経済産業省
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BOPビジネス政策研究会(第1回)-議事要旨

日時:平成21年8月4日(火)14:00~16:00
場所:経済産業省 本館17階 西3 国際会議室

出席者

勝俣委員、安部委員、中尾委員代理、大島委員、黒田委員、小島委員、柳田委員代理、福林委員代理、藤沢委員、水尾委員

議題

  1. BOPビジネスの現状とこれまでの取組について
  2. 意見交換

議事概要

1.BOPビジネスの現状とこれまでの取組について、通商金融・経済協力課長より説明が行われた。

(1)BOPビジネスに対する考え方について
  • 企業が本業で行うこと、持続可能性の確保、BOP層自身がビジネスの担い手であること、が重要である。
  • 純民間事業では収益が重要である。一方で慈善事業は必ずしも収益性を重視せず、また持続性も高くはない。BOPビジネスにおいては、経済産業省が関与することで収益性とBOP層の生活向上の両立を達成できるのではないか。
  • 企業活動と経済協力との接点は、民間企業の資金・ニーズの活用にあり、これによって社会的課題をより効率的に解決できる。
(2)昨年度にまとめたBOPビジネスを更に促進するための施策の方向性について
  • 昨年度の研究会からの指摘を受け、施策の方向性を大きく2つに分けた。1つはまだBOPが普及していないことを踏まえ、啓発セミナー、マッチングイベントを行うこと。もう1つは支援策の創設、事例作り、および各国連携を深めることによってBOPビジネスを促進することである。また、透明性の確保も重要である。
(3)BOPビジネス促進に向けた経済産業省の取組(検討状況)について
  • 当面の取り組みとして、9月30日に国連大学でビジネスフォーラムを行う予定。12月以降は地方都市でも順次普及啓発セミナーを行う。
  • また、BOPビジネスのわが国企業の実態調査、海外企業の先進事例調査も行う。9月には官民現地調査を行って日本の先進事例を作る後押しとしたい。これらの成果は本研究会で報告・議論する。

2.意見交換における委員からの主な意見等

(1)BOPビジネスの位置づけ・BOPビジネスが有する可能性について
1-1)日本企業の海外市場確保
  • 企業は収益を上げるためにはある程度合理的な利益を得られるよう工夫し、海外戦略全体の中で、持続可能な分野を作り出すことが重要。
  • 欧米勢をはじめ中国等の新興国は、今後も積極的にBOPビジネスを展開すると予測される。BOPビジネスと似たソーシャルビジネス、CSRと同様、日本は出遅れており、すぐさま手を打つべき。
  • 日本が行うBOPビジネスには日本らしい技術、知見、イノベーションを加えるべき。
  • 低所得者層の市場において比較的優位性を持っているのは中国やその他の新興国である。こうした国に対し、日本にとってBOPビジネスは差別化コンセプトになるのではないか。
  • BOP層はボリュームゾーンである。長期的に見て、BOPビジネスでは日本の技術、サービスのブランドイメージの浸透が重要である。
  • BOPビジネスは日本の中小企業の新規市場開拓としても捉えられるのではないか。
  • BOPビジネスを考えるには、現地のニーズを把握するとともに、企業がそのニーズに合致するような自社のコアコンピタンスとなる独自能力を見極めることが大切である。そのためには、本社の上層部だけでなく、現場の英知を集めることで、気づかない部分を発見することもあり、トップと現場が一体となって議論することが重要である。
1-2)経済協力
  • 水、道路等のインフラ整備については、日本ではODAで単発的に行っているが、日本政府はもっと踏み込んだ継続的な取り組みを民間とタイアップしてほしい。
  • BOPビジネスの意義として、発展途上国のどの課題を解決するかという視点のみならず、BOPビジネスを通じて日本が抱えている課題を解決するという視点も付加するべきではないか。発展途上国支援を通じ我が国が抱える問題を解決することは、海外支援関連予算の削減にも通じる。
  • 日本の経済協力では人権、環境、コミュニティ参画分野が弱いと言われる中で、BOPビジネスを通じ途上国と企業の両者がWin-Winとなることが重要。
1-3)外交戦略
  • 世界における日本の発言権を高めることも重要である。そのための戦略としてBOPビジネスをどう紐づけるのか、を考えることが重要。
  • BOPビジネスはまだきちんと議論されておらず、世界レベルの定義もないが、外交戦略の中で位置づけることが重要である。既存の枠組みの中で、縦割りではなく日本のODA全体としてBOPビジネスをどう位置づけるかを明確化することが必要と考える。
1-4)BOPビジネスを行うにあたって留意すべき点
  • BOPビジネスにおいては途上国のバリューチェーンの開拓が重要となる。初期段階でのBOP層のチャネル開拓が、BOP層の所得が向上した際により有効となる。
  • 現地農家等からの調達や零細小売店の店頭への商品卸等を通じてバリューチェーン全体にBOP層を取り込み、経済効果を発揮していくことがBOPビジネスである。
  • 日本が出遅れている地域における市場マーケティングのための情報収集が重要になる。
  • BOPビジネスには相当なリスクが伴う。リスク軽減に官やJICAの役割があり、制度改善を図るべきである。既存のツールだけではリスクカバーが不十分であり、例えば海外投融資のような制度が必要ではないか。
(2)我が国企業によるBOPビジネスへの参入が期待できる分野について
2-1)農業
  • 食糧確保の観点から、途上国の農業分野に進出する意義があるのではないか。日本の高い農業関連技術力の活用が可能であり、また農業は人的資源を必要とするので現地の雇用創出にもつながる。
2-2)生活基盤サービス
  • 従来のODAはインフラの整備が中心となっているが、BOPビジネスでは支援では、生活の基盤・人間の生活の基盤を作ることが重要になると考えられる。
  • 潜在的な産業分野としては保健医療、衛生・栄養、教育・職業訓練、家庭内エネルギー源、農林漁業が考えられる。
2-3)技術
  • 海外で日本製品を展開するに当たっては、スペックダウン、コストダウンして対応していく必要がある。中国、インドとの価格競争では負けてしまうという実態を考慮する必要がある
  • 技術協力の分野では、コストの問題があるものの、パッケージング、放送技術、水分野における膜の技術などが大いに可能性がある。衛生では屎尿処理などにビジネスの可能性があると考えられる。
(3)BOP普及拡大に向けた関係者の役割、支援策の方向性
3-1)政府セクターの役割・留意点
  • BOPビジネス促進の為には、政府が支援する重点分野の提示が重要。それにより、各企業が独自の強みを生かす具体的な検討が促進される。
  • 日本も今後、資源戦略を再考すべき時期にある中で、BOPプロジェクトは日本にとって新技術の実験・検証の場になるのではないか。
  • BOPビジネスに関わる人のコーディネーションについても、支援策について考える必要がある。官は日本企業が単独でリスクの高い相手とビジネスを行う際のパートナー探しが可能ではないか。
  • 官民連携が大事である。特に政策面、政治面での問題については企業が単独で取り組むと時間かかるため、先ずは官が参入障壁を小さくすることが重要である。
  • 支援の検討に際しては、官ができることは何かをベースに制度やプログラムを組み立てた方が良い。
3-2)企業側の役割・留意点
  • 企業活動において、本業と慈善事業を厳密に分けない方がよいのではないか。事業を戦略的フィランソロピーとしてとらえ、すぐに儲けは出なくても社会貢献的な形で行っている企業もある。
  • ニッチなニーズ・市場を見つけてBOPビジネスを立ち上げるには相当のエネルギーが必要である。企業側に相当強い熱意がないと動かない。
3-3)市民組織側の役割・留意点
  • 現地コミュニティ内も一枚岩ではない中で、コミュニティ内部に精通した人が必要であり、課題やニーズを正確に把握する必要がある。NGOは現地との信頼関係を築いており、NGOと企業はうまく連携することが重要。
3-4)その他留意すべき点・必要な支援策
  • 日本企業はゼロベースからの現地への入り込み方、商品マーケティングのためのネットワークや連携が不得意だと考えられるため、ここをマッチングする支援策を検討すべき。
  • 現地コミュニティとの関係作りが重要だと考えている。BOPビジネスの結果、ローカル企業が圧迫されてはいけない。
  • 制度を考える際には現場目線が大事である。それぞれの組織がピラミッドになっている中で、現場の人の感覚が重要。

3.議論のまとめ

  • BOPビジネスに企業が参入して得られる成果は二つあり、両方の目的を同時に達成する必要がある。一つ目は経済協力における新たな官民連携、ビジネスを通じた社会課題解決、途上国の発展に寄与することである。二つ目が海外市場の創出、拡大を通じた日本経済の活性化、日本企業の新たな成長可能性の拡大である。双方の国にとってのWin-Winの関係でBOPビジネスを位置付けられると考えている。
  • 今後の具体的な検討に当たっては、途上国が抱える具体的な社会的課題、日本企業が持つ強みについて、海外の事例も参考にしながら実態に即した議論をすべき。
  • BOPビジネス拡大のためには関係者がノウハウを生かし、補完しあう形でのビジネスモデルの構築が必要である。官民合同の現地F/S調査では、関係者の役割分担も踏まえた、現地での検証を踏まえた具体的なビジネスモデルの検討をして欲しい。
  • BOPビジネスを踏まえた具体的な支援策として想定されるのは途上国BOP層ニーズの把握、低コスト高品質両立のための技術的支援、現地生産のための現地人材育成支援などが考えられるが、今後の取組やワーキンググループでの検討も踏まえ、次回以降でさらに議論を深めたい。

以上

 
 
最終更新日:2009年9月4日
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