経済産業省
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蓄電池システム産業戦略研究会(第6回)-議事要旨

日時:平成21年10月28日(水)16:00~18:00
場所:経済産業省17階国際会議室

議題

  • 蓄電池システム産業戦略研究会 中間とりまとめ整理(案)

議事概要

総論

  • 蓄電池の産業化に関しては現在新しい局面をむかえており、これまでの技術開発を中心に支援をするやり方では上手くいかない状況にあるのではないか。そのため、日本としての新しい産業育成の仕方を考えていく必要があり、より大きな絵を描いた上で標準化や量産支援などをしていく必要があるのではないか。
  • 今後の産業戦略を考えるにあたっては、技術開発という視点だけではなく、"売り"の戦略も必要になる。現在、世界の実証実験や実展開では、場所ごとに様々なシナリオで推進されているため、複数の企業が様々な組み合わせで構成されている。個別案件においては、企業の組み合わせが変わることから疎結合の中で自社の役割や機能を提示し、採用されることになる。その枠組みの中での自社の提供できる役割・機能の区分けや層分け、インターフェース等について整理し、なにを提供するのか明確にすることが必要になる。各案件においては、プロジェクトを指揮/管理する主体がいるので、その主体と関わりを持っていく際に、全体の中での役割・機能のすりあわせが容易に出来るようになることが売りの戦略では重要である。
  • 例えば、NISTでは既に蓄電池のユースケースの提示は行われているので、これらのユースケースを機能の集まりにブレークダウンしていくことで、企業との組み方や必要な機能が見えてくるはずである。
  • スマートグリッドに関しては各国の状況によってその特徴は異なってくる。そのため、蓄電池を売っていくにあたっても、システム全体を狙っていく必要がある。また、蓄電池単体で出て行くことを考えると、いずれはコスト競争になってしまうので、制御も含めたシステムで海外に展開していく必要がある。
  • 太陽光発電に関しては系統安定化の観点を考えると、最終的には系統側に電気を流さずに地産地消という考え方がメインになると考えられる。そのため、蓄電池を考える際には太陽電池と蓄電池の組み合わせが重要になってくる。
  • スマートグリッドという点を考えると蓄電池単体で考えていくのではなく、その中でどのようなサービスが考えられるかという点についても検討する必要がある。
  • 材料技術に関しては日本が強いように見られているが、今後もその強さが必ずしも続くとは限らない。米国では材料技術に関しても国立研究所が主体となって超伝導、光ファイバーを始め特許をしっかりと押さえている。それに対して、日本でも同じようなことをNEDO、JSPSを主体に行っているが、特許を押さえ切れていないというのが現状である。そのため、最後の最後で負けてしまう可能性もあるので、このような点も考えていく必要がある。
  • 経済産業省内では様々な類似の研究会が行われているので、今後はこのような他の研究会との連携についても考えていく必要がある。
  • 現在、経済産業省内では情報や省エネ、インフラ、標準化も含めて様々な研究会が立ち上がっているので、アウトプットとしてはこれらに横串を通したものを検討する必要がある。また、今後は複数の研究会のメンバーが意見交換を行っていけるような場も設定していく予定である。

市場について

  • 蓄電ニーズに関しては大きくは系統安定化と負荷平準化がメインであり、余剰電力の蓄電ニーズは系統安定化ニーズに含まれるのではないか。また、負荷平準化ニーズに関してはタービンの効率運用等に寄与することから、二酸化炭素削減という観点からニーズは拡大傾向にある。
  • 系統網に関しては日本の系統が強く、海外が発達していないように見られがちであるが、必ずしもそうとは言えない。欧州に関してはもともと系統網が発達していたが、それを上回る量の再生可能エネルギーの導入が行われたため、結果として系統が不安定になっている。そのため、日本国内でも今後大量の再生可能エネルギーの導入が進めば、系統安定化のための蓄電池のニーズが拡大するはずである。
  • 今後は電池の開発が進むとグリッドから充電した上で、蓄電池をグリッドからはずして利用するという使い方がもっと多数出てくるはずである。現在の取り纏め資料では、そのような使い方は自動車のみあげられているが、特に産業用、中規模グリッドの利用シーンでの活用は移動体等が結構出てくると考えられるので、今後、表現を検討していく必要があると考える。
  • 蓄電池の利用シーンとしては、無電化地域のようなグリッドのないところで再生可能エネルギーとの組み合わせで蓄電池が導入されるというケースもあるはずである。このようなグリッドのないエリアでも環境破壊を抑制するためにも、費用は誰が負担するかという問題はあるが、いずれは検討していく必要がある。

技術開発について

総論

  • 蓄電池に関しては、システムで考えることはもちろん重要ではあるが、蓄電池単体の技術開発という点も非常に重要であり、やはり蓄電池の性能が核になると考えている。そのため、次世代のさらに高性能な蓄電池の技術開発も視野に入れた、中長期のビジョンを報告書に盛り込んでほしい。
  • 現在、NEDOが京都で革新電池の組織を立ち上げて頂いていますが、そこで劣化の本質についても研究されるので期待される。尚、自動車用蓄電と家庭用蓄電池とでは求められるスペックが大きく異なっている。例えば、寿命にしても家庭用蓄電池に関しては10年程度の寿命が必要であるのに対して、自動車用蓄電池に関してはより短い寿命で良いなどサイクル数も異なっている。また、家庭用蓄電池の中でもピークシフトに活用するか、ピークカットに活用するかでも求められる出力は異なってくるので、電池の仕様については、必ずkWhだけではなく、kWhとkWの双方を見ていく必要があるので、表現を検討する必要がある。
  • 家庭用蓄電池に関しては住宅そのものの寿命が伸びてきている上、太陽電池の寿命が20年という点も考えると蓄電池の寿命が10年というのはまだ厳しい。本来であれば最低でも15年は使えるものであってほしい。
  • 自動車用蓄電池はその他の電池と比較して特殊であり、要求される性能も高いレベルが求められる。そのため、家庭用蓄電池と自動車用蓄電池との共有化などは非常に難しいように思われる。また、技術開発の方向性も家庭用蓄電池と自動車用蓄電池とでは全く異なるので、一緒に検討すると(自動車用に)必要な技術の議論が欠落する恐れがある。順番に開発を進めるというよりも並行に進めていく必要がある。
  • 今後の蓄電池戦略を考えていく上では、NEDOが関わることが多くなるはず。蓄電池の技術開発に関してはNEDOや産業総合研究所で革新型蓄電池の研究を行っている。また、自動車用以外の蓄電池のロードマップに関しても考えていく必要がある。
  • 技術開発に関しては蓄電池という単位で考えることも重要であるが、それらの材料技術について考えていくことも非常に重要である。

リユース・残価設定

  • 蓄電池のリユース等を考えていく上では、残存価値設定は非常に重要であるのでその視点が盛り込まれているのは非常に良い。ただし、残存価値設定を行うのであれば、そのための蓄電池の開発も必要になってくるので、開発の段階から寿命という観点を評価軸の中に入れる必要がある。特にインフラとして活用されるバッテリーについては寿命が重要になるはずである。現状の評価軸では主にエネルギー密度のようなものがメインであるので、その点も考えていく必要がある。
  • リユースに関しては自動車用蓄電池としては性能が劣化してしまったため活用できなくなったとしても、家庭用には活用できるというケースもあるはずである。そのため、残価設定という考え方は重要になってくる。

規格化・標準化について

  • 標準化に関してはコア技術を束縛しないことも重要ではある。しかし、安全性に関しては認証機関等で安全性等を確保するに際に、結果としてコア技術を束縛してしまうこともある。そのため、コア技術を束縛することなく、安全性を確保する仕組みが必要になる。また、同時にコア技術の流出の観点からも、コア技術を開示することなく安全性の検証ができるなどの仕組みが求められる。
  • 現在、日本としてのスマートグリッド関連では標準化を進めようとしており、主にNISTのユースケースを参考にしながら検討を行っている。その際には、全体に横串を通して検討を行うということを行っており、年内、もしくは年明けあたりで一度まとめる予定でいる。

支援体制について

  • 生産設備支援に関しては、これまで市場形成の支援を中心に行ってきたが、実際米国では明確な判断基準を設けて、補助金を特定企業に出して生産設備の支援等を行っており、日本においても特定企業の生産設備支援を検討しても良いのでは。
  • 米国の補助金は主にインフラ用バッテリーの工場に出しているというイメージであり、やはり産業戦略の一環として蓄電池に取り組んでいるように見える。また、日本の工場については民生用のバッテリー工場はあるものの、大型用の工場はないはずであるので、この点は支援していく必要がありそう。
  • 原子力発電所では既に設備支援などは行っているので、蓄電池に関しても同じように生産設備支援をしていけばよいのでは。実際、米国ではそのような支援は積極的に行われるのに対して、日本ではなぜ行われないのかという点は疑問である。ただし、国の支援だけではなく、民間企業自身の努力も必要であるので、両方のバランスが重要になってくる。
  • 国が生産設備支援するという点に関しては、企業の投資のリスクの一部を引き取るという意味もあるのでリスクのないものに関しては支援する必要はないが、リスクを抑制するという点では支援を検討しても良いのではないか。

実証実験について

  • 実証実験を行うにあたっては、蓄電池単体の技術だけではなく再生可能エネルギーやコージェネレーションシステムのような社会システムと関連したものを組み合わせた上で行う必要がある。その中で実証実験を行うことにより、蓄電池だけに主眼を置いたものだけではなく、社会システム全体を検証する必要がある。それにより、蓄電池が本当に必要かどうかという点も含めて検証を行う必要がある。
  • 最終的には実証実験の中で検証することが多くなりそうであるが、現実的に考えて難しいような内容も出てくるはずである。今後のワーキングでは、このような点も含めて具体的にどのようなことを実証すべきか現実的に詰めていく必要がある。また、産業戦略という視点を考えると海外展開も見据えたことを実証していく必要があるので、海外動向についても調べながら今後の取り組み方を考えていく必要がある。
  • スマートグリッドの実証実験を行う中ではどこまでに実証実験で検討すべきかを明確にしていく必要がある。実際、認証システムやセキュリティシステムの標準策定に時間を使って、実証実験の実施が遅れることがあると海外に先行されてしまうこともあると思われるので、その点も踏まえながら、認証・セキュリティと、再生可能エネルギー等の活用のなめの蓄電・電力変換・系統制御系等の実証実験を並行して行う等の対応を考えていく必要がある。
  • 海外での実証実験ということも視野に入れながら検討をしていく必要がある。
  • 実証実験に関しては、全てではないが関与していくことが多くなると考えられる。まずはニューメキシコ州で行われるロスアラモス、アルバカーキーの実証実験に参加する予定であり、このような取り組みを社会全体で考えた上で行っていく必要がある。

技術流出について

  • 材料技術、装置技術に関しては海外からの引き合いが多いというのが現状である。そのため、自社のビジネスを考えるとやはり海外に出て行く必要がある。しかし、その際には技術流出、知的財産の保護をどのようにしていくかが大きな問題である。また、海外で求められるような比較的安くて大量に生産できるものは、入手も簡単であり、模倣も簡単なものになりがちであるので、どのように進めていくべきかは検討する必要がある。
  • 知的財産権の侵害に関しては、これまでも様々な場面で議論は行われてきたが、表面的な議論が行われるだけで、具体的な議論を行うことは非常に難しい。この点に関しては、国も役割を担って考えていく必要がある。
  • 知的財産の保護という点は非常に難しいものである。そのため、他のものと組み合わせてシステムとして外に出していくということが一つの手段であるように思われる。例えば、サービス、ソフトウエア、メンテナンス、保険などを組み合わせることで模倣は困難になるケースもあるはず。今後はネットワーク系の研究会とも合同で意見交換を行っていく予定であるので、誰が主体になって、どのような戦略でいくのかは一緒に考えていく必要がある。
  • これまで技術開発に関しては世界と競争してやってきたが、電池そのものもあれば、システム、さらには材料などもあり非常に広範囲に渡っている。過去のこのような技術に関して、中国や韓国に追い上げられた背景を考えると多くの場合は、日本人技術者の引き抜きが大きな原因である。そのため、今後の技術流出を考えていくためには、まずは人を流出させないことが重要であり、リストラ問題等も含めた社会問題として捉えていく必要もある。また、技術開発という観点からは技術を模倣できないものにするということが重要であり、この点に関しては絶えず技術進化を起こし続けるような研究開発体制を含む根っこの部分から考えていく必要がある。

海外動向について

市場

  • Lower Caseでは中国、インドの蓄電ニーズはあまり顕在化しないとなっているが、実際はプレスリリースの上でも再生可能エネルギーを1~1.5億kWで導入する予定でおり、風力発電、さらには太陽光発電が相当な量が入るはずであるため蓄電池のニーズも顕在化するはずである。そのため、これらの直近の動向も調査していく必要がある。
  • 海外については蓄電池に対する注力度合いが非常に大きくなっている国もあり、特にドイツでは蓄電池の導入に関してはかなり積極的に議論を進めている。ドイツはFIT等により再生可能エネルギーの導入は進んだため、既に系統網に問題が生じつつある。そのため、蓄電池への充電もFITの対象にするということも議論されている。ただし、次期政権になり新連立政権体制に移行したことで、今後の進め方は変わってくる可能性はある。
  • イギリス、ドイツに関しては系統網が既に再生可能エネルギーの導入によりオーバーフローしているので、蓄電池に充電をするようにするだけでビジネスになるような状況であり、現地の電力会社や電力需給調整会社などが参入しているので、日本としても将来のことを考えて参考にすべきでは。

技術開発

  • A123の大型定置用蓄電池は2MWh-APUとなっており、実態は2MWの出力は15分程度しか出ないので、実態は0.5MWhの容量しかないので、そこまで開発が進んでいるとは言えない。

実証実験

  • 米国ではスマートグリッドに対する動きが本格的に始まっており、グリッドも含めた蓄電池の実証実験も始まりつつある。実際、既に公募も始まっており政府/州主導で7件、大学主導で3件、メーカー主導で5件(うち、GEが4件)が実証実験として始まりつつある。
  • フランスに関してはADEMEとEDFが協力してスマートグリッドの実証実験を始めている。

支援体制

  • 米国では生産設備の建設に対して補助金を出していると言われているが、日本国内でも地方自治体等が雇用創出等の観点からの補助金を出すというようなことは行っており、米国の補助金も同じような位置づけであるように思われる。ただし、日本国内には既に多くの工場が建設されているのに対し、米国では工場が存在しないエリアなどが多いので、積極的な補助が行われているという状況であると思われる。
  • 米国の補助金に関しては確かに大義名分は環境エネルギー問題に対して出ており、さらには雇用の拡大ということが言われているが、ニューヨークでGEがDOEから補助金をもらい、通信プレイヤーも一緒に開発を進めている点をみると、やはり政府が産業戦略の一環として行っているように見える。
  • 中国に関してはファンドなどが積極的に支援をして、日本の生産設備等を積極的に導入している。
  • ヨーロッパに関しては生産設備の支援は雇用促進という観点から積極的に行われているケースが多い。支援そのものはリストアップされた特定の地域となっているが、生産設備支援には地域のよっては更に減税などの措置をとっており、企業にとっては非常に助かる内容である。
  • 米国に関しては国及び州が積極的な活動をしており、州同士がスマートグリッドや蓄電池のトップランナーになるために動いている。また、スマートグリッドに関しては州が国から補助金を獲得するために資料の作成を行っているケースも見られ、州同士が競い合っているという状況である。

問い合わせ先

資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部新エネルギー対策課
電話:03-3501-4031
FAX:03-3501-1365

 
最終更新日:2009年12月1日
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