経済産業省
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競争法コンプライアンスに関する研究会(第1回)-議事要旨

日時:平成21年8月4日(火)16:00~18:00
場所:経済産業省本館2階東8共用会議室

出席者

根岸座長、青山委員、阿部委員、小寺委員、多田委員、田村委員、林委員、宮川委員、三好委員、茂木委員

議事次第

  1. 研究会の進め方について(資料4)
  2. 各国競争法の執行状況について(資料5)
  3. 討議

議事概要(文責:事務局)

開会後、委員の互選により、根岸委員が座長に任命された。
また、配付資料について事務局より説明の上、委員による討議が行われた。討議における委員からの意見等の概要は、以下のとおり。
  • 競争法コンプライアンス体制の議論では、事案として、リニエンシーの話を加える方が良い。
  • 最近はEUの存在感が強まっている。また、米国でもオバマ大統領は選挙中から、反トラスト法強化の意向を示しており、米国のカルテル執行強化も注視すべき項目。
  • 中国の体制は整っていないが、今後、欧米並みのしっかりした執行を行うことが予想される。また、中国の私訴の動きも、注意すべき項目。
  • 事業者団体における取組が遅れていると考えており、事業者団体からの話を聞きたい。また、カルテル以外の不当な取引制限については理解が遅れており、カルテル以外のテーマにも踏み込む必要があるのではないか。
  • 企業のグローバル化に伴って、もはや域外適用の概念は不要であり、この点は、わが国も含めて世界共通の問題。むしろ問題は、例えば、EUの競争法では、域内で売り上げがなくても制裁金が課されるように、国によって仕組が違う点にあり、日本と諸外国の競争法がどの点で違うかを峻別する方が重要がある。競争法強化の内容についても各国の違いに焦点を当てることが重要。
  • EUの競争法の運用が国際法上問題とまでは言えないとの結論を得ており、それを踏まえて、コンプライアンスを充実するという方向で問題ないが、例えば、中国のアンチダンピング(AD)の執行のように、企業のコンプライアンスだけでは対処できない場合もあり、政府の協力が必要なこともある。ADについて、米国の措置については、個別企業の問題もWTOの紛争処理手続にかけて解決しようとしており、日本政府の役割も検討すべきと考える。
  • 通商政策の中には、保護主義的に濫用されてきたものも少なくない。これに対して、これまで競争法は、国内産業保護のために規制内容を歪曲させて適用したりといった濫用の余地はほとんどないように思われてきた。しかし、最近では、外国企業に対する競争法の手続をめぐり国際的な問題となる場面も見られるようになった。もちろん、ハードコアカルテルについての各国の対応には問題はないと思われるが、それ以外の独占規制や合併規制については議論の余地が多い。
  • 米国では、制裁として個人に禁固刑が実刑として科されることが企業に浸透し、米国企業のカルテル参加が減少している。結果として、日本企業とEU企業による国際カルテルの摘発が近時では増え、相対的にEU当局による日本企業の制裁増加という見え方になっているように思われる。
  • EUの競争法では、例えば、市場支配的地位の濫用については、インテルやマイクロソフト等のような世界市場におけるガリバー企業との関係で問題となっている。そのような企業が数多くあるとまではいえない日本企業にとっての喫緊の課題は、カルテルに関する問題である可能性が高い。
  • 事業者団体の会合の後で事務局がいない場でカルテル行為を行うことや、当初は正当な目的で会合を運営していたものの、次第にカルテル行為を行う場に変化していくこと等はあるので、対策を講ずる意義はある。また、統計情報に係る活動は事業者団体の主要業務であるが、企業の協調関係を幇助する道具にもなり得るため、カルテル行為の呼び水にならないような対策を講ずる必要がある。
  • 事業者団体がカルテルを主導するということはないが、結果としてカルテルに繋がりやすい場を提供してしまっていることがある。また、最終的に公表しない情報についても、企業から収集している事業者団体が多い。
  • EUの競争政策は、従来は企業結合に対して寛容で、ヨーロッパチャンピオンを敢えて作ろうとしていたが、現時点においては寡占化がある程度進んだので、本格的に市場支配的地位の濫用を取り締まりだしたとの印象。
  • 米国では、米国企業のカルテル参加が減少しているということだが、米国当局がカルテル行為を積極的に取り締まっていないかというとそうではない。例えば、液晶カルテル事件等の摘発事例もあるように、外国企業によるカルテルについて特に厳しい目で見ているのではないかと考えている。
  • 米国の場合、リニエンシー制度に加えて、アムネスティ・プラスやペナルティープラスが機能している。これらの制度の実態が見えないため、企業の危機感に繋がっていない。リニエンシーの活用状況を生々しく伝えるのは効果的。
  • カルテル行為は意思の連絡と行為の外形の一致が構成要件であるため、情報交換自体にリスクがある。一方で、情報交換があったという事実を発見した場合、他にどのような事実が確認されたときにリニエンシーを申請するべきか、判断する基準が悩ましい。
  • 本研究会においては、明確なカルテル行為に対する対策のみを議論するのか、それとも、研究開発等の競争者同士の共同行為の中で情報交換がなされることが多いが、そのような競争者間のやり取りについても議論の対象とするのか。
    ←カルテル行為に関連する競争者間のやり取りについても適宜触れる予定。
  • 大企業にとっては、本件コンプライアンス体制を整備することは当然のことと認識されていても、非上場企業、中小企業においては喫緊の課題が他の所にあり、特に昨今の経済情勢下、そのような体制整備の必要性を真に調整しているだろうか。競争法に係るリスクは中小企業にとっても関わりがあるということを、出来るだけ具体的に示しながら啓発してゆくことが必要。
  • 現下の不況の中で、中小企業は生き残ることが第一であり、コンプライアンスは忘れ去られがち。一方、中小企業といえども、アジアを中心に海外に進出しないと生き残れないため、今後、特に、中国で問題が生ずる可能性がある。事前に競争法に関するリスクを認識している場合と企業の行動は変わるので、啓発の観点から、効果的な事例が示されることを期待。
  • コンプライアンスに関する議論を行う際に、コンプライアンスの対象となる独占禁止法違反行為の範囲を整理する必要がある。いわゆるハードコアカルテルと言われる価格協定を行わないのは、当然である。しかし、競争事業者間の戦略的提携の中で行われる様々な連携の中には、価格等に関するセンシティブな情報の共有や交換が行われる場合もある。これを、ハードコアカルテルと同列に扱うべきではないことは、競争法研究者にとっては常識なのだが、一般にその理解があるのかを考えてコンプライアンスの議論を行うべきである。
  • 企業の営業の最前線の担当者に対しては、その企業が日々の業務や、それに伴う具体的な取引先や競争者と接触する場面を考慮したコンプライアンスプログラムを示すことが重要。
  • 研究会の趣旨から、個別の様々な企業の業務や接する場面に応じたコンプライアンスを取り上げることは限界があるが、できる限り言及することが望ましい。また、今後日本企業にも関連することが多くなると考えられるため、韓国の状況も取り上げるべきではないか。

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経済産業政策局競争環境整備室

 
 
最終更新日:2009年8月26日
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