経済産業省
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アジア消費トレンド研究会(第1回)-議事要旨

日時:平成21年8月7日(金)14:00~16:00
場所:経済産業省 本館17F西2「国際会議室」

議題

アジア消費トレンドマップの策定について

出席者

学者・エコノミスト、ファッション、クリエイター、キャラクタービジネス、旅行、食・お菓子、家電、不動産、マスコミ、広告・分析など 業界横断的にマーケティング専門家が出席。

議事概要

1.開会

2.岡田通商政策局長挨拶

本研究会のテーマであるアジア消費トレンドについて御議論をいただくにまことにふさわしい七丈先生を初めアジアあるいは消費トレンドについて造詣の深い学会、マスコミ、ファッション、デザイン、キャラクターなどの広く各界から、日本を代表する方々にお集まりをいただいた。これからの日本の将来を考えるときに、日本がアジアとともに成長する、そのためにアジア全体で需要をつくっていく、そういう考え方が重要。政府では「アジア経済倍増計画」のもと、アジアの経済成長と需要の拡大を目指して、アジア域内の広域的な経済連携、国境を越える広域的なインフラ整備などを進めている。今、アジアでは特にインドと中国を中心に、いわゆる中間層と呼ばれる人々の人口が急速に増加。アジアでは1世帯当たりの可処分所得が5,000~3万5,000ドルの中間層が9億人に達していると言われている。この中間層が新しい消費市場をつくって、これからのアジアの消費を強力に牽引していく。アジアの中間層がつくり出す新しい大きなマーケットの出現が、日本のビジネスの大きな飛躍のチャンス。日本のすぐれたものづくりの技術であるとかアニメやファッション、アートや若者文化、あるいは観光資源、こういった日本の魅力をアジアの人々に伝える大きなチャンス。本研究会では、大きく変化しつつあるアジアの消費市場について、この市場がどういう方向に向かっていくのか、私たちにできることは何なのか、あるいは政府としてなすべき課題というものはどういうものがあるのかといった点について皆様からの忌憚のない御議論をいただき、あるいは提案をいただきたいと考えている。それを通じ、「アジア消費トレンドマップ」ともいうべきものをつくっていきたい。アジア各国がお互いのよさを取り入れて、アジア人が中心となったファッションや流行をつくり上げる、そしてアジアに豊かな消費文化が開いていく。さらに、そのアジアの消費文化が世界をリードしていく、そういう日が来ることを目指し御議論をすることができればと考えている。

3.座長挨拶(七丈東京大学大学院情報学環准教授)

地域産業を対象としたイノベーション研究を専門としている。2004年から東京大学が文部科学省振興調整費を受託し、コンテンツ分野のプロデューサーを中心とした人材育成を実施したプロジェクトの中で、主にアニメや映画などといった専門領域に関する教育のカリキュラムの策定と講義のオーガナイズもしてきた。今年の4月からは対象領域を拡大し、ファッション、モバイル、ソーシャルメディアなどといった領域についても授業あるいは研究の領域で扱ってきた。

本研究会は、アジア消費トレンドマップという名称からも、消費の対象となり得るような幅広い財を対象としている。この潜在的な非常に多岐にわたるさまざまな財に関しアジア圏での消費構造を知るということは、日本の商品あるいはサービスなどといった無形財等を海外に売っていく上で、我が国の産業に対し極めて重要な課題であり、これに対して土台となるような知識を提供することになる。しかし、それだけにとどまらず我が国の文化の積極的な発信、いわゆるソフトパワーとして認知されるような文化外交といったものにも寄与するし、アジア圏の日本のリーダーシップに対しても寄与する部分があるのではないかと期待。従来、分野ごとに収集され、全体としてはなかなか見えてこなかったアジアにおける消費構造をこのような場を通じて包括的かつ俯瞰的に議論するということは、以上のように非常に重要な意義を持つ。

産業、文化、リーダーシップというような順で触れたが、産業が主で文化が従というわけではない。「クリエーティブ産業とは、文化と商業の契約関係である」というふうにリチャード・ケイブスは指摘したが、消費財の世界でもほぼ同じことが言える。ものづくりの基本的な技術が全世界に普及した現在、あらゆる消費財は、それが有する付加価値で勝負をしているという状況があるので、商品が持つコンテンツ的な性質が非常に重要になる。

文化的側面と産業的側面を複眼的にとらえながら戦略を練っていく必要がある。以前か盛んに言われていることだが、今この時点において、真剣にこれを考える必要がある。渋谷の「マルキュー」に代表されるような「ギャル系のファッション」も、あるいは金沢の加賀屋のおもてなしなどといったものも、消費者層は違うが、基本的には同じ構造がその背後にある。いわば文化力と商品力、これらが相まって爆発的なヒットにつながっている。

これらの現象をひもとくことは、一筋縄ではいかない。状況は極めて複雑で、視点も多岐にわたっているので、各々の状況を理解した上で全体を1つのマップのような形で可視化することによって、相互の連関についてよく見えてくる。それにより糸口が得られるのではないかと期待。

この試みは現在始まったばかりだが、これからアジアの消費構造に関してすべてが集結するような、あるいはこの場を通じて異業種間の知識の相互変換が行われるような一種のクリアリングハウスを構築しようとしているわけだが、これらには多くの方々の賛同と御理解が必要。研究会で得られた成果は積極的に対外発信をしていきたいし、委員の皆様におかれても、積極的に活動をアピールしていただきたい。

この種の試みは、ある程度まで情報が集積されれば、あとはおのずと新しい情報が寄せられるような形になる。今年度の研究会を通じて、できる限り幅広くデータあるいは知見を集積することで、次年度以降、自然とデータが寄せられてくるような魅力のあるパッケージができるのが理想。このような構造を踏まえ、委員の皆様方にはぜひ活発に情報提供をしていただきたい。

4.「アジア消費トレンドマップ(仮称)」の策定について(説明)

(渡辺アジア大洋州課長から配付資料に沿って説明)

5.意見交換

  • 消費、特に価値観とかライフスタイルなどについて、日本と比べるということはされていなかった。業種横断的に並べてみたときに消費者の構造がどうなっているか調べられていなかった。(経産省の平成20年度アジア消費トレンド分析報告書の中では)イノベーターとか上昇志向層がアジアの国々では多い。場合によっては「オタク文化」と言われることもあるものがアジアではとてもメジャーなカルチャーになっている。アニメ・漫画・ハイテク機器などが、とても憧れになっている。日本の商品やサービスについては、アジアで憧れにはなっている。高品質・高技術あるいは日本のいわゆる文化性など、とても憧れにはなっているが、いざそれを本当に買うのか、それがほかの国の商品と比べて個性的かというと、必ずしもそうは見えない。模倣品や流通上の問題である種の機会損失をしている事例も多い。
  • 日本には自動車産業や家電産業など、輸出振興をうまく成功させた産業があるが、まだまだ輸出振興に値する産業がたくさんある。例えば、日本のファッション業界は独特の進化を遂げ、よくガラパゴス現象と言われるが特有な進化を遂げてきている。ところが、繊維産業というのは輸入100に対して2の輸出しかできていない。欧米各国の一般的な輸入と輸出のバランスを見ると、大体2対1とか、イタリアにおいては2対3とかで、コンテンツが強くなれば輸出振興に値するという現象になる。日本においては、輸入が100もあって輸出が2しかないというのが実情。世界で日本のファッションは、非常に高い注目を浴びている。先日、パリのジャパンエキスポで、フランス人の10代を中心とした女性達が、4日の間に16万人も集った。フランスに限らず世界中で、クールジャパンというブームがおきている。これはもちろん漫画とかゲーム等、サブカルチャーが浸透して、それに影響されてファッションも振興して日本がアドバンテージをとっている。ところが、全然輸出に目が向いていなかった。産業はシュリンクしているが、全く外に出ていこうという意志がなかった。このトレンドマップの目的は、できれば産業人が頭の中に抱えている障害とか障壁、例えば先入観、を取り除いてあげることができる情報のマップ化、可視化できるもので、ひいては、輸出振興していくときのための手引にするもの。どの国の消費者がどのような消費傾向を持って、どういうファッションに興味を持って、どういうプロモーション活動をしたら産業が輸出振興に変えられるか、それがこのトレンドマップの最終目標。
  • 日本のファッションマーケットは非常に特殊。他の国と比べて上意下達型のトレンドが非常にうまく今までいってきたため特殊になった。アジアでは、日本は中間層の若い女性達のあこがれの国。きれい・清潔・おしゃれといった日本のライフスタイルを具現化させたのが日本のファッションというふうに受けとめられているが、国によって日本のファッションは、注目を浴びているのは一緒だが、魅力を感じている点が違う。日本のように上意下達型のトレンド発信ができる国というのは少ない。日本のファッションだから売れるだろう、日本のファッションだからはやるだろうという気構えだけだと、なかなか現地では受け入れられない。現地で業態や日本のブランドも見てきたが、日本国内で見るよりかなり色あせて見える。これは、それぞれの国に対するローカライズがうまくできてない結果。日本だからということに非常に魅力を感じている点は確かではありますが、それを現地の目線でどのように落とし込みをするかというモデルを考えてく必要がある。
  • 昨今のマーケティングでは、ライフスタイル的なところからのアプローチというのは非常に強くなってきた。こんな人になりたいとか、こんな生活を送りたいというところからマーケティングアプローチしたほうが、アジア圏でも売れてきたという実感を持っている。今日本にあがれているというのは、商品にあこがれているより、日本のライフスタイルとか人というものにあこがれている。特に都市型の日本文学が受けているというのは日本独自の日本型都市文学や都市生活がアジアンにとってはあこがれの的になってきている。そういうところの研究をするのも一つの手。
  • 東京には「カワイイ」ものを求めて来る外国の女性がたくさんいる。「カワイイ」というコンテンツに対する需要がアジア各国で大変高い。中国、アジアの若い女性たちだけに限らず、今ヨーロッパの若い女性たちも大変日本の「カワイイ」というものに注目をしている。例えばスカンジナビアの諸国では、ビジュアル系ファッションというものが大変浸透しており、フランスではロリータ、アメリカでも、かつてはコスプレというような形で、どちらかというとサブカル的なものが中心だったが、今ギャルファッションというようなものが大きく注目を集めている。ただその一方、それを販売しているのは、例えば台湾、香港、カンボジア、タイから来た業者であったりする。日本の「カワイイ」と称されるものが違う国々の人たちの手によって広められている。日本が、ファッション業界が一体となって今後どうふうに発信していくかということに関しては、これから考えていく余地があると思っている
  • 東アジアのトレンド情報が流通するための越境するメディアがあったらいいと思う。私たちは4年前に様々な都市の文化を、麺であるとか飲料であるとか、あるいは好きな小説とか、ファッションでもバッグとか細かい分け方をして、輪切りにして一冊のマガジン型のメディアを実験してみた。東京・ソウル・台北・上海・香港の最新情報をアイテムごとに写真と文章で載せるというものを、各都市の編集者と一緒にやってみた。結果、非常におもしろい差異がみえた。日本がEUにおけるブリュッセル機能を持つための情報と広告の円形情報ネットワークのインフラは我が国にとって大事な問題ではないだろうか。日本得意のスピードとコンパクト。情報の山手線みたいなものを東アジアにつくることを議論してみたい。
  • 日本の「かわいい」がなぜもてはやされているか考えるときに重要なのは、1つは各国がどのように近代化していくかという点。先進国主導の世界経済が新興国主導の世界経済になっていくときに、アジアの人たちがミドルクラスになるということは、近代化するということ。近代化するということは、日本でいえば欧米化するということであったわけだが、アジアの人たちや南米の人たちにとって、ダイレクトに欧米化する道というのも1つあって、例えばこのファッションマップで言うと、フィリピンなんかが日本の雑誌は余り読んでないという、ダイレクトに欧米の雑誌を取り入れようとしているというような動き。それから、中国やタイのように日本の雑誌から、つまり唯一アジアで近代化した日本をモデルにして、それを通じて欧米化しようという国と、恐らく2つある。それから、「カワイイ」というのはそれだけなのか、先に近代化した先輩として格好いいと思っているだけなのか、日本独自のコンテンツの格好よさみたいなものはあるのかということは考える必要がある。もう1つは、メジャーがマイナーで、マイナーがメジャーになってきた点。ファッションで言えば、サブカルチャーがむしろ主役。従来日本のアパレル業界は、一生懸命フランス、イタリアなど欧米のファッションを日本発でつくろうとしたが、アジアでもてはやされているのは、むしろもっとサブカルチャーな、もっとマイナーなもの。つまり主役交代が起きている。しかし、それがインダストリーとしては、全く対応していないというところの問題。
  • 数年前にタイで、日本茶がはやった。買って飲むと、物すごく甘い。砂糖が大量に入っている。日本では絶対考えられないことだ、彼らはそれがおいしいと思う。ただ、ペットボトルには全部日本語が書いてあり日本っぽければよくて、日本の正統のものじゃなくても彼らはいい。これから考えていく上でも、日本のいいものだからそのまま売り込もうというのではなく、彼らが喜ぶものにちょっとだけ変える、彼らも受け入れやすい
  • 中国人の方々に対する観光ビザの緩和や、来年の羽田空港の国際化等が追い風になり、外国人の観光客というのはますます増える。アジアが1つの市場としてさまざまな交流の場が必要になってくることは間違いない。そのためにも、都市として一体化した施設が必要。
  • ライフスタイルに非常に関係しているが、アジアの方によく頼まれるのは、日本の新聞のとじ込み広告のマンションの間取りを送ってくれというもの。これはファーニチャーにしても生活スタイルにしても、本当に一番基礎になる空間のつくり方が、何か日本のものはしゃれているという感じがありこの7~8年、需要がふえているという実感を持っている。
  • どうしても機能優先とかコスト優先ということになっている。いろいろシナジーすれば、もっと日本の強さを発揮する機会が増えるのではないか。技術だけでなくコンテンツも含めてブラックボックス化することによって、生産は中国でやったとしても、模倣されやすい機能的な強みではなく、日本ならではのトレンドのような独自の強みを生かせるのではないか。例えば、コンテンツと電機メーカーなどがタイアップしてでていくスタイルがあるのではないか。ただ、そういった際にコストがかかるため、日本の強さというのを、官が産業界をぜひリードしていただきたい。
  • 「消費パターンと所得水準が近い国にアプローチ」というようなのが21ページにあるが、所得水準については、やはりアジアはかなり違う。これは富裕層を含む中間層というふうに理解した。いずれにしても、ローカライズを伴うことが必要である強く感じており、アジアといっても、やはり所得だけじゃなくて文化が重要な要素。同じアジアでも台湾からインドまで大きく違う。例えば台北に行くと日本のファッション、歌手など大変な人気だが、タイ、ベトナムでも少し違うし、インドに行くとアジアといいながら文化的には欧米に近い部分も多い。台北の感覚でそのままインドに行くと、それはうまくいかない。アジアといってもそれぞれの地域別、所得差に限らず、文化的な側面、もしくは日本の文化に対するどのぐらい親和性があるのかというところも、吟味して考えていくべき。
  • 現状、上海では日本料理屋は、大体1,000軒ほどある。そのうち、300軒ほどまともだろうと言われているところはあるが、そのうち日本人オーナーが何人いるかというと、30人程度しかいない。この中で日本文化を継承していく、日本文化を伝えていくということが非常に難しい。ちなみに日本酒で、1升瓶で日本円で7,000~8,000円するものが、向こうで売っている値段が3万円ということもある。上海では食材や道具類、建物の備品等考えると、日本から持っていきたいものは幾らでもある。ところが、それができなかったり、また、持っていって販売しているところは、向こうの文化に溶け込んでいなかったりということもある。いかに日本の安心・安全、品質のよいものを浸透させていくのにどういったことができるか、また、日本の文化を向こうの文化とどう融合できるのかという点をマップに盛り込むべき。
  • 日本の菓子というのは戦後発展した分野だが、アメリカ、ヨーロッパにあったものが単に模倣的な形で、雁行形に、経済発展とともに発達したような産業にはなってない。チョコレートを例に挙げれば、いわゆるチョコ菓子は、アメリカにもヨーロッパにもないような菓子の形態。これが日本のチョコレート産業の約3分の1ある。そういうようにオリジンに対して、国でその産業が発展するのに対して、雁行形にそれぞれが経済の発展にというふうな形には、お菓子の場合はなかなかいってない。アジアにおいて、菓子が今後どういうようにして進化・分化・発展していくのかという点についても、アジア各国で日本のチョコ菓子的なものがあり、それぞれの国で、アメリカにもない、ヨーロッパにもないような形態で発展するだろう。多分国ごとに違う。経済発展とともに同じ進行度合いではいかない。同様にクールコリアというのもあり、日本だけじゃなくて韓国もアジアに対して、文化を売り込みたいというのは当然ある。例えばそれに対する国のフォローをみてみると、一例だけ挙げると、韓国におけるデザインの学校、専門学校、大学を卒業される方が、日本と同じ人数いる。人口に占める割合を考えると、日本の倍以上力を入れている、日本でもそれに対するインフラも必要。アジアに対してはクールジャパンと、クールコリアというようなことについても意識することが必要。
  • 物におけるアジア消費トレンドをつかまえていくということは、最終的に日本発のものを輸出していくということになるが、旅行で言うと、これは訪日旅行の拡大ということになる。香港では、旅行誌やファッション雑誌、機内誌、みんな日本が特集されていた。今後マップを作っていくに当たって1つ考えていくべきなのは、アジアの国々でも、国によって少しずつ動きが違う。トレンドも違うし、流行の伝わり方も違っている。時間軸を要素に入れたような戦略マップにしていくと極めて実効性のあるものになる。
  • キャラクタービジネスは、国内で40~50年ぐらいの歴史があるが、その中で日本のキャラクター商品を支えてきたのは、欧米のキャラクターが中心だった。しかしながら2000年以降、どんどん欧米系のキャラクターというのは力を失っていって、現在では日本のキャラクターが上位を占めている。欧米系のキャラクタービジネスをやっているようなライセンサーと言われているところが撤退していっているというような環境。一方で、日本のキャラクター製品は日本人よりもアジアの人たちに購入されている。アジアの人たちがいないと成り立たないような消費の実態になっている。キャラクターマーケット自体は非常に飽和、成熟の状況になってきており、だからといって海外で成功しているかというと、成功していない。日本で発売されたものは大体アジア、特に東南アジアでは受け入れられているような傾向が見られるが、例えば、今中国本土は、大体香港経由、台湾経由で入っていくが、ほとんど成功していない。知的財産権の問題、模造品・海賊版の問題というのが解決されず、厳しい状況。そういう中で、いわゆる日本のキャラクターが、国内の中で本当に欧米系から日本の独自のキャラクターが力を持つようになっていったそのプロセスや、そういったものがアジア、東南アジアの中でどのようにローカライズされていくのかというところ、その辺の視点というのも含めて考えていくことが重要。
  • アジアで注目されるのはアニメーションの話が多いが、むしろ注目すべきはキャラのほうで、アニメーションは確かに人気があるが、ビジネス的に成功しうるヒットアニメの開発は時間もコストもかかり、再生産が難しい。特にアジアを考えるときには、ファンシーキャラの影響力が非常に重要。ビジネス的な意味での再生産は極めて容易。クリエーティブという意味では別だがコストはかからない。ファンシーキャラというのは、よく言われるように、日本の文化性を非常に強く反映している。わび、さび、浮世絵、そういったものの反映だというふうにもよく言われている。「カワイイ」「萌え」というようなキーワードも、アニメーション全体というよりもむしろファンシーキャラに集約されている。いわば「カワイイ」とか「萌え」とかの源泉がファンシーキャラにあるという意味でも非常に重要。キャラ開発の力は日本が抜きん出ており、特にアジアに関しての影響力は強い。ケースづくりもやっていくべき。実際にキャラクターを作って、それを仕掛けて、どう本当に広がっていくのか、どういう課題があってどう解決していくべきなのか、そういうケースがあると非常に実践的な情報が得られるのではないか。
  • 「もの」をつくるということよりも「こと」を作ることが重要。日本の繊維というのは、服飾ではなくて、むしろ環境資材として非常に広く行き渡り始めている。航空機のボディー、人工血管の材料、風力発電のプロペラの中などで高度化している。服飾が、糸の布の産業がヨーロッパによって戦略化されて流通しているその戦略そのものをファッションというと思うが、ファッションというところに出していくと、どうしても欧米の戦略に乗っかってしまう。人間・繊維・環境というものの中で全く新しいフィールドを書き直してしまうほうが日本的。繊維産業の人たちだけではなくて、建築家とかさまざまなジャンルのクリエーターであるとか、あるいは車メーカーやハイテク家電メーカーなども1つのクリエーターとしてそこに参画してもらって、人間・環境・繊維の間にどんな新しいクリエーションを生み出せるかということを可視化するべき。日本はすごく期待されている。今日は、どちらかというとサブカルチャー的な話題が豊富ではあるが、サブカルチャーだけではなくて、丁寧、緻密、繊細、簡潔なこと、1つの美意識と呼んでもよいものを資源として意識するかどうかということが大変重要。自動車では、日本では、欧米の車の影響というのは脱し始めていて、小さくて非常に現実的な車が動き始めている。世界が本当に求め始めている簡潔さとか小ささかなどを先取りしている。環境技術でも明らかにリードし始めている。それから、車の本質が変わる。移動の本質が変わっていく。1つの車よりも都市システム全体としてのモビリティーができてくる。産業全体の力としてモビリティーの未来をつくっていくというようなことが行われてくる。我々が暮らしている経済文化圏全体がある種の大きなポテンシャルを持っていて、悲しいことにそこは個々の企業のマーケティングが優先されるので、全体としての知の運動会ができていない。一企業の単位ではだめで、インフラをつくれるような巨大な企業も、あるいは家電もつくるようなメーカーも、建築家もプロダクトデザイナーも服飾デザイナーもそこに参画して、本当のリアルな車の未来ということをつくるような知の運動会を仕掛けていくようなことをやらないと難しい。知の運動会のようなものを、日本というものの感性の資源を背景にしてどんどん生み出していくような仕組みをつくるということにとても興味がある。トレンドマップそのものも興味があるが、そこに働きかけて影響力を持っていくコンテンツをどうつくっていくかということに関してとても興味がある。また、日本という経済文化圏に住んでいる人たちがどのような欲望の水準を持てるかということについての施策を持つべき。スタイリングとか見かけのおもしろさで経済を加速するようなものではなくて、欲望のエデュケーションというものに対して本格的な影響力を持てるというのがデザインの観点。「もの」をつくるということよりも「こと」を作ることが重要。日本の繊維というのは、服飾ではなくて、むしろ環境資材として非常に広く行き渡り始めている。航空機のボディー、人工血管の材料、風力発電のプロペラの中などで高度化している。服飾、つまり、糸と布の産業がヨーロッパで戦略化されて流通しているその戦略そのものをファッションというと思うが、ファッションというところに出していくと、どうしても欧米の戦略に乗っかってしまう。人間・繊維・環境というものの中で全く新しいフィールドを書き直してしまうほうが日本的。繊維産業の人たちだけではなくて、建築家とかさまざまなジャンルのクリエーターであるとか、あるいは車メーカーやハイテク家電メーカーなども1つのクリエーターとしてそこに参画してもらって、人間・環境・繊維の間にどんな新しいクリエーションを生み出せるかということを可視化することをやっている。そういう領域で日本はすごく期待されている。今日は、どちらかというとサブカルチャー的な話題が豊富ではあるが、サブカルチャーだけではなくて、「丁寧」、「緻密」、「繊細」、「簡潔」というような、美意識と呼ばれてきたようなものを資源として認識できるかどうかということが大変重要。自動車では、日本は、欧米の車の影響というのは脱し始めていて、小さくて非常に現実的な車が動き始めている。世界が本当に求め始めている簡潔さとか小ささなどを先取りしている。環境技術でも明らかにリードし始めている。それから、ガソリンから電気に移行することで車の本質が変わる。移動の本質が変わっていく。1つの車よりも都市システム全体としてのモビリティーが生成されてくる。産業全体の力としてモビリティーの未来をつくっていくというようなことを行うべき。我々が暮らしている経済文化圏全体がある種の大きなポテンシャルを持っているが、悲しいことにそこは個々の企業のマーケティングが優先されるので、全体としての知の運動会ができていない。一企業の単位ではだめで、インフラをつくれるような巨大な企業も、あるいは家電もつくるようなメーカーも、建築家も諸分野のデザイナーもそこに参画して、本当のリアルな車の未来ということをつくるような知の運動会を仕掛けていくようなことをやった方がいい。知の運動会のようなものを、日本というものの感性の資源を背景にしてどんどん生み出していくような仕組みをつくるということにとても興味がある。トレンドマップそのものも興味があるが、そこに働きかけて影響力を持っていくコンテンツをどうつくっていくかということに関してさらなる興味がある。また、日本という経済文化圏に住んでいる人たちがどのような欲望の水準を持てるかということについての具体的な施策を持つべき。スタイリングとか見かけのおもしろさで経済を加速するようなものではなくて、「欲望のエデュケーション」というものに対して本格的な影響力を持てるというのがデザインの本質である。
  • 1つのキーワードとしてクールジャパンということの中で、「カワイイ」とか「オタク文化」とかというようなことが言われているが、この機能も日本が独自の文化としてつくり上げてきたものだが、やはりどこか欧米の文化がベースになって、日本の中で、意識の中でそれが融和しながら何か新しいものをつくってきた。仕事を通じて今一番興味を持っているのが日本の伝統工芸。日本の伝統工芸というのはトレンドになり得るのか、あるいはそうしたいという点に関心あり。日本の伝統文化をそのままトラディショナルなまま再現し、逆に日本人から見ると、どこか新しいデザインという感覚がある。そういうバランスの中で日本の伝統技術というものを引き上げて、これが本当にクールで格好いいというような観点でとらえること。日本の伝統工芸が何でおみやげ物的になってしまったのは、古いアイテムに余りにもこだわり過ぎて日常の生活で使わないため。全く新しいアイテムに発展させることによって、何か可能性と、逆にこれが格好いいと思えるような何かがあるのではないか。今、表面的にはアニメ文化とか、先ほどの「カワイイ」とかいうのが社会的にいろいろ認知されて、料理でも、今世界各国どこへ行っても寿司屋がある状況の中で、本来、江戸の時にはすごくクールだったものが、今時間がたってしまってアイテムに余りにもこだわり過ぎているので、時代おくれな感じがしているというものを、何らかの形で引き上げていくことによって、さらに日本の文化というのが強くなっていく。必ずしも今の「カワイイ」とか「オタク」というのが一過性のものだとは思わないが、もっと芯になるようなところから「カワイイ」というものと日本の伝統的な文化というものを総括的に見てみると、違った見え方がしてくるのではないか。
  • 日本人の繊細な感性から生まれる「カワイイ」ものを発信していきたい。その日本人の繊細さとは、肌で例えると、ほかの国に比べて日本人は、スベスベだったりとかヌルヌル、ザラザラなど、すごく豊かな表現方法があって、日本人の表現豊かな感性の繊細さがものづくりやサービスに生きている。そういった観点は、新しいものを生かして、わかりやすくアジアを含め世界に発信していくことが必要。
  • 流通、百貨店の売り上げが半額になっていたり、アパレル業界全体で、ファストファッションの台頭もあり非常に厳しい状態。今まで「ギャル系」とか「モテ系」とか、日本のファッションでいろいろカテゴリーが差別化されているところにマーケットがあるところが日本のファッションのユニークさだったが、ほとんどスタイリングが似てきているという状況になってきているし、又、サイズ展開をS、Mなど分けなくなってきた。分けると在庫が増えてしまうから、サイズ感のないパターンやデザインが増え、同じような服が増えている。アパレルに関しては、ゲームやアニメなど、流通期間が長くて狭いところでも売れるようなものではないので、非常に運用にコストがかかる。中国で日本のファッション誌が売れていると資料にかいてあるがコンテンツ提供しているだけで、中国のライツになっている。中国では、今までは日本のアパレルメーカーが良い工場を押さえていたが、最近は中国の良い工場を押さえられなくなっている。流通やアパレルの近況を考えて、アジア展開支援策を行うというところに非常に興味があり、ネットの振興と同時に、日本のファッションは現在、いろいろ危機的状況にあり、日本のアパレルが価値の高いうちに、ぜひサポートしていただきたい。
  • 本マップの策定に際し、ファッションビジネスが重要な要素 の1つになっていると思うが、90年から2000年にかけて、ファッションの発信者と受け手の主客転倒が起こった。企業側の論理で押しつけていたものが消費者に受けない。あるいは個人が自分の価値観を持ち始め、あるいはヨーロッパ、アメリカのデザイナーではなく、日本、特にストリートの若者などだ感性が豊かな人がたくさん生まれたといった意味で主客転倒がおこった。それを産業界そのものが認識できていない、あるいはそれに対応できていない。幸いなことにゲリラ的に色々なことが起こって、結果として、世界から日本のヤング・ファッションが「格好いい」「クール」なファッションと評価されるようになった。日本のファッションは非常に独特なものを持っている。それは若い人たちがお金と時間を持っている、感性が豊か、そのベースには日本文化の蓄積がある、あるいは技術的な蓄積がある。それが今世界から注目されている。そのことを我々はどう認識するのかというのが、今回のこのプロジェクトでも非常に重要。このファッションマップは非常におもしろい試みであるし、イノベーターあるいは上昇志向というような、もっと一般的なとらえ方で見るということは非常におもしろい視点だが、その際にクールジャパンというのは、クールと外国から言ってもらって初めて自分たちがクールと気がついた点に注意することが重要。海外が注目する断片的な人気だけとらえているが、我々自身がそれが一体何であるのかいうことを認識あるいは腑に落ちる形で論理づけできていない。クールジャパンも、単にクールという言葉じゃなく、日本の何か我々が持っている、発信できる、ポストモダンの時代をリードできる、欧米では絶対できないことが起きていることを見極めるべき。そのことを、例えば「コギャル」とか「サブカル」とか「裏原」とか言っていてはだめ。そのことの重要性と意味合いをわかってもらえるような形で、日本国内でもそれを発信し、認識してもらい、それをベースに海外へ出ていく。その際に、コンセプトというかビジョンみたいなものが背後にバックボーンとしてないといけない。クールというのはある意味で時代現象。これが何十年も続くということはない。時代現象としてのクールジャパンを、我々が自信を持って論理付け、これがそのコアである、歴史と文化の蓄積から来る心棒だと、軸だと理論づけるべき。2点目、海外、アジアのマップをかくときに、所得レベルの進化との関連を把握することが重要。日本のファッションビジネスの進化はまさしく生活の豊かさ、マズローの言う5段階説の3段階から4段階、5段階という形で進化している。それがアジアの各国ではどうなのか。どういう所得レベルあるいはライフスタイルが存在して、価値観のレベルがどう変化しているのか。同じイノベーターといっても、そのイノベーションの意味が国によって違うから、そこも押さえないといけないのではないか。
  • 中国のマーケットでは、随分日本の企業は活躍できてないという印象。プロフィットがとれているのかどうか、市場の拡大が読み切れているかどうか、アジアのマーケットをどういうふうに分析しているかという点で、かなり厳しい状況との認識。このようなマップを見て、「カワイイ」などの言葉が舞っているが、悪いマーケティングの典型。自分のマーケットを定義するときというのは、顧客が誰か、どのようなニーズを持っているか、その中に自分の製品がどう重なっているのか分析するべき。自分のプロダクトの中に顧客をいれるマーケティングが横行している。これは非常におもしろい図というのはわかるが、これは日本の雑誌の空間の中から見たときに、アジアがどう見えるかというくくりになっている。これを一般的な言語にポジショニングの軸を直したときに、こういうマップになるかは疑問。日本の「ギャル系」という言葉を通してしかポジショニングができないと、そのものだけは売れたりもするが、もともとの原点に立ち返って市場を定義するということがとても難しくなる。そこが、日系企業が下手なところ、マーケティングが非常に苦手なところ、根源の普遍的な言葉に直して1回現地の言葉におろして考えるというところがすごく苦手なところではないか。とっかかりとして非常にいいことだがマッピングをするときに、第3の視点、何か普遍の軸を入れるという工夫が必要。人間の根源にあるニーズがあって初めてトレンドってできている。その点まで迫るような分析が必要。
  • リーマンショックが起きて、アメリカの金融主導型のモデルがどうも行き詰まって、あるいは崩壊したと思うが、それは、今までの自動車とか家電メーカーで日本の黒字の大半を出すということが同時に崩壊の危機になっている。従来型のモデルでは通用しなくなった。この研究で日本の来るべきあり方というのが方向づけられるのではないか。経済面から見ても、日本は今までのモダンを卒業すべき状況に入っていると漠然と思うが、ファッションとか経済以外のところではポストモダンの絶対的優位性を持っているということであれば、非常に心強く思う。
  • 「未来」という言葉は日本ですごく軽く感じられている。トレンドマップに関し3つのキーワードで言うと、1つは時間。日本では、何か1つの開発プロジェクトでも、10年とか15年と考えている。時間軸が21世紀になり大きく変わっている。それなのに、10年かけてこれから新しいコンセプトを考えましょうという時代は終わったのではないか。その点で、すぐアクションするようなトレンドマップにする点が、私が協力したい点。2つ目は、若手。日本のストラクチャーでは若手の登用は遅い。若手をもっと生かすことができる。このマップのおかげで若手もそういう夢を持って、それを教育に落とすか、色々な経験をするために留学にするかわからないが、若手中心でいろいろ考えるべきではないか。3つ目はコスト。日本のものはどうしても世界で高い。
  • 外国の文化を日本がいかに輸入したのか、あるいは日本と外国の文化との関係は何かということは大きな関心の一つ。文化の輸出輸入というのはしばしば双方向的になる。明治維新のときに、文明開化で日本は欧米の文化を大量に輸入したが、同時にヨーロッパではジャポニズムで日本的なスタイルが美術や工芸に入っていった。特に19世紀以降決定的に双方向的になっていく。影響の大きさや度合いは違うが、片方が常に輸出し、片方が常に受け入れるという関係ではなくなっている。現代になれば、さらにその速度は速まってくる。日本の文化のコンテンツをアジアに輸出するというプロセスの中で、逆に日本文化自体が変わっていく過程が同時に進行する。それが重要な点。本研究会では、一種の予行演習というかシミュレーションみたいな形で、どういうような文化を輸出していったらいいのかということを考えることで、逆に日本のこれまであった文化の新しい、我々が気づかなかった面が見えてくるような発見があるのではないか。
  • 色々な対立軸というか矛盾したものがある中で、何か新しいものをつくり上げていくというプロセスの中に我々はいる。今文化が非常に評価されてきているので、それを何とかビジネスに持っていきたいという話の中で、ファッションをまずキャラクターに落としてビジネスに近づけるという話があったが、その際、文化の背後にあるものまでさかのぼって論理づけをしなければブランドの確立は難しい。例えば、日本独特の感性が存在するとすれば、この辺りがおそらく文化の背後にあるものと言えるだろう。日系企業の今までのパターンは、あるものを形にするときは「モノ」にしてきた。モノづくりは非常に得意だが、さらに「コト」になると、それはそもそも形のないものだから暗黙知のままでいい、何かそれをわざわざ言葉にしてしまうと価値がかえって無いように思われてしまうという懸念から、これまであまりコトづくりを明確にやってこなかった。しかし、それは避けてはいけない段階になっている。ブランドづくりのための文化の理論づけは学者だけではおそらくできないので、それを本当にわかっている人たちと一緒にやらなくてはならない。サブカルチャーなどの中にいる「当事者」と、それを理論化する人との間に感覚や理解のギャップがあるので、丁寧にコミュニケーションをしながら言葉に落としていって、顧客にとっての意味づけをして、それをブランドの根源的な価値にしていくというようなプロセス、仕組みが必要。広い意味で"ファッション"がヨーロッパでつくられたブランドだとすれば、"ファッション"に代わるようなブランドが日本から何か出来なければならないのかなと。それは多分一企業のレベルではできないので、国が支援した形でいろいろな業界の人たちが集まってやっていくというのが非常に意義深い。その中で文化の様相というのを明確化するために、消費トレンドマップというのが役立つといい。

5.閉会

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最終更新日:2009年8月28日
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