経済産業省
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競争法コンプライアンスに関する研究会(第4回)-議事要旨

日時:平成21年11月27日(金)10:00~11:45
場所:経済産業省本館17階第3特別会議室

出席者

根岸座長、青山氏、阿部氏、小寺氏、多田氏、田村氏、林氏、宮川氏、三好氏、茂木氏

議題

  1. 開会
  2. 報告書取りまとめ(案)について(資料3)
  3. 報告書の普及・啓発について(資料4~7)
  4. 討議

議事概要

報告書取りまとめ(案)について

事務局より資料3について説明の上、メンバーによる討議が行われた。討議におけるメンバーからの意見等の概要は、以下のとおり。また、資料3に関する以降の修正については、大幅な変更でない限り、座長一任とすることについて、メンバーの了承を得た。

  • 競争法コンプライアンスは、競争法違反を「起こさない」ことが第一義であり、競争法違反に「認定されない」ための取組は、本来的なコンプライアンスの趣旨と外れる。本報告書案における取組や先駆的事例の中には、後者に該当するものが含まれているものと考える。
    また、先駆的事例として取り上げられたものの中には、やらないよりやった方が良いが、それにより合意からの離脱やカルテルの当事者に当たらないことが保証される(競争当局の事実認定に影響を与える)訳ではないものもある。読み手の企業等に対して、このような取組を実施さえすれば、独禁法により取り締まられることはないという誤解を抱かせないよう、表現に配慮すべき。こうしたものまで、先駆的事例と表現するのは相応しくない。
  • 例えば、資料3-2、67頁における我が国企業G社及びM社の先駆的事例について、会合において競争法上問題となるおそれのある情報が出た場合に、会合から退席したとしても、電話でのやり取り等、会合以外の場で問題となるおそれのある情報がやり取りされたり、退席を表明した会合の参加者とカルテルの担当者が異なっているといった場合もあり得る。カルテルから離脱しているかどうかは、そうした状況があるかどうかも含めて、総合的に違反事実が認定されることに留意し、表現に配慮すべき。
  • 過去、石油カルテル事件の際には、モービルが、カルテルの会合から退席したことが、当事者ではないことの重要な状況証拠の1つとなっている。また、会合において競争法上問題となるおそれのある話題が出た場合のルールについては、企業の競争法マニュアルの多くで言及されている。会合から退席するだけではカルテルの当事者に当たらないこと等が保証されないというのであれば、競争当局は、具体的にどのような行動をすれば良いのかを示すべき。
  • 先駆的事例の位置付けについて何らの言及もないと、報告書案に記載されている個別の先駆的事例について、競争法に抵触するかしないか、という問題が発生し得るため、報告書案における先駆的事例の位置付けについて、当該事例に沿った取組を行ったとしても、必ずしもカルテルの認定を免れるものではないことに配慮し、明確化させるべき。
  • 会合において競争法上問題となるおそれのある話題が出た場合のルールについては、会合から退席したとしてもその他の場面で連絡を取り合っていれば問題となる等の条件設定や、判例に基づき、離脱の意思表示の定義を記載することにより、記載を修正することが考えられる。
  • 本報告書案では、何ら競争法違反となることを行っていないにも係わらず、競争法違反と疑われるようなことを避けること、また、競合他社と接触時等では競争法違反が生じ易いため、そのような疑われる原因となるようなことについては、できる限り減らすこと等を主眼としているのであり、競争法違反と認定されないように見せるためにはどうすれば良いか、ということを述べているのではない。この点は当然の前提かと思うが、誤解を招かないようにするために必要なのだというのであれば、その旨を本報告書案にて言及することが考えられる。
  • 企業としては、競争法違反とならないように活動していても、世界中に従業員を抱えている中で、実際に末端まで把握できずに、違反が生ずるということはあり得る。充実したコンプライアンス・プログラムにより、予防や問題の発見を進めることは重要であるが、仮に競争法違反が起こった場合に、競争法コンプライアンス・プログラムを有していることが考慮されるべき。米国では、罰金の算定時に、有効なコンプライアンス・プログラムを有し、違反が生じないよう努めていることが考慮され得ることが、企業にとって体制整備を進めるインセンティブとなっている。その点を強調すべき。
  • 本報告書案に記載されている事例は、先駆的であるかどうかは別として、特に事業者団体の取組について言及しているものは、今まであまり無かったので、非常に参考となる。しかし、現場の担当者がこれに従って行動していれば問題無いとすれば、参考に留まることになる。また、法令遵守のためにどうすれば良いのかを具体的に示すのがマニュアルである。パンフレットのような分かりやすいマニュアルを作成すべき。
  • 企業等が競争法に関するマニュアルを作成した時に、オーソライズまでは求めないが、競争当局は企業等の求めに応じて、せめて、競争法上の問題点を指摘する等、リーガルチェック程度は行うべき。
  • カルテルとは何かについて、10年前と現在では全く異なっており、従来は、競合他社間の合意(黙示の合意を含む)の存在及びそれによる市場における競争の制限が必要と言われていたが、現在では、意思の連絡と行為の外形が一致していればカルテルが成立するという考えの下、我が国を含め、各国競争当局は取締りを行っている。しかし、未だ、その考えは、現場の意識、風土に浸透しておらず、継続的な努力が必要と思われる。この点について、なぜ競争法コンプライアンスに取り組む必要があるのか、なぜ各国競争当局が取締りを強化しているのかに対するメッセージを発信していくためにも、競争当局はしっかり啓発活動を行うべき。
  • 合意そのものではなく、情報交換等、全般的な状況証拠からカルテルが認定されることとなると、企業としては、必然的に競争当局と認定自体について争う場面が生じる。そのような場面で用いるための証拠確保についても、企業の自己防衛という観点からは必要となるアプローチであり、競争法コンプライアンスにおいても盛り込まれるべき。
  • 先駆的事例について、読み手は、本報告書案における関心のある箇所を中心に読むことも考えられるため、本報告書案の冒頭等のみで言及するだけではなく、先駆的事例という表現自体を工夫すべき。
  • 本報告書案における議論の前提として、事業者団体における統計活動は重要とされているが、その前に、事業者団体として必要な統計情報なのかどうか、一体どのような情報が重要なのかについて、しっかり議論されるべきだと思われる。また、本報告書案における統計活動は、本来的に不要と考えられる価格に関する情報も含めて一般化した意味で用いているのか、それとも価格に関する情報とそれ以外の情報とで書き分けているのか。
  • 本報告書案においては、統計情報の内容にまで言及していない。ただし、事業者団体ガイドライン等は抜粋しており、その中に関連する記載がある。また、資料3-2の121頁にて、統計情報について本当に必要であるかどうか見直しを行うことも一案である旨、記載している。
  • 統計情報の内容について、資料3-2、44頁の事業者団体ガイドラインの引用部分において、「重要な競争手段に具体的に関係する内容の情報」の例示として、価格に関する情報の典型例が挙げられており、これと統計情報の見直しを関連させれば良いものと思われる。
  • 我が国におけるカルテルの事実認定が、従来と異なってきているという点について、昨年6月の「競争法の国際的な執行に関する研究会中間報告」において触れている部分が多いため、今回の報告書案ではあまり触れられていないものと考えられるが、本報告書案においてもこの「中間報告」については資料3-2の51~53頁において触れられている。「中間報告」を読まずに、あるいは前提とせずに、本報告書案を読む者もいるというのであれば、この点については、もう少し強調してもいいかもしれない。
  • 我が国におけるカルテルの事実認定が、従来と異なってきているという点に関する認識があることが、本報告書案において、具体的な取組を提示する必要性に繋がる。昨年6月の中間報告において言及はされているが、本報告書案の第1章においても改めて言及すべき。
  • 東南アジア等の新興国も競争法を導入しているが、今後、国際的な事案に対して適用される可能性がある。その中で、今回、そのような新興国の代表として中国を取り上げているということを明記すべき。
  • 主なご指摘として、(1)先駆的事例という表現について、例えば参考事例といった表現に修正すること、(2)示されている事例に沿った取組を行った場合に、必ずしも競争法違反を全て免れるものでは無い旨を追記すること、及び(3)昨年6月の中間報告との関連性について、我が国におけるカルテルの事実認定が、従来と異なってきているという点に触れながら強調すること、があったので、それぞれ修正すること。

報告書の普及・啓発について

阿部氏、青山氏、多田氏及び事務局より、それぞれ資料4~7について説明がなされた。

文責:事務局(経済産業省経済産業政策局競争環境整備室)

 
 
最終更新日:2009年12月11日
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