経済産業省
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クラウド・コンピューティングと日本の競争力に関する研究会(第2回)-議事要旨

日時:平成21年10月30日(金)16:30~18:30
場所:経済産業省別館1012共用会議室

出席者

村井 委員長、保条 委員(代理 山井氏)、廣江 委員(代理 竹原氏)、東野 委員(代理 岡崎氏)、渡辺 委員、山田 委員、前川 委員、西村 委員、中村 委員、永田 委員、真藤 委員、 楠 委員、北野 委員、角 委員、宇陀 委員、石田 委員、石川 委員、岩野 委員(代理 三崎氏)、篠原 委員(代理 端山氏)、大西 委員(代理 加藤氏)

議題

  • クラウド・コンピューティングの潮流とビジネスインパクトについて
  • 克服すべき課題について

議事概要

冒頭、事務局から資料に沿って、クラウド・コンピューティングの潮流とビジネスインパクトおよび克服すべき課題等について説明。委員からの発言要旨は以下のとおり。

クラウド・コンピューティングの潮流とビジネスインパクトについて

Incrementalなクラウド化(リスクの高いコアシステムのクラウド移行を段階的に進めるシナリオ)

  • 企業の大きな課題はハードウェアのマネジメントコストにあり、ハードウェアは外部に預けたいが、ハードに保存しているデータ(資産)は外部に預けたくないというジレンマを抱えている。
  • クラウド化の検討において、本質的には、何を内在させ、何を外部に切り出すかという領域の見極めから入ると考えられる。現在の企業の仕組みに鑑みると、ハイブリッド型クラウド・コンピューティングという選択肢が現実的。
  • IFRSやFISC、内部統制のようなコンプライアンス対応は現状個別に実施している。しかし、情報量が大変多く人海戦術的に実施しており、企業にとっては負担が大きいのでクラウド化の余地があると考えられる。
  • Step1は従来のホスティングやITアウトソーシングと同じなので、Step1をPrivate Cloudと考えるとクラウドの本質を見誤るのではないか?
  • Step2とStep3の間にはコミュニティクラウド(目的やセキュリティ要件等が合致する組織やコミュニティでインフラを共有するクラウド)が入るのではないか。
  • オンプレミスであっても、クラウド・コンピューティングの技術(仮想化等)を活用していることはありえるため、クラウド・コンピューティング導入の判断を、システムを自社に持つ・持たないという点だけで行うことは、解釈を誤るリスクがある。

Radicalなクラウド化(コスト削減メリットが大きいため、クラウド移行が段階を飛び越えて進むシナリオ/システム調達をはじめからクラウドで行うシナリオ)

  • 今まではシステムリソースの需要予測が容易な領域を中心にIT化が進んできたが、IT需要が読みにくい領域についても、クラウド化という形で検討が可能となる。
  • クラウド・コンピューティングの適用シナリオは企業規模によって異なると考えられる。規模が小さい会社の場合、人的リソース不足等から自社でのセキュリティ対策が追いつかないことがあり、クラウド化した方が逆に情報管理リスクが少ないと考え、急速にクラウド・コンピューティング適用が進行するというシナリオもある。
  • 既存のシステムの置き換えという視点だけではなく、一時的に利用するシステム開発など、今までの対応方法では投資コストに見合わなかったものをクラウド化するということについてもシナリオ内で言及すべき。
  • 早い・安い・使いやすいというクラウド・コンピューティングのメリットを活かし、安い環境で積極的にテスト導入し、その失敗を糧にする等、ユーザー企業にとってTry & Errorできる環境をつくるということもクラウドのメリットではないか。
  • セキュリティの基準等、業界毎に異なる基準があり、まずは業界共通サービスが進むと考えられる。

Creativeなクラウド(BtoC分野で発展したサービスが、BtoB分野でも活用されるようになるシナリオ)

  • 以前はIncrementalなクラウド化が中心であったが、今ではコスト削減のためであれば積極的にクラウド化を進めている企業も増えつつある。
  • 金融系についてもFISC対応を検討しつつ、基幹システムを共有PF上で稼動させようという動きがでてきている。
  • クラウドのメリットとしてスケールアウト対応を含めるべき。クラウドを利用しないとビジネス機会の逸失につながる場合がある。米国においてクラウド・コンピューティングが成功している背景の一つには、スケールアウトを必要とするソーシャルメディアの存在がある。
  • ITS、RFIDなどセンサーネットワークのような新しいサービスが立ち上がることが予想されるが、情報量が膨大なこれらテクノロジーを今のシステムでは支えきれないため、クラウド化が進むと考えられる。
  • 公共情報とプライベート情報の連携が進んでおり、クラウド・コンピューティングの議論においても、企業内システムの置き換え論だけでなく、様々な企業のクラウド・コンピューティングサービスが連携し、企業・政府・個人が連携したサービスへのクラウド・コンピューティング活用について議論するべき。

克服すべき課題について

データセンタ

国内データセンタの競争力

  • データセンタ事業においては電源にかかる負担が大きいため、高品質な電力の安定供給が必要不可欠だが、その点において日本は海外に比べて大変優れている。
  • 信頼性を担保する技術・オペレーション力や環境対応技術が日本の強みと考えられ、それぞれが国際競争の土俵となれば日本は十分に競争に勝てるのではないか。

電力コストの削減

  • 米国の電力価格は州ごとに異なるが、オレゴン州では3円程度、ワシントン州では2円以下で電力を利用している企業があるという。一方で日本の産業利用時の電力コストは9円~10円程度。日本におけるクラウド・コンピューティングの展開とその利活用の促進による産業の競争力向上のために、データセンタにおける電力コストについてはしっかり向き合うことを、産業界全体の課題として考えていく必要がある。
  • 日本の電気代が米国より高い事実は確かにあるが、米国では停電による被害が年間約8兆円にのぼると言われ、このようなリスクも踏まえて考えると、日本の電力コストが高いとは一概に言えない部分があるだろう。
  • 電力の品質に関わらず最低限UPSや蓄電池装置は必要となるが、UPS(Uninterruptible Power Supply)や蓄電装置等のコストが高く、そのコストをいかに圧縮できるか小型化できるかが今後重要となる。
  • 現在議論されているスマートグリッドが実現すれば、電力コストの削減も期待できると考えるが、スマートグリッドには、インバーターの効率化など重電の領域も含めた検討が求められていると思うので、電力コスト削減のためには業界の壁を超えた協力体制を築くことが必要。

電力コスト削減への支援制度

  • 発電所に近い場所にデータセンタを設置すれば送電コストも下がるように思われるため、そういった場合の優遇策も検討して欲しい。
  • 電力コストに対する支援制度はすでに存在するが、その制度が認知されていないことが多く、今後はさらなる支援制度の見える化も必要。

基準・ルールの統一

  • 日本国内でもPUEの算出方法は統一されていない。日本データセンタ協会においても、日本の競争力向上のためにPUEなどの基準統一化の議論がなされている。
  • 米国・EUでは統一されている一方で、アジア内(日本・中国・韓国・シンガポール)においては、データセンタの設置・運用ルールが統一されていない。

標準化

  • 国際標準を議論する場への日本の関与が少ない。ISO/IEC JTC1総会において、クラウドとGreenITに関する小委員会が立ち上がり、標準化に関する議論が始まったが、日本は存在感を示せていない。
  • 海外に遅れをとることで日本にとって不利な基準を押し付けられるリスクがあるため、さらに日本のプレゼンスを高め、日本の技術を国際ルールに盛り込んでいく努力をすべき。
  • Tier制度は日本にはなじまないのではないか。
  • 標準化を進めるためには、民間企業の努力が不可欠だと思われる。

クラウド化を見据えた制度整備

法制度の検討

  • 文書の電子化自体に対してはe文書法で対応できているが、クラウド化に対して一括で対応する必要があるか検討が必要。
  • e文書法による文書の電子保存自体は進んでいるが、医療情報の外部保存が完全には認められない等、クラウドへの対応としては不十分だと思われる。有望だと考えられる領域については積極的に制度を見直すべき。

個人情報保護法との関係

  • センサーネットワーク等の発展により、個人情報でない情報が蓄積され、それらが紐づくことで個人を特定できるようになる(顔写真と位置情報を紐づけた個人の特定等)ため、検討が今後必要となる。
  • 特にCtoCのコミュニケーションにおいては、責任主体がより曖昧になってくるので、個人情報保護法での明確化が必要。
  • 企業にとっては、個人情報保護法に違反するリスクを事前に判断できないことが問題となっているため、基準の明確化が必要。

クラウド上へのデータ保管に対する不安

  • 企業の研究情報や図面データ等の機密情報をパブリック・クラウド上に保管することは考えづらい。

クラウド・コンピューティング利活用の促進

  • 雲の中の話だけではなく、雲の外の問題(クラウドをどう利活用していくか)についても、今後討議することが重要。
  • 自動車の登場が保険市場や住宅市場等の周辺市場に与えた波及効果のように、クラウド活用による波及効果についても検討するべきではないか。
  • 具体的な利活用シーンを討議し、利活用シーンから想定される要件やニーズを課題として捉えることが、より現実的な検討を可能にする。
  • 日本の競争力について、資料のように、日本のクラウド提供者の国際競争力を考えることも重要であるが、クラウドが日本の産業競争力を強化できるような利活用も検討すべきである。例えば、Smart Gridを支えるクラウドにより、電力コストを低減して全産業の競争力に貢献するとか、ITSを支えるクラウドによりCO2低減に貢献するなどの視点も必要ではないか。

課題整理の方向性

  • 全ての課題に対して政府主導であるべきとは考えられない。政府主導の有無によって課題を整理することが好ましい。
  • 現在挙げられている課題の多くは、クラウド化促進の必要条件だと考えられる。必要条件/十分条件を踏まえた課題の整理が求められる。

問い合わせ先

経済産業省商務情報政策局情報処理振興課
TEL:03-3501-2646
FAX:03-3580-6073

 
 
最終更新日:2009年11月9日
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