経済産業省
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競争法コンプライアンスに関する研究会(第2回)-議事要旨

日時:平成21年8月27日(木)16:00~18:00
場所:経済産業省本館17階第3特別会議室

出席者

根岸座長、青山氏、阿部氏、多田氏、田村氏、林氏、宮川氏、三好氏、茂木氏

議題

  1. 企業におけるカルテルに対するコンプライアンスに係る取組及び先駆的事例について(資料5)
  2. 企業に対するヒアリング(資料3(非公開))
  3. 討議

議事概要

配付資料について、ヒアリング企業及び事務局等より説明の上、メンバーによる討議が行われた。討議におけるメンバーからの意見等の概要は、以下のとおり。
なお、ヒアリング企業の提出資料及びそれに関連する議事については、非公開としている。
  • カルテル行為が慣習的に行われている状況の中では、そもそも従業員からの自主的な申告は期待できない。また、そのような状況において、競争当局からの指摘を受け、今後、社内体制の変革を行っていこうという過渡期においては、社内リニエンシーのような駆け込み的な措置が必要。
  • 社内リニエンシーを機能させるためには、従業員に対して、申告すれば処分を考慮するというだけでは足らず、一切の処分は行わない、という程度まで示すべきだという考え方もある。
  • 社内リニエンシーについて、現実的には、絶対に処分を行わないと言い切ることは困難であり、申告における情状を踏まえて処分を検討せざるを得ないと考える。いずれにせよ、制度を機能させるためには、とにかく運用実績を作ることが重要。また、このことは内部監査も同様。
  • 社内リニエンシーを実施する場合は、申告者にフリーな立場を与えないと効果がない。プラスの評価は無理だとしても、少なくともマイナスの評価をするような制度では機能しない。
  • カルテル行為を含め、実際の競争法違反の案件では、当事者に罪の意識が無い場合が多い。企業の活動内容について、機会を捉えて、弁護士等の第三者の眼を通して確認することが必要。
  • 社内リニエンシーについて、競合他社から競争当局へのリニエンシー申請が行われていない状況において実施する場合、競争当局への申請が順位1位の申告者であれば個人に対する刑事告発が行われず、社内における処分も考慮されるため、個人のメリットは大きい。一方、順位2位以下では、社内の処分は考慮されるとしても、個人への刑事告発がなされる可能性はあり、個人としては困難な判断が求められる。社内リニエンシーの取扱いを議論する際には、EUと異なり、我が国では個人に対する刑事罰を設けていることとの関係に留意することが必要。
  • 実務的な感覚では、リニエンシー申請の順位が2位以下であっても、調査開始前に申請が行われていれば、刑事告発まで行われる可能性は低いと思われるものの、刑事告発の可能性は社内リニエンシーを運用する際のポイントの1つであり、この点が明らかになれば、社内リニエンシーも運用し易くなると考える。
  • 我が国企業においては、従来から、営業担当者の評価がどれだけ競合他社について正確な営業情報を入手したかによって決まるところがあり、その結果、最終的には競合他社同士でお互いの情報を交換してしまう、という風潮がある。営業担当者に対しては、日常業務の中で違反となってしまう具体例を示しつつ、説明することが重要。
  • 社内リニエンシーについては、例えば、競争当局の立入検査が行われた際に、その危機意識を利用して、立入検査の対象となった商品以外の事業分野について時限的に実施する等、効果的に実施することが重要。
  • 社内リニエンシーについては、競争当局へのリニエンシー申請のレースが行われている時に実施する場合と、平時に実施する場合とを分けて考えるべき。また、申告者の処分と、上司、同僚、前任者等の申告者以外の者の処分とのバランスを考慮する必要がある。さらに、現場の従業員に対して、リニエンシー制度の重要性、内容を周知することが必要。
  • 公正取引委員会の排除措置命令の中に、独禁法違反行為に関与した役職員への処分に関する社内規程の整備を行わなければならないとされる場合があるが、その場合に社内リニエンシーを実施することが許容されるかどうかが問題となり得る。また、欧米における社内リニエンシーの扱いも参照すべき。なお、EUについては個人に対する罰則規定がないため、社内リニエンシーを実施しやすいものと推測する。
  • 米国では個人に対する責任追及がなされ、企業と個人との利害が反することがあり得るため、社内リニエンシー導入の効果について、米国弁護士は懐疑的。
  • 米国では、営業担当者等の実際に情報交換した者よりも、そのような情報交換をさせた者、得られた情報に基づいて価格決定をした者の方が重く罰せられる。直接接触しなければ競争法上問題がないということではない。
  • 欧米では、ハードコア・カルテルは当然に違法であるものとして扱っているため、日本のように、市場画定をし、当事者の市場シェア等により競争の実質的制限を分析する必要がない。したがって、欧米の方が比較的取締り易いと考えられるし、他の案件も芋づる式で発見されるリスクも高いものと考えられる。
  • 公取委への調査開始前にリニエンシー申請がなされた場合に、順位2位、3位といった申請者に対して刑事告発をすることが実際に可能かどうか疑問。刑事告発を行うとなれば、順位が2位、3位だと分かった場合に、企業が申請するインセンティブが削がれてしまうことが考えられる。また、調査開始前にリニエンシー申請をしたものの、企業としては再三カルテルを行っているが、担当者個人としては再犯でない場合に、個人を含めて刑事告発を行うかどうかも難しい点。
  • 公取委の調査開始前後に係わらず、リニエンシーを行った場合には、刑事告発がされた例はほとんどないと思われる。
  • リニエンシー制度が導入されたことにより、企業は、公取委に対して一刻でも早く洗いざらい情報を提供しなければならないという状況が発生することとなる。企業は、そのような特殊な状況を前提として、社内リニエンシーを含めた有事の体制を整備すべき。
  • 有事の体制整備は、通常のコンプライアンス体制整備と異なるものとならざるを得ないと考える。
  • 社内リニエンシーについて、企業への罪が軽くなるからといって、社内における従業員の罪を問わないこととするのは疑問。企業への経済的負担の軽減と、社内倫理の遵守の問題は分けて議論すべき。
  • 競争当局にリニエンシー申請を行うために、競合他社同士で協調するということが始まっている。そのような状況を踏まえて社内リニエンシーの議論を絡めると、複雑な問題になる。

文責:事務局

問い合わせ先

経済産業政策局
競争環境整備室

 
 
最終更新日:2009年9月11日
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