経済産業省
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蓄電池システム産業戦略研究会(第5回)-議事要旨

日時:平成21年9月28日(月)16:00~18:00
場所:経済産業省17階国際会議室

議題

  • 海外調査の報告
  • 概算要求について
  • 蓄電池の利用シーンから見た要件と論点
  • 今後の進め方について

議事概要

総論

  • 研究会でテーマとしている内容は非常に幅広いものであり、蓄電池も含めもっと広い要素について考えていく必要がある。社会全体が大きく関連するため、今後の社会がどのように変化するかについても考えながら、政府としても全体で取り組む必要がある。
  • 利用シーン全体で検討を進めるためには企業間で協力、すりあわせをしていく必要があり、そこは本研究会内で検討、対応すべき。ただし、企業単体で取り組むことができる内容に関しては各社で進めていく必要がある。
  • 素材メーカーとしては日本からの引き合いよりも、むしろ海外からの引き合いが多いというのが現状である。しかし、素材のような個別技術で海外に出るのではなく、日本連合として海外に進出するモデルを考える必要がある。蓄電池は世界でも優位な立場にあるので、新幹線のように国全体としてシステムとして海外に出られるチャンスであり、この点を生かしてほしい。
  • 電気自動車については日本は既に先行しており、有利な状況である。そのため、このようなアドバンテージを有効に活用して社会システムの中で検討を行う必要がある残価設定等の論点を考えていく必要がある。
  • A123などは既に日本の電気自動車等を活用しながらデータの取得を行っている。そのため、日本も早急に社会システムの中での論点を考えていく必要がある。
  • 今後再生可能エネルギーが増加すると周波数コントロールなどを行うための高性能蓄電池が必要になってくる。現状、NAS電池のような高性能蓄電池は存在しているが、少し先を見据えたより高性能で低コスト、長寿命な蓄電池の開発を視野にいれてほしい。産業用蓄電池についても同様で、負荷平準化、瞬時電圧低下対策、バックアップの用途など将来に向けて性能をより向上させていくことが必要である。
  • 発展途上国も含めた世界展開を考えると、経済的なゆとりがない国々でも省エネ、二酸化炭素削減を実現できるようにするために、低コスト化を実現する必要がある。

利用シーンについて

  • 蓄電池の利用シーンは社会システムの観点から考える必要があるので、今回のような利用シーンで分けて考えるという点は良いことであると思う。利用シーンについてはアメリカのNISTでもユースケースを想定しているので、それらを参照しながら世界で共通なものを考えると同時に、日本ユニークなものも合わせて考えていくことが望ましい。
  • 蓄電池の利用シーンとして産業用、中規模グリッド用のようにユーザー視点から分けることも一つの方法ではあるが、送電・配電ネットワークという観点から利用シーンを分類すればわかりやすくなるはずでる。ただし、海外については必ずしもそのような分け方にはならない可能性があるので確認する必要はあるが、おおよそ同様の分け方が可能なはずである。
  • 配付資料で、2020年の産業用電池の市場規模が1,000億円~3,000億円と記載されているが、これは現状認識を間違えている。なぜなら、現状の産業用途(瞬時停電対策、バックアップ電源 等)の鉛蓄電池の市場規模でさえ、既に世界で5,000億円程度存在するからである。なお、これには電気車電池と呼ぶフォークリフト等の用途のものを含んでいる。
  • グリッドに連携している用途以外にもスタンドアローンの用途の市場も大きいはずである。実際、フォークリフトなどでの導入も見込まれているため、グリッドにつながっていない用途についても見ていく必要があるのでは。
  • 自動車用蓄電池に関しては、EV/PHEV/HEVのそれぞれにおいても求められる蓄電池が異なるので、自動車用の蓄電池に関しては、一緒に扱うのは少し問題があり、もう少し木目細かく検討を進める方が良いのでは。
  • 利用シーンで分けて考えるという点は非常にわかりやすい。蓄電池の利用シーンでも系統用蓄電池、産業用蓄電池については比較的閉じた世界であるので想定がしやすい。しかし、中規模グリッド用蓄電池に関しては利用シーンが描きにくいので、この点の対策、コストを明確にする必要がある。世界的に見てもこのような利用シーンには様々な可能性が考えられ市場も大きいと思われるので、中規模グリッド用蓄電池に関してはしっかりと議論を行うべきである。)
  • 米国においてもスマートグリッド構想の具体的な内容は明確になっていなかったが、スマートメーターを入れて中規模グリッド用蓄電池で電力融通等のコントロールを行うことが狙いの一つになっているようで、中規模グリッドの市場は立ち上がる可能性がある。
  • 中規模グリッド用蓄電池に関しては蓄電池そのものの性能以上に、コントロールするシステムが重要である。これまでにもマイクログリッドで同様の検証を行っており、システム面のハードルが高かった。
  • 今後の取り組む方向性として各利用シーンを分けて検証を行うことも重要ではあると思うが、エネルギー全体の在庫最適化問題という利用シーン全体で見た最適化についても考える必要がある。

標準化・規格化について

  • 配付資料には、産業用蓄電池の規格が存在せず、また、これの国内審議団体が存在しないかのような記載があるが、この記載は明らかに現状認識を間違えている。なぜなら、産業用蓄電池では、鉛蓄電池およびアルカリ蓄電池について、既に国際規格(IEC規格)およびこれに整合した国内規格(JIS規格)が、携帯機器用リチウムイオン電池の規格よりもはるかに以前から制定済みである。また、携帯機器用および自動車用以外の大容量リチウムイオン電池の標準化は、IEC TC21/SC21A WG5が担当して標準化を進めている。以上の電池の国際規格の国内審議団体は、電池工業会である。なお、自動車用蓄電池について、リチウムイオン電池の国際規格は、バッテリーシステムはISO TC22 が担当し、単電池はIEC TC22/TC69 JWGが担当して制定を進めており、これらの国際規格の国内審議団体は、日本自動車研究所(JARI)である。
  • 標準化については日本国内では材料レベルでの標準化をかけるかはわからないが、少なくとも海外では材料に関しても安全性の観点から標準化を行う動きがあると聞いている。このような動きを牽制する必要があり、動向を見ていく必要がある。
  • 試験方法が海外の基準と異なると、海外進出の際には非常に大きな手間とコストがかかる。そのため、日本が積極的に動いて日本の基準を世界標準にできるよう働きかけてほしい。

実証実験について

  • 実験内容に関してはFITや電力料金の変更のようなものに関しては難しいが、目的を設定してシミュレーションを行うことで検証を行うことは可能である。
  • 日本は南北に長い国土を有しているので、寒暖の違いなど様々な条件下で実証実験を行うには適している。
  • 本研究会ではインフラにも組み込まれるような長寿命で信頼性のある次世代のバッテリーを考える必要があるはずである。概算要求などでは出力やコストのような性能の話がメインになっているが、長く使うことを考えると寿命や信頼性のような論点についても着目する必要があるはずである。また、リユースの市場や電気自動車の中古車市場を考えると、残価設定や寿命のようなその他の論点を深掘りする必要もあると考えられる。
  • 米国エネルギー省の技術担当では、現在の技術では蓄電池のリユースを行うことは難しいと見ており、仮に日本でこれが可能となれば差別化につながる可能性はある。
  • 蓄電池では寿命が重要になってくるため、現状では各利用シーンでどのようなファクターが影響を与えているかを明らかにすることが必要になる。そのため、実証実験においては様々な条件における環境データを合わせて取得する必要がある。
  • 利用シーンで考えるべき基準に、性能、仕様とあるが、導入インセンティブも加える必要がある。定置用蓄電池に関しては昼夜の電力料金の差を活用した回収をインセンティブにし、電気自動車に関してはガソリン料金と電力料金の差による回収をインセンティブとする議論がされている。このように導入インセンティブを横並びで見ると進めるべき施策が見えやすくなる。例えば、定置型で昼夜の電力料金差だけでの導入と利用のコストの回収は、非常に長い期間を要するので、導入インセンティブをどこに置くかを考え導入の課題解決を図るべき。例えば、家庭設置型に加え、コミュニティー設置型蓄電池の有用性も検討するとよい。
  • 実証実験においては回収モデルについても合わせて検討する必要がある。現状ではFIT制度と蓄電池の設置が同時に行われることが難しかったり、昼夜の電力料金の差による回収が難しかったりするため、コストをどのように回収するかも検討する必要がある。

海外市場について

  • 最近は海外からはサンプル提供、ミーティングを依頼されることも多く、現在海外プレイヤーは必死でキャッチアップを行おうとしている。取引相手はパテントの侵害の可能性もあるので精査を行う必要はあるが、海外の追い上げもあることを意識しておく必要がある。
  • 米国の主要電池メーカーには既に日本の装置が導入されており、海外の生産が加速していることも事実である。
  • 世界の蓄電池のビジネスとして見えてきた事はNAS電池を国の政策として使う事である。目的としては大きく分けて2つあり、新エネルギー導入に伴う系統の安定化とCO2の削減である。しかし、蓄電池そのものはお金を生まないので政策的に国策として実施する必要がある。その為には  中国、ロシア、産油国のように国策として実施する場合と米国・フランスのように補助金を出している国があるので、日本も今後の太陽光発電、風力発電の普及に伴い系統安定のために国家としての取り組みを明確にする必要がある。
  • 米国においては量産支援も含め巨額の資金を補助金として出しており、産業育成には国を挙げて取り組んでいる。そのため、日本においても企業としてどのように戦っていくべきか考える必要がある。
  • 蓄電池は今後コスト競争力が非常に重要になってくると考えられるので、日本企業にとっては米国の助成金制度は非常に脅威である。そのため、コスト競争力に大きく影響する設備関連のインセンティブに関して、国内でどの様に対応していくか、是非、ご検討の程よろしくお願いしたい。

今後の進め方について

検討チーム

  • 蓄電池を利用シーンに分けて考えるという点は賛成ではあるが、利用シーンの分け方も重要であるので、当初から利用シーンごとにチームを分けて議論するのではなく、一度全体で議論を行うことも必要になると考えている。
  • 今後の研究会の進め方としてはグループで分けて検討はしていく予定であるが、共通部分も存在するので合わせて全体での議論も進めていく必要がある。
  • 利用シーンの分け方は確かに難しいとは思うが、中規模グリッド用蓄電池と家庭用蓄電池とでは検証すべき項目は異なるはずである。例えば、中規模グリッド用蓄電池については複数の需要家のマネジメントが必要になるのでシステムの重要性が高いのに対して、家庭用蓄電池に関しては蓄電池そのもののスペックの重要性が高くなるはずである。そのため、分け方などに関しては今後議論を進める過程で明確になるはずである。
  • 今後の研究会で利用シーンに応じたチームに分けて検討を進めていく際には、政策目標、数値目標をどれくらいの時間軸で達成するかを整理する必要がある。そのため、実証実験を効果的に進めていくためにも、政府が考えている時間軸をインプットする必要があると考えられる。
  • 利用シーンを分けて検討を進めるのは良いが、今後の具体的な進め方やスケジュールについても明確にしてほしい。また、検討チームの構成についても今後しっかりと議論していく必要がある。
  • 中規模グリッド用蓄電池、家庭用蓄電池はこれまでに存在しない用途であるため、NEDOであれば蓄電池技術開発室が担当し、その他の関係機関と連携しながら進めていく必要がある。また、NEDOで取り扱う場合は、NEDOポストで広く意見を集めることも行うので、公募を行うとなると早急に意見をまとめた上で進める必要がある。
  • 今後の進め方としてはまずは来年度の予算に向けた話し合いを行うという時間軸で行ってほしい。また、今後実証実験を行った上で開発の方向性を決めていく必要がる利用シーンについては5年程度を目処に行う予定ではいるが、実際はもう少し早い時間軸で考えることになる。
  • 実証実験については来年4~5月には公募を行う予定であるので、これから5~6ヶ月程度でどのようなことを検証すべきかを詰めていく必要がある。また、場所等は決まってはいないが複数の実験を集中して行った方が効果的である。

問い合わせ先

資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課
電話:03-3501-4031
FAX:03-3501-1365

 
最終更新日:2009年10月27日
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