経済産業省
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グローバル金融メカニズム分科会(第1回)-議事要旨

日時:平成21年10月14日(水)14:00~16:00
場所:経済産業省本館17階国際会議室

議題

  1. グローバル金融メカニズム分科会の設立について
  2. グローバル金融メカニズムの構築(ファンド・ボンドを中心とした事例の整理)について経済産業省からのプレゼンテーション
  3. 委員からのコメント、自由討議

議事概要

事務局による上記2.の説明を踏まえ、各委員による意見交換が行われたところ、概要以下の通り。

インフラファンドについて

  • 日本でインフラファンドが育たない要因として、「国内の類似事例の不在」があげられるが、これは、国が財政投融資の仕組みを利用してインフラの整備を行い、地方でも地方公営企業金融公庫がインフラの整備を行ってきたことが背景にある。今後は、さまざまな案件が出てくる可能性がある。
  • ファンドが育たない要因として、リターンの問題が重要。基本的にインフラはその公共性からいってリターンが高いものではない一方、インフラの回収期間が15年、20年と長いため、投資家のベンチマークとなかなか合わない。
  • 金融危機の前後で状況が変わるが、危機以前は、マーケットで調達サイドが低金利の資金を調達して、長期貸出を行うことで一定の利益を確保できた。また金融機関によっては、欧州にて、これまで蓄積してきたローン資産を裏づけにした債券を発行して長期の資金調達をする仕組みができていた。こうしたやり方は、危機によって大きなダメージを受けた。
  • 先行しているとされるオーストラリアでのインフラファンドのリターンを見ると、プライベートエクイティほど高くはないものもある。今は、ターゲットとしては15%前後くらい、年限も10年~15年くらいをねらっているものが、インフラファンドと称して資金を集めている。
  • 先進国と新興成長国を混同すべきではない。アジアの新興成長国である程度カントリーリスクの高いところで投資しようとしている投資家は、それなりにリターンがないと手を出さないのではないか。
  • インフラ投資の魅力は、プライベートエクイティ等に比べて、実物資産の裏づけがあること、規制、参入障壁があり、比較的安心感が高いことがあげられる。その他の資産クラスと比べれば、景気の変動による影響が比較的軽微で済むという特性も評価される。
  • 投資家としては、インフラに期待しているものはブラウンフィールドの安定的な収益。市場は、法制度面、その他も非常に整っている先進国が対象にならざるを得ない。新興成長国は、グリーンフィールド投資になるが、リターンやリスクの問題があるため、大きなポートフォリオの一部として投資するということになる。
  • 途上国でインフラファンドができないのは、政治的・社会的な要因等によりインフラを民間でやるための前提となる法制度が未整備であることにある。各国の制度がしっかりしていればプロジェクトはできるし、リターンを生む案件組成もできるが、そういう状況ではない。いいプロジェクトができる前提条件を各国につくることができれば、資金は自然に流れるのではないか。
  • リターンを上げるためには、グリーンフィールドではなくて、主にブラウンフィールドや、プライベートエクイティみたいなものを混ぜて全体で利回りを上げない限り、フィージブルにならない。
  • アジアにおいて必ずしも欧米でのファンド経験がそのまま生きるわけではない。かつてタイでいくつかのファンドが試みられたがその多くはうまくいかなかった。地元の事情をよく知るファンドマネージャーの存在は不可欠。中国やインドのファンドが出てきた背景には、地元の事情に精通したファンドマネージャーがある程度育っていることがあげられる。
  • まず案件があることが重要であるが、その投資メカニズムにおいて、誰が為替リスク(特にアジア通貨)をとるかというのが最大の問題。
  • 欧州復興開発銀行では、大統領令プレジデンシャルディクリーや特区制度等を使ってプロジェクトごとに保証をとって進めたり、その他各国の制度自体の変更を促したりするものがある。日本もADBと協力し粘り強く制度設計に力を貸すべき。
  • 投資家の立場から見ると、アジア諸国のインフラ向け投資は、先進国向けやプライベートエクイティと混ぜたポートフォリオのごく一部だと思われる。8兆とされるアジアインフラの資金ギャップを埋める有力な手段にはまだなり得ないのではないか。
  • ADBを活用するのは賛成だが、ADBだけでは資金力が限られるので、各国政府・各種公的機関の協力が重要。
  • 貿易保険としては、非常危険が軽減できないから進まない、のはなぜかということを勉強したい。また、大量にきた場合に捌けるかという点も考えたい。
  • 機関投資家がインフラファンドで30%以上のリターンを本当に志向するならあきらめざるをえない。本当に必要なのはリターンとリスクのバランスではないか。それをどううまくデザインするかがポイント。
  • インフラプロジェクトの債券の格付をみると、最近の混乱の中でも、大きな変動は必ずしもなかった(信用リスクのみから見た格付だが)。格下げが極端に起こらなかったということは、インフラプロジェクト債券への投資に際しては、他のアセットクラスとの相関についてあまり心配する必要がない、という情報の一つである。
  • 取引所でも、インフラファンドに注目している。アジアの潜在性という観点で、アジア向けのインフラファンドに非常に関心を持っている。
  • ローンの世界でも、アジアのプロジェクトに投資していくには、NEXIとJBICのサポートがないと民間の金融機関が入っていくのは難しい。
  • JICAでも技術協力によって途上国の法制度を支援したり、財政支援借款を通じて投資環境整備等の制度改善に取り組んでいる。また、海外投融資の復活が決まり、現在制度構築に取り組んでいるところ。ODA資金が入ることによって政府間協議を通じたレバレッジ効果が期待されている。今後も関係省他の方々と相談しつつ制度構築に取り組んでいきたい。
  • 技術力が優れた日本のメーカー等がもっとプロジェクトにコミットすれば、他の参加者が参加しやすいスキームができるのであれば、EPCやO&Mの分野などで協力したい。案件をリードしていく上で何が必要かを皆で考えていく必要がある。

プロジェクトボンドについて

  • 投資家としては、誰がそのプロジェクトをマネージしているかということを重要視している。すなわち、ファンドの運営、及びその中での事業の分散投資を進めていく能力があるのかどうかといったことを重要視している。
  • ボンドは、あくまで負債であり、途上国のインフラ案件で広く使われてきたローンと比べて、ボンドの方がより望ましいという確かな理由がなければボンドの必要はない。しかしこれまでのところその説明がつくケースが殆ど見当たらない。ローンの証券化というやり方は、ローンかボンドかという議論の答にはなっておらず、最初の資金調達の方法としてどちらが優れているかといえば、それはローンの方だと思う。ボンドは投資家の広がりや、ドキュメンテーションが比較的簡便というメリットはあるが、不特定多数の投資家はローンにおける貸し手、即ち従来インフラ案件を多く手がけてきた銀行のようにプロジェクトに対してコミットするわけではない。
  • 公的機関が最初にローンを組成し、その後、市場で売却できる環境となったら当該ローン債権を証券化してボンドという形で、民間の投資家にも加わってもらうというのが中間形態としてはあり得る。
  • ただ、ファンドと同様であるが、アジアの多くの国は援助に依存してきている。ようやくPPP的なものを教え込んでいこうという過程にあるが、依然として低金利志向である。もともと安い金利の債券を証券化しても、民間に魅力あるものは提供できない。
  • 出資者からみるとボンドとローンは根本的に異なる。銀行は面倒を見てくれるし、お互いにプロジェクトを育てるということになるが、ボンドホルダーはデフォルトになった時に、すぐにエグジットし、債権回収に走る。
  • ボンドは、市場のタイミングとあえばいいものになる。何とかうまくデザインすれば入っていけるのではないかという期待感はある。ローンを徐々に証券化して、ボンドに変えていくというのも別のコンセプトとしておもしろい。
  • ボンドについてグリーンフィールドを想定するのは難しい。投資家サイドには必ず金融保証会社と言われる人たちがいて、このようなサポーターがいないと建設期間中のリスクを面倒みることはおそらくできないため、厳しいと思う。リファイナンスのツールとしてボンドを使用している事例があるが、使い勝手次第で、ツールの一つとして考えておくのは悪くない。ただ、金融保証会社というメカニズムが、サブプライム以降、世の中からなくなっている状況では、過度に期待するのは難しい。
  • ABMI(アジア債券市場イニシアティブ)として、数年前から、アジアの債券市場をどう育成するかということを研究しているが、ローカルに眠っているローカル通貨建ての資金を現地のプロジェクトにどのように長期の資金として持ってくるかということについて研究すべきと思っている。
  • プロジェクトボンドは、電力セクター、IPPで広く使われている。IPPにおいては、タリフが基本的にはドルベースでフィックスされているので、必ずしも現地通貨のリスクをとるということではない。
  • ドルの世界で物を考えるのか、円で考えるのかによって、ストーリーが大きく変わりうる。現実感を持って議論していかないと難しい。
  • 日本の投資家は、基本的に保守的でジャンクボンドの世界にほとんど入ってこない。日本で、円で、という場合、通貨の問題以上に投資家の懐の深さという意味で難しさがある。
  • 流動性リスクや、世界中の資産が買い時にあるということを考えると、今はいいタイミングではないか。
  • アジアにおけるIPPの格付けは非常に低い。日本の投資家からすると、ハードルの高い投資と見られてしまうのではないか。そういう意味では、証券化のスキームというのはアイデアとして考え得ると思う。

お問い合わせ先

経済産業省貿易経済協力局通商金融・経済協力課
TEL:03-3501-1664
FAX:03-3501-5912

以上

 
 
最終更新日:2009年11月5日
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