大きくなるなどの問題点もある。リチウムイオン電池については比較的電圧を測定すれば容量は推定できる。
  • SOC(充電状態)は現状のハイブリッド自動車については大きな幅は持たせていないので、電圧等から推定は可能である。しかし、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車に使用されるリチウムイオン電池に関しては、SOCを測定するために色々な角度から推計を行う必要がある。一つの方法は電流の出入りを積算することによって推計する方法がある。
  • 電気自動車の普及のためには急速充電器などの充電インフラが重要であると考えられるが、日産自動車、三菱自動車工業、富士重工業と共同で充電器インフラ推進協議会というインフラ整備のための準備委員会を立ち上げている。
  • 電気自動車、プラグインハイブリッド自動車は大きな市場が見込まれるが、急速充電器に関しては電気代が安すぎてビジネスとして成立しない可能性がある。
  • 電気自動車の普及のための論点として充電インフラがよく出ているが、(充電スタンド等の)充電インフラの重要性については疑問もある。そもそも、街の中でいつ止まるか分からないような電気自動車では普及しにくいのではないか。また、充電インフラの整備には非常にコストがかかるため、極端な話ではあるが、むしろ社会全体で考えれば、止まってしまった車を回収したりするレッカー車等を充実させる方がかえって低コストで済むのではないか。また、環境面を踏まえた電力の効率利用という観点からは、充電スタンドが街中に普及して昼間に充電が行われることが本当に良いのかも疑問である。
  • 蓄電池の回収の仕組みとしては、現状のハイブリッド自動車については全て回収を行い、リサイクルしている。その際のコストは販売価格に回収時のコストをデポジットするという方法をとっており、特定の運送会社とも提携して一定価格で回収できるようにしている。
  • 電池のリユースについては、電池の利用方法によって劣化度合いが異なってくるため、非常に難しい。また、電気自動車に限って言えば、他用途への転用のために自動車そのものより長い寿命の電池を載せることはオーバースペックになって自動車の価格が高くなってしまうと、電気自動車そのものの普及にも影響が出る可能性もある。

その他

  • 蓄電池の普及を考える上では、化学物質に対する規制も考えていく必要がある。実際にヨーロッパ等では大きな問題になることもある。
  • VtoGに関しては、電池は使っていく中で劣化していくことを考えると、電気自動車に搭載されるような高価な蓄電池を本当に家庭用として何度も利用してよいかは疑問である。また、電力トラブルがあった場合の(電力会社、電池メーカー、自動車メーカー等の)責任範囲も明確にする必要が出てくるので、仮に推進していくのであれば、ワランティーをどのように設定するかも非常に重要である。

問い合わせ先

資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課
電話:03-3501-4031
FAX:03-3501-1365

 
最終更新日:2009年10月27日
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